2016年11月28日月曜日

2016年11月27日 東大スタタリングが駒場祭で吃音をテーマに演劇を披露 その内容はセルフヘルプの限界を指摘するものだった

◆筆者感想 

2016年11月27日、東京大学駒場祭の最終日でした。
東京大学スタタリングという学生サークルでは吃音をテーマにした演劇がリーディング形式で披露されました。今回の演劇は、もっともっと100回でも上演してほしいです。
吃音業界のことをこんなにコンパクトに短時間に伝えることができる脚本はこの世にありません。東大スタタリングの今回の劇は問題提起としてわかりやすいです。この脚本は実在の人物に着想を得て創作している内容だと思われますので、非常にリアリティのある作品です。



今回の演劇のテーマは「医療従事者やソーシャルワーカーが見守り役として参加しない、当事者しかいないセルフヘルプグループが如何にして価値観の違いを受け入れず、排除し、腐敗し、崩壊するのか?」という第三者が参加しない当事者会、ソーシャルワークの失敗事例を扱ったことなのかなと筆者は感じました。

この演劇をみた一般の人も、「この当事者会ちょっと怖い。絶対参加したくない」と感じたはずです。医療従事者からみれば「うわー相当こじらせている当事者会だな。今までソーシャルワーカーが参加していないのかな?これはできれば遠慮したい。呼ばれても行きたくない」と感じるレベルです。

劇中にて吃音は障害か障害ではないか?という「内に秘めたる優生思想を問う」シーンも演じられます。これも医療従事者や支援者、他の障害者や難病や社会的障壁のある人が見れば、「うわわああ。吃音者…うわわああ」となんともいえない感情を持つでしょう。

吃音が障害か障害ではないか?
一冊の書籍があります。 『障害を持つ息子へ ~息子よ。そのままで、いい。~ | 神戸 金史』これを読んでほしいと思います。内に秘めたる優生思想や相模原殺傷事件のことが扱われています。



東大スタタリングの詳細はコチラ
http://ut-stuttering.wixsite.com/start

毎日新聞社でも事前記事がありました
http://mainichi.jp/articles/20161116/k00/00e/040/223000c


毎日新聞記事によると

 昨春発足したサークルの名前は、英語で「どもること」を意味するstuttering(スタタリング)からつけた。代表で、今回の脚本を書いた山田舜也さん(25)=同大大学院修士2年=は「吃音は、当事者によって公的支援が必要な障害と考える人がいる一方、個性や話し方の特徴と受け止める人もいる。当事者同士が意見の食い違いで衝突することも少なくないので、今回の脚本は『対話』にこだわった」と解説。山田さんは「対話を通じて人間関係が変化する描写を心がけた。演劇を通じ、吃音者を取り巻く複雑な現実を社会に伝えたい」と話す。

と書かれていました。
東大スタタリング演劇の本番、まさにその通りの内容でした。


吃音者の主義主張の違い、派閥抗争があることが演劇の中でも、それぞれの当事者や支援者の演技という形で表現されました。

この演劇の最重要点は「医療従事者やソーシャルワーカーなど国家資格などを持った支援者が参加しないセルフヘルプグループ、当事者団体はどのように悪い方向へどんどん陥って行き、不利益・不都合なことが起きるのか」という部分でしょう。

今回の演劇を精神医療・発達障害医療に携わる医師、看護師、精神保健福祉士、社会福祉士、言語聴覚士などが観劇すれば「あまりの見事な教科書に掲載されるレベルの失敗事例」だと認識し観劇中でもウズウズ、ソワソワするような内容でした。吃音業界、吃音当事者を支援する場合は困難事例が多いのだろうと認識するでしょう。

東京大学と言えば、熊谷さん、綾屋さんが携わる「おとえもじて」という発達障害者の当事者研究も存在します。ここでは、安心安全のためのルールが決められていること、言いっ放し、聞きっぱなしの手法、どうしても悪い事態になりそうなら運営スタッフがそれを食い止めるということもあります。一般に言われる発達障害者の支援者も今回の東大スタタリングの演劇を見れば、「吃音業界は相当病んでいる。支援困難事例だ。」と感想を持つでしょう。

おとえもじて
http://otoemojite.com/


吃音業界とは長い長い間、本当に当事者のみの世界で成立していました。

例えば、第三者視点の医療従事者やソーシャルワークをできる人が吃音者の当事者会に参加していれば普段は最小限のサポートをしつつ、意見の衝突や考えの押し付け合いや人格攻撃がはじまりそうな場合、吃音は障害ではない、障害者はそもそも可哀想な存在で吃音者は可哀想な障害者ではないと他の障害者を見下す思想、さらに発展した考えや主義主張の対立に空中戦、それが発展し派閥抗争になり、ハルノートが提出され当事者団体の分裂になる前にそれを食い止めて、安心安全な当事者会、居場所を守ったはずです。

吃音業界はこれが無かったのです。
本当に医療従事者やソーシャルワークができる人が、所属しない当事者だけの団体というのは歪みや不利益や不都合なことが起こる、どんどん狭い世界で物事や価値観が共有される、日本赤軍や連合赤軍などと似ているかもしれませんね。吃音業界は。

もしも、吃音当事者団体に医療従事者やソーシャルワーカーが参加し、運営にもご意見番として携わっていれば、2005年の発達障害者支援法を吃音者が見落とすということもなかったでしょうし。仮に吃音が発達障害者支援法に入っていることを隠そうとする動きがあったとしても、それに対抗するパワーもあったでしょう。

少なくとも2014年7月3日に吃音が発達障害者支援法に入っていました!なんて寝耳に水、青天の霹靂な状況にはならなかったはずですし、吃音を苦にした自殺もひきこもりを発生しなかったはずです。「一般社団法人 日本発達障害ネットワーク JDDnet」という発達障害者の連合体にも、2005年から2012年?まで吃音業界の団体である「NPO法人 全国ことばを育む会」が正会員として参加した過去、「一般社団法人 日本言語聴覚士協会」も2007?2008?から現在に至るまで参加している現実があるのだから吃音が発達障害者支援法に含まれていたことは、2005年から知ることができた人はいたわけです。それでも2016年現在でも、吃音が発達障害者支援法に入っていたなんてことは初耳だというテイで責任から逃れようとしている方もいますが。自責の念で潰れることはないのでしょうか?後悔の気持ちはないのでしょうか?と心配になります。



東京大学の学生の視点だと、瞬時に吃音業界の闇を見抜けるのでしょうか?
筆者がこれを認識するのにX年かかっているのに、東大スタタリングの方々はもっと短期間にその闇に気づいたわけです。東京大学の学生は本当に優秀だと思いました。次回は吃音業界を当事者研究する!をテーマにしてほしいなと個人的に感じました。

この深い深い吃音業界の闇に切り込んでくれた東京大学スタタリングという学生サークルには心から感謝の気持ちを表明します。ありがとうございました。

今後も東京大学という多種多様な価値観、多種多様な学部、吃音以外の障害や社会的障壁がある学生や教員などの視点、東京大学という高度な知識を持った学生や教員からの視点などにより吃音業界に意見表明をしてくれることを祈ります。外部から指摘されないと吃音業界は気付くことができない状態に現在陥っているからです。




◆東大スタタリング 「ことばがひらかれるとき」 詳細
(記憶違いがあるかもしれません ご容赦願います)

●会場の待ち時間と終了時のBGMは藤原さくらさん

●場面設定
駒場 夢言会(ムゲンカイ)という吃音当事者団体の例会

●登場人物
・ミッキーさん(本名はヤマネ) 男性 夢言会初参加という設定
初参加の吃音者なので「吃音業界タブー」を知らないので、どんどん爆弾を投下する。ボンバーマン。

・トバさん 副会長 男性 会の運営に徹しているよう見えた。

・コイワさん 毎朝新聞の記者 中国出身で吃音当事者 男性 
吃音者にもいろいろな選択肢があるべきだと考えている人。障害者手帳など社会保障制度のことを訴える。中国出身のため、ダブルマイノリティ。

・サシマさん 介護職員 男性 吃音当事者団体で社会的支援の運動をしていたが、吃音業界の体質に辟易しているよう すでに吃音当事者団体からの卒業を心に決めている 
自閉症スペクトラムっぽいキャラ設定 他人の会話に急に割り込んでくる 受動型ASDのようで仕事を断れないタイプ 終盤で癇癪を起こす 会からも離脱?

・ヤギさん 自営業でスペインバル経営者 初代会長 男性 
吃音が障害ではなく個性だと思っている。
最初からコイワさんとは仲が悪い? 喫煙所で挨拶をしなかった場面がある。無視している?
吃音者の中に実在するギャグ発言を得意とするタイプ そのキャラが処世術なのか? 本当の性格なのかは不明

・トガワさん 吃音当事者ではない 父親が吃音者 それに影響され吃音を研究する立場 女性
吃音を研究する立場であり、吃音治療や改善のために実験協力や専門職としての助言もする


・イヌイシさん とても吃音が重度な人 
サシマさんが癇癪を起こして会場から退出する際に サシマさんへ感謝の気持ちを伝える サシマ
さんがいたからこそ―。と。


●演劇内容

―――当事者が集まりだす

どこかの施設?で駒場夢言会という当事者グループ(セルフヘルプグループ)の例会をしている。

最初の場面、トバさん。初参加のミッキーさんがやってくる。

お互いに自己紹介で吃る部分があるとあるあるネタを披露。

その後、コイワさんがやってくる。

コイワさんは新聞記者でありながら、自身の吃音について情報発信をしている。

つい最近あった、吃音者団体の全国大会も取材報道したという。


サシマさんがやってくる。

タバコを吸っていたそうだ。喫煙所の場所をコイワさんに教える。

トバさんは今日は飲み会もあるよとミッキーさんに伝える。サシマさんも参加しますよねと誘う。


サシマさんは今日は引き継ぎのための書類を持ってきただけ、あとは君たちにまかせるよ的な言い回し。

そこにヤギさんがやってくる。コイワさんとすれ違いませんでしたか?喫煙所にいたでしょう?と言われるが『知らないフリ』をする。

ヤギさんは「ディズニーシー」が発話できないため、他の人に言わせる。(吃音者によくあるネタ)

サシマさんはもう当時者会から卒業するような言い方をする。トバさんが次だという。



トガワさんがやってくる。(トガワさんはこのまま特に発言なし)

こないだの全国大会でも分科会を担当したようだ。


コイワさんが喫煙所から戻ってくる、ヤギさんが気づかなかったという説明をするが、微妙な空気になっている。




―――当事者が集まったので会が開催

それぞれの自己紹介、近況報告。

コイワさんから自己紹介

先日は吃音の記事に協力ありがとうございましたとトバさんから感謝される。

吃音が全国紙に報道されるなんてすごいよねとトバさんが持ち上げて。全国紙の1面に乗るなんて初めてなんじゃないの?と

(するといきなり会話に割り込むサシマさん ASDっぽい)

サシマ『いやかなり前にもあったよ40年くらい前だよ』 

サシマさんの発言を華麗なスルーで、コイワさんが発言を続ける。




イヌイシさんの自己紹介

イヌイシさんは吃音が重度な設定。

かなり自己紹介に時間がかかる。

32歳なので、結婚を考えています。こないだ街コンに参加してみました。

ぜんぜん喋ることができなかったとのこと。




トガワさんの自己紹介

トガワさんは吃音者ではない。大学で吃音の研究をしている。

全国大会でも分科会を担当したとか。



トバさんの自己紹介

現在は休職中?求職中?のトバさん。夢言会の副会長。

先日、トガワさんの実験協力をしてきたとのこと。



ヤギさんの自己紹介

お店で注文を取るときに困ることがあるけどたいしたことない。



サシマさんの自己紹介

夢言会の活動を後輩に引き継ぐという。



ミッキーさんの自己紹介

初参加の人。大学四年生で、11月なのに就職が決まらないという。

書類選考は通過するが面接の後に不採用通知がくるそう。

みなさんはどうしているのか聞きたい。



―――トバさんがトイレにいくため 仕切りをヤギさんに託し フリートークに

ミッキーさんが、いつもこんな風にはじまるのですか?と質問

ヤギさんがこういうのを自助グループというんだと。


ミッキーさんはすごくうれしいです。自分以外にも同じ悩みをもった仲間がいることに安心しましたという。

ヤギさんは安心して吃りなさいよという。

トガワさんみたいな当事者ではない専門家もいるけどと余計な事を口走る。



ミッキーさんは、トガワさんはどのような研究をしているのですか?と質問

トガワさんは理工学部で吃音者の脳の研究をしているという。

父が吃音でそれが吃音に興味をもったキッカケだという。吃音とはどのような感じなのか知りたいという。



コイワさんが当事者でない人が吃音を知るのは難しいと会話に割り込む。

吃ることを読者に伝えるのは難しいという。

世間から理解されないので、まずは世間に知ってもらうことが大事だという。



サシマさんが知ってもらってそれでどうするわけ?知ってもらったら吃音者の悩みって解決するものなの?


まぁまぁサシマくんもっと和やかにとヤギさんが発言。




ミッキーさんはトガワさんが吃音の研究しているので、吃音の治し方、服薬とかあるのかと質問する。



毎度おなじみサシマさん。
吃音は治らないよ。言語訓練、認知行動療法、XXXXXXXX方法など(筆者 聞き取り不能)、確実に完全に治る方法は存在しないのに専門家はお金を俺たちから巻き上げるんだよ。


ミッキーさんは、じゃあ吃音はもう治らないのかという。


トガワさんは、確実に治る方法はなく、子どものときに治らないと大人は難しい。確実に全ての人に効果あるものはないが、症状の軽減や悩みの軽減はできるという。


コイワさんがここで社会的支援や障害者手帳制度について説明をする。社会保障制度について述べる。

もちろんお約束のサシマさんが食いついてくる。


ミッキーさんは、吃音は障害者だったんですか??と驚く。



またサシマさん。
サシマさんは、そういうヤギさんは吃音についてどう思うのか?という。

ヤギさんは吃音は個性で治すべきものでもないという。



ミッキーさんは、吃音で困ることはたくさんあるのにどうして吃音を治すべきでないものと思えるようになるのですか?という。



―――トバさんが戻ってくる

トバさんが、ミッキーさんに話し合いたいテーマはありますか?と聞く。

ミッキーさんは「吃音は治すべきか 治さないべきか」を知りたいという。


トバさんはいきなりすごいテーマ持ってきたね。いいね話し合おうと承認。


サシマさんは職場からタイミングよく電話がかかってきて、一時離席。

その間にミッキーさんからサシマさんは何かあったんですか?(いろいろ噛み付いてくるから)と質問


サシマさんの話をヤギさんトバさんがはじめる。

サシマさんは頑張り過ぎちゃう人なんだ。
仕事をなんでも引き受けてしまうサシマさん。事務や調整の仕事をしているという。
社会的支援の仕事もしていたという。ヤギさんトバさんがサシマさんに感謝の気持ちと、なんでもやってもらっていて悪かったと後悔の気持ちを述べる。

(筆者が、サシマさんは、「断る力」がない、周囲に依頼されると断れない受動型ASDっぽいと感じたところ。最初は頑張って仕事をこなしていても、なぜ自分だけこんなにしているんだと気付くと癇癪を起こす周囲に敵意を向ける。または仕事そのものが能力をオーバーして癇癪を起こすより前にぶっ倒れて、うつ病や適応障害になるパターンもある。最悪、入院になることも)





サシマさんが戻ってくる。

サシマさんが言うには「施設の利用者が亡くなった」がよくあることなので、すぐに向かう必要はないとはなしている。



―――改めてミッキーさんの質問に戻る

ミッキーさんは吃音を治したくないとヤギさんが発言したこと、どうしたらその考えにたどり着くのか知りたい。


ヤギさんは言う。
吃音は今のところ、治す方法はないし原因も不明なんだ。
それを治したい治したいと思うのは辛いことだと思う。
自分を否定することだと思うんだ。


ミッキーさんは言う。
じゃあ治す方法がないから、寧ろ治らないほうがいいって思うことにしているんですか?


ヤギさんは言う。
いやーその。どういうふうにいえばいいのかな。
例えば、ハゲとか顔がよくないとかコンプレックスになったりすこともある。
でも、だからといってみんながみんな整形手術やカツラを利用することはない。
受け入れる人もいるじゃん。


ミッキーさんは言う。
吃音はハゲや不細工と同じようなものだということですか?


ヤギさんは言う。
いや、そういうとちょっと乱暴な言い方だけど。
どうしようもないコンプレックスって開き直るしかないじゃない。
受け入れるっていうか、気にしないっていうのが1番なんじゃないのかな。
吃音は気にしなくなるよと症状も軽くなると言うし。


ミッキーさんは言う。
吃音は気にしなくなると、軽くなる?改善するのですか?


トガワさんは言う。
吃音はどうしても治さなければいけない、吃音が劣ったものだと、吃音に対する否定的な認知や感情を修正することで、吃音を改善する方法はたしかにありますね。


ちょっといいですか?? コイワさんは言う。
私はヤギさんの意見に全く共感できません。
私は吃音により学校でも会社でも対人関係でものすごい苦労をしてきました。
だから吃音は個性だという考え方は受け入れられません。
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)


ヤギさんは言う。
そういわれるとちょっと厳しいなぁ。

コイワさんは言う。
人とうまくコミュニケーションしたいというのは当たり前の気持ちです。
研究者の人には、ぜひ、吃音を治す方法も研究してほしいと思います。

また、吃音者が望めば、誰でも障害者手帳を取得できるようにこれからも社会的な運動をはじめなければならないと考えています。



―――吃音は障害なのか?
ミッキーさんから質問

吃音は障害なのですか?
たしかに吃音は治したい。治したいと思うのは当たり前の気持ち。
でも、吃音者が障害者というのは何か変な感じがする。



トバさん。
なるほど、吃音が障害か障害ではないか? どうなんですかトガワさん。


トガワさんは言う。
うーんそうですね。
難しいですね。
もちろん当事者が障害か個性かとらえるのはその人の自由です。
ただ、実際はどこかで線引をしないと医療や社会保障の対象にならない。
医学的な見地だと流暢性障害という分類されています。
そういった意味では障害に含まれると思います。



コイワさんは言う。
吃音は障害ですよ。
吃音で障害者手帳を持っている人もいます。
でも、それはとても限られています。その状況は改善しないといけません。
手帳がないと支援をすぐに受けられませんからね。


ミッキーさんは言う。
でも支援、支援って言いますけど。
吃音って別に車椅子とか点字ブロックが必要なわけじゃないし。
どう助けてほしいかわからない…。


コイワさんは言う。
いま、1番問題なのは新卒の就職活動です。
新卒採用でもっとも重視されるのはコミュニケーション能力です。
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
だから吃音は障害だと受け入れて、障害者雇用枠を利用できる選択肢を増やさないといけない。


ヤギさんは言う。
あのーちょっといい?
吃音があるからって必ずしもコミュニケーション能力が低いとはいえないんじゃない?
田中角栄だって吃音をもっていて、吃りながらめちゃくちゃ演説がうまい人もいるし。


コイワさんは言う。
そういう人はそれでいいですよ。
私が言っているのは社会生活で困っている人のことです。
障害者手帳を取得できるようにしておかないといけないですよ。

ヤギさんは言う。
でもさ、手帳を取得することではなくて、吃音を持ちながらどうやって前向きに生きていくことのほうが大事だと思う―。



ミッキーさんは言う。
症状が軽い人はどうすればいいですか?見られてしまう人はどうしたらいいですか?
僕はいま話せていますけど。
手帳とかは無理だと思うのです。
障害者手帳を取得できない人はどうしたらいいですか?


トバさん。
サシマさん詳しいですよね。お願いします。


サシマさん。
トバさんだって詳しいでしょ。別に俺にふらなくても大丈夫でしょ。


トバさん。
私がこたえます。
2016年4月に障害者差別解消法が施行されました。
障害をもっている人(筆者補足 障害に限らず難病も)が何か困りごとがあるときに申し出れば
役所やお店は過剰な負担にならない範囲でちゃんと対応をしないといけないという法律なんだ。
合理的配慮というんだ。



ミッキーさん。
それは吃音者にも当てはまるんですか?

トバさん。
ええ、この法律は障害者手帳所持の有無はとわないんだ。

ミッキーさん。
吃音への配慮はどういうものが?

トバさん。
たとえば、筆談の対応。人口音声の利用を認めるとか、挨拶ができなくても怒らないとか。
まぁ、吃音者への合理的配慮が過剰な負担になるとは考えにくいからちゃんと配慮してもらえると思います。

ミッキーさん。
でも筆談とかって、話さないように済むっていうするってこと?

ヤギさん。
筆談って話さないよう済むようににすること。そうじゃなくて吃りながら、話すことを諦めないことがとても大切なことなんじゃないの?


コイワさん。
いや、だから。そういう配慮を受けたいかは、個別の対話で決めることで。第三者が決めることではないですよ。

ヤギさん。
でもそれでいいのかな?人それぞれってことで、みたいにまかせてしまった。
吃音だから、話すことから逃げるのはよくないことだと思う。


ミッキーさん。
でも、そんな風に配慮してほしいとか、特別扱いしてほしいってなかなか言いにくいですよね。
僕はできれば周囲に自分が吃音だと知られたくないです。


トバさん。
配慮を受けるために、カミングアウトしなければいけないのは大きな問題ですよね。

コイワさん。
でもそれは仕方ないですよね。
吃音が障害者と思われたくないという感情は、ある意味「障害者」を差別に加担していることです。


ヤギさん。
僕は吃音者は障害者なのかな?って思うけどね。
障害者というほどの重い障害ではないと思う。

ミッキーさん。
喋るのが苦手なのにしゃべらないといけない。矛盾していませんか?
そもそも吃音者が抱える困難って急に頼んでもしかたないことが多いと感じる。

バカにしないでほしいというのはありますけど。基本的に周りのひとは何もできないですし。寧ろ何もしないでほしいと…。

そもそも人口音声とか筆談とかしゃべらないっていう選択肢を希望するでしょうか?


???さん
トガワさんどうですか?


トガワさん
え???私??


ヤギさん
いやーやっぱり僕はね。
吃音は社会で取り組むべき問題なのかな?って思うよ。
障害というのはあんまりよくないと思うよ。
実際にいままでほとんどの吃音者は障害者手帳なんてなくても吃音をうまくやってきたと思うけどな。


コイワさん。
ヤギさんは吃音は障害と認めながら、吃音をXXXXX(筆者 聞き取り不能)
吃音は個性的なものだけど、障害はXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
やっぱり他の障害者に対する差別なんじゃないですか?

ヤギさん。
で、でもさ、筆談や人口音声を使うのは、自分の身体を否定していることになる。
吃音を含めて自分なんだから。
やっぱり障害だといって障害者手帳に頼るのはあんまり良いことではないと思うよ。どうやって吃音と上手く付き合っていくかが大事だと。


コイワさん。
ヤギさんみたいな人がいるから。ダメなんですよ。
みんながみんな前をむくことができるかはわかりません。困っている人もいるんです。


サシマさん 癇癪を起こす
(俳優の藤原竜也さんが演じる「゛」濁点が全てにつくような話し方になる)

うううう!!!!!
め めんどくさいんだよ

なおすとか なおさないとか ぜんぶ どうでもいい

いつまで こんな 小さな意見をグチグチとさ。周囲からみたら滑稽だよ。

びびょびょびょびょ 

平等とか対話だとか、そもそも全然対等じゃないし。

今日だって話している人はいつも同じ人だし。

今日だってイヌイシさんは全然話していないじゃないか。


そそそそそs コイワさんあんたのいっていることがくだらないから。

障害者に対する差別ってあんたがしていることじゃないのか?



コイワさん

ん゛は゛ぁ???

私はXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
困りごとを持っている人が少しでも生きやすいように。


サシマさん
相模原事件の被害者の人たちはどうでもいいというのか
俺は介護職員だからあの事件はとてもショックだった。
全国大会であの事件を考えようとする吃音者いなかったんだ。
コイワさんあんたもそうだ。吃音で悩んで自殺した看護師のことを取り上げても、障害を理由に無残に殺された人のことを取り上げようとしなかった。


コイワさん
それの何がいけないのですか?
私のかかわる、当事者として自分たちの声を発表することの何がいけないのですか?


サシマさん
あんたは被害者の人たちは自分たちじゃないと思っているんだ。
自分たちとは関係のない人達がころされた。
障害をもった自分たちと違う特別な人が殺されたと思っているんだ!
どどど誰もが年を取れば施設に入れるかもしれない。
俺はこの吃音の世界の欺瞞っていうかさそういのに飽き飽きしたんだ。
言いたいやつが自分のいいたいことを言って。
声の小さいやつに仕事をおしつけて。

まぁ。もう俺には関係ないから、あとは好きにやってくれ。



―――サシマさん会場から去る
そこをイヌイシさんが止める。

ぼぼぼぼぼくは吃音で
か かか かか か からかわれて
わ わ わっ わ笑われてずっとひとりぼっちでした。
ぼくもこんな連中の話なんて聞いてやるもんかってずっと

こ こ こ こ こ 心を閉ざしていました。

で でもこのムゲンカイに参加して、サシマさんが話を聞いてくれた。

本当にうれしかったです。



トバさん
そういえば僕もそうでした。
吃音で話せることができなくて。そんなときにサシマさんに誘ってもらったんです。



イヌイシさん
それから周囲の人達に
ちょっと話せるようになりました。自分では無理だとおもっていたけど、街コンとか参加できるようになりました。
サシマさんにやめてほしくない。もっとサシマさんと話がしたい。だから こ こ こ こ ここにいてください。



―――サシマさんはそのまま会場を去る



トガワさん
あ、あの私もいいですか?
父親が吃音といいました。
これまでほとんど父親と話してこなかったです。家庭内別居で暴力をふるいました。
それから父親は家のなかでいない人扱いして、ほとんど会話をせずにすごしてきました。

そして色々あって、このムゲンカイに来て、この会をとおしてみなさんと話して、最近になって
他人と話せるようになったんです。


コイワさん
あのーいいですか?
僕には言葉を話すときに壁が2つあります。
吃音の壁と日本語の壁です。

母国語ではない言葉でコミュニケーションする感じとよく似ているなと思うんですけど。



????さん
ああなるほど。僕も東北出身なんですよ。標準語になおして話すときに、吃音の言い換えとかXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)


コイワさん
なんていうかな
吃音があると吃音がある人とXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)

トバさん
ちょ!!
ちょっといいですか??


ヤギさん
おやおや。トバくんも意見かなぁ


トバさん
もう時間ですよ。後の予約の人もいるし帰りましょう。
このあとみなさんと渋谷のイタリアンのお店にいきまよう。

トガワさん
ヤギさん ヤギさん今度実験に参加してもらえないですか?

コイワさん
みんなの写真を撮影していいですか?


トバさん

あぁ。いいですよーーー。



ここで藤原さくらさんの楽曲。

終劇









2016年11月13日日曜日

【保護者必見】吃音の子どもを育てる立場の人はどうしたらいいのか?どうやって合理的配慮を発動する? 保護者に向けたガイドライン

【随時更新】この記事は長文です。自宅など、時間がある落ち着いた場所でご覧ください。

吃音の子どもがいるお父さん、お母さん、そして家族のみなさんへ。
吃音の情報が溢れておりどうしたらいいのか?と混乱している場合もあるでしょう。

先に結論を書きます。

吃音業界には正式な「親の会」がありません。2019年現在、なんとなく保護者の会、親の会ができつつありますが、吃音至上主義思想を持つ医療従事者を講師に招いたり、吃音と発達障害とは異なるという、障害種別差別や吃音と他の障害や病気の子どもや保護者との壁をつくるべき、分断するべく行動をする場合などを含めこれらを平然と行う事例もあります。くれぐれも吃音のあるお子さん、保護者の方が、吃音以外の障害や病気を持った子ども、当事者、その家族を差別するような価値観を持つことがないように慎重になってほしいと思います。XX障害はかわいそう。吃音はかわいそうじゃない。障害者は施設に居るべき。地域に来てほしくないなどの差別の心をもつようになれば、それはいずれ吃音者にも家族にも返ってきます。

通常、そのほかの発達障害であれば当事者も親も保護者も支援者も医療従事者も全て1つの団体に参加して活動しています。それにより当事者の年齢に合わせたライフステージに合わせた困りごとの相談、それを解決するにはどうするか、障害について専門家を呼び勉強会、子どものためのイベント、親のためのイベント、毎年自治体や議員に要望要請文書を送る、障害のこと世間に向けて情報発信、誤った情報が報道された場合訂正を求める、などなどが行われます。

しかし吃音業界の親の会は、日本各地に分散していたり、吃音の派閥抗争に親自身がすでに巻き込まれており障害者認定反対の親の会などもあり敵愾心が生まれてしまい協力ができないという状況もあります。まず、吃音業界は、行政や議員、議会に要望要請を送ることができる「しっかりとした団体」を起ち上げることがスタートになります。2017年現在親、保護者が子どもの吃音で悩んでいることは残念なことに19XX年からずっと存在します、すでに起きた不幸なこと不都合なこと不利益をうけたこと、保護者の悩みが2017年でも同じ経験が後輩の親、保護者に発生しているのです。これが吃音業界に親の会が存在しない故の課題になります。親の会があり情報共有やこの場合はこうするという経験や情報の蓄積、病院を各都道府県に最低1つ設置してほしい、学校で子どもにこういった合理的配慮をしてほしい。などなどを19XX年当時の親達が声をあげていれば、2017年の親保護者が子どもが辛い思いやぐるぐる思考に陥ることはなかったのです。
(吃音以外の発達障害のある子どもの親の会、保護者や支援者が参加する団体では情報の引き継ぎ、サバイバル術、ハウツー、Q&Aがしっかり存在しており、過去に経験したことを避けるための術を知っています。そのために、親の会、保護者同士が団結して、学校や教育行政、医療機関、障害福祉課など、行政との粘り強い交渉や要望要請をしているのです。吃音の親の会はこういったことができないのです。今の世代が経験した辛いこと嫌なことを未来の世代に経験させないぞ!という価値観がまだ育っていません)


その他の発達障害団体であれば親の会がしっかり機能しているため、まずは吃音を治せるようにしましょう。いまある最高の病院にいきましょう。それで治ればそこで終わりにしましょう。でも、子どもの吃音が継続してしまうなら、他の選択肢、道を考えましょう。吃音で不利益や不都合なことが多いならこんな合理的配慮や社会保障制度がありますから、一緒に考えましょうと、先輩の親や保護者が医療従事者や支援者と一緒に、悩んでいる後輩のお父さんお母さんのソーシャルワークをしてくれるわけです。

これが2017年現在でも吃音業界には存在しないのです。
親の会をなんとかして起ち上げるしかありません。
単独で親の会を起ち上げるより、先に存在している、吃音の団体と協力するほうがよいでしょう。吃音業界は事あるごとに喧嘩、主義主張の違いで分裂していますが、これ以上分裂しても意味はありません。

また、もしもこの記事を見ているお父さん、お母さんのお子さんに吃音以外に発達障害がある場合は吃音業界の当事者団体や親の会以外にも、発達障害児者の団体に参加することを強くすすめます。たとえば東京にお住まいならNPO法人東京都自閉症協会がよいでしょう。吃音業界が持っていないもの、失ってしまったものを全て持っている団体です。当事者、親・保護者、支援者、医療従事者、福祉職従事者、教員、大学教員、議員、行政職員などとのパイプもしっかりあります。地方自治体、行政への意見提出、いざというときに当事者の人権を守る活動もしています。吃音業界のように障害種別や障害程度によって上下関係やヒエラルキーはなく、ライフステージに合わせて、困りごとに応じて丁寧に助けてくれます。情報交換もできます。吃音業界のように派閥抗争もないので安心安全な運営がされています。

繰り返しになりますが、吃音業界が何か変だな? なんでこんなに立ち位置や位置づけにこだわるの? 吃音業界ってそこに参加できている人だけの運営じゃない? 参加できなくて困っている人がいるという視点をなくしている? 吃音のある子どもの親の会、保護者の会に参加したけど「何か他の障害者、精神障害や発達障害のある人やその家族を差別する発言が平然とでてくる。吃音当事者のほうが位が高い偉い優秀だ頭の回転が早い、吃音当事者は彼らと一緒になってはいけない。一緒だと思われてはいけない。精神障害や発達障害のある人はかわいそうだと教えられた。発達障害のある人は内的心理的問題を持った人だと差別発言をしている人が理事や運営に所属しているぞ。おかしいな。変だぞ」などということもあるかもしれません。 などなどの異変や違和感を感じた場合は発達障害業界の団体にも顔をだしてみましょう。発達障害のある子どもの親の会、保護者会、当事者の会などがあります。いろいろな会に行ってみることをオススメします。




インターネットでもありとあらゆる情報が氾濫しています。
中には不正確な情報やコンプレックス商法といわれる商売や情報だけを売りつける情報商材なども存在します。

さらに吃音業界が特殊なのは、「吃音者の派閥抗争」です。
吃音が障害か?障害ではないか?
障害者はかわいそう・可哀想な存在であり、吃音の子どもは障害者ではありませんよ。
吃音を治そうとしてはいけません。病院にいってもいけません。
吃音はできるかぎり訓練して治すべき。良い状態を保つほうが、人生の機会損失を回避できるかもしれないよ。
吃音をカミングアウトするのか?しないのか?
堂々と吃るのか?吃らないのか?
吃らない話し方を、テクニックを身につけるのか?
吃音も他の障害者のように公的な社会保障制度を利用するのか?しないのか?

情報の洪水です。
【必読】はじめて吃音を知った人へ 吃音・吃音業界と関わる上で絶対に知っておくべきこと 大切な吃音ガイドライン
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html
2016年11月27日 東大スタタリングが駒場祭で吃音をテーマに演劇を披露 その内容はセルフヘルプの限界を指摘するものだった
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/11/20161127.html
吃音者や吃音当事者の家族にはレイシスト(差別主義者)がいる? 吃音を病気や障害と認められない人々の実態とは? そのワケ
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/07/blog-post_10.html
【保護者必見】吃音者、吃音の子ども、病院にいくタイミングとは 障害者手帳を取得するタイミングとは デメリットは何?初診日問題について
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/12/blog-post_10.html

お父さんお母さん、家族全員いったいどうしたら良いのかわからないでしょう。
吃音業界の派閥抗争に巻き込まれないこと、心酔しない、一步ひいてサードパーソン視点・第三者視点から落ち着いて観察するスキルを身に着けないとなりません。

吃音当事者の先輩や吃音当事者学生の話を聞いて、自分の子どもも大丈夫だと安易に判断しないこと。お父さんお母さんが働く企業団体などでも本当にそれが通用するのか? 自ら調べることも重要になってきます。吃音のある当事者が「私は吃音があっても全然平気です。大丈夫です。幸せです!」という発言をしている場合がありますが。それはその当事者だから成立しているのです。特に気になるのは、成功していると体験を発表する吃音者は『所属する組織、会社名や団体名』を公表しているの? という部分です。本当に吃音に寛容な企業団体があるなら、その名称を広く公開してほしいところです。もしも公開していないならば、公開できない理由があるということになります。

吃音のある子どものお父さん、お母さんが働く職場でも、所属する組織の人事部が「吃音は障害じゃないよ。一般枠で採用するよ!」というのか。「いや、できれば障害者手帳を持っていてほしい」というのか。様々だと思います。


―――吃音業界の情報だけではなく、発達障害業界やその他の社会的障壁のある人の業界のことも知ろう

また、吃音業界の関係者だけではなく、他の障害のある子どもの親との交流ができるならば、それをしたほうが価値観が広がります。吃音のある子どもには自閉症スペクトラムやADHDや学習障害を持っている人もいるはずなのに、その事すら早期療育できる時期を逃してしまうことになります。もちろんそういった団体に参加しないように!とすでに参加している親の会、つどい、グループから命令もあるかもしれません…。

吃音を生きる、吃音とともに豊かに生きる、吃音を持ったまま豊かに生きるというのは、もう自分は困っていないし関係ないと思考停止することではありません。

吃音者が困っていることは、他の障害や病気の人にも共通点が多いのです。吃音の障害者認定反対派の主義主張に染まってしまい、その問題から逃げる。目をそらす。私のところは吃音だけだから関係ない。ということになってほしくないのです。

後述しますが初診日問題は吃音の子ども、一般に言われる発達障害の子ども、それ以外の人もみな全員経験することです。だからこそ、吃音はあなた達とは違うから、選ばれた民だからと見て見ぬふりをせずに一緒に協力することも大切になります。

吃音業界と接点を持つということは、ある意味、お父さん、お母さんの人間性が試されると思ったほうがいいかもしれませんね。




1. 吃音は障害か?個性か?社会保障制度は必要ないのか?
この問題は吃音業界では永遠のテーマです。
さて、吃音が障害と決めるのは誰でしょうか?

発達障害の当事者研究を行っている、熊谷晋一郎医師東京大学先端科学技術研究センター准教授の講演会や勉強会で説明される例を紹介します。

※熊谷晋一郎氏の情報
http://www.petitspoissons.com/ped/Int-34J.html

http://todai-umeet.com/article/14570/

「吃音ワークショップ2016in埼玉」(埼玉言友会、NPO法人全国言友会連絡協議会主催)にて講演
http://mainichi.jp/articles/20160918/k00/00m/040/033000c


熊谷氏は「障害とは、障害者個人の中にあるものではなく、世間一般の普通と呼ばれる多数派の人の作ったルールに当てはまらない人」という説明を講演会でよく話します。

障害はインペアメントではなくディスアビリティだというのです。
なんらかの障害が当事者にあり、それが原因で社会参加できないから、普通と言われる健常者の普通に合わせた世界に溶け込むために血の滲むような努力や訓練、手術や服薬などありとあらゆる手段で「普通」に近づかないといけない?

なぜ、障害当事者側はそこまでして頑張らないといけないのでしょうか?
というのが問題として指摘されます。でもそれはおかしいじゃないですか?
社会の側の法律やルール、慣習、道具が変化すればいいのじゃないかというのです。

むしろ、障害当事者が障害と感じないように、多数派が社会の側がもっと包摂するべきではないかといった内容です。


ただ、やはり、0地点から100地点まで急にワープできないように。
1ミリ1ミリ、亀のような歩みで社会に向けた情報発信や障害当事者側と社会の多数派側との対話により歩み寄ることが大切でもあるといいます。

理想の社会に近づくにはスモールステップアップが必要です。
将来、何年後何百年後になるかわかりませんが、障害者手帳という制度そのものが消滅する日がくるかもしれません。


吃音が障害か?障害ではないか?
この問題について他の視点も必要です。
一冊の書籍があります。 『障害を持つ息子へ ~息子よ。そのままで、いい。~ | 神戸 金史』
これを読んでほしいと思います。親の心、内に秘めたる優生思想や相模原殺傷事件のことが扱われています。


2. 吃音の場合はどうなる? 吃音のことを本当はどう思っていますか?
吃音の子どものお父さん、お母さんは、正直、自分の子どもが吃音だとわかるまで。人生で出会った言葉が上手く話せない人、失礼な物言いをする人をどう思っていましたか?
(またはお父さん、お母さん、祖父母、親類縁者の中に吃音者がいる場合もありますが)

お父さんお母さんが出会い結婚する以前。そして子どもが吃音になっていなければ、または子どもが誕生する前はこのような感情はありませんでしたか?

・お店の従業員や駅員さん、接客業の人が言葉遣いを間違えた。いらっしゃいませを言わない。ありがとうございましたを言わない。敬語を使わない。目を見て話さない。発話がおかしい。発話と同時に唾液を飛ばしてくる。
→ムカツク
→この会社は大丈夫なのか?従業員に研修しているのか?
→なぜ、社名、名前、所属を名乗らないのか?
→この人と話すとイライラする
→なぜ主語がないのか?
→敬語使わないなんて人間として終わっている
→お客様センターに苦情を入れてやる クビにすべきだ
→こんな簡単な常識すら持っていないのか?この従業員は?
→上手く話せないなら、話さなくて良い職業を選べばいいのに
→話す時の顔が気持ち悪い
→こんな変な喋り方をヤツに自分の子どもの結婚相手になんかしたくないな(笑)

お父さん、お母さん、本当はこのような気持ちがありませんでしたか?
もしかしたら、その相手の人は『吃音』だったのかもしれません。
今後、このような経験を『お子さん』が体験する可能性もあります。


吃音も吃音者自身、または吃音遺伝子を持っているかもしれないお父さん、お母さん、祖父母、親類縁者のせいではありません。吃音という話し方の特性が、現在の日本の「普通」、「健常者のルール」に当てはまっていないことが問題点です。

本来は社会の側が、吃音者のその話し方吃り方、吃ることによって失礼な話し方もあるかもしれない。けれども、そこを気にしないというのが大切です。しかし現時点の日本社会はコミュニケーション社会、コミュニケーション社会(礼儀、過剰接客など含む)新卒学生の就職活動でもこれが最重要視されています。吃音の子どもの保護者は、社会の側の認識を変化させることも心の中にしまっておいてほしいのです。そして1ミリでもいいのでそれに立ち向かって、100年後なのかいつの時代になるかわかりませんが。未来世代の吃音者のために行動する気持ちも忘れないでほしいのです。もちろんその際は吃音だけではなく、ありとあらゆる障害者、難病者、社会的障壁を持つ人々と連携することも大切になります。


3. 保護者のみなさんの働く場所、雇用されている団体組織は吃音者を許しますか?
繰り返し何度も書きます。それほど重要な事柄です。


この問題も、先ほどの説明、吃音のあったかもしれない従業員問題と共通します。
お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさん、親類縁者のみなさんが働いている団体は『どもる人を許しますか?』

人事部の人にこのように質問してみましょう。
『最近さ、吃音っていう障害がニュースや新聞、ドラマにでてくるじゃん。こういう人がウチの会社に就職活動で応募してきたら採用する? 不採用?』

お父さん、お母さんが人事部で働いていれば、もっと凄い情報を知っているはずです。
最近、発達障害者を採用時に発見する試験や面接方法が販売されています。それを就職試験のときに紛れ込ませたり、故意に発達障害者が罠に落ちるような面接方法をとる場合もありますよね。(障害者差別解消法が2016春に施行されてからは、人事業界内部でのみ広報されていますのであまり一般には出てきません。2016年発達障害者支援法が改正になりました。この障害者あぶり出しについても指摘があり、今後の改正や差別解消法などで壊滅させる方向になるでしょう)

この原因の1つに、発達障害者を診断するための医学書が一般人も読める状態になっていることです。DSM5というアメリカ精神医学会の診断基準は図書館でも読めます。どのような人が障害を持っているのか?障害が表面化するのか?

それが分かれば、それをあぶり出すためにどのような重圧をかけるか、作業をやらせればいいのか?を逆に考えることができてしまうのです。

吃音の場合は「話せば吃れば即死」するので、一般に言われる発達障害者のように訓練やソーシャルスキルトレーニングなどで普通を装うことができないことも課題と言えば課題です。(一般に言われる発達障害者は診断や障害者手帳を持っていても会社にカミングアウトせずに一般枠で働く人もいます。)

べてるの家、向谷地氏が過去にこのような就職活動で利用できる手法を監修していました。
http://matome.naver.jp/odai/2145136262246904801

ここが1番1番、お父さん、お母さんが衝撃を受ける場所です。
2016年現在、官民問わず大半の企業団体は『不採用ですね』と回答します。
『障害受容をしていて障害者手帳を持っているなら障害者枠で採用する』と回答する場合もあります。

自営業や吃音や吃音以外の社会的障壁が問題にならない業界であればそうではない場合もあります。が、しかし、大半は、『自分の子どもも、自分と同じように普通に育って、大学まで行って、ストレート留年無し新卒で正社員として就職して、自分と同じだけ稼いで、結婚して、幸せになり孫を見せてくれるんだ』とお父さん、お母さんは考えるわけです。しかしサラリーマンは難しいかもしれません。

お父さん、お母さんは吃音があったかもしれない従業員問題とご自身の所属する団体が吃音者を排除するという事実、この2つを経験し、【子どもの吃音を完治させなければいけない】と考えるようになります。

場合によっては吃音とか障害そのものが恥であると価値観をお父さん、お母さんが子ども時代にご両親や周囲の社会から教え込まれて、その価値観になっていると、まずはお父さん、お母さんの精神的な治療が必要な場合もありますが…。

例えば、ダウン症は気持ち悪いとか、ハンセン病は気持ち悪いとか、ユニークフェイスの人は気持ち悪いとか、そのような刷り込みがお父さん、お母さんの育った環境で当たり前であれば、本当にまずお父さんお母さんが価値観を改めないといけないでしょう。


4. 子どもが吃音だとわかってから 次のステップ

・病院探し
・吃音について書かれている書籍を集める
・吃音者の親の会や当事者団体への参加
・吃音業界の主義主張の刷り込み
・成功している、社会的に居場所のある吃音者の大人たちだけを見て、自分の子どもも必ず将来同じ道を歩むことができるという勘違い
・運良く大人になってから消失するタイプだった吃音者と自分の子どもが治らないタイプだったときの衝撃
・子どもが新卒就職活動をし、失敗したときになって、やはり『絶対に吃ってはいけない場合が日本社会にはある』と大混乱する場合
・ウチの子どもの吃音は心配だ。子どものために財産や不動産を残そう。
私達が亡くなっても、生きていけるように


吃音の子どものお父さん、お母さんはたくさんたくさん吃音のことを調べます。
そして、色々な情報を取捨選択しなければいけない状況になります。
吃音を持つ子どもが一方向の価値観を持たないように、状況に応じて臨機応変に対応できるように子育てもしないといけません。いろいろな武器を持つことは現時点、2016年現在の日本では必要です。刀剣1つの武器ではなく、状況に応じて使うことができるようにしておくことが大切なのです。カメレオンのように乗り切るのです。

そして、吃音観の主義主張を変化させることは恥ではないということです。


5. 吃音は純粋吃音者、一般に言われる発達障害も持っている吃音者もいる
ここも重要な部分です。
一般に言われる発達障害である。自閉症スペクトラム、注意欠如多動性障害、学習障害、チック、トゥレット、発達性協調運動障害などと一緒に吃音がある人がいます。


発達障害者の当事者団体を訪問すれば、吃音の人も所属しています。
逆に吃音者の当事者団体や小中高生を集めたつどいなどにも、「この人は、この子どもは吃音だけではないよな。他の発達障害もあるように思える」という人が所属しています。

ただ、前者は障害受容ができている人が多い印象です。
後者の例、吃音者は障害受容がなかなかできない人が多いです。

例えば、発達障害児者でも利用している当事者研究やアサーティブ、レジリエンス、ABA、アドラー心理学、認知行動療法、マインドフルネス、演劇、子どものつどいで成功体験やいろいろな経験を積む、といったものは、何故か吃音業界でも採用され利用しています。しかし、一方で吃音は障害ではありませんと教えてしまう団体もいるので不思議なことです。吃音は障害ではないと教え込む教典があるのに、障害のある子どもが利用する療育を吃音の子どもに行わせているという矛盾…。これは不思議なことです。

発達障害はかわいそうだとか、障害者はかわいそう、難病の人はかわいそう、社会的障壁のある人はかわいそう、吃音が発達障害者支援法に入っていることは認めない、吃音は障害ではない。こう主張する人たちほど、とても不思議なことに先に述べたようにその人達の集団で利用している書籍や療育手法や訓練方法や事例を利用している現実があります。矛盾ですよね。



お父さん、お母さんの子どもは吃音だけなのか?
他にも障害があるのか?
ここも疑ったほうがいいでしょう。

吃音以外にも障害があるなら、早期発見早期療育は本当に大切です。
脳がどんどん成長しているときに適切な医療や訓練や、特性に合わせた勉強や静かな落ちついた環境が用意できれば子どもはみるみるうちに成長します。

障害者認定反対派の吃音当事者会や親の会に所属しつつ、その時はその場の話に合わせつつ、発達障害の子どものをもつ親の会などにも所属したほうがよいでしょう。臨機応変に対応しましょう。

障害者認定反対派の吃音当事者会や親の会で使う教科書や発達障害の子どもの教育について書かれた本などをよく調べてください。筆者を調べて、その人が出入りしていそうな吃音以外の別の当事者団体を検索してみるのもよいでしょう。



6. 吃音は治るのか?
吃音が治るかどうか?
2016年でも、「吃音は原因不明で治療法はない―――」という説明がよく使われます。特に吃音の障害者認定反対派、吃音は発達障害じゃない!と主張する人ほど、『吃音は原因不明であってほしい』という願望があります…。

しかし現在は脳の神経ネットワークになんらかの違いがあることまではわかっています。

一般に言われる自閉症スペクトラムや注意欠如多動性障害、学習障害やチック、トゥレットと同じで脳神経に何らかの違いがあるのです。

吃音の場合は、脳システムの言葉を話すために活動する部分の神経発達障害だということです。
他の発達障害の場合は、感情や空気を読む、突然の衝動性、短期記憶、長期記憶、感覚過敏、感覚鈍麻、文字が読めない、書けない、身体が意識せず動く、同時並行作業が困難などなどがあります。
それが吃音の場合は「話す」ところに影響がでているのです。

2016年8月にフジテレビインターネット放送局の「ホウドウキョク」にて吃音のニュースが流れました。こちらは国立障害者リハビリテーションセンター病院で吃音外来担当、吃音の研究をしている森浩一医師が出演しています。ここで吃音が発達障害であることが明言されています。

https://www.houdoukyoku.jp/archives/0015/chapters/24712


吃音が治るかどうか?
2016年9月に日本吃音・流暢性障害学会の第四回大会が国立障害者リハビリテーションセンターを会場にして開催されました。ここでミシガン大学で吃音研究をする先生が講演を行いました。
その中で、吃音のある子どもの脳画像や、神経ネットワークの違いが説明されました。
しかし、今度は大人になると治る吃音の子どもと、大人になってからも継続する子どものことがわからないので、今後研究をしていくと話していました。

繰り返しになりますが「吃音は原因不明で治療法はない―――」という説明はもう過去のものです。



大会(9月2日〜3日)
招待講演: Anomalous brain connectivity in children with persistent developmental stuttering (発達性吃音が持続する小児の脳内接続の異常)
 Soo-Eun Chang, PhD CCC-SLP(University of Michigan, Assistant Professor)
 ※ 講演は英語ですが、スライドには日本語訳がつけてあり、日本語の逐語訳がつきます。
https://meeting2016.jssfd.org/program/

7. 吃音が発達障害者支援法に入っていたこと、2014年7月に事実上、公になったとは言いますが…

吃音業界では2014年7月を境にして「吃音が2005年から発達障害者支援法に最初から含まれていたことがわかった」と言っています。

しかし本当にこれは真実でしょうか?

「一般社団法人 日本発達障害ネットワーク(通称 JDDネット)」という個々の発達障害者の団体が団結している組織があります。

http://jddnet.jp/

この組織には過去に【全国ことばを育む親の会(現在は名称が NPO法人 全国ことばを育む会 )】が所属していました。
現在はJDDネットから退会しています。

3 日本発達障害ネットワーク(JDDネット)の概要
12月3日、成蹊大学で設立協議員総会を開催し、会則の制定、役員の選任、活動方針案等を採択した。当日、第1回理事会を開催し、正会員(全国団体)として日本LD学会、日本自閉症スペクトラム学会、日本臨床心理士会、全国ことばを育む親の会の4団体、エリア会員(地方団体)として、NPO法人おひさまクラブ等28団体の加盟が承認され、設立当初の参加団体は、発起団体も含め37団体となった。また、日本児童青年精神医学会、日本作業療法士協会等から理事をご推薦いただくことができた。
これにより、当事者団体・学会・職能団体によるネットワーク、教育・医療・労働・福祉を網羅するネットワーク、全国団体・エリア団体を超えたネットワークというすべての条件を最低限備えたネットワークとしてスタートすることができた。
当面の活動としては、都道府県単位のエリア活動の組成、会報の発行等による会員団体相互の交流・情報交換、特別支援教育や発達障害者支援への取り組み状況調査、発達障害に関する理解啓発活動、他の研究機関や参加団体と協力した発達障害児者の実態調査、実態把握のためのスクリーニング・ツールなどの検討、人材育成のためのセミナーなどの実施などを計画している。
※DINFの記事 「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年1月号
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n294/n294016.html

※厚生労働省の資料にも全国ことばを育む親の会が掲載されています
一般社団法人日本言語聴覚士協会も2008年頃から2016年現在JDDネットに加盟しています
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/dl/s0924-11c.pdf



なんと!!

吃音業界の団体がJDDネットに加盟していたのです。


にもかかわらず


なぜ、吃音が発達障害者支援法に含まれていること、障害者手帳も取得できること、障害者の人権を守ること、配慮を求めること、障害者枠で働けること、社会保障制度を利用できることが周知徹底されていなかったのでしょうか?

もしも2005年から吃音が発達障害者支援法に定義されていることが周知されていれば、吃音を苦にした自殺、いじめ、不登校、進学を諦めることによる人生の機会損失、お父さんお母さんの苦悩、子どもの苦悩などなどに他の未来があったのかもしれないのです。

【全国ことばを育む親の会(現在は名称が NPO法人 全国ことばを育む会 )】はいったい何をしていたのか?一般社団法人日本言語聴覚士協会いったい何をしていたのか?

真相の究明が待たれます。
現在、吃音業界の派閥抗争を重く見た、他団体の人間が、吃音業界は「吃音が発達障害者支援法に含まれていることを2005年から知っていたことを証明する証拠を出そうか」という意見も出てきています。吃音者の不登校、自殺やひきこもり、ニートなどへの社会保障などの選択肢が見える化されていないことが非常事態であると認識されているのです。




逆に、一般に言われる発達障害者の団体は「吃音が発達障害者支援法に入っていることは知っていた」という人もいます。

2014年7月から吃音が発達障害者支援法に含まれていた

という設定は、もしかしたら間違っているのかもしれません。

吃音業界で誰か知っていたのに、黙って隠していた関係者がいるのかもしれないのです。

吃音の子どもやお父さん、お母さんも悲しい出来事や辛い悩みや経験をした人もいると思います。

でも、別の道があったのかもしれないのです。自殺した人も本当は生きているかもしれません。

今、ひきこもりをしている吃音者もいるかもしれません。

法律が周知徹底されなかったことの犠牲者はどれくらいいるのでしょうか?

8. 病院に行くことのメリット
現在、吃音を診療する病院はあまりにも少ないです。
また、吃音は保険診療できます。精神科病院であれば、自立支援医療を利用することにより医療費を所得によりますが1割負担できます。しかし、そもそも吃音は精神科では診療していないので、事実上、存在するが使えない状態です。


例えば、リッカムプログラムという治療法があると知っても、自分の子どもはすでに年齢対象外で介入時期を逃してしまう。そして、お父さんお母さんは自分自身を責め続けることもあるかもしれません。となると、吃音は障害じゃないですよーという派閥の教典が神のように思えることもあるかもしれません。

例えば、吃音を意識せずに、無意識動作として言葉を話せるようにしようと訓練するところもあります。自宅の鍵を掛けたかな?と心配になるが鍵を掛けていました。歯を磨くときの歯ブラシ、歩く時の歩き方など、麺類をすすって食べる日本独特の食べ方(外国人はできません)、普段、1から順番に確認しながら動作をしているでしょうか?していませんよね。吃音の場合もそれと同じだというのです。

例えば、軟起声という発話方法もあります。柔らかく息を吐くように言葉を発話する方法です。

その他にも吃音以外の発達障害が判明する可能性もあります。早期療育につながりますね。

病院にいくと医師が診断書や意見書を書いてくれます。これが合理的配慮を利用するときに必要になる場合もあります。


病院によって異なりますね。
それでも、病院が全都道府県に存在しないこと。
病院に行っても、「吃音は大人になれば治る、もうちょっと様子見しましょう」なんていう医師もいるので大変です。
発達障害者支援法
(専門的な医療機関の確保等)
第十九条  都道府県は、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければならない。
2  国及び地方公共団体は、前項の医療機関の相互協力を推進するとともに、同項の医療機関に対し、発達障害者の発達支援等に関する情報の提供その他必要な援助を行うものとする。
このような法律があるので、吃音当事者や保護者や関係者が協力して政治に働きかける方法もありますが、吃音業界はなかなか団結しないので困難です…。

2019年現在でも吃音を診療するという病院や医師は少ないです。
とくに吃音は幼少期のある時期に介入すれば、将来的に吃音が減る、消失するのではないかという報告もあります。しかしその「ある年齢のとき、吃音が判明してから短い期間で」吃音を診療してくれる専門病院に保護者と子どもがつながることができるのか?
保護者のお金がモノを言うようなことになってはいけないと考えます。吃音を診療する病院まで新幹線、飛行機で通院するなんて異常だと思います。北海道にいようが沖縄にいようが、均一な医療サービスを享受できなければいけません。

もしも保護者がお金がなくて、子どもにある時期に病院に通院させなかったために、吃音が一生涯継続することになったという場合も今後、保護者の中に出てくるかもしれません。次に出てくるのは「あの保護者は吃音を治すために病院にいかせなかったんだ。」という吃音が治った子どもの保護者とのマウンティングが始まるかもしれないと筆者は懸念しています。

しかし、筆者は大人になっても、新卒で社会人になる前に吃音がまだあったとしても、それは精神障害者保健福祉手帳を取得して社会参加をして良いと思います。2018年に発覚した国家公務員障害者雇用水増し問題のあとに行われた、障害者枠採用試験でも筆者のしる範囲で数名の吃音者が国家公務員になっています。2019年現在は発達障害者の雇用情勢も変化してきており、障害程度が軽度でも仕事のできる当事者なら出世していける企業団体も出てきているためです。また法定雇用率を満たせるという雇用主側との双方でウィンウィンの関係を目指すべきという就労移行支援業界の新しい流れも出てきています。新卒高校生や新卒大学生が就労移行支援事業所をもっと利用できるようにしようという動きも出てきています。

これらを考えると、別に吃音が治らなくても、しっかり法制度、社会保障制度を使い生きていくことは可能だと思います。吃音が発達障害者支援法に含まれていると発覚してしまった2014年当時よりは2019年現在の障害者雇用情勢は変化しています。


9. しかし病院に行くことのデメリットがある。これはとてつもなく大きい問題

こちらの記事も御覧ください
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/12/blog-post_10.html


2016年現在、吃音の書籍などを読むと、「気軽に病院に行ってみよう」と思わせるような記述があります。(地域によって異なるが)特別支援教育を利用するのに診断が必要な場合も、入学試験や資格試験に合理的配慮を求めるため診断書を入手するためだけに初診日がつくとトンデモナイことになります。これから書くことは一般に言われる発達障害者業界では周知されていますので、病院に連れて行かないで自分で療育するという親もいます。ただ、当事者団体には所属して情報交換はしています。発達障害を診療する医師も気軽な安易な診療について警鐘を鳴らす人もいます。

残念なことに吃音業界ではあまりにも知られていません。



病院に行くことは『初診日問題』が発動する諸刃の剣です。
初診日問題は全ての日本の障害者や難病者に共通します。
厚生年金を納付する以前に、たとえ誤診でもあっても、たとえ医師の●●科に関係なくても、患者が症状を訴え病院に初めて病院に行ったときが「初診日」になります。

・初診日は障害者年金と健康告知を必要とする商品サービスに加入できない問題に大きく影響します。

日本は法律として、いつその病気や障害を診断されたか?その日を基準にして考えるのです。
これが本当に大きな問題です。日本は国民年金と厚生年金・その他共済年金などがあります。

国民年金は障害年金が2級、1級しかありません。
厚生年金・その他は3級から1級まであります。
そして、3級とは「障害があるが配慮があれば働ける、日常生活ができる」場合の人に給付される年金です。

しかしながら、発達障害者や吃音者、知的障害者は子どものころに初診日があることが多いので、障害者手帳を持って働いていても、年金が貰えないのです。

一方で、最近、大人の発達障害というニュースが報道されることにより、厚生年金を納付しているときに運よく発達障害の初診日がある当事者は、障害者年金3級を受給しながら生活している人もいるのです。

年金事務所も障害年金はできれば払いたくないので審査もシビアで如何にして国民年金の時に初診日が存在したのか疑義を抱いてきます。通級を含む特別支援教育を利用した事実だけでも初診日がもっと昔にあるのではないかとして不支給になります。

発達障害の症状が全く同じのAさんとBさんが存在しても、片方は年金が貰えて、片方は年金が貰えないという事案が多くあります。この問題は吃音に限らず、障害や病気の垣根をこえて、法律や制度を改めるように政治に働きかけることしか解決方法はないでしょう。障害者の権利条約でも、不平等な状態は立法措置をしてでも改めなさいと書いてあります。


・健康告知を必要とする商品サービスに加入できない問題
これは住宅ローンや生命保険などです。
発達障害者や知的障害はこの問題があるため、そもそも発達障害者、知的障害者向けの保険会社が存在します。

なぜ存在するのか?それは一般のサービスだと丁寧にお断りされるからです。要は保険金を払うリスクやローンを完済しない可能性があるためです。エビリファイやコンサータ、ストラテラを服薬しているだけでも加入はできなくなります。

吃音はICD10でこのように分類されています。
精神及び行動の障害。


1 ICD10分類 > F00-F99 精神及び行動の障害 > F90-F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害 > F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害 > 

DSM5でも吃音は神経発達障害に分類されているので自動的に機械的に弾かれるだけです。ICD11でも吃音は神経発達障害となり、ASD、ADHD、LD、トゥレット症候群と同じ枠になりました。

吃音のある子どものお父さん、お母さんは「そんなバカな!」と思うでしょう。
ぜひ、勤務先にくる保険外交員さんや、仕事上のツテを利用して保険会社の人に質問してみましょう。正面のお客様センターに電話してはいけません。必ず、友人や親類縁者で保険会社に勤務している人に裏側から質問しましょう。もちろん自分の子どもが発達障害で、吃音で、なんて正直に言ってはいけません。親戚の子どもがとウソをつきましょう。

問題なのは吃音だと診断を子どものころに受けていたのに、それを隠して、サービスに申し込んだ場合です。もちろんそのサービスが提供されることはありません。払い損になります。




10. 民間療法、医師の指示がない保険診療をしない言語聴覚士クリニックの問題

・吃音は吃音を克服したとか、治したという吃音当事者の「私が治した方法」であなたを治すなどという商売があります。

これはたまたま、その人が「大人になると治る方の吃音」だっただけです。
大人になっても吃音の人はずっと吃音です。治らない吃音者は処世術やテクニックによって吃音ができるだけでないようにコントロールして乗り切っている人もいます。

この手の商売はコンプレックス商法で、治る確証もありません。お金をドブに捨てるだけです。
本当に本当に治るなら論文を発表すべきなのですが、どうしてしないのでしょうか?
協力する医師を見つけるという努力もしません。

・吃音のコンプレックス商法の他に、一般にいわれる発達障害者業界でも流行している商法があります。植物のエキスや、謎の水、謎の食品が存在します。吃音も対象になっているのでよく考えましょう。

・インターネット上の吃音を治すという情報商材(電子書籍)が販売されています。巧みな誘導で吃音当事者の書いたブログかな?と勘違いさせ購入ページに誘導する場合もあります。冷静に考えましょう。そんな簡単に吃音が治るなら、医学誌に論文掲載されているはずだ。ノーベル賞を受賞しているはずだ。世界中から吃音者は消えているはずだ。と冷静に思考してください。情報商材には購入する価値はありません。

・言語聴覚士だけのクリニックがあります。しかし日本は法律により保険診療をするには医師の指示が必要です。保険診療できるものを保険診療しないという、自由診療でお金を儲けようとするのはいけないことです。言語聴覚士法や言語聴覚士協会の倫理綱領を読んでも言語聴覚士は医師と協力すべきだと思います。

・言語聴覚士しかいない、医師免許を持った人がいない、または病院と連携していない、吃音クリニックは現在、徐々に増えています。しかしいざという時に責任問題になった場合に泣き寝入りするのは保護者です。

11. 吃音のある子どもの就職について
これは吃音者の就職に限らず、他の障害者でも同様です。
現在、発達障害の就労移行支援をしている事業者はこのように利用者に伝えます。
(これは就労移行支援事業所のスタッフが雇用する側の本音を理解しているためです)
・障害をカミングアウトするなら障害者手帳を取得して障害者枠で就職活動してください
・障害を隠せるなら絶対にカミングアウトしないならば一般枠で就職活動してください


この問題は、雇用する側の本音と建前です。
障害者差別解消法などは存在し、その際障害者手帳の有無は問わないとしていますが、やはり雇用する側は法定雇用率に計算したいのが本音。

雇用する側は現在、就職活動の応募者が自ら、障害や病気を告白してくると、理由を開示しませんが、不採用通知、貴意に添えない結果などを送付します。

2016年現在、精神障害者や発達障害者の雇用事例の勉強会や講演会では、必ず絶対に説明されること「障害受容のできた障害者、就労移行支援事業所に通所している者」を雇用すべきだと、人事部の障害者担当に説明しています。


この部分が吃音業界では、「そんなバカな話があるか」と信じない人がとても多く、新卒就職活動で吃音をカミングアウトした学生は次々と散っていきます。コネがある場合は別です。または一生に1回の新卒という資格を持っているときに、新卒障害学生向けのリクナビのようなサイトである、アットジーピーやクローバーなどを利用して就職する方法もあります。新卒の障害学生であればとても有利です。これが吃音1つの原因で新卒就活失敗して履歴書に空白期間ができると次が大変です。

仮に吃音をカミングアウトするにしても中堅社員くらいになって「キミがいないと困る状態」でないとカミングアウトはリスクの方が高いでしょう。

お父さん、お母さんもご自身の職場の人事部に確認しましょう「吃音者って雇用する?障害者手帳を持っていれば雇用するかもしれない?そもそもしない?」などを確認するのです。性善説が通用しないことがわかるでしょう。

そのため、一般に言われる発達障害者でも手帳を持っていても、発達障害があること手帳を持っていることを隠して給与の高い出世も望める一般枠で働く人もいるのです。ただ、やはり、吃音は発話した瞬間にバレるので隠すことが困難です。


現在、日本は一般枠か障害者枠しかないことが、二択しかないことがそもそも問題ですが、これも吃音者だけ、その保護者や関係者だけでは変化させるのは難しいでしょう。この構造を変化させるには吃音も含めて、いろいろな障害や病気、マイノリティと言われる人と協力しないといけないでしょう。

しかももう一つの問題は、現在、障害者枠といえば、身体障害者枠はあるのに、精神障害者枠が存在しないことがあります。特に公務員です。これも今後どのように変化するのか気をつけないといけません。かといって、民間企業もホームページの障害者向け採用ページをみると→障害者枠で働く先輩の紹介ページを見ても身体障害者ばかりなので、ここからも雇用する側の本音と建前を察することはできます…。

2019年現在、国家公務員障害者雇用水増し問題がニュースとなり、障害者雇用に精神障害者保健福祉手帳、療育手帳もしっかり入るようになりました。今後、地方にも広がっていくと思われます。地方公務員採用では「身体障害者のみ」という場合がありますが、こちらはマスコミに報道してもらうなどの方法で変化させていくしかないでしょう。またはその地方自治体の議会議員に訴えることです。

12. 吃音者が就職できない仕事はあるのか?
吃音者が就職できない仕事はあるのかどうか?
これは別記事でも書きましたが。自衛隊です。

別記事
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2017/06/q.html

自衛隊がダメなら警察や消防なども本音と建前ルールがあるかもしれません。

吃る時間が自分だけではなく、相手やお客さん、一般市民の「生命の危機」に影響を与える職業も吃音者は難しいでしょう。吃ってしまうその一秒一秒が危機につながる場合です。そう考えると銃火器など武器を使用する仕事、緊急救命医師、外科医なども吃音者には難しいかもしれません。ドクターX大門未知子が手術中に吃ってしまい看護師に指示出しが遅れる、手術時間に影響を与えたら患者が死ぬかもしれません。技術があって失敗しなくても、時間経過に勝てないのです。

警察や自衛隊が「とまれ!撃つぞ」という警告をするにしても、吃ってしまい警告する時間に影響を与えて、危機回避できない場合もあるかもしれません。先に相手に攻撃されるか逃げられるかもしれません。パトカーや消防車、救急車が「緊急車両が交差点に進入します! みなさん停止してください!」を吃ることにより発話発語できなければ、それこと緊急車両が一般車に突っ込むとか歩行者をはねることもあるかもしれません。


例えば防衛省の防衛省訓令第一号があります。航空身体検査に関する訓令です。ここでは「不合格疾患等」という項目に一般に言われる自閉症などの発達障害、吃音や気分(感情)障害や既往歴が不合格の基準として明記されています。海幕衛第8931号は海上自衛隊の身体検査です。こちらでも不合格疾患として「精神と行動の障害」、「吃音」が明記されています。陸上自衛隊達第 36―1号は陸上自衛隊の身体検査です。こちらでは具体的に吃音という項目はありませんが「脳神経・精神」の検査項目があります。
このような検査を見れば、行政職員でさえこのような基準があるなら、民間でも存在するはずだ、いや表向き存在しないとしていても裏ではあるはずだろうと思います。2013年に北海道で自殺した吃音者も警察官になりたいという夢があったとのことでしたが、どうしても面接で落ちてしまうことを繰り返したそうです。警察内部の採用活動基準については不明ですが、自衛隊でNGなら警察や消防でも難しいのではないかと思いました。
他にもこのような研究報告が独立行政法人労働政策研究・研修機構から発表されています。
吃音で困っていても、適切なソーシャルワークや、支援機関につながることができず、困難な状況に陥っているようです。


吃音の場合は、国会会議録の1966年第051回国会 社会労働委員会 第4号
昭和四十一年二月二十四日(木曜日)午前十時四十五分開議にて旧日本軍で吃音者が合言葉を言えずに殺害されそうになった例も紹介されています。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/051/0188/05102240188004a.html


その他の職業はどうでしょうか?
障害者欠格条項をなくす会の情報だとこうなっています。
http://www.dpi-japan.org/friend/restrict/shiryo/system63.html


公務員や警察もそうですが、採用試験の面接1回目で吃音がバレるとその情報は記録されますので、次回以降は不利です。吃音者でも公務員なら差別は存在しないと勘違いし年齢制限まで公務員試験を受け続ける方がいますが、なんともいえない気持ちになります。


現在、吃音当事者は国家資格を取得して働ける仕事がベストだろうと思います。
医療従事者の国家資格がオススメです。
または理系の道に進み研究者や技術者としての道も良いだろうと思います。
芸術系、クリエイター系も良いでしょう。
フリーランス自営業もあります。
公務員もまだ可能性としてはあります。(しかし、現在、公務員試験も発達障害傾向を調べるという情報が入ってきています)


大人になって居場所がある吃音者は大体がこのような仕事をしています。
逆に、世間一般の常識や「普通」を要求される仕事は難しいです。総合職は難しいでしょう。


吃音者がアナウンサーなど喋る仕事をしたいと思っても、現在の就職活動戦線を突破できるかどうかわかりません。先輩吃音者の事例はたまたま時代がよかった。スタートラインに立つことができた時代です。現在、吃音があっても仕事ができていたという50代60代は2016年現在の就職活動を経験したことがないため参考になりません。

吃音者の就労データーベースも存在しますが。そのデーターベースの当事者は「吃音があることを人事部などにカミングアウトしているのか?」も要チェックです。多くの吃音者は吃音があるけど大丈夫とは当事者会で発言しますが、職場では全力でそれを隠蔽している場合があります。

お父さんお母さんも成人している吃音当事者が社会人として活躍している美談を聞いて涙することもあるかもしれません。しかし、その吃音当事者は「職場の人事部に吃音があることをカミングアウトして一般枠で働いているのか」確認すべきです。吃音当事者はプライドの高い人が多く、ウソの物語や美化して創作した話をする人もいます。

くどいですが、お父さん、お母さん、親戚が働いている職場が吃音者を許すかどうか?障害者手帳を持っていれば許すかどうか?その確認作業も大切です。




2016年現在の就職活動戦線は、スタートラインにすら立たせない、そこに到達させないのが就職活動です。

昔の吃音者の先輩方のように試しに働かせてくれという機会すら存在しません。まずは就職活動という狭き門を突破しないと働かせてもらえない。そのため、ありとあらゆる可能性や武器を子どものころから想定しないといけないのです。コネなど、貸し借り、正規ルートではない就職活動のカードが用意できるなら使いましょう。それは悪いことではありません。使える武器は使うべきです。


13. 吃音のある子どものためにお金や不動産、株式など財産を残しましょう

吃音のある子どもの保護者や親類縁者の中には、将来、自分たちが先に亡くなっても、その子どもが幸せに生きていけるようにお金など財産を残そうとしている人もいます。(自分の子どもが、弊社では採用されない。自分の自治体では採用されない。とすでに真実を知ってしまった保護者など)

例えば、不動産収入を得られるように賃貸物件を購入することや、一軒家、マンションの1室を準備する保護者もいます。

または、そもそも吃音のある子どもに、株式やFX、不動産収入を得る、そういった勉強をさせる人もいます。


14. 私は吃って、カミングアウトして働いていますという先輩吃音者の体験談はウソです

吃音をもった当事者、子どもが吃音というお父さん、お母さん、保護者向けに、吃音者の先輩が「私はこうやって成長しました。今はこんな仕事をしています」系の体験談を話す人の中に、吃音をカミングアウトしていない人とカミングアウトしている人がいると思います。前者の方は職場では吃音を隠しているでしょう。後者の人は吃音をカミングアウトしているといいますが。

はたして、本当にそうでしょうか?

本当にカミングアウトしているならば、その人が働いている会社名が公になっているはずですし、吃音者が吃りながら仕事ができる素晴らしい会社であればもっと世間に知られているはずです。そして何よりも、体験談を発表する先輩吃音者が勤務先の人事部、採用担当者に口利きをして「後輩吃音者!!みんなうちの会社に来いよ。ちゃんと口利きするから大丈夫。障害者手帳もいらないよ」と導いてくれるはずですよね?

2018年や2019年に、AbemaTVやテレビ東京や日本テレビやNHKで吃音のある学生が就職活動しようと思って、吃音をカミングアウトして一般枠で就職活動をした事例が報道されましたが。その当事者を助ける、先輩吃音者、企業団体はありませんでした。要はこれが事実なのです。

吃音で吃りまくっている、仕事がうまくいっているという発言をする先輩吃音者は、困っている後輩吃音者を助けてはくれないのです。

以上のことからも吃音の子どものお父さんお母さんは、吃音者先輩のありがたいお話を聞く際には ちょっとオカシイぞ! と思いながら話を聞くことが大切になります。



15. 子どもの教育はどうするの?

吃音のある子どもの教育で大切なことはなんでしょうか?

今のところ、吃音のある若者が就職できている事例を見ると、文系よりも理系。さらに国家資格を持っているなどの人が就職できている可能性が高いです。サラリーマン総合職などは困難だと思ってよいでしょう。


今後、世界情勢や日本の国内情勢からすると、英語、中国語、日本語が話せるくらいになっていないと難しいかもしれません。

実は英語や中国語などができると、日本の新卒就職活動戦線で有利なります。または、そもそも日本企業では働かないという選択肢もでてきます。ここが重要です。就職活動の土俵が日本国内ではなく、世界全体になるのです。となると、そもそも吃音を含め発達障害というものに対する価値観が日本とは異なる国で働ける可能性がでてくるのです。外資系企業で働く、発達障害者の事例として。年棒制や契約期間という違いはありますが、給与も遜色なく、そして、最初に契約した仕事をしっかりやれば文句を言われないという環境があるといいます。外資系企業は発達障害に限定せず、障害や性別による差別はあまりありません。この部分も重要になります。発達障害のある人でも精神障害者保健福祉手帳を持ち、外資系企業で活躍する人もいます。

外国語ができるということは、情報をリアルタイムで獲得することができます。アメリカでテロが起きてもNHKのニュース速報で知る前に、英語メディアで知ることができますよね。そこで、外国語を勉強しておけば、そういう情報を日本に伝える仕事もできることになります。逆に日本で起きた情報を外国に伝えることもできます。こういうところで取材や翻訳や編集の仕事をしている発達障害者もいます。吃音者もこういう道を意識してもよいでしょう。


日本はそもそも人口が減っているため、大韓民国のように国内人口を相手にした商売は衰退するか、大きな成長は見込めないのです。国外のユーザー向けにビジネスをしようとなるのです。外国語を話せることは重要です。

その他に日本国内において発達障害者として障害者枠で働いてる人の中で外資系企業に雇用されている人がいます。外資系企業は日本企業のように待遇で差別はしないというのです。そういった場所ではたらくにしても外国語が話せたほうが圧倒的に有利です。それ以外にも訪日外国人向けのビジネスなど、日本の製品を世界のオークションサイトなどに出品してお金を稼ぐということもできるようになります。


吃音のある子どもの教育は、健常者の子どもを教育するように、外国語教育が重要になってくるかもしれません。お父さん、お母さんはとてもやることが多いかもしれません。あまり頑張りすぎないようにしてください。


子どもの教育 追記
子どもの教育についてです。発達障害業界の事例になりますが、発達障害のある人で精神障害者保健福祉手帳を取得して、オープン、クローズで働く人の中で、比較的ストレスなく、安定した生活をしている人。これらは専門職の人が多いです。総合職ではなく専門職です。 たとえばAdobe社のソフト(イラストレーターやフォトショップなどが有名)が扱えるとか、ライティングや編集、校正など文章を扱う仕事になります。とくにAdobe社のソフトは、学生であれば、学割価格でとても安い月額料金で使えます。このときに使い方を勉強するのは良いことだと思います。

もちろんこの際も「外国語」ができるならば、日本国内外のお客様とやりとりができる可能性があります。

吃音のある子どもの将来のために、「総合職」として就職する未来ではなくて、別の未来を考えてみましょう。

第一に「外国語」を1つマスターする。
第二に「専門職」として技術を習得する。
第三に「人生」を「ライフステージ」を、障害やマイノリティに厳しい日本ではなく、世界で考えること。

吃音のある子どもの保護者にはこれを知ってほしいのです。


16. 小学校、中学校、高校などで吃音のある子ども、発達障害のある子どもへの合理的配慮はどうやって学校側と取り決めればよい??

吃音のあるお子さんが安心安全な環境の学校で学ぶためには合理的配慮が必要になる場合もあります。保護者さんが平日昼間などに有給を半休をとって学校に行くこともあるかもしれません。吃音のこと、発達障害のことを説明にいくかもしれません。吃音を診療してくれる吃音ドクターであったり、吃音に理解ある精神科医師などから診断書を書いてもらうかもしれません。吃音について書かれた書籍を学校に提供するかもしれません。

さて、この場合本当に重要なことがあります。
それは、各地ごと、各地の教育委員会ごとで書式や呼称などは異なりますが。個別の指導計画、個別の教育支援計画という(以下 計画)、カードを使うことです。

文部科学省の説明ページ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/032/siryo/06090604/003.htm

この計画ですが、吃音のあるお子さんも使えます。
なぜこの計画を、このカードを使わないといけないのか。
それはせっかく医師に書いてもらった診断書などを持っていくだけ。その場で話し合うだけではダメなのです。学校教員の中にはあまり真剣に吃音のある子どもの合理的配慮を考えてくれる人はいないかもしれない、または、保護者が学校に説明にいったときに合意したことが実行されないこともあるでしょう。言った言わない問題になることです。それらを防ぐために文章にして「計画を発動」することが重大なのです。

さらに吃音業界独特の文化として、派閥抗争があり、吃音を認めありのままに吃ろう、吃りは友達、どもだち、堂々と吃れ、安心して吃りまくろう!という派閥に染まっている教員も存在します。その教員と保護者と当事者である子どもの価値観が合わなければ、これこそ、キッチリ計画を発動してこちらの実行してほしい合理的配慮希望を伝えるほうがよいでしょう。例えば吃音をできる限り治したいとか、吃音がでないような話し方を身に着けていきたいなどです。または吃音があるため、積極的な発言をしたくない。極力学校では発言しない発話しないですごしたい。発話発語を必要としないコミュニケーション手段を用意してほしい使えるようにしてほしい。スピーチや読み上げることは授業では免除してほしい。試験などは個室で行ってほしいと合理的配慮を申し出ることもでき、まずは勉強に集中したい安心安全でドキドキしながら通学したくない、お腹いたくならないで通学したいという保護者と当事者もいるでしょう。

いずれにせよ「計画を発動」するということは、その子どもと家族ごとに個別にカスタマイズして作成した計画を発動することですから。ここでは過度過重な合理的配慮を要求しない限りは、ほとんど認められると思います。吃音の場合の過度過重な合理的配慮ですが、「最後まで吃りながら吃りまくって話す」ことが過度過重になります。授業予定時間は延長することができないのに、どもってしまう時間を全部認めるのは難しいからです。例えばNHKのニュースに吃音アナウンサーが出ていて。30分しか放送時間がないのに、吃音でどもりまくることにより、40分も放送時間が必要になった、今日は33分だった。と時間が日々変動するのは過度過重な合理的配慮になるからです。


ところでこの「計画」とはなんなのか? と思う保護者さんもいるでしょう。
それもそのはず、吃音業界の文化に染まりきってしまった、教員はこの2つの計画を保護者に説明しない場合もあるのです。要は面倒だからです。今まで培ってきた大いに吃る吃りまくる堂々と吃る、吃音は発達障害と一緒になってはいけないなどの吃音世界を破壊されるのも困るわけですから。(何れにせよ、合理的配慮はその子ども、保護者ごと個別に作成される考えることが重要になります。合理的配慮に教科書的な正解はありません。その当事者ごと、その当事者の価値観、その当事者の希望に合わせて落とし所を考えることになります)

地方自治体の窓口などに行ったとしましょう。住民票を取りたい、何かの住民サービスを利用したい。こういうときは申込書を書きますよね。または役所から何らかの文章が届くときは番号がありますよね。その場合、その申込書や申請書や通知書は「様式XXXX」、「●XX様式」などと左上や右上に書いてあると思います。そうです。公務とは書類により文書主義になっているのです。

これが実は教育でも存在しており、それが先ほど説明した個別の指導計画、個別の教育支援計画という書類に記入することなのです。小学校、中学校は各都道府県ではなく市区町村の教育委員会ごとことなります。高校は各都道府県になります。この計画を発動することにより、証拠が残ります。子どもに対してどのような合理的配慮や安心安全な学校にするのかを書面に残していくからです。

そこで計画を使いたい!! と学校側に申し出るのです。
もちろん余計な仕事をしたくない、責任を増やされたくないという学校や教員は『お子さんの吃音程度ならこれは必要ないですよ。大丈夫ですよ(笑)』などなど計画を使わせないように水際作戦を展開してきます。『今真剣に話したことを実行しますよ。大丈夫ですまかせてください』という発言を平然とする教員もいるでしょう。

それを吃音のあるお子さんの保護者さんは信用してはいけません! 実社会でも何度も保護者さんは経験しているでしょう? 言った言わない問題を人生で何度経験しましたか? 平気でウソを付く人、やるといってやらない人。それは教育現場でも残念ながらいます。

そういう場合は教育センターや教育委員会に経緯を説明し計画を使うにはどうしたらいいかと相談に行きましょう。とくに吃音の場合は他の発達障害と違い、吃音業界の吃音至上主義のせいで、吃音は障害ではないと思いこんでいる、吃音はどもりまくってよい、そういう価値観に染まっている教員もいるため水際作戦を使うことや、保護者が要望要請したことを実行しない場合もあります。それを防ぐ意味でも計画を発動することが大切になるのです。

この計画の中には、子どもが安心安全に学校に通学できるためにはどのような合理的配慮が必要なのか。吃音があっても吃って行く方向にするのか? 吃音をできる限り出ないように訓練して流暢に話すようにしていくのか? 吃音があるのでとりあえず、発話発語はせずそれ以外の手段方法でコミュニケーションしつつ学校に通うのか。いろいろなパターンがあると思います。

その際、子どもの吃音はオープンでいくか、できるだけひっそりとしていくか。
吃音のことはクラス全員にオープンにして話すか、それ以上の範囲にも話すか、一部の人だけに伝えておくか。それとも隠すか。(筆者は吃音のことはクラス全員に伝えたほうがラクだと思います。吃るときもあれば、吃らないときもあって、うまく話せてるときもあるし、いきなり吃りまくってどうしようもないときもある、情報が事前にわかっていれば人間は理解できるからです)

吃音を説明するとしてどうやって説明するか。その方法。子どもが言うのか。
担任が言うのか。その際子どもは教室にいたほうがいいのか、いないほうがいいのか。

吃音に対する他の子どもからの指摘、いじめ、からかいが発生した場合どうするか。
どうやって解決していくのか。子どもがどうしてもクラスに居たくないと思ったときに逃げることができるパニックルーム・セーフルームはどこにするのか? 職員室か? 保健室か? それとも特定の先生の部屋か?

すべての教科担当に吃音のことを担任から説明するようにと明記するか。
吃音について知識がない教員だと、「なんだコイツ。うまく話せてるじゃん。吃音があるなんてウソなんじゃないか? もっと話させよう」と考える方もいますし。「この子吃音で話せないんだ。じゃあ、どんどん話を振っていこう、無理やりにでも話させて、それを繰り返していけば話せるようになるだろう」と考える方もいますし。教科担当ごとに障害に対する価値観が異なる場合は本当に説明が困難になる場合もあります。
そのため、「計画を発動」する段階でかなり細かく、深部まで想定して文章にしたほうがよいです。

授業ごとどのような合理的配慮を希望するか。発言をしなくてもよいことにするか、発言をしたいときは右手を挙手する、発言をしたい解答はわかっているけど吃りそうだから先生指名しないでの意味をこめて左手を挙手するルールをつくるか。

中学校であれば職場体験として、子どもがどこかに電話しなければいけないのか、その場合は学校側、教員が電話してくれないか。

学校側と保護者と(場合によっては)子どもも含めて定期的な面談はどのくらいの頻度にするか。

保護者が学校側に連絡する場合、学校ではまず最初に誰が窓口になるのか。その担当窓口に話したことは各教員に自動的に共有されるか。の確認も必要になります。ワンストップサービスと同じ考えです。何度も何度も教員ごとに保護者が説明する必要は無いからです。

以上のようにありとあらゆることを学校と話し合い、どうしていくか決めていくのです。

保護者、当事者である子ども、担任教師、学年主任、養護教諭、教頭、校長、発達障害支援コーディネーター、教育センター職員、必要に応じて病院医師、言語聴覚士、作業療法士、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、外部のサービス事業者の支援職などなども必要になります。

そしていよいよ、吃音のあるお子さん、その家族と学校側が、その子どもにあったカスタマイズ合理的配慮を考えて落とし所で合意するのです。


吃音のあるお子さんの保護者の場合、病院からもらった診断書などを、担任教師のみだけとの話し合いで消費してしまうこともあるかもしれません。。それはもったいないです。同時に「計画」を利用する、発動するのです。これで文書主義である「証拠」ができます。あとから言った言わない問題。そんなことは聞いてない。忘れてました。忙しくてできませんでした。子どもに嫌な思いをさせました。子どもが吃音を他の子から指摘された、イジメが始まった。子どもが不登校になりました。子どもが自殺自死をほのめかすよになりました。最悪の場合、本当に亡くなってしまいましたということも発生することもあるかもしれません。そうならないためにも、「計画を発動」すること書面化すること、学校側と合理的配慮について取り決めて、責任と証拠が残る状態に持ち込むことがまずは最優先になります。

また、「計画」は書面としてどんどん蓄積されるので、次の学年、次の学校へ、入試のときの合理的配慮、就職活動時の合理的配慮、就職活動時に精神障害者保健福祉手帳が必要な場合にスムーズに手続きができることにもなります。このように次々と引き継ぐことができます。必要なくなれば一時停止もできます。合理的配慮が必要なくなればいったん、保護者さんがそれらの書類全部を引き取ってもよいでしょう。母子・父子手帳と同じようなイメージです。子どもが成人しても保管しておきましょう。いつか使う日があるかもしれませんし、使うことは無いかもしれません。