2016年10月26日水曜日

2016年10月22日、東京で開催された吃音啓発の日レポ 厚生労働省 日詰正文氏講演 吃音と発達障害者支援法

2016年10月22日。東京都北区の赤羽北区民センター(ふれあい館)にて、国際吃音啓発の日に合わせたイベントが吃音者の当事者団体である『東京言友会』と『千葉言友会』の主催で開催された。

国際吃音啓発の日は「International Stuttering Association」などが1998年に定めた世界的な啓発デーだ。毎年4月に行われる世界自閉症啓発デーのような認知度はまだないが日本でも認知度の向上が今以上に望まれる。

2016年春、福山雅治さん藤原さくらさんが出演したフジテレビ系列の月9ドラマ『ラヴソング』で登場人物女性が吃音であったことにより世間でも認知度はあがった。

吃音とは発話・発声するときに自分の思うように言葉が出てこない障害だ。
例えば「おはようございます」が吃ることにより、『お、お、お、お、お、お、おはようございます』という連発。『(口がパクパクしたり、または口や唇が震えたりしながら)なかなか言葉が言えず(お お お お お お お お お お お)  おはようございます』という発話まで時間がかかる難発。『おーーーはようございます』という伸発の3つが吃音だ。

吃音は当事者によって異なるが言葉のみではなく吃音者の顔の表情が歪む、白目を剥いてしまう、唾液を飛ばしてしまう、腕や脚、身体の一部が意図せぬ動きになるという症状が同時に出る場合もある。



●吃音と発達障害について

このイベントでは、厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室 発達障害対策専門官 日詰正文氏が講演した。

講演ではまず最初に「発達障害者支援施策について」発達障害者支援法、一般に言われる発達障害(自閉症スペクトラム、注意欠如多動性障害、学習障害、トゥレット症候群)などの説明から、発達障害の定義、日本国内でどのような障害が発達障害者支援法に含まれているのかなどの説明があった。

吃音も発達障害者支援法に2005年から含まれていること、一般に言われる発達障害児者のように当事者や家族が希望すれば全く同様の社会保障や合理的配慮が受けられることが法的根拠を例にしながら話は進んだ。

吃音がなぜ精神障害(発達障害を含む)なのかの疑問に対してはICD10(WHOの国際疾病分類)が日本国内で診断基準になっていること、DSM5(アメリカ精神医学会の診断基準)が参考になっていること、次回更新のICD11ではDSM5と同様に吃音が『神経発達障害/神経発達症群』に分類されるであろうと説明があった。

日本政府も吃音が発達障害者支援に含まれていることを現在、発達障害者支援センター職員、医療従事者、発達障害施策に携わる職員を対象に研修を通じて実施しているという。



●吃音と障害者手帳取得について

吃音者が障害者手帳を取得するにはどうすればよいのかという疑問にも答えた。
吃音は発達障害者支援法以前の名残で身体障害者手帳4級取得の可能性があるが、その場合『ICD10コード F98.5 吃音症』と書いてはいけないと説明。理由はFコードを利用した時点で精神障害の部分になるからだ。身体障害者手帳を取得する場合は医師とよく話し合い吃音とは書かずに話せないことを表現する重要性を指摘した。


発達障害者支援法により吃音で精神障害者保健福祉手帳を取得する場合の医師が書く診断書については詳しく説明があった。症状の記入欄の他に、日常生活能力の判定という項目を医師が吃音者の話をよく聞き記入しなければならないと強調した。

吃音の場合、「他人との意思伝達・対人関係」、「身辺の安全保持・危機対応」、「社会的手続きや公共施設の利用」が該当するのではないかと説明した。

「他人との意思伝達・対人関係」であれば、吃音によりスムーズに言葉が話せないこと、相手を待たせてしまうこと、本当に伝えたいことを話せないこと。

「身辺の安全保持・危機対応」であれば、緊急事態時、吃音により絶対に吃ることが許されない状況での発話・発声が吃ってしまうこと。

「社会的手続きや公共施設の利用」であれば、窓口などで上手く話せないことにより本来の目的を達成できないこと。

以上を精神障害や発達障害を診療する医師が患者である吃音者から丁寧に話を聞き、吃音者が困っていることや出来ないことを具体的に明記できるかどうかが大切だという。

だが、一方で吃音を診療する医師や病院が少ないことも指摘した。耳鼻咽喉科医師と精神科医師の連携についても重要だという。この部分については今後、政府も研修を通じて伝えていくという。


●吃音と合理的配慮のこと

吃音児者への合理的配慮についても例をもとに説明した。高校・大学受験や●●試験などで配慮を受ける場合は幼少期からの診療とその情報の引き継ぎが重要で、いきなり『その時』になっても配慮を希望するのは難しい。子どものころからこのような配慮を受けてきた過去があるという事実が大切になるという。

2016年発達障害者支援法改正の3つのポイント。ライフステージを通じた切れ目の無い支援、家族なども含めた、きめ細かな支援、地域の身近な場所で受けられる支援だ。

例として発達障害の特性と言われる(見通しが立たないことへの不安、感覚過敏、読み書き障害、不器用、独り言、言葉が上手く話せないなど)がある場合。どのような支援(スケジュール提示、別室対応、拡大文字問題冊子、塗りつぶしではなくレ点チェック、時間延長、話し終わるまで待つ)が行われてきたのか情報をバトンタッチしていくことが大切だという。



●まとめ、感想
厚生労働省の発達障害対策専門官の話は法的根拠や制度上の説明もあり、わかりやすかった。吃音者でも全く同様の社会保障制度や合理的配慮を希望すれば受けることができること。ここがとても重要だった。

ただ、日詰氏の話を聞いていると2005年から存在していた発達障害者支援法と吃音の関係の難しさも浮き彫りになった。会場から吃音が精神障害(発達障害を含む)であることが受け入れられない、エビデンスはあるのか、どこの誰が研究した結果なのか質問があったが、日詰氏は医系技官ではないのでその場での回答は控えた。一方で、『吃音が精神障害(発達障害を含む)と分類されるのは国際的な診断基準に従っているので、そうではないと思う場合はそのように研究している研究者と協力して行動してほしい』といった趣旨を述べた。

※吃音と一般に言われる発達障害の併存事例も報告されている日本音声言語医学会の学会誌 Vol.57 No.1,2016.1
に『吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討 Developmental Disability and Psychiatric Conditions in 39 Patients with Stuttering 』が掲載
http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/02/blog-post_23.html


この部分が厚生労働省や日本政府側の正直な気持ちではないだろうかと筆者は重く受け止めた。これは日本国内の吃音業界・吃音情勢の問題だ。日本国内では吃音当事者が『吃音は可哀想な障害者ではないし支援される対象ではない。吃音を治そうとしてはいけない。病院に行ってはいけない。おたくのお子さんは可哀想な障害者じゃない。吃音は個性、吃音は神様からのギフト。吃っていても堂々と吃って生活している吃音者もいる。就職や結婚もできる。子どもも2人くらい大学にいかせるだけ稼げる。マイホームだって買える。幸せだ。』と主義主張をするグループがあるからだ。

このグループの影響なのか? 2016年8月17日毎日新聞朝刊やネットで報道した『「差別受けた」6割 「理解不十分」7割』をみた子どもたちがこのような差別発言を平然を行っているようだ。 子どもに「障害はかわいそうという感じがする」と言わせるのは本当に恐ろしいことである。神奈川県相模原の障害者無差別殺害事件にも通じるところがある。困っていることや不便なことがあるなら、障害の垣根をこえて協力して「障害はかわいそう」だという価値観を身に着けるようになってしまう、そのように成長してしまう道程や周囲の人間や社会を変化させるように行動してほしいものだ。





・ここに「発達障害」と書いてあるけれど、僕たちは、発達障害なのか。障害は、かわいそうという感じがする。どもりを障害とは思わないでほしい。僕がほかの人に自分のどもりについて言うときには、どもりのことを障害や病気だとは言わない。吃音で悩んでいる人、苦しい人にとっては、吃音は障害だというのはありがたいのかもしれないけれど、「吃音を障害と認識することが大事だ」というのは、どうかと思う。
http://www.kituonkokufuku.com/archives/2016-09.html?p=3



吃音は他の障害者や難病者や社会的障壁のある人たちより優れているのか?優生思想なのか?
この点はフジテレビ系列で放送した『ラヴソング』の吃音演技指導をした大学生がこのように話す。


「『吃音は障害じゃない』『差別されるのが怖い』と言い張る吃音者もいますが、それって“逆差別”ではないでしょうか? 『障害者と一緒にしないで』って言っているのと同じですよね。だから、もし変えるなら『障害』に対する社会の意識を改革していくべきだと思いますし、私も当事者として、そこを伝えていきたい」
http://wpb.shueisha.co.jp/2016/06/13/66583/3/


このグループの主義主張は吃音以外の障害者・団体や難病者の耳にも入っており、大変な怒りの感情を持つ方もいる。吃音者は優生思想を持っているのか? 同じ困っている人ではないのか?という感情だ。これはとても大きな問題で今後、吃音者や当事者団体が活動するにあたり、一度、謝罪や撤回を求められる事態に発展するかもしれない。その謝罪や撤回があった後に一緒に協力行動しようという気持ちの方もいるのだ。障害はかわいそうと子どもに言わせてしまう「教え」は吃音以外の人々に波紋を広げている。



そこまで強烈に障害者や難病者を劣った者とみなし見下す主義主張を持たないが、何とか吃らない処世術を身に着け、吃る頻度を減らし社会に居場所がある吃音者もいる。できることなら吃音が精神障害(発達障害を含む)と周知徹底されるのを怖れるグループだ。


裏を返せばこのように吃音当事者や吃音業界から『吃音があって困っている。吃音者にも社会保障の選択肢を――。』と障害者運動や行動、行政へ要望要請をしてこなかった経緯が2016年現在に影響を及ぼしている。

日詰氏の講演でも、「日本政府は『今』、関係各位に周知や研修をしている」、「医師や病院が足りないことの現状について」述べたがこれも裏の意味だと「今まで表立ってそれを強く実行することができなかった。当事者からの声が無かった」と読める。今までは日本政府、行政も吃音業界の異様さ特殊性を認知していたのかもしれない。

もしも2005年から吃音が発達障害者支援法に含まれていることが周知徹底されていれば2013年7月に北海道で起きた吃音看護師さんの自死も避けることができたのではないかと考えると悔しい。


講演の中で印象に残った部分がある。吃音は精神?身体?どっちの障害者手帳を取得できる?という説明部分だ。

吃音は発達障害者支援法以前の名残で身体障害者手帳4級取得の可能性があるが、その場合『ICD10コード F98.5 吃音症』と書いてはいけないと説明。理由はFコードを利用した時点で精神障害の部分になるからだ。身体障害者手帳を取得する場合は医師とよく話し合い吃音とは書かずに話せないことを表現する重要性を指摘した。

吃音はそもそも「Fコード」、ICD-10という診断基準の→F00-F99 精神及び行動の障害 > F90-F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害 > F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害 > F98.5 吃音症

を利用する。
しかし、このFコードの吃音を身体障害者手帳申請書類に明記してしまうと。その時点で自動的に審査で却下、受理されないということだ。

仙台の吃音裁判、吃音で身体障害者手帳がほしいという内容であった。
市側の主張は「国は吃音を発達障害者支援法に定義しているので」と主張していた。
身体障害者手帳申請書類で「吃音」を明記した時点で不受理の条件を満たしているということになる。過去の吃音者の事例で身体障害者手帳4級を取得している者がいるが、その場合診断書には「吃音」と明記せずに別の症状により言葉を発することが困難であると書いているのであろう。バカ正直に身体障害者手帳申請書類で「吃音」と明記してしまうと審査の段階で不受理になることを知っている医師がいるということになる。


吃音者が「自分は吃音で障害者手帳はもらえない」と自己診断・自己判断で諦めてしまうことも問題だと筆者は感じる。一般に言われる発達障害を診療する医師のところに行き、困っていることできないこと、吃音で嫌な経験をしたことをしっかり明記すれば吃音が軽度でも障害者手帳は取得できる可能性はある。一般に言われる発達障害者でも服薬やSST、ミスをしないためのアイテムの利用などを駆使し障害者手帳を持っているがそれを隠して一般枠で働く方もいる。自分は吃音が軽度だからという自己判断で試してもみないで諦めてほしくはない。並行して吃音を診療してくれる医師や病院へ情報発信をすることも大切だろう。

吃音を診療したいと思う、精神科医師や児童精神科医師の中には、吃音がそれを偽ることもできるのでウソの演技を見抜けないのではないか? と危惧する方もいる。厚生労働省が耳鼻咽喉科医師や脳神経系医師、精神科医師のために吃音診療ガイドラインを作成することも望まれる。
ガイドラインの作成により、『そもそも病院で吃音は保険診療可能である』と認知されれば自由診療のクリニックや医師のいないクリニックに高額な吃音診療費を支払うこともなくなる。また自立支援医療の精神通院が利用できるから多くの吃音者は1割負担で通院や言語聴覚士との訓練ができるはずなのだ。

2016年これからの未来は吃音当事者も障害者団体や発達障害者団体と協力し情報発信をしていく時代ではないだろうか? また吃音者は自分たち以外のことを知ることもとても大切なことだと強く思う。

2016年9月8日木曜日

【随時更新 吃音Q&A】人事採用担当者の方へ 吃音者雇用ガイドライン 働く吃音者への合理的配慮とはなにか? 吃音者を採用する場合はどうしたらよいのか? 吃音者採用事例 雇用事例について

この記事の読了目安は20分です。
吃音者への合理的配慮については■5番、■6番あたりから読み進めてください。

関連記事もご覧ください。
人事、採用担当者の本音?吃音者はカミングアウトすると不採用になる?
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2017/06/blog-post_18.html
吃音者と働く 職場で吃音者の合理的配慮がうまくいかないのはなぜか?
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2017/10/blog-post.html
【吃音Q&A】就労移行支援事業所や高校・大学の進路指導や就職支援室やキャリア支援室、障害学生支援室は吃音者にどう対応すればいい?http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2016/12/blog-post.html 



2016年9月現在
吃音は徐々にではありますが、社会全体に認知が広がっているのではないかと思います。
フジテレビの4月スタート月9ドラマ「ラヴソング」が放送されたこと、吃音当事者団体の変化、吃音ラジオという吃音当事者が吃りながら放送するラジオ、毎日新聞社が積極的に吃音について取材報道する、吃音ドクターこと菊池医師の情報発信、日本吃音・流暢性障害学会が発足し今年で4回目の大会を開催などなど―。吃音という言葉が世の中に広まるようになってきているのです。

そもそもの発端は2014年7月3日の厚生労働省管轄である国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センターが「吃音は発達障害の1つである」と発達障害の定義を説明するページに吃音を明記したことからはじまりました。この情報の掲載はある意味勘違いにも繋がりました。2014年に吃音が発達障害に指定されたという勘違いです。これは間違いで2005年の発達障害者支援法施行時からずっと含まれています。この法律がどのような理由なのか「見える化」されていませんでした。


この投稿記事は、吃音者の雇用事例、吃音者採用・雇用ハウツー、吃音者雇用ガイドライン。吃音者の雇用促進マニュアルとして読者の方(特に人事採用担当者、障害者雇用担当者、就労移行支援事業所職員)の力になればと思っています。この記事は新しい情報があればその都度更新します。
吃音者の障害者雇用や合理的配慮についてもっと詳細に知りたい場合はコチラより問い合わせをください。http://kitsuonkenkyuguideline.jimdo.com/%E3%81%8A%E5%95%8F%E3%81%84%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B/


■1.この投稿記事を読む前に、吃音業界の真実を知らねばならない。とくに官民・企業団体の人事採用担当者、障害者雇用担当者、就労移行支援事業所職員は必ず知っておいてほしい

こちらは必ずお読みください吃音者、吃音業界のリアルです
・【必読】はじめて吃音を知った人へ 吃音と関わる上で絶対に知っておくべきこと 大切な吃音ガイドライン
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html


■2.行政職員、民間企業・団体、その他、人事採用担当部門、総務部門などの職員の方へ
上のリンクは読んでもらえましたか?

残念ながら吃音者、吃音業界は不毛な争いをしています。聴覚障害者の人々が考え方の違いにより対立していること、発達障害当事者会が意見の違いや喧嘩により分裂することと同じ状態になっています。吃音者も障害者認定絶対反対派、吃音があるが程度が軽い・なんとか吃音を隠しているから障害者認定消極派、吃音があって学校に行くのも働くことも困っているから障害者認定して障害者手帳や合理的配慮が必要派というように大きく3つの派閥が存在しています。

吃音当事者団体によっては『完全な障害者認定反対派』の団体があるため、関わると面倒なことになります。例えば2016年8月17日毎日新聞社朝刊の一面トップに吃音への差別や困っていることが報道されました。しかしその内容と毎日新聞社と担当記者、アンケートに協力した吃音者団体を痛烈に批判し間違っていると表明する吃音者団体が存在するのです。とくにその内容で恐ろしいのは「障害者はかわいそう」だと子ども達に言わせている点です。障害はかわいそう。この気持がすでにありとあらゆる障害者や社会的障壁がある人より吃音者は優れているという優生思想があるのだと辟易します。吃音が障害ではない。頭のオカシイ精神障害者とは違うんだ。発達障害者とは異なる。と主義主張を開陳するのは言論の自由ですが、困っている人はずっと困っていれば良い。というのも人間の文明社会では異常でしょう。使える選択肢、社会保障を利用することを否定するのは理解に苦しみます。どのような選択をするかは当事者が決めることです。


このような実例を見ると、行政や民間企業において、吃音者を採用する場合は『障害受容のできている、障害者手帳を所持している、障害認定反対派ではない穏健な吃音者』を採用することが前提になると筆者は推測します。毎日新聞の報道を糾弾する叩く団体は今後近い将来、吃音者を対象とした就労移行支援事業所や吃音者を障害者雇用した官民の団体が事例として集まってくれば、次にその関係各所に刃を向けて攻撃することは予想できます。

もちろん吃音や発達障害がある人でも、どのような社会的障壁がある人でも、障害者手帳を所持しておらず法定雇用率に計算できなくとも、ウチの団体は社会的障壁のある人を雇用するよという先進的な考えを持った篤志家な経営者もいると思います。これはこれでとてもありがたいことです。本来なら障害者手帳がなくとも全ての社会的障壁のある人が働ける社会になればいいのですが…。雇用する側としては仕事に配慮が必要ならば障害者手帳を持っていてほしいというのが本音でしょう。

日本社会の現実として、障害や難病がある人はなかなか一般枠で働くことはできません。一般枠でも双方の条件が一致すれば問題はありません。障害者の就労移行支援事業所もその訓練の中でこのように利用者に説明しています。就労移行支援事業所としては現実も知っているためです。

例えば

1.障害を完全に隠すことができるなら、一般枠で応募しなさい。障害者手帳を持っていても言わなければ問題ありません。エントリーシートや履歴書に●●障害や苦手なことがあるとは書いてはいけませんし、カミングアウトは絶対にしてはいけません。それが理解できているならば一般枠での就職活動をしてください。その方法も教えます。と。

一方で

2.もし障害についてカミングアウトする場合はこのように説明がなされます。
一般枠と障害者枠での両方で就職活動しなさい。そして現実を体験しなさい。
一般枠というのは雇用する側が想定した給与分100%以上の仕事をすることができる人が働きます。障害者枠とは障害や病気により、雇用する側が想定した仕事をこなすことができない、仕事の一部免除や苦手な仕事の完全免除、転居なし、通勤時間を前後させる、障害に応じた合理的配慮などなどをするために見返りとして障害者手帳・法定雇用率に計算できることが必要だからです。
と説明します。


精神障害、発達障害を扱う就労移行支援事業所は特に1と2の説明を強くします。なぜこのような説明をするのかというと、就労移行支援事業所の職員は雇用する側の希望、本音を知っているからです。

人事採用担当者の本音。雇用する側、企業側の本音ですね。カミングアウトする場合は、
配慮しなければいけない場合は障害者手帳や難病の証明を持っていて法定雇用率として計算したいという本音です。

例えば2015年12月内閣府の障害者週間セミナーでこのようなセミナーがありました。ここで説明されたことは、精神障害者雇用をするときは必ず「就労移行支援事業所に通所している者」、「ジョブコーチなど相談できる状態がある者」を雇用すべきと説明しています。このセミナーの場合精神障害者と限定していましたが、発達障害者も共通する部分があると思います。

さらに2016年12月の内閣府障害者週間連続セミナーでも同様のことが言われました。
「発達障害のある人は、障害受容のできている人、病院、就労移行支援事業所とつながりがある人、相談できる支援者がいる人」を採用の際に考えるようにという説明でした。
http://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/h28shukan/event.html#seminar

精神障害者雇用は今! ~精神障害者の職域拡大の可能性について~
http://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/h27shukan/event.html#forum
一方、平成25年度に厚生労働省が実施した障害者雇用実態調査では、精神障害者の雇用上の課題として、「会社内に適当な仕事があるか」と回答した企業が77.2%と最も多く、依然、企業において精神障害者の職務の創出・設定に苦慮している状況がうかがえる。
そこで、専門的な職種が主となる医療機関において、創意工夫して新たな職務で精神障害者を雇用する取組の紹介、そのノウハウなどについてのディスカッションを行い、精神障害者の職域拡大の可能性等について参加者とともに考える。
主催:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
所在地:〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2
電話:043-213-6203
FAX:043-213-6556
URL:http://www.jeed.or.jp/
平成25年6月に成立した改正障害者雇用促進法により精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられたこと等を契機に、雇用されている精神障害者数は大きく伸びているところである。



■3.吃音当事者は『吃音をカミングアウトすれば一般枠採用されると思っている』当事者も存在する 雇用する側と吃音当事者側の考え方の違い?

吃音当事者側の視点です。
吃音当事者は派閥に関係なく、吃音をカミングアウトすれば一般枠で採用される! と思っている人もいます。これは実際そうなのですが、吃音があっても雇用する側が吃音は仕事に関係ない、結果で評価する。という主義主張であれば成立します。しかし雇用する側が想定した給与分100%の仕事のうち90%くらいしかこなせないかもしれません。

この『吃音をカミングアウトすれば一般枠で採用されるはず』という考えは性善説的です。正直に自分の気持ちを相手に伝えれば、まっすぐに正直にありのままの自分をエントリーシートや履歴書、面接でカミングアウトしても、『吃音だけで評価する会社』は存在しないと思っているのです。吃音があっても一般枠で採用されて仕事をする機会を入手できると思っているのです。

しかし、世の中、全てがそうではありません。全てが善人とは限りません。吃音があれば雇用する側からすれば想定した給与分に見合った勤務ができないと判断し『貴意に添えない結果』など不採用通知を届けることになるでしょう。やはり、吃音がある=うまく話せない → 出来ない仕事がある。お客様や取引先に何か言われるのではないだろうか? と考えている雇用側の本音もあります。

また雇用する側の本音として、障害者の法定雇用率を満たせるなら、障害者手帳を持っていてほしいという考えもあります。カミングアウトしてきた吃音者に障害者枠での応募をアドバイスする場合もあります。もちろん障害者手帳を持っていない、吃音があっても一般枠で問題ないという雇用する側の人もいますので、これは雇用する側の主義主張次第ということになります。

2016年現在。発達障害者や精神障害者を採用時に見極める方法、発見するテストを販売しているビジネスモデルが存在しています。人事採用担当者ならご存知のことだと思います。自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群や自閉症、広汎性発達障害)、ADHDと言われる注意欠如多動性障害、LDと言われる学習障害の特徴を発見する方法が人事業界では出回っています。またそもそもDSM-4やDSM-5と言った精神疾患診断の手引きという医学書が一般人も購入できますし、医師免許がなくとも『その障害の特徴』をなんとなく見極めることはできるのかもしれません。

吃音も2016年現在でこそ、『吃音は発達障害者支援法に定義されている障害』ということになっています。が、そもそも吃音の場合は一般に言われる発達障害のように見た目ではあまりわからないわけではありません。吃音者が面接やグループディスカッションや集団面接のときに採用する側がカミングアウトしていない吃音者の状態を『あれ?この人喋り方変だな。うーんコミュニケーション能力低いから不採用方向でチェックっと』と判断することも、今まであったかもしれません。


例えば防衛省の防衛省訓令第一号があります。航空身体検査に関する訓令です。ここでは「不合格疾患等」という項目に一般に言われる自閉症などの発達障害、吃音や気分(感情)障害や既往歴が不合格の基準として明記されています。海幕衛第8931号は海上自衛隊の身体検査です。こちらでも不合格疾患として「精神と行動の障害」、「吃音」が明記されています。陸上自衛隊達第 36―1号は陸上自衛隊の身体検査です。こちらでは具体的に吃音という項目はありませんが「脳神経・精神」の検査項目があります。

このような検査を見れば、行政職員でさえこのような基準があるなら、民間でも存在するはずだ、いや表向き存在しないとしていても裏ではあるはずだろうと思います。2013年に北海道で自殺した吃音者も警察官になりたいという夢があったとのことでしたが、どうしても面接で落ちてしまうことを繰り返したそうです。警察内部の採用活動基準については不明ですが、自衛隊でNGなら警察や消防でも難しいのではないかと思いました。

他にもこのような研究報告が独立行政法人労働政策研究・研修機構から発表されています。
吃音で困っていても、適切なソーシャルワークや、支援機関につながることができず、困難な状況に陥っているようです。

・若者サポートステーションなどに訪れるクライエントの中に吃音がある人がいる。
このような人は就職困難者である
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2013/123.html

・大学4年生に未診断の発達障害??、および吃音の学生がいるがどうしたらいいのだろうか?
障害受容はどうなっているのか? 
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2015/156.html


年配の吃音者、とりわけ、今現在の「就職活動」というものが存在しない時代に就職できている人はラッキーな人です。吃音者は一般に言われる発達障害者のように一部にとても頭の良い人がいます。IQが高いといえばいいでしょうか。難関大学、国公立大学を卒業している人もいるので、履歴書のみで採用、出身校の先輩の紹介で採用、などがあったのです。年配の吃音者はよく若い吃音者に「私は吃音があっても就職できた、東証一部上場企業だ。結婚もした。子どももいる。自動車も買った! マイホームも買った! 子どもは全員大学卒業させた! キミもやればできる!」などアドバイスをしてしまいますが。その当時は発達障害や吃音の概念はあまり浸透していないという好条件も重なったのだと思います。ゆえに学歴で採用活動側、雇用する側は判断していた場合もあります。

年配の吃音者は自分が吃音ありつつも就職できたことを誇りに思っているので、現在の若者たちがなぜ就職できないのか?なんていうことは関係ないのです。

吃音の障害者認定反対派なら『吃音をカミングアウトしなさい。エントリーシートにも履歴書にも吃音のことを明記しなさい』と危機意識のカケラもないアドバイスをして悦に入る場合もあります。この手のアドバイスは2016年現在ではもはや通用しないのですが…。
逆に考えれば『自分の地位を脅かすかもしれない若い吃音者に就職してほしくない。同じ会社に入社してほしくない』など下心もあるのかもしれません。


吃音のある若者が『吃音をカミングアウトすれば一般枠採用されると思っている』理由には性善説を信じている場合もありますが、他にもこのような理由があります。障害者枠だと給与が安い、出世しない、スキルアップができない、正社員採用されないというのをデメリットだと思っていることもあります。給与が安ければ恋愛もできない結婚もできない。幸せな生活ができない。自分の両親や親類縁者と同レベルの生活水準を維持できない…。などを不安に思っている人もいます。

吃音のある子どもの父母や祖父母が『自分の職場で吃音者が採用されることは無い』と知っている場合は特に厳しく子どもの吃音に接します。なんとか治そうとしたり、病院や民間療法などなどありとあらゆる手段を使うかもしれません。親御さんの気持ちはわかります。それは社会が吃音者に冷たい、吃音があると就職や結婚が不利、ということを知っているのです。親御さんも障害者や社会的障壁のある人に冷たい接し方をしていたこともあるかもしれません。

吃音のある子どものお父さんお母さん、家族のみなさん、親戚のみなさん。ぜひ、ご自身が働いている職場の人事採用担当、人事部の人に『吃音者が就職活動で私たちの団体に応募してきたら採用する?しない?障害者枠なら採用する?』と質問してみればよいでしょう。その答えが現在の日本社会の真実です。

筆者自身も若い頃は吃音の障害者認定反対派の教典に心酔しており、就職活動の際は吃音を堂々とカミングアウトしていましたが。結果は全て不採用でした。最初の書類選考で落ちます。障害者認定反対派の人の堂々と吃れ、吃音を治してはいけない、吃音は障害ではないということが通用するのは本当にごく一部の限られた吃音者だけのものだとやっと目が覚めたのです。


■4.吃音は吃音のみの人が存在する一方で、吃音と(自閉症スペクトラム、ADHD、LD、チック・トゥレットなど)が併存している人もいます

吃音は神経発達障害とDSM-5で分類されるようになりました。
この1つの理由として、その他の発達障害と併存している事例が報告されているからです。

こちらのリンクを見てください。
 吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp/57/1/57_7/_article/-char/ja/

http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/02/blog-post_23.html


■5. それでは吃音者の採用 吃音者雇用ガイドラインはどうなるか? 吃音の就労支援、合理的配慮とは?

まず、これは採用する側、雇用する側の主義主張を明確にする必要があります。
人事採用担当と経営者がよく考えて明確にする必要があります。

吃音は現在、精神障害者保健福祉手帳の対象になっています。2年更新の手帳です。
ごく一部、吃音の状態が重度な『家族でないと意思疎通できない』レベルの人であれば身体障害者手帳の4級を持っています。

4番で説明したように、吃音だけではなく、吃音とその他の発達障害を持っている吃音者もいます。これも難しいところです。


これらの情報や吃音者の派閥抗争を知ったうえで考えを明確にする必要があります。雇用する側は吃音者をどのようにとらえるのか?が重要になります。


1.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、仕事の成果を出すならば一般枠で働いてほしい。一般枠で働く機会を与える。法定雇用率には興味ない。

2.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、手帳を取得して障害者枠で働いてほしい。法定雇用率に計算したいのが本音。

3.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、障害者手帳を持っていれば、一般枠でも障害者枠でもどちらでもよい。法定雇用率に計算したいのが本音。

4.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、手帳を取得して障害者枠で働いてほしい。しかし仕事は責任ある仕事、出世できるようにする。正社員雇用する・いつかは正社員にする。スキルアップ・キャリアアップの機会を与える。



この4つでしょうか。
まずこの部分を明確にする必要があります。雇用する側としては少なくとも『障害受容のできている吃音者』を採用したいと思うはずです。派閥抗争をしているトラブルメーカーよりもそうではない温厚で穏健な人が良いと考えるはずです。そして発達障害者支援法やICD-10やDSM-5に定義されている吃音という障害であれば障害者手帳を持っていることがデフォルトであると考えるかもしれません。

この雇用する側のホンネ、障害者雇用業界のホンネを理解していない吃音者が多いことも事実です…。


吃音者を雇用する、吃音者を採用する、吃音者と一緒に働く。
これには企業団体がどのような立ち位置になるか?が重要になります。

1.「吃音丸出し。いついかなる時でも常に吃りまくっていてもいい。聞き手は吃音者の話を待つ。ちゃんと待って聞く」
2.「吃音があるなら、吃りそうなら発話発語以外の使用を認める。そのほうが聞き手も時間効率が良いから。常に吃るのは正直勘弁してほしい。」
3.「吃音があっても、どんな職務を遂行してもいい・接客も放送も営業などお客さんと接することもなんでもやっていい」
4.「吃音があるなら、話すこと以外の仕事をしてほしい。無理して話さなくていい。接客や営業や放送などお客さんと接する仕事にこだわらないでほしい」

吃音者側には吃ることは権利であり。どもらせないようにするのは差別だという人も一部にいます。
上の1から4、この条件にさらに法定雇用率に計算したいために障害者手帳の所持を希望する、希望しないという前提もあることになります。



えっ、でも、吃音者側だけの希望を聞かないといけないの?

良い質問ですね。
そうです。そもそも吃音に限らずですが、合理的配慮とは過度な過重なものはしなくてもよいということになります。

平等であるならば、合理的配慮される側の希望、合理的配慮を提供する側の希望ということ、両方が必要です。

吃音は「吃る」障害でもありますが。「相手の時間を奪う、多く消費させる障害」でもあります。吃音者が吃りまくって話しているのを最後まで相手は待たないといけないのか?吃りまくっている吃音者に話を丁寧に聞くたびに、1分、2分、3分と時間が消費されていきます。これが1年間の出勤日と計算すれば、年間吃り時間により、これだけ時間が多く消費されたということにもなります。

【吃音Q&A】吃音は発話発語の障害 そして相手、聞き手の時間を奪う障害
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2017/06/q.html


となると吃音者とコミュニケーションをする聞き手、相手、お客さんなども「希望」がでてきますよね。無理に発話発語してコミュニケーションしなくてよい。チャットでも筆談でもメールでも、丁寧な言葉遣いではなくていい、マニュアル通り話さなくていいから・・・と希望が出てきます。

合理的配慮とはバランス、話し合い、お互いの歩み寄り、譲り合い、落とし所を考えることにもなるのです。

■6. 吃音者への合理的配慮とは具体的に何をすればいいのか?
吃音は話すこと、発話することの障害です。(ただし発話器官に障害があるのではなく、発話しろと命令する脳神経の障害・神経発達ネットワークの障害です。)
例えば、挨拶ができない、自分の名前や社名が言えない、他人の名前を言えない、マニュアル通りの決められた順番で話せない、言いやすい言葉を発話するために敬語を使わない場合もある。などなどが考えられます。

(ただ、これだけ色々な合理的配慮を職場で、採用側、雇用する側が行う可能性があるとなると障害者手帳所持は必須だと思いますが……)

(吃音の障害者認定反対派の人は、吃る権利があると考えているので、一年間365日ありとあらゆる場所で吃りまくるので、そのありのままの状態を一般雇用枠で認めることになります…)



◆吃音者に想定できる、考えられる合理的配慮一覧

・声をだして挨拶ができない場合は笑顔や会釈でも良いとする。

・電話応対を一部免除する。全部免除する。社内の電話のみ応対させる。外部との電話応対は免除する。

・社内アナウンスや店内アナウンス、放送の業務を免除する。

・落語家の桂文福さんのように歌いながらメロディに乗せて職場内やお客様のところで話してよいと認める。吃音者は歌いながら、メロディに合わせて話すと吃らない人がとても多いため。

・落語家の桂文福さんのように、会話の中でギャグを織り交ぜたり、舌打ちをして滑稽な音を鳴らして職務遂行をしても、それを許容する。許す。怒らない。吃音者の道化キャラで働くことを認める。

・社内の朝礼、全体集会、全体挨拶、飲み会の挨拶、式典の挨拶などで口頭発表させることや社訓の暗唱や社内用語暗唱などを免除する。

・吃音者には営業以外の仕事をしてもらう。他の障害者のように社内の仕事をその分切り出す。その仕事をしてもらう。

・吃音者は吃ること避けるため、言いやすい言葉に言い換えを行う。「赤いボールペン」→「レッドなボールペン」、「トイレ」→「お手洗い」、「昨日(きのう)」→「昨日(さくじつ)」、「水曜日」→「火曜日の次の日」、「新聞紙」→「ニュースペーパー」などと言い換えることがあります。

それを不自然だと笑わない。指摘しない。

・吃音で有名な芸能人やアナウンサーや総理大臣や王族がいるからといって、あなたの目の前にいる吃音者はそうではない場合もあると認識を改めること。XXさんがこうやって成功したからあなたもやりなさいと意味不明のアドバイスをやめる。障害が個性となる職業のイスは非常に限られている。

・筆談を利用できるようにする。

・吃音者は吃ることを避けるため、言いやすい言葉を発話する。場合によって敬語などを使わずにタメ口になってしまうことがある。それを認める。許す。怒らない。

・営業や電話応対を認めるにしても、必ず初回に外部やお客様に接するときに、同僚や上司が「弊社のXXは吃音という障害があるので。話し方が不思議に思われるかもしれませんが仕事には影響がないので気にしないでほしい」と説明する。

→とくに職場の同僚や上司が一度、吃音当事者とファーストコンタクトする相手に説明するステップは重要です。吃音当事者自分の言葉で説明するのは大切ですが、同僚や上司のワンクッションがあるかないかでは相手側の受け止め方も変化します。

・電話応対の場合 自動音声システムでを利用する。「この電話は吃音者、吃る人が架電しています」、「この電話は吃音者、吃る人が受電しています」こういったアナウンスも必要になるでしょう。

・口頭での報告連絡相談よりも筆談以外に手書きメモやEメールやチャットの利用を認める。コミュニケーションアプリの利用を認める。

・吃音者は人それぞれであるが、話すときに、唾液を飛ばしてしまうことがあるので、マスクの着用を認める。

・工場や調理場など安全確認が重要視される職場で、「後ろ通ります」、「声出し安全確認作業」ができない場合ブザーやホイッスルなど他の手段を考える。

・飲食店やサービス業であれば、いきなりステーキの従業員が利用している透明マスクの着用を認める。(これは吃音者の中に吃るとき唾液を飛散させる場合もあるためである)

・飲食店やサービス業以外では普通の顔が隠れるマスクの着用を認める。吃音者は吃る時の顔を見られたくない人もいます。口がまがる。唇が震える。唇が尖る。口元が痙攣する。唾液を飛ばしてしまう。白目をむいてしまう。視線が合わない。などなど吃るときの外見上の影響がでる当事者も存在するためです。

・飲食店やサービス業ではお店の入り口などに、「吃音者が働いています」と告知すること。聴覚障害者の洋菓子店のように吃音者が働いていることを説明しましょう。タッチパネル方式だと聴覚障害者も吃音障害者も助かりますね。

・吃音者がホウレンソウや会話をするときに、吃ってしまうため他の人よりも時間が倍近く必要だとしても、ゆっくり余裕をもってその話を聞く。

・吃音者の言葉を先取りしない。吃音者の主義主張によっては最後まで言い切るまで待ってほしい人もいます。逆に話している途中で、XXXのことを言いたいの?と言われたほうが話しやすい人もいます。 ※このあたりは当事者とよく話し合う


★医療従事者、コメディカルの吃音者はどのような合理的配慮? 学校教員や弁護士、警察官や消防士なども同様
吃音当事者の中には、医師、言語聴覚士、看護師、精神保健福祉士、社会福祉士、介護士、臨床心理士など心理系、の仕事をしている当事者もいます。

医療従事者、コメディカルの吃音者にはどうしても言い換えのできない言葉を多く使用する場面が想定できます。人名や薬品名、患者さんクライエントさんとの面接や心理検査、言語療法、結果の説明などがたくさんあります。とくに心理検査や言語療法などの場合は一言一句間違わないで実行できなければいけません。

心理検査や言語療法などで患者さんに「私のあとに続けて話して下さい。マネしてください」などと説明して、吃る部分まで真似をされてしまうという事例も発生しています。事前に患者さん、クライエントさんへの吃音の説明が必要になります。この場合も同僚や上司がワンクッション説明を入れることが重要です。

また、吃音を持った当事者が医療従事者など、警察官、自衛隊、消防士、国家資格や専門資格などを目指す場合。吃音当事者学生を受け入れる学校、大学や専門学校等は、研修所、実習先にも合理的配慮を求めるときに助けてあげてください。




以上のように様々な合理的配慮が今のところ考えつきます。
話すこと発話することの配慮だけが必要です。それ以外はおそらく大丈夫だと思います。

※しかしながら、吃音当事者には吃音だけではなく、自閉症スペクトラムやADHDなどの一般によく知られている発達障害を持っている場合もありますので、この場合はその発達障害特性にも配慮をする必要もあるかもしれません…。

何れにせよ、当事者と雇用する側がその都度、その人その人ごとにカスタマイズ就労について話し合い考えることがとても重要なステップになります。吃音はその人それぞれにより症状が異なります。また吃音当事者の主義主張によっては合理的配慮をたくさんされるよりも、吃ったまま仕事をしても怒らない環境、笑われない環境を希望する場合もあります。一律にこうすれば良いという正解はありません。雇用する側の譲歩できる部分、当事者側の希望する部分。これらをじっくり話し合い落とし所を見つけてお互いが納得できる気持よく仕事ができるようになることが重要です。

まずはスモールステップアップで吃音者の雇用事例が日本全国で集まっていくことを期待します。その際は吃音の障害者認定反対派の妨害工作もあるかもしれませんが気にせず冷静な対応をしましょう。

■7. 就労移行支援事業所は吃音者とどのように向き合うか?
2014年7月から突如として吃音が発達障害者支援法に含まれていると定義されていますと発表があり―。しかし吃音以外の発達障害の業界では吃音が発達障害者支援法に含まれていることはそれ以前から知られていたようです。就労移行支援事業所の職員でもそれを理解している人はいるかもしれません。

さて、今後は、発達障害者の就労移行支援に吃音者が入るようになります。就労移行支援事業所によっては吃音者が利用申請をしてくる場合もあるでしょう。成人しても吃音が治らずに継続する吃音者は全人口の1%に世界中に存在していると言われています。吃音者への就労支援は一般に言われる発達障害を併存している場合もありますので、その部分については既存のメニューで対応ができるでしょう。

問題なのは就労移行支援事業所内で、吃音をどのように扱うのかです。これは6番でも説明したように合理的配慮を提供するのか?などを考えなければいけないでしょう。

吃音当事者が吃音だけではなく一般によく知られている発達障害を持っている場合もありますので、その部分については現在のノウハウが利用できます。

その他にも就労移行支援事業所が営業や案内やセミナーを企業団体向けに行うときに、企業側、雇用する側の吃音者への本音をどれだけ聞き出せるか?ということも重要です。そしてその本音を吃音者や吃音当事者団体に気付いてもらうことも必要です。しかしながら吃音者は障害受容ができていない場合も多く時間がかかる場合もあります。かなりのミスマッチが起こることが想像されます。

■8. 障害者手帳を持っていないのに合理的配慮を宣言された場合、雇用する側は不採用を決断する 採用したが失敗した場合 事案紹介 事例紹介
※全ての事例や事案がそうだとは限りません



1.
「吃音者の人が障害者手帳を持っていないのに。合理的配慮をしてくれ」と言ってきたので、面接では合理的配慮をしたが、後日不採用通知を出したということだ。理由は障害者手帳を持っていないから、障害受容ができていないから、他の障害者に何か悪影響を及ぼすような気がしたという。

一度非公式に「障害者手帳のコピーを今度持参してください」と伝えたが「吃音は障害ではありません。個性です。仕事上問題はありません。私は吃音で障害者手帳を取る予定はありません。」と自信満々に言われたため、『あぁ。これが講演会や勉強会でよく出てくる障害受容ができていない人か。入社後もトラブル起こしそうだし、すでに働いている障害者に個別の障害についてあれこれ説教し始めそうだから不採用』という結論にいたったという。

2.
カミングアウトしてきた吃音者が面接に来たので、障害者手帳を持っていれば、障害者枠で採用できると水面下で伝えたが、応じなかった。吃音は障害じゃない!と反論してきた。採用は見送った。

「私の団体では、吃音のある人とも一緒に働きたい。とは思っている。でも障害者手帳を持っていない吃音者が本当にいるとは思わなかった。残念だ」という。

合理的配慮をする以上。法定雇用率に計算できること、という部分については吃音者側にも理解してほしいのだけど残念だという。

3.
障害者手帳を持っているが、不採用になった吃音者。
障害者手帳を持っている吃音者が障害者枠で応募してきた事案。
合理的配慮の希望と法定雇用率の問題はクリアできたが、吃音者側が「障害者枠の仕事じゃなくて。一般と同じ仕事がしたい。なぜ接客や営業をしてはいけないのですか?なぜ喋る仕事をしてはいけないのですか?吃音者に対する差別ですか?機会を奪うなんてズルい。吃っていても総理大臣やアナウンサーや医者や営業がいる。接客や営業だって経験したい」と面接段階で意見を述べていたため、不採用通知を出したという事案。

これも吃音者側と雇用する側のみミスマッチです。
現在、吃音業界、吃音当事者団体では、東証一部上場企業や国家公務員、地方公務員に就職して活躍する人もいるため。成功した吃音者がやっている仕事や職務を遂行したい!という若い学生、新卒就活をする吃音学生が多いことと条件が合わないという事案。

たしかに発達障害という概念が世界に生まれる前は「ちょっとあの人変だよね」という人は就職できていたが、2017年現在の就職活動は件の障害者発見試験や面接、グループ面接、グループ討論、などに「発達障害傾向のある人」をなんとかしてあぶり出す手法が販売されているため、一般枠で発達障害者が隠して応募してもなかなか突破するのは難しい。ましてや吃れば一発でバレる吃音者にはハードルが高い。

そこで障害者枠で就活している吃音者が出てきたが。吃音のある先輩達、パイオニア達がやってきたこと、同じ仕事をしたい。機会を提供しないのは差別だ!という雇用する側が用意した仕事をしたくない!差別だ!と衝突につながる事案が発生したという。

雇用する側としては無理に話す仕事はしなくていいので、社内に限り電話や通信はまかせるけど、積極的に表舞台では活躍しなくていい。もっと他にも仕事があるから、こっちを一緒に頑張っていきたいと吃音者側に伝えても。吃音者側が拒否する、その仕事しかさせないのは差別だと反論してきたという事案だ。雇用する側としてもトラブルになりそうな人は最初から雇用したくないというのだ。たとえ障害者手帳を持っていたとしてもだ。

4.
採用後の事例。雇用側が吃音だけ配慮する予定で採用計画を考えており無事入社した吃音者。しかし吃音以外に、発達障害があることがわかり雇用側が「採用ミス」だと社内で一致した事例。吃音者は社内ニート扱い。

採用時に吃音者は吃音のことしかカミングアウトしておらず、雇用側も吃音だけだと思っていた。しかし、発話発語のコミュニケーションよりも空気や気持ち、雰囲気、ホウレンソウが原因となる問題が多発。時間配分や時間を守ること、ケアレスミスなども多い。独自ルールが社内ルールよりも優先されるなどのトラブルも。

吃音以外に広汎性発達障害、ADHDがあることが後に判明。雇用側は採用時に見抜けなかったのかと問題に発展。

吃音者は純粋吃音だけではないと障害者の人事採用、障害者の就労移行支援など支援者や就職エージェントなどの間で支援困難事例として現在情報共有されている。

5.
採用後の事例。せっかく障害者枠で採用した新卒吃音者が4ヶ月で辞めた。
障害者枠で採用した新卒学生の吃音者。意欲も高く採用したが。入社の後の新人研修期間、組織の人事制度、給与面、キャリアアッププランなどに不満があったらしい。吃音ではない発達障害の新卒学生は黙々と仕事を続けているのを見ると吃音の人は今後、採用対象から外すという判断をせざるを得ないことになる。発達障害の新卒学生は就労移行支援事業所に行っていた経緯もあるので支援者が間にいることが影響しているのかとも反省。「不安」や「希望」などを聞いてくれる支援者のワンクッションがここまで大切だったということが判明した残念な事案。

障害者枠で入った新卒学生がたった4ヶ月で自分勝手に辞めていった事案は、今後吃音者の就職活動全般に、後輩吃音者にとても不利になるだろう。採用にもコストがあるということを吃音者側が理解しないとならないだろう。また、吃音者も就労移行支援事業所経由でないと採用が難しくなるだろう。自分勝手に辞めてしまう衝動性からADHDもあるのではないかとも思われる。吃音者の採用をお考えの企業様、公的機関様に悪い印象になったことは間違いない。

吃音者と働く。吃音者就労ガイドライン、吃音就労ガイドライン、吃音合理的配慮ガイドライン、吃音者就労支援ガイドライン。吃音採用。吃音は障害。吃音採用事例。吃音は面倒。吃音は支援困難。障害者手帳を持っていない吃音。吃音者すぐ会社辞める。吃音の離職率高い。吃音は採用困難。

2016年7月10日日曜日

吃音者や吃音当事者の家族にはレイシスト(差別主義者)がいる? 吃音を病気や障害と認められない人々の実態とは? そのワケ

吃音者や吃音者の家族・親戚縁者、学校の先生には吃音を病気や障害ではないと考える人もいます。
その理由は、簡単です。病気や障害がある人は劣っているからです。
彼らに人権は無く、幸せになる権利はないと思っているのです。

吃音の子どもを持つ保護者のみなさんは本当に注意してください。
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/11/blog-post.html



しかし逆に考えれば恐ろしい事です。
吃音者の世界を外部から見ればこのように見えます。
「吃音者って話すことが大変で困っているくせに、私たち●●障害、●●難病より優れていると思っているワケ? 白人至上主義のように吃音者至上主義とかあるのかな? 吃音者ってナチス・ドイツのように他の困っている人たちを下に見ているんだね。悲しいね」と話す人もいます。現在、吃音以外の障害や病気、難病がある人は徐々にですが、吃音者団体や吃音業界の異様さ、異質さ、特異さに気付いてきています。

吃音者は自分たちが障害者である、障害者手帳の交付対象であることを、とても嫌う人が多いです。その際必ず吃音者は他の障害者や難病の人たちが「幸せではない」、「結婚できない。子孫を残せない」、「国のお荷物、税金の世話になっている」、などと世迷い言を述べる人がいることも事実です。


集英社の週刊プレイボーイでもフジテレビのドラマラヴソングに合わせて、吃音の記事が全部で3回掲載されました。その中でこのような記事がありました。ラヴソングを監修した菊池良和医師によると吃音は身体障害者? 発達障害者?ということで揉めているのが吃音者業界とのことです。厚生労働省の考えでは2005年以降は吃音は発達障害として対応するとしています。ただ、吃音者がその現実に向き合うことができないのが問題の本質なのですが…。

もう1人、川端さんというラヴソングで演技指導をした大学生が述べています。
吃音が障害じゃない、差別が嫌だという人は、逆に他の人達を差別しているのではないか?




これから社会に出るにあたり、不安を抱える河合さんだが、吃音について理解される世の中になってほしいと願う半面、吃音が「障害」とみなされることには懸念があると述べる。
「『障害』って、一生治らないってことでしょう? でも、吃音はいつか治るかもって思っていたいから、だから『病気』って思いたい。見た目では健常者と変わらないし、『自分は他の人とは違う』って一線を引きながらも、健常者向けに作られた社会の中で健常者のフリをして生きていくしかないんです」
「吃音は障害か? 病気か?」をめぐっては、当事者の間でも意見が分かれている。吃音の症状はひとりひとり違い、症状が軽減する人もいれば、継続する人も存在し、症状の程度もグラデーションのように一様ではないためだ。
当事者間の認識も一枚岩とはいかず、「『障害者』だとひとくくりにされるのは抵抗がある」という意見の人もいれば、「障害だと認めて、配慮や支援を求めるべき」という意見もあり、両者の主張は平行線だ。
菊池医師は、医師としての立場から以下のように述べる。
「もちろん、当事者本人が自分で『これは個性や癖のひとつだ』と肯定的に捉えていただく分には構わないですし、私も診察室では『話し方の癖なんだよ』と説明することもあります。ただ、医学的・法律的にどこかで線引きをしないと、治療や支援の対象にならないため、米国精神医学会の診断基準(DSM-5)では、吃音は『小児期発症流暢障害』に分類されていますし、2005年に施行された『発達障害者支援法』の中では『発達障害』に含まれています」
また、仮に「障害者手帳」を取得するにしても「身体障害か、精神障害か」についても意見が分かれるという。過去に吃音が身体障害者4級として認められた事例もあり、「吃音は身体障害に含まれる言語障害だ」と捉えている当事者からすれば、精神障害や発達障害に分類されることに抵抗がある人も多い。
前編に登場した川端鈴笑(すずえ)さん(20歳・大学3年生)の場合、連発と難発の症状により、大学生活に支障が出ているため、障害者手帳を取得している。
「当事者がどんなに『困っている』と訴えても、障害者手帳のような公的な証明書がないと、大学側からは吃音で学校生活に支障が出ていると認めてもらえないし、合理的配慮も得られない。ただ現状は、吃音だけで障害者手帳を取得するのは難しいようです。私は発達障害の一種、ADHD(注意欠如・多動性障害)も併発しているので、精神障害者手帳で取得して、吃音について付記している状態です」
実は近年、川端さんのようにADHDなどの発達障害と吃音を併発する人々も存在することがわかってきた。
「『吃音は障害じゃない』『差別されるのが怖い』と言い張る吃音者もいますが、それって“逆差別”ではないでしょうか? 『障害者と一緒にしないで』って言っているのと同じですよね。だから、もし変えるなら『障害』に対する社会の意識を改革していくべきだと思いますし、私も当事者として、そこを伝えていきたい」(川端さん)
http://wpb.shueisha.co.jp/2016/06/13/66583/




この原因はなんでしょうか?
1.吃音の障害者認定絶対反対派の当事者団体に所属している。(大阪や東京に存在。その他にも少数の都市に) 吃音が障害や病気であって政府の世話になるなんて恥である。成功している吃音者は存在する! (間違えてこの団体に吃音で障害者手帳がほしいと相談にいけば、阻止されるのである)

2.吃音のある子どものお父さんお母さん、お祖父さん、お祖母さん、親戚縁者の勤務している官民問わず企業団体に吃音者が働いていない。働いていたとしても世間一般でいう「普通の生活」ができていない。吃音はバカにされる。

3.吃音のある子どものお父さんお母さん、お祖父さん、お祖母さん、親戚縁者の勤務している官民問わず企業団体に障害者が働いているが、障害者の給与は安い、ローンが組めない、ということは自分たちのように結婚して子ども産んでマイホームをローンで購入できない。吃音者も障害者も難病者もみな不幸だ。

4.仮に吃音が障害だとしても「精神障害(発達障害を含む)ではない。精神障害や発達障害のように吃音者は頭がオカシイわけではない。無差別殺人をするわけでもないし、統合失調症(精神分裂病)とは違うんだ! 吃音は身体障害者だ!」と発言してしまう人まで存在します。

5.近年の研究で吃音は遺伝することが判明しており、例えば、お父さんかお母さんが吃音。母方や父方の親戚縁者に吃音者がいる。故に、吃音という遺伝子を子どもに与えてしまった自分や家族を恨みつつ、その矛先を吃音の子どもや他の障害や難病で困っている人にぶつけてしまう。


このように色々な原因があります。

そうだ!!
吃音は病気でも障害でもないんだ!
私は吃音があっても堂々と吃る。でも、障害者手帳や国の税金の世話になんてならないぞ!
となる人もいるわけです。

お子さんが吃音者の場合は子どもを厳しく育てよう。吃音を治させよう。吃音があっても成功している人だけを見せよう。となってしまうのです。お父さんもお母さんも障害や病気、難病がある人を可哀想な人と教育されて大人になったかもしれません。その価値観と視点でみれば、子どもの吃音に厳しくあたるかもしれません。お父さんお母さんは将来子どもが人生で失敗するかもしれないときのために、住居の確保や生活費の確保もしておかなければいけないでしょう。就職活動に失敗するかもしれません。お父さんお母さんと同じ生涯賃金や生活レベルを維持することが困難かもしれません。

吃音は精神障害・発達障害ではないと言いはる吃音者も存在しますが、この人達は日本政府にちゃんと障害者運動を起こしたのでしょうか? 2016年現在、40代、50代、60代、70代、80代、90代の吃音者の先輩方は 「吃音は程度に関係なく身体障害者手帳を取得できるように」と運動したのでしょうか? 実際はしていません。そのツケが2016年現在に回ってきているのです。2005年の発達障害者支援法に吃音が含まれていることを見落とすくらいなのです。もっと早く昭和の時代に吃音者が政治運動をしていればもっと別の結果があったはずです。

◆吃音業界に蔓延る 参考の発言例
「吃音は障害ではない」
「吃音は障害でも病気でもない個性。実際に活躍している先輩がたくさんいる。上手くできないあなたが悪い。」
「吃音が精神障害者保健福祉手帳の交付対象なのは許さん。吃音は身体障害だ」
「吃音が自閉症やADHDやLDなどと同じ発達障害だというのは許さない」
「精神障害者や発達障害者って頭がオカシイ人たちですよね。吃音がそれと同じと世間から思われたら困る」
「精神障害や発達障害は犯罪を起こしても無罪でしょ。よくニュースになるよね。吃音は違うよね」
「障害者はかわいそうな人。吃音のある人はかわいそうな人ではない」
「吃音は他の障害者より優れている。他の障害児者より吃音は上だ」
「吃音で困っているとか社会保障制度、障害者手帳や障害者雇用が
必要なら、新しい団体つくれば。言友会には困っている人はいない」
「吃音で困っているからといって、社会保障制度、障害者手帳、サービス受給者証、障害者枠雇用などなどを利用するのは恥である。逃げである」
「吃音が発達障害だなんて、(一般に言われる)発達障害の人たち方が困るよね。迷惑だよね」
「発達障害者支援法に吃音を厚生労働省が勝手に入れたんだ」
「吃音が発達障害(神経発達障害群)であることは世界を見てもそんなエビデンスのある報告をしている研究者は存在しない」
「吃音が発達障害者支援法に含まれていることが周知徹底されることは
不利益しかない。私の生活はどうなるんだ」
「勤務先から吃音があるから障害者手帳をもらってこいと言われたらどうすんだ!」
「職場で障害者雇用の発達障害がいるけど使い物にならない。吃音もそれと同じだと思われた困る」
「JDDネットに加盟するイコール吃音が発達障害だと認めることになってしまう。そんなことはさせないぞ。吃音は発達障害じゃない。」
「吃音は訓練して治すもの。社会の側がどうこうするものではない」
「吃音で困っている人がいても関係ない。私の生活が第一!吃音で困っている人なんかどうでもいい」
「吃⾳に⾒られる⾮流暢な発話の背景には⾃閉症スペクトラム障害、注意⽋陥多動性障害、学習障害で⾒られるような内的・⼼理的問題が存在していると⾔う誤解を招き、吃⾳に関する啓発を推進するための妨げとなる可能性があります。」と発達障害児者は内的・心理的問題持った人達だと決めつける言語聴覚士まで存在します。

◆吃音業界は今後どのようになっていくのでしょうか?

筆者の予測では、障害受容のできた障害者手帳を持った吃音者が今後増加すると思います。官民問わず企業団体の人事部は障害者手帳を所持している法定雇用率に計算できる吃音者を積極的に採用していきます。そしてその情報がどんどん採用する側で広まっていけば、吃音者も障害者手帳を取得しようと思う人が増えるからです。この人達がロールモデルとなり50歳60歳70歳くらいになったころには吃音業界の常識が変化しているかもしれません。

そして、1番大切なのは吃音者は吃音以外の障害者や病気、難病者と連携するべきです。そして、社会的障壁を持った人たちが幸せでないと感じるならば、連携して日本社会の法律やシステムを変化させるように行動すればよいのです。障害者の権利に関する条約の第4条にはそのことが明記されています。 吃音者の問題を吃音者だけで考えると暴走してしまいます。暴走どころか思考停止状態になることもあります。(2013年の北海道の吃音看護師さんが自殺したことは避けられたことなのです。発達障害者支援法に吃音が定義されているなら法律という武器があったのです)

現在、吃音のある言語聴覚士が増えていますが、今後は吃音のある社会福祉士や精神保健福祉士が増加すると予想します。そもそも吃音は障害であるし、医学モデル医療モデルとして吃音治す訓練をするよりも、適切な相談支援をできる社会福祉士や精神保健福祉士の仕事が増えるからです。吃音があったままでも生きていける社会モデルがこれからできあがっていくのです。
適切な相談支援(ソーシャルワーク)とは、吃音者やその家族に360度全ての生きる選択肢をみせる事です。自分の主義主張が吃音の障害者認定反対だから、相談に来た人が障害者手帳を取得したいと言っても諦めさせようとする。こういうことではダメなのです。全ての選択肢を提示して相談して決めていくことが求められるいくでしょう。


吃音があるけれど成功している吃音者の人は、その経験をアドバイスすることや体験談を話すことも重要です。しかし、1番大切なのは、成功しているあなたにしかできないこと。困っている吃音者や若い吃音者のために、もっとその道を開拓して拡げて整備することです。成功している吃音者の人はあなたの所属する組織の総務や人事に吃音の啓発をしましょう。吃音者を積極的に雇用するように働きかけましょう。説き伏せて口利きしましょう。自分自身の安息の地、安定した場所を他の吃音者に入ってこられたら困る!なんて考えは捨てましょう。吃音があって成功している人ほど、困っている吃音者や若い吃音者に間接的なアドバイスのみで済ませようとします。美談や努力で済ませようとします。それを改めましょう。本当に志があるのならば、所属する団体(職場の人事に)が吃音者を受け入れるように説明、あなたが経営者なら積極的に吃音者を雇用するようにしましょう。直接的な目に見える行動をしましょう。


今後の若い吃音者10代、20代、30代の吃音者には、もっと他の障害者や難病者など社会的障壁のある人たちと連携してほしい。絶対に吃音以外の社会的障壁を持った人を見下さないでほしい。社会的障壁のある人に不利益なことがあるならば障害者の権利に関する条約や日本の障害者に関する法律をよく勉強して、それこそ他の人達と連携して日本社会や政治を変えていってほしい。
吃音は障害じゃないし、困っている人は困っていればいいじゃん。関係ないよ。という価値観にならないでください。

そしてその若者たちの背中をお父さんお母さんは応援してほしい。お父さんもお母さんも本当はご自身が働く職場の社会的障壁のある人の現実を理解しているのでしょう? そうであるならば吃音から逃げるのではなく、吃音は他の人より優れているのだと思い込むのではなく、吃音と正面から向き合ってほしい。次の世代の吃音者の親、当事者に同じ辛い経験はさせたくないでしょう? 今からでも遅くありません。

【吃音Q&A 保険診療で!】病院に行けば言語聴覚士の吃音訓練などは保険診療ができる 自由診療の高額な言語聴覚士の吃音商法に気をつけて 

2014年以降、吃音が日本社会に徐々にですがニュース報道されるようになってきました。
フジテレビでは2016年の4月スタート月9で『ラヴソング』という自動車整備士の吃音女性がドラマに登場しました。このドラマは視聴率から見れば失敗作かもしれません。メディアの記事もドラマ叩きも多かった印象が残ります。しかし、吃音者の喋り方、話し方をとても丁寧に描写していて、本物の吃音者ではないかと錯覚させるほどです。


このドラマの中で、言語聴覚士でスピーチクリニックを経営している水野美紀さんが演じる宍戸夏希という言語聴覚士が登場しました。ドラマでは彼女の経営するスピーチクリニックの『料金が明示』されていませんでした。


今回、とりあげるのは吃音の保険診療です。
現在、吃音はグレーゾーンとして、一般人や言語聴覚士が自分で勝手に吃音を治します。訓練しますなどと掲げてクリニックを経営している場合があります。このグレーゾーンの理由は患者を診察しない、患者に触らない、これがあるためです。患者と会話をして吃音を治したいというのでその利害が一致したからその方法をただ教えるというグレーゾーンです。厚生労働省によると、このような病気商法、障害者商法は情報として把握しているとのことです。吃音以外の発達障害向けのハンドヒーリングや花のエキス、発達障害用マッサージなども同様です。



ここで一度言語聴覚士法を読んでみましょう。




◆言語聴覚士法
(平成九年十二月十九日法律第百三十二号)

最終改正:平成二六年六月一三日法律第六九号


  第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、言語聴覚士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もって医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律で「言語聴覚士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう。
   第二章 免許

(免許)
第三条  言語聴覚士になろうとする者は、言語聴覚士国家試験(以下「試験」という。)に合格し、厚生労働大臣の免許(第三十三条第六号を除き、以下「免許」という。)を受けなければならない。
(欠格事由)
第四条  次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一  罰金以上の刑に処せられた者
二  前号に該当する者を除くほか、言語聴覚士の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
三  心身の障害により言語聴覚士の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
四  麻薬、大麻又はあへんの中毒者
(言語聴覚士名簿)
第五条  厚生労働省に言語聴覚士名簿を備え、免許に関する事項を登録する。


   第四章 業務等

(業務)
第四十二条  言語聴覚士は、保健師助産師看護師法 (昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項 及び第三十二条 の規定にかかわらず、診療の補助として、医師又は歯科医師の指示の下に、嚥下訓練、人工内耳の調整その他厚生労働省令で定める行為を行うことを業とすることができる。
2  前項の規定は、第九条第一項の規定により言語聴覚士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。
(連携等)
第四十三条  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、医師、歯科医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り、適正な医療の確保に努めなければならない。
2  言語聴覚士は、その業務を行うに当たって、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者に主治の医師又は歯科医師があるときは、その指導を受けなければならない。
3  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者の福祉に関する業務を行う者その他の関係者との連携を保たなければならない。





どうでしょうか?
言語聴覚士は国家資格であり厚生労働省に名簿を備えているのです。
医師または歯科医師の指示の下に訓練ができる。


そして

【第四十三条  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、医師、歯科医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り適正な医療の確保に努めなければならない。】


緊密な連携を図り適正な医療の確保に努めなければならないのです。保険診療しなければいけないのです。これが法律なのです。しかしこれらを守らない言語聴覚士がいます。
吃音の訓練をする言語聴覚士の中には一匹狼で、医師や歯科医師と連携しない不逞の輩が存在します。もちろん医師や歯科医師の指示ではないので、病気や障害の診断はできないのに、勝手に言語聴覚士の判断と来院者の主訴だけで決めてしまう危険もはらんでいます。



吃音で困っているお父さん、お母さん、お子さん。家族のみなさん。
くれぐれも保険診療をしない吃音クリニックにはいかないようにしてください。何かあったときに責任もとれません。
そもそも言語聴覚士の資格を持っているのに言語聴覚士法に従わない言語聴覚士にお金を落としてはいけません。必ず病院医師と言語聴覚士、保険診療できることの確認をしてください。

言語聴覚士単独で自由診療営業しているクリニックの言語聴覚士はそもそも医師や歯科医師と連携することをコミュニケーションを怠っているのです。本当に志ある、法令遵守する、言語聴覚士であれば『医師や歯科医師と交友関係をもち、自分を売り込んで、その病院に所属する。』などを考えるものです。医師と交友関係がないという部分はコミュニケーション能力に何か課題があるのかもしれません。

保険診療しない。厚生労働省の医系技官がグレーゾーンだと指摘することを自由診療で行っている言語聴覚士のクリニックがあれば「その住所のある保健所に通報」できます。保健所に通報されることになれば、保健所も指導します。指導後に改めるかどうか別として行政が動向を注視します。

また、これ以外にも、吃音という困り事につけこんで、ありとあらゆるコンプレックス商法や霊感商法が行われる事例もあります。くれぐれも気をつけてほしいのです。

2016年1月4日月曜日

【重要】ありとあらゆる場所に吃音を相談する場合 絶対にしてほしいこと

いま、この記事を読んでいる人に必ず覚えておいてほしいこと。
実行してほしいことを書きます。

これから、吃音者、その家族のみなさんは吃音の相談をどこかにしますね。
どこに相談に行きますか?

市区町村の障害福祉課ですか?
学校や先生ですか?
ハローワークの窓口ですか?
病院窓口ですか?
医師ですか?
幼稚園や保育園へですか?
都道府県別ごとにある XX言語聴覚士会ですか?
就職活動の応募先ですか?
今、働いている職場ですか?


先に伝えておきます。
吃音の相談をすると、とても辛い経験や嫌な思いをします。
人権侵害を受けることもあります。
残念ながら吃音当事者や当事者団体は政治運動、障害者運動などをしていなかったため、2016年現在でも吃音者やその家族を取り巻く環境はそうなのです。

それに泣き寝入りすることはありません。
法律に従ってビシっと反撃してください。
苦情や懲戒を求めるなど。
あまりに悪質な場合は地方議員や議会、国会議員に情報提供すること、新聞社に情報提供することも視野に入れてください。



★必ず 吃音の相談内容をボイスレコーダーやICレコーダーで録音してください
・電話の場合はスピーカーホンモード、ハンズフリーモードにして、双方の会話を録音してください。
・対面での相談は、「相手にわからないようにして録音」をしてください。
相談する部屋に入る前から、ずっと録音モードにしておきましょう。勝手にオフにならないようにホールドモード、固定モードにしましょう。

秘密録音については意見はありますが、行ってください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%98%E5%AF%86%E9%8C%B2%E9%9F%B3

ボイスレコーダーはSONY製品のスタンダードモデル以上がオススメです。また、ソニーの編集ソフトが使いやすいのも理由です。カカクコムで調べてください。


★Eメールなどメッセージで相談をする場合は、履歴を保存しておきましょう
メールやメッセージで相談する場合は送受信履歴を保存しておきましょう。
後々の管理の容易さから携帯電話のメールよりも、パソコンのメールアドレスやGmailなどがよいでしょう。



★★音声証拠や文字証拠を残さないといけない理由について
吃音の相談をする場合、なぜこんな面倒なことをしないとならないのでしょうか?
1番は「言った・言わない」問題です。
人間は平気で嘘をついたり、しらばっくれます。
例 学校に吃音の相談したとして、全ての先生に伝わっていると約束したのに。
伝わっていなかった例。それによって心に深い傷を残すかもしれません。

2番目は「2005年から始まっている発達障害者支援法に吃音が含まれていること、よって、他の発達障害者のように全く同様の公的支援や福祉、合理的配慮を受けることができること」を相談相手が知らない問題です。
2005年から始まっている発達障害者支援法については国や地方公共団体、公立や国立の病院や大学病院、学校。その他税金により運営されている団体において発達障害者支援法は、理解していないとなりません。わからないとか読んでないという回答は許されません。2016年現在にもなって知らないということは許されません。一般企業や私立の学校ならば仕方がないかもしれませんが。


その他、このような理由があります。
下に書くような、「ひどい扱い」を受けた時に、証拠として、地方議会や国会や都道府県庁や厚生労働省や内閣府に相談するときの証拠になるからです。

1.吃音のことを市区町村に相談したが
吃音は障害ではありません。吃音が障害者という法律はありませんと窓口で追い返される。

残念ながらこのような職員の方が存在します。
音声データが証拠になりますので。苦情を申し立てることや地方議員や議会に持ち込みましょう。


2.吃音を診療する病院を探しても探してもない
一向に見つからない。どこに相談しても、そのようなものは無いと言われる。地方公共団体、自治体、の職員に吃音を診る病院なんてないよと言われる。

2005年に始まった発達障害者支援法が守られていない 都道府県は発達障害(吃音も含む)を診療する病院を整備しなければならない。都道府県ごとに最低一つは吃音の専門病院がないといけないはず。2016年になっても存在しないなんておかしい。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO167.html
(専門的な医療機関の確保等)
第十九条  都道府県は、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければならない。
2  国及び地方公共団体は、前項の医療機関の相互協力を推進するとともに、同項の医療機関に対し、発達障害者の発達支援等に関する情報の提供その他必要な援助を行うものとする。
3.病院がみつかった
しかし電話窓口で「ウチは吃音を診療していますよ」と言ったのに、実際は吃音なんて診療していません。と病院に行ってから冷たく言われる際の証拠。

4.吃音を診療するという病院が見つかった
しかし病院に行ってみると、「ウチは吃音で障害者手帳なんて人は相手にしないから」 「ウチは吃音は訓練すれば治るってことだから」 「吃音で障害者手帳なんて甘えだ」 という理由で障害者手帳申請書類を書いてくれない病院・医師のドクターハラスメントに対抗するための証拠。吃音当事者の中にはやっとみつかった病院に行っても医師や言語聴覚士や看護師などからドクハラなどハラスメントを受けたという人もいます。

5.ハローワークで吃音のことを相談したが、まともに取り合ってくれない

発達障害者支援法が周知徹底されていない証拠。

6.就職活動で応募先に吃音の配慮を求めたが、まともに取り合ってくれない
または差別発言が出てくる。

発達障害者支援法が周知徹底されていない証拠。だが民間企業であれば丁寧に丁寧に説明したほうがよい。
 吃音者への差別事例
「吃音? なんだそれ?」

                『………どもることです…』 

「あぁー どもりか!! お、お、お、お、おにぎり食べたいんだな(笑) アレだろwwwww」
「うーん。言葉が上手く話せない人に仕事はないよ。」
「話さない仕事探したほうがいいんじゃない?」
「あなたのせいでさ、他の人の面接時間が奪われているんだけど理解できる?ねぇ?わかる?それ職場でもやるの?許されると思ってる?トヨタ生産方式のムリ・ムダ・ムラって理解できる?時間のムダって知ってる??」
「あなたが吃っている間に、こっちはずっと待っていろってこと?冗談じゃない!バカも休み休み言え!」
「どもるならウチでは不採用だね(笑)」
と言われた場合に対抗する証拠。
ただし、「給与を貰う立場」なので、あまりに権利を主張しすぎると、企業側に情報共有されてブラックリストに入るのでオススメしない。

7.幼稚園 保育園 小学校 中学校 高等学校 大学 専門学校 高等専門学校 などに吃音について説明する場合

教育課程では私立や国公立の違いはある。しかし教育現場で発達障害を知らないのは2016年現在だと異常である。国公立学校なら発達障害者支援法は理解していなければならない。

2016年現在、学校や学校の先生に吃音の説明や合理的配慮を求めようとして相談したが。
吃音のことをそもそも知らないという教職員が存在する。今は2016年である。
なぜ、吃音当事者や保護者養育者が0から100まで丁寧に説明しないといけないのだろうか?
よくインターネット上の相談に「学校に子どもの吃音の説明をしたが、とても苦労した。疲れた」という心労が書き込みされる。

だがこれは異常事態なのである。繰り返すが、今現在は 2016年 である。
発達障害者支援法は2005年から動いている。

本当ならば教職員は「吃音のいろは・利用できる公的な支援や福祉」について理解していて、「私にまかせてください!! それからお子さんへの合理的配慮はどれくらいにしますか?一つ一つの場面について話し合いましょう」と教職員は胸を張って言わないとなりません。

社会人になる前の、児童生徒学生の身分ならば、「お金を払う立場」なので権利を主張しすぎても大丈夫。モンスターペアレントにはならないように。


答え
発達障害者支援法が周知徹底されていない。
吃音は障害者ではない派の主義主張の染まりきっている教職員の場合。
の2点が考えられます。特に「吃音の障害者認定反対派」に洗脳されている偏向している教職員の場合は、証拠をもとに教育委員会に苦情の申したてをしたほうがよいでしょう。
教育現場は中立で公正公平でなければいけません。教職員が障害者認定反対だからといって、発達障害者支援法にもとづいて、行使できる公的な支援や福祉や合理的配慮があることの情報を当事者、保護者や養育者に教えないことは異常事態です。吃音当事者の人生の機会損失です。選べる道、選択肢はいつでも使えるという安心感を持ちつつ、失敗をしたり、挑戦すればいいのですから。それでも社会人になるとき・その2年前くらいに吃音で苦労するなら障害者手帳を取得すればいいのですから。



2015年11月18日水曜日

【吃音Q&A】吃音(きつおん・どもり)/小児期発症流暢障害(しょうにきはっしょうりゅうちょうしょうがい)はどのような障害なのか?原因は?治療法はあるのか?

吃音Q&A 吃音に関する質問に回答

吃音(きつおん・どもり)/小児期発症流暢障害(しょうにきはっしょうりゅうちょうしょうがい)はどのような障害なのか?


テキストだけで説明することは難しいのですが、出来る範囲にて書き起こします。

吃音障害は発話の障害です。
うまく言葉を発話できないのです。
また、無理やり言葉を発話するので吃音者は身体の表面上なんらかの意図しない行動が現れます。

◆1 吃音は発達障害???

吃音は発達障害とも言われています。現実問題として日本国内では吃音が発達障害ということ、精神障害者保健福祉手帳の対象であることを認めない人もいます。頭のオカシイ、犯罪を起こしても無罪になる精神障害者や発達障害と一緒にするなというトンデモナイ事を言う人もいます。現在も吃音の障害者認定反対派の団体では子どもや保護者に「障害者はかわいそう。吃音が発達障害と言われるのはおかしい。僕たちはかわいそうな障害者じゃない」と言わせるように洗脳してしまう団体もあります。

一方、筆者を発達障害であると診断した小児科医師は「吃音と発達障害は両方持った人が多い」と話していました。「発達障害とは、考え方、認識の仕方、人間の五感、運動機能、記憶、学習能力、読み書き、話すこと、などなどを司る脳の機能の障害である。それがもとになり不利益や不自由、コミュニケーションが困難、生き辛さが生じる」と小児科医師は説明していました。吃音であれば話すことの発達障害になる、自閉症スペクトラムであれば、考え方や認識の仕方の発達障害になるというのです。

現在DSM5という診断基準では吃音が明確に自閉症スペクトラムやADHDなどと同じ分野の神経発達障害群に分類しています。

◆2 吃音者は常に吃っている訳ではない 吃音=発話できない という認識は間違い
吃音とは「吃音状態」になることにより、吃音が発生します。
「吃音」になってしまう「スイッチ」が入ってしまう、ONになることで、吃音状態の話し方になってしまいます。ここは重要なのでよく覚えてください。これは本当に不思議なことなのですが、どのような状態や環境、人間関係であれば吃音が発生する、発生しないという原因は解明されていません。

よくある勘違いは、吃音者は、常にずっと、いつ何時、いかなる場合でも吃っているということです。吃音者は365日四六時中吃っている訳ではありません。吃音者がスラスラ話しているときと、吃ってしまい上手く話せないときの両方があるとよく覚えてください。非吃音者(健常者)からすれば、『今日はこの人上手く喋ってるな。まさか故意にやってるのか?』、『なんでいつも流暢に話しているのに今日はこんな人が変わったようにオカシナしゃべり方しているんだ?』と思うかもしれませんが、そういうものだと思ってください。吃音者はふざけていませんし、あなたを怒らせようとしているわけでもありませんし、無礼な態度をしているわけでもありません。吃音当事者は意識して吃っているわけではありませんし、吃りたくないのに吃っているのです。


吃音は緊張するから吃るというのもよくある勘違いです。
別に緊張していなくても吃ります。リラックスしている自宅で家族と会話する、恋人、配偶者と会話する場合でも吃ります。

吃音と緊張の関係ですが、鶏が先か?卵が先か?問題と同じかもしれません。
もしもこの世に生まれてから吃音のことを指摘されずに、吃音のことを笑われずに、治そうとされずに育った吃音者がいれば、そもそも緊張は無いはずです。吃音者の吃り方を指摘したことによって、その吃音当事者の記憶に深く刻まれ、怖い体験だとストレス体験だと学習してしまえば緊張につながることはあるかもしれません。


吃音者が吃ってるときは、「今日は調子が悪いんだな」程度の認識でいてもらえるととても助かります。いちいち、「今のしゃべり方はなんだ!?」とか怒らないでください。そういうものだと受け止めてください。学業や仕事の内容で評価をしてほしいと思います。


◆3 吃音者がどもることにより身体上に現れる症状 随伴症状とも呼ばれます

顔が歪むこと、表情が不自然になること、目を細めてしまうこと、顔がピクピクすること、口を尖らせてしまうこと、口から唾液を飛ばしてしまうこと、相手に唾液を浴びせてしまうこと、コンビニエンスストアのおでん注文で唾液を保温器に入れること、身体の手や腕や足などを不自然に動かすこと、身体のどこかでリズムをとること、眼球が白目をむいてしまうこと、鼻の穴が広がってしまうこと、息遣いが不自然なこと、があります。

あまり現れない吃音者もいれば、複数が当てはまる吃音者もいます。
とくに喋るときに口から唾液を飛散させてしまう吃音者はマスクをしている人もいます。

吃音者の中には、他人の目を見て話せない人がいます。自閉症スペクトラムを併存している吃音者が当てはまります。または吃音による対人恐怖症により視線を合わせられないという場合もあります。

◆4 吃音者は吃ることを避けるために テクニックを使います
吃音がでないように「いいかえ」というテクニックを使う場合もあります。
「今日は天気がいいですね」→失敗「きょきょきょきょ」

吃音回避のため「天気がいいなぁ。今日は」

「そこの赤いボールペンをとってください」

吃音の回避のため「そこのレッドなボールペンをとってください」

吃音者のいいかえのテクニックは、言葉を発話する順番、区切りの順番を変更して、吃らずに話すことです。または、日本語を使わずに他言語を使う場合もあります。自己紹介で名字→名前 だと吃るので、 名前→名字 と外国人のように自己紹介する人もいます。しかしやはり違和感がありますね。

また吃音者のいいかえテクニックは、日本文化に根付いた完璧主義、礼儀、無礼、尊敬、敬語、お客様を不快にさせない、過剰接客の世界では通用しないこともあります。

マニュアルで完全に順番通りにこのように会話しなければいけないという接客業やコールセンター業務は吃音者には鬼門です。目を見て話せない、唾液を飛散させるというリスクもあります。

特に日本文化の上下関係や敬語を使うということもいいかえテクニックを使えないことになります。吃音者の中には敬語だと吃るけど、友達言葉やタメ口ならばなんとか発話できるという人もいます。しかし社会ではそれが通用しません。人事考課などで低い評価がつくこともあるでしょう。

本来なら吃音に限らず話すことが大変な当事者がいると社会の側が理解し、それに対して怒らない、低評価をしない、受け入れるということで済むはずなのですが、日本社会はそこまで成熟していないのが現実です。


◆5 吃音の原因はなに? 治るの?
吃音の原因は過去に「親、保護者の育て方の問題、母親が悪い」という間違った認識がされていたこともありました。

現在では幼少期に発症する吃音については、脳神経ネットワークのつながりの問題、神経発達障害と言われています。吃音が幼少期に発症し大人になると治る人、大人になっても治らない人がいることがわかっていますが、なぜ、どこで、その道程に何をすれば、どのような環境ならば変化するのかという部分が不明です。現在、海外でそれを研究するかもしれないという状況です。もしかしたら、いつの日か吃音が大人になれば治る障害になるかもしれません。

吃音は強度ストレスが原因になりなる場合、頭の怪我により脳が傷つくことにより「吃音のような症状」になることもあります。この場合は正式に吃音とは呼びません。診断基準では幼少期から発症していたことが吃音とされています。発達性の吃音ですね。

吃音は一般に言われる発達障害のように、遺伝も関係しています。吃音業界では「遺伝」ということがタブー視されており、「吃音になりやすい体質」と表現することもあります。この背景は親の育て方問題と同じで、そもそも父か母、または両方の遺伝子に欠陥があったからいけないのだ!ということにつながるからです。優生思想にもつながる可能性があります。

吃音を治すにはリッカムプログラムというものをある年齢までに受ければ治るかもしれないという情報もあります。しかし、100%とはいえませんし、日本全国どこの病院でも利用できるわけではありません。父母の経済力があれば多額の交通費をかけて病院に行くということはできるかもしれません。

吃音を治せないが、吃音者の緊張や精神的な不安に対して、対症療法として精神薬が使われることがあります。また、医師によってはてんかん薬を吃音者に処方することもあります。漢方薬の抑肝散加陳皮半夏を処方する医師もいます。2016年にアメリカで吃音にADHD薬のコンサータが効果あるのではないかという報告もあり検証をしているというニュースもあります。

こちらの記事でも吃音は親や保護者に責任があるのか?
子育ての問題なのか?について解説しました。
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2017/05/blog-post_25.html


◆6 吃音は一般に言われる発達障害以外にも何か同時に発症する病気はあるの?
吃音は一般に言われる発達障害児者が二次障害として発症するように、うつ病、適応障害、強迫性障害などを発症する場合があります。

◆7 連発性吃音(れんぱつせいきつおん)、難発性吃音(なんぱつせいきつおん)ブロック吃音とも、伸発性吃音(しんぱつせいきつおん)の3つがあると言われています

連発の吃音は発話の際、一文字目が吃ります。
ありがとうございました→ あああああああああありがとうございました。

難発の吃音は発話の際、一文字目を出すのがとても難しくなります。
(口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)……………おはようございます。


伸発の吃音は発話の際、一文字目と二文字目のあいだを伸ばす吃り方です。
場合によっては一文字目と二文字目以外の言葉も伸ばすかもしれません。

いらっしゃいませ→ いーらっしゃいませ いーらっしゃーいまーせ


◆8 吃音の人が取得できる障害者手帳はなに?
吃音の人が取得できる可能性が高いのは精神障害者保健福祉手帳です。
また、身体障害者手帳を取得することも可能だとは言われていますが、こちらは大変困難だといいます。

http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2018/07/blog-post.html

◆9 吃音の子どもは学校でどのような合理的配慮を受けられる?
自治体によっても異なりますが、幼稚園保育園の段階から合理的配慮に応じる場合もあります。小学校、中学校であれば、「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」を学校側に申し出て具体的に合理的配慮事項や吃音が出そうなとき、本当は話したいときのルールなどを決めることができます。ことばのきょうしつ、ことばときこえの教室などの利用も可能です。(この教室ついては教員の勝手な判断で『おたくのお子さんは必要ないですよ』などと言って利用させない場合もあります) 指導計画や教育支援計画を、通級指導教室を利用させないという学校側の意思があった場合は直ちにその地区の教育委員会や自治体に相談したほうがいいでしょう。

高校にも通級指導教室の設置が今後、行われる予定です。その場合も必要ならば利用しましょう。

また吃音に限らず、発達障害全般に言えることになりますが、支援記録、支援日記、支援情報の引き継ぎがとても重要になります。またこれは後々大学入試センター試験などで合理的配慮を利用する場合の重要な履歴情報にもなるでしょう。

◆◆ 吃音障害の症状例 ◆◆

あ アンパンマン
 連 あああああああああ アンパンマン
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………………あんぱんまん
 伸 あーーーーーーんぱんまん あんぱんーーーまーーーん あーーーんぱーーーんまん

い イカリング
 連 いいいいいいいいいいいい イカリング
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………………イカリング
 伸 いーーかりんぐ いかーーーりんぐ いかりーんぐー

う 宇宙船
 連 ううううううううううう 宇宙船
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………………宇宙船
 伸 うーーーちゅうーせーん うちゅうーーーーーせん うーーちゅーーせーーーん

え 江戸
 連 えええええええええええ 江戸
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………………江戸
 伸 えーーーーーーーーど えーーーーーーどーーーーーーー

お お母さん お父さん
 連 おおおおおおおおおお母さん おおおおおお父さん
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する) ……お母さん ………お父さん
 伸 おーーかさん おとーさーーん おかーーさんーーー おーーーとーーーさーーん

か 解凍
 連 かかかかかかかかか 解凍
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………解凍
 伸 かーーいとう かーーいとーーう かいとーう かーーいーとーう

き 帰社予定
 連 ききききききききき 帰社予定
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………帰社予定
 伸 きーーーしゃよてい きーーしゃーーよてい きーーしゃーーよーてーい

く 車で行きます
 連 くくくくくく車で行きます。
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………車で行きます
 伸 くーるーまーでいきーす くるまーでいきます くるまーでいきまーす

け 携帯電話
 連 けけけけけけけけけけ携帯電話
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………携帯電話
 伸 けーーーーーーいたいでんわ けーーいたーーいでーんーわ けいーーたいーーでーんわ

こ 高知県
 連 ここここここここここここ高知県
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………高知県
 伸 こーーちけん こーちーけん こーーちけーーーん

さ 刺し身ください
 連 ささささささささささささささ刺し身 くくくくくくくくくください。
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………刺し身ください
 伸 さーしみくーださい さーしーみーください さーしーみーくーだーさーい

し 小論文
 連 しょしょしょしょしょしょしょしょ 小論文
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………小論文
 伸 しょーー論文 しーよー論文 しょーろーんぶん

す 好きです
 連 すすすすすすすすすすす好きです。
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………好きです
 伸 好きでーす すーきーでーす すきーです

せ 先生
 連 せせせせせせせせせせせせせ 先生
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………先生
 伸 せんせー せーんせー せんーせー

そ その節はお世話になりました
 連 そそそそそそそそそそその説はおおおおおおおお世話になりました
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………その節はお世話になりました
 伸 そーのーせつはーおーせーわーになーりました そーのーせーつはおーせーわーになーりまーしたー

た 助けてください
 連 たたたたたたたたたたたたたたたた助けてください
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………助けてください
 伸 たーーーーすけてください たーーーすーーてーーくーだーさーい

ち 血が出てる
 連 ちちちちちちちちちちちちちちちちちちち 血が出てる
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………血が出てる
 伸 ちーがーでーてーる ちーがーでてるー ちーがーでてーる

つ 釣り銭間違ってます
 連 つつつつつつつつつつつ釣り銭 まままままままままま間違ってます
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………釣り銭間違ってます
 伸 つーりーせーんまちがってます つーりーせーんまーちがーってます

て 電車が止まってしまって
 連 でででででででで電車が止まってしまって
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………電車が止まってしまって
 伸 でーんしゃがとまーってしまって でーんーしゃーがーとーまーてーしまってー

と トマト
 連 ととととととととととととトマト
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………トマト
 伸 とーっまと とーまーと とーまーとー

な 生卵
 連 ななななななななななな生卵
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………生卵
 伸 なーまーたーまーごー なまーたーまーごー

に ニュースで見ました
 連 にゅにゅにゅにゅにゅにゅニュースで みみみみみみみみみみみみ見ました
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ニュースで見ました
 伸 ニューーースでーーみーまーしーた ニューーーースーーでーーみまーーしたー

ぬ 糠漬け
 連 ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ糠漬け
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………糠漬け
 伸 ぬーかーづーけー ぬかづーけー

ね ネルソン・マンデラ
 連 ねねねねねねねねねねねねねねネルソン ままままままままままままマンデラ
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ネルソン マンデラ
 伸 ねーるーそーん まーんーでーら

の 脳死
 連 ののののののののの脳死
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………脳死
 伸 のーうーし のうーし

は 歯医者
 連 ははははははははははは歯医者
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………歯医者
 伸 はーいしゃー はーいーしゃー

ひ ひつまぶし
 連 ひひひひひひひひひひひひつまぶし
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ひつまぶし
 伸 ひーつーまーぶーしー ひつまーぶし ひつまーぶーしー ひーつーまぶーし

ふ フェイスブック
 連 ふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇフェイスブック
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………フェイスブック
 伸 ふーぇいーすーぶっーく ふぇいーすーぶーっーく

へ 平安京
 連 へへへへへへへへへへへへへへ平安京
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………平安京
 伸 へーいーあーんーきょう へーいーあーんーきーょーう

ほ 保育園
 連 ほほほほほほほほほほほほほほ保育園
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………保育園
 伸 ほーいーくーえーん ほーいーくえーん ほーいくえん

ま 漫画
 連 まままままままままままままままま漫画
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………漫画
 伸 まーんーが まんーがー まんがー

み ミュート
 連 みゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅミュート
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ミュート
 伸 みゅーとー みーゆーとー

む 蒸し焼き
 連 むむむむむむむむむむむむむむむむむ蒸し焼き
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………蒸し焼き
 伸 むーしーやーき むしーやーき むーしーやーきー

め 目薬
 連 めめめめめめめめめめめめめめめめめめ目薬
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………目薬
 伸 めーぐーすーり めぐーすーり めぐすーりー

も モナコ
 連 ももももももももももももももももももももももモナコ
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………モナコ
 伸 もーなーこ もなーこ もーなーこー

や 八重桜
 連 やややややややややややややややややややや八重桜
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………八重桜
 伸 やーえーざーくーら やーえざくら やーえーざーくら

ゆ ユビキタス
 連 ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆユビキタス
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ユビキタス
 伸 ゆーびきたす ゆーびーきーたーす ゆびーきたす ゆーびーきたーす

よ 楊貴妃
 連 よよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよ楊貴妃
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………楊貴妃
 伸 よーきひ よーうーきーひ

ら ライオン
 連 らららららららららららららららららららライオン
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ライオン
 伸 らーいおん らーいーおん らーいーおーん

り 林檎
 連 りりりりりりりりりりりりりりりりりりりりり林檎
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………林檎
 伸 りーんご りーんーご 

る ルーレット
 連 るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるルーレット
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ルーレット
 伸 るーーーれっと るーーーーれーーーーっと

れ レンダリング
 連 れれれれれれれれれれれれれれれれれれれレンダリング
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………レンダリング
 伸 れーーんだりんぐ れーんーだーりんぐ れんだーりんぐ

ろ ローマ帝国
 連 ろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろローマ帝国
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ローマ帝国
 伸 ろーーーーーまていこく ろーーまーーていこく ろーまてーーいこーーーく

わ ワセリン
 連 わわわわわわわわわわわわわわわわワセリン
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ワセリン
 伸 わーーせりん わーーせりーーーん わーーせーりーん





ん ンジャメナ
 連 んんんんんんんんんんんんんんンジャメナ
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………ンジャメナ
 伸 んーじゃめな んーじゃーめな んーじゃーめーな


◆吃音が発生する会話事例

1 ファミリーレストランの店員の事例
・どもらない人の会話

「いらっしゃいませ。お客様は何名様ですか? おタバコはお吸いになりますか?」

・どもる人の会話

「……………………いらっしゃいませ。おきゃおきゃおきゃお客様は何名様ですか?
おおおおおおおおおおおおおおタバコはお吸いになりますか?」

「いっいっいっいっいっ いらっしゃいませ。お客様は何名様ですか?おっおっおっおっおっおっおタバコはお吸いになりますか?」


・この事例は吃音者の店員である。
例えば、サービス業務、接客業務であれば、吃ること吃音が発生することは致命的である。
この事例ではお客様が入店した直後の例である。この事例以外にもオーダーを取りに行った際の注文を繰り返す場合や、できた料理をお客様に提供するときに商品名を読み上げるときに吃ってしまい唾液を飛ばしてしまうこともあるかもしれない。


2 会社内での電話応対の事例(外部からの電話応対は会社の顔、代表でもあります。)
・どもらない人の会話

「お電話ありがとうございます。 株式会社アルフォンソ海運、受付担当の山田でございます。」

「営業部の田中でございますね。少々お待ちくださいますか。」


・どもる人の会話

「………………………………お電話ありがとうございます。株式会社アルフォンソ海運、受付担当の山田でございます。」

「おっおっおっおっおっおっおっおっおっお電話ありがとうございます。かかかかかかかかかかかかかかかか、株式会社アルフォンソ海運、うううううううううううううううう受付担当のややややややや山田でございます。」

「営業部のたたたたたたたたたたたたたたたた田中でございますね。少々お待ちくださいますか。」

「…………………………………営業部の………………………田中でございますね。しょしょしょしょしょしょしょしょしょ少々お待ちくださいますか。」


・吃音者は会社で電話受付をすることがとても苦手な場合もある。
社内でもできるだけ電話応対をしないようにするため、同僚や上司から「なぜキミは電話にでないんだ!」と叱責されることも。

かといって電話応対をしたら吃ってしまい、相手に不快な感情や怪訝な感情、不安を与えるかもしれない。

電話応対は社外電話であれば会社の顔である。吃音者はどうすればよいだろうか?
また、電話応対ではなく館内放送も同様である。

3 学校での自己紹介の事例
・どもらない人の自己紹介

「徳川家康です。よろしくお願いします。」
「はじめまして。徳川家康です。よろしくお願いします。」
「松平中学校出身です。徳川家康です。みんなよろしくね。」

・どもる人の自己紹介

「ととととととととととととと徳川家康です。よよよよよよよよよよよよよよよよろしくお願いします。」
「……………………は、はじめまして。徳川家康です。よろしくお願いします。」
「松平中学校出身です。ととととととととととと徳川家康です。みみみみみみみみみんなよろしくね。」


・自己紹介のシーンは吃音者漫画である。「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」押見修造 著
がとてもリアルに吃音者描いているのでわかりやすい。本当にこの作品は気持ち悪いほど吃音を克明に表現している。
http://www.amazon.co.jp/%E5%BF%97%E4%B9%83%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%AF%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%AE%E5%90%8D%E5%89%8D%E3%81%8C%E8%A8%80%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84-%E6%8A%BC%E8%A6%8B-%E4%BF%AE%E9%80%A0/dp/4778321804

2015年11月4日水曜日

【必読】はじめて吃音を知った人へ 吃音・吃音業界と関わる上で絶対に知っておくべきこと 大切な吃音ガイドライン

この投稿は長文です。
読み終える時間は15分程度かかります。

※関連記事です。時間があるとき下記リンクもお読みください。
実際に吃音の相談をする場合はこちらもご覧ください。
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/01/blog-post.html
【保護者・当事者必見】吃音者、吃音の子ども、病院にいくタイミングとは 障害者手帳を取得するタイミングとは デメリットは何?初診日問題について
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2016/12/blog-post_10.html
吃音至上主義(きつおんしじょうしゅぎ)とはなんですか? どんな差別主義ですか?
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2018/12/blog-post.html
【吃音Q&A】吃音は発話発語の障害 そして相手、聞き手の時間を奪う障害 吃音者への合理的配慮 障害者雇用か一般枠雇用か?https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2017/06/q.html 

吃音者と働く 職場で吃音者の合理的配慮がうまくいかないのはなぜか?
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2017/10/blog-post.html

吃音をカミングアウトしているという吃音者の先輩の就職体験談を聞くときに気をつけることとは?https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2017/05/blog-post_29.html 

園や学校でカミングアウトする場合と就職活動でカミングアウトする場合の違いhttps://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2017/05/blog-post_30.html

【吃音Q&A】就労移行支援事業所や高校・大学の進路指導や就職支援室やキャリア支援室、障害学生支援室は吃音者にどう対応すればいい?https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2016/12/blog-post.html
吃音のある人の就職活動ガイドライン 吃音者はなぜ就職困難者が多く、一方で成功している吃音先輩は後輩を助けないの? http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2019/


ここから本文です。

この投稿を読んでいる人へ。

あなたの属性は何ですか?

一般の方ですか?

吃音当事者ですか?

吃音者の家族ですか?

発達障害当事者ですか?

発達障害者の家族ですか?

幼稚園・保育園の先生ですか?

学校の先生ですか?

医師ですか?

看護師ですか?

言語聴覚士ですか?

臨床心理士ですか?

社会福祉士ですか?

精神保健福祉士ですか?

障害者支援者ですか?

行政職員ですか?

企業の経営者ですか?

行政・企業などの総務・人事採用担当ですか?

障害者雇用・障害者採用担当ですか?

新聞記者・マスコミの方ですか?



前置きが長くなりすみません。
この投稿ははじめて吃音を知った人に向けて書いていきます。
絶対に知っておくべきことです。
吃音者の派閥については関係者全員が知っておくべきことです。

◆1.吃音者には派閥抗争がある。
吃音者には派閥があります。大きく分類して3つです。
1.「吃音は障害者じゃない」という派閥。
2.「吃音はあるけど、上手く隠して生活している。そっとしておいてほしい」という派閥。
3.「吃音があって生きることに困っている。障害者としての選択肢もほしい」という派閥。

これらのどの派閥に染まるかにより、吃音当事者とその家族の吃音観・他の障害者や社会的障壁がある人、難病者へ価値観が生まれ育ちます。
吃音当事者・家族でない人はこのことをよく理解しておく必要があります。

なぜこのような派閥争いが発生しているのか? 結論を先に言うと吃音者のセルフヘルプグループには「適切なソーシャルワークとウェルビーイング」が実行されていないことが問題となります。
社会福祉や精神保健福祉の仕事、障害者支援の仕事をしている人ならわかると思います、教科書にも書いてあります。吃音者のセルフヘルプにはこれが全く無いのです。A派閥ならA派閥の考えに染まっていないといけない。A派閥の考えと違うことを言うと追い出される、または主義主張を無理やり変えるよう洗脳される、糾弾されるという結果になります。

障害者手帳や合理的配慮、障害者雇用を選択したいから方法を教えてほしいと相談しても、吃音当事者団体の主義主張がその考えに反対であれば厳しく追及・詰問された挙句に人格否定や人格攻撃を徹底して行われます。 こんなひどい目に遭った何も知らない吃音当事者や家族は、もう二度と吃音業界には近寄らないということになってしまいます。

この対立の結果としてどんどんどんどん『お前らとは考えが違うから団体を分けよう分裂させよう。一緒になんて活動できないから!』という歴史を歩んできたのが吃音業界です。 聴覚障害者の考え方の違いや発達障害者当事者団体が主義主張対立からすぐに分裂するのと同じような状態に陥っています。

吃音業界はソーシャルワークやウェルビーイングという言葉はあまりにも浸透していないのが現実です。吃音以外の障害者や社会的障壁のある人と接することがある人々は本当に驚くと思います。障害者雇用や就労移行支援事業などを担当している職員も驚愕すると思います。少なくとも、「障害受容や障害者認定も考えることができる吃音者団体」と接触することがセオリーでしょう。新聞報道やインターネットニュースや吃音当事者団体のホームページを読んで事前に情報収集をすることをオススメします。


●1は、そもそも吃音というのは病気でもないし、障害者でもないという主義主張です。
吃音は障害者じゃない。吃音があってもこうやって生きている先輩がいるからそれを見習え。大いに吃りなさい。吃音者に生まれたことを誇りに思いなさい。吃音でよかったと思いなさい。吃音は神様から貰ったギフト。などなどのトンデモ理論がまかり通っているのが現状です。未成年の吃音者や親御さんにそんなことを教えて吃音仲間を故意に増やしたいのかと勘繰ってしまいます。

病気でも障害でもないので、吃音に対して気を使われることはもちろんのこと、吃音は障害だよ。
発達障害(Neurodevelopmental Disorder)だよと教えても聞く耳持ちません。吃音が発達障害であり、精神障害者保健福祉手帳の交付対象なんて死んでも許せないのです。

吃音のある子どもの父親と母親、祖父祖母などからすればとても気持ちの良い教えです。
「あなたのお子さんは障害者じゃありません」この言葉は魔法の言葉でもあります。
「自分の子どもが障害者といわれることに」とてもアレルギーがある。

この自分の子どもが障害者といわれることに抵抗を持ってしまうのは、その父親と母親、祖父祖母、親戚縁者が障害者や社会的障壁がある人にとても厳しい価値観なのだと思います。父親と母親が成長する人格形成期に「障害者は可哀想だ。障害者は幸せではない。障害者なんて税金泥棒だ。障害者は怖い。障害者は気持ち悪い。精神障害者保健福祉手帳を持っている人は頭がオカシイ。」など価値観をもってしまったのだと思います。その視点で自らの子どもの吃音を評価しているのです。

別の視点もあります。障害者に厳しい価値観でなくても障害者に理解があったとしても、父親と母親が社会人として、現実の社会に関わった結果。やはり障害者は経済格差がある。自分自身が働いてる会社は障害者はあまり雇用していない・そもそもしていない・身体障害者しかいない。吃音者が自分の会社に就職活動で来たら採用なんて絶対されない。そんな社会に吃音の自分の子どもが一人で生きていくことができるか心配だ…。このような現実と戦う結果、迷ってしまう親や保護者もいるでしょう。


そうだ。吃音は障害者じゃないと思い込もう!一時ですが気持ちのよい経験ができるかもしれません。しかし吃音当事者は大人になって壁にぶち当たった場合に最悪な状態になります。
また残念なことに吃音は幼少期に早期発見早期介入により病院に行って適切に処置すれば将来吃音状態が良い方向に行くという事実があったとしても病院に行かない行かせない場合もあります。


この吃音が障害者じゃないと教えるのは。特に小学校中学校で多く見受けられる事案です。
小学校の先生も一緒になって吃音は障害者じゃないと教える場合があるので注意が必要です。
たしかに自分の子どもが障害者と言われるのは抵抗があるかもしれません。
成人するまでの一時は吃音の子どもも親も家族もそれで幸せかもしれません。
しかし現実の社会はとても厳しいものです。
2015年現在。就職活動の際に「私は吃音者です。でも頑張ります。」なんてエントリーシートや履歴書に明記すればその時点で「貴意に添えない結果」という名のお祈りメール、お祈り文章を貰うことになるでしょう。


この派閥は吃音が障害者と言われることにとても抵抗があるため、吃音が発達障害である。脳神経になんらかの問題があると周知徹底されることを拒否しています。2014年7月国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターが吃音を発達障害の定義に加えたことすら、内閣府の政府広報が吃音が発達障害であると告知したことすら、反感を持っています。


1の派閥の人と接するときは細心の注意を払うようにこころがけましょう。
そして今この投稿を読んでいる、どんな色にも染まっていない吃音者、その家族はこういう考えもあるのだな程度に距離感をもって接することをオススメします。間違えて1の派閥の吃音者、吃音者団体に「障害者手帳がほしい」なんて相談をすると、諦めさせられます。あなたの人格を否定されます。精神衛生上よろしくありません。絶対にここに連絡してはいけません。他の吃音者団体に連絡しましょう。2016年4月現在、フジテレビ系列にて放送している福山雅治、藤原さくらのドラマ「ラヴソング」を監修している、全国言友会連絡協議会ならば、障害者手帳取得の道を教えてくれるはずです。



●2の派閥は吃音があっても上手く生活できている人が好む派閥です。
はっきりいって吃音のことはそっとしておいてほしいのです。
2の派閥も吃音が発達障害者であり障害者であることが世の中に周知徹底されることを嫌います。
吃音を隠して働いている手前、会社で吃音のことを指摘されると困るのです。
「おい。お前さ、昨日テレビでやっていた、こないだ雑誌で読んだ、吃音なんじゃないの?どもるよね?」なんて会社で指摘されると死んでしまうのです。
挙句に会社に吃音であることが発覚し、発達障害者だとバレて出世街道コースから外れると困るのです。障害者手帳取ってこいよ!なんて言われた日には死んでしまいます。せっかく吃音を上手くバレないように入社して一般枠で仕事をしているのに!!なぜだ!!となるのです。

普段から、吃音が出そうになっても、上手く「言い換え」を行う。「わざと忘れたふりをして相手に言わせる」、「あのー えーっと あれ あれなんだっけ 」などを駆使しながら乗り切る人もいます。電話が鳴っても受けないという人もいます。

●3の派閥は吃音があって困っている人が集まっています。
その他に年配の吃音者で社会人経験をした2015年現在50代60代70代の方で、自分が会社に入社したときは吃っていても大丈夫だったが、今は吃ることは危険だ許されないだろう。と真実を知っている人もこの派閥にいます。

吃音があって困っているというのは、大人であれば就職できない。ひきこもりニートになっている。親のお金で生活している。生活保護を利用している。親の老齢年金で食いつないでいる。だがしかし、就職したい。だけど新卒で就職に失敗した。職歴が全くない。ハローワークに行っても応募できる仕事がない。応募しても書類選考で落ちる。などの状態です。

子ども・未成年者であれば、上手く発話できないことにより、友達ができない。いじめられる。学校にいけなくなってしまう。

本来勉強しなければいけない時期に吃音を一次障害として、二次障害でうつ病や社交不安障害などになってしまい学校に通学できない。結果として勉強すべきときに勉強に打ち込めず、中学卒業の学歴、高校中退の学歴、大学に進学はしたが就職活動を失敗してしまう。といったことが考えられます。

この場合、吃音は発達障害者支援法に定義されている障害者なので公的な福祉支援を使うことができます。学校であれば文部科学省が学校での合理的配慮を提供しています。大学でも発達障害学生支援のマニュアルができています。(2015年現在吃音についてのマニュアルはない。このブログで勝手に作成する予定です。)

成人していれば、障害者手帳取得もあります。

何れにせよ、日本の福祉というのは申請主義ですので、困っている吃音当事者家族は堂々と利用してよいものです。嫌ならば申請しなければよいのです。





派閥のまとめ
吃音にはこのような派閥がありますが。
まず、色々な考えがあるのだな。
ということを知ってください。そして偏った情報に流されないようにしてください。

吃音者の派閥抗争により、発達障害者支援法に吃音が含まれていることが周知徹底されず北海道で吃音看護師が自殺してしまいました。選択肢はあったのです。
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/2013.html


吃音当事者、家族であれば適度な距離感を持ちましょう。また、吃音当事者のライフステージや吃音の程度により、公的な福祉支援を使えるということも忘れないで下さい。いつでも自由に自分にあった選択肢を選べばいいのです。

重ねて書きますが「吃音は早期発見早期介入であれば、将来吃音の状態を良い方向にもっていくことができます」これを忘れないで下さい。幼少期に子どもを病院に行かせることができなかった。と後々後悔しないでください。

吃音者でない方は、吃音と関わるときに客観的な判断をするようにしましょう。
他の障害者や障害者団体だとどうだろうか?と思考することも大切です。

●吃音業界はもはや対立から抜け出せない?
吃音業界の派閥抗争は吃音業界以外の障害者団体、発達障害者団体、それらに関わる医療従事者からはとても白い目でみられています。
吃音が障害ではないことを比較するのに「XXX障害よりマシ。障害者は劣っている。障害者手帳や社会保障制度の利用は恥である」などと教える団体があるため、このような吃音業界と関わりたくない距離をおきたいという他団体や障害者、その家族はとても多いです。

吃音業界は日本の国政政党のように数多くなっています。
それぞれは元祖の本家本元から主義主張の対立、運営側、スタッフ側の喧嘩、意思疎通困難により。『じゃあ分裂だ。お前らとは一緒にいられない。新しい団体つくるから!』という歴史を1965年から2017年現在まで繰り返しています。

あれ?

でもそれって2005年以降の発達障害者の当事者会と似てない?発達障害の当事者会も、喧嘩とか対立とかして1年ももたないで団体が空中分解したり分裂したり、発展的解消とか言いながら、どんどん団体が増えていますよね?

はい。正解です。おそらく吃音業界の各団体を運営するスタッフなどにも吃音と発達障害の両方を持った人が多いのだと思います。それに加えて吃音業界は長いあいだセルフヘルプグループであることに誇りを持っており、医療従事者や支援者、ソーシャルワークができる人を参加させないことも影響しています。

発達障害児者の団体でも運営が上手くいっており継続しているところは、国家資格を持った人間がスタッフとして参加していたり団体の運営に関わっています。例えば「吃音は障害じゃない。障害者はかわいそう。障害者は劣っている」なんて発言を当事者会ですれば、即座に国家資格を持っている運営スタッフがそれを注意したり、暴走しないように静止します。これが吃音業界にはなかった。皆無だったというわけです。

吃音業界は本来は団結して、子ども、保護者、医療従事者、支援者、専門家、大学教授、研究者などが1つの団体にまとまっていれば、吃音者の人権、吃音者が使える社会保障制度などの環境が変化していたかもしれません。少なくとも2005年の発達障害者支援法を(意図的または本当に知らずに)見落とすこともなかったでしょう。

平成 28 年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業. 指定課題15. 発達障害者の当事者同士の活動支援の在り方に関する調査報告書
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj45Mrzys7UAhXCwLwKHU2rAM8QFggrMAE&url=http%3A%2F%2Fwww.rehab.go.jp%2Fddis%2F%25E7%2599%25BA%25E9%2581%2594%25E9%259A%259C%25E5%25AE%25B3%25E3%2581%25AB%25E9%2596%25A2%25E3%2581%2599%25E3%2582%258B%25E8%25B3%2587%25E6%2596%2599%2F%25E4%25BA%258B%25E4%25BE%258B%25E9%259B%2586%25E3%2583%25BB%25E4%25BA%258B%25E6%25A5%25AD%25E5%25A0%25B1%25E5%2591%258A%25E6%259B%25B8%2F%3Faction%3Dcommon_download_main%26upload_id%3D2878&usg=AFQjCNEEwswZfASEpqkXf9SD6fof4pvpwQ&sig2=9sapeoPA8ZajCdTmhF8toQ

厚生労働省にも既存の発達障害者の団体運営の困難の源流は吃音業界にあると、今後調査してもらえればと思います。

◆2.吃音・小児期発症流暢障害は発達障害者支援法に定義される障害者です。
・発達障害者支援法とは?電子政府の総合窓口イーガブより

・発達障害者支援法とは?国立障害者リハビリテーションセンター・発達障害情報・支援センターより

・発達障害者支援法における発達障害の定義が書かれている
17文科初第16号厚生労働省発障第0401008号平成17年4月1日
文部科学省と厚生労働省の事務次官通知

1)  定義について
 「発達障害」の定義については、法第2条第1項において「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう」とされていること。また、法第2条第1項の政令で定める障害は、令第1条において「脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、言語の障害、協調運動の障害その他厚生労働省令で定める障害」とされていること。さらに、令第1条の規則で定める障害は、「心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害(自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、言語の障害及び協調運動の障害を除く。)」とされていること。
 これらの規定により想定される、法の対象となる障害は、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80-F89)」及び「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」に含まれる障害であること。
 なお、てんかんなどの中枢神経系の疾患、脳外傷や脳血管障害の後遺症が、上記の障害を伴うものである場合においても、法の対象とするものである。(法第2条関係)


◆3.吃音とは何が原因で吃音状態になっているのか? 
よく吃音についてインターネット上の情報に「吃音は原因不明で全くメカニズムが明らかになっていない」と書かれているでしょう。吃音の当事者団体でもそのような情報を掲載している場合があります。とくに障害者認定反対派でよく使われる言葉です。吃音は原因不明だから、いろいろなアプローチがあっていいんだと考えているわけですね…。吃音の障害者認定反対派は「吃音者の脳に異常がある」なんて情報を聞いたらショック死するので慎重に接しましょう。

脱線します。
日本国内ではよく魔法の言葉として「吃音になりやすい体質の子どもがいる」という説明がありますが、これは「親からの遺伝」も含まれますので注意が必要です。その他の発達障害も遺伝の可能性を示す研究報告が出ているのですが、吃音業界では「吃音が遺伝も関係している」と言ってしまうと、吃音の子どもの親や親類縁者が「自分たちにの遺伝子に異常があったのかもしれない。なぜ結婚して子どもを産んでしまったのだろう…」とショック死する可能性があるためオブラートに包んでいるのです。吃音の子どもがいる場合、近親者にも吃音者がいることが多いです。ただ、障害受容ができていない人や障害者が劣っているとか、吃音は他の障害より優れているという優生思想や差別の心がある人がショック死するだけですので、多くの吃音当事者や家族は気にしないでください。


話をもとに戻します。
しかし2016年現在、吃音が全くの原因不明というのは間違いです。
現在、吃音は脳、神経発達の疾患であることはわかってきています。

吃音ドクターこと菊池医師が書籍で述べています。少し古い書籍ですが「吃音の基礎と臨床―統合的アプローチ」でも吃音と脳について当時の研究が掲載されています。

ゆえに発達障害である、神経発達障害(Neurodevelopmental Disorders)であるとされています。DSM-5(アメリカ精神医学会 2013年公開)にも神経発達障害群に吃音が分類されました。ちなみに神経発達障害群には、自閉症スペクトラム、注意欠如多動性障害、学習障害、トゥレット・チックも分類されています。吃音と一般に言われる発達障害が併発する人も見られるのはそういう意味なのです。



・菊池良和医師も「吃音は聴覚タイミングエラーで生じる-脳磁図と拡散テンソル解析-」2013年から2016年3月までこのような研究をしている
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-25861566/



・2014年にミシガン大学の Soo-Eun Chang氏(Ph.D.)が
【Research updates in neuroimaging studies of children who stutter.】という研究報告を発表しています。

ミシガン大学の紹介ページ
http://chgd.umich.edu/people/details/soo-eun-chang-ph-d-ccc-slp/

研究報告の要約
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24875668


研究報告によると現在、吃音は脳画像化技術の進歩により、脳の解剖的および機能的な異常の重要な発見が相次いでいるといいます。MRI(磁気共鳴画像装置)、fMRI(機能的MRI)、DTI(拡散テンソル画像法)などの利用により、吃音者の神経学的根拠の重要な手がかりが見つかっているのです。この研究のなかで吃音の子どもとそうでない子どもの脳内神経ネットワークの比較が出てきます。結局、吃音がある場合とそうでない場合は脳の発達に違いが見られるというのです。

この研究報告は子どもの時は吃音なのに、大人になると吃音が消失する場合、大人になっても吃音が継続する場合の判別ができるのではないかと可能性を述べています。例えばガンの腫瘍マーカーのようなものです。今後もよりいっそう、吃音の研究が進むことを願います。子どもの時は吃音なのにどうすれば治る方向に進むのかが判明しれば、どのような治療が必要なのか判明すれば、吃音で苦しむこともなくなるでしょう。

◆4.吃音が発達障害であることを日本政府が決めたわけではない。
吃音が発達障害というのは日本政府が決定したわけではありません。
海外の診断基準を利用しています。

http://matome.naver.jp/odai/2142139170911907401/2143530781869191803

◆5.吃音は治る人もいるし、治らない人もいる。
現在、吃音はたったひとつ「吃音」と言われています。
しかし、今後研究が進めば、吃音には分類があることが判明するでしょう。
A型吃音、B型吃音、C型吃音といった具合です。
そうでないと、幼少期は吃音だったが、大人になってから吃音がなくなった吃音者。
幼少期から大人になってもなお、ずっと、吃音がある吃音者。
吃音と一般的な発達障害の併発。
他人の吃音をマネしたら吃音になった。
吃音は遺伝するのか?家族や親戚縁者の吃音はどうなのか?
これらの説明ができないからです。

さて、結果として、吃音が治った吃音者は吃音の治らない吃音者に対してあれこれ説教をします。
「私はこうやって治した。あなたは努力が足りない。私を見習え。」こんな説教です。
挙句の果てに、自分流で吃音を治した方法を「コンプレックス商法」として吃音が治る方法を販売します。という山師が存在します。

吃音者に接する場合、吃音は治る人もいるし、治らない人もいる。
しかし、そのメカニズムや誰がそうで誰がそうでないのかはまだ現在医学では判明していないということを忘れないで下さい。

◆6.吃音を扱うコンプレックス商法や民間の吃音矯正所は意味が無い。
吃音を扱うコンプレックス商法ですが、皆さん不思議に思いませんか?
世界中で吃音者がいて困っている。
そんな中で吃音を治す方法を知ってる人がいる。
なぜ、医学論文を発表しないのでしょうか?
世界中の吃音者が助かるはずです。
ノーベル賞の医学生理学部門も受賞できるでしょう。
しかしそんなことはしない。

それは簡単です。
吃音者には吃音でずっと困っていてほしいのです。
そのほうがお金儲けができるからです。
本当の篤志家であればその情報を医学論文として発表するはずなのです。
そして世界中に存在する吃音で困っている当事者家族に光を与えるはずです。

吃音者は紀元前から存在するのですが、こうやって吃音者を食い物にする人たちがいるのです。

◆7.吃音は病院のどの科にいけばいいのか?
吃音は耳鼻咽喉科、精神科が一般的です。
しかし病院によっては吃音を治す訓練しかしないところがあります。
吃音は治すものだと思っているので障害者手帳申請書類を書いてくれない医師もいます。

◆8.吃音は保険診療できる。
吃音は保険診療できます。
発達障害者支援法に定義されているとなれば、自立支援医療の精神通院を利用して、所得にもよりますが1割負担で通院できます。

民間の吃音診療所や吃音クリニックは保険診療できません。
保険診療するためには「医師法」や「言語聴覚士法」で「医師の指示がないといけない」と書かれているからです。民間診療所には医師がいるのか?保険診療できるのか?をよく確認しましょう。

保護者が子どもの吃音を心配する心のスキマを狙った吃音症法(吃音商法)にはお金を使わないようにしましょう。

◆9.吃音を診療する病院はとても少ない。
吃音を診療する病院はとても少ないためどうやって見つければいいのかわかりません。
という場合、効果があるかわかりませんが…。
お住まいの都道府県にある言語聴覚士会に問い合わせ、吃音を診る病院はどこにあるか?
と質問してみましょう。※ただしこの場合紹介される病院は「吃音を訓練治療する」ことが多いでしょう。

★【重要】吃音を診療すると表明している病院リスト
http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/07/blog-post_24.html


◆10.子どもの吃音を早期発見後、どこの病院に行けばいいのか?
「吃音は早期発見早期介入であれば、将来吃音の状態を良い方向にもっていくことができます」
と派閥の説明で書きました。これは国立障害者リハビリテーションセンター病院です。
ここに行ける人は行ったほうがよいでしょう。使えるメニューは使い切るべきです。

◆11.吃音を発達障害として診療する病院はどこか?
現状であれば国立障害者リハビリテーションセンター病院です。
ただし、条件があります。
必ず診察のときに『発達障害として診てほしい。障害者手帳がほしい』と伝えます。

民間の発達障害を専門に診ている医師も最近は吃音を発達障害として診断書や障害者手帳申請書類を書くところが東京で出現しています。ありがたいことです。


◆12.吃音は吃音だけだと障害者認定されないというウソ
これも現在インターネット上など間違った情報が拡散されています。
吃音で障害者手帳がもらえるのは「吃音 + ●●」がないといけないというのです。
二次障害が発生していないと取得できないという。これは全くの間違いです。
一般に言われる発達障害であるASDやADHDやLDやチック・トゥレットなどで障害者手帳を持っている人は、その障害名のみで障害者手帳を取得している人もいます。しかも障害者手帳を持っていることをカミングアウトせずに一般枠で頑張って障害特性と戦いながら仕事をしている人もいます。もちろんカミングアウトして障害者枠で働く人もいます。

ということは吃音者も吃音という障害のみで障害者手帳を申請できるのです。うつ病、社交不安障害、適応障害などが併発症とならなくても障害者手帳を申請できます。そもそも二次障害が発生してしまっている状態にまで陥ってしまった当事者がその道程を歩むことになってしまった環境が異常です。適切なソーシャルワークはあったのでしょうか?

結論。
吃音は吃音のみで障害者手帳を取得できる。


◆13.国立障害者リハビリテーションセンター病院は遠すぎる。
この場合は、政治の力に訴えるしかありません。
お住まいの自治体の都道府県議会に現実を伝え、発達障害者支援法に基いて吃音を診療する
病院を設置してほしいと運動を起こすしかありません。一人では歯がたたないので協力して行ったほうがよいでしょう。

発達障害者支援法第19条
(専門的な医療機関の確保等)
第十九条  都道府県は、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければならない。
2  国及び地方公共団体は、前項の医療機関の相互協力を推進するとともに、同項の医療機関に対し、発達障害者の発達支援等に関する情報の提供その他必要な援助を行うものとする。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO167.html


◆14.吃音を診療するために病院に行くとその日が初診日になってしまう。通院歴ができてしまう。
どんな障害にもついてまわるのが「初診日」です。
その名の通り、最初に自分で調子が悪いと思って、最初に行った病院です。
※吃音と正式に診断がついた日ではありません。医師が誤診していたとしても最初に行った病院です。
一般的な発達障害でも初診日問題が話題になります。障害者年金の受給可否について大きく影響します。

◆15.吃音は発達障害者支援法に定義されているため、生命保険や住宅ローンなどのサービスが受けられなく可能性が高い。
生命保険や住宅ローンの申し込みが難しくなります。健康状態を告知する商品全般です。
もちろん嘘をついて申し込むなんてもってのほかです。
吃音のために病院に行けばその時点でアウトです。
子どもの将来が心配であれば、絶対に1回も病院には行ってはいけません。
障害者認定反対派の親・保護者の方も子どもを絶対に病院に連れて行ってはいけません。

◆16.吃音を障害者ではないということは、他の社会的障壁がある人を差別していることになる。
2014年7月に国立障害者リハビリテーションセンター内部にある、発達障害情報支援センターが吃音が発達障害であるとHPに公開しました。2005年の発達障害者支援法ができてから9年後です。

さて、この発表の後。吃音は発達障害者じゃない!ましてや精神障害者保健福祉手帳の精神障害者だなんて死んでもゴメンだ!頭のオカシイ精神障害者!!犯罪行為が無罪になる精神障害者と吃音が同列なんて許せない!せめて言語障害の身体障害者だろ!!!という論調が見受けられるようになりました。

しかしこれは逆に考えれば、他の障害者を馬鹿にして見下していることでもあるのです。
なぜ、その他の社会的障壁のある人達と協力して、吃音は障害者じゃない・精神障害者じゃないとそう受け取ってしまう自分の感性や価値観を生み出した世の中を変化させようと考えないのか?と不思議です。障害者の人権や経済格差や社会参加の問題こそ単独の当事者で活動するよりも障害種別の垣根を越えた協力が必要なのです。

◆17.吃音者は他の障害者団体から怪訝な、訝しむ感情で見られている。
吃音者は戦後歴史上、派閥抗争を繰り返しています。
例えば障害者認定反対派の派閥であれば、徹底的に障害者は可哀想な存在だ、あなたの子どもは障害者じゃない、吃音があっても活躍している人がいる、私の人生を見習いなさい、吃音者は目も見えるし耳も聞こえる比べればどっちが幸せかわかるでしょう、吃音は神様から貰ったギフトと教えている団体が存在するわけです。

吃音の子どもと保護者は小学校や中学校で、その他の社会的障壁・障害がある子どもの保護者と交流する機会がありますが、「なにか変だな?障害者のこと差別しているのかな?」と思われるのです。そして徐々に距離感が生まれていきます。この道程を通った結果、吃音者とその他の障害者や社会的障壁がある当事者と価値観の違いが生まれます。吃音者と距離をとろうと判断されてしまいます。

◆18.若い世代の吃音当事者が今後の吃音情勢を変化させるかもしれない。
現在、吃音者当事者の中にも、学校教員、看護師、介護士、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士や言語聴覚士や医師の道を目指す若者がいます。彼らは学校で「発達障害」について学ぶ時間があるので、本当は吃音が発達障害であることは知っていますし、吃音以外の障害者や社会的障壁がある人の勉強もしています。障害者認定反対をする吃音者と使える制度を自分で選択して利用しているその他の障害当事者はなぜにこうも違うのかと思考するようになります。この若い世代が日本の吃音情勢を変化させるかもしれません。


◆19.吃音はその他の一般的な発達障害と併発する人もいる。
吃音は障害者ではない。という障害者認定絶対反対派の人には耳が痛いことです。
吃音は一般的な発達障害(ASDやADHDやLDやチック)と併発する人がいます。
何%かどうかはわかりません。

※このような研究報告もあります
【重要】吃音と発達障害の併存について日本音声言語医学会の学会誌より紹介
http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/02/blog-post_23.html



吃音とアスペルガー症候群、高機能自閉症、広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、学習障害、チックなどを併発するのです。

発達性協調運動障害という不器用さを持っている吃音者も存在します。

吃音と発達障害の併発は深刻です。
吃音という発話の障害と、俗に言う発達障害の特性である、相手の考えを読めない、理解できない、自分の感情を上手く表現できない、報告連絡相談というホウレンソウが苦手、スケジュールを組むのが苦手、急な予定変更に対応できない、強いこだわりや執着がある、0か1でしか物事を判断できない、時間を守れない、他人と視線が合わない、目を見て話せない、曖昧な表現がわからない、他人との距離感がわからない、落ち着いて座っていられない、会話をしていても相手が話し終わる前に遮って発言する、聞かれていないことまで話し始める、動きまわってしまう、ケアレスミスが多い、マルチタスク作業ができない、計算が苦手、正義感が強すぎる、などなど。この中から吃音と何かが組み合わさるかもしれません。

吃音がある場合。その他の俗に言う発達障害が併発していないか?調べたほうがよいでしょう。
吃音による発話だけの困り事ではないかもしれません。

ちなみに吃音者の当事者団体にはASDやADHDを持った吃音者がいます。
とても強いこだわり執着が「吃音は障害者ではない論」につながる場合があります。
そして0か1でしか判断しないため、考え方が違う吃音者とすぐに対立します。
吃音者の団体が派閥抗争や分裂こ繰り返すのはこれが1つの原因かもしれません。
(一般的な発達障害の団体も喧嘩して分裂を繰り返すのと同様です。)
また、他の発達障害者の中にとてもIQが高い人がいるように吃音者にもとてもIQが高く学歴が高く一流企業で働いている人もいます。ただし現在40代?50代?以降の人です。過去のハードルが低い就職活動時代を経験した人に限ります。2015年現在の就職活動システムを経験していない人が学歴だけで入社している場合です。


◆20.人材を雇う企業側は「発達障害を発見する方法を知っている」
2015年現在、企業側は発達障害を発見する方法を知っています。
就職試験に性格診断のようなものが入っていると思います。あれは実は発達障害を発見することにも利用できます。また、発達障害者が障害特性で苦労するミスをしそうな面接やグループディスカッションなどもノウハウがあります。その他に最初から精神疾患・精神疾患発症リスクや発達障害を発見することを目的として採用活動をしている企業にそのようなサービスを提供する企業もあります。

吃音も発達障害者支援法を熟知している人事採用担当なら、発話の仕方から推測するかもしれません。

企業側もリスク人材(精神疾患発症や隠れた障害や会社を訴える行為などをするかもしれない)を採用しないように全力です。たとえ企業のトップが「うちの会社は障害者に理解あるよ」と話していても人事採用担当が全力でブロックします。実は吃音者にも障害者手帳をという派閥に年配の方(現役引退世代)がいるのはこの現実を理解しているからです。真実を知ってしまったからです。自分の世代と2015年現在の就職活動は異なる。しかも障害者を発見するようなことは確かに行っていると気付いているのです。であるならば障害者手帳を持って正面から勝負したほうが有利であると知っているのです。

2015年12月から厚生労働省がストレスチェックを義務化します。
となると、そもそも仕事に影響を与えるかもしれないリスク人材を採用時点でどれだけ入社させないようにするかと躍起になり、ありとあらゆる手段を使うのは目に見えています。

例えば「大いに吃れ、吃音であることを誇りに思え。堂々と吃音者であると打ち明けろ。」なんていう教えをバカ正直に信じて就職活動をすることはリスクが高い自殺行為です。


◆21.就職のとき公務員なら大丈夫だろうという勘違い。
吃音者には迷信があります。
公務員に就職すれば大丈夫だろうと。
確かに、吃音を上手く隠せるタイプの吃音者であればそれは正解です。
または一発目で合格できれば問題ありません。
しかし吃音の重い吃音者が筆記試験突破の後の面接段階で不合格になった場合は「その記録がずっと残ります。」

吃音者が公務員試験を毎年毎年受けるのですが、いつも面接で落ちるという。挙句の果てに「また来たの?」と言われる場合もあります。

でも公務員試験でそんな差別をするわけがないと吃音当事者も親御さんも信じているわけですから、新卒で就職しないままどんどん空白期間のある履歴書ができていきます。そして年齢制限になり現実に打ちのめされるのです。

◆22.就職活動前に吃音があれば、障害者手帳を取得したほうがよい。
高卒で就職するのか大卒なのか院卒なのかわかりませんが。
就職活動の一年半前には障害者手帳の取得をおすすめします。
一般枠の就職活動と障害者枠の就職活動両方を行いましょう。

◆23.履歴書の空白期間は致命傷。障害者枠でもいいから就職を
新卒という肩書は一生に1回しか使えません。
吃音のリスクマネジメントを考えるなら、一般枠と障害者枠の両方で就職活動を行いましょう。
そして就職しましょう。たとえ障害者雇用であっても社会で経験を積むことは重要です。

◆24.発達障害は精神障害者保健福祉手帳なので、雇用されにくい。されても非正規。
日本の法律で発達障害は精神障害者保健福祉手帳に含まれるとされています。
身体障害者と違い、精神障害者保健福祉手帳は二年ごとの更新制の手帳です。
そのため、もしかしたら障害手帳を取得できないかもしれない精神障害者保健福祉手帳所持者を企業側は正規職員として採用することは稀です。2018年から精神障害者保健福祉手帳所持者も雇用義務化の予定ですが、どのように変化するかはその時になってみないとわかりません。

吃音を持つ子どものお父さんお母さんは、ぜひご自身が働いている会社の人事採用担当の部門に吃音者きたら採用するか?吃音者が障害者手帳を持っていれば採用するか?精神障害者保健福祉手帳は採用対象か?と質問してみましょう。


◆25.吃音者は障害者の法定雇用率に計算できる。
企業の人事採用担当部門の方へ。
御社の方針はわかりません。障害者雇用はあまりしたくない。ましてや発達障害者や精神障害者が難しい。という本音もあるかもしれません。

しかし吃音者は障害者雇用ができます。2016年現在は発達障害として精神障害者保健福祉手帳を持っています。
吃音者にも純粋な吃音者と一般的な発達障害併発のパターンもあります。
扱いが難しいかもしれません。なんとか雇用の道を開拓してもらえないでしょうか?

日本政府も吃音は発達障害と認めています。
障害者雇用をする側が吃音者を雇うとホームページなので告知していけば、障害受容のできた吃音者が応募してくるはずです。
・政府広報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/featured/201104/contents/rikai.html


◆26.新聞記者、マスコミなどの方、吃音を取材するときは客観的に
吃音について取材するときに気をつけないといけないことがあります。
それは吃音者の派閥の考えをそのまま報道しないようにすることです。

例えば取材するときには吃音当事者団体のみではなく、厚生労働省の社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室にも取材を行います。そして吃音が「発達障害者支援法」と「17文科初第16号厚生労働省発障第0401008号平成17年4月1日」 により定義される発達障害者であるということを記事やニュースで伝えるようにしましょう。

その他にも、吃音を診療する病院が全都道府県に存在しない事実を報道することも大切です。
吃音を診療診察診断する病院がないことにより、そもそも受けられるはずの公的な福祉や支援を吃音当事者が使うことができないのです。

このような重要な情報を掲載しつつ、例えば吃音者にはそのまま頑張っている人もいる、社会人として活躍していると報道するのが良いことだと思います。また、逆に困っている吃音者やその保護者は「法律で認められた障害なんだ。助けてもらえるのね」というのが伝わるのです。

吃音を取材するときにも、ソーシャルワークやウェルビーイングという言葉を勉強してからのほうがいいかもしれません。本を読んでも理解できない場合は社会福祉学科や社会学を教えている大学の教員などにも取材をしたほうがよいでしょう。



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◆◆吃音(きつおん・どもり)/小児期発症流暢障害(しょうにきはっしょうりゅうちょうしょうがい)はどのような障害なのか?


テキストだけで説明することは難しいのですが、出来る範囲にて書き起こします。

吃音障害は発話の障害です。
うまく言葉を発話できないのです。
また、無理やり言葉を発話するので吃音者は身体の表面上なんらかの意図しない行動が現れます。

◆1.吃音者は常に吃っている訳ではない 吃音=発話できない という認識は間違い
吃音とは「吃音状態」になることにより、吃音が発生します。
「吃音」になってしまう「スイッチ」が入ってしまう、ONになることで、吃音状態の話し方になってしまいます。ここは重要なのでよく覚えてください。これは本当に不思議なことなのですが、どのような状態や環境、人間関係であれば吃音が発生する、発生しないという原因は解明されていません。

よくある勘違いは、吃音者は、常にずっと、いつ何時、いかなる場合でも吃っているということです。吃音者は365日四六時中吃っている訳ではありません。吃音者がスラスラ話しているときと、吃ってしまい上手く話せないときの両方があるとよく覚えてください。非吃音者(健常者)からすれば、『今日はこの人上手く喋ってるな。まさか故意にやってるのか?』、『なんでいつも流暢に話しているのに今日はこんな人が変わったようにオカシナしゃべり方しているんだ?』と思うかもしれませんが、そういうものだと思ってください。吃音者はふざけていませんし、あなたを怒らせようとしているわけでもありませんし、無礼な態度をしているわけでもありません。吃音当事者は意識して吃っているわけではありませんし、吃りたくないのに吃っているのです。


吃音は緊張するから吃るというのもよくある勘違いです。
別に緊張していなくても吃ります。リラックスしている自宅で家族と会話する、恋人、配偶者と会話する場合でも吃ります。

吃音と緊張の関係ですが、鶏が先か?卵が先か?問題と同じかもしれません。
もしもこの世に生まれてから吃音のことを指摘されずに、吃音のことを笑われずに、治そうとされずに育った吃音者がいれば、そもそも緊張は無いはずです。吃音者の吃り方を指摘したことによって、その吃音当事者の記憶に深く刻まれ、怖い体験だとストレス体験だと学習してしまえば緊張につながることはあるかもしれません。


吃音者が吃ってるときは、「今日は調子が悪いんだな」程度の認識でいてもらえるととても助かります。いちいち、「今のしゃべり方はなんだ!?」とか怒らないでください。そういうものだと受け止めてください。学業や仕事の内容で評価をしてほしいと思います。


◆2.吃音者がどもることにより身体上に現れる症状

顔が歪むこと、表情が不自然になること、目を細めてしまうこと、顔がピクピクすること、口を尖らせてしまうこと、口から唾液を飛ばしてしまうこと、相手に唾液を浴びせてしまうこと、コンビニエンスストアのおでん注文で唾液を保温器に入れること、身体の手や腕や足などを不自然に動かすこと、身体のどこかでリズムをとること、眼球が白目をむいてしまうこと、鼻の穴が広がってしまうこと、息遣いが不自然なこと、があります。

あまり現れない吃音者もいれば、複数が当てはまる吃音者もいます。


◆3.連発性吃音(れんぱつせいきつおん)、難発性吃音(なんぱつせいきつおん)ブロック吃音とも、伸発性吃音(しんぱつせいきつおん)の3つがあると言われています。

連発の吃音は発話の際、一文字目が吃ります。
ありがとうございました→ あああああああああありがとうございました。

難発の吃音は発話の際、一文字目を出すのがとても難しくなります。
(口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)……………おはようございます。


伸発の吃音は発話の際、一文字目と二文字目のあいだを伸ばすことがとても多い吃り方です。
場合によっては一文字目と二文字目以外の言葉も伸ばすかもしれません。

いらっしゃいませ→ いーらっしゃいませ いーらっしゃーいまーせ

◆4.吃音障害の症状例

あ アンパンマン
 連 あああああああああ アンパンマン
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………………あんぱんまん
 伸 あーーーーーーんぱんまん あんぱんーーーまーーーん あーーーんぱーーーんまん

い イカリング
 連 いいいいいいいいいいいい イカリング
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………………イカリング
 伸 いーーかりんぐ いかーーーりんぐ いかりーんぐー

う 宇宙船
 連 ううううううううううう 宇宙船
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………………宇宙船
 伸 うーーーちゅうーせーん うちゅうーーーーーせん うーーちゅーーせーーーん

え 江戸
 連 えええええええええええ 江戸
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………………江戸
 伸 えーーーーーーーーど えーーーーーーどーーーーーーー

お お母さん お父さん
 連 おおおおおおおおおお母さん おおおおおお父さん
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する) ……お母さん ………お父さん
 伸 おーーかさん おとーさーーん おかーーさんーーー おーーーとーーーさーーん

か 解凍
 連 かかかかかかかかか 解凍
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………解凍
 伸 かーーいとう かーーいとーーう かいとーう かーーいーとーう

き 帰社予定
 連 ききききききききき 帰社予定
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………帰社予定
 伸 きーーーしゃよてい きーーしゃーーよてい きーーしゃーーよーてーい

く 車で行きます
 連 くくくくくく車で行きます。
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………車で行きます
 伸 くーるーまーでいきーす くるまーでいきます くるまーでいきまーす

け 携帯電話
 連 けけけけけけけけけけ携帯電話
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………携帯電話
 伸 けーーーーーーいたいでんわ けーーいたーーいでーんーわ けいーーたいーーでーんわ

こ 高知県
 連 ここここここここここここ高知県
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………高知県
 伸 こーーちけん こーちーけん こーーちけーーーん

さ 刺し身ください
 連 ささささささささささささささ刺し身 くくくくくくくくくください。
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………刺し身ください
 伸 さーしみくーださい さーしーみーください さーしーみーくーだーさーい

し 小論文
 連 しょしょしょしょしょしょしょしょ 小論文
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………小論文
 伸 しょーー論文 しーよー論文 しょーろーんぶん

す 好きです
 連 すすすすすすすすすすす好きです。
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………好きです
 伸 好きでーす すーきーでーす すきーです

せ 先生
 連 せせせせせせせせせせせせせ 先生
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………先生
 伸 せんせー せーんせー せんーせー

そ その節はお世話になりました
 連 そそそそそそそそそそその説はおおおおおおおお世話になりました
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………その節はお世話になりました
 伸 そーのーせつはーおーせーわーになーりました そーのーせーつはおーせーわーになーりまーしたー

た 助けてください
 連 たたたたたたたたたたたたたたたた助けてください
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………助けてください
 伸 たーーーーすけてください たーーーすーーてーーくーだーさーい

ち 血が出てる
 連 ちちちちちちちちちちちちちちちちちちち 血が出てる
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………血が出てる
 伸 ちーがーでーてーる ちーがーでてるー ちーがーでてーる

つ 釣り銭間違ってます
 連 つつつつつつつつつつつ釣り銭 まままままままままま間違ってます
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………釣り銭間違ってます
 伸 つーりーせーんまちがってます つーりーせーんまーちがーってます

て 電車が止まってしまって
 連 でででででででで電車が止まってしまって
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………電車が止まってしまって
 伸 でーんしゃがとまーってしまって でーんーしゃーがーとーまーてーしまってー

と トマト
 連 ととととととととととととトマト
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………トマト
 伸 とーっまと とーまーと とーまーとー

な 生卵
 連 ななななななななななな生卵
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………生卵
 伸 なーまーたーまーごー なまーたーまーごー

に ニュースで見ました
 連 にゅにゅにゅにゅにゅにゅニュースで みみみみみみみみみみみみ見ました
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ニュースで見ました
 伸 ニューーースでーーみーまーしーた ニューーーースーーでーーみまーーしたー

ぬ 糠漬け
 連 ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ糠漬け
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………糠漬け
 伸 ぬーかーづーけー ぬかづーけー

ね ネルソン・マンデラ
 連 ねねねねねねねねねねねねねねネルソン ままままままままままままマンデラ
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ネルソン マンデラ
 伸 ねーるーそーん まーんーでーら

の 脳死
 連 ののののののののの脳死
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………脳死
 伸 のーうーし のうーし

は 歯医者
 連 ははははははははははは歯医者
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………歯医者
 伸 はーいしゃー はーいーしゃー

ひ ひつまぶし
 連 ひひひひひひひひひひひひつまぶし
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ひつまぶし
 伸 ひーつーまーぶーしー ひつまーぶし ひつまーぶーしー ひーつーまぶーし

ふ フェイスブック
 連 ふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇふぇフェイスブック
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………フェイスブック
 伸 ふーぇいーすーぶっーく ふぇいーすーぶーっーく

へ 平安京
 連 へへへへへへへへへへへへへへ平安京
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………平安京
 伸 へーいーあーんーきょう へーいーあーんーきーょーう

ほ 保育園
 連 ほほほほほほほほほほほほほほ保育園
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………保育園
 伸 ほーいーくーえーん ほーいーくえーん ほーいくえん

ま 漫画
 連 まままままままままままままままま漫画
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………漫画
 伸 まーんーが まんーがー まんがー

み ミュート
 連 みゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅミュート
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ミュート
 伸 みゅーとー みーゆーとー

む 蒸し焼き
 連 むむむむむむむむむむむむむむむむむ蒸し焼き
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………蒸し焼き
 伸 むーしーやーき むしーやーき むーしーやーきー

め 目薬
 連 めめめめめめめめめめめめめめめめめめ目薬
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………目薬
 伸 めーぐーすーり めぐーすーり めぐすーりー

も モナコ
 連 ももももももももももももももももももももももモナコ
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………モナコ
 伸 もーなーこ もなーこ もーなーこー

や 八重桜
 連 やややややややややややややややややややや八重桜
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………八重桜
 伸 やーえーざーくーら やーえざくら やーえーざーくら

ゆ ユビキタス
 連 ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆユビキタス
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ユビキタス
 伸 ゆーびきたす ゆーびーきーたーす ゆびーきたす ゆーびーきたーす

よ 楊貴妃
 連 よよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよよ楊貴妃
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………楊貴妃
 伸 よーきひ よーうーきーひ

ら ライオン
 連 らららららららららららららららららららライオン
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ライオン
 伸 らーいおん らーいーおん らーいーおーん

り 林檎
 連 りりりりりりりりりりりりりりりりりりりりり林檎
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………林檎
 伸 りーんご りーんーご 

る ルーレット
 連 るるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるルーレット
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ルーレット
 伸 るーーーれっと るーーーーれーーーーっと

れ レンダリング
 連 れれれれれれれれれれれれれれれれれれれレンダリング
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………レンダリング
 伸 れーーんだりんぐ れーんーだーりんぐ れんだーりんぐ

ろ ローマ帝国
 連 ろろろろろろろろろろろろろろろろろろろろローマ帝国
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ローマ帝国
 伸 ろーーーーーまていこく ろーーまーーていこく ろーまてーーいこーーーく

わ ワセリン
 連 わわわわわわわわわわわわわわわわワセリン
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)………ワセリン
 伸 わーーせりん わーーせりーーーん わーーせーりーん





ん ンジャメナ
 連 んんんんんんんんんんんんんんンジャメナ
 難 (口は何とか発話しようとパクパクする。または沈黙する)…………ンジャメナ
 伸 んーじゃめな んーじゃーめな んーじゃーめーな


◆5.吃音が発生する会話事例

1 ファミリーレストランの店員の事例
・どもらない人の会話

「いらっしゃいませ。お客様は何名様ですか? おタバコはお吸いになりますか?」

・どもる人の会話

「……………………いらっしゃいませ。おきゃおきゃおきゃお客様は何名様ですか?
おおおおおおおおおおおおおおタバコはお吸いになりますか?」

「いっいっいっいっいっ いらっしゃいませ。お客様は何名様ですか?おっおっおっおっおっおっおタバコはお吸いになりますか?」


・この事例は吃音者の店員である。
例えば、サービス業務、接客業務であれば、吃ること吃音が発生することは致命的である。
この事例ではお客様が入店した直後の例である。この事例以外にもオーダーを取りに行った際の注文を繰り返す場合や、できた料理をお客様に提供するときに商品名を読み上げるときに吃ってしまい唾液を飛ばしてしまうこともあるかもしれない。


2 会社内での電話応対の事例(外部からの電話応対は会社の顔、代表でもあります。)
・どもらない人の会話

「お電話ありがとうございます。 株式会社アルフォンソ海運、受付担当の山田でございます。」

「営業部の田中でございますね。少々お待ちくださいますか。」


・どもる人の会話

「………………………………お電話ありがとうございます。株式会社アルフォンソ海運、受付担当の山田でございます。」

「おっおっおっおっおっおっおっおっおっお電話ありがとうございます。かかかかかかかかかかかかかかかか、株式会社アルフォンソ海運、うううううううううううううううう受付担当のややややややや山田でございます。」

「営業部のたたたたたたたたたたたたたたたた田中でございますね。少々お待ちくださいますか。」

「…………………………………営業部の………………………田中でございますね。しょしょしょしょしょしょしょしょしょ少々お待ちくださいますか。」


・吃音者は会社で電話受付をすることがとても苦手な場合もある。
社内でもできるだけ電話応対をしないようにするため、同僚や上司から「なぜキミは電話にでないんだ!」と叱責されることも。

かといって電話応対をしたら吃ってしまい、相手に不快な感情や怪訝な感情、不安を与えるかもしれない。

電話応対は社外電話であれば会社の顔である。吃音者はどうすればよいだろうか?
また、電話応対ではなく館内放送も同様である。

3 学校での自己紹介の事例
・どもらない人の自己紹介

「徳川家康です。よろしくお願いします。」
「はじめまして。徳川家康です。よろしくお願いします。」
「松平中学校出身です。徳川家康です。みんなよろしくね。」

・どもる人の自己紹介

「ととととととととととととと徳川家康です。よよよよよよよよよよよよよよよよろしくお願いします。」
「……………………は、はじめまして。徳川家康です。よろしくお願いします。」
「松平中学校出身です。ととととととととととと徳川家康です。みみみみみみみみみんなよろしくね。」


・自己紹介のシーンは吃音者漫画である。「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」押見修造 著
がとてもリアルに吃音者描いているのでわかりやすい。本当にこの作品は気持ち悪いほど吃音を克明に表現している。
http://www.amazon.co.jp/%E5%BF%97%E4%B9%83%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%AF%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%AE%E5%90%8D%E5%89%8D%E3%81%8C%E8%A8%80%E3%81%88%E3%81%AA%E3%81%84-%E6%8A%BC%E8%A6%8B-%E4%BF%AE%E9%80%A0/dp/4778321804