2016年11月28日月曜日

2016年11月27日 東大スタタリングが駒場祭で吃音をテーマに演劇を披露 その内容はセルフヘルプの限界を指摘するものだった

◆筆者感想 

2016年11月27日、東京大学駒場祭の最終日でした。
東京大学スタタリングという学生サークルでは吃音をテーマにした演劇がリーディング形式で披露されました。今回の演劇は、もっともっと100回でも上演してほしいです。
吃音業界のことをこんなにコンパクトに短時間に伝えることができる脚本はこの世にありません。東大スタタリングの今回の劇は問題提起としてわかりやすいです。この脚本は実在の人物に着想を得て創作している内容だと思われますので、非常にリアリティのある作品です。



今回の演劇のテーマは「医療従事者やソーシャルワーカーが見守り役として参加しない、当事者しかいないセルフヘルプグループが如何にして価値観の違いを受け入れず、排除し、腐敗し、崩壊するのか?」という第三者が参加しない当事者会、ソーシャルワークの失敗事例を扱ったことなのかなと筆者は感じました。

この演劇をみた一般の人も、「この当事者会ちょっと怖い。絶対参加したくない」と感じたはずです。医療従事者からみれば「うわー相当こじらせている当事者会だな。今までソーシャルワーカーが参加していないのかな?これはできれば遠慮したい。呼ばれても行きたくない」と感じるレベルです。

劇中にて吃音は障害か障害ではないか?という「内に秘めたる優生思想を問う」シーンも演じられます。これも医療従事者や支援者、他の障害者や難病や社会的障壁のある人が見れば、「うわわああ。吃音者…うわわああ」となんともいえない感情を持つでしょう。

吃音が障害か障害ではないか?
一冊の書籍があります。 『障害を持つ息子へ ~息子よ。そのままで、いい。~ | 神戸 金史』これを読んでほしいと思います。内に秘めたる優生思想や相模原殺傷事件のことが扱われています。



東大スタタリングの詳細はコチラ
http://ut-stuttering.wixsite.com/start

毎日新聞社でも事前記事がありました
http://mainichi.jp/articles/20161116/k00/00e/040/223000c


毎日新聞記事によると

 昨春発足したサークルの名前は、英語で「どもること」を意味するstuttering(スタタリング)からつけた。代表で、今回の脚本を書いた山田舜也さん(25)=同大大学院修士2年=は「吃音は、当事者によって公的支援が必要な障害と考える人がいる一方、個性や話し方の特徴と受け止める人もいる。当事者同士が意見の食い違いで衝突することも少なくないので、今回の脚本は『対話』にこだわった」と解説。山田さんは「対話を通じて人間関係が変化する描写を心がけた。演劇を通じ、吃音者を取り巻く複雑な現実を社会に伝えたい」と話す。

と書かれていました。
東大スタタリング演劇の本番、まさにその通りの内容でした。


吃音者の主義主張の違い、派閥抗争があることが演劇の中でも、それぞれの当事者や支援者の演技という形で表現されました。

この演劇の最重要点は「医療従事者やソーシャルワーカーなど国家資格などを持った支援者が参加しないセルフヘルプグループ、当事者団体はどのように悪い方向へどんどん陥って行き、不利益・不都合なことが起きるのか」という部分でしょう。

今回の演劇を精神医療・発達障害医療に携わる医師、看護師、精神保健福祉士、社会福祉士、言語聴覚士などが観劇すれば「あまりの見事な教科書に掲載されるレベルの失敗事例」だと認識し観劇中でもウズウズ、ソワソワするような内容でした。吃音業界、吃音当事者を支援する場合は困難事例が多いのだろうと認識するでしょう。

東京大学と言えば、熊谷さん、綾屋さんが携わる「おとえもじて」という発達障害者の当事者研究も存在します。ここでは、安心安全のためのルールが決められていること、言いっ放し、聞きっぱなしの手法、どうしても悪い事態になりそうなら運営スタッフがそれを食い止めるということもあります。一般に言われる発達障害者の支援者も今回の東大スタタリングの演劇を見れば、「吃音業界は相当病んでいる。支援困難事例だ。」と感想を持つでしょう。

おとえもじて
http://otoemojite.com/


吃音業界とは長い長い間、本当に当事者のみの世界で成立していました。

例えば、第三者視点の医療従事者やソーシャルワークをできる人が吃音者の当事者会に参加していれば普段は最小限のサポートをしつつ、意見の衝突や考えの押し付け合いや人格攻撃がはじまりそうな場合、吃音は障害ではない、障害者はそもそも可哀想な存在で吃音者は可哀想な障害者ではないと他の障害者を見下す思想、さらに発展した考えや主義主張の対立に空中戦、それが発展し派閥抗争になり、ハルノートが提出され当事者団体の分裂になる前にそれを食い止めて、安心安全な当事者会、居場所を守ったはずです。

吃音業界はこれが無かったのです。
本当に医療従事者やソーシャルワークができる人が、所属しない当事者だけの団体というのは歪みや不利益や不都合なことが起こる、どんどん狭い世界で物事や価値観が共有される、日本赤軍や連合赤軍などと似ているかもしれませんね。吃音業界は。

もしも、吃音当事者団体に医療従事者やソーシャルワーカーが参加し、運営にもご意見番として携わっていれば、2005年の発達障害者支援法を吃音者が見落とすということもなかったでしょうし。仮に吃音が発達障害者支援法に入っていることを隠そうとする動きがあったとしても、それに対抗するパワーもあったでしょう。

少なくとも2014年7月3日に吃音が発達障害者支援法に入っていました!なんて寝耳に水、青天の霹靂な状況にはならなかったはずですし、吃音を苦にした自殺もひきこもりを発生しなかったはずです。「一般社団法人 日本発達障害ネットワーク JDDnet」という発達障害者の連合体にも、2005年から2012年?まで吃音業界の団体である「NPO法人 全国ことばを育む会」が正会員として参加した過去、「一般社団法人 日本言語聴覚士協会」も2007?2008?から現在に至るまで参加している現実があるのだから吃音が発達障害者支援法に含まれていたことは、2005年から知ることができた人はいたわけです。それでも2016年現在でも、吃音が発達障害者支援法に入っていたなんてことは初耳だというテイで責任から逃れようとしている方もいますが。自責の念で潰れることはないのでしょうか?後悔の気持ちはないのでしょうか?と心配になります。



東京大学の学生の視点だと、瞬時に吃音業界の闇を見抜けるのでしょうか?
筆者がこれを認識するのにX年かかっているのに、東大スタタリングの方々はもっと短期間にその闇に気づいたわけです。東京大学の学生は本当に優秀だと思いました。次回は吃音業界を当事者研究する!をテーマにしてほしいなと個人的に感じました。

この深い深い吃音業界の闇に切り込んでくれた東京大学スタタリングという学生サークルには心から感謝の気持ちを表明します。ありがとうございました。

今後も東京大学という多種多様な価値観、多種多様な学部、吃音以外の障害や社会的障壁がある学生や教員などの視点、東京大学という高度な知識を持った学生や教員からの視点などにより吃音業界に意見表明をしてくれることを祈ります。外部から指摘されないと吃音業界は気付くことができない状態に現在陥っているからです。




◆東大スタタリング 「ことばがひらかれるとき」 詳細
(記憶違いがあるかもしれません ご容赦願います)

●会場の待ち時間と終了時のBGMは藤原さくらさん

●場面設定
駒場 夢言会(ムゲンカイ)という吃音当事者団体の例会

●登場人物
・ミッキーさん(本名はヤマネ) 男性 夢言会初参加という設定
初参加の吃音者なので「吃音業界タブー」を知らないので、どんどん爆弾を投下する。ボンバーマン。

・トバさん 副会長 男性 会の運営に徹しているよう見えた。

・コイワさん 毎朝新聞の記者 中国出身で吃音当事者 男性 
吃音者にもいろいろな選択肢があるべきだと考えている人。障害者手帳など社会保障制度のことを訴える。中国出身のため、ダブルマイノリティ。

・サシマさん 介護職員 男性 吃音当事者団体で社会的支援の運動をしていたが、吃音業界の体質に辟易しているよう すでに吃音当事者団体からの卒業を心に決めている 
自閉症スペクトラムっぽいキャラ設定 他人の会話に急に割り込んでくる 受動型ASDのようで仕事を断れないタイプ 終盤で癇癪を起こす 会からも離脱?

・ヤギさん 自営業でスペインバル経営者 初代会長 男性 
吃音が障害ではなく個性だと思っている。
最初からコイワさんとは仲が悪い? 喫煙所で挨拶をしなかった場面がある。無視している?
吃音者の中に実在するギャグ発言を得意とするタイプ そのキャラが処世術なのか? 本当の性格なのかは不明

・トガワさん 吃音当事者ではない 父親が吃音者 それに影響され吃音を研究する立場 女性
吃音を研究する立場であり、吃音治療や改善のために実験協力や専門職としての助言もする


・イヌイシさん とても吃音が重度な人 
サシマさんが癇癪を起こして会場から退出する際に サシマさんへ感謝の気持ちを伝える サシマ
さんがいたからこそ―。と。


●演劇内容

―――当事者が集まりだす

どこかの施設?で駒場夢言会という当事者グループ(セルフヘルプグループ)の例会をしている。

最初の場面、トバさん。初参加のミッキーさんがやってくる。

お互いに自己紹介で吃る部分があるとあるあるネタを披露。

その後、コイワさんがやってくる。

コイワさんは新聞記者でありながら、自身の吃音について情報発信をしている。

つい最近あった、吃音者団体の全国大会も取材報道したという。


サシマさんがやってくる。

タバコを吸っていたそうだ。喫煙所の場所をコイワさんに教える。

トバさんは今日は飲み会もあるよとミッキーさんに伝える。サシマさんも参加しますよねと誘う。


サシマさんは今日は引き継ぎのための書類を持ってきただけ、あとは君たちにまかせるよ的な言い回し。

そこにヤギさんがやってくる。コイワさんとすれ違いませんでしたか?喫煙所にいたでしょう?と言われるが『知らないフリ』をする。

ヤギさんは「ディズニーシー」が発話できないため、他の人に言わせる。(吃音者によくあるネタ)

サシマさんはもう当時者会から卒業するような言い方をする。トバさんが次だという。



トガワさんがやってくる。(トガワさんはこのまま特に発言なし)

こないだの全国大会でも分科会を担当したようだ。


コイワさんが喫煙所から戻ってくる、ヤギさんが気づかなかったという説明をするが、微妙な空気になっている。




―――当事者が集まったので会が開催

それぞれの自己紹介、近況報告。

コイワさんから自己紹介

先日は吃音の記事に協力ありがとうございましたとトバさんから感謝される。

吃音が全国紙に報道されるなんてすごいよねとトバさんが持ち上げて。全国紙の1面に乗るなんて初めてなんじゃないの?と

(するといきなり会話に割り込むサシマさん ASDっぽい)

サシマ『いやかなり前にもあったよ40年くらい前だよ』 

サシマさんの発言を華麗なスルーで、コイワさんが発言を続ける。




イヌイシさんの自己紹介

イヌイシさんは吃音が重度な設定。

かなり自己紹介に時間がかかる。

32歳なので、結婚を考えています。こないだ街コンに参加してみました。

ぜんぜん喋ることができなかったとのこと。




トガワさんの自己紹介

トガワさんは吃音者ではない。大学で吃音の研究をしている。

全国大会でも分科会を担当したとか。



トバさんの自己紹介

現在は休職中?求職中?のトバさん。夢言会の副会長。

先日、トガワさんの実験協力をしてきたとのこと。



ヤギさんの自己紹介

お店で注文を取るときに困ることがあるけどたいしたことない。



サシマさんの自己紹介

夢言会の活動を後輩に引き継ぐという。



ミッキーさんの自己紹介

初参加の人。大学四年生で、11月なのに就職が決まらないという。

書類選考は通過するが面接の後に不採用通知がくるそう。

みなさんはどうしているのか聞きたい。



―――トバさんがトイレにいくため 仕切りをヤギさんに託し フリートークに

ミッキーさんが、いつもこんな風にはじまるのですか?と質問

ヤギさんがこういうのを自助グループというんだと。


ミッキーさんはすごくうれしいです。自分以外にも同じ悩みをもった仲間がいることに安心しましたという。

ヤギさんは安心して吃りなさいよという。

トガワさんみたいな当事者ではない専門家もいるけどと余計な事を口走る。



ミッキーさんは、トガワさんはどのような研究をしているのですか?と質問

トガワさんは理工学部で吃音者の脳の研究をしているという。

父が吃音でそれが吃音に興味をもったキッカケだという。吃音とはどのような感じなのか知りたいという。



コイワさんが当事者でない人が吃音を知るのは難しいと会話に割り込む。

吃ることを読者に伝えるのは難しいという。

世間から理解されないので、まずは世間に知ってもらうことが大事だという。



サシマさんが知ってもらってそれでどうするわけ?知ってもらったら吃音者の悩みって解決するものなの?


まぁまぁサシマくんもっと和やかにとヤギさんが発言。




ミッキーさんはトガワさんが吃音の研究しているので、吃音の治し方、服薬とかあるのかと質問する。



毎度おなじみサシマさん。
吃音は治らないよ。言語訓練、認知行動療法、XXXXXXXX方法など(筆者 聞き取り不能)、確実に完全に治る方法は存在しないのに専門家はお金を俺たちから巻き上げるんだよ。


ミッキーさんは、じゃあ吃音はもう治らないのかという。


トガワさんは、確実に治る方法はなく、子どものときに治らないと大人は難しい。確実に全ての人に効果あるものはないが、症状の軽減や悩みの軽減はできるという。


コイワさんがここで社会的支援や障害者手帳制度について説明をする。社会保障制度について述べる。

もちろんお約束のサシマさんが食いついてくる。


ミッキーさんは、吃音は障害者だったんですか??と驚く。



またサシマさん。
サシマさんは、そういうヤギさんは吃音についてどう思うのか?という。

ヤギさんは吃音は個性で治すべきものでもないという。



ミッキーさんは、吃音で困ることはたくさんあるのにどうして吃音を治すべきでないものと思えるようになるのですか?という。



―――トバさんが戻ってくる

トバさんが、ミッキーさんに話し合いたいテーマはありますか?と聞く。

ミッキーさんは「吃音は治すべきか 治さないべきか」を知りたいという。


トバさんはいきなりすごいテーマ持ってきたね。いいね話し合おうと承認。


サシマさんは職場からタイミングよく電話がかかってきて、一時離席。

その間にミッキーさんからサシマさんは何かあったんですか?(いろいろ噛み付いてくるから)と質問


サシマさんの話をヤギさんトバさんがはじめる。

サシマさんは頑張り過ぎちゃう人なんだ。
仕事をなんでも引き受けてしまうサシマさん。事務や調整の仕事をしているという。
社会的支援の仕事もしていたという。ヤギさんトバさんがサシマさんに感謝の気持ちと、なんでもやってもらっていて悪かったと後悔の気持ちを述べる。

(筆者が、サシマさんは、「断る力」がない、周囲に依頼されると断れない受動型ASDっぽいと感じたところ。最初は頑張って仕事をこなしていても、なぜ自分だけこんなにしているんだと気付くと癇癪を起こす周囲に敵意を向ける。または仕事そのものが能力をオーバーして癇癪を起こすより前にぶっ倒れて、うつ病や適応障害になるパターンもある。最悪、入院になることも)





サシマさんが戻ってくる。

サシマさんが言うには「施設の利用者が亡くなった」がよくあることなので、すぐに向かう必要はないとはなしている。



―――改めてミッキーさんの質問に戻る

ミッキーさんは吃音を治したくないとヤギさんが発言したこと、どうしたらその考えにたどり着くのか知りたい。


ヤギさんは言う。
吃音は今のところ、治す方法はないし原因も不明なんだ。
それを治したい治したいと思うのは辛いことだと思う。
自分を否定することだと思うんだ。


ミッキーさんは言う。
じゃあ治す方法がないから、寧ろ治らないほうがいいって思うことにしているんですか?


ヤギさんは言う。
いやーその。どういうふうにいえばいいのかな。
例えば、ハゲとか顔がよくないとかコンプレックスになったりすこともある。
でも、だからといってみんながみんな整形手術やカツラを利用することはない。
受け入れる人もいるじゃん。


ミッキーさんは言う。
吃音はハゲや不細工と同じようなものだということですか?


ヤギさんは言う。
いや、そういうとちょっと乱暴な言い方だけど。
どうしようもないコンプレックスって開き直るしかないじゃない。
受け入れるっていうか、気にしないっていうのが1番なんじゃないのかな。
吃音は気にしなくなるよと症状も軽くなると言うし。


ミッキーさんは言う。
吃音は気にしなくなると、軽くなる?改善するのですか?


トガワさんは言う。
吃音はどうしても治さなければいけない、吃音が劣ったものだと、吃音に対する否定的な認知や感情を修正することで、吃音を改善する方法はたしかにありますね。


ちょっといいですか?? コイワさんは言う。
私はヤギさんの意見に全く共感できません。
私は吃音により学校でも会社でも対人関係でものすごい苦労をしてきました。
だから吃音は個性だという考え方は受け入れられません。
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)


ヤギさんは言う。
そういわれるとちょっと厳しいなぁ。

コイワさんは言う。
人とうまくコミュニケーションしたいというのは当たり前の気持ちです。
研究者の人には、ぜひ、吃音を治す方法も研究してほしいと思います。

また、吃音者が望めば、誰でも障害者手帳を取得できるようにこれからも社会的な運動をはじめなければならないと考えています。



―――吃音は障害なのか?
ミッキーさんから質問

吃音は障害なのですか?
たしかに吃音は治したい。治したいと思うのは当たり前の気持ち。
でも、吃音者が障害者というのは何か変な感じがする。



トバさん。
なるほど、吃音が障害か障害ではないか? どうなんですかトガワさん。


トガワさんは言う。
うーんそうですね。
難しいですね。
もちろん当事者が障害か個性かとらえるのはその人の自由です。
ただ、実際はどこかで線引をしないと医療や社会保障の対象にならない。
医学的な見地だと流暢性障害という分類されています。
そういった意味では障害に含まれると思います。



コイワさんは言う。
吃音は障害ですよ。
吃音で障害者手帳を持っている人もいます。
でも、それはとても限られています。その状況は改善しないといけません。
手帳がないと支援をすぐに受けられませんからね。


ミッキーさんは言う。
でも支援、支援って言いますけど。
吃音って別に車椅子とか点字ブロックが必要なわけじゃないし。
どう助けてほしいかわからない…。


コイワさんは言う。
いま、1番問題なのは新卒の就職活動です。
新卒採用でもっとも重視されるのはコミュニケーション能力です。
XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
だから吃音は障害だと受け入れて、障害者雇用枠を利用できる選択肢を増やさないといけない。


ヤギさんは言う。
あのーちょっといい?
吃音があるからって必ずしもコミュニケーション能力が低いとはいえないんじゃない?
田中角栄だって吃音をもっていて、吃りながらめちゃくちゃ演説がうまい人もいるし。


コイワさんは言う。
そういう人はそれでいいですよ。
私が言っているのは社会生活で困っている人のことです。
障害者手帳を取得できるようにしておかないといけないですよ。

ヤギさんは言う。
でもさ、手帳を取得することではなくて、吃音を持ちながらどうやって前向きに生きていくことのほうが大事だと思う―。



ミッキーさんは言う。
症状が軽い人はどうすればいいですか?見られてしまう人はどうしたらいいですか?
僕はいま話せていますけど。
手帳とかは無理だと思うのです。
障害者手帳を取得できない人はどうしたらいいですか?


トバさん。
サシマさん詳しいですよね。お願いします。


サシマさん。
トバさんだって詳しいでしょ。別に俺にふらなくても大丈夫でしょ。


トバさん。
私がこたえます。
2016年4月に障害者差別解消法が施行されました。
障害をもっている人(筆者補足 障害に限らず難病も)が何か困りごとがあるときに申し出れば
役所やお店は過剰な負担にならない範囲でちゃんと対応をしないといけないという法律なんだ。
合理的配慮というんだ。



ミッキーさん。
それは吃音者にも当てはまるんですか?

トバさん。
ええ、この法律は障害者手帳所持の有無はとわないんだ。

ミッキーさん。
吃音への配慮はどういうものが?

トバさん。
たとえば、筆談の対応。人口音声の利用を認めるとか、挨拶ができなくても怒らないとか。
まぁ、吃音者への合理的配慮が過剰な負担になるとは考えにくいからちゃんと配慮してもらえると思います。

ミッキーさん。
でも筆談とかって、話さないように済むっていうするってこと?

ヤギさん。
筆談って話さないよう済むようににすること。そうじゃなくて吃りながら、話すことを諦めないことがとても大切なことなんじゃないの?


コイワさん。
いや、だから。そういう配慮を受けたいかは、個別の対話で決めることで。第三者が決めることではないですよ。

ヤギさん。
でもそれでいいのかな?人それぞれってことで、みたいにまかせてしまった。
吃音だから、話すことから逃げるのはよくないことだと思う。


ミッキーさん。
でも、そんな風に配慮してほしいとか、特別扱いしてほしいってなかなか言いにくいですよね。
僕はできれば周囲に自分が吃音だと知られたくないです。


トバさん。
配慮を受けるために、カミングアウトしなければいけないのは大きな問題ですよね。

コイワさん。
でもそれは仕方ないですよね。
吃音が障害者と思われたくないという感情は、ある意味「障害者」を差別に加担していることです。


ヤギさん。
僕は吃音者は障害者なのかな?って思うけどね。
障害者というほどの重い障害ではないと思う。

ミッキーさん。
喋るのが苦手なのにしゃべらないといけない。矛盾していませんか?
そもそも吃音者が抱える困難って急に頼んでもしかたないことが多いと感じる。

バカにしないでほしいというのはありますけど。基本的に周りのひとは何もできないですし。寧ろ何もしないでほしいと…。

そもそも人口音声とか筆談とかしゃべらないっていう選択肢を希望するでしょうか?


???さん
トガワさんどうですか?


トガワさん
え???私??


ヤギさん
いやーやっぱり僕はね。
吃音は社会で取り組むべき問題なのかな?って思うよ。
障害というのはあんまりよくないと思うよ。
実際にいままでほとんどの吃音者は障害者手帳なんてなくても吃音をうまくやってきたと思うけどな。


コイワさん。
ヤギさんは吃音は障害と認めながら、吃音をXXXXX(筆者 聞き取り不能)
吃音は個性的なものだけど、障害はXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
やっぱり他の障害者に対する差別なんじゃないですか?

ヤギさん。
で、でもさ、筆談や人口音声を使うのは、自分の身体を否定していることになる。
吃音を含めて自分なんだから。
やっぱり障害だといって障害者手帳に頼るのはあんまり良いことではないと思うよ。どうやって吃音と上手く付き合っていくかが大事だと。


コイワさん。
ヤギさんみたいな人がいるから。ダメなんですよ。
みんながみんな前をむくことができるかはわかりません。困っている人もいるんです。


サシマさん 癇癪を起こす
(俳優の藤原竜也さんが演じる「゛」濁点が全てにつくような話し方になる)

うううう!!!!!
め めんどくさいんだよ

なおすとか なおさないとか ぜんぶ どうでもいい

いつまで こんな 小さな意見をグチグチとさ。周囲からみたら滑稽だよ。

びびょびょびょびょ 

平等とか対話だとか、そもそも全然対等じゃないし。

今日だって話している人はいつも同じ人だし。

今日だってイヌイシさんは全然話していないじゃないか。


そそそそそs コイワさんあんたのいっていることがくだらないから。

障害者に対する差別ってあんたがしていることじゃないのか?



コイワさん

ん゛は゛ぁ???

私はXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)
困りごとを持っている人が少しでも生きやすいように。


サシマさん
相模原事件の被害者の人たちはどうでもいいというのか
俺は介護職員だからあの事件はとてもショックだった。
全国大会であの事件を考えようとする吃音者いなかったんだ。
コイワさんあんたもそうだ。吃音で悩んで自殺した看護師のことを取り上げても、障害を理由に無残に殺された人のことを取り上げようとしなかった。


コイワさん
それの何がいけないのですか?
私のかかわる、当事者として自分たちの声を発表することの何がいけないのですか?


サシマさん
あんたは被害者の人たちは自分たちじゃないと思っているんだ。
自分たちとは関係のない人達がころされた。
障害をもった自分たちと違う特別な人が殺されたと思っているんだ!
どどど誰もが年を取れば施設に入れるかもしれない。
俺はこの吃音の世界の欺瞞っていうかさそういのに飽き飽きしたんだ。
言いたいやつが自分のいいたいことを言って。
声の小さいやつに仕事をおしつけて。

まぁ。もう俺には関係ないから、あとは好きにやってくれ。



―――サシマさん会場から去る
そこをイヌイシさんが止める。

ぼぼぼぼぼくは吃音で
か かか かか か からかわれて
わ わ わっ わ笑われてずっとひとりぼっちでした。
ぼくもこんな連中の話なんて聞いてやるもんかってずっと

こ こ こ こ こ 心を閉ざしていました。

で でもこのムゲンカイに参加して、サシマさんが話を聞いてくれた。

本当にうれしかったです。



トバさん
そういえば僕もそうでした。
吃音で話せることができなくて。そんなときにサシマさんに誘ってもらったんです。



イヌイシさん
それから周囲の人達に
ちょっと話せるようになりました。自分では無理だとおもっていたけど、街コンとか参加できるようになりました。
サシマさんにやめてほしくない。もっとサシマさんと話がしたい。だから こ こ こ こ ここにいてください。



―――サシマさんはそのまま会場を去る



トガワさん
あ、あの私もいいですか?
父親が吃音といいました。
これまでほとんど父親と話してこなかったです。家庭内別居で暴力をふるいました。
それから父親は家のなかでいない人扱いして、ほとんど会話をせずにすごしてきました。

そして色々あって、このムゲンカイに来て、この会をとおしてみなさんと話して、最近になって
他人と話せるようになったんです。


コイワさん
あのーいいですか?
僕には言葉を話すときに壁が2つあります。
吃音の壁と日本語の壁です。

母国語ではない言葉でコミュニケーションする感じとよく似ているなと思うんですけど。



????さん
ああなるほど。僕も東北出身なんですよ。標準語になおして話すときに、吃音の言い換えとかXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)


コイワさん
なんていうかな
吃音があると吃音がある人とXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX(筆者 聞き取り不能)

トバさん
ちょ!!
ちょっといいですか??


ヤギさん
おやおや。トバくんも意見かなぁ


トバさん
もう時間ですよ。後の予約の人もいるし帰りましょう。
このあとみなさんと渋谷のイタリアンのお店にいきまよう。

トガワさん
ヤギさん ヤギさん今度実験に参加してもらえないですか?

コイワさん
みんなの写真を撮影していいですか?


トバさん

あぁ。いいですよーーー。



ここで藤原さくらさんの楽曲。

終劇









2016年11月13日日曜日

【保護者必見】吃音の子どもを育てる立場の人はどうしたらいいのか?どうやって合理的配慮を発動する? 保護者に向けたガイドライン

【随時更新】この記事は長文です。自宅など、時間がある落ち着いた場所でご覧ください。

吃音の子どもがいるお父さん、お母さん、そして家族のみなさんへ。
吃音の情報が溢れておりどうしたらいいのか?と混乱している場合もあるでしょう。

先に結論を書きます。

吃音業界には正式な「親の会」がありません。2019年現在、なんとなく保護者の会、親の会ができつつありますが、吃音至上主義思想を持つ医療従事者を講師に招いたり、吃音と発達障害とは異なるという、障害種別差別や吃音と他の障害や病気の子どもや保護者との壁をつくるべき、分断するべく行動をする場合などを含めこれらを平然と行う事例もあります。くれぐれも吃音のあるお子さん、保護者の方が、吃音以外の障害や病気を持った子ども、当事者、その家族を差別するような価値観を持つことがないように慎重になってほしいと思います。XX障害はかわいそう。吃音はかわいそうじゃない。障害者は施設に居るべき。地域に来てほしくないなどの差別の心をもつようになれば、それはいずれ吃音者にも家族にも返ってきます。

通常、そのほかの発達障害であれば当事者も親も保護者も支援者も医療従事者も全て1つの団体に参加して活動しています。それにより当事者の年齢に合わせたライフステージに合わせた困りごとの相談、それを解決するにはどうするか、障害について専門家を呼び勉強会、子どものためのイベント、親のためのイベント、毎年自治体や議員に要望要請文書を送る、障害のこと世間に向けて情報発信、誤った情報が報道された場合訂正を求める、などなどが行われます。

しかし吃音業界の親の会は、日本各地に分散していたり、吃音の派閥抗争に親自身がすでに巻き込まれており障害者認定反対の親の会などもあり敵愾心が生まれてしまい協力ができないという状況もあります。まず、吃音業界は、行政や議員、議会に要望要請を送ることができる「しっかりとした団体」を起ち上げることがスタートになります。2017年現在親、保護者が子どもの吃音で悩んでいることは残念なことに19XX年からずっと存在します、すでに起きた不幸なこと不都合なこと不利益をうけたこと、保護者の悩みが2017年でも同じ経験が後輩の親、保護者に発生しているのです。これが吃音業界に親の会が存在しない故の課題になります。親の会があり情報共有やこの場合はこうするという経験や情報の蓄積、病院を各都道府県に最低1つ設置してほしい、学校で子どもにこういった合理的配慮をしてほしい。などなどを19XX年当時の親達が声をあげていれば、2017年の親保護者が子どもが辛い思いやぐるぐる思考に陥ることはなかったのです。
(吃音以外の発達障害のある子どもの親の会、保護者や支援者が参加する団体では情報の引き継ぎ、サバイバル術、ハウツー、Q&Aがしっかり存在しており、過去に経験したことを避けるための術を知っています。そのために、親の会、保護者同士が団結して、学校や教育行政、医療機関、障害福祉課など、行政との粘り強い交渉や要望要請をしているのです。吃音の親の会はこういったことができないのです。今の世代が経験した辛いこと嫌なことを未来の世代に経験させないぞ!という価値観がまだ育っていません)


その他の発達障害団体であれば親の会がしっかり機能しているため、まずは吃音を治せるようにしましょう。いまある最高の病院にいきましょう。それで治ればそこで終わりにしましょう。でも、子どもの吃音が継続してしまうなら、他の選択肢、道を考えましょう。吃音で不利益や不都合なことが多いならこんな合理的配慮や社会保障制度がありますから、一緒に考えましょうと、先輩の親や保護者が医療従事者や支援者と一緒に、悩んでいる後輩のお父さんお母さんのソーシャルワークをしてくれるわけです。

これが2017年現在でも吃音業界には存在しないのです。
親の会をなんとかして起ち上げるしかありません。
単独で親の会を起ち上げるより、先に存在している、吃音の団体と協力するほうがよいでしょう。吃音業界は事あるごとに喧嘩、主義主張の違いで分裂していますが、これ以上分裂しても意味はありません。

また、もしもこの記事を見ているお父さん、お母さんのお子さんに吃音以外に発達障害がある場合は吃音業界の当事者団体や親の会以外にも、発達障害児者の団体に参加することを強くすすめます。たとえば東京にお住まいならNPO法人東京都自閉症協会がよいでしょう。吃音業界が持っていないもの、失ってしまったものを全て持っている団体です。当事者、親・保護者、支援者、医療従事者、福祉職従事者、教員、大学教員、議員、行政職員などとのパイプもしっかりあります。地方自治体、行政への意見提出、いざというときに当事者の人権を守る活動もしています。吃音業界のように障害種別や障害程度によって上下関係やヒエラルキーはなく、ライフステージに合わせて、困りごとに応じて丁寧に助けてくれます。情報交換もできます。吃音業界のように派閥抗争もないので安心安全な運営がされています。

繰り返しになりますが、吃音業界が何か変だな? なんでこんなに立ち位置や位置づけにこだわるの? 吃音業界ってそこに参加できている人だけの運営じゃない? 参加できなくて困っている人がいるという視点をなくしている? 吃音のある子どもの親の会、保護者の会に参加したけど「何か他の障害者、精神障害や発達障害のある人やその家族を差別する発言が平然とでてくる。吃音当事者のほうが位が高い偉い優秀だ頭の回転が早い、吃音当事者は彼らと一緒になってはいけない。一緒だと思われてはいけない。精神障害や発達障害のある人はかわいそうだと教えられた。発達障害のある人は内的心理的問題を持った人だと差別発言をしている人が理事や運営に所属しているぞ。おかしいな。変だぞ」などということもあるかもしれません。 などなどの異変や違和感を感じた場合は発達障害業界の団体にも顔をだしてみましょう。発達障害のある子どもの親の会、保護者会、当事者の会などがあります。いろいろな会に行ってみることをオススメします。




インターネットでもありとあらゆる情報が氾濫しています。
中には不正確な情報やコンプレックス商法といわれる商売や情報だけを売りつける情報商材なども存在します。

さらに吃音業界が特殊なのは、「吃音者の派閥抗争」です。
吃音が障害か?障害ではないか?
障害者はかわいそう・可哀想な存在であり、吃音の子どもは障害者ではありませんよ。
吃音を治そうとしてはいけません。病院にいってもいけません。
吃音はできるかぎり訓練して治すべき。良い状態を保つほうが、人生の機会損失を回避できるかもしれないよ。
吃音をカミングアウトするのか?しないのか?
堂々と吃るのか?吃らないのか?
吃らない話し方を、テクニックを身につけるのか?
吃音も他の障害者のように公的な社会保障制度を利用するのか?しないのか?

情報の洪水です。
【必読】はじめて吃音を知った人へ 吃音・吃音業界と関わる上で絶対に知っておくべきこと 大切な吃音ガイドライン
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html
2016年11月27日 東大スタタリングが駒場祭で吃音をテーマに演劇を披露 その内容はセルフヘルプの限界を指摘するものだった
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/11/20161127.html
吃音者や吃音当事者の家族にはレイシスト(差別主義者)がいる? 吃音を病気や障害と認められない人々の実態とは? そのワケ
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/07/blog-post_10.html
【保護者必見】吃音者、吃音の子ども、病院にいくタイミングとは 障害者手帳を取得するタイミングとは デメリットは何?初診日問題について
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/12/blog-post_10.html

お父さんお母さん、家族全員いったいどうしたら良いのかわからないでしょう。
吃音業界の派閥抗争に巻き込まれないこと、心酔しない、一步ひいてサードパーソン視点・第三者視点から落ち着いて観察するスキルを身に着けないとなりません。

吃音当事者の先輩や吃音当事者学生の話を聞いて、自分の子どもも大丈夫だと安易に判断しないこと。お父さんお母さんが働く企業団体などでも本当にそれが通用するのか? 自ら調べることも重要になってきます。吃音のある当事者が「私は吃音があっても全然平気です。大丈夫です。幸せです!」という発言をしている場合がありますが。それはその当事者だから成立しているのです。特に気になるのは、成功していると体験を発表する吃音者は『所属する組織、会社名や団体名』を公表しているの? という部分です。本当に吃音に寛容な企業団体があるなら、その名称を広く公開してほしいところです。もしも公開していないならば、公開できない理由があるということになります。

吃音のある子どものお父さん、お母さんが働く職場でも、所属する組織の人事部が「吃音は障害じゃないよ。一般枠で採用するよ!」というのか。「いや、できれば障害者手帳を持っていてほしい」というのか。様々だと思います。


―――吃音業界の情報だけではなく、発達障害業界やその他の社会的障壁のある人の業界のことも知ろう

また、吃音業界の関係者だけではなく、他の障害のある子どもの親との交流ができるならば、それをしたほうが価値観が広がります。吃音のある子どもには自閉症スペクトラムやADHDや学習障害を持っている人もいるはずなのに、その事すら早期療育できる時期を逃してしまうことになります。もちろんそういった団体に参加しないように!とすでに参加している親の会、つどい、グループから命令もあるかもしれません…。

吃音を生きる、吃音とともに豊かに生きる、吃音を持ったまま豊かに生きるというのは、もう自分は困っていないし関係ないと思考停止することではありません。

吃音者が困っていることは、他の障害や病気の人にも共通点が多いのです。吃音の障害者認定反対派の主義主張に染まってしまい、その問題から逃げる。目をそらす。私のところは吃音だけだから関係ない。ということになってほしくないのです。

後述しますが初診日問題は吃音の子ども、一般に言われる発達障害の子ども、それ以外の人もみな全員経験することです。だからこそ、吃音はあなた達とは違うから、選ばれた民だからと見て見ぬふりをせずに一緒に協力することも大切になります。

吃音業界と接点を持つということは、ある意味、お父さん、お母さんの人間性が試されると思ったほうがいいかもしれませんね。




1. 吃音は障害か?個性か?社会保障制度は必要ないのか?
この問題は吃音業界では永遠のテーマです。
さて、吃音が障害と決めるのは誰でしょうか?

発達障害の当事者研究を行っている、熊谷晋一郎医師東京大学先端科学技術研究センター准教授の講演会や勉強会で説明される例を紹介します。

※熊谷晋一郎氏の情報
http://www.petitspoissons.com/ped/Int-34J.html

http://todai-umeet.com/article/14570/

「吃音ワークショップ2016in埼玉」(埼玉言友会、NPO法人全国言友会連絡協議会主催)にて講演
http://mainichi.jp/articles/20160918/k00/00m/040/033000c


熊谷氏は「障害とは、障害者個人の中にあるものではなく、世間一般の普通と呼ばれる多数派の人の作ったルールに当てはまらない人」という説明を講演会でよく話します。

障害はインペアメントではなくディスアビリティだというのです。
なんらかの障害が当事者にあり、それが原因で社会参加できないから、普通と言われる健常者の普通に合わせた世界に溶け込むために血の滲むような努力や訓練、手術や服薬などありとあらゆる手段で「普通」に近づかないといけない?

なぜ、障害当事者側はそこまでして頑張らないといけないのでしょうか?
というのが問題として指摘されます。でもそれはおかしいじゃないですか?
社会の側の法律やルール、慣習、道具が変化すればいいのじゃないかというのです。

むしろ、障害当事者が障害と感じないように、多数派が社会の側がもっと包摂するべきではないかといった内容です。


ただ、やはり、0地点から100地点まで急にワープできないように。
1ミリ1ミリ、亀のような歩みで社会に向けた情報発信や障害当事者側と社会の多数派側との対話により歩み寄ることが大切でもあるといいます。

理想の社会に近づくにはスモールステップアップが必要です。
将来、何年後何百年後になるかわかりませんが、障害者手帳という制度そのものが消滅する日がくるかもしれません。


吃音が障害か?障害ではないか?
この問題について他の視点も必要です。
一冊の書籍があります。 『障害を持つ息子へ ~息子よ。そのままで、いい。~ | 神戸 金史』
これを読んでほしいと思います。親の心、内に秘めたる優生思想や相模原殺傷事件のことが扱われています。


2. 吃音の場合はどうなる? 吃音のことを本当はどう思っていますか?
吃音の子どものお父さん、お母さんは、正直、自分の子どもが吃音だとわかるまで。人生で出会った言葉が上手く話せない人、失礼な物言いをする人をどう思っていましたか?
(またはお父さん、お母さん、祖父母、親類縁者の中に吃音者がいる場合もありますが)

お父さんお母さんが出会い結婚する以前。そして子どもが吃音になっていなければ、または子どもが誕生する前はこのような感情はありませんでしたか?

・お店の従業員や駅員さん、接客業の人が言葉遣いを間違えた。いらっしゃいませを言わない。ありがとうございましたを言わない。敬語を使わない。目を見て話さない。発話がおかしい。発話と同時に唾液を飛ばしてくる。
→ムカツク
→この会社は大丈夫なのか?従業員に研修しているのか?
→なぜ、社名、名前、所属を名乗らないのか?
→この人と話すとイライラする
→なぜ主語がないのか?
→敬語使わないなんて人間として終わっている
→お客様センターに苦情を入れてやる クビにすべきだ
→こんな簡単な常識すら持っていないのか?この従業員は?
→上手く話せないなら、話さなくて良い職業を選べばいいのに
→話す時の顔が気持ち悪い
→こんな変な喋り方をヤツに自分の子どもの結婚相手になんかしたくないな(笑)

お父さん、お母さん、本当はこのような気持ちがありませんでしたか?
もしかしたら、その相手の人は『吃音』だったのかもしれません。
今後、このような経験を『お子さん』が体験する可能性もあります。


吃音も吃音者自身、または吃音遺伝子を持っているかもしれないお父さん、お母さん、祖父母、親類縁者のせいではありません。吃音という話し方の特性が、現在の日本の「普通」、「健常者のルール」に当てはまっていないことが問題点です。

本来は社会の側が、吃音者のその話し方吃り方、吃ることによって失礼な話し方もあるかもしれない。けれども、そこを気にしないというのが大切です。しかし現時点の日本社会はコミュニケーション社会、コミュニケーション社会(礼儀、過剰接客など含む)新卒学生の就職活動でもこれが最重要視されています。吃音の子どもの保護者は、社会の側の認識を変化させることも心の中にしまっておいてほしいのです。そして1ミリでもいいのでそれに立ち向かって、100年後なのかいつの時代になるかわかりませんが。未来世代の吃音者のために行動する気持ちも忘れないでほしいのです。もちろんその際は吃音だけではなく、ありとあらゆる障害者、難病者、社会的障壁を持つ人々と連携することも大切になります。


3. 保護者のみなさんの働く場所、雇用されている団体組織は吃音者を許しますか?
繰り返し何度も書きます。それほど重要な事柄です。


この問題も、先ほどの説明、吃音のあったかもしれない従業員問題と共通します。
お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさん、親類縁者のみなさんが働いている団体は『どもる人を許しますか?』

人事部の人にこのように質問してみましょう。
『最近さ、吃音っていう障害がニュースや新聞、ドラマにでてくるじゃん。こういう人がウチの会社に就職活動で応募してきたら採用する? 不採用?』

お父さん、お母さんが人事部で働いていれば、もっと凄い情報を知っているはずです。
最近、発達障害者を採用時に発見する試験や面接方法が販売されています。それを就職試験のときに紛れ込ませたり、故意に発達障害者が罠に落ちるような面接方法をとる場合もありますよね。(障害者差別解消法が2016春に施行されてからは、人事業界内部でのみ広報されていますのであまり一般には出てきません。2016年発達障害者支援法が改正になりました。この障害者あぶり出しについても指摘があり、今後の改正や差別解消法などで壊滅させる方向になるでしょう)

この原因の1つに、発達障害者を診断するための医学書が一般人も読める状態になっていることです。DSM5というアメリカ精神医学会の診断基準は図書館でも読めます。どのような人が障害を持っているのか?障害が表面化するのか?

それが分かれば、それをあぶり出すためにどのような重圧をかけるか、作業をやらせればいいのか?を逆に考えることができてしまうのです。

吃音の場合は「話せば吃れば即死」するので、一般に言われる発達障害者のように訓練やソーシャルスキルトレーニングなどで普通を装うことができないことも課題と言えば課題です。(一般に言われる発達障害者は診断や障害者手帳を持っていても会社にカミングアウトせずに一般枠で働く人もいます。)

べてるの家、向谷地氏が過去にこのような就職活動で利用できる手法を監修していました。
http://matome.naver.jp/odai/2145136262246904801

ここが1番1番、お父さん、お母さんが衝撃を受ける場所です。
2016年現在、官民問わず大半の企業団体は『不採用ですね』と回答します。
『障害受容をしていて障害者手帳を持っているなら障害者枠で採用する』と回答する場合もあります。

自営業や吃音や吃音以外の社会的障壁が問題にならない業界であればそうではない場合もあります。が、しかし、大半は、『自分の子どもも、自分と同じように普通に育って、大学まで行って、ストレート留年無し新卒で正社員として就職して、自分と同じだけ稼いで、結婚して、幸せになり孫を見せてくれるんだ』とお父さん、お母さんは考えるわけです。しかしサラリーマンは難しいかもしれません。

お父さん、お母さんは吃音があったかもしれない従業員問題とご自身の所属する団体が吃音者を排除するという事実、この2つを経験し、【子どもの吃音を完治させなければいけない】と考えるようになります。

場合によっては吃音とか障害そのものが恥であると価値観をお父さん、お母さんが子ども時代にご両親や周囲の社会から教え込まれて、その価値観になっていると、まずはお父さん、お母さんの精神的な治療が必要な場合もありますが…。

例えば、ダウン症は気持ち悪いとか、ハンセン病は気持ち悪いとか、ユニークフェイスの人は気持ち悪いとか、そのような刷り込みがお父さん、お母さんの育った環境で当たり前であれば、本当にまずお父さんお母さんが価値観を改めないといけないでしょう。


4. 子どもが吃音だとわかってから 次のステップ

・病院探し
・吃音について書かれている書籍を集める
・吃音者の親の会や当事者団体への参加
・吃音業界の主義主張の刷り込み
・成功している、社会的に居場所のある吃音者の大人たちだけを見て、自分の子どもも必ず将来同じ道を歩むことができるという勘違い
・運良く大人になってから消失するタイプだった吃音者と自分の子どもが治らないタイプだったときの衝撃
・子どもが新卒就職活動をし、失敗したときになって、やはり『絶対に吃ってはいけない場合が日本社会にはある』と大混乱する場合
・ウチの子どもの吃音は心配だ。子どものために財産や不動産を残そう。
私達が亡くなっても、生きていけるように


吃音の子どものお父さん、お母さんはたくさんたくさん吃音のことを調べます。
そして、色々な情報を取捨選択しなければいけない状況になります。
吃音を持つ子どもが一方向の価値観を持たないように、状況に応じて臨機応変に対応できるように子育てもしないといけません。いろいろな武器を持つことは現時点、2016年現在の日本では必要です。刀剣1つの武器ではなく、状況に応じて使うことができるようにしておくことが大切なのです。カメレオンのように乗り切るのです。

そして、吃音観の主義主張を変化させることは恥ではないということです。


5. 吃音は純粋吃音者、一般に言われる発達障害も持っている吃音者もいる
ここも重要な部分です。
一般に言われる発達障害である。自閉症スペクトラム、注意欠如多動性障害、学習障害、チック、トゥレット、発達性協調運動障害などと一緒に吃音がある人がいます。


発達障害者の当事者団体を訪問すれば、吃音の人も所属しています。
逆に吃音者の当事者団体や小中高生を集めたつどいなどにも、「この人は、この子どもは吃音だけではないよな。他の発達障害もあるように思える」という人が所属しています。

ただ、前者は障害受容ができている人が多い印象です。
後者の例、吃音者は障害受容がなかなかできない人が多いです。

例えば、発達障害児者でも利用している当事者研究やアサーティブ、レジリエンス、ABA、アドラー心理学、認知行動療法、マインドフルネス、演劇、子どものつどいで成功体験やいろいろな経験を積む、といったものは、何故か吃音業界でも採用され利用しています。しかし、一方で吃音は障害ではありませんと教えてしまう団体もいるので不思議なことです。吃音は障害ではないと教え込む教典があるのに、障害のある子どもが利用する療育を吃音の子どもに行わせているという矛盾…。これは不思議なことです。

発達障害はかわいそうだとか、障害者はかわいそう、難病の人はかわいそう、社会的障壁のある人はかわいそう、吃音が発達障害者支援法に入っていることは認めない、吃音は障害ではない。こう主張する人たちほど、とても不思議なことに先に述べたようにその人達の集団で利用している書籍や療育手法や訓練方法や事例を利用している現実があります。矛盾ですよね。



お父さん、お母さんの子どもは吃音だけなのか?
他にも障害があるのか?
ここも疑ったほうがいいでしょう。

吃音以外にも障害があるなら、早期発見早期療育は本当に大切です。
脳がどんどん成長しているときに適切な医療や訓練や、特性に合わせた勉強や静かな落ちついた環境が用意できれば子どもはみるみるうちに成長します。

障害者認定反対派の吃音当事者会や親の会に所属しつつ、その時はその場の話に合わせつつ、発達障害の子どものをもつ親の会などにも所属したほうがよいでしょう。臨機応変に対応しましょう。

障害者認定反対派の吃音当事者会や親の会で使う教科書や発達障害の子どもの教育について書かれた本などをよく調べてください。筆者を調べて、その人が出入りしていそうな吃音以外の別の当事者団体を検索してみるのもよいでしょう。



6. 吃音は治るのか?
吃音が治るかどうか?
2016年でも、「吃音は原因不明で治療法はない―――」という説明がよく使われます。特に吃音の障害者認定反対派、吃音は発達障害じゃない!と主張する人ほど、『吃音は原因不明であってほしい』という願望があります…。

しかし現在は脳の神経ネットワークになんらかの違いがあることまではわかっています。

一般に言われる自閉症スペクトラムや注意欠如多動性障害、学習障害やチック、トゥレットと同じで脳神経に何らかの違いがあるのです。

吃音の場合は、脳システムの言葉を話すために活動する部分の神経発達障害だということです。
他の発達障害の場合は、感情や空気を読む、突然の衝動性、短期記憶、長期記憶、感覚過敏、感覚鈍麻、文字が読めない、書けない、身体が意識せず動く、同時並行作業が困難などなどがあります。
それが吃音の場合は「話す」ところに影響がでているのです。

2016年8月にフジテレビインターネット放送局の「ホウドウキョク」にて吃音のニュースが流れました。こちらは国立障害者リハビリテーションセンター病院で吃音外来担当、吃音の研究をしている森浩一医師が出演しています。ここで吃音が発達障害であることが明言されています。

https://www.houdoukyoku.jp/archives/0015/chapters/24712


吃音が治るかどうか?
2016年9月に日本吃音・流暢性障害学会の第四回大会が国立障害者リハビリテーションセンターを会場にして開催されました。ここでミシガン大学で吃音研究をする先生が講演を行いました。
その中で、吃音のある子どもの脳画像や、神経ネットワークの違いが説明されました。
しかし、今度は大人になると治る吃音の子どもと、大人になってからも継続する子どものことがわからないので、今後研究をしていくと話していました。

繰り返しになりますが「吃音は原因不明で治療法はない―――」という説明はもう過去のものです。



大会(9月2日〜3日)
招待講演: Anomalous brain connectivity in children with persistent developmental stuttering (発達性吃音が持続する小児の脳内接続の異常)
 Soo-Eun Chang, PhD CCC-SLP(University of Michigan, Assistant Professor)
 ※ 講演は英語ですが、スライドには日本語訳がつけてあり、日本語の逐語訳がつきます。
https://meeting2016.jssfd.org/program/

7. 吃音が発達障害者支援法に入っていたこと、2014年7月に事実上、公になったとは言いますが…

吃音業界では2014年7月を境にして「吃音が2005年から発達障害者支援法に最初から含まれていたことがわかった」と言っています。

しかし本当にこれは真実でしょうか?

「一般社団法人 日本発達障害ネットワーク(通称 JDDネット)」という個々の発達障害者の団体が団結している組織があります。

http://jddnet.jp/

この組織には過去に【全国ことばを育む親の会(現在は名称が NPO法人 全国ことばを育む会 )】が所属していました。
現在はJDDネットから退会しています。

3 日本発達障害ネットワーク(JDDネット)の概要
12月3日、成蹊大学で設立協議員総会を開催し、会則の制定、役員の選任、活動方針案等を採択した。当日、第1回理事会を開催し、正会員(全国団体)として日本LD学会、日本自閉症スペクトラム学会、日本臨床心理士会、全国ことばを育む親の会の4団体、エリア会員(地方団体)として、NPO法人おひさまクラブ等28団体の加盟が承認され、設立当初の参加団体は、発起団体も含め37団体となった。また、日本児童青年精神医学会、日本作業療法士協会等から理事をご推薦いただくことができた。
これにより、当事者団体・学会・職能団体によるネットワーク、教育・医療・労働・福祉を網羅するネットワーク、全国団体・エリア団体を超えたネットワークというすべての条件を最低限備えたネットワークとしてスタートすることができた。
当面の活動としては、都道府県単位のエリア活動の組成、会報の発行等による会員団体相互の交流・情報交換、特別支援教育や発達障害者支援への取り組み状況調査、発達障害に関する理解啓発活動、他の研究機関や参加団体と協力した発達障害児者の実態調査、実態把握のためのスクリーニング・ツールなどの検討、人材育成のためのセミナーなどの実施などを計画している。
※DINFの記事 「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年1月号
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n294/n294016.html

※厚生労働省の資料にも全国ことばを育む親の会が掲載されています
一般社団法人日本言語聴覚士協会も2008年頃から2016年現在JDDネットに加盟しています
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/09/dl/s0924-11c.pdf



なんと!!

吃音業界の団体がJDDネットに加盟していたのです。


にもかかわらず


なぜ、吃音が発達障害者支援法に含まれていること、障害者手帳も取得できること、障害者の人権を守ること、配慮を求めること、障害者枠で働けること、社会保障制度を利用できることが周知徹底されていなかったのでしょうか?

もしも2005年から吃音が発達障害者支援法に定義されていることが周知されていれば、吃音を苦にした自殺、いじめ、不登校、進学を諦めることによる人生の機会損失、お父さんお母さんの苦悩、子どもの苦悩などなどに他の未来があったのかもしれないのです。

【全国ことばを育む親の会(現在は名称が NPO法人 全国ことばを育む会 )】はいったい何をしていたのか?一般社団法人日本言語聴覚士協会いったい何をしていたのか?

真相の究明が待たれます。
現在、吃音業界の派閥抗争を重く見た、他団体の人間が、吃音業界は「吃音が発達障害者支援法に含まれていることを2005年から知っていたことを証明する証拠を出そうか」という意見も出てきています。吃音者の不登校、自殺やひきこもり、ニートなどへの社会保障などの選択肢が見える化されていないことが非常事態であると認識されているのです。




逆に、一般に言われる発達障害者の団体は「吃音が発達障害者支援法に入っていることは知っていた」という人もいます。

2014年7月から吃音が発達障害者支援法に含まれていた

という設定は、もしかしたら間違っているのかもしれません。

吃音業界で誰か知っていたのに、黙って隠していた関係者がいるのかもしれないのです。

吃音の子どもやお父さん、お母さんも悲しい出来事や辛い悩みや経験をした人もいると思います。

でも、別の道があったのかもしれないのです。自殺した人も本当は生きているかもしれません。

今、ひきこもりをしている吃音者もいるかもしれません。

法律が周知徹底されなかったことの犠牲者はどれくらいいるのでしょうか?

8. 病院に行くことのメリット
現在、吃音を診療する病院はあまりにも少ないです。
また、吃音は保険診療できます。精神科病院であれば、自立支援医療を利用することにより医療費を所得によりますが1割負担できます。しかし、そもそも吃音は精神科では診療していないので、事実上、存在するが使えない状態です。


例えば、リッカムプログラムという治療法があると知っても、自分の子どもはすでに年齢対象外で介入時期を逃してしまう。そして、お父さんお母さんは自分自身を責め続けることもあるかもしれません。となると、吃音は障害じゃないですよーという派閥の教典が神のように思えることもあるかもしれません。

例えば、吃音を意識せずに、無意識動作として言葉を話せるようにしようと訓練するところもあります。自宅の鍵を掛けたかな?と心配になるが鍵を掛けていました。歯を磨くときの歯ブラシ、歩く時の歩き方など、麺類をすすって食べる日本独特の食べ方(外国人はできません)、普段、1から順番に確認しながら動作をしているでしょうか?していませんよね。吃音の場合もそれと同じだというのです。

例えば、軟起声という発話方法もあります。柔らかく息を吐くように言葉を発話する方法です。

その他にも吃音以外の発達障害が判明する可能性もあります。早期療育につながりますね。

病院にいくと医師が診断書や意見書を書いてくれます。これが合理的配慮を利用するときに必要になる場合もあります。


病院によって異なりますね。
それでも、病院が全都道府県に存在しないこと。
病院に行っても、「吃音は大人になれば治る、もうちょっと様子見しましょう」なんていう医師もいるので大変です。
発達障害者支援法
(専門的な医療機関の確保等)
第十九条  都道府県は、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければならない。
2  国及び地方公共団体は、前項の医療機関の相互協力を推進するとともに、同項の医療機関に対し、発達障害者の発達支援等に関する情報の提供その他必要な援助を行うものとする。
このような法律があるので、吃音当事者や保護者や関係者が協力して政治に働きかける方法もありますが、吃音業界はなかなか団結しないので困難です…。

2019年現在でも吃音を診療するという病院や医師は少ないです。
とくに吃音は幼少期のある時期に介入すれば、将来的に吃音が減る、消失するのではないかという報告もあります。しかしその「ある年齢のとき、吃音が判明してから短い期間で」吃音を診療してくれる専門病院に保護者と子どもがつながることができるのか?
保護者のお金がモノを言うようなことになってはいけないと考えます。吃音を診療する病院まで新幹線、飛行機で通院するなんて異常だと思います。北海道にいようが沖縄にいようが、均一な医療サービスを享受できなければいけません。

もしも保護者がお金がなくて、子どもにある時期に病院に通院させなかったために、吃音が一生涯継続することになったという場合も今後、保護者の中に出てくるかもしれません。次に出てくるのは「あの保護者は吃音を治すために病院にいかせなかったんだ。」という吃音が治った子どもの保護者とのマウンティングが始まるかもしれないと筆者は懸念しています。

しかし、筆者は大人になっても、新卒で社会人になる前に吃音がまだあったとしても、それは精神障害者保健福祉手帳を取得して社会参加をして良いと思います。2018年に発覚した国家公務員障害者雇用水増し問題のあとに行われた、障害者枠採用試験でも筆者のしる範囲で数名の吃音者が国家公務員になっています。2019年現在は発達障害者の雇用情勢も変化してきており、障害程度が軽度でも仕事のできる当事者なら出世していける企業団体も出てきているためです。また法定雇用率を満たせるという雇用主側との双方でウィンウィンの関係を目指すべきという就労移行支援業界の新しい流れも出てきています。新卒高校生や新卒大学生が就労移行支援事業所をもっと利用できるようにしようという動きも出てきています。

これらを考えると、別に吃音が治らなくても、しっかり法制度、社会保障制度を使い生きていくことは可能だと思います。吃音が発達障害者支援法に含まれていると発覚してしまった2014年当時よりは2019年現在の障害者雇用情勢は変化しています。


9. しかし病院に行くことのデメリットがある。これはとてつもなく大きい問題

こちらの記事も御覧ください
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/12/blog-post_10.html


2016年現在、吃音の書籍などを読むと、「気軽に病院に行ってみよう」と思わせるような記述があります。(地域によって異なるが)特別支援教育を利用するのに診断が必要な場合も、入学試験や資格試験に合理的配慮を求めるため診断書を入手するためだけに初診日がつくとトンデモナイことになります。これから書くことは一般に言われる発達障害者業界では周知されていますので、病院に連れて行かないで自分で療育するという親もいます。ただ、当事者団体には所属して情報交換はしています。発達障害を診療する医師も気軽な安易な診療について警鐘を鳴らす人もいます。

残念なことに吃音業界ではあまりにも知られていません。



病院に行くことは『初診日問題』が発動する諸刃の剣です。
初診日問題は全ての日本の障害者や難病者に共通します。
厚生年金を納付する以前に、たとえ誤診でもあっても、たとえ医師の●●科に関係なくても、患者が症状を訴え病院に初めて病院に行ったときが「初診日」になります。

・初診日は障害者年金と健康告知を必要とする商品サービスに加入できない問題に大きく影響します。

日本は法律として、いつその病気や障害を診断されたか?その日を基準にして考えるのです。
これが本当に大きな問題です。日本は国民年金と厚生年金・その他共済年金などがあります。

国民年金は障害年金が2級、1級しかありません。
厚生年金・その他は3級から1級まであります。
そして、3級とは「障害があるが配慮があれば働ける、日常生活ができる」場合の人に給付される年金です。

しかしながら、発達障害者や吃音者、知的障害者は子どものころに初診日があることが多いので、障害者手帳を持って働いていても、年金が貰えないのです。

一方で、最近、大人の発達障害というニュースが報道されることにより、厚生年金を納付しているときに運よく発達障害の初診日がある当事者は、障害者年金3級を受給しながら生活している人もいるのです。

年金事務所も障害年金はできれば払いたくないので審査もシビアで如何にして国民年金の時に初診日が存在したのか疑義を抱いてきます。通級を含む特別支援教育を利用した事実だけでも初診日がもっと昔にあるのではないかとして不支給になります。

発達障害の症状が全く同じのAさんとBさんが存在しても、片方は年金が貰えて、片方は年金が貰えないという事案が多くあります。この問題は吃音に限らず、障害や病気の垣根をこえて、法律や制度を改めるように政治に働きかけることしか解決方法はないでしょう。障害者の権利条約でも、不平等な状態は立法措置をしてでも改めなさいと書いてあります。


・健康告知を必要とする商品サービスに加入できない問題
これは住宅ローンや生命保険などです。
発達障害者や知的障害はこの問題があるため、そもそも発達障害者、知的障害者向けの保険会社が存在します。

なぜ存在するのか?それは一般のサービスだと丁寧にお断りされるからです。要は保険金を払うリスクやローンを完済しない可能性があるためです。エビリファイやコンサータ、ストラテラを服薬しているだけでも加入はできなくなります。

吃音はICD10でこのように分類されています。
精神及び行動の障害。


1 ICD10分類 > F00-F99 精神及び行動の障害 > F90-F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害 > F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害 > 

DSM5でも吃音は神経発達障害に分類されているので自動的に機械的に弾かれるだけです。ICD11でも吃音は神経発達障害となり、ASD、ADHD、LD、トゥレット症候群と同じ枠になりました。

吃音のある子どものお父さん、お母さんは「そんなバカな!」と思うでしょう。
ぜひ、勤務先にくる保険外交員さんや、仕事上のツテを利用して保険会社の人に質問してみましょう。正面のお客様センターに電話してはいけません。必ず、友人や親類縁者で保険会社に勤務している人に裏側から質問しましょう。もちろん自分の子どもが発達障害で、吃音で、なんて正直に言ってはいけません。親戚の子どもがとウソをつきましょう。

問題なのは吃音だと診断を子どものころに受けていたのに、それを隠して、サービスに申し込んだ場合です。もちろんそのサービスが提供されることはありません。払い損になります。




10. 民間療法、医師の指示がない保険診療をしない言語聴覚士クリニックの問題

・吃音は吃音を克服したとか、治したという吃音当事者の「私が治した方法」であなたを治すなどという商売があります。

これはたまたま、その人が「大人になると治る方の吃音」だっただけです。
大人になっても吃音の人はずっと吃音です。治らない吃音者は処世術やテクニックによって吃音ができるだけでないようにコントロールして乗り切っている人もいます。

この手の商売はコンプレックス商法で、治る確証もありません。お金をドブに捨てるだけです。
本当に本当に治るなら論文を発表すべきなのですが、どうしてしないのでしょうか?
協力する医師を見つけるという努力もしません。

・吃音のコンプレックス商法の他に、一般にいわれる発達障害者業界でも流行している商法があります。植物のエキスや、謎の水、謎の食品が存在します。吃音も対象になっているのでよく考えましょう。

・インターネット上の吃音を治すという情報商材(電子書籍)が販売されています。巧みな誘導で吃音当事者の書いたブログかな?と勘違いさせ購入ページに誘導する場合もあります。冷静に考えましょう。そんな簡単に吃音が治るなら、医学誌に論文掲載されているはずだ。ノーベル賞を受賞しているはずだ。世界中から吃音者は消えているはずだ。と冷静に思考してください。情報商材には購入する価値はありません。

・言語聴覚士だけのクリニックがあります。しかし日本は法律により保険診療をするには医師の指示が必要です。保険診療できるものを保険診療しないという、自由診療でお金を儲けようとするのはいけないことです。言語聴覚士法や言語聴覚士協会の倫理綱領を読んでも言語聴覚士は医師と協力すべきだと思います。

・言語聴覚士しかいない、医師免許を持った人がいない、または病院と連携していない、吃音クリニックは現在、徐々に増えています。しかしいざという時に責任問題になった場合に泣き寝入りするのは保護者です。

11. 吃音のある子どもの就職について
これは吃音者の就職に限らず、他の障害者でも同様です。
現在、発達障害の就労移行支援をしている事業者はこのように利用者に伝えます。
(これは就労移行支援事業所のスタッフが雇用する側の本音を理解しているためです)
・障害をカミングアウトするなら障害者手帳を取得して障害者枠で就職活動してください
・障害を隠せるなら絶対にカミングアウトしないならば一般枠で就職活動してください


この問題は、雇用する側の本音と建前です。
障害者差別解消法などは存在し、その際障害者手帳の有無は問わないとしていますが、やはり雇用する側は法定雇用率に計算したいのが本音。

雇用する側は現在、就職活動の応募者が自ら、障害や病気を告白してくると、理由を開示しませんが、不採用通知、貴意に添えない結果などを送付します。

2016年現在、精神障害者や発達障害者の雇用事例の勉強会や講演会では、必ず絶対に説明されること「障害受容のできた障害者、就労移行支援事業所に通所している者」を雇用すべきだと、人事部の障害者担当に説明しています。


この部分が吃音業界では、「そんなバカな話があるか」と信じない人がとても多く、新卒就職活動で吃音をカミングアウトした学生は次々と散っていきます。コネがある場合は別です。または一生に1回の新卒という資格を持っているときに、新卒障害学生向けのリクナビのようなサイトである、アットジーピーやクローバーなどを利用して就職する方法もあります。新卒の障害学生であればとても有利です。これが吃音1つの原因で新卒就活失敗して履歴書に空白期間ができると次が大変です。

仮に吃音をカミングアウトするにしても中堅社員くらいになって「キミがいないと困る状態」でないとカミングアウトはリスクの方が高いでしょう。

お父さん、お母さんもご自身の職場の人事部に確認しましょう「吃音者って雇用する?障害者手帳を持っていれば雇用するかもしれない?そもそもしない?」などを確認するのです。性善説が通用しないことがわかるでしょう。

そのため、一般に言われる発達障害者でも手帳を持っていても、発達障害があること手帳を持っていることを隠して給与の高い出世も望める一般枠で働く人もいるのです。ただ、やはり、吃音は発話した瞬間にバレるので隠すことが困難です。


現在、日本は一般枠か障害者枠しかないことが、二択しかないことがそもそも問題ですが、これも吃音者だけ、その保護者や関係者だけでは変化させるのは難しいでしょう。この構造を変化させるには吃音も含めて、いろいろな障害や病気、マイノリティと言われる人と協力しないといけないでしょう。

しかももう一つの問題は、現在、障害者枠といえば、身体障害者枠はあるのに、精神障害者枠が存在しないことがあります。特に公務員です。これも今後どのように変化するのか気をつけないといけません。かといって、民間企業もホームページの障害者向け採用ページをみると→障害者枠で働く先輩の紹介ページを見ても身体障害者ばかりなので、ここからも雇用する側の本音と建前を察することはできます…。

2019年現在、国家公務員障害者雇用水増し問題がニュースとなり、障害者雇用に精神障害者保健福祉手帳、療育手帳もしっかり入るようになりました。今後、地方にも広がっていくと思われます。地方公務員採用では「身体障害者のみ」という場合がありますが、こちらはマスコミに報道してもらうなどの方法で変化させていくしかないでしょう。またはその地方自治体の議会議員に訴えることです。

12. 吃音者が就職できない仕事はあるのか?
吃音者が就職できない仕事はあるのかどうか?
これは別記事でも書きましたが。自衛隊です。

別記事
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2017/06/q.html

自衛隊がダメなら警察や消防なども本音と建前ルールがあるかもしれません。

吃る時間が自分だけではなく、相手やお客さん、一般市民の「生命の危機」に影響を与える職業も吃音者は難しいでしょう。吃ってしまうその一秒一秒が危機につながる場合です。そう考えると銃火器など武器を使用する仕事、緊急救命医師、外科医なども吃音者には難しいかもしれません。ドクターX大門未知子が手術中に吃ってしまい看護師に指示出しが遅れる、手術時間に影響を与えたら患者が死ぬかもしれません。技術があって失敗しなくても、時間経過に勝てないのです。

警察や自衛隊が「とまれ!撃つぞ」という警告をするにしても、吃ってしまい警告する時間に影響を与えて、危機回避できない場合もあるかもしれません。先に相手に攻撃されるか逃げられるかもしれません。パトカーや消防車、救急車が「緊急車両が交差点に進入します! みなさん停止してください!」を吃ることにより発話発語できなければ、それこと緊急車両が一般車に突っ込むとか歩行者をはねることもあるかもしれません。


例えば防衛省の防衛省訓令第一号があります。航空身体検査に関する訓令です。ここでは「不合格疾患等」という項目に一般に言われる自閉症などの発達障害、吃音や気分(感情)障害や既往歴が不合格の基準として明記されています。海幕衛第8931号は海上自衛隊の身体検査です。こちらでも不合格疾患として「精神と行動の障害」、「吃音」が明記されています。陸上自衛隊達第 36―1号は陸上自衛隊の身体検査です。こちらでは具体的に吃音という項目はありませんが「脳神経・精神」の検査項目があります。
このような検査を見れば、行政職員でさえこのような基準があるなら、民間でも存在するはずだ、いや表向き存在しないとしていても裏ではあるはずだろうと思います。2013年に北海道で自殺した吃音者も警察官になりたいという夢があったとのことでしたが、どうしても面接で落ちてしまうことを繰り返したそうです。警察内部の採用活動基準については不明ですが、自衛隊でNGなら警察や消防でも難しいのではないかと思いました。
他にもこのような研究報告が独立行政法人労働政策研究・研修機構から発表されています。
吃音で困っていても、適切なソーシャルワークや、支援機関につながることができず、困難な状況に陥っているようです。


吃音の場合は、国会会議録の1966年第051回国会 社会労働委員会 第4号
昭和四十一年二月二十四日(木曜日)午前十時四十五分開議にて旧日本軍で吃音者が合言葉を言えずに殺害されそうになった例も紹介されています。

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/051/0188/05102240188004a.html


その他の職業はどうでしょうか?
障害者欠格条項をなくす会の情報だとこうなっています。
http://www.dpi-japan.org/friend/restrict/shiryo/system63.html


公務員や警察もそうですが、採用試験の面接1回目で吃音がバレるとその情報は記録されますので、次回以降は不利です。吃音者でも公務員なら差別は存在しないと勘違いし年齢制限まで公務員試験を受け続ける方がいますが、なんともいえない気持ちになります。


現在、吃音当事者は国家資格を取得して働ける仕事がベストだろうと思います。
医療従事者の国家資格がオススメです。
または理系の道に進み研究者や技術者としての道も良いだろうと思います。
芸術系、クリエイター系も良いでしょう。
フリーランス自営業もあります。
公務員もまだ可能性としてはあります。(しかし、現在、公務員試験も発達障害傾向を調べるという情報が入ってきています)


大人になって居場所がある吃音者は大体がこのような仕事をしています。
逆に、世間一般の常識や「普通」を要求される仕事は難しいです。総合職は難しいでしょう。


吃音者がアナウンサーなど喋る仕事をしたいと思っても、現在の就職活動戦線を突破できるかどうかわかりません。先輩吃音者の事例はたまたま時代がよかった。スタートラインに立つことができた時代です。現在、吃音があっても仕事ができていたという50代60代は2016年現在の就職活動を経験したことがないため参考になりません。

吃音者の就労データーベースも存在しますが。そのデーターベースの当事者は「吃音があることを人事部などにカミングアウトしているのか?」も要チェックです。多くの吃音者は吃音があるけど大丈夫とは当事者会で発言しますが、職場では全力でそれを隠蔽している場合があります。

お父さんお母さんも成人している吃音当事者が社会人として活躍している美談を聞いて涙することもあるかもしれません。しかし、その吃音当事者は「職場の人事部に吃音があることをカミングアウトして一般枠で働いているのか」確認すべきです。吃音当事者はプライドの高い人が多く、ウソの物語や美化して創作した話をする人もいます。

くどいですが、お父さん、お母さん、親戚が働いている職場が吃音者を許すかどうか?障害者手帳を持っていれば許すかどうか?その確認作業も大切です。




2016年現在の就職活動戦線は、スタートラインにすら立たせない、そこに到達させないのが就職活動です。

昔の吃音者の先輩方のように試しに働かせてくれという機会すら存在しません。まずは就職活動という狭き門を突破しないと働かせてもらえない。そのため、ありとあらゆる可能性や武器を子どものころから想定しないといけないのです。コネなど、貸し借り、正規ルートではない就職活動のカードが用意できるなら使いましょう。それは悪いことではありません。使える武器は使うべきです。


13. 吃音のある子どものためにお金や不動産、株式など財産を残しましょう

吃音のある子どもの保護者や親類縁者の中には、将来、自分たちが先に亡くなっても、その子どもが幸せに生きていけるようにお金など財産を残そうとしている人もいます。(自分の子どもが、弊社では採用されない。自分の自治体では採用されない。とすでに真実を知ってしまった保護者など)

例えば、不動産収入を得られるように賃貸物件を購入することや、一軒家、マンションの1室を準備する保護者もいます。

または、そもそも吃音のある子どもに、株式やFX、不動産収入を得る、そういった勉強をさせる人もいます。


14. 私は吃って、カミングアウトして働いていますという先輩吃音者の体験談はウソです

吃音をもった当事者、子どもが吃音というお父さん、お母さん、保護者向けに、吃音者の先輩が「私はこうやって成長しました。今はこんな仕事をしています」系の体験談を話す人の中に、吃音をカミングアウトしていない人とカミングアウトしている人がいると思います。前者の方は職場では吃音を隠しているでしょう。後者の人は吃音をカミングアウトしているといいますが。

はたして、本当にそうでしょうか?

本当にカミングアウトしているならば、その人が働いている会社名が公になっているはずですし、吃音者が吃りながら仕事ができる素晴らしい会社であればもっと世間に知られているはずです。そして何よりも、体験談を発表する先輩吃音者が勤務先の人事部、採用担当者に口利きをして「後輩吃音者!!みんなうちの会社に来いよ。ちゃんと口利きするから大丈夫。障害者手帳もいらないよ」と導いてくれるはずですよね?

2018年や2019年に、AbemaTVやテレビ東京や日本テレビやNHKで吃音のある学生が就職活動しようと思って、吃音をカミングアウトして一般枠で就職活動をした事例が報道されましたが。その当事者を助ける、先輩吃音者、企業団体はありませんでした。要はこれが事実なのです。

吃音で吃りまくっている、仕事がうまくいっているという発言をする先輩吃音者は、困っている後輩吃音者を助けてはくれないのです。

以上のことからも吃音の子どものお父さんお母さんは、吃音者先輩のありがたいお話を聞く際には ちょっとオカシイぞ! と思いながら話を聞くことが大切になります。



15. 子どもの教育はどうするの?

吃音のある子どもの教育で大切なことはなんでしょうか?

今のところ、吃音のある若者が就職できている事例を見ると、文系よりも理系。さらに国家資格を持っているなどの人が就職できている可能性が高いです。サラリーマン総合職などは困難だと思ってよいでしょう。


今後、世界情勢や日本の国内情勢からすると、英語、中国語、日本語が話せるくらいになっていないと難しいかもしれません。

実は英語や中国語などができると、日本の新卒就職活動戦線で有利なります。または、そもそも日本企業では働かないという選択肢もでてきます。ここが重要です。就職活動の土俵が日本国内ではなく、世界全体になるのです。となると、そもそも吃音を含め発達障害というものに対する価値観が日本とは異なる国で働ける可能性がでてくるのです。外資系企業で働く、発達障害者の事例として。年棒制や契約期間という違いはありますが、給与も遜色なく、そして、最初に契約した仕事をしっかりやれば文句を言われないという環境があるといいます。外資系企業は発達障害に限定せず、障害や性別による差別はあまりありません。この部分も重要になります。発達障害のある人でも精神障害者保健福祉手帳を持ち、外資系企業で活躍する人もいます。

外国語ができるということは、情報をリアルタイムで獲得することができます。アメリカでテロが起きてもNHKのニュース速報で知る前に、英語メディアで知ることができますよね。そこで、外国語を勉強しておけば、そういう情報を日本に伝える仕事もできることになります。逆に日本で起きた情報を外国に伝えることもできます。こういうところで取材や翻訳や編集の仕事をしている発達障害者もいます。吃音者もこういう道を意識してもよいでしょう。


日本はそもそも人口が減っているため、大韓民国のように国内人口を相手にした商売は衰退するか、大きな成長は見込めないのです。国外のユーザー向けにビジネスをしようとなるのです。外国語を話せることは重要です。

その他に日本国内において発達障害者として障害者枠で働いてる人の中で外資系企業に雇用されている人がいます。外資系企業は日本企業のように待遇で差別はしないというのです。そういった場所ではたらくにしても外国語が話せたほうが圧倒的に有利です。それ以外にも訪日外国人向けのビジネスなど、日本の製品を世界のオークションサイトなどに出品してお金を稼ぐということもできるようになります。


吃音のある子どもの教育は、健常者の子どもを教育するように、外国語教育が重要になってくるかもしれません。お父さん、お母さんはとてもやることが多いかもしれません。あまり頑張りすぎないようにしてください。


子どもの教育 追記
子どもの教育についてです。発達障害業界の事例になりますが、発達障害のある人で精神障害者保健福祉手帳を取得して、オープン、クローズで働く人の中で、比較的ストレスなく、安定した生活をしている人。これらは専門職の人が多いです。総合職ではなく専門職です。 たとえばAdobe社のソフト(イラストレーターやフォトショップなどが有名)が扱えるとか、ライティングや編集、校正など文章を扱う仕事になります。とくにAdobe社のソフトは、学生であれば、学割価格でとても安い月額料金で使えます。このときに使い方を勉強するのは良いことだと思います。

もちろんこの際も「外国語」ができるならば、日本国内外のお客様とやりとりができる可能性があります。

吃音のある子どもの将来のために、「総合職」として就職する未来ではなくて、別の未来を考えてみましょう。

第一に「外国語」を1つマスターする。
第二に「専門職」として技術を習得する。
第三に「人生」を「ライフステージ」を、障害やマイノリティに厳しい日本ではなく、世界で考えること。

吃音のある子どもの保護者にはこれを知ってほしいのです。


16. 小学校、中学校、高校などで吃音のある子ども、発達障害のある子どもへの合理的配慮はどうやって学校側と取り決めればよい??

吃音のあるお子さんが安心安全な環境の学校で学ぶためには合理的配慮が必要になる場合もあります。保護者さんが平日昼間などに有給を半休をとって学校に行くこともあるかもしれません。吃音のこと、発達障害のことを説明にいくかもしれません。吃音を診療してくれる吃音ドクターであったり、吃音に理解ある精神科医師などから診断書を書いてもらうかもしれません。吃音について書かれた書籍を学校に提供するかもしれません。

さて、この場合本当に重要なことがあります。
それは、各地ごと、各地の教育委員会ごとで書式や呼称などは異なりますが。個別の指導計画、個別の教育支援計画という(以下 計画)、カードを使うことです。

文部科学省の説明ページ http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/032/siryo/06090604/003.htm

この計画ですが、吃音のあるお子さんも使えます。
なぜこの計画を、このカードを使わないといけないのか。
それはせっかく医師に書いてもらった診断書などを持っていくだけ。その場で話し合うだけではダメなのです。学校教員の中にはあまり真剣に吃音のある子どもの合理的配慮を考えてくれる人はいないかもしれない、または、保護者が学校に説明にいったときに合意したことが実行されないこともあるでしょう。言った言わない問題になることです。それらを防ぐために文章にして「計画を発動」することが重大なのです。

さらに吃音業界独特の文化として、派閥抗争があり、吃音を認めありのままに吃ろう、吃りは友達、どもだち、堂々と吃れ、安心して吃りまくろう!という派閥に染まっている教員も存在します。その教員と保護者と当事者である子どもの価値観が合わなければ、これこそ、キッチリ計画を発動してこちらの実行してほしい合理的配慮希望を伝えるほうがよいでしょう。例えば吃音をできる限り治したいとか、吃音がでないような話し方を身に着けていきたいなどです。または吃音があるため、積極的な発言をしたくない。極力学校では発言しない発話しないですごしたい。発話発語を必要としないコミュニケーション手段を用意してほしい使えるようにしてほしい。スピーチや読み上げることは授業では免除してほしい。試験などは個室で行ってほしいと合理的配慮を申し出ることもでき、まずは勉強に集中したい安心安全でドキドキしながら通学したくない、お腹いたくならないで通学したいという保護者と当事者もいるでしょう。

いずれにせよ「計画を発動」するということは、その子どもと家族ごとに個別にカスタマイズして作成した計画を発動することですから。ここでは過度過重な合理的配慮を要求しない限りは、ほとんど認められると思います。吃音の場合の過度過重な合理的配慮ですが、「最後まで吃りながら吃りまくって話す」ことが過度過重になります。授業予定時間は延長することができないのに、どもってしまう時間を全部認めるのは難しいからです。例えばNHKのニュースに吃音アナウンサーが出ていて。30分しか放送時間がないのに、吃音でどもりまくることにより、40分も放送時間が必要になった、今日は33分だった。と時間が日々変動するのは過度過重な合理的配慮になるからです。


ところでこの「計画」とはなんなのか? と思う保護者さんもいるでしょう。
それもそのはず、吃音業界の文化に染まりきってしまった、教員はこの2つの計画を保護者に説明しない場合もあるのです。要は面倒だからです。今まで培ってきた大いに吃る吃りまくる堂々と吃る、吃音は発達障害と一緒になってはいけないなどの吃音世界を破壊されるのも困るわけですから。(何れにせよ、合理的配慮はその子ども、保護者ごと個別に作成される考えることが重要になります。合理的配慮に教科書的な正解はありません。その当事者ごと、その当事者の価値観、その当事者の希望に合わせて落とし所を考えることになります)

地方自治体の窓口などに行ったとしましょう。住民票を取りたい、何かの住民サービスを利用したい。こういうときは申込書を書きますよね。または役所から何らかの文章が届くときは番号がありますよね。その場合、その申込書や申請書や通知書は「様式XXXX」、「●XX様式」などと左上や右上に書いてあると思います。そうです。公務とは書類により文書主義になっているのです。

これが実は教育でも存在しており、それが先ほど説明した個別の指導計画、個別の教育支援計画という書類に記入することなのです。小学校、中学校は各都道府県ではなく市区町村の教育委員会ごとことなります。高校は各都道府県になります。この計画を発動することにより、証拠が残ります。子どもに対してどのような合理的配慮や安心安全な学校にするのかを書面に残していくからです。

そこで計画を使いたい!! と学校側に申し出るのです。
もちろん余計な仕事をしたくない、責任を増やされたくないという学校や教員は『お子さんの吃音程度ならこれは必要ないですよ。大丈夫ですよ(笑)』などなど計画を使わせないように水際作戦を展開してきます。『今真剣に話したことを実行しますよ。大丈夫ですまかせてください』という発言を平然とする教員もいるでしょう。

それを吃音のあるお子さんの保護者さんは信用してはいけません! 実社会でも何度も保護者さんは経験しているでしょう? 言った言わない問題を人生で何度経験しましたか? 平気でウソを付く人、やるといってやらない人。それは教育現場でも残念ながらいます。

そういう場合は教育センターや教育委員会に経緯を説明し計画を使うにはどうしたらいいかと相談に行きましょう。とくに吃音の場合は他の発達障害と違い、吃音業界の吃音至上主義のせいで、吃音は障害ではないと思いこんでいる、吃音はどもりまくってよい、そういう価値観に染まっている教員もいるため水際作戦を使うことや、保護者が要望要請したことを実行しない場合もあります。それを防ぐ意味でも計画を発動することが大切になるのです。

この計画の中には、子どもが安心安全に学校に通学できるためにはどのような合理的配慮が必要なのか。吃音があっても吃って行く方向にするのか? 吃音をできる限り出ないように訓練して流暢に話すようにしていくのか? 吃音があるのでとりあえず、発話発語はせずそれ以外の手段方法でコミュニケーションしつつ学校に通うのか。いろいろなパターンがあると思います。

その際、子どもの吃音はオープンでいくか、できるだけひっそりとしていくか。
吃音のことはクラス全員にオープンにして話すか、それ以上の範囲にも話すか、一部の人だけに伝えておくか。それとも隠すか。(筆者は吃音のことはクラス全員に伝えたほうがラクだと思います。吃るときもあれば、吃らないときもあって、うまく話せてるときもあるし、いきなり吃りまくってどうしようもないときもある、情報が事前にわかっていれば人間は理解できるからです)

吃音を説明するとしてどうやって説明するか。その方法。子どもが言うのか。
担任が言うのか。その際子どもは教室にいたほうがいいのか、いないほうがいいのか。

吃音に対する他の子どもからの指摘、いじめ、からかいが発生した場合どうするか。
どうやって解決していくのか。子どもがどうしてもクラスに居たくないと思ったときに逃げることができるパニックルーム・セーフルームはどこにするのか? 職員室か? 保健室か? それとも特定の先生の部屋か?

すべての教科担当に吃音のことを担任から説明するようにと明記するか。
吃音について知識がない教員だと、「なんだコイツ。うまく話せてるじゃん。吃音があるなんてウソなんじゃないか? もっと話させよう」と考える方もいますし。「この子吃音で話せないんだ。じゃあ、どんどん話を振っていこう、無理やりにでも話させて、それを繰り返していけば話せるようになるだろう」と考える方もいますし。教科担当ごとに障害に対する価値観が異なる場合は本当に説明が困難になる場合もあります。
そのため、「計画を発動」する段階でかなり細かく、深部まで想定して文章にしたほうがよいです。

授業ごとどのような合理的配慮を希望するか。発言をしなくてもよいことにするか、発言をしたいときは右手を挙手する、発言をしたい解答はわかっているけど吃りそうだから先生指名しないでの意味をこめて左手を挙手するルールをつくるか。

中学校であれば職場体験として、子どもがどこかに電話しなければいけないのか、その場合は学校側、教員が電話してくれないか。

学校側と保護者と(場合によっては)子どもも含めて定期的な面談はどのくらいの頻度にするか。

保護者が学校側に連絡する場合、学校ではまず最初に誰が窓口になるのか。その担当窓口に話したことは各教員に自動的に共有されるか。の確認も必要になります。ワンストップサービスと同じ考えです。何度も何度も教員ごとに保護者が説明する必要は無いからです。

以上のようにありとあらゆることを学校と話し合い、どうしていくか決めていくのです。

保護者、当事者である子ども、担任教師、学年主任、養護教諭、教頭、校長、発達障害支援コーディネーター、教育センター職員、必要に応じて病院医師、言語聴覚士、作業療法士、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、外部のサービス事業者の支援職などなども必要になります。

そしていよいよ、吃音のあるお子さん、その家族と学校側が、その子どもにあったカスタマイズ合理的配慮を考えて落とし所で合意するのです。


吃音のあるお子さんの保護者の場合、病院からもらった診断書などを、担任教師のみだけとの話し合いで消費してしまうこともあるかもしれません。。それはもったいないです。同時に「計画」を利用する、発動するのです。これで文書主義である「証拠」ができます。あとから言った言わない問題。そんなことは聞いてない。忘れてました。忙しくてできませんでした。子どもに嫌な思いをさせました。子どもが吃音を他の子から指摘された、イジメが始まった。子どもが不登校になりました。子どもが自殺自死をほのめかすよになりました。最悪の場合、本当に亡くなってしまいましたということも発生することもあるかもしれません。そうならないためにも、「計画を発動」すること書面化すること、学校側と合理的配慮について取り決めて、責任と証拠が残る状態に持ち込むことがまずは最優先になります。

また、「計画」は書面としてどんどん蓄積されるので、次の学年、次の学校へ、入試のときの合理的配慮、就職活動時の合理的配慮、就職活動時に精神障害者保健福祉手帳が必要な場合にスムーズに手続きができることにもなります。このように次々と引き継ぐことができます。必要なくなれば一時停止もできます。合理的配慮が必要なくなればいったん、保護者さんがそれらの書類全部を引き取ってもよいでしょう。母子・父子手帳と同じようなイメージです。子どもが成人しても保管しておきましょう。いつか使う日があるかもしれませんし、使うことは無いかもしれません。

2016年10月26日水曜日

2016年10月22日、東京で開催された吃音啓発の日レポ 厚生労働省 日詰正文氏講演 吃音と発達障害者支援法

2016年10月22日。東京都北区の赤羽北区民センター(ふれあい館)にて、国際吃音啓発の日に合わせたイベントが吃音者の当事者団体である『東京言友会』と『千葉言友会』の主催で開催された。

国際吃音啓発の日は「International Stuttering Association」などが1998年に定めた世界的な啓発デーだ。毎年4月に行われる世界自閉症啓発デーのような認知度はまだないが日本でも認知度の向上が今以上に望まれる。

2016年春、福山雅治さん藤原さくらさんが出演したフジテレビ系列の月9ドラマ『ラヴソング』で登場人物女性が吃音であったことにより世間でも認知度はあがった。

吃音とは発話・発声するときに自分の思うように言葉が出てこない障害だ。
例えば「おはようございます」が吃ることにより、『お、お、お、お、お、お、おはようございます』という連発。『(口がパクパクしたり、または口や唇が震えたりしながら)なかなか言葉が言えず(お お お お お お お お お お お)  おはようございます』という発話まで時間がかかる難発。『おーーーはようございます』という伸発の3つが吃音だ。

吃音は当事者によって異なるが言葉のみではなく吃音者の顔の表情が歪む、白目を剥いてしまう、唾液を飛ばしてしまう、腕や脚、身体の一部が意図せぬ動きになるという症状が同時に出る場合もある。



●吃音と発達障害について

このイベントでは、厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室 発達障害対策専門官 日詰正文氏が講演した。

講演ではまず最初に「発達障害者支援施策について」発達障害者支援法、一般に言われる発達障害(自閉症スペクトラム、注意欠如多動性障害、学習障害、トゥレット症候群)などの説明から、発達障害の定義、日本国内でどのような障害が発達障害者支援法に含まれているのかなどの説明があった。

吃音も発達障害者支援法に2005年から含まれていること、一般に言われる発達障害児者のように当事者や家族が希望すれば全く同様の社会保障や合理的配慮が受けられることが法的根拠を例にしながら話は進んだ。

吃音がなぜ精神障害(発達障害を含む)なのかの疑問に対してはICD10(WHOの国際疾病分類)が日本国内で診断基準になっていること、DSM5(アメリカ精神医学会の診断基準)が参考になっていること、次回更新のICD11ではDSM5と同様に吃音が『神経発達障害/神経発達症群』に分類されるであろうと説明があった。

日本政府も吃音が発達障害者支援に含まれていることを現在、発達障害者支援センター職員、医療従事者、発達障害施策に携わる職員を対象に研修を通じて実施しているという。



●吃音と障害者手帳取得について

吃音者が障害者手帳を取得するにはどうすればよいのかという疑問にも答えた。
吃音は発達障害者支援法以前の名残で身体障害者手帳4級取得の可能性があるが、その場合『ICD10コード F98.5 吃音症』と書いてはいけないと説明。理由はFコードを利用した時点で精神障害の部分になるからだ。身体障害者手帳を取得する場合は医師とよく話し合い吃音とは書かずに話せないことを表現する重要性を指摘した。


発達障害者支援法により吃音で精神障害者保健福祉手帳を取得する場合の医師が書く診断書については詳しく説明があった。症状の記入欄の他に、日常生活能力の判定という項目を医師が吃音者の話をよく聞き記入しなければならないと強調した。

吃音の場合、「他人との意思伝達・対人関係」、「身辺の安全保持・危機対応」、「社会的手続きや公共施設の利用」が該当するのではないかと説明した。

「他人との意思伝達・対人関係」であれば、吃音によりスムーズに言葉が話せないこと、相手を待たせてしまうこと、本当に伝えたいことを話せないこと。

「身辺の安全保持・危機対応」であれば、緊急事態時、吃音により絶対に吃ることが許されない状況での発話・発声が吃ってしまうこと。

「社会的手続きや公共施設の利用」であれば、窓口などで上手く話せないことにより本来の目的を達成できないこと。

以上を精神障害や発達障害を診療する医師が患者である吃音者から丁寧に話を聞き、吃音者が困っていることや出来ないことを具体的に明記できるかどうかが大切だという。

だが、一方で吃音を診療する医師や病院が少ないことも指摘した。耳鼻咽喉科医師と精神科医師の連携についても重要だという。この部分については今後、政府も研修を通じて伝えていくという。


●吃音と合理的配慮のこと

吃音児者への合理的配慮についても例をもとに説明した。高校・大学受験や●●試験などで配慮を受ける場合は幼少期からの診療とその情報の引き継ぎが重要で、いきなり『その時』になっても配慮を希望するのは難しい。子どものころからこのような配慮を受けてきた過去があるという事実が大切になるという。

2016年発達障害者支援法改正の3つのポイント。ライフステージを通じた切れ目の無い支援、家族なども含めた、きめ細かな支援、地域の身近な場所で受けられる支援だ。

例として発達障害の特性と言われる(見通しが立たないことへの不安、感覚過敏、読み書き障害、不器用、独り言、言葉が上手く話せないなど)がある場合。どのような支援(スケジュール提示、別室対応、拡大文字問題冊子、塗りつぶしではなくレ点チェック、時間延長、話し終わるまで待つ)が行われてきたのか情報をバトンタッチしていくことが大切だという。



●まとめ、感想
厚生労働省の発達障害対策専門官の話は法的根拠や制度上の説明もあり、わかりやすかった。吃音者でも全く同様の社会保障制度や合理的配慮を希望すれば受けることができること。ここがとても重要だった。

ただ、日詰氏の話を聞いていると2005年から存在していた発達障害者支援法と吃音の関係の難しさも浮き彫りになった。会場から吃音が精神障害(発達障害を含む)であることが受け入れられない、エビデンスはあるのか、どこの誰が研究した結果なのか質問があったが、日詰氏は医系技官ではないのでその場での回答は控えた。一方で、『吃音が精神障害(発達障害を含む)と分類されるのは国際的な診断基準に従っているので、そうではないと思う場合はそのように研究している研究者と協力して行動してほしい』といった趣旨を述べた。

※吃音と一般に言われる発達障害の併存事例も報告されている日本音声言語医学会の学会誌 Vol.57 No.1,2016.1
に『吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討 Developmental Disability and Psychiatric Conditions in 39 Patients with Stuttering 』が掲載
http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/02/blog-post_23.html


この部分が厚生労働省や日本政府側の正直な気持ちではないだろうかと筆者は重く受け止めた。これは日本国内の吃音業界・吃音情勢の問題だ。日本国内では吃音当事者が『吃音は可哀想な障害者ではないし支援される対象ではない。吃音を治そうとしてはいけない。病院に行ってはいけない。おたくのお子さんは可哀想な障害者じゃない。吃音は個性、吃音は神様からのギフト。吃っていても堂々と吃って生活している吃音者もいる。就職や結婚もできる。子どもも2人くらい大学にいかせるだけ稼げる。マイホームだって買える。幸せだ。』と主義主張をするグループがあるからだ。

このグループの影響なのか? 2016年8月17日毎日新聞朝刊やネットで報道した『「差別受けた」6割 「理解不十分」7割』をみた子どもたちがこのような差別発言を平然を行っているようだ。 子どもに「障害はかわいそうという感じがする」と言わせるのは本当に恐ろしいことである。神奈川県相模原の障害者無差別殺害事件にも通じるところがある。困っていることや不便なことがあるなら、障害の垣根をこえて協力して「障害はかわいそう」だという価値観を身に着けるようになってしまう、そのように成長してしまう道程や周囲の人間や社会を変化させるように行動してほしいものだ。





・ここに「発達障害」と書いてあるけれど、僕たちは、発達障害なのか。障害は、かわいそうという感じがする。どもりを障害とは思わないでほしい。僕がほかの人に自分のどもりについて言うときには、どもりのことを障害や病気だとは言わない。吃音で悩んでいる人、苦しい人にとっては、吃音は障害だというのはありがたいのかもしれないけれど、「吃音を障害と認識することが大事だ」というのは、どうかと思う。
http://www.kituonkokufuku.com/archives/2016-09.html?p=3



吃音は他の障害者や難病者や社会的障壁のある人たちより優れているのか?優生思想なのか?
この点はフジテレビ系列で放送した『ラヴソング』の吃音演技指導をした大学生がこのように話す。


「『吃音は障害じゃない』『差別されるのが怖い』と言い張る吃音者もいますが、それって“逆差別”ではないでしょうか? 『障害者と一緒にしないで』って言っているのと同じですよね。だから、もし変えるなら『障害』に対する社会の意識を改革していくべきだと思いますし、私も当事者として、そこを伝えていきたい」
http://wpb.shueisha.co.jp/2016/06/13/66583/3/


このグループの主義主張は吃音以外の障害者・団体や難病者の耳にも入っており、大変な怒りの感情を持つ方もいる。吃音者は優生思想を持っているのか? 同じ困っている人ではないのか?という感情だ。これはとても大きな問題で今後、吃音者や当事者団体が活動するにあたり、一度、謝罪や撤回を求められる事態に発展するかもしれない。その謝罪や撤回があった後に一緒に協力行動しようという気持ちの方もいるのだ。障害はかわいそうと子どもに言わせてしまう「教え」は吃音以外の人々に波紋を広げている。



そこまで強烈に障害者や難病者を劣った者とみなし見下す主義主張を持たないが、何とか吃らない処世術を身に着け、吃る頻度を減らし社会に居場所がある吃音者もいる。できることなら吃音が精神障害(発達障害を含む)と周知徹底されるのを怖れるグループだ。


裏を返せばこのように吃音当事者や吃音業界から『吃音があって困っている。吃音者にも社会保障の選択肢を――。』と障害者運動や行動、行政へ要望要請をしてこなかった経緯が2016年現在に影響を及ぼしている。

日詰氏の講演でも、「日本政府は『今』、関係各位に周知や研修をしている」、「医師や病院が足りないことの現状について」述べたがこれも裏の意味だと「今まで表立ってそれを強く実行することができなかった。当事者からの声が無かった」と読める。今までは日本政府、行政も吃音業界の異様さ特殊性を認知していたのかもしれない。

もしも2005年から吃音が発達障害者支援法に含まれていることが周知徹底されていれば2013年7月に北海道で起きた吃音看護師さんの自死も避けることができたのではないかと考えると悔しい。


講演の中で印象に残った部分がある。吃音は精神?身体?どっちの障害者手帳を取得できる?という説明部分だ。

吃音は発達障害者支援法以前の名残で身体障害者手帳4級取得の可能性があるが、その場合『ICD10コード F98.5 吃音症』と書いてはいけないと説明。理由はFコードを利用した時点で精神障害の部分になるからだ。身体障害者手帳を取得する場合は医師とよく話し合い吃音とは書かずに話せないことを表現する重要性を指摘した。

吃音はそもそも「Fコード」、ICD-10という診断基準の→F00-F99 精神及び行動の障害 > F90-F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害 > F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害 > F98.5 吃音症

を利用する。
しかし、このFコードの吃音を身体障害者手帳申請書類に明記してしまうと。その時点で自動的に審査で却下、受理されないということだ。

仙台の吃音裁判、吃音で身体障害者手帳がほしいという内容であった。
市側の主張は「国は吃音を発達障害者支援法に定義しているので」と主張していた。
身体障害者手帳申請書類で「吃音」を明記した時点で不受理の条件を満たしているということになる。過去の吃音者の事例で身体障害者手帳4級を取得している者がいるが、その場合診断書には「吃音」と明記せずに別の症状により言葉を発することが困難であると書いているのであろう。バカ正直に身体障害者手帳申請書類で「吃音」と明記してしまうと審査の段階で不受理になることを知っている医師がいるということになる。


吃音者が「自分は吃音で障害者手帳はもらえない」と自己診断・自己判断で諦めてしまうことも問題だと筆者は感じる。一般に言われる発達障害を診療する医師のところに行き、困っていることできないこと、吃音で嫌な経験をしたことをしっかり明記すれば吃音が軽度でも障害者手帳は取得できる可能性はある。一般に言われる発達障害者でも服薬やSST、ミスをしないためのアイテムの利用などを駆使し障害者手帳を持っているがそれを隠して一般枠で働く方もいる。自分は吃音が軽度だからという自己判断で試してもみないで諦めてほしくはない。並行して吃音を診療してくれる医師や病院へ情報発信をすることも大切だろう。

吃音を診療したいと思う、精神科医師や児童精神科医師の中には、吃音がそれを偽ることもできるのでウソの演技を見抜けないのではないか? と危惧する方もいる。厚生労働省が耳鼻咽喉科医師や脳神経系医師、精神科医師のために吃音診療ガイドラインを作成することも望まれる。
ガイドラインの作成により、『そもそも病院で吃音は保険診療可能である』と認知されれば自由診療のクリニックや医師のいないクリニックに高額な吃音診療費を支払うこともなくなる。また自立支援医療の精神通院が利用できるから多くの吃音者は1割負担で通院や言語聴覚士との訓練ができるはずなのだ。

2016年これからの未来は吃音当事者も障害者団体や発達障害者団体と協力し情報発信をしていく時代ではないだろうか? また吃音者は自分たち以外のことを知ることもとても大切なことだと強く思う。

2016年9月8日木曜日

【随時更新 吃音Q&A】人事採用担当者の方へ 吃音者雇用ガイドライン 働く吃音者への合理的配慮とはなにか? 吃音者を採用する場合はどうしたらよいのか? 吃音者採用事例 雇用事例について

この記事の読了目安は20分です。
吃音者への合理的配慮については■5番、■6番あたりから読み進めてください。

関連記事もご覧ください。
人事、採用担当者の本音?吃音者はカミングアウトすると不採用になる?
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2017/06/blog-post_18.html
吃音者と働く 職場で吃音者の合理的配慮がうまくいかないのはなぜか?
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2017/10/blog-post.html
【吃音Q&A】就労移行支援事業所や高校・大学の進路指導や就職支援室やキャリア支援室、障害学生支援室は吃音者にどう対応すればいい?http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2016/12/blog-post.html 



2016年9月現在
吃音は徐々にではありますが、社会全体に認知が広がっているのではないかと思います。
フジテレビの4月スタート月9ドラマ「ラヴソング」が放送されたこと、吃音当事者団体の変化、吃音ラジオという吃音当事者が吃りながら放送するラジオ、毎日新聞社が積極的に吃音について取材報道する、吃音ドクターこと菊池医師の情報発信、日本吃音・流暢性障害学会が発足し今年で4回目の大会を開催などなど―。吃音という言葉が世の中に広まるようになってきているのです。

そもそもの発端は2014年7月3日の厚生労働省管轄である国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センターが「吃音は発達障害の1つである」と発達障害の定義を説明するページに吃音を明記したことからはじまりました。この情報の掲載はある意味勘違いにも繋がりました。2014年に吃音が発達障害に指定されたという勘違いです。これは間違いで2005年の発達障害者支援法施行時からずっと含まれています。この法律がどのような理由なのか「見える化」されていませんでした。


この投稿記事は、吃音者の雇用事例、吃音者採用・雇用ハウツー、吃音者雇用ガイドライン。吃音者の雇用促進マニュアルとして読者の方(特に人事採用担当者、障害者雇用担当者、就労移行支援事業所職員)の力になればと思っています。この記事は新しい情報があればその都度更新します。
吃音者の障害者雇用や合理的配慮についてもっと詳細に知りたい場合はコチラより問い合わせをください。http://kitsuonkenkyuguideline.jimdo.com/%E3%81%8A%E5%95%8F%E3%81%84%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B/


■1.この投稿記事を読む前に、吃音業界の真実を知らねばならない。とくに官民・企業団体の人事採用担当者、障害者雇用担当者、就労移行支援事業所職員は必ず知っておいてほしい

こちらは必ずお読みください吃音者、吃音業界のリアルです
・【必読】はじめて吃音を知った人へ 吃音と関わる上で絶対に知っておくべきこと 大切な吃音ガイドライン
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html


■2.行政職員、民間企業・団体、その他、人事採用担当部門、総務部門などの職員の方へ
上のリンクは読んでもらえましたか?

残念ながら吃音者、吃音業界は不毛な争いをしています。聴覚障害者の人々が考え方の違いにより対立していること、発達障害当事者会が意見の違いや喧嘩により分裂することと同じ状態になっています。吃音者も障害者認定絶対反対派、吃音があるが程度が軽い・なんとか吃音を隠しているから障害者認定消極派、吃音があって学校に行くのも働くことも困っているから障害者認定して障害者手帳や合理的配慮が必要派というように大きく3つの派閥が存在しています。

吃音当事者団体によっては『完全な障害者認定反対派』の団体があるため、関わると面倒なことになります。例えば2016年8月17日毎日新聞社朝刊の一面トップに吃音への差別や困っていることが報道されました。しかしその内容と毎日新聞社と担当記者、アンケートに協力した吃音者団体を痛烈に批判し間違っていると表明する吃音者団体が存在するのです。とくにその内容で恐ろしいのは「障害者はかわいそう」だと子ども達に言わせている点です。障害はかわいそう。この気持がすでにありとあらゆる障害者や社会的障壁がある人より吃音者は優れているという優生思想があるのだと辟易します。吃音が障害ではない。頭のオカシイ精神障害者とは違うんだ。発達障害者とは異なる。と主義主張を開陳するのは言論の自由ですが、困っている人はずっと困っていれば良い。というのも人間の文明社会では異常でしょう。使える選択肢、社会保障を利用することを否定するのは理解に苦しみます。どのような選択をするかは当事者が決めることです。


このような実例を見ると、行政や民間企業において、吃音者を採用する場合は『障害受容のできている、障害者手帳を所持している、障害認定反対派ではない穏健な吃音者』を採用することが前提になると筆者は推測します。毎日新聞の報道を糾弾する叩く団体は今後近い将来、吃音者を対象とした就労移行支援事業所や吃音者を障害者雇用した官民の団体が事例として集まってくれば、次にその関係各所に刃を向けて攻撃することは予想できます。

もちろん吃音や発達障害がある人でも、どのような社会的障壁がある人でも、障害者手帳を所持しておらず法定雇用率に計算できなくとも、ウチの団体は社会的障壁のある人を雇用するよという先進的な考えを持った篤志家な経営者もいると思います。これはこれでとてもありがたいことです。本来なら障害者手帳がなくとも全ての社会的障壁のある人が働ける社会になればいいのですが…。雇用する側としては仕事に配慮が必要ならば障害者手帳を持っていてほしいというのが本音でしょう。

日本社会の現実として、障害や難病がある人はなかなか一般枠で働くことはできません。一般枠でも双方の条件が一致すれば問題はありません。障害者の就労移行支援事業所もその訓練の中でこのように利用者に説明しています。就労移行支援事業所としては現実も知っているためです。

例えば

1.障害を完全に隠すことができるなら、一般枠で応募しなさい。障害者手帳を持っていても言わなければ問題ありません。エントリーシートや履歴書に●●障害や苦手なことがあるとは書いてはいけませんし、カミングアウトは絶対にしてはいけません。それが理解できているならば一般枠での就職活動をしてください。その方法も教えます。と。

一方で

2.もし障害についてカミングアウトする場合はこのように説明がなされます。
一般枠と障害者枠での両方で就職活動しなさい。そして現実を体験しなさい。
一般枠というのは雇用する側が想定した給与分100%以上の仕事をすることができる人が働きます。障害者枠とは障害や病気により、雇用する側が想定した仕事をこなすことができない、仕事の一部免除や苦手な仕事の完全免除、転居なし、通勤時間を前後させる、障害に応じた合理的配慮などなどをするために見返りとして障害者手帳・法定雇用率に計算できることが必要だからです。
と説明します。


精神障害、発達障害を扱う就労移行支援事業所は特に1と2の説明を強くします。なぜこのような説明をするのかというと、就労移行支援事業所の職員は雇用する側の希望、本音を知っているからです。

人事採用担当者の本音。雇用する側、企業側の本音ですね。カミングアウトする場合は、
配慮しなければいけない場合は障害者手帳や難病の証明を持っていて法定雇用率として計算したいという本音です。

例えば2015年12月内閣府の障害者週間セミナーでこのようなセミナーがありました。ここで説明されたことは、精神障害者雇用をするときは必ず「就労移行支援事業所に通所している者」、「ジョブコーチなど相談できる状態がある者」を雇用すべきと説明しています。このセミナーの場合精神障害者と限定していましたが、発達障害者も共通する部分があると思います。

さらに2016年12月の内閣府障害者週間連続セミナーでも同様のことが言われました。
「発達障害のある人は、障害受容のできている人、病院、就労移行支援事業所とつながりがある人、相談できる支援者がいる人」を採用の際に考えるようにという説明でした。
http://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/h28shukan/event.html#seminar

精神障害者雇用は今! ~精神障害者の職域拡大の可能性について~
http://www8.cao.go.jp/shougai/kou-kei/h27shukan/event.html#forum
一方、平成25年度に厚生労働省が実施した障害者雇用実態調査では、精神障害者の雇用上の課題として、「会社内に適当な仕事があるか」と回答した企業が77.2%と最も多く、依然、企業において精神障害者の職務の創出・設定に苦慮している状況がうかがえる。
そこで、専門的な職種が主となる医療機関において、創意工夫して新たな職務で精神障害者を雇用する取組の紹介、そのノウハウなどについてのディスカッションを行い、精神障害者の職域拡大の可能性等について参加者とともに考える。
主催:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
所在地:〒261-8558 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2
電話:043-213-6203
FAX:043-213-6556
URL:http://www.jeed.or.jp/
平成25年6月に成立した改正障害者雇用促進法により精神障害者が法定雇用率の算定基礎に加えられたこと等を契機に、雇用されている精神障害者数は大きく伸びているところである。



■3.吃音当事者は『吃音をカミングアウトすれば一般枠採用されると思っている』当事者も存在する 雇用する側と吃音当事者側の考え方の違い?

吃音当事者側の視点です。
吃音当事者は派閥に関係なく、吃音をカミングアウトすれば一般枠で採用される! と思っている人もいます。これは実際そうなのですが、吃音があっても雇用する側が吃音は仕事に関係ない、結果で評価する。という主義主張であれば成立します。しかし雇用する側が想定した給与分100%の仕事のうち90%くらいしかこなせないかもしれません。

この『吃音をカミングアウトすれば一般枠で採用されるはず』という考えは性善説的です。正直に自分の気持ちを相手に伝えれば、まっすぐに正直にありのままの自分をエントリーシートや履歴書、面接でカミングアウトしても、『吃音だけで評価する会社』は存在しないと思っているのです。吃音があっても一般枠で採用されて仕事をする機会を入手できると思っているのです。

しかし、世の中、全てがそうではありません。全てが善人とは限りません。吃音があれば雇用する側からすれば想定した給与分に見合った勤務ができないと判断し『貴意に添えない結果』など不採用通知を届けることになるでしょう。やはり、吃音がある=うまく話せない → 出来ない仕事がある。お客様や取引先に何か言われるのではないだろうか? と考えている雇用側の本音もあります。

また雇用する側の本音として、障害者の法定雇用率を満たせるなら、障害者手帳を持っていてほしいという考えもあります。カミングアウトしてきた吃音者に障害者枠での応募をアドバイスする場合もあります。もちろん障害者手帳を持っていない、吃音があっても一般枠で問題ないという雇用する側の人もいますので、これは雇用する側の主義主張次第ということになります。

2016年現在。発達障害者や精神障害者を採用時に見極める方法、発見するテストを販売しているビジネスモデルが存在しています。人事採用担当者ならご存知のことだと思います。自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群や自閉症、広汎性発達障害)、ADHDと言われる注意欠如多動性障害、LDと言われる学習障害の特徴を発見する方法が人事業界では出回っています。またそもそもDSM-4やDSM-5と言った精神疾患診断の手引きという医学書が一般人も購入できますし、医師免許がなくとも『その障害の特徴』をなんとなく見極めることはできるのかもしれません。

吃音も2016年現在でこそ、『吃音は発達障害者支援法に定義されている障害』ということになっています。が、そもそも吃音の場合は一般に言われる発達障害のように見た目ではあまりわからないわけではありません。吃音者が面接やグループディスカッションや集団面接のときに採用する側がカミングアウトしていない吃音者の状態を『あれ?この人喋り方変だな。うーんコミュニケーション能力低いから不採用方向でチェックっと』と判断することも、今まであったかもしれません。


例えば防衛省の防衛省訓令第一号があります。航空身体検査に関する訓令です。ここでは「不合格疾患等」という項目に一般に言われる自閉症などの発達障害、吃音や気分(感情)障害や既往歴が不合格の基準として明記されています。海幕衛第8931号は海上自衛隊の身体検査です。こちらでも不合格疾患として「精神と行動の障害」、「吃音」が明記されています。陸上自衛隊達第 36―1号は陸上自衛隊の身体検査です。こちらでは具体的に吃音という項目はありませんが「脳神経・精神」の検査項目があります。

このような検査を見れば、行政職員でさえこのような基準があるなら、民間でも存在するはずだ、いや表向き存在しないとしていても裏ではあるはずだろうと思います。2013年に北海道で自殺した吃音者も警察官になりたいという夢があったとのことでしたが、どうしても面接で落ちてしまうことを繰り返したそうです。警察内部の採用活動基準については不明ですが、自衛隊でNGなら警察や消防でも難しいのではないかと思いました。

他にもこのような研究報告が独立行政法人労働政策研究・研修機構から発表されています。
吃音で困っていても、適切なソーシャルワークや、支援機関につながることができず、困難な状況に陥っているようです。

・若者サポートステーションなどに訪れるクライエントの中に吃音がある人がいる。
このような人は就職困難者である
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2013/123.html

・大学4年生に未診断の発達障害??、および吃音の学生がいるがどうしたらいいのだろうか?
障害受容はどうなっているのか? 
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2015/156.html


年配の吃音者、とりわけ、今現在の「就職活動」というものが存在しない時代に就職できている人はラッキーな人です。吃音者は一般に言われる発達障害者のように一部にとても頭の良い人がいます。IQが高いといえばいいでしょうか。難関大学、国公立大学を卒業している人もいるので、履歴書のみで採用、出身校の先輩の紹介で採用、などがあったのです。年配の吃音者はよく若い吃音者に「私は吃音があっても就職できた、東証一部上場企業だ。結婚もした。子どももいる。自動車も買った! マイホームも買った! 子どもは全員大学卒業させた! キミもやればできる!」などアドバイスをしてしまいますが。その当時は発達障害や吃音の概念はあまり浸透していないという好条件も重なったのだと思います。ゆえに学歴で採用活動側、雇用する側は判断していた場合もあります。

年配の吃音者は自分が吃音ありつつも就職できたことを誇りに思っているので、現在の若者たちがなぜ就職できないのか?なんていうことは関係ないのです。

吃音の障害者認定反対派なら『吃音をカミングアウトしなさい。エントリーシートにも履歴書にも吃音のことを明記しなさい』と危機意識のカケラもないアドバイスをして悦に入る場合もあります。この手のアドバイスは2016年現在ではもはや通用しないのですが…。
逆に考えれば『自分の地位を脅かすかもしれない若い吃音者に就職してほしくない。同じ会社に入社してほしくない』など下心もあるのかもしれません。


吃音のある若者が『吃音をカミングアウトすれば一般枠採用されると思っている』理由には性善説を信じている場合もありますが、他にもこのような理由があります。障害者枠だと給与が安い、出世しない、スキルアップができない、正社員採用されないというのをデメリットだと思っていることもあります。給与が安ければ恋愛もできない結婚もできない。幸せな生活ができない。自分の両親や親類縁者と同レベルの生活水準を維持できない…。などを不安に思っている人もいます。

吃音のある子どもの父母や祖父母が『自分の職場で吃音者が採用されることは無い』と知っている場合は特に厳しく子どもの吃音に接します。なんとか治そうとしたり、病院や民間療法などなどありとあらゆる手段を使うかもしれません。親御さんの気持ちはわかります。それは社会が吃音者に冷たい、吃音があると就職や結婚が不利、ということを知っているのです。親御さんも障害者や社会的障壁のある人に冷たい接し方をしていたこともあるかもしれません。

吃音のある子どものお父さんお母さん、家族のみなさん、親戚のみなさん。ぜひ、ご自身が働いている職場の人事採用担当、人事部の人に『吃音者が就職活動で私たちの団体に応募してきたら採用する?しない?障害者枠なら採用する?』と質問してみればよいでしょう。その答えが現在の日本社会の真実です。

筆者自身も若い頃は吃音の障害者認定反対派の教典に心酔しており、就職活動の際は吃音を堂々とカミングアウトしていましたが。結果は全て不採用でした。最初の書類選考で落ちます。障害者認定反対派の人の堂々と吃れ、吃音を治してはいけない、吃音は障害ではないということが通用するのは本当にごく一部の限られた吃音者だけのものだとやっと目が覚めたのです。


■4.吃音は吃音のみの人が存在する一方で、吃音と(自閉症スペクトラム、ADHD、LD、チック・トゥレットなど)が併存している人もいます

吃音は神経発達障害とDSM-5で分類されるようになりました。
この1つの理由として、その他の発達障害と併存している事例が報告されているからです。

こちらのリンクを見てください。
 吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp/57/1/57_7/_article/-char/ja/

http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/02/blog-post_23.html


■5. それでは吃音者の採用 吃音者雇用ガイドラインはどうなるか? 吃音の就労支援、合理的配慮とは?

まず、これは採用する側、雇用する側の主義主張を明確にする必要があります。
人事採用担当と経営者がよく考えて明確にする必要があります。

吃音は現在、精神障害者保健福祉手帳の対象になっています。2年更新の手帳です。
ごく一部、吃音の状態が重度な『家族でないと意思疎通できない』レベルの人であれば身体障害者手帳の4級を持っています。

4番で説明したように、吃音だけではなく、吃音とその他の発達障害を持っている吃音者もいます。これも難しいところです。


これらの情報や吃音者の派閥抗争を知ったうえで考えを明確にする必要があります。雇用する側は吃音者をどのようにとらえるのか?が重要になります。


1.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、仕事の成果を出すならば一般枠で働いてほしい。一般枠で働く機会を与える。法定雇用率には興味ない。

2.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、手帳を取得して障害者枠で働いてほしい。法定雇用率に計算したいのが本音。

3.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、障害者手帳を持っていれば、一般枠でも障害者枠でもどちらでもよい。法定雇用率に計算したいのが本音。

4.吃音に限らず、どんな障害でも社会的障壁がある人でも、手帳を取得して障害者枠で働いてほしい。しかし仕事は責任ある仕事、出世できるようにする。正社員雇用する・いつかは正社員にする。スキルアップ・キャリアアップの機会を与える。



この4つでしょうか。
まずこの部分を明確にする必要があります。雇用する側としては少なくとも『障害受容のできている吃音者』を採用したいと思うはずです。派閥抗争をしているトラブルメーカーよりもそうではない温厚で穏健な人が良いと考えるはずです。そして発達障害者支援法やICD-10やDSM-5に定義されている吃音という障害であれば障害者手帳を持っていることがデフォルトであると考えるかもしれません。

この雇用する側のホンネ、障害者雇用業界のホンネを理解していない吃音者が多いことも事実です…。


吃音者を雇用する、吃音者を採用する、吃音者と一緒に働く。
これには企業団体がどのような立ち位置になるか?が重要になります。

1.「吃音丸出し。いついかなる時でも常に吃りまくっていてもいい。聞き手は吃音者の話を待つ。ちゃんと待って聞く」
2.「吃音があるなら、吃りそうなら発話発語以外の使用を認める。そのほうが聞き手も時間効率が良いから。常に吃るのは正直勘弁してほしい。」
3.「吃音があっても、どんな職務を遂行してもいい・接客も放送も営業などお客さんと接することもなんでもやっていい」
4.「吃音があるなら、話すこと以外の仕事をしてほしい。無理して話さなくていい。接客や営業や放送などお客さんと接する仕事にこだわらないでほしい」

吃音者側には吃ることは権利であり。どもらせないようにするのは差別だという人も一部にいます。
上の1から4、この条件にさらに法定雇用率に計算したいために障害者手帳の所持を希望する、希望しないという前提もあることになります。



えっ、でも、吃音者側だけの希望を聞かないといけないの?

良い質問ですね。
そうです。そもそも吃音に限らずですが、合理的配慮とは過度な過重なものはしなくてもよいということになります。

平等であるならば、合理的配慮される側の希望、合理的配慮を提供する側の希望ということ、両方が必要です。

吃音は「吃る」障害でもありますが。「相手の時間を奪う、多く消費させる障害」でもあります。吃音者が吃りまくって話しているのを最後まで相手は待たないといけないのか?吃りまくっている吃音者に話を丁寧に聞くたびに、1分、2分、3分と時間が消費されていきます。これが1年間の出勤日と計算すれば、年間吃り時間により、これだけ時間が多く消費されたということにもなります。

【吃音Q&A】吃音は発話発語の障害 そして相手、聞き手の時間を奪う障害
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2017/06/q.html


となると吃音者とコミュニケーションをする聞き手、相手、お客さんなども「希望」がでてきますよね。無理に発話発語してコミュニケーションしなくてよい。チャットでも筆談でもメールでも、丁寧な言葉遣いではなくていい、マニュアル通り話さなくていいから・・・と希望が出てきます。

合理的配慮とはバランス、話し合い、お互いの歩み寄り、譲り合い、落とし所を考えることにもなるのです。

■6. 吃音者への合理的配慮とは具体的に何をすればいいのか?
吃音は話すこと、発話することの障害です。(ただし発話器官に障害があるのではなく、発話しろと命令する脳神経の障害・神経発達ネットワークの障害です。)
例えば、挨拶ができない、自分の名前や社名が言えない、他人の名前を言えない、マニュアル通りの決められた順番で話せない、言いやすい言葉を発話するために敬語を使わない場合もある。などなどが考えられます。

(ただ、これだけ色々な合理的配慮を職場で、採用側、雇用する側が行う可能性があるとなると障害者手帳所持は必須だと思いますが……)

(吃音の障害者認定反対派の人は、吃る権利があると考えているので、一年間365日ありとあらゆる場所で吃りまくるので、そのありのままの状態を一般雇用枠で認めることになります…)



◆吃音者に想定できる、考えられる合理的配慮一覧

・声をだして挨拶ができない場合は笑顔や会釈でも良いとする。

・電話応対を一部免除する。全部免除する。社内の電話のみ応対させる。外部との電話応対は免除する。

・社内アナウンスや店内アナウンス、放送の業務を免除する。

・落語家の桂文福さんのように歌いながらメロディに乗せて職場内やお客様のところで話してよいと認める。吃音者は歌いながら、メロディに合わせて話すと吃らない人がとても多いため。

・落語家の桂文福さんのように、会話の中でギャグを織り交ぜたり、舌打ちをして滑稽な音を鳴らして職務遂行をしても、それを許容する。許す。怒らない。吃音者の道化キャラで働くことを認める。

・社内の朝礼、全体集会、全体挨拶、飲み会の挨拶、式典の挨拶などで口頭発表させることや社訓の暗唱や社内用語暗唱などを免除する。

・吃音者には営業以外の仕事をしてもらう。他の障害者のように社内の仕事をその分切り出す。その仕事をしてもらう。

・吃音者は吃ること避けるため、言いやすい言葉に言い換えを行う。「赤いボールペン」→「レッドなボールペン」、「トイレ」→「お手洗い」、「昨日(きのう)」→「昨日(さくじつ)」、「水曜日」→「火曜日の次の日」、「新聞紙」→「ニュースペーパー」などと言い換えることがあります。

それを不自然だと笑わない。指摘しない。

・吃音で有名な芸能人やアナウンサーや総理大臣や王族がいるからといって、あなたの目の前にいる吃音者はそうではない場合もあると認識を改めること。XXさんがこうやって成功したからあなたもやりなさいと意味不明のアドバイスをやめる。障害が個性となる職業のイスは非常に限られている。

・筆談を利用できるようにする。

・吃音者は吃ることを避けるため、言いやすい言葉を発話する。場合によって敬語などを使わずにタメ口になってしまうことがある。それを認める。許す。怒らない。

・営業や電話応対を認めるにしても、必ず初回に外部やお客様に接するときに、同僚や上司が「弊社のXXは吃音という障害があるので。話し方が不思議に思われるかもしれませんが仕事には影響がないので気にしないでほしい」と説明する。

→とくに職場の同僚や上司が一度、吃音当事者とファーストコンタクトする相手に説明するステップは重要です。吃音当事者自分の言葉で説明するのは大切ですが、同僚や上司のワンクッションがあるかないかでは相手側の受け止め方も変化します。

・電話応対の場合 自動音声システムでを利用する。「この電話は吃音者、吃る人が架電しています」、「この電話は吃音者、吃る人が受電しています」こういったアナウンスも必要になるでしょう。

・口頭での報告連絡相談よりも筆談以外に手書きメモやEメールやチャットの利用を認める。コミュニケーションアプリの利用を認める。

・吃音者は人それぞれであるが、話すときに、唾液を飛ばしてしまうことがあるので、マスクの着用を認める。

・工場や調理場など安全確認が重要視される職場で、「後ろ通ります」、「声出し安全確認作業」ができない場合ブザーやホイッスルなど他の手段を考える。

・飲食店やサービス業であれば、いきなりステーキの従業員が利用している透明マスクの着用を認める。(これは吃音者の中に吃るとき唾液を飛散させる場合もあるためである)

・飲食店やサービス業以外では普通の顔が隠れるマスクの着用を認める。吃音者は吃る時の顔を見られたくない人もいます。口がまがる。唇が震える。唇が尖る。口元が痙攣する。唾液を飛ばしてしまう。白目をむいてしまう。視線が合わない。などなど吃るときの外見上の影響がでる当事者も存在するためです。

・飲食店やサービス業ではお店の入り口などに、「吃音者が働いています」と告知すること。聴覚障害者の洋菓子店のように吃音者が働いていることを説明しましょう。タッチパネル方式だと聴覚障害者も吃音障害者も助かりますね。

・吃音者がホウレンソウや会話をするときに、吃ってしまうため他の人よりも時間が倍近く必要だとしても、ゆっくり余裕をもってその話を聞く。

・吃音者の言葉を先取りしない。吃音者の主義主張によっては最後まで言い切るまで待ってほしい人もいます。逆に話している途中で、XXXのことを言いたいの?と言われたほうが話しやすい人もいます。 ※このあたりは当事者とよく話し合う


★医療従事者、コメディカルの吃音者はどのような合理的配慮? 学校教員や弁護士、警察官や消防士なども同様
吃音当事者の中には、医師、言語聴覚士、看護師、精神保健福祉士、社会福祉士、介護士、臨床心理士など心理系、の仕事をしている当事者もいます。

医療従事者、コメディカルの吃音者にはどうしても言い換えのできない言葉を多く使用する場面が想定できます。人名や薬品名、患者さんクライエントさんとの面接や心理検査、言語療法、結果の説明などがたくさんあります。とくに心理検査や言語療法などの場合は一言一句間違わないで実行できなければいけません。

心理検査や言語療法などで患者さんに「私のあとに続けて話して下さい。マネしてください」などと説明して、吃る部分まで真似をされてしまうという事例も発生しています。事前に患者さん、クライエントさんへの吃音の説明が必要になります。この場合も同僚や上司がワンクッション説明を入れることが重要です。

また、吃音を持った当事者が医療従事者など、警察官、自衛隊、消防士、国家資格や専門資格などを目指す場合。吃音当事者学生を受け入れる学校、大学や専門学校等は、研修所、実習先にも合理的配慮を求めるときに助けてあげてください。




以上のように様々な合理的配慮が今のところ考えつきます。
話すこと発話することの配慮だけが必要です。それ以外はおそらく大丈夫だと思います。

※しかしながら、吃音当事者には吃音だけではなく、自閉症スペクトラムやADHDなどの一般によく知られている発達障害を持っている場合もありますので、この場合はその発達障害特性にも配慮をする必要もあるかもしれません…。

何れにせよ、当事者と雇用する側がその都度、その人その人ごとにカスタマイズ就労について話し合い考えることがとても重要なステップになります。吃音はその人それぞれにより症状が異なります。また吃音当事者の主義主張によっては合理的配慮をたくさんされるよりも、吃ったまま仕事をしても怒らない環境、笑われない環境を希望する場合もあります。一律にこうすれば良いという正解はありません。雇用する側の譲歩できる部分、当事者側の希望する部分。これらをじっくり話し合い落とし所を見つけてお互いが納得できる気持よく仕事ができるようになることが重要です。

まずはスモールステップアップで吃音者の雇用事例が日本全国で集まっていくことを期待します。その際は吃音の障害者認定反対派の妨害工作もあるかもしれませんが気にせず冷静な対応をしましょう。

■7. 就労移行支援事業所は吃音者とどのように向き合うか?
2014年7月から突如として吃音が発達障害者支援法に含まれていると定義されていますと発表があり―。しかし吃音以外の発達障害の業界では吃音が発達障害者支援法に含まれていることはそれ以前から知られていたようです。就労移行支援事業所の職員でもそれを理解している人はいるかもしれません。

さて、今後は、発達障害者の就労移行支援に吃音者が入るようになります。就労移行支援事業所によっては吃音者が利用申請をしてくる場合もあるでしょう。成人しても吃音が治らずに継続する吃音者は全人口の1%に世界中に存在していると言われています。吃音者への就労支援は一般に言われる発達障害を併存している場合もありますので、その部分については既存のメニューで対応ができるでしょう。

問題なのは就労移行支援事業所内で、吃音をどのように扱うのかです。これは6番でも説明したように合理的配慮を提供するのか?などを考えなければいけないでしょう。

吃音当事者が吃音だけではなく一般によく知られている発達障害を持っている場合もありますので、その部分については現在のノウハウが利用できます。

その他にも就労移行支援事業所が営業や案内やセミナーを企業団体向けに行うときに、企業側、雇用する側の吃音者への本音をどれだけ聞き出せるか?ということも重要です。そしてその本音を吃音者や吃音当事者団体に気付いてもらうことも必要です。しかしながら吃音者は障害受容ができていない場合も多く時間がかかる場合もあります。かなりのミスマッチが起こることが想像されます。

■8. 障害者手帳を持っていないのに合理的配慮を宣言された場合、雇用する側は不採用を決断する 採用したが失敗した場合 事案紹介 事例紹介
※全ての事例や事案がそうだとは限りません



1.
「吃音者の人が障害者手帳を持っていないのに。合理的配慮をしてくれ」と言ってきたので、面接では合理的配慮をしたが、後日不採用通知を出したということだ。理由は障害者手帳を持っていないから、障害受容ができていないから、他の障害者に何か悪影響を及ぼすような気がしたという。

一度非公式に「障害者手帳のコピーを今度持参してください」と伝えたが「吃音は障害ではありません。個性です。仕事上問題はありません。私は吃音で障害者手帳を取る予定はありません。」と自信満々に言われたため、『あぁ。これが講演会や勉強会でよく出てくる障害受容ができていない人か。入社後もトラブル起こしそうだし、すでに働いている障害者に個別の障害についてあれこれ説教し始めそうだから不採用』という結論にいたったという。

2.
カミングアウトしてきた吃音者が面接に来たので、障害者手帳を持っていれば、障害者枠で採用できると水面下で伝えたが、応じなかった。吃音は障害じゃない!と反論してきた。採用は見送った。

「私の団体では、吃音のある人とも一緒に働きたい。とは思っている。でも障害者手帳を持っていない吃音者が本当にいるとは思わなかった。残念だ」という。

合理的配慮をする以上。法定雇用率に計算できること、という部分については吃音者側にも理解してほしいのだけど残念だという。

3.
障害者手帳を持っているが、不採用になった吃音者。
障害者手帳を持っている吃音者が障害者枠で応募してきた事案。
合理的配慮の希望と法定雇用率の問題はクリアできたが、吃音者側が「障害者枠の仕事じゃなくて。一般と同じ仕事がしたい。なぜ接客や営業をしてはいけないのですか?なぜ喋る仕事をしてはいけないのですか?吃音者に対する差別ですか?機会を奪うなんてズルい。吃っていても総理大臣やアナウンサーや医者や営業がいる。接客や営業だって経験したい」と面接段階で意見を述べていたため、不採用通知を出したという事案。

これも吃音者側と雇用する側のみミスマッチです。
現在、吃音業界、吃音当事者団体では、東証一部上場企業や国家公務員、地方公務員に就職して活躍する人もいるため。成功した吃音者がやっている仕事や職務を遂行したい!という若い学生、新卒就活をする吃音学生が多いことと条件が合わないという事案。

たしかに発達障害という概念が世界に生まれる前は「ちょっとあの人変だよね」という人は就職できていたが、2017年現在の就職活動は件の障害者発見試験や面接、グループ面接、グループ討論、などに「発達障害傾向のある人」をなんとかしてあぶり出す手法が販売されているため、一般枠で発達障害者が隠して応募してもなかなか突破するのは難しい。ましてや吃れば一発でバレる吃音者にはハードルが高い。

そこで障害者枠で就活している吃音者が出てきたが。吃音のある先輩達、パイオニア達がやってきたこと、同じ仕事をしたい。機会を提供しないのは差別だ!という雇用する側が用意した仕事をしたくない!差別だ!と衝突につながる事案が発生したという。

雇用する側としては無理に話す仕事はしなくていいので、社内に限り電話や通信はまかせるけど、積極的に表舞台では活躍しなくていい。もっと他にも仕事があるから、こっちを一緒に頑張っていきたいと吃音者側に伝えても。吃音者側が拒否する、その仕事しかさせないのは差別だと反論してきたという事案だ。雇用する側としてもトラブルになりそうな人は最初から雇用したくないというのだ。たとえ障害者手帳を持っていたとしてもだ。

4.
採用後の事例。雇用側が吃音だけ配慮する予定で採用計画を考えており無事入社した吃音者。しかし吃音以外に、発達障害があることがわかり雇用側が「採用ミス」だと社内で一致した事例。吃音者は社内ニート扱い。

採用時に吃音者は吃音のことしかカミングアウトしておらず、雇用側も吃音だけだと思っていた。しかし、発話発語のコミュニケーションよりも空気や気持ち、雰囲気、ホウレンソウが原因となる問題が多発。時間配分や時間を守ること、ケアレスミスなども多い。独自ルールが社内ルールよりも優先されるなどのトラブルも。

吃音以外に広汎性発達障害、ADHDがあることが後に判明。雇用側は採用時に見抜けなかったのかと問題に発展。

吃音者は純粋吃音だけではないと障害者の人事採用、障害者の就労移行支援など支援者や就職エージェントなどの間で支援困難事例として現在情報共有されている。

5.
採用後の事例。せっかく障害者枠で採用した新卒吃音者が4ヶ月で辞めた。
障害者枠で採用した新卒学生の吃音者。意欲も高く採用したが。入社の後の新人研修期間、組織の人事制度、給与面、キャリアアッププランなどに不満があったらしい。吃音ではない発達障害の新卒学生は黙々と仕事を続けているのを見ると吃音の人は今後、採用対象から外すという判断をせざるを得ないことになる。発達障害の新卒学生は就労移行支援事業所に行っていた経緯もあるので支援者が間にいることが影響しているのかとも反省。「不安」や「希望」などを聞いてくれる支援者のワンクッションがここまで大切だったということが判明した残念な事案。

障害者枠で入った新卒学生がたった4ヶ月で自分勝手に辞めていった事案は、今後吃音者の就職活動全般に、後輩吃音者にとても不利になるだろう。採用にもコストがあるということを吃音者側が理解しないとならないだろう。また、吃音者も就労移行支援事業所経由でないと採用が難しくなるだろう。自分勝手に辞めてしまう衝動性からADHDもあるのではないかとも思われる。吃音者の採用をお考えの企業様、公的機関様に悪い印象になったことは間違いない。

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2016年7月10日日曜日

吃音者や吃音当事者の家族にはレイシスト(差別主義者)がいる? 吃音を病気や障害と認められない人々の実態とは? そのワケ

吃音者や吃音者の家族・親戚縁者、学校の先生には吃音を病気や障害ではないと考える人もいます。
その理由は、簡単です。病気や障害がある人は劣っているからです。
彼らに人権は無く、幸せになる権利はないと思っているのです。

吃音の子どもを持つ保護者のみなさんは本当に注意してください。
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/11/blog-post.html



しかし逆に考えれば恐ろしい事です。
吃音者の世界を外部から見ればこのように見えます。
「吃音者って話すことが大変で困っているくせに、私たち●●障害、●●難病より優れていると思っているワケ? 白人至上主義のように吃音者至上主義とかあるのかな? 吃音者ってナチス・ドイツのように他の困っている人たちを下に見ているんだね。悲しいね」と話す人もいます。現在、吃音以外の障害や病気、難病がある人は徐々にですが、吃音者団体や吃音業界の異様さ、異質さ、特異さに気付いてきています。

吃音者は自分たちが障害者である、障害者手帳の交付対象であることを、とても嫌う人が多いです。その際必ず吃音者は他の障害者や難病の人たちが「幸せではない」、「結婚できない。子孫を残せない」、「国のお荷物、税金の世話になっている」、などと世迷い言を述べる人がいることも事実です。


集英社の週刊プレイボーイでもフジテレビのドラマラヴソングに合わせて、吃音の記事が全部で3回掲載されました。その中でこのような記事がありました。ラヴソングを監修した菊池良和医師によると吃音は身体障害者? 発達障害者?ということで揉めているのが吃音者業界とのことです。厚生労働省の考えでは2005年以降は吃音は発達障害として対応するとしています。ただ、吃音者がその現実に向き合うことができないのが問題の本質なのですが…。

もう1人、川端さんというラヴソングで演技指導をした大学生が述べています。
吃音が障害じゃない、差別が嫌だという人は、逆に他の人達を差別しているのではないか?




これから社会に出るにあたり、不安を抱える河合さんだが、吃音について理解される世の中になってほしいと願う半面、吃音が「障害」とみなされることには懸念があると述べる。
「『障害』って、一生治らないってことでしょう? でも、吃音はいつか治るかもって思っていたいから、だから『病気』って思いたい。見た目では健常者と変わらないし、『自分は他の人とは違う』って一線を引きながらも、健常者向けに作られた社会の中で健常者のフリをして生きていくしかないんです」
「吃音は障害か? 病気か?」をめぐっては、当事者の間でも意見が分かれている。吃音の症状はひとりひとり違い、症状が軽減する人もいれば、継続する人も存在し、症状の程度もグラデーションのように一様ではないためだ。
当事者間の認識も一枚岩とはいかず、「『障害者』だとひとくくりにされるのは抵抗がある」という意見の人もいれば、「障害だと認めて、配慮や支援を求めるべき」という意見もあり、両者の主張は平行線だ。
菊池医師は、医師としての立場から以下のように述べる。
「もちろん、当事者本人が自分で『これは個性や癖のひとつだ』と肯定的に捉えていただく分には構わないですし、私も診察室では『話し方の癖なんだよ』と説明することもあります。ただ、医学的・法律的にどこかで線引きをしないと、治療や支援の対象にならないため、米国精神医学会の診断基準(DSM-5)では、吃音は『小児期発症流暢障害』に分類されていますし、2005年に施行された『発達障害者支援法』の中では『発達障害』に含まれています」
また、仮に「障害者手帳」を取得するにしても「身体障害か、精神障害か」についても意見が分かれるという。過去に吃音が身体障害者4級として認められた事例もあり、「吃音は身体障害に含まれる言語障害だ」と捉えている当事者からすれば、精神障害や発達障害に分類されることに抵抗がある人も多い。
前編に登場した川端鈴笑(すずえ)さん(20歳・大学3年生)の場合、連発と難発の症状により、大学生活に支障が出ているため、障害者手帳を取得している。
「当事者がどんなに『困っている』と訴えても、障害者手帳のような公的な証明書がないと、大学側からは吃音で学校生活に支障が出ていると認めてもらえないし、合理的配慮も得られない。ただ現状は、吃音だけで障害者手帳を取得するのは難しいようです。私は発達障害の一種、ADHD(注意欠如・多動性障害)も併発しているので、精神障害者手帳で取得して、吃音について付記している状態です」
実は近年、川端さんのようにADHDなどの発達障害と吃音を併発する人々も存在することがわかってきた。
「『吃音は障害じゃない』『差別されるのが怖い』と言い張る吃音者もいますが、それって“逆差別”ではないでしょうか? 『障害者と一緒にしないで』って言っているのと同じですよね。だから、もし変えるなら『障害』に対する社会の意識を改革していくべきだと思いますし、私も当事者として、そこを伝えていきたい」(川端さん)
http://wpb.shueisha.co.jp/2016/06/13/66583/




この原因はなんでしょうか?
1.吃音の障害者認定絶対反対派の当事者団体に所属している。(大阪や東京に存在。その他にも少数の都市に) 吃音が障害や病気であって政府の世話になるなんて恥である。成功している吃音者は存在する! (間違えてこの団体に吃音で障害者手帳がほしいと相談にいけば、阻止されるのである)

2.吃音のある子どものお父さんお母さん、お祖父さん、お祖母さん、親戚縁者の勤務している官民問わず企業団体に吃音者が働いていない。働いていたとしても世間一般でいう「普通の生活」ができていない。吃音はバカにされる。

3.吃音のある子どものお父さんお母さん、お祖父さん、お祖母さん、親戚縁者の勤務している官民問わず企業団体に障害者が働いているが、障害者の給与は安い、ローンが組めない、ということは自分たちのように結婚して子ども産んでマイホームをローンで購入できない。吃音者も障害者も難病者もみな不幸だ。

4.仮に吃音が障害だとしても「精神障害(発達障害を含む)ではない。精神障害や発達障害のように吃音者は頭がオカシイわけではない。無差別殺人をするわけでもないし、統合失調症(精神分裂病)とは違うんだ! 吃音は身体障害者だ!」と発言してしまう人まで存在します。

5.近年の研究で吃音は遺伝することが判明しており、例えば、お父さんかお母さんが吃音。母方や父方の親戚縁者に吃音者がいる。故に、吃音という遺伝子を子どもに与えてしまった自分や家族を恨みつつ、その矛先を吃音の子どもや他の障害や難病で困っている人にぶつけてしまう。


このように色々な原因があります。

そうだ!!
吃音は病気でも障害でもないんだ!
私は吃音があっても堂々と吃る。でも、障害者手帳や国の税金の世話になんてならないぞ!
となる人もいるわけです。

お子さんが吃音者の場合は子どもを厳しく育てよう。吃音を治させよう。吃音があっても成功している人だけを見せよう。となってしまうのです。お父さんもお母さんも障害や病気、難病がある人を可哀想な人と教育されて大人になったかもしれません。その価値観と視点でみれば、子どもの吃音に厳しくあたるかもしれません。お父さんお母さんは将来子どもが人生で失敗するかもしれないときのために、住居の確保や生活費の確保もしておかなければいけないでしょう。就職活動に失敗するかもしれません。お父さんお母さんと同じ生涯賃金や生活レベルを維持することが困難かもしれません。

吃音は精神障害・発達障害ではないと言いはる吃音者も存在しますが、この人達は日本政府にちゃんと障害者運動を起こしたのでしょうか? 2016年現在、40代、50代、60代、70代、80代、90代の吃音者の先輩方は 「吃音は程度に関係なく身体障害者手帳を取得できるように」と運動したのでしょうか? 実際はしていません。そのツケが2016年現在に回ってきているのです。2005年の発達障害者支援法に吃音が含まれていることを見落とすくらいなのです。もっと早く昭和の時代に吃音者が政治運動をしていればもっと別の結果があったはずです。

◆吃音業界に蔓延る 参考の発言例
「吃音は障害ではない」
「吃音は障害でも病気でもない個性。実際に活躍している先輩がたくさんいる。上手くできないあなたが悪い。」
「吃音が精神障害者保健福祉手帳の交付対象なのは許さん。吃音は身体障害だ」
「吃音が自閉症やADHDやLDなどと同じ発達障害だというのは許さない」
「精神障害者や発達障害者って頭がオカシイ人たちですよね。吃音がそれと同じと世間から思われたら困る」
「精神障害や発達障害は犯罪を起こしても無罪でしょ。よくニュースになるよね。吃音は違うよね」
「障害者はかわいそうな人。吃音のある人はかわいそうな人ではない」
「吃音は他の障害者より優れている。他の障害児者より吃音は上だ」
「吃音で困っているとか社会保障制度、障害者手帳や障害者雇用が
必要なら、新しい団体つくれば。言友会には困っている人はいない」
「吃音で困っているからといって、社会保障制度、障害者手帳、サービス受給者証、障害者枠雇用などなどを利用するのは恥である。逃げである」
「吃音が発達障害だなんて、(一般に言われる)発達障害の人たち方が困るよね。迷惑だよね」
「発達障害者支援法に吃音を厚生労働省が勝手に入れたんだ」
「吃音が発達障害(神経発達障害群)であることは世界を見てもそんなエビデンスのある報告をしている研究者は存在しない」
「吃音が発達障害者支援法に含まれていることが周知徹底されることは
不利益しかない。私の生活はどうなるんだ」
「勤務先から吃音があるから障害者手帳をもらってこいと言われたらどうすんだ!」
「職場で障害者雇用の発達障害がいるけど使い物にならない。吃音もそれと同じだと思われた困る」
「JDDネットに加盟するイコール吃音が発達障害だと認めることになってしまう。そんなことはさせないぞ。吃音は発達障害じゃない。」
「吃音は訓練して治すもの。社会の側がどうこうするものではない」
「吃音で困っている人がいても関係ない。私の生活が第一!吃音で困っている人なんかどうでもいい」
「吃⾳に⾒られる⾮流暢な発話の背景には⾃閉症スペクトラム障害、注意⽋陥多動性障害、学習障害で⾒られるような内的・⼼理的問題が存在していると⾔う誤解を招き、吃⾳に関する啓発を推進するための妨げとなる可能性があります。」と発達障害児者は内的・心理的問題持った人達だと決めつける言語聴覚士まで存在します。

◆吃音業界は今後どのようになっていくのでしょうか?

筆者の予測では、障害受容のできた障害者手帳を持った吃音者が今後増加すると思います。官民問わず企業団体の人事部は障害者手帳を所持している法定雇用率に計算できる吃音者を積極的に採用していきます。そしてその情報がどんどん採用する側で広まっていけば、吃音者も障害者手帳を取得しようと思う人が増えるからです。この人達がロールモデルとなり50歳60歳70歳くらいになったころには吃音業界の常識が変化しているかもしれません。

そして、1番大切なのは吃音者は吃音以外の障害者や病気、難病者と連携するべきです。そして、社会的障壁を持った人たちが幸せでないと感じるならば、連携して日本社会の法律やシステムを変化させるように行動すればよいのです。障害者の権利に関する条約の第4条にはそのことが明記されています。 吃音者の問題を吃音者だけで考えると暴走してしまいます。暴走どころか思考停止状態になることもあります。(2013年の北海道の吃音看護師さんが自殺したことは避けられたことなのです。発達障害者支援法に吃音が定義されているなら法律という武器があったのです)

現在、吃音のある言語聴覚士が増えていますが、今後は吃音のある社会福祉士や精神保健福祉士が増加すると予想します。そもそも吃音は障害であるし、医学モデル医療モデルとして吃音治す訓練をするよりも、適切な相談支援をできる社会福祉士や精神保健福祉士の仕事が増えるからです。吃音があったままでも生きていける社会モデルがこれからできあがっていくのです。
適切な相談支援(ソーシャルワーク)とは、吃音者やその家族に360度全ての生きる選択肢をみせる事です。自分の主義主張が吃音の障害者認定反対だから、相談に来た人が障害者手帳を取得したいと言っても諦めさせようとする。こういうことではダメなのです。全ての選択肢を提示して相談して決めていくことが求められるいくでしょう。


吃音があるけれど成功している吃音者の人は、その経験をアドバイスすることや体験談を話すことも重要です。しかし、1番大切なのは、成功しているあなたにしかできないこと。困っている吃音者や若い吃音者のために、もっとその道を開拓して拡げて整備することです。成功している吃音者の人はあなたの所属する組織の総務や人事に吃音の啓発をしましょう。吃音者を積極的に雇用するように働きかけましょう。説き伏せて口利きしましょう。自分自身の安息の地、安定した場所を他の吃音者に入ってこられたら困る!なんて考えは捨てましょう。吃音があって成功している人ほど、困っている吃音者や若い吃音者に間接的なアドバイスのみで済ませようとします。美談や努力で済ませようとします。それを改めましょう。本当に志があるのならば、所属する団体(職場の人事に)が吃音者を受け入れるように説明、あなたが経営者なら積極的に吃音者を雇用するようにしましょう。直接的な目に見える行動をしましょう。


今後の若い吃音者10代、20代、30代の吃音者には、もっと他の障害者や難病者など社会的障壁のある人たちと連携してほしい。絶対に吃音以外の社会的障壁を持った人を見下さないでほしい。社会的障壁のある人に不利益なことがあるならば障害者の権利に関する条約や日本の障害者に関する法律をよく勉強して、それこそ他の人達と連携して日本社会や政治を変えていってほしい。
吃音は障害じゃないし、困っている人は困っていればいいじゃん。関係ないよ。という価値観にならないでください。

そしてその若者たちの背中をお父さんお母さんは応援してほしい。お父さんもお母さんも本当はご自身が働く職場の社会的障壁のある人の現実を理解しているのでしょう? そうであるならば吃音から逃げるのではなく、吃音は他の人より優れているのだと思い込むのではなく、吃音と正面から向き合ってほしい。次の世代の吃音者の親、当事者に同じ辛い経験はさせたくないでしょう? 今からでも遅くありません。

【吃音Q&A 保険診療で!】病院に行けば言語聴覚士の吃音訓練などは保険診療ができる 自由診療の高額な言語聴覚士の吃音商法に気をつけて 

2014年以降、吃音が日本社会に徐々にですがニュース報道されるようになってきました。
フジテレビでは2016年の4月スタート月9で『ラヴソング』という自動車整備士の吃音女性がドラマに登場しました。このドラマは視聴率から見れば失敗作かもしれません。メディアの記事もドラマ叩きも多かった印象が残ります。しかし、吃音者の喋り方、話し方をとても丁寧に描写していて、本物の吃音者ではないかと錯覚させるほどです。


このドラマの中で、言語聴覚士でスピーチクリニックを経営している水野美紀さんが演じる宍戸夏希という言語聴覚士が登場しました。ドラマでは彼女の経営するスピーチクリニックの『料金が明示』されていませんでした。


今回、とりあげるのは吃音の保険診療です。
現在、吃音はグレーゾーンとして、一般人や言語聴覚士が自分で勝手に吃音を治します。訓練しますなどと掲げてクリニックを経営している場合があります。このグレーゾーンの理由は患者を診察しない、患者に触らない、これがあるためです。患者と会話をして吃音を治したいというのでその利害が一致したからその方法をただ教えるというグレーゾーンです。厚生労働省によると、このような病気商法、障害者商法は情報として把握しているとのことです。吃音以外の発達障害向けのハンドヒーリングや花のエキス、発達障害用マッサージなども同様です。



ここで一度言語聴覚士法を読んでみましょう。




◆言語聴覚士法
(平成九年十二月十九日法律第百三十二号)

最終改正:平成二六年六月一三日法律第六九号


  第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、言語聴覚士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もって医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律で「言語聴覚士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう。
   第二章 免許

(免許)
第三条  言語聴覚士になろうとする者は、言語聴覚士国家試験(以下「試験」という。)に合格し、厚生労働大臣の免許(第三十三条第六号を除き、以下「免許」という。)を受けなければならない。
(欠格事由)
第四条  次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一  罰金以上の刑に処せられた者
二  前号に該当する者を除くほか、言語聴覚士の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
三  心身の障害により言語聴覚士の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
四  麻薬、大麻又はあへんの中毒者
(言語聴覚士名簿)
第五条  厚生労働省に言語聴覚士名簿を備え、免許に関する事項を登録する。


   第四章 業務等

(業務)
第四十二条  言語聴覚士は、保健師助産師看護師法 (昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項 及び第三十二条 の規定にかかわらず、診療の補助として、医師又は歯科医師の指示の下に、嚥下訓練、人工内耳の調整その他厚生労働省令で定める行為を行うことを業とすることができる。
2  前項の規定は、第九条第一項の規定により言語聴覚士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。
(連携等)
第四十三条  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、医師、歯科医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り、適正な医療の確保に努めなければならない。
2  言語聴覚士は、その業務を行うに当たって、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者に主治の医師又は歯科医師があるときは、その指導を受けなければならない。
3  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者の福祉に関する業務を行う者その他の関係者との連携を保たなければならない。





どうでしょうか?
言語聴覚士は国家資格であり厚生労働省に名簿を備えているのです。
医師または歯科医師の指示の下に訓練ができる。


そして

【第四十三条  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、医師、歯科医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り適正な医療の確保に努めなければならない。】


緊密な連携を図り適正な医療の確保に努めなければならないのです。保険診療しなければいけないのです。これが法律なのです。しかしこれらを守らない言語聴覚士がいます。
吃音の訓練をする言語聴覚士の中には一匹狼で、医師や歯科医師と連携しない不逞の輩が存在します。もちろん医師や歯科医師の指示ではないので、病気や障害の診断はできないのに、勝手に言語聴覚士の判断と来院者の主訴だけで決めてしまう危険もはらんでいます。



吃音で困っているお父さん、お母さん、お子さん。家族のみなさん。
くれぐれも保険診療をしない吃音クリニックにはいかないようにしてください。何かあったときに責任もとれません。
そもそも言語聴覚士の資格を持っているのに言語聴覚士法に従わない言語聴覚士にお金を落としてはいけません。必ず病院医師と言語聴覚士、保険診療できることの確認をしてください。

言語聴覚士単独で自由診療営業しているクリニックの言語聴覚士はそもそも医師や歯科医師と連携することをコミュニケーションを怠っているのです。本当に志ある、法令遵守する、言語聴覚士であれば『医師や歯科医師と交友関係をもち、自分を売り込んで、その病院に所属する。』などを考えるものです。医師と交友関係がないという部分はコミュニケーション能力に何か課題があるのかもしれません。

保険診療しない。厚生労働省の医系技官がグレーゾーンだと指摘することを自由診療で行っている言語聴覚士のクリニックがあれば「その住所のある保健所に通報」できます。保健所に通報されることになれば、保健所も指導します。指導後に改めるかどうか別として行政が動向を注視します。

また、これ以外にも、吃音という困り事につけこんで、ありとあらゆるコンプレックス商法や霊感商法が行われる事例もあります。くれぐれも気をつけてほしいのです。

2016年1月4日月曜日

【重要】ありとあらゆる場所に吃音を相談する場合 絶対にしてほしいこと

いま、この記事を読んでいる人に必ず覚えておいてほしいこと。
実行してほしいことを書きます。

これから、吃音者、その家族のみなさんは吃音の相談をどこかにしますね。
どこに相談に行きますか?

市区町村の障害福祉課ですか?
学校や先生ですか?
ハローワークの窓口ですか?
病院窓口ですか?
医師ですか?
幼稚園や保育園へですか?
都道府県別ごとにある XX言語聴覚士会ですか?
就職活動の応募先ですか?
今、働いている職場ですか?


先に伝えておきます。
吃音の相談をすると、とても辛い経験や嫌な思いをします。
人権侵害を受けることもあります。
残念ながら吃音当事者や当事者団体は政治運動、障害者運動などをしていなかったため、2016年現在でも吃音者やその家族を取り巻く環境はそうなのです。

それに泣き寝入りすることはありません。
法律に従ってビシっと反撃してください。
苦情や懲戒を求めるなど。
あまりに悪質な場合は地方議員や議会、国会議員に情報提供すること、新聞社に情報提供することも視野に入れてください。



★必ず 吃音の相談内容をボイスレコーダーやICレコーダーで録音してください
・電話の場合はスピーカーホンモード、ハンズフリーモードにして、双方の会話を録音してください。
・対面での相談は、「相手にわからないようにして録音」をしてください。
相談する部屋に入る前から、ずっと録音モードにしておきましょう。勝手にオフにならないようにホールドモード、固定モードにしましょう。

秘密録音については意見はありますが、行ってください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%98%E5%AF%86%E9%8C%B2%E9%9F%B3

ボイスレコーダーはSONY製品のスタンダードモデル以上がオススメです。また、ソニーの編集ソフトが使いやすいのも理由です。カカクコムで調べてください。


★Eメールなどメッセージで相談をする場合は、履歴を保存しておきましょう
メールやメッセージで相談する場合は送受信履歴を保存しておきましょう。
後々の管理の容易さから携帯電話のメールよりも、パソコンのメールアドレスやGmailなどがよいでしょう。



★★音声証拠や文字証拠を残さないといけない理由について
吃音の相談をする場合、なぜこんな面倒なことをしないとならないのでしょうか?
1番は「言った・言わない」問題です。
人間は平気で嘘をついたり、しらばっくれます。
例 学校に吃音の相談したとして、全ての先生に伝わっていると約束したのに。
伝わっていなかった例。それによって心に深い傷を残すかもしれません。

2番目は「2005年から始まっている発達障害者支援法に吃音が含まれていること、よって、他の発達障害者のように全く同様の公的支援や福祉、合理的配慮を受けることができること」を相談相手が知らない問題です。
2005年から始まっている発達障害者支援法については国や地方公共団体、公立や国立の病院や大学病院、学校。その他税金により運営されている団体において発達障害者支援法は、理解していないとなりません。わからないとか読んでないという回答は許されません。2016年現在にもなって知らないということは許されません。一般企業や私立の学校ならば仕方がないかもしれませんが。


その他、このような理由があります。
下に書くような、「ひどい扱い」を受けた時に、証拠として、地方議会や国会や都道府県庁や厚生労働省や内閣府に相談するときの証拠になるからです。

1.吃音のことを市区町村に相談したが
吃音は障害ではありません。吃音が障害者という法律はありませんと窓口で追い返される。

残念ながらこのような職員の方が存在します。
音声データが証拠になりますので。苦情を申し立てることや地方議員や議会に持ち込みましょう。


2.吃音を診療する病院を探しても探してもない
一向に見つからない。どこに相談しても、そのようなものは無いと言われる。地方公共団体、自治体、の職員に吃音を診る病院なんてないよと言われる。

2005年に始まった発達障害者支援法が守られていない 都道府県は発達障害(吃音も含む)を診療する病院を整備しなければならない。都道府県ごとに最低一つは吃音の専門病院がないといけないはず。2016年になっても存在しないなんておかしい。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO167.html
(専門的な医療機関の確保等)
第十九条  都道府県は、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければならない。
2  国及び地方公共団体は、前項の医療機関の相互協力を推進するとともに、同項の医療機関に対し、発達障害者の発達支援等に関する情報の提供その他必要な援助を行うものとする。
3.病院がみつかった
しかし電話窓口で「ウチは吃音を診療していますよ」と言ったのに、実際は吃音なんて診療していません。と病院に行ってから冷たく言われる際の証拠。

4.吃音を診療するという病院が見つかった
しかし病院に行ってみると、「ウチは吃音で障害者手帳なんて人は相手にしないから」 「ウチは吃音は訓練すれば治るってことだから」 「吃音で障害者手帳なんて甘えだ」 という理由で障害者手帳申請書類を書いてくれない病院・医師のドクターハラスメントに対抗するための証拠。吃音当事者の中にはやっとみつかった病院に行っても医師や言語聴覚士や看護師などからドクハラなどハラスメントを受けたという人もいます。

5.ハローワークで吃音のことを相談したが、まともに取り合ってくれない

発達障害者支援法が周知徹底されていない証拠。

6.就職活動で応募先に吃音の配慮を求めたが、まともに取り合ってくれない
または差別発言が出てくる。

発達障害者支援法が周知徹底されていない証拠。だが民間企業であれば丁寧に丁寧に説明したほうがよい。
 吃音者への差別事例
「吃音? なんだそれ?」

                『………どもることです…』 

「あぁー どもりか!! お、お、お、お、おにぎり食べたいんだな(笑) アレだろwwwww」
「うーん。言葉が上手く話せない人に仕事はないよ。」
「話さない仕事探したほうがいいんじゃない?」
「あなたのせいでさ、他の人の面接時間が奪われているんだけど理解できる?ねぇ?わかる?それ職場でもやるの?許されると思ってる?トヨタ生産方式のムリ・ムダ・ムラって理解できる?時間のムダって知ってる??」
「あなたが吃っている間に、こっちはずっと待っていろってこと?冗談じゃない!バカも休み休み言え!」
「どもるならウチでは不採用だね(笑)」
と言われた場合に対抗する証拠。
ただし、「給与を貰う立場」なので、あまりに権利を主張しすぎると、企業側に情報共有されてブラックリストに入るのでオススメしない。

7.幼稚園 保育園 小学校 中学校 高等学校 大学 専門学校 高等専門学校 などに吃音について説明する場合

教育課程では私立や国公立の違いはある。しかし教育現場で発達障害を知らないのは2016年現在だと異常である。国公立学校なら発達障害者支援法は理解していなければならない。

2016年現在、学校や学校の先生に吃音の説明や合理的配慮を求めようとして相談したが。
吃音のことをそもそも知らないという教職員が存在する。今は2016年である。
なぜ、吃音当事者や保護者養育者が0から100まで丁寧に説明しないといけないのだろうか?
よくインターネット上の相談に「学校に子どもの吃音の説明をしたが、とても苦労した。疲れた」という心労が書き込みされる。

だがこれは異常事態なのである。繰り返すが、今現在は 2016年 である。
発達障害者支援法は2005年から動いている。

本当ならば教職員は「吃音のいろは・利用できる公的な支援や福祉」について理解していて、「私にまかせてください!! それからお子さんへの合理的配慮はどれくらいにしますか?一つ一つの場面について話し合いましょう」と教職員は胸を張って言わないとなりません。

社会人になる前の、児童生徒学生の身分ならば、「お金を払う立場」なので権利を主張しすぎても大丈夫。モンスターペアレントにはならないように。


答え
発達障害者支援法が周知徹底されていない。
吃音は障害者ではない派の主義主張の染まりきっている教職員の場合。
の2点が考えられます。特に「吃音の障害者認定反対派」に洗脳されている偏向している教職員の場合は、証拠をもとに教育委員会に苦情の申したてをしたほうがよいでしょう。
教育現場は中立で公正公平でなければいけません。教職員が障害者認定反対だからといって、発達障害者支援法にもとづいて、行使できる公的な支援や福祉や合理的配慮があることの情報を当事者、保護者や養育者に教えないことは異常事態です。吃音当事者の人生の機会損失です。選べる道、選択肢はいつでも使えるという安心感を持ちつつ、失敗をしたり、挑戦すればいいのですから。それでも社会人になるとき・その2年前くらいに吃音で苦労するなら障害者手帳を取得すればいいのですから。