2021年9月1日水曜日

【解説 なぜ医療福祉のはざまなのか】2021年8月31日放送 アベマ アベプラ コロナ禍で新たな困難に直面...吃音症当事者に聞く苦悩と社会に求める理解とは

【番組紹介】

 2021年8月31日放送 

変わる報道番組#アベプラ【平日よる9時〜生放送】 | 企画

コロナ禍で新たな困難に直面...吃音症当事者に聞く苦悩と社会に求める理解とは

https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p3106


――法律があったのに自死が起こる吃音業界

2021年8月31日放送された、アベプラにて吃音が取り上げられました。

冒頭にて 1:57の部分で『社会的に多様性が叫ばれる今でも残念ながら吃音は置き去りのまままです』という吃音当事者からの手紙が紹介されます。

当ブログをご覧の方々はすでにご存知のことと思いますが。
吃音は2005年4月より発達障害者支援法に含まれていたのですが。吃音業界の団体がそれを隠蔽していた、障害者運動をしていなかった歴史があります。
・参考リンク
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2016/12/200542013.html

https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html

これにより現在は2021年なのですが、未だに吃音により困っている当事者、子ども、家族の選べぶことができる、選択肢がなかなか広まっていないのが現状です。

2005年発達障害者支援法に含まれ、自閉症スペクトラム、ADHD、LD、トゥレット症候群と全く同じ、社会保障制度、合理的配慮(吃音に適した)、障害者枠での就労などが利用できるのです。

もしも2005年から吃音業界が他の発達障害児者団体と連携協力し政府や地方自治体に、教育機関に訴えていけば。2021年現在、困っている吃音当事者やその家族は、その悩みを持つことがなかった世界線を生きているかもしれません。

また吃音当事者には吃音と同時にその他の発達障害を持っている場合もありますが。それもなかなかメディア、マスコミで啓発されることもありません。吃音でも困っているし、その他の発達障害で困っている人もいるかもしれません。


――2014年厚生労働省の発達障害支援室が、その時歴史が動いた

2013年、北海道の吃音看護師、製薬会社社員の自死が起こりました。後者数年後に報道がありました。看護師はリアルタイム報道でした。しかし、そのときもマスコミの誤報があり「吃音は厚生労働省が障害と認めていない」と報道されたことがありました。その他の新聞社やニュース報道も、吃音がどのような法律の対象かどうかを厚生労働省に取材すらしていないのです。

その時歴史が動いた 障害保健福祉部障害福祉課 障害児・発達障害者支援室 障害児支援係が動いたのです。自死報道があり、厚生労働省が障害と認めていないという誤報が流れ。本当は2005年から吃音のある人を支える法律が存在していることを伝えたかったのです。(吃音業界が全く要請要望を厚生労働省にしてこないため何もできなかったのです。※公務員は自分の判断で政策立案してはいけないというルールがあるからです。必ず、市民国民からの議員からの声があって、政策に反映できるのです。このとき自死が起こり、意見が厚生労働省に届き、発達障害者支援法に含まれていることを、障害説明の一覧に掲載するというウルトラCにより再周知を行うことになったのです。本来、行政が一つの症状や病気や難病や障害やマイノリティについて取り上げて再周知を行うことができない。それをしてしまうと私たちもしてくださいとなりかねないため、ギリギリのラインを落とし所にしたことになります)

そして、当時の発達障害支援室の専門官が、発達障害情報支援センターという、国立障害者リハビリテーションセンター内部に属する、そのセンタ-のホームページの発達障害の解説に吃音を入れたのです。これが2014年7月です。
しかもこの国立障害者リハビリテーションセンターには日本の吃音診療の旗艦病院である吃音診療科が存在していました。しかしそこが動くことはなかったのです。ゆえに発達障害者支援室マターで動かすことができる組織。発達障害情報支援センターの情報を更新するに至りました。

そのあとの流れは早く。厚生労働省の広報誌 東京都の発達障害支援ハンドブック 各地方自治体が、発達障害の一覧にて吃音を説明し、そして、ASD、ADHD、LD、トゥレット症候群の当事者と同じ、選択肢を自己決定権により行使することができる、そういう世界線も存在すると周知がはじまりました。吃音業界、当事者団体、教員団体などが全く動かないなか。厚生労働省により、その時歴史が動いたのです。

そしてやっと、吃音が発達障害者支援法の対象であると世の中に広まってきたのです。もしも2005年から吃音業界が障害者運動を起こしていれば。令和現在で困っている吃音児者がその家族が涙を流すこと。ひきこもりになってしまった人、自死してしまった人も全く別の人生があったのかもしれません…。この点、吃音業界は第三者による検証委員会などは設けず、この大きな問題、否。悲劇に向き合おうとしていないのです。


――令和現在の困っていることは、困っている吃音当事者を支援したい精神科医師が吃音の演技を見抜けないこと

日本では、吃音を診療するのは耳鼻咽喉科と歴史的になっており、吃音の確定診断についても耳鼻咽喉科医師が行うことが慣例となっています。これは、精神科医師では吃音を装う、過去に音楽業界で耳の聞こえないゴーストライター問題がありました。これと同じで、精神科医師も吃音を主訴とする患者が本当に吃音かどうかわからないため。まず確定診断を耳鼻咽喉科から行ってもらい、そこからの紹介状があれば、困っている吃音児者のために手帳や障害年金申請用の診断書を書くということができるようになっています。都内でも筆者と関係のある精神科医師数名は、耳鼻咽喉科からの紹介状があれば、すぐに診断書を書くという篤志家の医師がおられます。


――吃音で困っている人がいるがマスコミが正確に伝えない問題

朝日新聞のオピニオンにて吃音当事者が投稿した内容があります。

https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2021/02/blog-post.html


吃音はもちろん、吃音以外の発達障害児者と同じで困っていない人もいます。成功者であったり、とくに問題なく生活している人もいます。しかし、発達障害者支援法に含まれていること、困っているのであれば、選択できるカードがあること。これを伝えてくれないのです。マスコミは吃音が発達障害者支援法に含まれており、ありとあらゆる社会保障制度を行使できる可能性があることをもっと伝えてほしいのです。


とくに法律により、吃音以外の発達障害児者が使える制度を、吃音児者も使えることを正確位伝えてほしいところです。行使するかどうかは自己決定権によりますが。選択肢が存在することを知ることができていれば。本当にどうしてもだめだ。もう頑張れない。死にたい。自死するしかない。もうどうでもよくなった。という段階になってSOSを出すかもしれませんし。最悪の状況になるまえにそれらを避けるためのルートを選ぶこともできるかもしれないからです。



――吃音業界が動かないため、発達障害児者団体が毎年、予算要望を国や自治体に送る現状 そして吃音だけではなく、その他の発達障害も持っているかもしれない場合は、発達障害児者団体に参加してみませんか

吃音業界は、一枚岩となり障害者運動をすることはありません。全ての団体が一致団結して意見表明することもありません。困っている当事者や家族もいるはずなのですが。なかなかそれができません。国や地方自治体の限られた少ない予算のなかで、吃音にもほんの少しでいいので、触れてほしい。政策に反映してほしいと訴えることはしません。

令和現在においても困っている吃音児者やその家族が存在するのはそのためです。しかし吃音は吃音だけではなく、ASDやADHD、LD、トゥレット症候群を同時に持っている人もいます。むしろそれは、発達障害児者団体や保護者・親の会ではもともとわかっているものでした。しかし残念なことに吃音業界では吃音だけが注目され、もしかして、その他の発達障害も持っているかもしれない。。。ということに気づかない。または向き合わない場合もあります。これは吃音至上主義という差別の存在もあります。

これが根底にあり、一部の吃音業界団体が2005年から発達障害者支援法を支えるJDDネット(という発達障害児者団体、専門職団体の連合体に参画していたのに)、吃音が発達障害者支援法に含まれているよ!と障害者運動が起こらなかった原因の一つではないかと考えます。

そこで、吃音業界っておかしいな。変だな。と思った当事者や保護者にはぜひ、発達障害児者団体に参加することもよいのではないかと思うわけです。また吃音以外の発達障害も実はあるかもしれないという場合はなおさらです。

とくに親の会は強いです。百戦錬磨の先輩保護者さんがその情報を後輩のためにどんどん蓄積しています。学校での合理的配慮はどう相談申請したらよいか、どの病院がよいか、どのような人生の選択肢があるか。学校や行政、民間企業とどう接すればいいか。話し合えばいいか。いろいろな情報を持っています。

4月2日は世界自閉症啓発デー、日本国内では発達障害啓発週間です。しかし吃音の団体は積極的に参加せず。他の発達障害児者とその家族と連携しようとしないことも悲しいことです。お互いを知り、一緒に連携して国や地方自治体に意見を伝える。もっと広まっていくことを願っています。


2021年6月4日金曜日

発達障害や精神疾患があるとワクチン接種が優先される!?

 


Development of ShellsというYou Tubeチャンネルをご存知ですか?

すべての発達障害、神経発達障害を扱う(もちろん吃音を扱ってくれるという)。当事者達のYou Tubeチャンネルにて。

厚生労働省ワクチン部会で3月に方向性が固まった、新型コロナウイルス感染症ワクチンの優先順位について解説動画が出ました。情報提供からの仕事の速さがジェバンニでした。

この動画が出た瞬間から、発達情報系アカウントから同じ情報が出るようになりましたね。影響力凄いなと思いました。

◆厚生労働省の資料

第44回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省

基礎疾患を有する者への接種にかかる情報提供等について



2021年2月8日月曜日

【記事紹介】吃音を克服しなければいけないか? 朝日新聞のオピニオンから

―― 朝日新聞2021年1月29日 オピニオン&フォーラムに 吃音「克服」への違和感 という投稿がありました


・朝日新聞に大学院生 加賀沙亜羅氏からの投稿が掲載されました

【以下投稿された記事】

「克服」は何を意味するのだろうか。辞典には「努力して困難にうちかつこと」などとある。「病を克服する」という例文も。では「病の克服」の意味とは?

米大統領選でずっと気になり、見逃せないことがある。各種報道が新大統領バイデン氏に関し、「誌の朗読で吃音を克服」などと紹介していることだ。

私には吃音障害がある。発達障害の一つとされ、必ずしも「治る」ものではない。自身の学業や人間関係の苦難は割愛するが、鏡の前での発話練習や誌の朗読、CDに合わせた発声など一通りの努力はしている。しかし、治らない。

氏が吃音の症状が出ないように工夫してきたのは素晴らしい。だが「治った」わけではないはず。実際、氏は今も言葉に詰まる場面が見られる。そんな中、「吃音を克服」と報じることで、「吃音は努力で治せる」との誤解を世間に与えないだろうか。

「克服」の表現で何を伝えるのか。どういう印象を与えるのか。メディアは再考してほしい





―― 大学院生の投稿は正しい メディアの報道姿勢そのものが問われる

バイデン大統領については吃音をもった大統領という、またそれを克服し大統領になったという報道が日本国内でされている。しかし本当にそれは多種多様な選択肢のひとつであって、誰もがそうなれるとも言えない現実がある。バイデン大統領というのはバイデン大統領という一人の人間の話であり、それが全ての吃音児者にあてはまるかと言えばそうではない。

たまたま吃音があって、世間的に生活水準が高い生活をしている人もいるかもしれないが。その逆もありえるし、常に吃音という存在が人生にまとわりつき、あのとき、あの人、あそこで発言していれば、今は違っているかもしれないという後悔の念を持つ人もいるだろう。報道をする側の人間は。そこまで考えて取材報道をしてほしいところであるが…。

吃音業界は、吃音を障害にしないように。可哀相な障害者にしないように。保護者にお子さんは障害者じゃありませんと教える。などなど本当に吃音至上主義という差別が蔓延している。(吃音の子どもの保護者さんは、吃音業界団体のイベントに参加することもあるかもしれないが、その際に【吃音は障害じゃないよ、障害者は可哀相な人達だよ。あんなふうになってはダメだよ】と教えられた人もいるかもしれない…。もしも差別の心を植え付けられるような事があれば、今後参加しないほうがよいでしょう)

その中でも『吃音を持った有名人※1』を数多く取り上げて。世の中には、こんなに成功している吃音者がいる。あなたもそうなりなさい。というパターナリズムが横行する現実がある。

※1

有名人とは。王族、議員、弁護士、会計士、医師、言語聴覚士、教員、自衛隊員、警察官、消防官、公務員、一部上場企業職員、教授、理学療法士、営業、エンジニア、芸能人、経営者、コンサルタント、研究者、文筆家、漫画家、音楽家、演奏家、映画監督などなど


発達障害業界でも『発達障害を持った有名人』エピソードはあり。吃音業界ほど深刻ではないが。発達障害業界でも2005年前後、第一次発達障害ブームが起きた際、発達障害を持ったすごい人列伝があった。2021年現在は『たしかに発達障害の才能が現在社会の仕組みピタリとハマり。大活躍する人もいるけれど。そうではない人もいるよね。』という認識が広まっている。NHKが発達障害を報道するとき、才能をもった凄い発達障害児者が放送されると『視聴者から、全ての発達障害の人がそうではありません。そのような報道は気をつけてほしい』とリアルタイムで意見が入り、生放送でその声を伝えることもあった。シブ5時だったような記憶。

しかし2021年現在でも。発達障害(吃音含む)は資産、才能、武器、特別な能力という形で発達障害の啓発啓蒙、発達障害サバイバル(オープン、クローズ問わず)をする当事者や支援者もいる。発達障害とはどのような特性があるのか。知的障害との併存如何。困っている人はどのようなところにいるのかな。困っている人も本当はいるよね。という視点は大切にしてほしいところ。発達障害(神経発達症として知的障害も含み)とはそのまま全ての特性がスペクトラムで個々人がレーダーチャートとして特性ごとの強さを持っているよねという価値観が広まる日本社会に――。


発達障害のある人が生まれた家。保護者の収入。保護者の価値観。学校でいじめられた? 不登校になった? そんなことはなく通学できた? 自己肯定感は? 学校はつまらなかったかもしれないけど自宅で好きなことや勉強ができた? 家庭内で虐待されたか? ということも考えられる。

成功している吃音先輩を見て、『ウチの子どももきっとああなる。大丈夫だ。子どもは障害者じゃない。私達は障害児を産んでない。努力して克服しない吃音者は怠け者。堂々と365日いついかなるときでもどもりまくらない吃音者は逃げているだけ』などと認識する保護者もいますし。その保護者に洗脳される吃音児は成人する、社会人になるまでは居心地がよいかもしれない。そのまま成功している吃音先輩と同じ土俵や同じ生活レベルを維持できる世界にいけば、吃音で困っている奴らはただの怠け者と思い続けるかも場合もあるだろう。また、子どものときに可哀相な障害者という価値観を植え付けられてしまえば、差別する側に自然と立っている可能性もある。



―― 大学院生の投稿に発達障害と書かれているところは重要なこと

大学院生の投稿(以下 記事欄)は、新聞、テレビ、ラジオ、映画や漫画、ネットメディアの吃音に対する姿勢への違和感を示唆している。

記事文中でも、吃音は発達障害の一つして。と書いているように大学院生の強い声が伝わる。

昨今の吃音に関する報道、テレビ番組などは『吃音は2005年4月から発達障害者支援法の対象であり、ASD、ADHD、LD、トゥレット症候群の当事者と完全に同様な社会保障制度、支援制度、合理的配慮、精神障害者保健福祉手帳の取得、法定雇用率枠での就労が可能である』とは報道しないのである。(なお最新の診断基準、ICD11で発達障害は→神経発達障害群または神経発達症群とされる。神経発達症には知的障害が含まれることも重要)

殊更日本国内では、『吃音と発達障害、精神障害』を結び付けないようにする報道や放送が多くみられる。Googleニュース記事検索で「吃音」を検索した場合に。吃音は発達障害者支援法の対象である。と明記している記事はどのくらいあるだろうか。発達障害者支援法、障害者総合支援法、障害者基本法においても『障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)』というように発達障害を含むとされ。吃音は発達障害者支援法に含まれる。

2021年。令和現在。今でも日本国内、全都道府県において、吃音を診療する病院が設置されていない。子どもが吃音だ。吃音以外にもASDやADHDやLDがあるかもしれない。感覚過敏や感覚鈍麻があるかもしれない。不器用だ。と悩んでいる保護者もいるかもしれない。

2005年4月から吃音業界が障害者運動をしていれば。発達障害者支援法19条により病院が設置され、わざわざ飛行機や新幹線を使い遠く離れた、吃音専門病院に行くこともなかったであろう。吃音以外の発達障害も同時にあるかもしれない場合にも早期発見が可能になり、選択肢を知ることができた可能性もある。吃音のある当事者や子が吃音という保護者にも多種多様な選択肢を持てたことになる。自死自殺、ひきこもり、ニートという選択をしない可能性も考えられる。

吃音のある学生の新卒就活でも障害者枠就労をもっと早い段階で選択肢のひとつとして知ることができた人もいたかもしれない。


―― 吃音を取材報道する側の人はどうしたらいいか?

これはシンプルに、まず、吃音は発達障害者支援法の対象であることを説明。

また、どうして2005年4月から存在する発達障害者支援法があったのに。吃音だけが、ここまで支援が遅れているのかを取材すべきでもある。吃音者の自死自殺報道の際も、その背景を取材した記者がいたのだろうか? ただ、起きたことを報道するだけではなかったか。吃音は発達障害者支援法に含まれていたと報道したところはあっただろうか。なぜ一般的に言われる発達障害の人々のように多くの選択肢があるはずなのに。それが行使できない状況になっていたのか。これらを取材報道することも大切である。

子どもや保護者に吃音は障害者じゃないよ。可哀相な障害者とは違うから大丈夫ですと教える吃音業界団体が本当はあるのではないか? それ故に発達障害者支援法の周知が遅れたのではないか? という視点での取材報道も必要である。

吃音が努力で治せる。または克服できるという内容も本当にそうなのかよく取材することも大切である。治りやすい吃音なのではないか? 治りにくい吃音なのではないか?の部分である。