2017年5月25日木曜日

吃音がある子どもが生まれたのは両親に責任があるのか? あると言えばあるし、無いと言えば無い

吃音の原因。
例えば、子どもが吃音になったのは「母親の育て方のせい。母親の育児がなっていない」などという昭和時代の価値観が未だにはびこっている。

この母親の育て方、父親の育て方のせい、祖父母の育て方のせいというのは2017年現在否定されている。

しかし、問題は遺伝や環境の視点から見て考えた場合である。
吃音や発達障害のある子どもが生まれた場合、現在エビデンスがある情報としては「遺伝7割、環境3割」とか「遺伝6割、環境4割」などと言われる。吃音に限って言えば前者のほうが菊池良和医師の書籍でも紹介されている。(エビデンスに基づいた吃音支援入門 学苑社 14ページ)

ここで大きな問題は遺伝といえば、父方、母方、または両方に吃音の遺伝子があったのですね。となると父方か母方、もしくは両方の親戚縁者にも吃音者がいるかもしれないね。と理解できることである。


次に「環境」という言葉である。
実はこの環境というのは、母親の胎内で成長する時期、周産期医療と呼ばれる時期のことである。もしかすると父親の精子の劣化というものも今後データがでてくるかもしれない。不妊の原因が父にあったという話も週刊誌やお昼のワイドショーなどで報道されている。吃音業界では「環境」が勘違いされており、赤ちゃんとしてこの世に産声をあげてから成長する環境のことと思われている点である。もちろんその考えも間違ってはいないのだが―。


発達障害児者の就労移行支援事業や放課後デイサービスを行っている株式会社kaienのホームページから引用する。これがわかりやすい。
http://www.kaien-lab.com/aboutdd/definition/

「遺伝+環境要因」が現在の主流な説

 特に自閉症スペクトラムについてはDNAレベルの研究が進んでいます。それによると遺伝子ですべてが説明できるわけではないが、大きく遺伝要因が関与していることがわかってきました。

 発達障害に関連する遺伝子は200とも400ともいわれますが、発症までのメカニズムはまだわかっていません。例えば自閉症の兄弟がいる場合、もう一人も自閉症である場合は発症率が高まるという研究結果が出ています。ただし遺伝子がまったく一緒のはずの一卵性双生児の場合でも、一人だけが発達障害の傾向がみられることもあります。つまり遺伝要因以外にも原因が考えられるということです。
 環境要因の仮説として環境要因があげられます。親の年齢、出産時の合併症、妊娠時の食事、汚染からの影響などが考えられています。今後、遺伝要因と環境要因がどのように絡んで発症に至るのかが徐々に解明されていくと思われます。
 何よりも重要なのは発達障害は先天的(生前)であり、後天的(生後)の要因ではないこと。また先天的だからといって100%遺伝するというわけでは決してなく、複雑で複数の要因が絡んでいるものだということです。

また、吃音は神経発達障害として一般にいわれる発達障害と同じカテゴリになっています。
神経発達症とは?発達障害との違いは?概要、分類と症状、原因、周囲の接し方について徹底解説! りたりこ発達ナビより紹介
https://h-navi.jp/column/article/35026377

それは、これらの障害は別々のものではなく、神経の発達阻害という共通の原因を持つ連続的な障害なのだという考え方に基づいています。「神経発達症」という言葉は、そうした連続的な障害の全体を指すための言葉です。近年、この考え方が広まりつつあります。



吃音者も保護者も勘違いしている人が多いが環境というのは親の年齢、出産時の合併症、妊娠時の食事、何らかの事象の影響ということであって。生まれてから地球上で育つ時期のことをメインにして環境とは言わないのである。


ここまで読むと、ある意味、吃音の遺伝子を持っていたかもしれない父方、または、母方、両方かもしれないとも言えるし。周産期の母親の食生活や妊娠時の年齢の話、出産時の合併症や早期出産などにも関係していまい。

吃音の原因や責任は親にある!!というようにも読める。
遺伝子や環境の土俵で判断すれば父や母にもなんらかの原因があるかもとも読めるのである。

しかしこれは本当に馬鹿らしいことで、人間、どんな年齢になろうと好きな人ができて、結婚して子どもがほしいと思う人もいるし。子どもまではいらないかなと思う人もいるし。里子や養子を考える人もいる。セクシャルマイノリティであれば子どもがいなくても幸せという人もいるし、何らかの方法で遺伝的つながりのある子どもを望むかもしれないし、里子や養子がほしいという人もいるだろう。子どもがほしいと思っても不妊治療をする人もいる、それが成功する人もいれば、次の段階に進む人、子どもがいないことを受容して、こういう人生も自分自身かなと受け入れる場合もあるかもしれない。


2017年5月21日夜に放送されたNHKスペシャルにて発達障害児者の感覚過敏について報道があった。これは2017年NHKがNHKのありとあらゆる番組が協力して発達障害全般について報道するという第一回の放送と言われている。NHKスペシャル、ETV特集、ハートネットTV、バリバラ、あさイチ、きょうの健康などで発達障害について今後、怒涛の放送がされるだろう。吃音について放送があるだろうと思う。発達障害はかわいそうだからという理由で吃音だけ身体障害です。とか発達障害ではありません。とか吃音だけの話をして吃音と自閉症スペクトラムの併存などには目を瞑るかもしれない。

5月21日に放送された発達障害の感覚過敏について体験する機械、システムが公開されていた。これは東京大学先端研や京大、阪大などが協力している1つのプロジェクトの中にあった研究の1つである。高齢者体験や身体障害者体験は健常者が体験することのアイテムの準備などは比較的容易だが、発達障害についてはどうやって健常者である定型発達の人間に体験させて少しでも理解してもらうかは課題だった。これを解決した形になる。

しかし、この「構成論的発達科学-胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解-」文部科学省が補助金を出している研究では、「周産期からハイリスク児はどのような成長をするのか?」という研究メニューもあるのである。ハイリスク児とは高齢や、不妊治療、人工的な妊娠、複数妊娠、予期せぬ早期出産(保育器で成長するパターン、現在の医学の進歩により低体重でも生存成長可能になった)などの影響が発達障害につながるのかどうかを研究しているようだった。

http://devsci.isi.imi.i.u-tokyo.ac.jp/about

この研究はダウン症を発見するための出生前診断のように発達障害児を診断するようなシステムを医療現場では提供しないが、周産期の段階でそのことがわかれば、どうやれば生きやすい世の中になるのかというところに重きをおいている。支援制度や教育制度、社会保障制度全般である。発達障害児が生まれることが事前にわかるような、人工妊娠中絶手術に踏み切るための出生前診断にはしないということは筆者も公開講座のときに確認している。

もしかすると、一般に言われる発達障害である自閉症スペクトラムだけではなく、吃音も周産期から吃音になるぞ!ということがわかる未来もあるかもしれない。がしかし、それは社会が受け入れていくことが人間の文明社会として望まれることである。共存・共生社会になっていくことが大切なのである。



結論として
吃音がある子どもが生まれた場合、父や母に責任があるか?といえばあるといえばあるし、無いといえば無いわけである。仮に子どもの母や父が「あなたのせいで子どもが吃っているのよ。こんな障害者を生みやがって!!」と祖父母や親戚縁者に文句を言われたら、「もしかすると、祖父母や親戚縁者にも吃音や自閉症スペクトラムやADHDやLDの人がいるかもしれませんよ。盆暮れ正月に大本家にみんなが集まったときに、座敷牢に閉じ込めていた人はいませんでしたか?変なおじさん、変なおばさん扱いをしていた人はいませんでしたか?」と逆に質問を投げかけてやれば良いのである。

しかしもっとも重要なことは、どのような障害や病気を抱えていても世の中で生きられることが人間社会の文明社会の良いところである。吃音があろうと、自閉症スペクトラムがあろうと、使える選択肢やメニューを使い倒して生きていけばよいことだし、父や母や祖父母が「合理的配慮や社会保障制度を利用することは恥だ!!」なんて思わなくてよい世の中になることが大切であると考える。

幸いなことに、現在日本では発達障害児者を研究することや、それに基づいた適切な支援を行うこと。文部科学省の言葉を借りれば「成人するまでに可能な限り最大限の発達をうながす」とも言うわけであり、機会を平等にし、できるだけ成長の機会をバックアップし、成人しても困ったことがあれば今度は厚生労働省管轄で社会保障制度を利用したい人がいれば利用すればいいわけである。

障害者は嫌だ!
障害を持つ子どもなんて幸せじゃない。
障害者はかわいそうな存在だ!
吃音をかわいそうな障害者と同じにするな!
と思い込んでいる、吃音のある子どものお父さんお母さん、祖父母は好きにしても良い。だが、日本社会、2017年現在のこの日本社会には発達障害者支援法、障害者基本法、障害者権利条約などがある。権利を行使してよいわけなのである。また、支援や社会保障制度が上手く機能していない、不備があるなら、親の会や当事者会が単独または他の発達障害者や社会的障壁ある人達と協力し政治や行政に意見を述べることも大切になるだろう。

吃音の子どもを持ってしまったと思っているお父さんお母さんへ、家族へ
これは日本社会の価値観なんだろうと思います。

例えば2018年現在でも、30代の夫婦が胎児は障害を持っていないことを確認するため出生前診断を行い、生まれたが、発達障害があることがわかった。もうどうしていいかわからない。最悪だ。もう終わりだという人が価値観を変化させていった事例もあります。出生前診断をしないといけない、障害を持った人は幸せにならないという、日本社会独特の空気なんでしょう。これを変えていこうとなったのです。


日本社会は戦前、戦後から、精神障害を持った人、今現在でいう発達障害を持った人を隔離する政策をとっていました。断種してしまうこともありました。座敷牢、癲狂院、精神科病院、祖父母や親戚縁者の価値観など色々なニュースをお父さんお母さんは見聞きしていたのかもしれません。吃音の子どもが生まれるまでは、障害を持った人、病気の人、困っている人のことなんて考えることが少ない人生だったかもしれません。そして、障害を持った人は日本社会においてはこのような仕打ちが待っている、このように扱われる、このように処遇されることお父さん、お母さんが子どものころから見聞きしていたかもしれません。そして障害や病気を持った人に何らかの価値観をお父さんお母さんが持ってしまう。そこに吃音のある子どもが生まれた場合に『うちの子どもはどうなるだろうか。就職できるだろうか、結婚できるだろうか、父と母のような生活レベル、収入レベルを維持できるだろうか。いやちょっとまてよ。父、母が働く職場では障害や病気を持った人に対する価値観が差別的だ。父、母が働く職場に仮に吃音者が就職活動でやってきても採用しないぞ。どうしよう。どうしよう。どうしよう』と心の中で繰り返し思うかもしれません。となると、次にどうしたらいいのか。子どもの吃音を治させるのか?

吃音を持ったままでも、障害や病気を持ったままでも生きていける、働ける社会にならないといけないのではないか? と考えることが大切だと思います。もしもお父さん、お母さんが吃音のある子どもが誕生するまで、障害や病気、マイノリティのことを考えていないとしても、一旦立ち止まって、『お父さんお母さん自身がこのような価値観を持つようになってしまった』人生や周囲の人間関係そのものを振り返り考える時期かもしれません。その後、そうだ社会を変えていこうとなれば幸いです。

例えば発達障害の研究をしている東京大学先端研の医師でもある熊谷晋一郎氏、綾屋紗月氏などは、障害は個人の中にあるものから、社会にその困りごとを返していこうという説明をします。もしも吃音を持った子どもが生まれたお父さん、お母さんが社会でできること、職場でできることがあれば、吃音のことを啓発すること、吃音のある人を積極的に採用していくようにしようということもできるわけです。現在状況により個人の立場で難しいならば(例えば踊る大捜査線の名シーンで「出世して変える。偉くなって変える」こと)、吃音児者団体、発達障害児者団体に参加することもよいでしょう。誰かがやるだろう、誰かがやってくれるということではなくできる範囲でいいのでアクションをしていくことが大切になります。

2017年5月20日土曜日

英国には発達障害などによる感覚過敏を持つ人向けにショッピングモールがクワイエットアワーという時間帯を設けている

2017年5月20日、朝7時のNHKニュースのなかで、発達障害についてミニコーナーがありました。明日放送のNHKスペシャル、発達障害と感覚過敏についての番宣も兼ねていると思います。

2015年ころから大阪大学大学院工学研究科の長井志江特任准教授と東京大学先端科学技術研究センターの熊谷晋一郎准教授の研究グループが共同で行っているASD体験シミュレーター。この進捗状況とどれくらい進化したかがわかりました。

高齢者体験、障害者体験のように手足や身体の一部が動かないこと、視聴覚が不自由な場合はどうなるかといった体験のように。発達障害者はこのように世界が見えている可能性がありますというシミュレーターです。

これは明日の放送で詳細があると思います。



さて、筆者が気になったのはイギリスのショッピングモールに存在する「クワイエットアワー」という静寂をお客様に提供する時間があるということです。例えば1時間この時間があるとします。その間。店舗の照明、BGM、動いているモノ、などを全て電源を落として・または弱くする。など対応をします。発達障害などの感覚過敏に対応するのです。

これは吃音だと「コミュニケーション障害アワー」という形かな。で、吃音も場面緘黙もその他の言語障害やコミュニケーション障害の人が、気軽に店舗で、笑われたり、バカにされたり、怪訝そうな顔されないで買物できる!なんてものがあればいいなと思いました。

2017年5月17日水曜日

2017年5月16日 NHKが発達障害プロジェクトのページを公開

2017年5月16日、NHKが発達障害プロジェクトというページを公開しました。
2017年はNHKがNHK、ETV(教育テレビ)が連携して、発達障害全般を扱う取材をどんどん行っているとききます。吃音もNHKからの指示で取材されているそうです。

発達障害プロジェクト
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/hattatsu/ 

さて、このページ、ドキッとしますね。
あなたは「定型発達症候群では?」という問いかけです。
確かに発達障害者からすれば、健常者といわれる定型発達の人達のほうが病気や障害だろと思う人もいるわけです。空気を読むものではなく呼吸するものですから!という感じでしょうか。

取扱説明書を投稿するページもあります。
発達障害ごとの取扱説明書が蓄積されていくでしょう。
筆者も吃音の取扱説明書を投稿していきます。

2017年5月8日月曜日

沖縄県沖縄市の障害福祉課が吃音は精神障害者保健福祉手帳が取得できると市民の声で回答

沖縄市役所 障がい福祉課 給付係の市民の声への回答を掲載する。
吃音が発達障害者支援法に含まれており、発達障害者として精神障害者保健福祉手帳が
取得できるということが市役所レベルでも周知されてきているようだ。これはとても良い流れだ。

2017年01月05日 精神障害者保健福祉手帳についてというURLだ。
http://www.city.okinawa.okinawa.jp/voice/c/17/d/11519

 ご質問内容

吃音症という症状を持っています。
外見ではあまり分からないものですが、仕事の際に支障を感じており、職場を転々としている状態です。
吃音ではどの程度の症状の人が手帳の申請をできるのでしょうか。
 
 ご回答内容

こんにちは。回答が遅くなり、誠に申し訳ございません。
ご質問のありました件について回答させていただきます。

精神障害者保健福祉手帳の申請に関しては、専用の診断書を病院(精神科、心療内科など)の主治医に書いていただく必要があります。
「吃音症でどの程度の症状が手帳に該当するか」というご質問ですが、沖縄県の担当者によると、「提出された診断書の内容を総合的に判断するため、診断書をみてみないと判断できない」とのことでした。
日常生活や社会生活にどのくらい支障があるのか、ということを診断書で判断するようです。
申請は診断書があれば可能ですが、初診日から6か月以上経過している必要があります。役所で申請後、沖縄県の審査会で手帳の承認・不承認が判定されます。
また、障害年金をもらっている場合は、障害年金証書(精神障害の事由によるものに限る)で手帳を申請することも可能です。

ご不明な点などありましたら、下記までお問い合わせください。



沖縄市役所 障がい福祉課 給付係

2017年4月15日土曜日

2017.4.8 世界自閉症啓発デーシンポジウムの様子

こちらは4月8日に灘尾ホールで行われたシンポジウムです。
この会場でも吃音やトゥレット症候群が発達障害に含まれていますというアナウンスがしっかりとありました。

本当に感謝です。吃音者に寄り添い、いまでもなお手を差し伸べてくださるみなさまに心より感謝いたします。
吃音も発達障害者支援法に2005年から含まれている。これはとても大きい。2017年からこれからも啓発していかないと。不登校や引きこもり、自殺を決断する人が、使える社会保障制度があるように。ライフステージごとに、いつでもSOSがだせるように。社会保障制度や合理的配慮を利用することが恥だとか、弱さとか、逃げだとか思わないように。吃音で命を絶つことはできる限り避けたいから。
吃音の障害者認定反対派は憤激するでしょうが、日本には憲法もありますし。困っているときに使える制度があるのはとても素晴らしいことだと思います。

シンポジウムでは地域つくりリーダーの思いとして。稲村和美氏(尼崎市長)、北村正平氏(藤枝市長)、比嘉ゑみ子氏(沖縄県中小企業家同友会)のシンポジスト発表がありました。自治体ごとの発達に課題のある子どもへの対応や親への対応。早期発見早期療育の仕組み。子どもも親も両方支えることの大切さ。子ども発達支援センター。切れ目のないいつでも利用できる仕組みなどが説明されました。
また沖縄県の中小企業家同友会が障害者雇用事例を紹介しました。

効果的な伝え方の工夫(マスメディア)
というシンポジウムもあり。
神戸金史氏(RKB毎日放送東京報道部長)、東ちづる氏(女優・一般社団法人get in touch代表)、熊田佳代子氏(NHK文化・福祉番組部チーフプロデューサー)の3名から、相模原の障害者無差別殺人事件、どうやってマスメディアにアピールするか、ナチスドイツのT4作戦の番組、これらを交えて、マスメディアの報道の力やそれが世の中に与える影響などについて話し合われました。

マスメディアの力は良い面もあれば悪い面もある。報道する自由や報道しない自由。報道する側が面白いとかメリットやドラマがないと報道しない場合があると東ちづる氏が話しました。
NHKの熊田氏からは、相模原の事件の被告はタイミングよくETV特集を見ていたのではないか?という心配もあったと明かしました。(結果的にそれはなかったそうです)ヒトラーが降りてきた?という発言に放送が影響したのではないかという心配でした。



また、神戸金史氏がフェイスブックに投稿した文章も紹介されました。
コチラです。




#吃音 #発達障害 #WB2017 #MAZEKOZE



吃音やトゥレット症候群が発達障害として説明されています。
この説明板は東京タワーの2階にも掲示されていたそうです。







発達障害の支援を考える議員連盟 高木美智代事務局長


2017.4.2世界自閉症啓発デーin東京の様子

4月2日は世界自閉症啓発デーでした。
 詳細はコチラ
http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/

都内では東京タワーが自閉症協会が中心にいろいろな発達障害当事者団体や支援者の啓発活動、渋谷方面でもゲットインタッチという団体が発達障害を中心にまぜこぜで啓発活動をしました。

吃音者の団体も2016年に引き続き、啓発活動に参加していました。
当日の配布された他団体の資料でも吃音やトゥレット症候群が発達障害に含まれると書かれており、2005年施行の発達障害者支援法が今まさにスポットされているともいえます。改めて実は2005年当時から吃音は発達障害者支援法にふくまれており、社会保障制度も使えるはずだったということが世間に知られていくでしょう。

今回の世界自閉症啓発デーでわかったことはMAZEKOZEの良さです。
意外にも吃音が発達障害だということは他団体の人の方が知っている方がいたりするので驚きです。一般に言われる発達障害児者の当事者や家族、携わる医療従事者や支援者のみなさんは、発達障害の人の中に吃音を持っている人がいることを知っているのでしょう。

また、吃音業界の派閥抗争、考え方の違い、障害者認定反対派などの動きもありますが、それでもなお、それでもなお、吃音者・吃音業界を突き放さずに吃音者に手を差し伸べてくれるみなさまに心より感謝いたします。本当にありがとうございます。








2017年2月5日日曜日

吃音を診療・診断する医師の方向け吃音診療ガイドライン

※この記事は医師免許を持っていない者が書いています。これを念頭にお読みください。

◆あらすじ

吃音が発達障害者支援法に含まれるということが、改めて公になった2014年7月3日。
吃音業界には激震でした。まさに青天の霹靂、寝耳に水という事案・事件ではなく、事変でした。吃音事変2014と言うべきところでしょう。

はっきり言うと、吃音が発達障害者支援法に2005年の施行当初から「吃音」が発達障害者支援法に含まれていたことを理解できていれば2013年、北海道の吃音看護師も自死を避ける選択をした可能性もあったわけです。

2013年の吃音看護師自死は7月、8月に北海道のローカルメディアで報道されたあと、半年後に朝日新聞社が全国紙として、テレビ朝日も取り上げました。

問題なのは吃音業界の派閥抗争の異常さです。
2013年の吃音看護師自死の報道の際も『吃音は発達障害者支援法に含まれているよ。精神障害者保健福祉手帳を申請すれば取得できるし、社会保障制度を利用できるし、人権侵害があれば障害者を扱う関連法案と既存の人権侵害の両方からも戦えたよ』と詳細を調べて報道するマスコミ、マスメディアがいなかったことです。

しかし、筆者が独自に調べたところ、一般社団法人 日本発達障害ネットワーク JDDnetには設立時から2012年?までに「全国ことばを育む親の会(2016現在 言葉を育む会)」が参加していました。
 
また2007年? 2008年?に「一般社団法人 日本言語聴覚士協会」もJDDネット参加しています。2017年現在でも加盟団体です。

おかしいですよね?
吃音にも関係ある団体がJDDネットに参加していたのにも関わらず、「吃音が発達障害者支援法に定義されている」と全国各地で周知徹底をしなかったのです。法律や情報を「見える化・分かる化・共有化」しないという理解しがたい行動です。


ただし、一般に言われる発達障害の子どもを学校で担当する教員、大学などで発達障害児者を研究する研究者や学者や教員、発達障害を診療する医師、小児科の医師は、自閉症スペクトラムやADHD、LDやチック・トゥレットの方々に吃音を持った人が存在することはよく知られていました。筆者を発達障害であると診断した小児科医師も「吃音と発達障害は両方持った人が多い」と話していました。「発達障害とは、考え方、認識の仕方、人間の五感、運動機能、記憶、学習能力、読み書き、話すこと、などなどを司る脳の機能の障害である。それがもとになり不利益や不自由、コミュニケーションが困難、生き辛さが生じる」と小児科医師は説明していました。吃音であれば話すことの発達障害になる、自閉症スペクトラムであれば、考え方や認識の仕方の発達障害になるというのです。


吃音業界と縁の深い耳鼻咽喉科医師やことばと聞こえの教室の教員、言語聴覚士はそのようなことは知らないというテイを現在でも貫き通しています。
(知っていたなんて認めれば、吃音を苦に自死した人、ひきこもりになった人、イジメを受けた人、進学を諦めた人、就職活動を諦めた人、に合わせる顔が無いですからね。知らなかったという魔法の言葉で自分の責任から逃れているわけですね)

特に公務員、公務員に準じた独立行政法人など、国公立の教員、国公立大学の教員・研究者、国公立の病院医師は法律や通知文(17文科初第16号厚生労働省発障第0401008号)を知らないなんて言い訳ができるのが驚きなのですが…。


17文科初第16号厚生労働省発障第0401008号平成17年4月1日
厚生労働省 文部科学省 発達障害者支援施策について
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0412-1e.html


吃音業界が伏魔殿であり異常事態に陥っていることは
別記事をお読みください。
2016年11月27日 東京大学の吃音サークルが吃音業界の不都合な真実を演劇で披露しました

【必読】はじめて吃音を知った人へ 吃音・吃音業界と関わる上で絶対に知っておくべきこと 大切な吃音ガイドライン

【重要なお願い】吃音業界は2005年4月から施行の発達障害者支援法を本当に知らなかったのか?なぜ2013年に北海道で吃音看護師が自死したのか



◆本題 吃音を診断、診療する際に気をつけること 医師が懸念していること

筆者が医師や精神科医師に質問して判明したことです。

吃音は従来、国立障害者リハビリテーションセンターが担当していたこと、耳鼻咽喉科が担当科であると暗黙の了解・空気で決まっている。住み分けとも言うべきか。そして発達障害者支援法ができる前に医師免許を取得している医師の場合、本当に吃音の知識は少ない。無い。故にあまり精神科や発達障害専門にする病院では敬遠する傾向があります。

また、吃音は「なりすますことができる。演技をして吃音を装えることができる障害」であることが、精神科医師や発達障害を専門にする病院医師が抱えている大きな悩みだというのです。

国立障害者リハビリテーションセンター病院のように脳を調べることができるなら、この人は確実に100%吃音であるとわからないことが怖いというのです。もしも吃音をなりすまして演技をしている人に精神障害者保健福祉手帳申請書類、診断書を書いてそれが自治体、厚生労働省に認められるようなことになれば、診断した医師の能力や責任問題になることがとてもとても恐ろしいというのです。

佐村河内守氏問題のときに聴覚障害者を診療診断する際のガイドラインができたことはみなさん記憶しているでしょう。結果として厳格化されることになりました。

厚生労働省 聴覚障害の認定方法に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=185034

聴覚障害「全聾」認定、脳波検査義務づけへ 佐村河内さん問題で厚労省検討会 2014.10.30 21:21
http://www.sankei.com/life/news/141030/lif1410300043-n1.html 
東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/shinshou_techou/sintaisyougaininteikijyun.files/choukaku.pdf

例えば国立障害者リハビリテーションセンター病院で吃音の診療診断をする際は、fMRIやその他検査で脳を調べることになります。

しかし、それ以外の病院では、そこまでできる設備があるのか?
導入費用や維持費用はどうするのか?
その検査方法に精通した医療従事者がいるのか?

結果的にいろいろな原因が複雑に絡み合い、吃音診療を躊躇する医師が存在することになります。
法律上は2005年から発達障害者支援法に含まれている吃音、最近の研究では吃音は脳神経の話す部分のネットワークの障害である(神経発達障害である)とわかって来ましたが。まだまだ日本全国の医師が実際に吃音患者を診るというのは別というのです。


◆吃音者に精神障害者保健福祉手帳申請書類、診断書を書く場合はどうすればいい?
現在、困っている吃音者のこと、吃音業界の異様さ暗黒面を認識した医師が立ち上がっています。一部の精神科医師、発達障害を専門にする精神科医師はこのようにして障害者手帳がほしい吃音者に対応しています。

吃音を診療している実績がある耳鼻咽喉科医師や国立障害者リハビリテーションセンター病院で、「あなたは吃音である」という診断書や紹介状が入手できるならば、それを証拠にして精神障害者保健福祉手帳申請のときに利用するというパターンです。

または、幼稚園、保育園、小学校、中学校の連絡帳や成績表や評定表の記述に吃音のことが書かれている。ことばときこえの教室に通級していた事実も証拠として利用するというパターンです。

または、幼少期に利用していた小児科病院、子ども病院などのカルテに吃音のことが指摘されていれば、その病院から紹介状や診断書を入手するというパターンもあります。

もちろん証拠があればあるほど心強いというのです。

これらの証拠を利用して、この人は現在も吃音で悩んでいる。生きることに困っている。障害者手帳が必要であると、精神科医師は書くことになります。

精神障害者保健福祉手帳の申請はとくに医師の指定がありません。医師免許を持っていれば誰でも記入できるといいます。従来の吃音を診療する耳鼻咽喉科医師、その他耳鼻咽喉科でも精神科医師でもない医師も、自分を守るため、このように情報収集をすることは重要なことでしょう。

2016年の日本吃音・流暢性障害学会でも、精神科医師が自分のところに吃音患者がいるが、積極的に吃音者を受け入れるとは情報発信していないという方がいました。


◆本来は吃音診療診察ガイドラインを厚生労働省が発表すべきこと 医師や医療従事者を守ることも大切

本来は厚生労働省が吃音診療診察ガイドラインを発表することが重要です。
吃音を診療、診断する医師が心配していること、懸念していることを受け止めて、全都道府県ごとに吃音の脳検査やその他の専門検査をできる病院を指定し、そこでの結果をもとに地域の発達障害を専門にする病院につなげるという仕組みができればいいのですが…。日本医師会や耳鼻咽喉科医師、精神科医師、発達障害専門医師の団体などは連名で厚生労働省宛に「吃音診療診察ガイドライン策定の要望」を発表することはできないのでしょうか?

吃音診療診察ガイドラインの策定にはもう一つ意味があります。吃音は身体障害者手帳なのか?精神障害者保健福祉手帳なのか?、それとも吃音の重さにより身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳を選択できるのか? この部分がハッキリすることにも通じるでしょう。

2016年現在、吃音は行政、法律上は精神障害、精神疾患として扱うと厚生労働省が認めています。吃音で身体障害者手帳4級(家族しか会話が理解できない)という障害者手帳をもっている人もいますが、明らかに家族以外と会話ができている吃音者もいます。都道府県の身体障害者手帳審査部門でも身体障害者認定別表に吃音が存在しないため尺度がありません。しかし吃音はICD-10によると「F98.5」のFコードであるし、DSM5でも神経発達障害として一般に言われる自閉症スペクトラムやADHD、LDと同じ場所に吃音が含まれています。

吃音は身体障害の15条指定医師がカバーするのか、精神障害者保健福祉手帳でカバーするのか? 吃音の重さによってどちらも選べるのか? それとも精神障害者保健福祉手帳の申請書類のチェック欄に吃音と吃音により困りごとを具体的に項目として設けるのか?
などなどが考えられます。

2016年10月22日、東京で開催された吃音啓発の日レポ 厚生労働省 日詰正文氏講演 吃音と発達障害者支援法
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/10/20161022.html
吃音(きつおん)は身体障害?精神障害? 厚労省の専門官が回答 | 小口貴宏
http://www.huffingtonpost.jp/takahiro-koguchi/disfluency_b_12614138.html


吃音が発達障害支援法に含まれていることが判明している現在。
発達障害が軽度でも、障害者枠では働かないけど、服薬やSST、スマホ、手帳、アイテム、家族や支援者の支援、などにより、一般社会になんとか適応している発達障害者がいます。その人達も精神障害者保健福祉手帳3級を持っている人もいます。いざという時自身を守るためのお守りとして、法定雇用率以外の社会保障制度を利用するために持っているという理由などです。

要は、発達障害はたとえ軽度であっても、精神障害者保健福祉手帳3級が取得できることになります。これは吃音がたとえ軽度であっても、精神障害者保健福祉手帳3級が取得できることと同じです。(現在インターネット上では軽度吃音者は障害者手帳を取得できないという悪質なデマ・流言飛語が存在しています)

障害者手帳を希望する吃音者は現在日本全国に存在しています。
しかし、吃音業界の暗黒面、伏魔殿が存在するため、声を大きくして、吃音で障害者手帳を取得しよう・しました。と情報発信をする当事者は少ないです。そして障害者手帳を取得できると法律上決まっていても、地元に吃音を受け入れる病院がないために、困っている吃音者も存在しています。吃音を診療するぞ!!という医師や病院に対しても障害者認定反対派の吃音者団体や人物から攻撃されること、批判されることもあるかもしれません。


医師のみなさんも「吃音診療診察ガイドライン」について厚生労働省に要望要請、意見表明をしていただけないでしょうか。困っている吃音者のために出来る限りその人の望むことに寄り添っていただけないでしょうか。