2020年5月10日日曜日

東京都発達障害者支援ハンドブック2020が公開

東京都より発達障害者支援ハンドブック2020が公開されました。
前回は2015でした。

2014年7月に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターが吃音は発達障害であることを説明してから(本来は吃音の旗艦病院である国立障害者リハビリテーションセンター病院がやるべきでしたがなぜかやらないので支援センターからでした)、すぐに東京都も吃音は発達障害であることの説明をはじめ。なおかつASDやADHDやLDやトゥレット症候群等と併存する可能性もあるという説明をしています。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html?fbclid=IwAR2jTjH1pkMAytgSHz6nmkR4AQAFk-G_b-Q1--s19ZwFwekWWH2Dw-14xGQ


ハンドブック2020では吃音の団体が掲載されていません。
これは、事情をご存知の方もいますが。
吃音業界のとあるNPO法人が「個人正会員を廃止したこと、少数の人の意見を吸い上げないようにしたこと」、東京都が吃音を発達障害者支援ハンドブックに掲載した後、「吃音を発達障害にするな」という謎のご意見がよく来ること、「吃音団体がJDDネットに入ってはいけない」という言語聴覚士の公開要望書があったこと、都内の学校で吃音の子どもやその保護者を集めたイベントをしている団体が「障害者はかわいそう・障害者手帳を取るのは恥ずかしいと教えている」などなどが影響しています。こういうものは結局、政策判断をする際に影響を与えてしまうのです…。恥ずかしい限りです。

以上のことから今回のハンドブック制作にあたり、吃音の団体を掲載することがふさわしいとは思えない。という判断に至ることになったのです。

しかし、東京都では、吃音業界以外の発達障害児者・保護者の会・当事者会が動きました。「うちの団体にも吃音の人がいます。子どもASDと吃音を持ってます、ADHDと吃音です」などの事例があるため。都内の団体から吃音についても取り組んでほしいということで東京都は吃音やトゥレット症候群を診療するという病院リストを新たに公開もしてくれました。病院リストについては、吃音やトゥレット症候群を個別に調べることができます。ただ、その病院が小児科? 児童精神科? 精神科? という部分も調べなければいけません。

小児科、児童精神科の分野では東京都経営の病院がありますので。第一の選択肢として
よいでしょう。お子さんの吃音以外の発達障害について相談できることになります。(またはお子さんが吃音だけだと見落とされたいた場合もその他の発達障害が発見されて早期療育につながれます。吃音も現在、国リハ等が実施している吃音治療プログラムを早期に利用できれば吃音の状態が良い方向にいく可能性があるのと同じで、発達障害も早ければ早いほど良い方向に行く可能性が高まります)

その後、公立病院が年齢制限になったときに、どこにつながるか?になります。ここは公立病院の精神科医師が教えてくれるはずです。自分の先輩がクリニックを開業しているなど。そういうところにつながるでしょう。

問題は大人になってからの吃音診療です。精神科医師といえども。耳鼻咽喉科の診療情報提供書が必要だという場合もあるため。電話、メールなどで事前にしっかり問い合わせたほうがよいでしょう。


吃音業界は相変わらず、発達障害業界と一緒に歩もう、同じ団体に入ろうということはなく。一緒に何かイベントをしようということはないのですが。発達障害業界は吃音の人も普通にいるよねという優しい気持ちで助けてくれます。本当に吃音至上主義がなくなることを心より祈っています。吃音で困っている、吃音の他に発達障害を持っているけど。どうも既存の吃音業界に相談してもモヤッとする。という人、保護者さんはぜひ発達障害児者団体・都内の親の会に相談してください。使える制度、制度申請の方法、学校とのやりとりなど先輩保護者からの引き継ぎが、情報共有がしっかりされています。


R2 5月9日TBS系列報道特集「失語症」の放送をみて、障害者手帳格差を考える

2020年5月9日夕方、TBS「報道特集」にて失語症が取り上げられた。
あまり知られていない失語症。失語症とは言葉が話せなくなる症状だと勘違いしていたと語るスタジオのキャスター(膳場さん)

筆者が今回、過去記事で疑問に思ったことが、どうやらまだ継続しているようなので。改めてこの格差を考えます

過去記事
失語症と吃音の障害者手帳格差について考える

報道特集では特別に「失語症で障害者手帳を取得できるか」の部分については切り込んでいませんでした。とりあえず、困っていること、困っている人がいること、自治体や国の支援策が報道されました。

しかし筆者としては、過去記事に書いたように、発達障害者支援法、発達障害としての吃音は「軽度」でも手帳は取得できるところが今回の失語症特集においてモヤッとしたところです(発達障害支援室に確認済、後に就労移行支援事業所、放課後等デイサービスをしているkaienティーンズさんもそれを明記)

Twitterにて、「2020現在は流石に、吃音と同じように失語症の人も精神障害者保健福祉手帳は取れるのですよねという思いをこめて」とつぶやいたところ。失語症当事者さんから取得できませんというリプがありました。


なるほど。その会場で大勢がいる質疑応答にて、言語聴覚士等支援者もいる所で「吃音だと精神障害者保健福祉手帳が取れるのに、今、その場で困りごとを講演してくれた当事者さんが手帳取りたくても取れない、これを聞いておかしいと思いました。障害者運動したほうがよいのでは?」的な内容を述べたのですが――。筆者が2017年にこれって変だよねと過去記事で取り上げたのですが

筆者の投げかけた疑問が高次脳機能障害、失語症の団体、業界にはこれが広まっていなかったということになります。



――― 障害レベルのスケールで取得可否が決定する身体障害者手帳 日常学校職場でできないこと、困りごとがあってそれによって取得可否が決定する精神障害者保健福祉手帳のこと


行政職員や発達障害児者に携わる医療従事者・言語聴覚士はよく指摘するのですが。「あれだけ、吃音を障害者にするな、吃音で障害者手帳を取得しようとする団体や業界の動きを潰してきた経緯があるところ。吃音が発達障害者支援法に含まれていて、精神障害者保健福祉手帳を取得できるルートがあるのは本当に不幸中の幸い。しかし2013年に吃音看護師が自殺したのは使える社会保障制度を知らずにそうなってしまったことがとても心が痛い。吃音業界が発達障害者支援法を隠していたのはありえないこと」といった話をしてくださる方がいます。

現実問題として吃音業界、団体は障害者運動をしておらず(以下 関連記事)
【重要なお願い】吃音業界は2005年4月から施行の発達障害者支援法を本当に知らなかったのか?なぜ2013年に北海道で吃音看護師が自死したのか


吃音は発達障害支援者支援法の対象→精神障害者保健福祉手帳の対象→精神障害者保健福祉手帳は日常学校職場社会参加で「できないこと、困ることがある」これで障害者手帳を申請できる。

関連記事
吃音による精神障害者保健福祉手帳申請書類の記入例とは?

しかし身体障害者手帳としての吃音→身体障害者手帳は「認定基準・検査・この数値を満たしたから●級。これを満たさないと認めない」と仕組みがあり。まず、検査結果、そして数値を満たしたかどうか。ここで判断されます。



故に、2014年7月に吃音が発達障害であること、発達障害者支援法の対象であることが再度周知されるまでは。身体障害者手帳の等級4級と3級ではなくて、5級を設置してもらうように障害者運動を吃音業界で展開しようとした時期もありましたが。無論、吃音至上主義者達の妨害にあい潰されました。そして吃音至上主義達が自分たちの聖域を守っていたところ。いよいよ2013年の吃音看護師自死の報道があり、さらに報道において、NHKのバリバラで【吃音は厚生労働省が障害と認めていない】と誤報されたことにより、厚生労働省の有志職員、本当に志をもった職員さんが立ち上がります。(プロジェクトXが一本撮影できる内容です)

有志職員、発達障害業界の専門職と熟考に熟考を重ねて取った行動が、2014年7月の『国立障害者リハビリテーションセンター(吃音の診療旗艦病院である国リハ病院も何もしないので)の同じ敷地内にある発達障害情報支援センターから吃音は発達障害ということ再度周知しよう』プロジェクトが実行にうつったわけです。その後、それに呼応する形で、東京都の発達障害支援ハンドブック2005でも吃音は発達障害と明記しました。そして東京都が吃音を発達障害としたからウチもやるぜ!という地方自治体がどんどん出てきたわけです。そして2020年現在、東京都の発達障害支援政策がバージョアップされ吃音を診療する小児科、児童精神科、精神科リストまで公開されることになります。

このようなこともあり。吃音業界の医療従事者で吃音至上主義に染まっていた人が『僕も、私も2005年から発達障害者支援法は知っていました。発達障害のあるお子さんに吃音の人もいます。発達障害のあるお子さんを診療しますよ。』などと180度手のひら返しをしている恥ずかしい人もいます。腹の中では今でも、吃音児者が合理的配慮や障害者手帳を取るのは許さんと思いつつ。収入を得るために「発達障害に理解あるよ」というスタンスに変化しているわけです。これでは、吃音看護師自死、製薬会社新入社員自死が発生するわけだ。と思いますね。

そしてついに、吃音で、精神障害者保健福祉手帳を取得できる、合理的配慮を申請できる。障害者枠でも当事者、採用側、また就労移行支援事業所の合理的配慮についての話し合いがあり書面化されれば吃音者を雇用したいという企業も出てきているわけです。就職のみならず、日常、学校での選択肢も当事者や家族がそれを希望すれば行使できる可能性が増えたのです。

―― 失語症の当事者や家族はどうなの? 問題の本質は、日常学校職場でできないことがあるという精神障害児者、発達障害児者と同じ、困りごと。失語症の場合、手帳認定基準が異なっているのでは? 発達障害業界の言語聴覚士、吃音業界の言語聴覚士、高次脳機能障害業界の言語聴覚士は協力できないか?

2020年現在。吃音は身体障害者手帳を申請するよりも精神障害者保健福祉手帳を申請したほうが認められやすいのですが。これが失語症の場合どうなるのか。結局、身体障害者手帳とされている部分が大きい。精神障害者保健福祉手帳を申請しても、認められないという問題がおきているわけです。

発達障害全般で言えることですが。日常や学校や職場において、1年間365日。ありとあらゆる場所空間で。対人関係で。できないこと、失敗してしまうこと、感覚過敏があること、忘れてしまうこと、一人でできないこと、発達障害特性を軽減するアイテムを使うこと、つらい思いをしたこと、騙されてしまったこと、ありとあらゆるできないこと困ったことを、医師に申請書類に書いてもらい精神障害者保健福祉手帳を取得していることになります。

発達障害で言えば、職場は一派枠で働いているが、精神障害者保健福祉手帳3級や2級を持っている人もいます。掃除洗濯家事炊事ができない場合は公的負担のヘルパーを使いますし。家族や配偶者がそれをやってくれる場合があります。

最初のほうに紹介した、失語症当事者さんのTik Tokを視聴しましたが。ADHDと同じ困りごと、吃音と同じ困りごとを明らかに持っています。となると精神障害者保健福祉手帳の3級は取れるのではないか?と筆者は思うわけです。

身体障害者手帳=検査。明確な数値。基準がある。
精神障害者保健福祉手帳=何ができないのか。何で困っているのか。どのように日常、学校、職場で影響しているかで認めてもらえる可能性がある。

失語症と発達障害の場合、どこかが違うのでしょう。
どこが違うのか。
高次脳機能障害の失語症においては、身体障害者手帳で対応するという指針が国立障害者リハビリテーションセンターから出ているから、それが関係者に広まっているからとも推測できます。で、失語症としてICD10のコードを精神障害者保健福祉手帳申請書類を書くと、その段階で弾かれるのではないかとも思います。吃音の場合は発達障害者支援法で精神障害(発達障害ふくむ)なのでF98.5コードを書けば審査されるわけです。しかし失語症も吃音も「こまりごとは似ている」、高次脳機能障害の記憶障害で何かを忘れてしまうのは「ADHDのこまりごとと似ている」わけですから。精神障害者保健福祉手帳3級程度は取れるはずなのです…。

それらの、診断基準の塩梅、暗黙の了解を理解しているのは言語聴覚士だと筆者は考えます。

言語聴覚士というのはこれまた不幸中の幸いで、発達障害業界、吃音業界、高次脳機能障害業界に携わるのです。おそらく、この3つの業界全部に携わる人はいないと思います。発達障害業界に深く関わる言語聴覚士は「吃音業界に携わる言語聴覚士が2005年からの発達障害支援者支援法を隠していること、吃音はかわいそうな障害者じゃないよとおしえること、言語聴覚士協会はJDDネットに入っているのにね…」と考えていたわけで。吃音業界のことをとても心配していた人はいます。というように、縦割り社会になっているわけです。高次脳機能障害業界の場合はどうなのでしょうか?吃音業界の吃音至上主義と同じように、社会保障制度を利用するのは恥ずかしいことだと思っている人もいるのでしょうか?

発達障害業界の言語聴覚士は、精神障害者保健福祉手帳の取得方法や申請方法を深く理解している(上述した困りごとの表現方法、吃音による精神障害者保健福祉手帳申請書類)、精神科医師とも協力しているはずなので、発達障害当事者の困っていることを深く丁寧に質問し聞き出し。それを申請書類に書いてくれるのだと思います。

これを高次脳機能障害業界の医師、言語聴覚士が熟知すれば、もっと精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性が広がるのではないかと考えます。

しかし、発達障害と精神障害とはことなる、身体障害として考え方が【申請され、審査する側の医師にあるとすれば】たしかに失語症や高次脳機能障害の人が困っていても精神障害者保健福祉手帳を取得できないという実態もあるかもしれません。いずれにせよここを調べないといけないのかもしれません。
となると、発達障害業界の医師、言語聴覚士と高次脳機能障害業界の医師、言語聴覚士の連携が必要になる、情報共有が必要になる。【発達障害と失語症で同じ困りごとなのに、こっちは取れた、こっちは取れなかった】の診断書の突き合わせ調査が必要になるのではと筆者は考えます。



――毎日新聞の社説 発達障害の場合は認められるのでは?という切り口で書いてほしかった

失語症を扱った毎日新聞社説が2020年4月4日に出ています。なんと世界自閉症啓発デー、発達障害啓発週間のときに報道されていました。しかも4.25は失語症の日というものができたようです。ダウン症と世界自閉症啓発デー、HIV啓発のように予算がつけば大規模な啓発活動に今後つながりそうです。

脱線しました。

毎日新聞社説 失語症への支援 社会復帰の施策が足りぬ

毎日新聞の社説ですが。身体障害者手帳の等級の枠を広げて、高次脳機能障害の人もっと取得できやすくすべきというように書いてあります。

しかし筆者は先程からずっと書いているように。まず

同じ困りごとなのに

失語症の場合は精神障害者保健福祉手帳を取得できない

発達障害の場合は精神障害者保健福祉手帳を取得できる

問題を取材報道したほうがよいと思います。
そしてゆくゆくは、身体障害者手帳や療育手帳(自治体によって数値のひらきがある)は数値や明確な基準が必要で、精神障害者保健福祉手帳はそうではない。しかし失語症の場合はなぜか厳しいのではないか?

という切り口で取材してもよかったのではないかと思います。幸いにも毎日新聞社には「発達障害やひきこもりやセクマイ」を取材するのを得意としている記者さんがいます。「吃音」を取材するのを得意としている記者さんもいます。
「失語症・高次脳機能障害」を取材するのとを得意とする記者さんもいるでしょう。

毎日新聞の社内の記者さんだけで。多くの情報収集はできるわけです。
そしてその事例を厚生労働省の担当部署に質問すればよいわけです。
結果的には、障害の程度、重さの明確な基準は身体障害者手帳として必要になるかもしれないが。日常学校職場で困っていることを基準にしてもよいのではないか?発達障害の場合は更新制度はいらないのではないか?などに、報道機関として問いかける内容をもっと深堀りできるはずだと考えます。身体障害手帳が無理なら、スムーズに精神障害者保健福祉手帳を選択できるという流れがガイドラインが必要になるわけです。ここは吃音と同じです。しかし、軽度吃音で精神障害者保健福祉手帳を取得できるのに、軽度失語症(吃音の軽度の人同じくらいの喋り方でも)では精神障害者保健福祉手帳が取得できないのはおかしくない?という報道があればと考えます。


―― さいごに 失語症当事者・家族 医師、言語聴覚士、支援者は一度大規模な障害者運動をしたほうがよいのではないか?

筆者が考えるのは「過去記事」でも触れましたが。
今回のTBS報道特集をみて、困っている失語症当事者さんがいることがわかり本当に心が痛みます。「ええーあの困りごとなら発達障害としての申請なら通るのでは?」と思うわけです。

高次脳機能障害・失語症業界はまず、発達障害業界とつながること。そして例えば毎日新聞なら発達障害記事を得意にしている記者さんとつながること。身体障害記事を得意にしている記者さんとつながること。そして診断基準などが曖昧なのではないか?日常学校職場で困っているなら取得できるようにしてほしいなどの部分を厚生労働省に問い合わせ取材するように動いてもらえばよいのです。

その次のステージは国会議員さんも巻き込んで、国会または厚労省委員会で取り上げてもらうことです。(ここらへんはとても大変なステップがあるため、筆者に連絡をいただければ色々お伝えできることはあります。場面緘黙業界の方は私からの助言で事態が好転しています)

まずは高次脳機能障害、失語症のみなさん。
一度、「何かへんじゃない?」と思う人で集まってみればよいのではないかなと。


2020年5月5日火曜日

吃音当事者は天才 秀才 優秀 頭の回転が早い すごい先輩がいる という件について

―― 吃音のある人は本当に頭が良いのか 社会的に成功した人になれるのか?

吃音業界の不思議の1つに。
吃音のある人は、天才 秀才 優秀 頭の回転が早い すごい先輩がいる論があります。

とくに吃音のある子どもやその保護者向けに「吃音のある子どもはこんなに優秀なんです。安心してください。なぜなら吃音を持っている有名な人はこんなにいます」的な意味合いでこれらの表現をする吃音当事者、吃音先輩は本当に厄介です。とくに医療従事者や支援者や学校教員がこういう発言をしているときは。一歩引いてそれらの情報を受け止めましょう。

当事者さん・保護者さんは、吃音の暗黒面である、吃音至上主義に落ちないでほしいのです。
また、吃音至上主義に取り込まれてしまうと。吃音の他に子が当事者が、自閉症スペクトラム、ADHD、LD、トゥレット症候群を持っているかもしれない可能性。吃音の他にそのほかの発達障害でも困っているということを見落としてしまう可能性もあるのです。早期発見をして幼少期から使える選択肢を行使し本当は適切な療育をしていればよかった機会喪失をしてしまうこともありえます。吃音業界の団体、吃音業界の有名な人、吃音業界に関わり深い医療従事者や支援者、教員が話すことは本当かな?と考えてほしいのです。

吃音業界だけでは偏向した情報を入手しているかもしれない。
と思う人は。まず発達障害業界につながってほしいです。

吃音も吃音以外の発達障害があっても、吃音至上主義に染まってしまい学校で合理的配慮を申請できなかった事例もあり、もっとはやく制度を知りたかったという保護者さんもいます

関連記事 【保護者必見】吃音の子どもを育てる立場の人はどうしたらいいのか?どうやって合理的配慮を発動する? 保護者に向けたガイドライン

吃音をカミングアウトしているという吃音者の先輩の就職体験談を聞くときに気をつけることとは?



吃音を持った人にはとても優秀な人が、歴史に名前が残る人がいる

総理大臣、議員、王族、医師、看護師、弁護士、経営者、取締役、一部上場企業勤務、国家公務員、地方公務員、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、エンジニア、陸上自衛隊で陸佐、航空自衛隊のパイロット、海上自衛隊の潜水艦乗組員、消防員、救命士、学校教員、精神保健福祉士、社会福祉士、スポーツ選手、レーサー、アナウンサー、芸能人、音楽家、表現者。などなど。

こういう偉大な先輩達がいますよ。という説明は本当に困ったものです。
これは吃音以外の発達障害、その他の障害や難病でも全く同様です。
歴史上のあの人物は発達障害があった、2019年現在生きているあの人も発達障害だ。
だから僕も私も、うちの子どももきっと天才に違いない。
有名な人になれるはず。

たしかに一時(いっとき)だけはその言葉、その表現に安心する当事者、その家族保護者はいるかもしれません。しかし本当にそうでしょうか?先程も書いたように他に発達障害があった場合、早期発見早期療育をしていれば―。機会喪失にもなります。吃音も吃音以外の発達障害も早期療育が大切になります。

―― 都内にてホームレス支援をするNPO法人があります。
(今の新型コロナウイルス感染症の情勢の中、とても頑張っているところです)
ここの職員さんの話として、「路上生活者をしている人の中に吃音の人がいましたよ。吃ってました。昔は工場やトラック運転手として働いていたそうです。そして流れに流れて今の生活になった。吃音の人はそこそこいますよ。路上生活者の方もいれば、障害者施設やGHでも、精神科病院でずっと入院(帰るところがない・社会的入院)している人の中にも……」ということでした。

不思議ですよね。吃音業界のでよくある「吃音のある人の体験談集」、吃音のある人のエピソードでは全く出てこない事例です。いつもキラキラ系の内容が多いと思います。


別の事例として、ひきこもり歴●●年で父母の年金で暮らすひきこもり当事者の中に吃音のある人がいるという事例もあります。

実のところ吃音のある人はいろいろなところにいます。たまたま吃音業界の、吃音当事者会に団体に参加できている人がいる一方、そこには参加しない人接点がない人、または吃音とは別の当事者会に参加している人もいます。発達障害・精神障害を持った人、知的障害を持った人の中にも吃音を併存している人もいます。発達障害があることを先にわかった親子や当事者は先に発達障害業界につながるので。ここもあります。


―― 吃音業界で働く医療従事者はなんとなく気づいている

吃音業界の人で、吃音者の団体に出入りしつつ。本業は精神科で働く医師や看護師、社会福祉士や精神保健福祉士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士として働いている人もいるでしょうか?

働く場所が病院であったり、障害者施設等の場合、そこを利用するお客さん、メンバーさん、利用者さんの中に「吃音児者」がいるでしょう?
そうです。そうなんですよ。
吃音業界で活躍する医療従事者や支援者、研究者や学校教員や保護者であったりが。「吃音の人は頭の回転が早いんだ、吃音の人は優秀なんだ、頭で思いついたことが言葉として出てこないんだ」と説明する人がいてなんかモヤッとイラッとしませんか?

福祉の現場で働く人、福祉の現場に近い病院ほどそう実感しませんか?
吃音業界の医師や言語聴覚士は1年から2年ほど色々な障害者施設等で実習したほうがよいと思いませんか?

一番大切なのは発達障害業界のように、発達障害のある人は優秀な人もいる、ボーダーラインの人もいる、療育手帳を持つ人もいる。いろいろな人がいる。生まれ育った家庭が発達障害に理解がある場合もない場合もある。困っている人もいればそうでない人もいる。
と説明をされることですよね。そして困り毎に応じて社会保障制度も利用できるということもわかります。使うか使わないかその人のイズム、ポリシーによります。

結果として発達障害はとても多様であるから。という説明が令和時代になってからは若い発達障害当事者でもそれ知ってるよということもあるので。吃音業界と違って良い方向に行っているなと感じます。発達障害業界も2005年ころは「発達障害は天才。天才発達障害の育て方」みたいなブームがありそういったイベントや講演会、書籍の販売がありましたが。今はそうではなくなりましたよね。一部まだそういったお話もありますが、その発達障害業界が辿った道を、同じ轍を踏む吃音業界は本当に心配です。

発達障害のある子の保護者家族も最初は子の障害受容ができない。障害児を出産してしまったと悩み葛藤する時間もあり、それを乗り越えて。自分の子にあった方法を制度を使っていこう。使い倒していこう。他の保護者と相談してみよう。と行動をしていく方もいます。

吃音業界はこういうところも周回遅れになっていて本当に不安ですよね。
吃音のある子どもに「吃音の人は優秀で、回転がはやいからだよ」、「社会保障制度を使うこと、合理的配慮申請は恥だよ」なんて教え込まれたら、その子どもが大人になったときに他の障害者や難病者であったり、性的少数者を差別する人、吃音至上主義になってしまいますよね。障害者が障害者を差別する、マウントを取る等。悲しいですよね。


―― 吃音のある当事者、吃音のある学生、他の人の体験談を吃音当事者や家族が聞くときはどうしたらいいの?

関連記事
【吃音Q&A】吃音のある人の就職活動ガイドライン 吃音者はなぜ就職困難者が多く、一方で成功している吃音先輩は後輩を助けないの?


これはとても重要です。
消費者庁が行った 「打消し表示に関する実態調査報告書」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170907_0003.pdf があります。

この報告書の中に興味深い表現があります。
テレビやラジオ、インターネットでの通販でよく使われる文言です。
これを吃音のある先輩、吃音のある成功者モデルの体験談を聞くときに思い出してほしいのです。吃音の話、体験談集などはあくまでも、その人だけにおきたことです。すべての吃音者には適用されません。そもそも生まれ育った家庭がとても裕福だったら、そうでない吃音の子の家族は、お金がなくて、それと同じ環境にルートに入ることすらできませんよね。

あと、発達障害が治ると言われる。謎の水。謎の植物エキス。サプリメント、飴玉とかこういうのにも吃音業界の保護者さん気をつけてくださいね。これも弱者や障害者やその家族を狙うビジネスです。お気持ちビジネスです。



体験談型 体験談に関する 注意書き 楽しく ダイエッ ト!! 毎日すっきり起きて、 体重が5kg減り、着られ なかった服がぶかぶか になり、周りからほめら れるようになりました。 



・「個人の感想であり、効果には個人差があります」 ・「個人の感想であり、効果を保証するものではありません」 ・「個人の感想であり、 効果、効能を表すもの ではありません」


非保証型 (体験談を記述 せずに、)効果、性能 等には個人差がある旨や、効果、性能 等を保証するもの ではない旨を述べ る注意書き 10 時間効果が持続!! 




・「結果には個人差があります」 ・「気持ちを表すもので、効果効能を保証するものではありません」



――他にもこういうのありますよね?

吃音業界の人が、吃音のある先輩、吃音のある大人、吃音のある人を育て上げて成功者にしている保護者や学校教員、支援者の話の中で、吃音のある人の体験談集の中で。必ず、吃音があっても大丈夫。という人がいますが。

何がどう大丈夫なのかわかりません。前述したように都内のNPO法人で貧困問題や路上生活者支援をしている団体職員からの話だと路上生活をしている吃音者がいること、ひきこもりの会の話から、ひきこもっている吃音者もいるんだよ。情報が出てきているのです。

成功事例ばかりを伝えずにちゃんと360度すべての情報を伝えていってほしいところです。吃音業界はこういったことを見て見ぬ振りしていました。挙げ句に2005年からあった発達障害者支援法を「なぜか見落とした」ことになります。JDDネットには、吃音関係の団体が正会員になっていた時期もありますし。日本言語聴覚士協会も正会員です。不思議です。もしもしっかり吃音が発達障害者支援法に入っていたことが2005年から周知され障害者運動が起きていれば。自死する人も減り、令和時代に吃音のある子の保護者になった人が涙を流す、どうしたらいいかわからない、なんでこんなに病院がないの。ということは避けられたに…。

その上で。じゃあ吃音業界のキラキラ系・成功者系、当事者や保護者の話や体験談集を読む聞くだけでは、自分の困り毎、子の困り毎、家庭の困り毎は解決しないと思った場合。発達障害業界の団体、支援者や当事者に相談することも大切なんじゃないかと思います。

吃音のある子どもの保護者さんも、発達障害のある子どもの保護者さんと情報交換して、どうやって学校で「合理的配慮やXXXX支援計画を発動すればいいの?」を教えてもらったほうがよいと思うのです。発達障害のある子どもにその苦手な特性があるのに無理やり失敗しそうなこと、辛く悲しいフラッシュバックする思い出にならないように。これはやらせないでください。別の方法で評価してくださいというときはちゃんと学校側に伝えますよね。そういうのも吃音業界では情報が不足していて。吃音があっても人前で話させる、無理やり発話発語させる環境に誘導していく。こういう間違った対応をする教員もいますから。


―― さいごに

まず、吃音業界で、吃音者は優秀。
頭の回転が早い。
吃音者は他の障害児者より優れている。あの人たちと同じになってはいけない。
といった言動を耳にしたときは。一度冷静に考えてください。なぜ吃音業界が障害者運動をせず。令和時代になっても大きく悩む保護者がいるのか……。
それは分断ではないか?
それは差別ではないか?