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2016年10月26日水曜日

2016年10月22日、東京で開催された吃音啓発の日レポ 厚生労働省 日詰正文氏講演 吃音と発達障害者支援法

2016年10月22日。東京都北区の赤羽北区民センター(ふれあい館)にて、国際吃音啓発の日に合わせたイベントが吃音者の当事者団体である『東京言友会』と『千葉言友会』の主催で開催された。

国際吃音啓発の日は「International Stuttering Association」などが1998年に定めた世界的な啓発デーだ。毎年4月に行われる世界自閉症啓発デーのような認知度はまだないが日本でも認知度の向上が今以上に望まれる。

2016年春、福山雅治さん藤原さくらさんが出演したフジテレビ系列の月9ドラマ『ラヴソング』で登場人物女性が吃音であったことにより世間でも認知度はあがった。

吃音とは発話・発声するときに自分の思うように言葉が出てこない障害だ。
例えば「おはようございます」が吃ることにより、『お、お、お、お、お、お、おはようございます』という連発。『(口がパクパクしたり、または口や唇が震えたりしながら)なかなか言葉が言えず(お お お お お お お お お お お)  おはようございます』という発話まで時間がかかる難発。『おーーーはようございます』という伸発の3つが吃音だ。

吃音は当事者によって異なるが言葉のみではなく吃音者の顔の表情が歪む、白目を剥いてしまう、唾液を飛ばしてしまう、腕や脚、身体の一部が意図せぬ動きになるという症状が同時に出る場合もある。



●吃音と発達障害について

このイベントでは、厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室 発達障害対策専門官 日詰正文氏が講演した。

講演ではまず最初に「発達障害者支援施策について」発達障害者支援法、一般に言われる発達障害(自閉症スペクトラム、注意欠如多動性障害、学習障害、トゥレット症候群)などの説明から、発達障害の定義、日本国内でどのような障害が発達障害者支援法に含まれているのかなどの説明があった。

吃音も発達障害者支援法に2005年から含まれていること、一般に言われる発達障害児者のように当事者や家族が希望すれば全く同様の社会保障や合理的配慮が受けられることが法的根拠を例にしながら話は進んだ。

吃音がなぜ精神障害(発達障害を含む)なのかの疑問に対してはICD10(WHOの国際疾病分類)が日本国内で診断基準になっていること、DSM5(アメリカ精神医学会の診断基準)が参考になっていること、次回更新のICD11ではDSM5と同様に吃音が『神経発達障害/神経発達症群』に分類されるであろうと説明があった。

日本政府も吃音が発達障害者支援に含まれていることを現在、発達障害者支援センター職員、医療従事者、発達障害施策に携わる職員を対象に研修を通じて実施しているという。



●吃音と障害者手帳取得について

吃音者が障害者手帳を取得するにはどうすればよいのかという疑問にも答えた。
吃音は発達障害者支援法以前の名残で身体障害者手帳4級取得の可能性があるが、その場合『ICD10コード F98.5 吃音症』と書いてはいけないと説明。理由はFコードを利用した時点で精神障害の部分になるからだ。身体障害者手帳を取得する場合は医師とよく話し合い吃音とは書かずに話せないことを表現する重要性を指摘した。


発達障害者支援法により吃音で精神障害者保健福祉手帳を取得する場合の医師が書く診断書については詳しく説明があった。症状の記入欄の他に、日常生活能力の判定という項目を医師が吃音者の話をよく聞き記入しなければならないと強調した。

吃音の場合、「他人との意思伝達・対人関係」、「身辺の安全保持・危機対応」、「社会的手続きや公共施設の利用」が該当するのではないかと説明した。

「他人との意思伝達・対人関係」であれば、吃音によりスムーズに言葉が話せないこと、相手を待たせてしまうこと、本当に伝えたいことを話せないこと。

「身辺の安全保持・危機対応」であれば、緊急事態時、吃音により絶対に吃ることが許されない状況での発話・発声が吃ってしまうこと。

「社会的手続きや公共施設の利用」であれば、窓口などで上手く話せないことにより本来の目的を達成できないこと。

以上を精神障害や発達障害を診療する医師が患者である吃音者から丁寧に話を聞き、吃音者が困っていることや出来ないことを具体的に明記できるかどうかが大切だという。

だが、一方で吃音を診療する医師や病院が少ないことも指摘した。耳鼻咽喉科医師と精神科医師の連携についても重要だという。この部分については今後、政府も研修を通じて伝えていくという。


●吃音と合理的配慮のこと

吃音児者への合理的配慮についても例をもとに説明した。高校・大学受験や●●試験などで配慮を受ける場合は幼少期からの診療とその情報の引き継ぎが重要で、いきなり『その時』になっても配慮を希望するのは難しい。子どものころからこのような配慮を受けてきた過去があるという事実が大切になるという。

2016年発達障害者支援法改正の3つのポイント。ライフステージを通じた切れ目の無い支援、家族なども含めた、きめ細かな支援、地域の身近な場所で受けられる支援だ。

例として発達障害の特性と言われる(見通しが立たないことへの不安、感覚過敏、読み書き障害、不器用、独り言、言葉が上手く話せないなど)がある場合。どのような支援(スケジュール提示、別室対応、拡大文字問題冊子、塗りつぶしではなくレ点チェック、時間延長、話し終わるまで待つ)が行われてきたのか情報をバトンタッチしていくことが大切だという。



●まとめ、感想
厚生労働省の発達障害対策専門官の話は法的根拠や制度上の説明もあり、わかりやすかった。吃音者でも全く同様の社会保障制度や合理的配慮を希望すれば受けることができること。ここがとても重要だった。

ただ、日詰氏の話を聞いていると2005年から存在していた発達障害者支援法と吃音の関係の難しさも浮き彫りになった。会場から吃音が精神障害(発達障害を含む)であることが受け入れられない、エビデンスはあるのか、どこの誰が研究した結果なのか質問があったが、日詰氏は医系技官ではないのでその場での回答は控えた。一方で、『吃音が精神障害(発達障害を含む)と分類されるのは国際的な診断基準に従っているので、そうではないと思う場合はそのように研究している研究者と協力して行動してほしい』といった趣旨を述べた。

※吃音と一般に言われる発達障害の併存事例も報告されている日本音声言語医学会の学会誌 Vol.57 No.1,2016.1
に『吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討 Developmental Disability and Psychiatric Conditions in 39 Patients with Stuttering 』が掲載
http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/02/blog-post_23.html


この部分が厚生労働省や日本政府側の正直な気持ちではないだろうかと筆者は重く受け止めた。これは日本国内の吃音業界・吃音情勢の問題だ。日本国内では吃音当事者が『吃音は可哀想な障害者ではないし支援される対象ではない。吃音を治そうとしてはいけない。病院に行ってはいけない。おたくのお子さんは可哀想な障害者じゃない。吃音は個性、吃音は神様からのギフト。吃っていても堂々と吃って生活している吃音者もいる。就職や結婚もできる。子どもも2人くらい大学にいかせるだけ稼げる。マイホームだって買える。幸せだ。』と主義主張をするグループがあるからだ。

このグループの影響なのか? 2016年8月17日毎日新聞朝刊やネットで報道した『「差別受けた」6割 「理解不十分」7割』をみた子どもたちがこのような差別発言を平然を行っているようだ。 子どもに「障害はかわいそうという感じがする」と言わせるのは本当に恐ろしいことである。神奈川県相模原の障害者無差別殺害事件にも通じるところがある。困っていることや不便なことがあるなら、障害の垣根をこえて協力して「障害はかわいそう」だという価値観を身に着けるようになってしまう、そのように成長してしまう道程や周囲の人間や社会を変化させるように行動してほしいものだ。





・ここに「発達障害」と書いてあるけれど、僕たちは、発達障害なのか。障害は、かわいそうという感じがする。どもりを障害とは思わないでほしい。僕がほかの人に自分のどもりについて言うときには、どもりのことを障害や病気だとは言わない。吃音で悩んでいる人、苦しい人にとっては、吃音は障害だというのはありがたいのかもしれないけれど、「吃音を障害と認識することが大事だ」というのは、どうかと思う。
http://www.kituonkokufuku.com/archives/2016-09.html?p=3



吃音は他の障害者や難病者や社会的障壁のある人たちより優れているのか?優生思想なのか?
この点はフジテレビ系列で放送した『ラヴソング』の吃音演技指導をした大学生がこのように話す。


「『吃音は障害じゃない』『差別されるのが怖い』と言い張る吃音者もいますが、それって“逆差別”ではないでしょうか? 『障害者と一緒にしないで』って言っているのと同じですよね。だから、もし変えるなら『障害』に対する社会の意識を改革していくべきだと思いますし、私も当事者として、そこを伝えていきたい」
http://wpb.shueisha.co.jp/2016/06/13/66583/3/


このグループの主義主張は吃音以外の障害者・団体や難病者の耳にも入っており、大変な怒りの感情を持つ方もいる。吃音者は優生思想を持っているのか? 同じ困っている人ではないのか?という感情だ。これはとても大きな問題で今後、吃音者や当事者団体が活動するにあたり、一度、謝罪や撤回を求められる事態に発展するかもしれない。その謝罪や撤回があった後に一緒に協力行動しようという気持ちの方もいるのだ。障害はかわいそうと子どもに言わせてしまう「教え」は吃音以外の人々に波紋を広げている。



そこまで強烈に障害者や難病者を劣った者とみなし見下す主義主張を持たないが、何とか吃らない処世術を身に着け、吃る頻度を減らし社会に居場所がある吃音者もいる。できることなら吃音が精神障害(発達障害を含む)と周知徹底されるのを怖れるグループだ。


裏を返せばこのように吃音当事者や吃音業界から『吃音があって困っている。吃音者にも社会保障の選択肢を――。』と障害者運動や行動、行政へ要望要請をしてこなかった経緯が2016年現在に影響を及ぼしている。

日詰氏の講演でも、「日本政府は『今』、関係各位に周知や研修をしている」、「医師や病院が足りないことの現状について」述べたがこれも裏の意味だと「今まで表立ってそれを強く実行することができなかった。当事者からの声が無かった」と読める。今までは日本政府、行政も吃音業界の異様さ特殊性を認知していたのかもしれない。

もしも2005年から吃音が発達障害者支援法に含まれていることが周知徹底されていれば2013年7月に北海道で起きた吃音看護師さんの自死も避けることができたのではないかと考えると悔しい。


講演の中で印象に残った部分がある。吃音は精神?身体?どっちの障害者手帳を取得できる?という説明部分だ。

吃音は発達障害者支援法以前の名残で身体障害者手帳4級取得の可能性があるが、その場合『ICD10コード F98.5 吃音症』と書いてはいけないと説明。理由はFコードを利用した時点で精神障害の部分になるからだ。身体障害者手帳を取得する場合は医師とよく話し合い吃音とは書かずに話せないことを表現する重要性を指摘した。

吃音はそもそも「Fコード」、ICD-10という診断基準の→F00-F99 精神及び行動の障害 > F90-F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害 > F98 小児<児童>期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害 > F98.5 吃音症

を利用する。
しかし、このFコードの吃音を身体障害者手帳申請書類に明記してしまうと。その時点で自動的に審査で却下、受理されないということだ。

仙台の吃音裁判、吃音で身体障害者手帳がほしいという内容であった。
市側の主張は「国は吃音を発達障害者支援法に定義しているので」と主張していた。
身体障害者手帳申請書類で「吃音」を明記した時点で不受理の条件を満たしているということになる。過去の吃音者の事例で身体障害者手帳4級を取得している者がいるが、その場合診断書には「吃音」と明記せずに別の症状により言葉を発することが困難であると書いているのであろう。バカ正直に身体障害者手帳申請書類で「吃音」と明記してしまうと審査の段階で不受理になることを知っている医師がいるということになる。


吃音者が「自分は吃音で障害者手帳はもらえない」と自己診断・自己判断で諦めてしまうことも問題だと筆者は感じる。一般に言われる発達障害を診療する医師のところに行き、困っていることできないこと、吃音で嫌な経験をしたことをしっかり明記すれば吃音が軽度でも障害者手帳は取得できる可能性はある。一般に言われる発達障害者でも服薬やSST、ミスをしないためのアイテムの利用などを駆使し障害者手帳を持っているがそれを隠して一般枠で働く方もいる。自分は吃音が軽度だからという自己判断で試してもみないで諦めてほしくはない。並行して吃音を診療してくれる医師や病院へ情報発信をすることも大切だろう。

吃音を診療したいと思う、精神科医師や児童精神科医師の中には、吃音がそれを偽ることもできるのでウソの演技を見抜けないのではないか? と危惧する方もいる。厚生労働省が耳鼻咽喉科医師や脳神経系医師、精神科医師のために吃音診療ガイドラインを作成することも望まれる。
ガイドラインの作成により、『そもそも病院で吃音は保険診療可能である』と認知されれば自由診療のクリニックや医師のいないクリニックに高額な吃音診療費を支払うこともなくなる。また自立支援医療の精神通院が利用できるから多くの吃音者は1割負担で通院や言語聴覚士との訓練ができるはずなのだ。

2016年これからの未来は吃音当事者も障害者団体や発達障害者団体と協力し情報発信をしていく時代ではないだろうか? また吃音者は自分たち以外のことを知ることもとても大切なことだと強く思う。

2016年7月10日日曜日

吃音者や吃音当事者の家族にはレイシスト(差別主義者)がいる? 吃音を病気や障害と認められない人々の実態とは? そのワケ

吃音者や吃音者の家族・親戚縁者、学校の先生には吃音を病気や障害ではないと考える人もいます。
その理由は、簡単です。病気や障害がある人は劣っているからです。
彼らに人権は無く、幸せになる権利はないと思っているのです。

吃音の子どもを持つ保護者のみなさんは本当に注意してください。
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/11/blog-post.html



しかし逆に考えれば恐ろしい事です。
吃音者の世界を外部から見ればこのように見えます。
「吃音者って話すことが大変で困っているくせに、私たち●●障害、●●難病より優れていると思っているワケ? 白人至上主義のように吃音者至上主義とかあるのかな? 吃音者ってナチス・ドイツのように他の困っている人たちを下に見ているんだね。悲しいね」と話す人もいます。現在、吃音以外の障害や病気、難病がある人は徐々にですが、吃音者団体や吃音業界の異様さ、異質さ、特異さに気付いてきています。

吃音者は自分たちが障害者である、障害者手帳の交付対象であることを、とても嫌う人が多いです。その際必ず吃音者は他の障害者や難病の人たちが「幸せではない」、「結婚できない。子孫を残せない」、「国のお荷物、税金の世話になっている」、などと世迷い言を述べる人がいることも事実です。


集英社の週刊プレイボーイでもフジテレビのドラマラヴソングに合わせて、吃音の記事が全部で3回掲載されました。その中でこのような記事がありました。ラヴソングを監修した菊池良和医師によると吃音は身体障害者? 発達障害者?ということで揉めているのが吃音者業界とのことです。厚生労働省の考えでは2005年以降は吃音は発達障害として対応するとしています。ただ、吃音者がその現実に向き合うことができないのが問題の本質なのですが…。

もう1人、川端さんというラヴソングで演技指導をした大学生が述べています。
吃音が障害じゃない、差別が嫌だという人は、逆に他の人達を差別しているのではないか?




これから社会に出るにあたり、不安を抱える河合さんだが、吃音について理解される世の中になってほしいと願う半面、吃音が「障害」とみなされることには懸念があると述べる。
「『障害』って、一生治らないってことでしょう? でも、吃音はいつか治るかもって思っていたいから、だから『病気』って思いたい。見た目では健常者と変わらないし、『自分は他の人とは違う』って一線を引きながらも、健常者向けに作られた社会の中で健常者のフリをして生きていくしかないんです」
「吃音は障害か? 病気か?」をめぐっては、当事者の間でも意見が分かれている。吃音の症状はひとりひとり違い、症状が軽減する人もいれば、継続する人も存在し、症状の程度もグラデーションのように一様ではないためだ。
当事者間の認識も一枚岩とはいかず、「『障害者』だとひとくくりにされるのは抵抗がある」という意見の人もいれば、「障害だと認めて、配慮や支援を求めるべき」という意見もあり、両者の主張は平行線だ。
菊池医師は、医師としての立場から以下のように述べる。
「もちろん、当事者本人が自分で『これは個性や癖のひとつだ』と肯定的に捉えていただく分には構わないですし、私も診察室では『話し方の癖なんだよ』と説明することもあります。ただ、医学的・法律的にどこかで線引きをしないと、治療や支援の対象にならないため、米国精神医学会の診断基準(DSM-5)では、吃音は『小児期発症流暢障害』に分類されていますし、2005年に施行された『発達障害者支援法』の中では『発達障害』に含まれています」
また、仮に「障害者手帳」を取得するにしても「身体障害か、精神障害か」についても意見が分かれるという。過去に吃音が身体障害者4級として認められた事例もあり、「吃音は身体障害に含まれる言語障害だ」と捉えている当事者からすれば、精神障害や発達障害に分類されることに抵抗がある人も多い。
前編に登場した川端鈴笑(すずえ)さん(20歳・大学3年生)の場合、連発と難発の症状により、大学生活に支障が出ているため、障害者手帳を取得している。
「当事者がどんなに『困っている』と訴えても、障害者手帳のような公的な証明書がないと、大学側からは吃音で学校生活に支障が出ていると認めてもらえないし、合理的配慮も得られない。ただ現状は、吃音だけで障害者手帳を取得するのは難しいようです。私は発達障害の一種、ADHD(注意欠如・多動性障害)も併発しているので、精神障害者手帳で取得して、吃音について付記している状態です」
実は近年、川端さんのようにADHDなどの発達障害と吃音を併発する人々も存在することがわかってきた。
「『吃音は障害じゃない』『差別されるのが怖い』と言い張る吃音者もいますが、それって“逆差別”ではないでしょうか? 『障害者と一緒にしないで』って言っているのと同じですよね。だから、もし変えるなら『障害』に対する社会の意識を改革していくべきだと思いますし、私も当事者として、そこを伝えていきたい」(川端さん)
http://wpb.shueisha.co.jp/2016/06/13/66583/




この原因はなんでしょうか?
1.吃音の障害者認定絶対反対派の当事者団体に所属している。(大阪や東京に存在。その他にも少数の都市に) 吃音が障害や病気であって政府の世話になるなんて恥である。成功している吃音者は存在する! (間違えてこの団体に吃音で障害者手帳がほしいと相談にいけば、阻止されるのである)

2.吃音のある子どものお父さんお母さん、お祖父さん、お祖母さん、親戚縁者の勤務している官民問わず企業団体に吃音者が働いていない。働いていたとしても世間一般でいう「普通の生活」ができていない。吃音はバカにされる。

3.吃音のある子どものお父さんお母さん、お祖父さん、お祖母さん、親戚縁者の勤務している官民問わず企業団体に障害者が働いているが、障害者の給与は安い、ローンが組めない、ということは自分たちのように結婚して子ども産んでマイホームをローンで購入できない。吃音者も障害者も難病者もみな不幸だ。

4.仮に吃音が障害だとしても「精神障害(発達障害を含む)ではない。精神障害や発達障害のように吃音者は頭がオカシイわけではない。無差別殺人をするわけでもないし、統合失調症(精神分裂病)とは違うんだ! 吃音は身体障害者だ!」と発言してしまう人まで存在します。

5.近年の研究で吃音は遺伝することが判明しており、例えば、お父さんかお母さんが吃音。母方や父方の親戚縁者に吃音者がいる。故に、吃音という遺伝子を子どもに与えてしまった自分や家族を恨みつつ、その矛先を吃音の子どもや他の障害や難病で困っている人にぶつけてしまう。


このように色々な原因があります。

そうだ!!
吃音は病気でも障害でもないんだ!
私は吃音があっても堂々と吃る。でも、障害者手帳や国の税金の世話になんてならないぞ!
となる人もいるわけです。

お子さんが吃音者の場合は子どもを厳しく育てよう。吃音を治させよう。吃音があっても成功している人だけを見せよう。となってしまうのです。お父さんもお母さんも障害や病気、難病がある人を可哀想な人と教育されて大人になったかもしれません。その価値観と視点でみれば、子どもの吃音に厳しくあたるかもしれません。お父さんお母さんは将来子どもが人生で失敗するかもしれないときのために、住居の確保や生活費の確保もしておかなければいけないでしょう。就職活動に失敗するかもしれません。お父さんお母さんと同じ生涯賃金や生活レベルを維持することが困難かもしれません。

吃音は精神障害・発達障害ではないと言いはる吃音者も存在しますが、この人達は日本政府にちゃんと障害者運動を起こしたのでしょうか? 2016年現在、40代、50代、60代、70代、80代、90代の吃音者の先輩方は 「吃音は程度に関係なく身体障害者手帳を取得できるように」と運動したのでしょうか? 実際はしていません。そのツケが2016年現在に回ってきているのです。2005年の発達障害者支援法に吃音が含まれていることを見落とすくらいなのです。もっと早く昭和の時代に吃音者が政治運動をしていればもっと別の結果があったはずです。

◆吃音業界に蔓延る 参考の発言例
「吃音は障害ではない」
「吃音は障害でも病気でもない個性。実際に活躍している先輩がたくさんいる。上手くできないあなたが悪い。」
「吃音が精神障害者保健福祉手帳の交付対象なのは許さん。吃音は身体障害だ」
「吃音が自閉症やADHDやLDなどと同じ発達障害だというのは許さない」
「精神障害者や発達障害者って頭がオカシイ人たちですよね。吃音がそれと同じと世間から思われたら困る」
「精神障害や発達障害は犯罪を起こしても無罪でしょ。よくニュースになるよね。吃音は違うよね」
「障害者はかわいそうな人。吃音のある人はかわいそうな人ではない」
「吃音は他の障害者より優れている。他の障害児者より吃音は上だ」
「吃音で困っているとか社会保障制度、障害者手帳や障害者雇用が
必要なら、新しい団体つくれば。言友会には困っている人はいない」
「吃音で困っているからといって、社会保障制度、障害者手帳、サービス受給者証、障害者枠雇用などなどを利用するのは恥である。逃げである」
「吃音が発達障害だなんて、(一般に言われる)発達障害の人たち方が困るよね。迷惑だよね」
「発達障害者支援法に吃音を厚生労働省が勝手に入れたんだ」
「吃音が発達障害(神経発達障害群)であることは世界を見てもそんなエビデンスのある報告をしている研究者は存在しない」
「吃音が発達障害者支援法に含まれていることが周知徹底されることは
不利益しかない。私の生活はどうなるんだ」
「勤務先から吃音があるから障害者手帳をもらってこいと言われたらどうすんだ!」
「職場で障害者雇用の発達障害がいるけど使い物にならない。吃音もそれと同じだと思われた困る」
「JDDネットに加盟するイコール吃音が発達障害だと認めることになってしまう。そんなことはさせないぞ。吃音は発達障害じゃない。」
「吃音は訓練して治すもの。社会の側がどうこうするものではない」
「吃音で困っている人がいても関係ない。私の生活が第一!吃音で困っている人なんかどうでもいい」
「吃⾳に⾒られる⾮流暢な発話の背景には⾃閉症スペクトラム障害、注意⽋陥多動性障害、学習障害で⾒られるような内的・⼼理的問題が存在していると⾔う誤解を招き、吃⾳に関する啓発を推進するための妨げとなる可能性があります。」と発達障害児者は内的・心理的問題持った人達だと決めつける言語聴覚士まで存在します。

◆吃音業界は今後どのようになっていくのでしょうか?

筆者の予測では、障害受容のできた障害者手帳を持った吃音者が今後増加すると思います。官民問わず企業団体の人事部は障害者手帳を所持している法定雇用率に計算できる吃音者を積極的に採用していきます。そしてその情報がどんどん採用する側で広まっていけば、吃音者も障害者手帳を取得しようと思う人が増えるからです。この人達がロールモデルとなり50歳60歳70歳くらいになったころには吃音業界の常識が変化しているかもしれません。

そして、1番大切なのは吃音者は吃音以外の障害者や病気、難病者と連携するべきです。そして、社会的障壁を持った人たちが幸せでないと感じるならば、連携して日本社会の法律やシステムを変化させるように行動すればよいのです。障害者の権利に関する条約の第4条にはそのことが明記されています。 吃音者の問題を吃音者だけで考えると暴走してしまいます。暴走どころか思考停止状態になることもあります。(2013年の北海道の吃音看護師さんが自殺したことは避けられたことなのです。発達障害者支援法に吃音が定義されているなら法律という武器があったのです)

現在、吃音のある言語聴覚士が増えていますが、今後は吃音のある社会福祉士や精神保健福祉士が増加すると予想します。そもそも吃音は障害であるし、医学モデル医療モデルとして吃音治す訓練をするよりも、適切な相談支援をできる社会福祉士や精神保健福祉士の仕事が増えるからです。吃音があったままでも生きていける社会モデルがこれからできあがっていくのです。
適切な相談支援(ソーシャルワーク)とは、吃音者やその家族に360度全ての生きる選択肢をみせる事です。自分の主義主張が吃音の障害者認定反対だから、相談に来た人が障害者手帳を取得したいと言っても諦めさせようとする。こういうことではダメなのです。全ての選択肢を提示して相談して決めていくことが求められるいくでしょう。


吃音があるけれど成功している吃音者の人は、その経験をアドバイスすることや体験談を話すことも重要です。しかし、1番大切なのは、成功しているあなたにしかできないこと。困っている吃音者や若い吃音者のために、もっとその道を開拓して拡げて整備することです。成功している吃音者の人はあなたの所属する組織の総務や人事に吃音の啓発をしましょう。吃音者を積極的に雇用するように働きかけましょう。説き伏せて口利きしましょう。自分自身の安息の地、安定した場所を他の吃音者に入ってこられたら困る!なんて考えは捨てましょう。吃音があって成功している人ほど、困っている吃音者や若い吃音者に間接的なアドバイスのみで済ませようとします。美談や努力で済ませようとします。それを改めましょう。本当に志があるのならば、所属する団体(職場の人事に)が吃音者を受け入れるように説明、あなたが経営者なら積極的に吃音者を雇用するようにしましょう。直接的な目に見える行動をしましょう。


今後の若い吃音者10代、20代、30代の吃音者には、もっと他の障害者や難病者など社会的障壁のある人たちと連携してほしい。絶対に吃音以外の社会的障壁を持った人を見下さないでほしい。社会的障壁のある人に不利益なことがあるならば障害者の権利に関する条約や日本の障害者に関する法律をよく勉強して、それこそ他の人達と連携して日本社会や政治を変えていってほしい。
吃音は障害じゃないし、困っている人は困っていればいいじゃん。関係ないよ。という価値観にならないでください。

そしてその若者たちの背中をお父さんお母さんは応援してほしい。お父さんもお母さんも本当はご自身が働く職場の社会的障壁のある人の現実を理解しているのでしょう? そうであるならば吃音から逃げるのではなく、吃音は他の人より優れているのだと思い込むのではなく、吃音と正面から向き合ってほしい。次の世代の吃音者の親、当事者に同じ辛い経験はさせたくないでしょう? 今からでも遅くありません。

【吃音Q&A 保険診療で!】病院に行けば言語聴覚士の吃音訓練などは保険診療ができる 自由診療の高額な言語聴覚士の吃音商法に気をつけて 

2014年以降、吃音が日本社会に徐々にですがニュース報道されるようになってきました。
フジテレビでは2016年の4月スタート月9で『ラヴソング』という自動車整備士の吃音女性がドラマに登場しました。このドラマは視聴率から見れば失敗作かもしれません。メディアの記事もドラマ叩きも多かった印象が残ります。しかし、吃音者の喋り方、話し方をとても丁寧に描写していて、本物の吃音者ではないかと錯覚させるほどです。


このドラマの中で、言語聴覚士でスピーチクリニックを経営している水野美紀さんが演じる宍戸夏希という言語聴覚士が登場しました。ドラマでは彼女の経営するスピーチクリニックの『料金が明示』されていませんでした。


今回、とりあげるのは吃音の保険診療です。
現在、吃音はグレーゾーンとして、一般人や言語聴覚士が自分で勝手に吃音を治します。訓練しますなどと掲げてクリニックを経営している場合があります。このグレーゾーンの理由は患者を診察しない、患者に触らない、これがあるためです。患者と会話をして吃音を治したいというのでその利害が一致したからその方法をただ教えるというグレーゾーンです。厚生労働省によると、このような病気商法、障害者商法は情報として把握しているとのことです。吃音以外の発達障害向けのハンドヒーリングや花のエキス、発達障害用マッサージなども同様です。



ここで一度言語聴覚士法を読んでみましょう。




◆言語聴覚士法
(平成九年十二月十九日法律第百三十二号)

最終改正:平成二六年六月一三日法律第六九号


  第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、言語聴覚士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もって医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律で「言語聴覚士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう。
   第二章 免許

(免許)
第三条  言語聴覚士になろうとする者は、言語聴覚士国家試験(以下「試験」という。)に合格し、厚生労働大臣の免許(第三十三条第六号を除き、以下「免許」という。)を受けなければならない。
(欠格事由)
第四条  次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一  罰金以上の刑に処せられた者
二  前号に該当する者を除くほか、言語聴覚士の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
三  心身の障害により言語聴覚士の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
四  麻薬、大麻又はあへんの中毒者
(言語聴覚士名簿)
第五条  厚生労働省に言語聴覚士名簿を備え、免許に関する事項を登録する。


   第四章 業務等

(業務)
第四十二条  言語聴覚士は、保健師助産師看護師法 (昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項 及び第三十二条 の規定にかかわらず、診療の補助として、医師又は歯科医師の指示の下に、嚥下訓練、人工内耳の調整その他厚生労働省令で定める行為を行うことを業とすることができる。
2  前項の規定は、第九条第一項の規定により言語聴覚士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。
(連携等)
第四十三条  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、医師、歯科医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り、適正な医療の確保に努めなければならない。
2  言語聴覚士は、その業務を行うに当たって、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者に主治の医師又は歯科医師があるときは、その指導を受けなければならない。
3  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者の福祉に関する業務を行う者その他の関係者との連携を保たなければならない。





どうでしょうか?
言語聴覚士は国家資格であり厚生労働省に名簿を備えているのです。
医師または歯科医師の指示の下に訓練ができる。


そして

【第四十三条  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、医師、歯科医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り適正な医療の確保に努めなければならない。】


緊密な連携を図り適正な医療の確保に努めなければならないのです。保険診療しなければいけないのです。これが法律なのです。しかしこれらを守らない言語聴覚士がいます。
吃音の訓練をする言語聴覚士の中には一匹狼で、医師や歯科医師と連携しない不逞の輩が存在します。もちろん医師や歯科医師の指示ではないので、病気や障害の診断はできないのに、勝手に言語聴覚士の判断と来院者の主訴だけで決めてしまう危険もはらんでいます。



吃音で困っているお父さん、お母さん、お子さん。家族のみなさん。
くれぐれも保険診療をしない吃音クリニックにはいかないようにしてください。何かあったときに責任もとれません。
そもそも言語聴覚士の資格を持っているのに言語聴覚士法に従わない言語聴覚士にお金を落としてはいけません。必ず病院医師と言語聴覚士、保険診療できることの確認をしてください。

言語聴覚士単独で自由診療営業しているクリニックの言語聴覚士はそもそも医師や歯科医師と連携することをコミュニケーションを怠っているのです。本当に志ある、法令遵守する、言語聴覚士であれば『医師や歯科医師と交友関係をもち、自分を売り込んで、その病院に所属する。』などを考えるものです。医師と交友関係がないという部分はコミュニケーション能力に何か課題があるのかもしれません。

保険診療しない。厚生労働省の医系技官がグレーゾーンだと指摘することを自由診療で行っている言語聴覚士のクリニックがあれば「その住所のある保健所に通報」できます。保健所に通報されることになれば、保健所も指導します。指導後に改めるかどうか別として行政が動向を注視します。

また、これ以外にも、吃音という困り事につけこんで、ありとあらゆるコンプレックス商法や霊感商法が行われる事例もあります。くれぐれも気をつけてほしいのです。