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2017年5月8日月曜日

沖縄県沖縄市の障害福祉課が吃音は精神障害者保健福祉手帳が取得できると市民の声で回答

沖縄市役所 障がい福祉課 給付係の市民の声への回答を掲載する。
吃音が発達障害者支援法に含まれており、発達障害者として精神障害者保健福祉手帳が
取得できるということが市役所レベルでも周知されてきているようだ。これはとても良い流れだ。

2017年01月05日 精神障害者保健福祉手帳についてというURLだ。
http://www.city.okinawa.okinawa.jp/voice/c/17/d/11519

 ご質問内容

吃音症という症状を持っています。
外見ではあまり分からないものですが、仕事の際に支障を感じており、職場を転々としている状態です。
吃音ではどの程度の症状の人が手帳の申請をできるのでしょうか。
 
 ご回答内容

こんにちは。回答が遅くなり、誠に申し訳ございません。
ご質問のありました件について回答させていただきます。

精神障害者保健福祉手帳の申請に関しては、専用の診断書を病院(精神科、心療内科など)の主治医に書いていただく必要があります。
「吃音症でどの程度の症状が手帳に該当するか」というご質問ですが、沖縄県の担当者によると、「提出された診断書の内容を総合的に判断するため、診断書をみてみないと判断できない」とのことでした。
日常生活や社会生活にどのくらい支障があるのか、ということを診断書で判断するようです。
申請は診断書があれば可能ですが、初診日から6か月以上経過している必要があります。役所で申請後、沖縄県の審査会で手帳の承認・不承認が判定されます。
また、障害年金をもらっている場合は、障害年金証書(精神障害の事由によるものに限る)で手帳を申請することも可能です。

ご不明な点などありましたら、下記までお問い合わせください。



沖縄市役所 障がい福祉課 給付係

2017年4月15日土曜日

2017.4.8 世界自閉症啓発デーシンポジウムの様子

こちらは4月8日に灘尾ホールで行われたシンポジウムです。
この会場でも吃音やトゥレット症候群が発達障害に含まれていますというアナウンスがしっかりとありました。

本当に感謝です。吃音者に寄り添い、いまでもなお手を差し伸べてくださるみなさまに心より感謝いたします。
吃音も発達障害者支援法に2005年から含まれている。これはとても大きい。2017年からこれからも啓発していかないと。不登校や引きこもり、自殺を決断する人が、使える社会保障制度があるように。ライフステージごとに、いつでもSOSがだせるように。社会保障制度や合理的配慮を利用することが恥だとか、弱さとか、逃げだとか思わないように。吃音で命を絶つことはできる限り避けたいから。
吃音の障害者認定反対派は憤激するでしょうが、日本には憲法もありますし。困っているときに使える制度があるのはとても素晴らしいことだと思います。

シンポジウムでは地域つくりリーダーの思いとして。稲村和美氏(尼崎市長)、北村正平氏(藤枝市長)、比嘉ゑみ子氏(沖縄県中小企業家同友会)のシンポジスト発表がありました。自治体ごとの発達に課題のある子どもへの対応や親への対応。早期発見早期療育の仕組み。子どもも親も両方支えることの大切さ。子ども発達支援センター。切れ目のないいつでも利用できる仕組みなどが説明されました。
また沖縄県の中小企業家同友会が障害者雇用事例を紹介しました。

効果的な伝え方の工夫(マスメディア)
というシンポジウムもあり。
神戸金史氏(RKB毎日放送東京報道部長)、東ちづる氏(女優・一般社団法人get in touch代表)、熊田佳代子氏(NHK文化・福祉番組部チーフプロデューサー)の3名から、相模原の障害者無差別殺人事件、どうやってマスメディアにアピールするか、ナチスドイツのT4作戦の番組、これらを交えて、マスメディアの報道の力やそれが世の中に与える影響などについて話し合われました。

マスメディアの力は良い面もあれば悪い面もある。報道する自由や報道しない自由。報道する側が面白いとかメリットやドラマがないと報道しない場合があると東ちづる氏が話しました。
NHKの熊田氏からは、相模原の事件の被告はタイミングよくETV特集を見ていたのではないか?という心配もあったと明かしました。(結果的にそれはなかったそうです)ヒトラーが降りてきた?という発言に放送が影響したのではないかという心配でした。



また、神戸金史氏がフェイスブックに投稿した文章も紹介されました。
コチラです。




#吃音 #発達障害 #WB2017 #MAZEKOZE



吃音やトゥレット症候群が発達障害として説明されています。
この説明板は東京タワーの2階にも掲示されていたそうです。







発達障害の支援を考える議員連盟 高木美智代事務局長


2017.4.2世界自閉症啓発デーin東京の様子

4月2日は世界自閉症啓発デーでした。
 詳細はコチラ
http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/

都内では東京タワーが自閉症協会が中心にいろいろな発達障害当事者団体や支援者の啓発活動、渋谷方面でもゲットインタッチという団体が発達障害を中心にまぜこぜで啓発活動をしました。

吃音者の団体も2016年に引き続き、啓発活動に参加していました。
当日の配布された他団体の資料でも吃音やトゥレット症候群が発達障害に含まれると書かれており、2005年施行の発達障害者支援法が今まさにスポットされているともいえます。改めて実は2005年当時から吃音は発達障害者支援法にふくまれており、社会保障制度も使えるはずだったということが世間に知られていくでしょう。

今回の世界自閉症啓発デーでわかったことはMAZEKOZEの良さです。
意外にも吃音が発達障害だということは他団体の人の方が知っている方がいたりするので驚きです。一般に言われる発達障害児者の当事者や家族、携わる医療従事者や支援者のみなさんは、発達障害の人の中に吃音を持っている人がいることを知っているのでしょう。

また、吃音業界の派閥抗争、考え方の違い、障害者認定反対派などの動きもありますが、それでもなお、それでもなお、吃音者・吃音業界を突き放さずに吃音者に手を差し伸べてくれるみなさまに心より感謝いたします。本当にありがとうございます。








2017年2月5日日曜日

吃音を診療・診断する医師の方向け吃音診療ガイドライン

※この記事は医師免許を持っていない者が書いています。これを念頭にお読みください。

◆あらすじ

吃音が発達障害者支援法に含まれるということが、改めて公になった2014年7月3日。
吃音業界には激震でした。まさに青天の霹靂、寝耳に水という事案・事件ではなく、事変でした。吃音事変2014と言うべきところでしょう。

はっきり言うと、吃音が発達障害者支援法に2005年の施行当初から「吃音」が発達障害者支援法に含まれていたことを理解できていれば2013年、北海道の吃音看護師も自死を避ける選択をした可能性もあったわけです。

2013年の吃音看護師自死は7月、8月に北海道のローカルメディアで報道されたあと、半年後に朝日新聞社が全国紙として、テレビ朝日も取り上げました。

問題なのは吃音業界の派閥抗争の異常さです。
2013年の吃音看護師自死の報道の際も『吃音は発達障害者支援法に含まれているよ。精神障害者保健福祉手帳を申請すれば取得できるし、社会保障制度を利用できるし、人権侵害があれば障害者を扱う関連法案と既存の人権侵害の両方からも戦えたよ』と詳細を調べて報道するマスコミ、マスメディアがいなかったことです。

しかし、筆者が独自に調べたところ、一般社団法人 日本発達障害ネットワーク JDDnetには設立時から2012年?までに「全国ことばを育む親の会(2016現在 言葉を育む会)」が参加していました。
 
また2007年? 2008年?に「一般社団法人 日本言語聴覚士協会」もJDDネット参加しています。2017年現在でも加盟団体です。

おかしいですよね?
吃音にも関係ある団体がJDDネットに参加していたのにも関わらず、「吃音が発達障害者支援法に定義されている」と全国各地で周知徹底をしなかったのです。法律や情報を「見える化・分かる化・共有化」しないという理解しがたい行動です。


ただし、一般に言われる発達障害の子どもを学校で担当する教員、大学などで発達障害児者を研究する研究者や学者や教員、発達障害を診療する医師、小児科の医師は、自閉症スペクトラムやADHD、LDやチック・トゥレットの方々に吃音を持った人が存在することはよく知られていました。筆者を発達障害であると診断した小児科医師も「吃音と発達障害は両方持った人が多い」と話していました。「発達障害とは、考え方、認識の仕方、人間の五感、運動機能、記憶、学習能力、読み書き、話すこと、などなどを司る脳の機能の障害である。それがもとになり不利益や不自由、コミュニケーションが困難、生き辛さが生じる」と小児科医師は説明していました。吃音であれば話すことの発達障害になる、自閉症スペクトラムであれば、考え方や認識の仕方の発達障害になるというのです。


吃音業界と縁の深い耳鼻咽喉科医師やことばと聞こえの教室の教員、言語聴覚士はそのようなことは知らないというテイを現在でも貫き通しています。
(知っていたなんて認めれば、吃音を苦に自死した人、ひきこもりになった人、イジメを受けた人、進学を諦めた人、就職活動を諦めた人、に合わせる顔が無いですからね。知らなかったという魔法の言葉で自分の責任から逃れているわけですね)

特に公務員、公務員に準じた独立行政法人など、国公立の教員、国公立大学の教員・研究者、国公立の病院医師は法律や通知文(17文科初第16号厚生労働省発障第0401008号)を知らないなんて言い訳ができるのが驚きなのですが…。


17文科初第16号厚生労働省発障第0401008号平成17年4月1日
厚生労働省 文部科学省 発達障害者支援施策について
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0412-1e.html


吃音業界が伏魔殿であり異常事態に陥っていることは
別記事をお読みください。
2016年11月27日 東京大学の吃音サークルが吃音業界の不都合な真実を演劇で披露しました

【必読】はじめて吃音を知った人へ 吃音・吃音業界と関わる上で絶対に知っておくべきこと 大切な吃音ガイドライン

【重要なお願い】吃音業界は2005年4月から施行の発達障害者支援法を本当に知らなかったのか?なぜ2013年に北海道で吃音看護師が自死したのか



◆本題 吃音を診断、診療する際に気をつけること 医師が懸念していること

筆者が医師や精神科医師に質問して判明したことです。

吃音は従来、国立障害者リハビリテーションセンターが担当していたこと、耳鼻咽喉科が担当科であると暗黙の了解・空気で決まっている。住み分けとも言うべきか。そして発達障害者支援法ができる前に医師免許を取得している医師の場合、本当に吃音の知識は少ない。無い。故にあまり精神科や発達障害専門にする病院では敬遠する傾向があります。

また、吃音は「なりすますことができる。演技をして吃音を装えることができる障害」であることが、精神科医師や発達障害を専門にする病院医師が抱えている大きな悩みだというのです。

国立障害者リハビリテーションセンター病院のように脳を調べることができるなら、この人は確実に100%吃音であるとわからないことが怖いというのです。もしも吃音をなりすまして演技をしている人に精神障害者保健福祉手帳申請書類、診断書を書いてそれが自治体、厚生労働省に認められるようなことになれば、診断した医師の能力や責任問題になることがとてもとても恐ろしいというのです。

佐村河内守氏問題のときに聴覚障害者を診療診断する際のガイドラインができたことはみなさん記憶しているでしょう。結果として厳格化されることになりました。

厚生労働省 聴覚障害の認定方法に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=185034

聴覚障害「全聾」認定、脳波検査義務づけへ 佐村河内さん問題で厚労省検討会 2014.10.30 21:21
http://www.sankei.com/life/news/141030/lif1410300043-n1.html 
東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/shinshou_techou/sintaisyougaininteikijyun.files/choukaku.pdf

例えば国立障害者リハビリテーションセンター病院で吃音の診療診断をする際は、fMRIやその他検査で脳を調べることになります。

しかし、それ以外の病院では、そこまでできる設備があるのか?
導入費用や維持費用はどうするのか?
その検査方法に精通した医療従事者がいるのか?

結果的にいろいろな原因が複雑に絡み合い、吃音診療を躊躇する医師が存在することになります。
法律上は2005年から発達障害者支援法に含まれている吃音、最近の研究では吃音は脳神経の話す部分のネットワークの障害である(神経発達障害である)とわかって来ましたが。まだまだ日本全国の医師が実際に吃音患者を診るというのは別というのです。


◆吃音者に精神障害者保健福祉手帳申請書類、診断書を書く場合はどうすればいい?
現在、困っている吃音者のこと、吃音業界の異様さ暗黒面を認識した医師が立ち上がっています。一部の精神科医師、発達障害を専門にする精神科医師はこのようにして障害者手帳がほしい吃音者に対応しています。

吃音を診療している実績がある耳鼻咽喉科医師や国立障害者リハビリテーションセンター病院で、「あなたは吃音である」という診断書や紹介状が入手できるならば、それを証拠にして精神障害者保健福祉手帳申請のときに利用するというパターンです。

または、幼稚園、保育園、小学校、中学校の連絡帳や成績表や評定表の記述に吃音のことが書かれている。ことばときこえの教室に通級していた事実も証拠として利用するというパターンです。

または、幼少期に利用していた小児科病院、子ども病院などのカルテに吃音のことが指摘されていれば、その病院から紹介状や診断書を入手するというパターンもあります。

もちろん証拠があればあるほど心強いというのです。

これらの証拠を利用して、この人は現在も吃音で悩んでいる。生きることに困っている。障害者手帳が必要であると、精神科医師は書くことになります。

精神障害者保健福祉手帳の申請はとくに医師の指定がありません。医師免許を持っていれば誰でも記入できるといいます。従来の吃音を診療する耳鼻咽喉科医師、その他耳鼻咽喉科でも精神科医師でもない医師も、自分を守るため、このように情報収集をすることは重要なことでしょう。

2016年の日本吃音・流暢性障害学会でも、精神科医師が自分のところに吃音患者がいるが、積極的に吃音者を受け入れるとは情報発信していないという方がいました。


◆本来は吃音診療診察ガイドラインを厚生労働省が発表すべきこと 医師や医療従事者を守ることも大切

本来は厚生労働省が吃音診療診察ガイドラインを発表することが重要です。
吃音を診療、診断する医師が心配していること、懸念していることを受け止めて、全都道府県ごとに吃音の脳検査やその他の専門検査をできる病院を指定し、そこでの結果をもとに地域の発達障害を専門にする病院につなげるという仕組みができればいいのですが…。日本医師会や耳鼻咽喉科医師、精神科医師、発達障害専門医師の団体などは連名で厚生労働省宛に「吃音診療診察ガイドライン策定の要望」を発表することはできないのでしょうか?

吃音診療診察ガイドラインの策定にはもう一つ意味があります。吃音は身体障害者手帳なのか?精神障害者保健福祉手帳なのか?、それとも吃音の重さにより身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳を選択できるのか? この部分がハッキリすることにも通じるでしょう。

2016年現在、吃音は行政、法律上は精神障害、精神疾患として扱うと厚生労働省が認めています。吃音で身体障害者手帳4級(家族しか会話が理解できない)という障害者手帳をもっている人もいますが、明らかに家族以外と会話ができている吃音者もいます。都道府県の身体障害者手帳審査部門でも身体障害者認定別表に吃音が存在しないため尺度がありません。しかし吃音はICD-10によると「F98.5」のFコードであるし、DSM5でも神経発達障害として一般に言われる自閉症スペクトラムやADHD、LDと同じ場所に吃音が含まれています。

吃音は身体障害の15条指定医師がカバーするのか、精神障害者保健福祉手帳でカバーするのか? 吃音の重さによってどちらも選べるのか? それとも精神障害者保健福祉手帳の申請書類のチェック欄に吃音と吃音により困りごとを具体的に項目として設けるのか?
などなどが考えられます。

2016年10月22日、東京で開催された吃音啓発の日レポ 厚生労働省 日詰正文氏講演 吃音と発達障害者支援法
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/10/20161022.html
吃音(きつおん)は身体障害?精神障害? 厚労省の専門官が回答 | 小口貴宏
http://www.huffingtonpost.jp/takahiro-koguchi/disfluency_b_12614138.html


吃音が発達障害支援法に含まれていることが判明している現在。
発達障害が軽度でも、障害者枠では働かないけど、服薬やSST、スマホ、手帳、アイテム、家族や支援者の支援、などにより、一般社会になんとか適応している発達障害者がいます。その人達も精神障害者保健福祉手帳3級を持っている人もいます。いざという時自身を守るためのお守りとして、法定雇用率以外の社会保障制度を利用するために持っているという理由などです。

要は、発達障害はたとえ軽度であっても、精神障害者保健福祉手帳3級が取得できることになります。これは吃音がたとえ軽度であっても、精神障害者保健福祉手帳3級が取得できることと同じです。(現在インターネット上では軽度吃音者は障害者手帳を取得できないという悪質なデマ・流言飛語が存在しています)

障害者手帳を希望する吃音者は現在日本全国に存在しています。
しかし、吃音業界の暗黒面、伏魔殿が存在するため、声を大きくして、吃音で障害者手帳を取得しよう・しました。と情報発信をする当事者は少ないです。そして障害者手帳を取得できると法律上決まっていても、地元に吃音を受け入れる病院がないために、困っている吃音者も存在しています。吃音を診療するぞ!!という医師や病院に対しても障害者認定反対派の吃音者団体や人物から攻撃されること、批判されることもあるかもしれません。


医師のみなさんも「吃音診療診察ガイドライン」について厚生労働省に要望要請、意見表明をしていただけないでしょうか。困っている吃音者のために出来る限りその人の望むことに寄り添っていただけないでしょうか。

2017年1月20日金曜日

失語症と吃音の障害者手帳格差について考える 失語と吃音の当事者団体などは協力したほうがいいのでは? 吃音は失語症よりもとても有利な現状

みなさんは失語症をご存知ですか?

失語症は高次脳機能障害の1つとされています。(高次脳機能障害と失語症は別だという情報もあります)

慶應義塾大学病院医療・健康情報サイトによるとこのようになっています。失語症の説明も含まれています。
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000269.html

私たちは、朝起きて特に手順など何も考えずに着替えを行い、いつもと同じ道順で職場に行き、様々な仕事で周りの人たちと会話を行い、仕事の計画を立て、それを実行するといったことを行っています。これらは意識して行うこともありますが、こっちの手を通して次に頭を通してなどと着替える順序を考えることは普通しませんし、いつも通っている道を次は右に曲がってその次の信号を左に・・・と考えることもしません。これらの動作は頭の中で無意識の思考として蓄積され必要に応じて適切に引き出されているのです。
高次脳機能では、これらの頭の中での思考過程・記憶・注意能力などが傷害されることにより様々な障害を呈します。高次脳機能障害は脳に傷を受ける病気・怪我であればすべてに起こる可能性があります。その中でも比較的多く見られるのは脳卒中や脳腫瘍、頭部外傷、低酸素脳症、パーキンソン病、神経の変性疾患などです。
高次脳機能障害は大脳の知的活動をつかさどる部分での障害であり、様々な症状の総称です。そのため、言葉や物事認識・理解力の低下などが起こります。ここで比較的遭遇しやすい症状について説明します(図1)。


原因は交通事故や脳卒中などにより、脳に損傷を受けることです。さまざまな症状があらわれます。

国立障害者リハビリテーションセンターの高次脳機能障害情報・支援センターによるとこのようなものが説明されています。

http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/rikai/
記憶障害
・物の置き場所を忘れる。
・新しいできごとを覚えられない。
・同じことを繰り返し質問する。
注意障害
・ぼんやりしていて、ミスが多い。
・ふたつのことを同時に行うと混乱する。
・作業を長く続けられない。
遂行機能障害
・自分で計画を立ててものごとを実行することができない。
・人に指示してもらわないと何もできない。
・約束の時間に間に合わない。
社会的行動障害
・興奮する、暴力を振るう。
・思い通りにならないと、大声を出す。
・自己中心的になる。
これらの症状により、日常生活または社会生活に制約がある状態が高次脳機能障害です。


■さて、今回の記事では失語症は身体障害者手帳の対象、吃音は発達障害として精神障害者保健福祉手帳の対象・場合によっては身体障害者手帳も可能? という問題を考えます。


筆者がこの記事を書こうと思ったキッカケは2016年9月11日に東京都言語聴覚士会が主催開催した言語聴覚の日2016での講演を聞いたことです。 場所は東京の北里大学白金キャンパスでした。

この講演では前半を吃音当事者でありながら言語聴覚士をしている方の話
 講演1( 13時40分~14時30分) (50分)
    「吃音のある言語聴覚士 ~この道を選んだ理由~」
     王子生協病院     本田 裕治 妻 本田愛美
     老健ほくとはなみずき 小林 祐貴

後半は失語症当事者の話でした。
 講演2( 15時00分~15時50分) (50分)
 「失語症になって」            
     丸山 奈津子
         NPO法人和音 田村洋子
     現東邦大学医療センター大森病院 原田紗衣

詳細はコチラのリンクを  (2017年1月20日閲覧)
http://st-toshikai.org/archives/4059

 NPO法人 言語障害者の社会参加を支援するパートナーの会 和音
https://npowaon.jimdo.com/


前半の吃音当事者が言語聴覚士をしている話は、吃音業界で有名な話で、この方以外にも吃音当事者で言語聴覚士という方はそれなりに存在しています。

後半の話が筆者にとって、衝撃でした。


■失語症当事者が泣きながら訴える話 
失語症当事者は話す時に頭で思ったことと口から発話するときに、「意図したことを話せていない、文字を間違えて発音している」のかな?と印象を持ちました。正式に失語症の中のXXXXという症状です。とは説明はなかったように思えます。(記憶が古くなっているので申し訳ありません)


当事者の方は失語症になって生活で困っていること、働くことの大変さ、障害者手帳が取得できないこと(イコール 障害者枠で働けない)、家族が支えてくれること、もっと失語症を知ってほしい

などを話していました。とくに後半は当事者の方が感情が高まり涙を流しながら話をしており本当に大変な状況であることが伝わってきました。(吃音当事者はこういったことはあまりありません。吃音はありのままに吃音を受け入れて社会的に成功する人が美談であるとされることが非常に多いためです。障害者手帳取得も吃音からの逃げだと評価する人もいます)



■??? 失語症は障害者手帳を取れないの?
この部分が筆者が「???」となった部分です。
今回、講演をした失語症当事者の話し方は吃音とは具体的に異なりますが、吃音者である筆者から見ると軽度吃音の人が吃っているくらいの感覚で受け止めました。もちろん、失語症当事者でしかわからない苦しみや悩みがその背景にあると思います。


障害者手帳を取得できないというのが筆者はオカシイと思いました。
なぜなら、吃音の場合は発達障害者支援法に定義されているため、精神障害者保健福祉手帳3級から取得できるわけです。厚生労働省も軽度吃音であっても精神障害者保健福祉手帳は取得できると説明をはじめています。

2016年10月22日吃音啓発の日にて厚生労働省の日詰正文発達障害対策専門官の講演
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/10/20161022.html

吃音は現在、身体障害者手帳4級を「吃音」と明記せずに診断書を書けば通る可能性があるということです。それ以外は日本国内においては、吃音は発達障害者支援法に含まれているため、基本的に2005年以降はその法律に従い、吃音は発達障害として精神障害者保健福祉手帳の対象となっているということになります。


吃音は身体障害者手帳も精神障害者保健福祉手帳も両方可能性があるということになります。


■では失語症はどうなのか?
国立障害者リハビリテーションセンターの高次脳機能障害情報・支援センターのホームページを見るとこのように書かれています。
http://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/seido/

障害者手帳
 障害者手帳を所持することで、各種税金や公共料金等の控除や減免、公営住宅入居の優遇、障害者法定雇用率適用等のサービスを受けられます。また、障害福祉サービスを利用することもできます。サービスの対象者や内容は、自治体により異なることがありますので、お住まいの市区町村の福祉担当窓口にお問い合わせ下さい。
 なお、身体症状と精神症状を併せ持つ場合には、2種類以上の障害者手帳を申請することができます。
精神障害者保健福祉手帳
 高次脳機能障害によって日常生活や社会生活に制約があると診断されれば「器質性精神障害」として、精神障害者保健福祉手帳の申請対象になります。申請時に必要な診断書を記載するのは、精神科医である必要はなく、リハビリテーション医や神経内科医、脳神経外科医等も可能です。高次脳機能障害の主要症状と日常生活への影響や困っている点について具体的に記載してあることが重要です。診断書は初診日から6か月以上を経てから作成してもらい、作成日から3か月以内に申請する必要があります。
診断書記入例(高次脳機能障害) (PDF:246KB)
身体障害者手帳
 手足の麻痺や音声・言語障害があり、厚生労働省の定めた身体障害者程度等級表に該当する場合に、身体障害者手帳の申請対象となります。詳細はお住まいの市区町村の福祉担当窓口にお問い合わせ下さい。



そうなのです。
厚生労働省管轄の国立障害者リハビリテーションセンターの高次脳機能障害を扱うページがこのように。 【身体障害者手帳
 手足の麻痺や音声・言語障害があり、厚生労働省の定めた身体障害者程度等級表に該当する場合に、身体障害者手帳の申請対象となります。詳細はお住まいの市区町村の福祉担当窓口にお問い合わせ下さい。】

と明記しているのです。日本国内法では高次脳機能障害による失語症、音声・言語障害は身体障害者手帳の等級表に該当すれば貰える可能性がある。というのです。


身体障害者手帳の音声・言語障害といえば4級と3級がありますが。
4級は吃音の場合「家族しか会話内容が理解できない」とされていますよね。
3級は「発話する器官を喪失」のレベルとされています。
失語症も、ある程度、発話ができていると取得できないことになります。

吃音の場合は身体障害者手帳よりも精神障害者保健福祉手帳を申請できるので、その分格差があることになります。一般に言われる発達障害である自閉症スペクトラムやADHDやLDやチック・トゥレットなどがあります。この当事者の中には精神障害者保健福祉手帳3級を持っているが、障害者枠で就職せず、就職先に発達障害者であること隠して、いわゆるクローズド就職をしている人もいます。困っていることはあるが、いろいろな努力や訓練、服薬などを駆使して働いているが、いざという時のために精神障害者保健福祉手帳を持っている、または仕事中はなんとか定型発達者を装えるが、それ以外では体力(HP ヒットポイント)を使い切ってしまい生活が困難などの人もいるでしょう。

吃音の場合も、訓練や努力、処世術、キャラ設定、演じるなどの方法により吃音があまり人前ででないようになっていたとしても、やはり吃音が出るときはでるのであるから、精神障害者保健福祉手帳3級程度は取得できることになります。


しかし失語症だと、身体障害者手帳で申請しましょうというガイドラインが国立障害者リハビリテーションセンターのホームページ内に書かれているのですから、精神障害者保健福祉手帳を取得できません。


とんでもない格差です。

■障害者手帳制度、そろそろ全体的な見直しが必要なのではないか?
 吃音当事者団体と失語症当事者団体は協力できないの?


失語症当事者団体はどのような政治運動や厚生労働省に対して働きかけをしているのかはわかりません。失語症を診療する医療従事者もこの格差を論じてほしいと思います。

現実問題として、発達障害者支援法に定義されている発達障害のほうが、軽度でも困っていることがあれば精神障害者保健福祉手帳3級は取得することが容易です。

一方、失語症は身体障害者4級ですから、ハードルがとてもとても高いことになります。


これは障害者の権利に関する条約に抵触するのではないかと思います。
障害者手帳制度の中で、失語症当事者と吃音当事者が日本国内で利用できる社会保障制度に格差が存在しているのです。

障害者枠で働きたい→身体障害者手帳に該当すればOKだ→失語症では身体障害者手帳取得できないじゃん→えっ?吃音の人は発達障害だから精神障害者保健福祉手帳3級から取得できるって???

これはもっと取り上げられるべきことだと筆者は感じています。
そして立法措置をしてでも、格差はなくすべきだと思うのです。




障害者権利条約の第四条 一般的義務
外務省より
http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_000899.html

1 締約国は、障害に基づくいかなる差別もなしに、全ての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し、及び促進することを約束する。このため、締約国は、次のことを約束する。
(a) この条約において認められる権利の実現のため、全ての適当な立法措置、行政措置その他の措置をとること。
(b) 障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置(立法を含む。)をとること。
(c) 全ての政策及び計画において障害者の人権の保護及び促進を考慮に入れること。
(d) この条約と両立しないいかなる行為又は慣行も差し控えること。また、公の当局及び機関がこの条約に従って行動することを確保すること。
(e) いかなる個人、団体又は民間企業による障害に基づく差別も撤廃するための全ての適当な措置をとること。

第五条 平等及び無差別

1 締約国は、全ての者が、法律の前に又は法律に基づいて平等であり、並びにいかなる差別もなしに法律による平等の保護及び利益を受ける権利を有することを認める。
2 締約国は、障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとし、いかなる理由による差別に対しても平等かつ効果的な法的保護を障害者に保障する。
3 締約国は、平等を促進し、及び差別を撤廃することを目的として、合理的配慮が提供されることを確保するための全ての適当な措置をとる。
4 障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、この条約に規定する差別と解してはならない。

2016年12月22日木曜日

技術紹介 吃音を治療するための融合ベンズアゼピン

吃音を治療するための融合ベンズアゼピン
という医薬品の情報です。
アメリカで先に出願され、日本でも日本語版がでたよという意味のようです。
この企業はHP情報ですが、トゥレット症候群向けの研究をしていたようです。
チック・トゥレット症候群と吃音はどこかに共通する部分があるのかもしれませんね。

この吃音治療薬の記事の中で興味深い部分がありました。リタリン、コンサータの成分であるメチルフェニデートが吃音を和らげるというのです。
トゥレット症候群も医薬品治療の中にコンサータを使う場合、エビリファイを使う場合などが紹介されていますね。(エビリファイ→2016年の障害者週間連続セミナー、コンサータ→トゥレット協会さんのセミナー東京大学2015年5月10日「トゥレット症候群診療の充実を目指して」)

吃音もトゥレット症候群とどこか似ている、共通する部分があるなら、コンサータの効果があるかどうか調べる研究者もいたということですね。



引用されている研究報告はこちらです。

Methylphenidate as a Treatment for Stuttering: A Case Report
D Devroey et al.  Eur Rev Med Pharmacol Sci 16 Suppl 4, 66-69. 10 2012.  more
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23090813

上の研究報告を受けた影響か?、本当かどうかさらに試してみた研究報告がコチラ

Influence of Methylphenidate on the Frequency of Stuttering: A Randomized Controlled Trial
H Rabaeys et al.  Ann Pharmacother 49 (10), 1096-1104. 2015 Jul 30.  more
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/labs/articles/26228939/

吃音の神経生理学的基礎は、他の運動障害といくつかの類似性があると考えられている。特に、吃音は皮質、線条体、淡蒼球、及び視床(皮質−線条体−淡蒼球、視床またはCSPT回路)との間の1つ以上の回路に、異常なシグナル伝達が発生することによって生じる場合がある。回路モデルによると、過剰なドーパミン活性が、発話を制御する筋肉の運動を(D1受容体で)不必要に増加させ、逆にドーパミンの遮断が(D2受容体で)不必要な運動を促進することを示している。クロザピン、オランザピン、アセナピン、及びリスペリドン等の知られているD2アンタゴニストによって、吃音が誘導され(Grover et al., 2012; Bar et al., 2004; Yaday, 2010; Maguire et al., 2011)、メチルフェニデート等のD2を好むドーパミンアゴニストが吃音を和らげることが報告されている(Devroey et al., 2012)。






色々脱線しました。さて本題に入ります。

吃音むけの薬ですが、どうやらまだまだアメリカで治験が始まったばかりのようで、効果があれば日本にも将来くるかもしれないですね。もしもこの最初の実験で吃音者に効果があるとなれば、これは「吃音は治らない」という時代に終止符が打たれるかもしれません。よい結果がでることを祈ります。


吃音治療におけるエコピパムの効果のテスト
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/09/160922085741.htm から

日付:
2016年9月22日
ソース:
カリフォルニア大学リバーサイド校
概要:
スピーチの流れの中断である吃音は、約300万人のアメリカ人に影響を与えます。現在、米国食品医薬品局(FDA)が承認した薬物治療はありません。新薬を発見しようとする研究チームは、経口投与されたエコピパムがどれほど効果的であるかを調べるために研究を行います。


遺伝的に影響を受けた状態では、吃音は、幼児の発達の様々な局面が相互作用するときに起きると思われ、早期介入で最もうまく対処されます。それに対する治療法は見つかっていませんが、行動療法の選択肢があります。現在、米国食品医薬品局(FDA)が承認した薬物治療はありません。

カリフォルニア大学リバーサイド校の医学部の研究チームは、新薬の発見を目指し、カリフォルニア大学リバーサイド校のCITrialsで研究を行い、経口投与された投薬であるエコピパムがどれほど効果的であるかを決定するために、

10名のボランティアがFDA承認の臨床試験に参加することになります。来月から始まる予定のこの研究は、スペースは限られているものの、ボランティアを求めている。研究に参加することに興味がある人は、この研究をリードしているジェラルド・マグワイア、MD、UCリバーサイドで精神医学と神経科学の椅子や大学院医学教育のための副学部長に連絡することがありますgerald.maguire@medsch.ucr.edu。

マグワイア氏は、「この研究は探索的である」と語った。エコーピパムは吃音の検査を受けていませんが、神経学的疾患であるトゥレット症候群でのチックの治療法がテストされています。吃音は声質の変化といくつかの類似点を共有していますトゥレット症候群の被験者に見られるように、私たちは、エタポピムが吃音に有益な効果をもたらすことを期待しています。

エコピパムは、その受容体で神経伝達物質ドーパミンの作用を選択的に遮断する、ファーストインクラスの薬物である。ドーパミン受容体は、D1受容体とD2受容体の2つのファミリーに大別することができます。エコピパムはドーパミンをD1レセプターでのみ遮断し、したがって、市販の他の薬剤とは異なる作用をする。このメカニズムは、エコピパムが吃音の潜在的治療法として試験されている理由を説明しています。

来月に臨床試験のために選択された10人の患者は、身体検査を受け、その病歴が記録される。彼らの吃音症状が十分に深刻であることを確実にするために、Redlands大学の音声病理学者Lisa LaSalle教授と研究の共同捜査官による音声パターンを分析する予定です。各患者は、限られた時間エコピパームを受ける。

マグワイア氏は、「われわれは分析から9ヶ月後に結果を得られると考えている」と語った。エプロパイプムが吃音をコントロールするのに効果的であると判明した場合、何世紀にもわたる疾患の可能性のある解決法があるかもしれない」と語った。

研究は、特に吃音を研究するためにUCRに与えられた慈善寄付によって資金提供されています。Psyadonは、神経学と精神医学の治療に重点を置く製薬会社で、エコピパムを寄付する予定です。

今年の初めに、マグワイアは、吃音を抱える子供や大人に希望とエンパワーメントをもたらすことに専念した非営利団体である全米吃音協会(National Stuttering Association:NSA)の取締役会会長に選出されました。

1991年にセントルイス大学医学部で医学の学位を、またUC Irvineから1995年に精神医学を専攻した。彼の研究分野には、吃音や統合失調症、双極性障害、大うつ病性障害、アルツハイマー型認知症の薬理学的治療が含まれます。

吃音の薬理学的治療に関する彼の研究は、多くの科学雑誌に掲載されています。彼は「迷惑なし:黙り切れと吃音の科学へ」(NSA、2010)という本の著者です。


サイエドンファーマシューティカルズPsyadon Pharmaceuticals, Inc.
20451 Seneca Meadows Parkway,Germantown
MD,US,20876
Call:301-919-2020
Email:info@psyadonrx.com
http://www.psyadonrx.com/home.html




●日本国内の情報
特表2016-533374
吃音を治療するための融合ベンズアゼピン
サイエドン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
2016年10月27日 特願2016-524108

詳細は特許情報プラットフォーム
https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tkk/tokujitsu/tkkt/TKKT_GM301_Detailed.action

出願人 サイエドンファーマシューティカルズ,インコーポレイテ...
発明者 チプキン,リチャードイー.
出願日 2014年10月17日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2016-524108
公開日 2016年10月27日 (2ヶ月経過) 公開番号 2016-533374
状態 未査定
技術分野 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 、 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 、 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 評価セッション 、 音声テープ 、 対応能力 、 形態論 、 年長者 、 印象評価 、 発声器官 、 許容基準


astamuseでも公開されています。
http://astamuse.com/ja/published/JP/No/2016533374



課題・解決手段
本発明は吃音の対象を治療する方法を含んでいる。当該方法は、(a)治療を必要とする対象を識別すること、(b)治療有効量のD1/D5受容体アンタゴニスト、D1/D5受容体部分アゴニスト、またはその混合物を含む組成物を当該対象に投与するステップを含むことができる。例えば、D1/D5受容体またはアンタゴニストは、エコピパムまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、水和物、プロドラッグ、構造類似体、代謝物、または多形体であることができる。

概要 この情報を共有
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※この項目の情報は公開日時点(2016年10月27日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります
背景

国際疾病分類2010(ICD−10)によると、どもりとも呼ばれる吃音は、「音、音節もしくは単語を頻繁に繰り返すこと、または引き延ばすこと、または発話のリズミカルな流れを乱す口ごもりや休止を特徴とする発話」として定義されている。吃音は、発話の流暢性を顕著に乱す障害として分類されている。典型的に、この障害は、繰り返される調音運動、例えば、は、は、は、はなす)、及び/またはつまる調音運動(例えば、わわわ、わたしのもの)がある。不意の発声(例えば「ええと」または「たぶん」)が多い。口頭による表れは、顔をくしゃっとしかめる、目をパチパチさせる、筋肉の緊張、首を振る、話すことに苦労することを含む非言語的な表れを伴うことがある。これらの行動は、吃音の重症度を最小限に抑えるためのよく知られたアプローチになり得る。吃音の人は精神的苦痛を経験することが多く、不安によって、楽しく実りを得るであろう教育状況や社会状況を避けることがある。

吃音の神経生理学的基礎は、他の運動障害といくつかの類似性があると考えられている。特に、吃音は皮質、線条体、淡蒼球、及び視床(皮質−線条体−淡蒼球、視床またはCSPT回路)との間の1つ以上の回路に、異常なシグナル伝達が発生することによって生じる場合がある。回路モデルによると、過剰なドーパミン活性が、発話を制御する筋肉の運動を(D1受容体で)不必要に増加させ、逆にドーパミンの遮断が(D2受容体で)不必要な運動を促進することを示している。クロザピン、オランザピン、アセナピン、及びリスペリドン等の知られているD2アンタゴニストによって、吃音が誘導され(Grover et al., 2012; Bar et al., 2004; Yaday, 2010; Maguire et al., 2011)、メチルフェニデート等のD2を好むドーパミンアゴニストが吃音を和らげることが報告されている(Devroey et al., 2012)。

吃音を治療するための公認されている政府規制当局によって承認された治療薬は知られていない。大部分の患者は行動療法で治療されている(Blomgren, Psychol. Res. Behav. Management, 6:9-19, 2013を参照)。薬物療法が重度の患者に使用される場合、典型的には、不安を治療するための医薬品を含む(例えば、Maguire et al., J. Clin. Psychopharmacol. 30:48-56, 2010を参照)。これは、ストレスが吃音を悪化させるという観察と、ストレスを軽減すれば症状がいくぶん緩和されるという仮定に基づいている。
吃音に関するいくつかのレビュー論文を入手できる。例えば、Boyd et al., J. Clin. Psychopharmacol., 31:740-744, 2011; Ingham, et al., J. Fluency Disord., 28:297-317, 2003; Maguire et al., Expert Opin. Pharmacother., 5:1565-1571, 2004; Kraft and Yairi, Folia Phoniatrica et Logopaedica, 64:34-47; Ashert and Wasson, Journal of American Osteopathic Association, 111:576-580; Newbury and Monaco, Neuron, 68:309-320; Prasse and Kikano, American Family Physician, 77:1271-1276, 2008; Buchel and Sommer,PLoS Biology, 2:159-163; Bothe et al., American Journal of Speech-Language Pathology, 15:321-341, 2005; Costa and Kroll, Canadian MedicalAssociation Journal, 162:1849-1855, 2000; and Ashert and Wasson, Journal of American Osteopathic Association, 111:576-580, 2011)。

概要

本発明は吃音の対象を治療する方法を含んでいる。当該方法は、(a)治療を必要とする対象を識別すること、(b)治療有効量のD1/D5受容体アンタゴニスト、D1/D5受容体部分アゴニスト、またはその混合物を含む組成物を当該対象に投与するステップを含むことができる。例えば、D1/D5受容体またはアンタゴニストは、エコピパムまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、水和物、プロドラッグ、構造類似体、代謝物、または多形体であることができる。

目的

本発明の方法はまた、これらの下流の事象からの救済を提供する

効果

実績

技術文献被引用数  0件 牽制数 0件

2016年12月18日日曜日

【重要なお願い】吃音業界は2005年4月から施行の発達障害者支援法を本当に知らなかったのか?なぜ2013年に北海道で吃音看護師が自死したのか

この記事は吃音業界にもともと関わっている、医師、看護師、言語聴覚士、教員、行政職員、吃音当事者、その家族。また、一般の人や普段障害者とは接する機会が少ない人。

そして

一般に言われる発達障害である、自閉症スペクトラム、ADHD、LD、チック・トゥレット症候群、ディスレクシアなどなど。それらの団体に携わる、当事者の方、親御さんや家族、医療従事者、コメディカル、社会福祉や精神保健福祉、学校教員、大学教員、行政職員の方、障害者福祉政策に強い国会議員・地方議員の方などなどにも読んでいただきたいのです。

吃音業界とは関係のないみなさんからの情報提供が必要です。
2005年から発達障害者支援法という法律があり吃音者もそれを利用できる状態だったのです。しかしそれがなぜか誰もが使える状態になっていませんでした。

吃音業界には考え方の違い、派閥抗争が今なお繰り広げられています。
吃音が発達障害や精神障害、精神障害者保健福祉手帳と同じだと言われるのは困る。発達障害や精神障害は内面や心理面に問題があって、それが吃音者にもあると思われたら困るとか、犯罪をしても心神喪失で無罪な奴らと同じにするなという声もでています。吃音者は自身が吃音で困っているのに、他の障害者と同じにされたら困るとか、吃音と●●はここが違うんだ!という選民意識、白人至上主義と同様の吃音至上主義、ナチスドイツのT4作戦(精神障害者大虐殺)、などなどと共通する心を強く持ち、内なる植松を持っている人がいるのです。吃音業界にはこういった考えを持つ人が多いです。

しかし、まず法律や社会保障制度が使えるなら、それを自己決定権で使うか使わないか。「見える化・分かる化・使える化」された状態になることが大切です。

助けてください。助けてください。助けてください。助けてください。助けてください。助けてください。
本当に本当にこれは深刻な事態です。助けてください。
【必読】はじめて吃音を知った人へ 吃音・吃音業界と関わる上で絶対に知っておくべきこと 大切な吃音ガイドライン
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html

吃音業界や吃音者の当事者団体、それに関わる医療従事者や教員や研究者が2005年当時から『吃音が発達障害者支援法に含まれていることを認識していたはずだ。証拠がある。議事録がある。吃音者の団体にもコンタクトした。吃音業界で有名なXXさんはこれを知っていた』など情報をお持ちの方は、連絡をいただけないでしょうか?

何卒、何卒、よろしくお願いいたします。
筆者は、なぜ2013年に北海道で吃音看護師さんが自死を選択したのか理解できないのです。とても悔しいのです。発達障害者支援法に含まれていることが「見える化・分かる化・共有化」されていれば、自死の選択肢以外にも道があったのではないかと思うのです。

また、北海道の吃音看護師さんの亡くなる数ヶ月前にゼリア新薬工業の新入社員研修自殺事件があったことも2017年に明らかになりました。2013年に2名の吃音のあった人が自死したということになります。 ゼリア新薬工業のニュースはこちら (ただ、ゼリア新薬工業の件は本当に吃音があったかどうかわからないという情報もありますので追加報道を待つことになります)ゼリア新薬の22歳男性「ある種異様な」新人研修受け自殺 両親が提訴


きつ音で生きられる社会を  北海道の看護師さんの家族の方のインタビューです

「自分の気持ちを伝えたい」、そのことがうまくできずに悩んでいる人たちがいます。
「きつ音」のある人たちです。
ことばを発しようとしてもうまく出てこなかったり、繰り返したりしてしまう言語障害で、この症状を持つ人は100人に1人い
るといわれています。
きつ音のある人たちが暮らしやすい社会をどうつくるのか、その取り組みを取材しました。
先月、札幌市できつ音を理解してもらうためのフォーラムが開かれました。
きつ音のある人などでつくる団体が開き、きつ音に悩む人やその家族などおよそ100人が集まりました。
話したくてもうまく話せない症状のきつ音は言葉を覚える幼少期に発症することが多く、その原因や治療法はまだはっきり
とはわかっていません。
今回初めて講演に立った飯山千恵さんは、フォーラムで弟のことを語りました。
千恵さんの弟は、きつ音であることを悩み、3年前みずから命を絶ちました。
34歳で看護師になり病院で働き始めましたが、その4か月後の自殺でした。
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20161212/4904981.html


1. なぜ吃音が発達障害者支援法に2005年から含まれていることが周知されなかったのか?


吃音が発達障害者支援法に含まれているという通知文 2005年4月通知
17文科初第16号 厚生労働省発障第0401008号 平成17年4月1日

文部科学事務次官
  結城 章夫


厚生労働事務次官
  戸苅 利和


通知先
各都道府県知事
各指定都市市長
各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各国公私立大学長
各国公私立高等専門学校長  殿


発達障害者支援法の施行について

http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0412-1e.html


なぜ、これが見える化されなかったのか!!! 小学校、中学校、学校教員(とくにことばときこえの教室担当者)や国公立の医学部、大学病院、国が管轄する医療機関の医系技官や医師、独立行政法人で発達障害や吃音を研究する方などなど。



このブログの読者の方は他記事でご存知だと思います。
吃音者の派閥抗争です。
吃音業界は特殊な業界で1965年発足の吃音者当事者団体本家から数えると歴史は50年も経過しています。今はそこからどんどん分裂しています。(ある意味、東京や大阪などの発達障害者当事者会が分裂することにも似ているかもしれません。発達障害に携わる専門職や厚生労働省も「なぜ?発達障害の当事者団体は専門職がいない場合トラブルがおきるのか?」ということを調べはじめていますよね。実はそれ、吃音業界がパイオニアとして実行しています) そもそも吃音者に一般に言われる発達障害を持った人がいるという研究報告もあります。

吃音業界の派閥抗争について
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html

平成 28 年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業. 指定課題15. 発達障害者の当事者同士の活動支援の在り方に関する調査報告書(発達障害の当事者団体はトラブルが多いとか分裂してしまうのはなぜ?というのが発端)
http://www.rehab.go.jp/ddis/%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%B3%87%E6%96%99/%E4%BA%8B%E4%BE%8B%E9%9B%86%E3%83%BB%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8/?action=common_download_main&upload_id=2878

2. 一般社団法人 日本発達障害ネットワーク JDDnet には吃音業界の団体が2団体所属していた過去がある。現在は言語聴覚士協会が所属

JDDネットはみなさんご存知ですか?
発達障害者支援法に含まれている、それぞれの発達障害者当事者団体や親の会、医療従事者・専門職の団体、それを応援する企業などが加盟している大きな団体です。

2005年の発達障害者支援法施行のころに、時を同じくして発足しているようです。
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年1月号
列島縦断ネットワーキング【東京】
日本発達障害ネットワーク(JDDネット)の発足
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n294/n294016.html
この団体には最初の発足時メンバーに「全国ことばを育む親の会(2016現在 言葉を育む会)」が参加しています。
 http://b.zkotoba.jp/ 

また2007年? 2008年?に「一般社団法人 日本言語聴覚士協会」 も参加しています。

https://www.jaslht.or.jp/



厚生労働省のホームページにも過去の資料としてそれが証拠として残っています。
労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会

第5回
2008年9月24日
(平成20年9月24日)
議事録

09/02/04 第9回労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会議事録
第9回労働・雇用分野における障害者権利条約のあり方に関する研究会 
議事録
1 日時
  平成21年2月4日(水)13:30~15:30
2 場所
    厚生労働省共用第7会議室(5階)
 
3 議題
  主な論点ごとの検討
  第1 基本的枠組み
  第2 障害を理由とする差別の禁止
4 資料
  資料1 これまでの整理
  資料2 主な論点ごとの検討
  参考資料1 雇用及び職業についての差別待遇に関する条約(第111
号)について 


資料 PDFデータなど

3 山岡副代表提出資料(PDF:354KB)





3. 吃音に関係する2団体が所属している、していた証拠が厚生労働省のホームページや 月刊「ノーマライゼーション 障害者の福祉」2006年1月号(第26巻 通巻294号) に明記されている。

えっ????


ということは。すでに2005年の時点で「吃音が発達障害者支援法に含まれている。他の発達障害者と完全に同様の社会福祉制度、障害者手帳制度などなど」を希望し申請すれば利用できる選択肢があったということですか????




ここです。

筆者が1番気になっているのはここです。



もしかして。仮の話。変化させることができない過去の話になりますが。
この時点で吃音が発達障害者支援法に含まれていると吃音業界の人々が理解していれば、2013年と2014年はじめに大きくニュースになった、北海道の吃音看護師さんの自死という選択は、回避することもできたのではないですか? 2017年8月に報道によって判明したゼリア新薬工業の新人研修の自死も発達障害者支援法で戦えたのではないのか…。


と筆者は思うのです。


4. 読者のみなさまに重要なお願いがあります

読者のみなさま。

やはり、オカシイぞ。変だぞ。と思いませんか?

なぜ、吃音が発達障害者支援法に含まれていることが、横の情報網でつながらないのかと。


いえ、もちろん、吃音業界の派閥抗争、主義主張の違い、対立、戦争はあってもしかたないのです。吃音業界だけではなく、他の障害や病気も、もしかしたら考えの違いはあるかもしれません。


しかし

しかし

最低限の「義」や「情け」や「最低限のホットライン(赤電話 政府首脳が非常時に直接対話ができるように設置された直通の電話回線)」というものはないのでしょうか? なかったのでしょうか?

吃音が発達障害者支援法に含まれているそうですよ。私たちにはどうでもいいことですけね。まぁ一応、情報だけは伝えますからね。あとはそっちでご自由にしてくださいな。という一報です。

普段は喧嘩していても、派閥抗争をしていても、重大な動きがあったときには情報をお互いに共有し提供しないのでしょうか??

北海道の吃音看護師さんは本当は、自死を選択する前に、「まだ使える武器があるじゃないか。この法律で人権侵害に立ち向かいつつ、もっと理解ある職場さがすぞーーーー!!!障害者手帳も取得しようかな。」と決断する未来もあったかもしれないのです。



とくに一般に言われる、吃音以外の発達障害当事者、その家族。発達障害児者団体など業界の人。支援者でも医療従事者でも社会福祉士でも精神保健福祉士でも、学校の先生、行政の職員、議員の方など関係者のみなさま。



吃音業界、吃音当事者団体には2005年前後に声がけをした。発達障害者支援法に含まれていると情報提供した。●●という吃音当事者団体などは吃音が発達障害者支援法に含まれていることは当時から認知していたはずだ。という証拠をもっていないでしょうか?

証拠があれば情報提供していただけないでしょうか?
JDDネットには「全国ことばを育む親の会(2016現在 言葉を育む会)」が過去に正会員、2017年現在でも「一般社団法人 日本言語聴覚士協会」が正会員となっています。

吃音業界は2014年7月3日に厚生労働省の国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターが、発達障害者の一覧に「吃音」を追加された日以降に、吃音が発達障害者支援法に含まれていて、社会保障制度や障害者手帳、他の発達障害者と完全に同様のサービスを、希望し申請すれば使えるということを知った!その時初めて知った!!


という、テイになっています。


でも本当は、一部で2005年当時から知っていた人もいたのではないかと思うのです。


そこで、吃音業界とは関係のない。第三者からの情報提供が必要なのです。本当は2013年に2名も吃音者が自死する必要はなかったと思うのです。2005年から発達障害者支援法があったのですから。「go.jp」という日本政府ドメインにJDDネットに加盟していた団体も明記されて証拠として残っています。


このブログを読んだ方。吃音業界、いえ、吃音業界よりも、困っている吃音者、助けを求める吃音者、いまも苦労している吃音者、ひきこもりになっているかもしれない吃音者、明日死のうと思っている吃音者、将来の生まれてくる吃音者のために、その家族のために、


情報提供をしていただけないでしょうか?
どこの誰が。どこの団体が。2005年から吃音は発達障害者支援法に入っていたことを知っていたのか?これは歴史を揺るがす大事件です。2005年から法律が知られていれば、自殺しようという決断、ひきこもろうという決断、学校にいくのを諦めようという決断をする吃音当事者が他の可能性を見出したかもしれません。
連絡を待っています。


5. 報道、新聞、テレビ、週刊誌などのみなさま および研修者や大学教員の方へ

報道関係のみなさま。日頃は吃音について取材していただきありがとうございます。吃音が報道されることはとても良い事だと思っています。



さて、吃音はこのブログで指摘しているようにソフトに表現すれば、考え方の違い、所謂派閥抗争をしています。


報道のみなさまには、吃音の記事、啓発活動、イベント紹介などなど取り上げていただいています。とても感謝しています。インターネット、ドラマ、テキスト、ラジオ、テレビなどで取り上げていただき吃音は、2014年ころからやっと認知度があがってきたと思います。単なる取材報道以外にも吃音者が設定として登場する映像作品や文学作品が新たに生まれてくることも楽しみにしています。本当にありがとうございます。



―――しかし吃音に対する取材を今後は吃音者の派閥抗争の歴史、なぜ2005年施行の発達障害者支援法を見落とすことになったのか?その部分の真相究明も同時に行ってほしいのです。

取材する際は福祉学部で講義や資格取得方法を教える教員、教育学を教える教員、障害児教育を教える教員、学部に関係なく社会学を教える教員や研究者の知識も必要になるでしょう。なぜ吃音業界はソーシャルワークがうまくいっていないのか?なぜ当事者同士がすぐに喧嘩して分裂し新しい団体が次々に設立されるのか?このような状況を厚生労働省や文部科学省はどう認識しているのか?と様々な視点からの検証が必要です。

重ねてのお願いです。吃音当事者、吃音業界のみでは調べる事ができません。報道のみなさまのプロの客観的な取材が必要なのです。行政や厚生労働省、文部科学省、内閣府、吃音以外の発達障害者団体や親の会など、医者など医療従事者、言語聴覚士、社会福祉士、精神保健福祉士などにも取材が必要です。

そして、なぜ2005年施行の発達障害者支援法があったのに、自死する吃音者やひきこもりになる吃音者、通学や進学を諦める吃音者がいるのか?取材してほしいのです。2013年の北海道吃音看護師自死以外にもニュースならない吃音者が自死しているのではないかと思います。

※こちらもご覧ください
吃音を取材・報道する調べるマスメディア、研究者、表現者、映画監督などの方々へ
吃音を取材・報道する調べるマスメディア、研究者、表現者、映画監督などの方々へ



2016年12月1日木曜日

【吃音Q&A】就労移行支援事業所や高校・大学の進路指導や就職支援室やキャリア支援室、障害学生支援室は吃音者にどう対応すればいい?

【随時更新】

この記事は就労移行支援事業所、そのスタッフ。
高校や大学の進路指導や就職支援室の教職員、キャリア支援室の教職員、職員、社会福祉士、精神保健福祉士向けです。吃音のある学生を支援する人、授業や講義で接する教員にもオススメです。

※関連ニュース https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2018/03/
2017年10月4日に放送された番組が番組まるごとテキスト化になっています。この放送では吃音業界独特の「一般枠で吃音をカミングアウトして就職活動をする」という発達障害のある人や就労移行支援事業所の人が見れば驚愕する内容が放送されています。このように、オープンかクローズという概念が2017年現在でも吃音のある人、吃音のある学生に共有されていない悲惨な現状があるのです…。

ハートネットTV 私たちの就活 吃音とともに生きる
http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/summary/program/?id=44452

ハートネットTVを見たという人事担当者の声が匿名でネット上に公開されています
吃音のある就活生はなぜ障害者手帳を持っていない?人事採用戦略の話
http://anond.hatelabo.jp/20171012000353



本題です。


みなさんの仕事の重要な部分は、採用・雇用する側の人、公的機関、企業団体の人事部や人事採用担当者の本音を聞き出すことです。(ここに書かれていないこと個別に相談したいことや知りたい事、不明なことがあればメールフォームより連絡をください)
https://kitsuonkenkyuguideline.jimdo.com/メールフォーム

そしてもしもその本音が「(吃音に限定せず)障害を理由に合理的配慮するなら、法定雇用率に計算したいから障害者手帳を持っていてほしい」というならばその事実を学生や保護者に伝える必要があります。

一方で、吃音があっても障害者手帳を持っていなくてもよいという企業団体があるかどうかを調べることも仕事です。

吃音に限らず、自閉症スペクトラムやADHD、学習障害やチック・トゥレット症候群があっても活躍している人はいます。筆者の印象だと研究者、芸術家、スポーツ、芸能人などイメージですが…。例えば栗原類さんは障害は認めているけど、障害者手帳は持っていないように思えます。周囲の環境が助けてくれるのかもしれません。ちなみに統合失調症と診断されているハウス加賀谷さんは障害者手帳を持っていると認めています。



―――吃音業界の闇は、このブログの他記事にてご存知だと思います。
吃音は長い間障害か?障害ではないか?と意味のない論争を継続しています。おかげさまで自殺の決断やひきこもりの決断をする方もいたでしょう。
もちろん吃音は障害ではないし、会社などでカミングアウトして働いているという人もいます。
または、吃音があるが必死に吃らないように隠している場合もあります。

その他にも高学歴や学んだ分野、理系だった、専門の資格を持った吃音者の場合、障害者手帳を必要とせずにその能力で就職ができてしまっている人もいます。


一方で、吃音があることにより就職困難な者もいます。
吃音業界の派閥抗争の餌食となり、障害者手帳を取得できることを知らずにひきこもりや自殺の道を選択する者もいます。


吃音は吃音当事者によって、吃音が障害ではない。という人もいます。
堂々と吃り、カミングアウトして働いている吃音者はあなたの職場にいませんか?
このような吃音者の場合は、放っておくことが1番です。
余計なことをせずにそのまま放っておきましょう。


ただし、吃音があっても私は仕事ができている。カミングアウトして就職している。
私の会社は吃音に理解がある。と発言する
当事者会、小学生や中学生、高校生や大学生に語る、ブログやTwitterなどで発表している吃音者ほど、その企業団体名の公開をしませんし、その成功している吃音者は、困っている吃音当事者を「私の職場に来なよ。人事部を説得したから。大丈夫だよ」とは行動してくれないのです。

本当に矛盾です。吃音があっても社会に居場所があるが故に、そのたった1つの貴重なイス「居場所を守りたい」のです。自分以外の吃音者が職場に来たら競争相手になってしまうので、比較されるので困るわけですね。

★現在、インターネット上を検索すると吃音者の職業データーベースが公開されていますが。
・企業団体名の公開
・人事部も吃音を把握しているのか?
・その吃音の先輩は後輩吃音者のために所属団体へ口利きをしてくれるのか?

ここを確認することが最重要です。ここまで対応しているなら、成功している吃音者でも後輩のために道を切り開くパイオニアとして活躍する素晴らしい吃音者の先輩でしょう。肝心の情報を隠す吃音者はただの自己満足です。


吃音業界の闇の1つとして、成功している吃音者達がそうではない吃音者や子ども、小学生、中学生、高校生、その保護者に、成功体験だけのエピソードを伝えることです。たしかにそれに当てはある人はそれでよいのです。

しかし、全ての人が100%同じ道、同じ職業を選ぶことはできません。そのイスに座ることはできません。

うまくいかなかった吃音者の大きな挫折は就職活動の時期です。
成功してしまった吃音者は、そうではない吃音者をバカにしたり見下します。
【本当は職場で吃音をカミングアウトしていないのに】私は吃音をカミングアウトしている!
お前らも見習え!なんて発言をして、その一時だけ優越感に浸る人もいます。
まさに障害当事者の中でマウンティングが行われいるのです。

では就職活動時期は困っている吃音者にどのように支援すればいいのでしょうか?



【必読】はじめて吃音を知った人へ 吃音・吃音業界と関わる上で絶対に知っておくべきこと 大切な吃音ガイドライン
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html

【随時更新】人事採用担当者の方へ 吃音者雇用ガイドライン 働く吃音者への合理的配慮とはなにか? 吃音者を採用する場合はどうしたらよいのか? 吃音者採用事例 雇用事例について
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/09/blog-post.html

2016年11月27日 東大スタタリングが駒場祭で吃音をテーマに演劇を披露 その内容はセルフヘルプの限界を指摘するものだった
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/11/20161127.html



1. 困っている、支援を必要としている吃音者にはどうしたらいい? まずは吃音当事者とその保護者の吃音への価値観を知ること 吃音業界のどの派閥の色に染まっているか確認せよ

まず重要なのは吃音当事者と保護者の吃音価値観を把握することです。
もしも吃音が障害ではない、障害者とは可哀想な存在で、税金の世話になる、身分の低い、周囲に配慮される、恥を知らない人達であると考えている場合は。
とても支援困難事例となります。
この場合は、本当にとても長い時間をかけて支援しなければいけません。
学校の職員ではなく、相談支援ソーシャルワークのできる医療従事者とも協力しないと困難です。


場合によっては、学校を卒業してしまうかもしれないので、後はハローワークや若者サポートステーション、発達障害向けの就労移行支援事業所などに任せたほうがよいでしょう。学生でいる間の短い限られた時間では対応しきれないでしょう。


2. 吃音が障害であると障害受容できそうな場合
この事例ならなんとかなるかもしれません。
この場合、一般に言われる発達障害学生に説明するように、社会保障制度の説明や使えるメニューの説明、診断や障害者認定を受けることメリット、デメリットの説明などから丁寧にはじめましょう。障害者枠、一般枠の両方で就職活動をすることを提案してみましょう。


学生という身分で就労移行支援事業サービスを提供しているところがあれば、その情報を伝えるのも有効でしょう。制度上、自費になってしまうのですが、現在、大学生向けのサービスを展開しているところもあります。

また、人材業界でも発達障害学生向けのサービスを開始するところが2016年現在チラホラでてきています。


3. 吃音者はいつ障害者手帳を取得すればいいか?
吃音に限らず発達障害者は精神障害者保健福祉手帳の交付対象です。
この手帳は初診日から半年しても症状が固定することが条件です。さらにそこから自治体の審査があるので10ヶ月は時間を見たほうがよいでしょう。

吃音の当事者は病院にいって診断を受けていない場合もあるので、その点を考えて、就職活動の始まる一年前には障害者手帳を取得しておくべきでしょう。そこから逆算すると大学一年の冬くらいには動いていたほうがいいかもしれません。

就職活動が解禁になって、一般枠で不採用通知が大量に届いてから、やっぱり障害者手帳を取得しようと思っても後の祭りです。障害者手帳を交付してもらう間に学校を卒業してしまいます。


吃音に限らずですが、発達障害も含めて大学の障害学生支援室、キャリア支援室は、学内に発達障害の理解をすすめる情報提供ポスターを貼ったほうがいいかもしれません。とくに吃音は2005年から発達障害者支援法に含まれていることがまだまだ知られていないので、情報提供をしないとわからないのです。例えば内閣府の「発達障害者ってなんだろう」のページを印刷して貼ること、国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センターの「発達障害の定義」のページを印刷して学内や相談室付近に貼ること。学生が必ず閲覧する書類や、シラバスに書いてしまうこともよいでしょう。

内閣府 政府広報オンライン 発達障害ってなんだろう
http://www.gov-online.go.jp/featured/201104/contents/rikai.html

国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター 発達障害の定義
http://www.rehab.go.jp/ddis/%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%82%92%E7%90%86%E8%A7%A3%E3%81%99%E3%82%8B/%E5%90%84%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%BE%A9/

4. 例えば、現在、Aという大学では発達障害傾向の学生を把握し、支援につなげるために取り組みをしています

現在、A大学では、3年ゼミや卒論、就職活動との同時並行作業のときになって発達障害特性で失敗する学生が多かったことを反省し。その状況を大学一年のときにその状況を別の手法で再現して苦労する学生がいないか?調べる試みをしています。就職活動のときに発達障害だとわかってもどうしようもないことが多いからです。

・同時並行作業でプレッシャーをかける
・急激な情報変化 ルール変更 → それについてくるか? 理不尽だと怒り出すか?
・ホウレンソウが必要な場面
・自己分析
・1回でも授業を休むとやる気がなくなってしまうか?
・ウソをつけるか? 発達障害の特性の1つで、履歴書などでウソを書くことができない、または正直かかないといけないと必要以上に気にしてしまう。そのためその部分から先に進めない。


これにより、大学一年生のときから、「もしかしたら私、何か違う?」と気づいてもらい、相談室などに来てもらえるようにという試みです。把握した個人情報をもとにごく一部の限られた教員や職員がすぐに動けるように待機しています。そして話し合いや情報提供の結果学生本人が望むなら、すぐに支援が始まります。

もちろんここにたどり着くまでに、当事者に「君は発達障害者かも?」なんてことはしません。当事者の人権もあります。当事者のほうが、緩やかに気づくように学内でも情報提供のための情報が配慮されているのです。



5. 吃音は純粋吃音者もいる 一般に言われる発達障害と吃音を持っている人もいる
吃音者には純粋な吃音者と一般に言われる自閉症スペクトラムやADHD、学習障害、チック・トゥレットなど複数の障害を持っている場合があります。発達性協調運動障害を持っている場合もあります。もちろん感覚過敏などを持っている吃音者もいます。

純粋な吃音者の場合は吃音についての合理的配慮をすれば大丈夫です。
ただし、一般に言われる発達障害を持っていそうならば、その支援ノウハウがそのまま利用できます。


6. 吃音のある学生への合理的配慮はどのようなものがあるか?

吃音のある学生への合理的配慮を考えます。
高校や大学だと、小学校、中学校よりも、受け身な授業が多いので吃音者は逆に一時的に安心しているかもしれません。

吃音とは話すとき、発話するときにその障害が表面化します。
しかし、吃音者は一人ひとり症状が異なります。
また、吃音者の価値観により、「最後まで言葉を話すことを待ってほしい」という人もいれば。
「私が吃っている言葉を、相手に先取りして、●●のこと?」と相手に吃っている言葉を先取りして誘導してほしい人もいます。

吃音者も今日は調子よくて喋れる!という場合もあるので、その場合の合図も決めたほうがいいかもしれません。右手で挙手しているときは問題もわかっているし指名してくれ!!という合図。
左手で挙手しているときは、問題は理解できているが吃るから指名しないでくれ!!という合図。

故に、吃音者の合理的配慮とは一般に言われる発達障害者のように、個別事例ごとに丁寧に考えないとなりません。

・吃音者が発話する、話しているとき、質問するときの時間延長を認める。

・吃音者が話すことではなくて、テキストやチャット、メッセンジャーなどで質問できる、発言できるようにする。

・人口音声読み上げソフトの利用を認める。

・筆談を認める。

・期末試験や卒論など口頭でしなければいけない場合、吃っている部分で成績を評価しないこと。
試験時間の延長を認める。

・学校内の手続きなどするときに窓口対応や電話窓口対応ではなく、Eメールの利用で完結できるようにする。

・国家資格などで「実習」が必要な場合、実習先にも吃音の説明、合理的配慮をお願いしにいくこと。吃音当事者に付き添って説明をすること。

・吃っていても、笑わない、怒らない

・吃るため、発話しやすい言葉を使うがゆえに、敬語など、日本語のルールから逸脱するかもしれないが、違和感のある言い回しをするかもしれないが。それを笑わない。怒らない。認める。


学校であれば、学生全員に吃音のことを説明して、目が悪い人がメガネやコンタクトレンズをして視力矯正するように。吃音の場合は周囲の人がそれ受け入れる、助ける。「吃ることを笑う、怒る」などをやめること。待ってあげること。言葉を先取りしてあげること。などを考えることができるようになれば。もっと生きやすいかもしれません。


●例えば仕事や就職の合理的配慮だとこのようなものがあります。

【随時更新】人事採用担当者の方へ 吃音者雇用ガイドライン 働く吃音者への合理的配慮とはなにか? 吃音者を採用する場合はどうしたらよいのか? 吃音者採用事例 雇用事例について

記事の中盤あたりに合理的配慮が書いてあります
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/09/blog-post.html

◆吃音者に想定できる、考えられる合理的配慮一覧

・声をだして挨拶ができない場合は笑顔や会釈でも良いとする。

・電話応対を一部免除する。全部免除する。社内の電話のみ応対させる。外部との電話応対は免除する。

・社内アナウンスや店内アナウンス、放送の業務を免除する。

・落語家の桂文福さんのように歌いながらメロディに乗せて職場内やお客様のところで話してよいと認める。吃音者は歌いながら、メロディに合わせて話すと吃らない人がとても多いため。

・落語家の桂文福さんのように、会話の中でギャグを織り交ぜたり、舌打ちをして滑稽な音を鳴らして職務遂行をしても、それを許容する。許す。怒らない。吃音者の道化キャラで働くことを認める。

・社内の朝礼、全体集会、全体挨拶、飲み会の挨拶、式典の挨拶などで口頭発表させることや社訓の暗唱や社内用語暗唱などを免除する。

・吃音者には営業以外の仕事をしてもらう。他の障害者のように社内の仕事をその分切り出す。その仕事をしてもらう。

・吃音者は吃ること避けるため、言いやすい言葉に言い換えを行う。「赤いボールペン」→「レッドなボールペン」、「トイレ」→「お手洗い」、「昨日(きのう)」→「昨日(さくじつ)」、「水曜日」→「火曜日の次の日」、「新聞紙」→「ニュースペーパー」などと言い換えることがあります。

それを不自然だと笑わない。指摘しない。

・吃音で有名な芸能人やアナウンサーや総理大臣や王族がいるからといって、あなたの目の前にいる吃音者はそうではない場合もあると認識を改めること。XXさんがこうやって成功したからあなたもやりなさいと意味不明のアドバイスをやめる。障害が個性となる職業のイスは非常に限られている。

・筆談を利用できるようにする。

・吃音者は吃ることを避けるため、言いやすい言葉を発話する。場合によって敬語などを使わずにタメ口になってしまうことがある。それを認める。許す。怒らない。

・営業や電話応対を認めるにしても、必ず初回に外部やお客様に接するときに、同僚や上司が「弊社のXXは吃音という障害があるので。話し方が不思議に思われるかもしれませんが仕事には影響がないので気にしないでほしい」と説明する。

→とくに職場の同僚や上司が一度、吃音当事者とファーストコンタクトする相手に説明するステップは重要です。吃音当事者自分の言葉で説明するのは大切ですが、同僚や上司のワンクッションがあるかないかでは相手側の受け止め方も変化します。

・電話応対の場合 自動音声システムでを利用する。「この電話は吃音者、吃る人が架電しています」、「この電話は吃音者、吃る人が受電しています」こういったアナウンスも必要になるでしょう。

・口頭での報告連絡相談よりも筆談以外に手書きメモやEメールやチャットの利用を認める。コミュニケーションアプリの利用を認める。

・吃音者は人それぞれであるが、話すときに、唾液を飛ばしてしまうことがあるので、マスクの着用を認める。

・工場や調理場など安全確認が重要視される職場で、「後ろ通ります」、「声出し安全確認作業」ができない場合ブザーやホイッスルなど他の手段を考える。

・飲食店やサービス業であれば、いきなりステーキの従業員が利用している透明マスクの着用を認める。(これは吃音者の中に吃るとき唾液を飛散させる場合もあるためである)

・飲食店やサービス業以外では普通の顔が隠れるマスクの着用を認める。吃音者は吃る時の顔を見られたくない人もいます。口がまがる。唇が震える。唇が尖る。口元が痙攣する。唾液を飛ばしてしまう。白目をむいてしまう。視線が合わない。などなど吃るときの外見上の影響がでる当事者も存在するためです。

・飲食店やサービス業ではお店の入り口などに、「吃音者が働いています」と告知すること。聴覚障害者の洋菓子店のように吃音者が働いていることを説明しましょう。タッチパネル方式だと聴覚障害者も吃音障害者も助かりますね。

・吃音者がホウレンソウや会話をするときに、吃ってしまうため他の人よりも時間が倍近く必要だとしても、ゆっくり余裕をもってその話を聞く。

・吃音者の言葉を先取りしない。吃音者の主義主張によっては最後まで言い切るまで待ってほしい人もいます。逆に話している途中で、XXXのことを言いたいの?と言われたほうが話しやすい人もいます。 ※このあたりは当事者とよく話し合う


★医療従事者、コメディカルの吃音者はどのような合理的配慮?
医療従事者、コメディカルの吃音者にはどうしても言い換えのできない言葉を多く使用する場面が想定できます。人名や薬品名、患者さんクライエントさんとの面接や心理検査、言語療法、結果の説明などがたくさんあります。とくに心理検査や言語療法などの場合は一言一句間違わないで実行できなければいけません。

現在、吃音のある医師、言語聴覚士、臨床心理士、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士などがいます。また、それを目指す学生も存在します。

心理検査や言語療法などで患者さんに「私のあとに続けて話して下さい。マネしてください」などと説明して、吃る部分まで真似をされてしまうという事例も発生しています。事前に患者さん、クライエントさんへの吃音の説明が必要になります。この場合も同僚や上司がワンクッション説明を入れることが重要です。




以上のように様々な合理的配慮が今のところ考えつきます。
話すこと発話することの配慮だけが必要です。それ以外はおそらく大丈夫だと思います。

※しかしながら、吃音当事者には吃音だけではなく、自閉症スペクトラムやADHDなどの一般によく知られている発達障害を持っている場合もありますので、この場合はその発達障害特性にも配慮をする必要もあるかもしれません…。



7. 就労移行支援事業は吃音者をどうしたらよい?どう対応する?

就労移行支援事業のサービスを吃音者が利用することもあるかもしれません。
場合によっては完全に障害受容ができておらず、事業所に通所する他の障害者を差別したり、見下す、バカにする行動をとる者が出てくるかもしれません。一方で、障害受容ができた吃音者も来るでしょう。

他の障害や社会的障壁のある人を差別する吃音者が就労移行支援事業所に来てしまった場合、態度を改めない場合は、利用規約などに、契約を解除するなど盛り込んでおいた方がいいかもしれません。


就労移行支援事業所提携・協力の病院医師に「吃音は発達障害者として精神障害者保健福祉手帳を取得できること」を説明して診断をしてくださいと情報共有をしておく。就労移行支援事業のホームページにて「吃音者は障害者枠でも働けます」と掲載してください。


就労移行支援事業所の企業団体担当の営業さんなどは、「吃音者が働くには障害者手帳が必要か?」ということを官民問わず企業団体の人事部、採用担当者から本音を聞き出すことが大切です。もちろんその中に、吃音があっても一般枠で雇用しますという団体があるなら、その情報も集めて下さい。

2016年現在では、吃音者の就労事例が集まっていません。官民問わず企業団体と協力して、吃音者の雇用事例を集めてください。それをどんどん情報公開してください。吃音者が障害者雇用できるんだ!という情報が日本社会で広まれば広まるほど、吃音者が社会参加できるかもしれません。就労移行支援事業所主催の企業団体の人事採用担当者、行政職員向けの講演会で吃音は障害者雇用できること、法定雇用率に計算できることを説明していくのも大切です。


就労移行支援事業はまず雇用する側の本音を聞き出し、吃音者にそれを伝え、障害者手帳取得や障害者枠で働くことも考えてみてもいいのでは?と説得することも仕事になるかもしれませんね。


8. 専門職になりたい吃音のある学生にはどう支援する? そもそも入学を認めるのか?
障害のある学生の進学事例は近年増えてきています。とくに国公立の学校であれば障害者差別解消法の合理的配慮は義務化されているためこの点は進学先選びに重要です。

障害があっても医師になっている人がいます。
脳性麻痺の医師、熊谷 晋一郎氏(東京大学先端研所属)が有名ですね。
吃音があっても医師になっている人として菊池 良和氏もいます。
2人の時代はまだ障害者差別解消法がなかった時代なのでとても苦労や辛いことがあったかもしれません。

さて、医学部となれば国公立大学があるため、障害者差別解消法を使える可能性は高いです。看護学校も可能性は高いでしょう。

しかし、問題なのは言語聴覚士養成、社会福祉士養成、精神保健福祉士養成の学校に国公立の学校が少ないことがあります。

現在、吃音ある言語聴覚士と学生をつなぐ会「吃音がある、ST学生とSTの会」というものがあります。ただ、言語聴覚士に限定されているのは残念だと思います。「吃音がある医療従事者の会」としたほうが今後の吃音のある子ども達の未来につながるでしょう。

例えば吃音のある医療従事者の会が、吃音があっても資格取得のために支援してくれる専門学校一覧、大学一覧というリストを作成する必要もありますし、吃音や発達障害などを持った学生でも入学できるよう。資格取得に必要な実習施設・研修施設の開拓も必要になってきます。

過去に吃音当事者でもあるライターの近藤雄生氏がこのような投稿をTwitterにしています。吃音があって看護学校の実習を乗り越えることができず、新たな道を歩き始めたという女性のことを投稿しています。このようなことがある以上、医療従事者や支援者の資格を持っている先輩吃音者達は団結して、「私の勤務先に来なよ。この学校なら大丈夫だよ。私が口利きするよ。私が責任とるよ」など道標になることも大切になります。





2016年11月28日月曜日

2016年11月27日 東大スタタリングが駒場祭で吃音をテーマに演劇を披露 その内容はセルフヘルプの限界を指摘するものだった

◆筆者感想 

2016年11月27日、東京大学駒場祭の最終日でした。
東京大学スタタリングという学生サークルでは吃音をテーマにした演劇がリーディング形式で披露されました。今回の演劇は、もっともっと100回でも上演してほしいです。
吃音業界のことをこんなにコンパクトに短時間に伝えることができる脚本はこの世にありません。東大スタタリングの今回の劇は問題提起としてわかりやすいです。この脚本は実在の人物に着想を得て創作している内容だと思われますので、非常にリアリティのある作品です。



今回の演劇のテーマは「医療従事者やソーシャルワーカーが見守り役として参加しない、当事者しかいないセルフヘルプグループが如何にして価値観の違いを受け入れず、排除し、腐敗し、崩壊するのか?」という第三者が参加しない当事者会、ソーシャルワークの失敗事例を扱ったことなのかなと筆者は感じました。

この演劇をみた一般の人も、「この当事者会ちょっと怖い。絶対参加したくない」と感じたはずです。医療従事者からみれば「うわー相当こじらせている当事者会だな。今までソーシャルワーカーが参加していないのかな?これはできれば遠慮したい。呼ばれても行きたくない」と感じるレベルです。

劇中にて吃音は障害か障害ではないか?という「内に秘めたる優生思想を問う」シーンも演じられます。これも医療従事者や支援者、他の障害者や難病や社会的障壁のある人が見れば、「うわわああ。吃音者…うわわああ」となんともいえない感情を持つでしょう。

吃音が障害か障害ではないか?
一冊の書籍があります。 『障害を持つ息子へ ~息子よ。そのままで、いい。~ | 神戸 金史』これを読んでほしいと思います。内に秘めたる優生思想や相模原殺傷事件のことが扱われています。



東大スタタリングの詳細はコチラ
http://ut-stuttering.wixsite.com/start

毎日新聞社でも事前記事がありました
http://mainichi.jp/articles/20161116/k00/00e/040/223000c


毎日新聞記事によると

 昨春発足したサークルの名前は、英語で「どもること」を意味するstuttering(スタタリング)からつけた。代表で、今回の脚本を書いた山田舜也さん(25)=同大大学院修士2年=は「吃音は、当事者によって公的支援が必要な障害と考える人がいる一方、個性や話し方の特徴と受け止める人もいる。当事者同士が意見の食い違いで衝突することも少なくないので、今回の脚本は『対話』にこだわった」と解説。山田さんは「対話を通じて人間関係が変化する描写を心がけた。演劇を通じ、吃音者を取り巻く複雑な現実を社会に伝えたい」と話す。

と書かれていました。
東大スタタリング演劇の本番、まさにその通りの内容でした。


吃音者の主義主張の違い、派閥抗争があることが演劇の中でも、それぞれの当事者や支援者の演技という形で表現されました。

この演劇の最重要点は「医療従事者やソーシャルワーカーなど国家資格などを持った支援者が参加しないセルフヘルプグループ、当事者団体はどのように悪い方向へどんどん陥って行き、不利益・不都合なことが起きるのか」という部分でしょう。

今回の演劇を精神医療・発達障害医療に携わる医師、看護師、精神保健福祉士、社会福祉士、言語聴覚士などが観劇すれば「あまりの見事な教科書に掲載されるレベルの失敗事例」だと認識し観劇中でもウズウズ、ソワソワするような内容でした。吃音業界、吃音当事者を支援する場合は困難事例が多いのだろうと認識するでしょう。

東京大学と言えば、熊谷さん、綾屋さんが携わる「おとえもじて」という発達障害者の当事者研究も存在します。ここでは、安心安全のためのルールが決められていること、言いっ放し、聞きっぱなしの手法、どうしても悪い事態になりそうなら運営スタッフがそれを食い止めるということもあります。一般に言われる発達障害者の支援者も今回の東大スタタリングの演劇を見れば、「吃音業界は相当病んでいる。支援困難事例だ。」と感想を持つでしょう。

おとえもじて
http://otoemojite.com/


吃音業界とは長い長い間、本当に当事者のみの世界で成立していました。

例えば、第三者視点の医療従事者やソーシャルワークをできる人が吃音者の当事者会に参加していれば普段は最小限のサポートをしつつ、意見の衝突や考えの押し付け合いや人格攻撃がはじまりそうな場合、吃音は障害ではない、障害者はそもそも可哀想な存在で吃音者は可哀想な障害者ではないと他の障害者を見下す思想、さらに発展した考えや主義主張の対立に空中戦、それが発展し派閥抗争になり、ハルノートが提出され当事者団体の分裂になる前にそれを食い止めて、安心安全な当事者会、居場所を守ったはずです。

吃音業界はこれが無かったのです。
本当に医療従事者やソーシャルワークができる人が、所属しない当事者だけの団体というのは歪みや不利益や不都合なことが起こる、どんどん狭い世界で物事や価値観が共有される、日本赤軍や連合赤軍などと似ているかもしれませんね。吃音業界は。

もしも、吃音当事者団体に医療従事者やソーシャルワーカーが参加し、運営にもご意見番として携わっていれば、2005年の発達障害者支援法を吃音者が見落とすということもなかったでしょうし。仮に吃音が発達障害者支援法に入っていることを隠そうとする動きがあったとしても、それに対抗するパワーもあったでしょう。

少なくとも2014年7月3日に吃音が発達障害者支援法に入っていました!なんて寝耳に水、青天の霹靂な状況にはならなかったはずですし、吃音を苦にした自殺もひきこもりを発生しなかったはずです。「一般社団法人 日本発達障害ネットワーク JDDnet」という発達障害者の連合体にも、2005年から2012年?まで吃音業界の団体である「NPO法人 全国ことばを育む会」が正会員として参加した過去、「一般社団法人 日本言語聴覚士協会」も2007?2008?から現在に至るまで参加している現実があるのだから吃音が発達障害者支援法に含まれていたことは、2005年から知ることができた人はいたわけです。それでも2016年現在でも、吃音が発達障害者支援法に入っていたなんてことは初耳だというテイで責任から逃れようとしている方もいますが。自責の念で潰れることはないのでしょうか?後悔の気持ちはないのでしょうか?と心配になります。



東京大学の学生の視点だと、瞬時に吃音業界の闇を見抜けるのでしょうか?
筆者がこれを認識するのにX年かかっているのに、東大スタタリングの方々はもっと短期間にその闇に気づいたわけです。東京大学の学生は本当に優秀だと思いました。次回は吃音業界を当事者研究する!をテーマにしてほしいなと個人的に感じました。

この深い深い吃音業界の闇に切り込んでくれた東京大学スタタリングという学生サークルには心から感謝の気持ちを表明します。ありがとうございました。

今後も東京大学という多種多様な価値観、多種多様な学部、吃音以外の障害や社会的障壁がある学生や教員などの視点、東京大学という高度な知識を持った学生や教員からの視点などにより吃音業界に意見表明をしてくれることを祈ります。外部から指摘されないと吃音業界は気付くことができない状態に現在陥っているからです。




◆東大スタタリング 「ことばがひらかれるとき」 詳細
(記憶違いがあるかもしれません ご容赦願います)

●会場の待ち時間と終了時のBGMは藤原さくらさん

●場面設定
駒場 夢言会(ムゲンカイ)という吃音当事者団体の例会

●登場人物
・ミッキーさん(本名はヤマネ) 男性 夢言会初参加という設定
初参加の吃音者なので「吃音業界タブー」を知らないので、どんどん爆弾を投下する。ボンバーマン。

・トバさん 副会長 男性 会の運営に徹しているよう見えた。

・コイワさん 毎朝新聞の記者 中国出身で吃音当事者 男性 
吃音者にもいろいろな選択肢があるべきだと考えている人。障害者手帳など社会保障制度のことを訴える。中国出身のため、ダブルマイノリティ。

・サシマさん 介護職員 男性 吃音当事者団体で社会的支援の運動をしていたが、吃音業界の体質に辟易しているよう すでに吃音当事者団体からの卒業を心に決めている 
自閉症スペクトラムっぽいキャラ設定 他人の会話に急に割り込んでくる 受動型ASDのようで仕事を断れないタイプ 終盤で癇癪を起こす 会からも離脱?

・ヤギさん 自営業でスペインバル経営者 初代会長 男性 
吃音が障害ではなく個性だと思っている。
最初からコイワさんとは仲が悪い? 喫煙所で挨拶をしなかった場面がある。無視している?
吃音者の中に実在するギャグ発言を得意とするタイプ そのキャラが処世術なのか? 本当の性格なのかは不明

・トガワさん 吃音当事者ではない 父親が吃音者 それに影響され吃音を研究する立場 女性
吃音を研究する立場であり、吃音治療や改善のために実験協力や専門職としての助言もする


・イヌイシさん とても吃音が重度な人 
サシマさんが癇癪を起こして会場から退出する際に サシマさんへ感謝の気持ちを伝える サシマ
さんがいたからこそ―。と。


●演劇内容

―――当事者が集まりだす

どこかの施設?で駒場夢言会という当事者グループ(セルフヘルプグループ)の例会をしている。

最初の場面、トバさん。初参加のミッキーさんがやってくる。

お互いに自己紹介で吃る部分があるとあるあるネタを披露。

その後、コイワさんがやってくる。

コイワさんは新聞記者でありながら、自身の吃音について情報発信をしている。

つい最近あった、吃音者団体の全国大会も取材報道したという。


サシマさんがやってくる。

タバコを吸っていたそうだ。喫煙所の場所をコイワさんに教える。

トバさんは今日は飲み会もあるよとミッキーさんに伝える。サシマさんも参加しますよねと誘う。


サシマさんは今日は引き継ぎのための書類を持ってきただけ、あとは君たちにまかせるよ的な言い回し。

そこにヤギさんがやってくる。コイワさんとすれ違いませんでしたか?喫煙所にいたでしょう?と言われるが『知らないフリ』をする。

ヤギさんは「ディズニーシー」が発話できないため、他の人に言わせる。(吃音者によくあるネタ)

サシマさんはもう当時者会から卒業するような言い方をする。トバさんが次だという。



トガワさんがやってくる。(トガワさんはこのまま特に発言なし)

こないだの全国大会でも分科会を担当したようだ。


コイワさんが喫煙所から戻ってくる、ヤギさんが気づかなかったという説明をするが、微妙な空気になっている。




―――当事者が集まったので会が開催

それぞれの自己紹介、近況報告。

コイワさんから自己紹介

先日は吃音の記事に協力ありがとうございましたとトバさんから感謝される。

吃音が全国紙に報道されるなんてすごいよねとトバさんが持ち上げて。全国紙の1面に乗るなんて初めてなんじゃないの?と

(するといきなり会話に割り込むサシマさん ASDっぽい)

サシマ『いやかなり前にもあったよ40年くらい前だよ』 

サシマさんの発言を華麗なスルーで、コイワさんが発言を続ける。




イヌイシさんの自己紹介

イヌイシさんは吃音が重度な設定。

かなり自己紹介に時間がかかる。

32歳なので、結婚を考えています。こないだ街コンに参加してみました。

ぜんぜん喋ることができなかったとのこと。




トガワさんの自己紹介

トガワさんは吃音者ではない。大学で吃音の研究をしている。

全国大会でも分科会を担当したとか。



トバさんの自己紹介

現在は休職中?求職中?のトバさん。夢言会の副会長。

先日、トガワさんの実験協力をしてきたとのこと。



ヤギさんの自己紹介

お店で注文を取るときに困ることがあるけどたいしたことない。



サシマさんの自己紹介

夢言会の活動を後輩に引き継ぐという。



ミッキーさんの自己紹介

初参加の人。大学四年生で、11月なのに就職が決まらないという。

書類選考は通過するが面接の後に不採用通知がくるそう。

みなさんはどうしているのか聞きたい。



―――トバさんがトイレにいくため 仕切りをヤギさんに託し フリートークに

ミッキーさんが、いつもこんな風にはじまるのですか?と質問

ヤギさんがこういうのを自助グループというんだと。


ミッキーさんはすごくうれしいです。自分以外にも同じ悩みをもった仲間がいることに安心しましたという。

ヤギさんは安心して吃りなさいよという。

トガワさんみたいな当事者ではない専門家もいるけどと余計な事を口走る。



ミッキーさんは、トガワさんはどのような研究をしているのですか?と質問

トガワさんは理工学部で吃音者の脳の研究をしているという。

父が吃音でそれが吃音に興味をもったキッカケだという。吃音とはどのような感じなのか知りたいという。



コイワさんが当事者でない人が吃音を知るのは難しいと会話に割り込む。

吃ることを読者に伝えるのは難しいという。

世間から理解されないので、まずは世間に知ってもらうことが大事だという。



サシマさんが知ってもらってそれでどうするわけ?知ってもらったら吃音者の悩みって解決するものなの?


まぁまぁサシマくんもっと和やかにとヤギさんが発言。




ミッキーさんはトガワさんが吃音の研究しているので、吃音の治し方、服薬とかあるのかと質問する。



毎度おなじみサシマさん。
吃音は治らないよ。言語訓練、認知行動療法、XXXXXXXX方法など(筆者 聞き取り不能)、確実に完全に治る方法は存在しないのに専門家はお金を俺たちから巻き上げるんだよ。


ミッキーさんは、じゃあ吃音はもう治らないのかという。


トガワさんは、確実に治る方法はなく、子どものときに治らないと大人は難しい。確実に全ての人に効果あるものはないが、症状の軽減や悩みの軽減はできるという。


コイワさんがここで社会的支援や障害者手帳制度について説明をする。社会保障制度について述べる。

もちろんお約束のサシマさんが食いついてくる。


ミッキーさんは、吃音は障害者だったんですか??と驚く。



またサシマさん。
サシマさんは、そういうヤギさんは吃音についてどう思うのか?という。

ヤギさんは吃音は個性で治すべきものでもないという。



ミッキーさんは、吃音で困ることはたくさんあるのにどうして吃音を治すべきでないものと思えるようになるのですか?という。



―――トバさんが戻ってくる

トバさんが、ミッキーさんに話し合いたいテーマはありますか?と聞く。

ミッキーさんは「吃音は治すべきか 治さないべきか」を知りたいという。


トバさんはいきなりすごいテーマ持ってきたね。いいね話し合おうと承認。


サシマさんは職場からタイミングよく電話がかかってきて、一時離席。

その間にミッキーさんからサシマさんは何かあったんですか?(いろいろ噛み付いてくるから)と質問


サシマさんの話をヤギさんトバさんがはじめる。

サシマさんは頑張り過ぎちゃう人なんだ。
仕事をなんでも引き受けてしまうサシマさん。事務や調整の仕事をしているという。
社会的支援の仕事もしていたという。ヤギさんトバさんがサシマさんに感謝の気持ちと、なんでもやってもらっていて悪かったと後悔の気持ちを述べる。

(筆者が、サシマさんは、「断る力」がない、周囲に依頼されると断れない受動型ASDっぽいと感じたところ。最初は頑張って仕事をこなしていても、なぜ自分だけこんなにしているんだと気付くと癇癪を起こす周囲に敵意を向ける。または仕事そのものが能力をオーバーして癇癪を起こすより前にぶっ倒れて、うつ病や適応障害になるパターンもある。最悪、入院になることも)





サシマさんが戻ってくる。

サシマさんが言うには「施設の利用者が亡くなった」がよくあることなので、すぐに向かう必要はないとはなしている。



―――改めてミッキーさんの質問に戻る

ミッキーさんは吃音を治したくないとヤギさんが発言したこと、どうしたらその考えにたどり着くのか知りたい。


ヤギさんは言う。
吃音は今のところ、治す方法はないし原因も不明なんだ。
それを治したい治したいと思うのは辛いことだと思う。
自分を否定することだと思うんだ。


ミッキーさんは言う。
じゃあ治す方法がないから、寧ろ治らないほうがいいって思うことにしているんですか?


ヤギさんは言う。
いやーその。どういうふうにいえばいいのかな。
例えば、ハゲとか顔がよくないとかコンプレックスになったりすこともある。
でも、だからといってみんながみんな整形手術やカツラを利用することはない。
受け入れる人もいるじゃん。


ミッキーさんは言う。
吃音はハゲや不細工と同じようなものだということですか?


ヤギさんは言う。
いや、そういうとちょっと乱暴な言い方だけど。
どうしようもないコンプレックスって開き直るしかないじゃない。
受け入れるっていうか、気にしないっていうのが1番なんじゃないのかな。
吃音は気にしなくなるよと症状も軽くなると言うし。


ミッキーさんは言う。
吃音は気にしなくなると、軽くなる?改善するのですか?


トガワさんは言う。
吃音はどうしても治さなければいけない、吃音が劣ったものだと、吃音に対する否定的な認知や感情を修正することで、吃音を改善する方法はたしかにありますね。


ちょっといいですか?? コイワさんは言う。
私はヤギさんの意見に全く共感できません。
私は吃音により学校でも会社でも対人関係でものすごい苦労をしてきました。
だから吃音は個性だという考え方は受け入れられません。
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)


ヤギさんは言う。
そういわれるとちょっと厳しいなぁ。

コイワさんは言う。
人とうまくコミュニケーションしたいというのは当たり前の気持ちです。
研究者の人には、ぜひ、吃音を治す方法も研究してほしいと思います。

また、吃音者が望めば、誰でも障害者手帳を取得できるようにこれからも社会的な運動をはじめなければならないと考えています。



―――吃音は障害なのか?
ミッキーさんから質問

吃音は障害なのですか?
たしかに吃音は治したい。治したいと思うのは当たり前の気持ち。
でも、吃音者が障害者というのは何か変な感じがする。



トバさん。
なるほど、吃音が障害か障害ではないか? どうなんですかトガワさん。


トガワさんは言う。
うーんそうですね。
難しいですね。
もちろん当事者が障害か個性かとらえるのはその人の自由です。
ただ、実際はどこかで線引をしないと医療や社会保障の対象にならない。
医学的な見地だと流暢性障害という分類されています。
そういった意味では障害に含まれると思います。



コイワさんは言う。
吃音は障害ですよ。
吃音で障害者手帳を持っている人もいます。
でも、それはとても限られています。その状況は改善しないといけません。
手帳がないと支援をすぐに受けられませんからね。


ミッキーさんは言う。
でも支援、支援って言いますけど。
吃音って別に車椅子とか点字ブロックが必要なわけじゃないし。
どう助けてほしいかわからない…。


コイワさんは言う。
いま、1番問題なのは新卒の就職活動です。
新卒採用でもっとも重視されるのはコミュニケーション能力です。
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
だから吃音は障害だと受け入れて、障害者雇用枠を利用できる選択肢を増やさないといけない。


ヤギさんは言う。
あのーちょっといい?
吃音があるからって必ずしもコミュニケーション能力が低いとはいえないんじゃない?
田中角栄だって吃音をもっていて、吃りながらめちゃくちゃ演説がうまい人もいるし。


コイワさんは言う。
そういう人はそれでいいですよ。
私が言っているのは社会生活で困っている人のことです。
障害者手帳を取得できるようにしておかないといけないですよ。

ヤギさんは言う。
でもさ、手帳を取得することではなくて、吃音を持ちながらどうやって前向きに生きていくことのほうが大事だと思う―。



ミッキーさんは言う。
症状が軽い人はどうすればいいですか?見られてしまう人はどうしたらいいですか?
僕はいま話せていますけど。
手帳とかは無理だと思うのです。
障害者手帳を取得できない人はどうしたらいいですか?


トバさん。
サシマさん詳しいですよね。お願いします。


サシマさん。
トバさんだって詳しいでしょ。別に俺にふらなくても大丈夫でしょ。


トバさん。
私がこたえます。
2016年4月に障害者差別解消法が施行されました。
障害をもっている人(筆者補足 障害に限らず難病も)が何か困りごとがあるときに申し出れば
役所やお店は過剰な負担にならない範囲でちゃんと対応をしないといけないという法律なんだ。
合理的配慮というんだ。



ミッキーさん。
それは吃音者にも当てはまるんですか?

トバさん。
ええ、この法律は障害者手帳所持の有無はとわないんだ。

ミッキーさん。
吃音への配慮はどういうものが?

トバさん。
たとえば、筆談の対応。人口音声の利用を認めるとか、挨拶ができなくても怒らないとか。
まぁ、吃音者への合理的配慮が過剰な負担になるとは考えにくいからちゃんと配慮してもらえると思います。

ミッキーさん。
でも筆談とかって、話さないように済むっていうするってこと?

ヤギさん。
筆談って話さないよう済むようににすること。そうじゃなくて吃りながら、話すことを諦めないことがとても大切なことなんじゃないの?


コイワさん。
いや、だから。そういう配慮を受けたいかは、個別の対話で決めることで。第三者が決めることではないですよ。

ヤギさん。
でもそれでいいのかな?人それぞれってことで、みたいにまかせてしまった。
吃音だから、話すことから逃げるのはよくないことだと思う。


ミッキーさん。
でも、そんな風に配慮してほしいとか、特別扱いしてほしいってなかなか言いにくいですよね。
僕はできれば周囲に自分が吃音だと知られたくないです。


トバさん。
配慮を受けるために、カミングアウトしなければいけないのは大きな問題ですよね。

コイワさん。
でもそれは仕方ないですよね。
吃音が障害者と思われたくないという感情は、ある意味「障害者」を差別に加担していることです。


ヤギさん。
僕は吃音者は障害者なのかな?って思うけどね。
障害者というほどの重い障害ではないと思う。

ミッキーさん。
喋るのが苦手なのにしゃべらないといけない。矛盾していませんか?
そもそも吃音者が抱える困難って急に頼んでもしかたないことが多いと感じる。

バカにしないでほしいというのはありますけど。基本的に周りのひとは何もできないですし。寧ろ何もしないでほしいと…。

そもそも人口音声とか筆談とかしゃべらないっていう選択肢を希望するでしょうか?


???さん
トガワさんどうですか?


トガワさん
え???私??


ヤギさん
いやーやっぱり僕はね。
吃音は社会で取り組むべき問題なのかな?って思うよ。
障害というのはあんまりよくないと思うよ。
実際にいままでほとんどの吃音者は障害者手帳なんてなくても吃音をうまくやってきたと思うけどな。


コイワさん。
ヤギさんは吃音は障害と認めながら、吃音をXXXXX(筆者 聞き取り不能)
吃音は個性的なものだけど、障害はXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
やっぱり他の障害者に対する差別なんじゃないですか?

ヤギさん。
で、でもさ、筆談や人口音声を使うのは、自分の身体を否定していることになる。
吃音を含めて自分なんだから。
やっぱり障害だといって障害者手帳に頼るのはあんまり良いことではないと思うよ。どうやって吃音と上手く付き合っていくかが大事だと。


コイワさん。
ヤギさんみたいな人がいるから。ダメなんですよ。
みんながみんな前をむくことができるかはわかりません。困っている人もいるんです。


サシマさん 癇癪を起こす
(俳優の藤原竜也さんが演じる「゛」濁点が全てにつくような話し方になる)

うううう!!!!!
め めんどくさいんだよ

なおすとか なおさないとか ぜんぶ どうでもいい

いつまで こんな 小さな意見をグチグチとさ。周囲からみたら滑稽だよ。

びびょびょびょびょ 

平等とか対話だとか、そもそも全然対等じゃないし。

今日だって話している人はいつも同じ人だし。

今日だってイヌイシさんは全然話していないじゃないか。


そそそそそs コイワさんあんたのいっていることがくだらないから。

障害者に対する差別ってあんたがしていることじゃないのか?



コイワさん

ん゛は゛ぁ???

私はXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
困りごとを持っている人が少しでも生きやすいように。


サシマさん
相模原事件の被害者の人たちはどうでもいいというのか
俺は介護職員だからあの事件はとてもショックだった。
全国大会であの事件を考えようとする吃音者いなかったんだ。
コイワさんあんたもそうだ。吃音で悩んで自殺した看護師のことを取り上げても、障害を理由に無残に殺された人のことを取り上げようとしなかった。


コイワさん
それの何がいけないのですか?
私のかかわる、当事者として自分たちの声を発表することの何がいけないのですか?


サシマさん
あんたは被害者の人たちは自分たちじゃないと思っているんだ。
自分たちとは関係のない人達がころされた。
障害をもった自分たちと違う特別な人が殺されたと思っているんだ!
どどど誰もが年を取れば施設に入れるかもしれない。
俺はこの吃音の世界の欺瞞っていうかさそういのに飽き飽きしたんだ。
言いたいやつが自分のいいたいことを言って。
声の小さいやつに仕事をおしつけて。

まぁ。もう俺には関係ないから、あとは好きにやってくれ。



―――サシマさん会場から去る
そこをイヌイシさんが止める。

ぼぼぼぼぼくは吃音で
か かか かか か からかわれて
わ わ わっ わ笑われてずっとひとりぼっちでした。
ぼくもこんな連中の話なんて聞いてやるもんかってずっと

こ こ こ こ こ 心を閉ざしていました。

で でもこのムゲンカイに参加して、サシマさんが話を聞いてくれた。

本当にうれしかったです。



トバさん
そういえば僕もそうでした。
吃音で話せることができなくて。そんなときにサシマさんに誘ってもらったんです。



イヌイシさん
それから周囲の人達に
ちょっと話せるようになりました。自分では無理だとおもっていたけど、街コンとか参加できるようになりました。
サシマさんにやめてほしくない。もっとサシマさんと話がしたい。だから こ こ こ こ ここにいてください。



―――サシマさんはそのまま会場を去る



トガワさん
あ、あの私もいいですか?
父親が吃音といいました。
これまでほとんど父親と話してこなかったです。家庭内別居で暴力をふるいました。
それから父親は家のなかでいない人扱いして、ほとんど会話をせずにすごしてきました。

そして色々あって、このムゲンカイに来て、この会をとおしてみなさんと話して、最近になって
他人と話せるようになったんです。


コイワさん
あのーいいですか?
僕には言葉を話すときに壁が2つあります。
吃音の壁と日本語の壁です。

母国語ではない言葉でコミュニケーションする感じとよく似ているなと思うんですけど。



????さん
ああなるほど。僕も東北出身なんですよ。標準語になおして話すときに、吃音の言い換えとかXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)


コイワさん
なんていうかな
吃音があると吃音がある人とXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)

トバさん
ちょ!!
ちょっといいですか??


ヤギさん
おやおや。トバくんも意見かなぁ


トバさん
もう時間ですよ。後の予約の人もいるし帰りましょう。
このあとみなさんと渋谷のイタリアンのお店にいきまよう。

トガワさん
ヤギさん ヤギさん今度実験に参加してもらえないですか?

コイワさん
みんなの写真を撮影していいですか?


トバさん

あぁ。いいですよーーー。



ここで藤原さくらさんの楽曲。

終劇









2016年10月26日水曜日

2016年10月22日、東京で開催された吃音啓発の日レポ 厚生労働省 日詰正文氏講演 吃音と発達障害者支援法

2016年10月22日。東京都北区の赤羽北区民センター(ふれあい館)にて、国際吃音啓発の日に合わせたイベントが吃音者の当事者団体である『東京言友会』と『千葉言友会』の主催で開催された。

国際吃音啓発の日は「International Stuttering Association」などが1998年に定めた世界的な啓発デーだ。毎年4月に行われる世界自閉症啓発デーのような認知度はまだないが日本でも認知度の向上が今以上に望まれる。

2016年春、福山雅治さん藤原さくらさんが出演したフジテレビ系列の月9ドラマ『ラヴソング』で登場人物女性が吃音であったことにより世間でも認知度はあがった。

吃音とは発話・発声するときに自分の思うように言葉が出てこない障害だ。
例えば「おはようございます」が吃ることにより、『お、お、お、お、お、お、おはようございます』という連発。『(口がパクパクしたり、または口や唇が震えたりしながら)なかなか言葉が言えず(お お お お お お お お お お お)  おはようございます』という発話まで時間がかかる難発。『おーーーはようございます』という伸発の3つが吃音だ。

吃音は当事者によって異なるが言葉のみではなく吃音者の顔の表情が歪む、白目を剥いてしまう、唾液を飛ばしてしまう、腕や脚、身体の一部が意図せぬ動きになるという症状が同時に出る場合もある。



●吃音と発達障害について

このイベントでは、厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室 発達障害対策専門官 日詰正文氏が講演した。

講演ではまず最初に「発達障害者支援施策について」発達障害者支援法、一般に言われる発達障害(自閉症スペクトラム、注意欠如多動性障害、学習障害、トゥレット症候群)などの説明から、発達障害の定義、日本国内でどのような障害が発達障害者支援法に含まれているのかなどの説明があった。

吃音も発達障害者支援法に2005年から含まれていること、一般に言われる発達障害児者のように当事者や家族が希望すれば全く同様の社会保障や合理的配慮が受けられることが法的根拠を例にしながら話は進んだ。

吃音がなぜ精神障害(発達障害を含む)なのかの疑問に対してはICD10(WHOの国際疾病分類)が日本国内で診断基準になっていること、DSM5(アメリカ精神医学会の診断基準)が参考になっていること、次回更新のICD11ではDSM5と同様に吃音が『神経発達障害/神経発達症群』に分類されるであろうと説明があった。

日本政府も吃音が発達障害者支援に含まれていることを現在、発達障害者支援センター職員、医療従事者、発達障害施策に携わる職員を対象に研修を通じて実施しているという。



●吃音と障害者手帳取得について

吃音者が障害者手帳を取得するにはどうすればよいのかという疑問にも答えた。
吃音は発達障害者支援法以前の名残で身体障害者手帳4級取得の可能性があるが、その場合『ICD10コード F98.5 吃音症』と書いてはいけないと説明。理由はFコードを利用した時点で精神障害の部分になるからだ。身体障害者手帳を取得する場合は医師とよく話し合い吃音とは書かずに話せないことを表現する重要性を指摘した。


発達障害者支援法により吃音で精神障害者保健福祉手帳を取得する場合の医師が書く診断書については詳しく説明があった。症状の記入欄の他に、日常生活能力の判定という項目を医師が吃音者の話をよく聞き記入しなければならないと強調した。

吃音の場合、「他人との意思伝達・対人関係」、「身辺の安全保持・危機対応」、「社会的手続きや公共施設の利用」が該当するのではないかと説明した。

「他人との意思伝達・対人関係」であれば、吃音によりスムーズに言葉が話せないこと、相手を待たせてしまうこと、本当に伝えたいことを話せないこと。

「身辺の安全保持・危機対応」であれば、緊急事態時、吃音により絶対に吃ることが許されない状況での発話・発声が吃ってしまうこと。

「社会的手続きや公共施設の利用」であれば、窓口などで上手く話せないことにより本来の目的を達成できないこと。

以上を精神障害や発達障害を診療する医師が患者である吃音者から丁寧に話を聞き、吃音者が困っていることや出来ないことを具体的に明記できるかどうかが大切だという。

だが、一方で吃音を診療する医師や病院が少ないことも指摘した。耳鼻咽喉科医師と精神科医師の連携についても重要だという。この部分については今後、政府も研修を通じて伝えていくという。


●吃音と合理的配慮のこと

吃音児者への合理的配慮についても例をもとに説明した。高校・大学受験や●●試験などで配慮を受ける場合は幼少期からの診療とその情報の引き継ぎが重要で、いきなり『その時』になっても配慮を希望するのは難しい。子どものころからこのような配慮を受けてきた過去があるという事実が大切になるという。

2016年発達障害者支援法改正の3つのポイント。ライフステージを通じた切れ目の無い支援、家族なども含めた、きめ細かな支援、地域の身近な場所で受けられる支援だ。

例として発達障害の特性と言われる(見通しが立たないことへの不安、感覚過敏、読み書き障害、不器用、独り言、言葉が上手く話せないなど)がある場合。どのような支援(スケジュール提示、別室対応、拡大文字問題冊子、塗りつぶしではなくレ点チェック、時間延長、話し終わるまで待つ)が行われてきたのか情報をバトンタッチしていくことが大切だという。



●まとめ、感想
厚生労働省の発達障害対策専門官の話は法的根拠や制度上の説明もあり、わかりやすかった。吃音者でも全く同様の社会保障制度や合理的配慮を希望すれば受けることができること。ここがとても重要だった。

ただ、日詰氏の話を聞いていると2005年から存在していた発達障害者支援法と吃音の関係の難しさも浮き彫りになった。会場から吃音が精神障害(発達障害を含む)であることが受け入れられない、エビデンスはあるのか、どこの誰が研究した結果なのか質問があったが、日詰氏は医系技官ではないのでその場での回答は控えた。一方で、『吃音が精神障害(発達障害を含む)と分類されるのは国際的な診断基準に従っているので、そうではないと思う場合はそのように研究している研究者と協力して行動してほしい』といった趣旨を述べた。

※吃音と一般に言われる発達障害の併存事例も報告されている日本音声言語医学会の学会誌 Vol.57 No.1,2016.1
に『吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討 Developmental Disability and Psychiatric Conditions in 39 Patients with Stuttering 』が掲載
http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/02/blog-post_23.html


この部分が厚生労働省や日本政府側の正直な気持ちではないだろうかと筆者は重く受け止めた。これは日本国内の吃音業界・吃音情勢の問題だ。日本国内では吃音当事者が『吃音は可哀想な障害者ではないし支援される対象ではない。吃音を治そうとしてはいけない。病院に行ってはいけない。おたくのお子さんは可哀想な障害者じゃない。吃音は個性、吃音は神様からのギフト。吃っていても堂々と吃って生活している吃音者もいる。就職や結婚もできる。子どもも2人くらい大学にいかせるだけ稼げる。マイホームだって買える。幸せだ。』と主義主張をするグループがあるからだ。

このグループの影響なのか? 2016年8月17日毎日新聞朝刊やネットで報道した『「差別受けた」6割 「理解不十分」7割』をみた子どもたちがこのような差別発言を平然を行っているようだ。 子どもに「障害はかわいそうという感じがする」と言わせるのは本当に恐ろしいことである。神奈川県相模原の障害者無差別殺害事件にも通じるところがある。困っていることや不便なことがあるなら、障害の垣根をこえて協力して「障害はかわいそう」だという価値観を身に着けるようになってしまう、そのように成長してしまう道程や周囲の人間や社会を変化させるように行動してほしいものだ。





・ここに「発達障害」と書いてあるけれど、僕たちは、発達障害なのか。障害は、かわいそうという感じがする。どもりを障害とは思わないでほしい。僕がほかの人に自分のどもりについて言うときには、どもりのことを障害や病気だとは言わない。吃音で悩んでいる人、苦しい人にとっては、吃音は障害だというのはありがたいのかもしれないけれど、「吃音を障害と認識することが大事だ」というのは、どうかと思う。
http://www.kituonkokufuku.com/archives/2016-09.html?p=3



吃音は他の障害者や難病者や社会的障壁のある人たちより優れているのか?優生思想なのか?
この点はフジテレビ系列で放送した『ラヴソング』の吃音演技指導をした大学生がこのように話す。


「『吃音は障害じゃない』『差別されるのが怖い』と言い張る吃音者もいますが、それって“逆差別”ではないでしょうか? 『障害者と一緒にしないで』って言っているのと同じですよね。だから、もし変えるなら『障害』に対する社会の意識を改革していくべきだと思いますし、私も当事者として、そこを伝えていきたい」
http://wpb.shueisha.co.jp/2016/06/13/66583/3/


このグループの主義主張は吃音以外の障害者・団体や難病者の耳にも入っており、大変な怒りの感情を持つ方もいる。吃音者は優生思想を持っているのか? 同じ困っている人ではないのか?という感情だ。これはとても大きな問題で今後、吃音者や当事者団体が活動するにあたり、一度、謝罪や撤回を求められる事態に発展するかもしれない。その謝罪や撤回があった後に一緒に協力行動しようという気持ちの方もいるのだ。障害はかわいそうと子どもに言わせてしまう「教え」は吃音以外の人々に波紋を広げている。



そこまで強烈に障害者や難病者を劣った者とみなし見下す主義主張を持たないが、何とか吃らない処世術を身に着け、吃る頻度を減らし社会に居場所がある吃音者もいる。できることなら吃音が精神障害(発達障害を含む)と周知徹底されるのを怖れるグループだ。


裏を返せばこのように吃音当事者や吃音業界から『吃音があって困っている。吃音者にも社会保障の選択肢を――。』と障害者運動や行動、行政へ要望要請をしてこなかった経緯が2016年現在に影響を及ぼしている。

日詰氏の講演でも、「日本政府は『今』、関係各位に周知や研修をしている」、「医師や病院が足りないことの現状について」述べたがこれも裏の意味だと「今まで表立ってそれを強く実行することができなかった。当事者からの声が無かった」と読める。今までは日本政府、行政も吃音業界の異様さ特殊性を認知していたのかもしれない。

もしも2005年から吃音が発達障害者支援法に含まれていることが周知徹底されていれば2013年7月に北海道で起きた吃音看護師さんの自死も避けることができたのではないかと考えると悔しい。


講演の中で印象に残った部分がある。吃音は精神?身体?どっちの障害者手帳を取得できる?という説明部分だ。

吃音は発達障害者支援法以前の名残で身体障害者手帳4級取得の可能性があるが、その場合『ICD10コード F98.5 吃音症』と書いてはいけないと説明。理由はFコードを利用した時点で精神障害の部分になるからだ。身体障害者手帳を取得する場合は医師とよく話し合い吃音とは書かずに話せないことを表現する重要性を指摘した。

吃音はそもそも「Fコード」、ICD-10という診断基準の→F00-F99 精神及び行動の障害 > F90-F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害 > F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害 > F98.5 吃音症

を利用する。
しかし、このFコードの吃音を身体障害者手帳申請書類に明記してしまうと。その時点で自動的に審査で却下、受理されないということだ。

仙台の吃音裁判、吃音で身体障害者手帳がほしいという内容であった。
市側の主張は「国は吃音を発達障害者支援法に定義しているので」と主張していた。
身体障害者手帳申請書類で「吃音」を明記した時点で不受理の条件を満たしているということになる。過去の吃音者の事例で身体障害者手帳4級を取得している者がいるが、その場合診断書には「吃音」と明記せずに別の症状により言葉を発することが困難であると書いているのであろう。バカ正直に身体障害者手帳申請書類で「吃音」と明記してしまうと審査の段階で不受理になることを知っている医師がいるということになる。


吃音者が「自分は吃音で障害者手帳はもらえない」と自己診断・自己判断で諦めてしまうことも問題だと筆者は感じる。一般に言われる発達障害を診療する医師のところに行き、困っていることできないこと、吃音で嫌な経験をしたことをしっかり明記すれば吃音が軽度でも障害者手帳は取得できる可能性はある。一般に言われる発達障害者でも服薬やSST、ミスをしないためのアイテムの利用などを駆使し障害者手帳を持っているがそれを隠して一般枠で働く方もいる。自分は吃音が軽度だからという自己判断で試してもみないで諦めてほしくはない。並行して吃音を診療してくれる医師や病院へ情報発信をすることも大切だろう。

吃音を診療したいと思う、精神科医師や児童精神科医師の中には、吃音がそれを偽ることもできるのでウソの演技を見抜けないのではないか? と危惧する方もいる。厚生労働省が耳鼻咽喉科医師や脳神経系医師、精神科医師のために吃音診療ガイドラインを作成することも望まれる。
ガイドラインの作成により、『そもそも病院で吃音は保険診療可能である』と認知されれば自由診療のクリニックや医師のいないクリニックに高額な吃音診療費を支払うこともなくなる。また自立支援医療の精神通院が利用できるから多くの吃音者は1割負担で通院や言語聴覚士との訓練ができるはずなのだ。

2016年これからの未来は吃音当事者も障害者団体や発達障害者団体と協力し情報発信をしていく時代ではないだろうか? また吃音者は自分たち以外のことを知ることもとても大切なことだと強く思う。