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2021年6月4日金曜日

発達障害や精神疾患があるとワクチン接種が優先される!?

 


Development of ShellsというYou Tubeチャンネルをご存知ですか?

すべての発達障害、神経発達障害を扱う(もちろん吃音を扱ってくれるという)。当事者達のYou Tubeチャンネルにて。

厚生労働省ワクチン部会で3月に方向性が固まった、新型コロナウイルス感染症ワクチンの優先順位について解説動画が出ました。情報提供からの仕事の速さがジェバンニでした。

この動画が出た瞬間から、発達情報系アカウントから同じ情報が出るようになりましたね。影響力凄いなと思いました。

◆厚生労働省の資料

第44回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省

基礎疾患を有する者への接種にかかる情報提供等について



2020年5月5日火曜日

吃音当事者は天才 秀才 優秀 頭の回転が早い すごい先輩がいる という件について

―― 吃音のある人は本当に頭が良いのか 社会的に成功した人になれるのか?

吃音業界の不思議の1つに。
吃音のある人は、天才 秀才 優秀 頭の回転が早い すごい先輩がいる論があります。

とくに吃音のある子どもやその保護者向けに「吃音のある子どもはこんなに優秀なんです。安心してください。なぜなら吃音を持っている有名な人はこんなにいます」的な意味合いでこれらの表現をする吃音当事者、吃音先輩は本当に厄介です。とくに医療従事者や支援者や学校教員がこういう発言をしているときは。一歩引いてそれらの情報を受け止めましょう。

当事者さん・保護者さんは、吃音の暗黒面である、吃音至上主義に落ちないでほしいのです。
また、吃音至上主義に取り込まれてしまうと。吃音の他に子が当事者が、自閉症スペクトラム、ADHD、LD、トゥレット症候群を持っているかもしれない可能性。吃音の他にそのほかの発達障害でも困っているということを見落としてしまう可能性もあるのです。早期発見をして幼少期から使える選択肢を行使し本当は適切な療育をしていればよかった機会喪失をしてしまうこともありえます。吃音業界の団体、吃音業界の有名な人、吃音業界に関わり深い医療従事者や支援者、教員が話すことは本当かな?と考えてほしいのです。

吃音業界だけでは偏向した情報を入手しているかもしれない。
と思う人は。まず発達障害業界につながってほしいです。

吃音も吃音以外の発達障害があっても、吃音至上主義に染まってしまい学校で合理的配慮を申請できなかった事例もあり、もっとはやく制度を知りたかったという保護者さんもいます

関連記事 【保護者必見】吃音の子どもを育てる立場の人はどうしたらいいのか?どうやって合理的配慮を発動する? 保護者に向けたガイドライン

吃音をカミングアウトしているという吃音者の先輩の就職体験談を聞くときに気をつけることとは?



吃音を持った人にはとても優秀な人が、歴史に名前が残る人がいる

総理大臣、議員、王族、医師、看護師、弁護士、経営者、取締役、一部上場企業勤務、国家公務員、地方公務員、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、エンジニア、陸上自衛隊で陸佐、航空自衛隊のパイロット、海上自衛隊の潜水艦乗組員、消防員、救命士、学校教員、精神保健福祉士、社会福祉士、スポーツ選手、レーサー、アナウンサー、芸能人、音楽家、表現者。などなど。

こういう偉大な先輩達がいますよ。という説明は本当に困ったものです。
これは吃音以外の発達障害、その他の障害や難病でも全く同様です。
歴史上のあの人物は発達障害があった、2019年現在生きているあの人も発達障害だ。
だから僕も私も、うちの子どももきっと天才に違いない。
有名な人になれるはず。

たしかに一時(いっとき)だけはその言葉、その表現に安心する当事者、その家族保護者はいるかもしれません。しかし本当にそうでしょうか?先程も書いたように他に発達障害があった場合、早期発見早期療育をしていれば―。機会喪失にもなります。吃音も吃音以外の発達障害も早期療育が大切になります。

―― 都内にてホームレス支援をするNPO法人があります。
(今の新型コロナウイルス感染症の情勢の中、とても頑張っているところです)
ここの職員さんの話として、「路上生活者をしている人の中に吃音の人がいましたよ。吃ってました。昔は工場やトラック運転手として働いていたそうです。そして流れに流れて今の生活になった。吃音の人はそこそこいますよ。路上生活者の方もいれば、障害者施設やGHでも、精神科病院でずっと入院(帰るところがない・社会的入院)している人の中にも……」ということでした。

不思議ですよね。吃音業界のでよくある「吃音のある人の体験談集」、吃音のある人のエピソードでは全く出てこない事例です。いつもキラキラ系の内容が多いと思います。


別の事例として、ひきこもり歴●●年で父母の年金で暮らすひきこもり当事者の中に吃音のある人がいるという事例もあります。

実のところ吃音のある人はいろいろなところにいます。たまたま吃音業界の、吃音当事者会に団体に参加できている人がいる一方、そこには参加しない人接点がない人、または吃音とは別の当事者会に参加している人もいます。発達障害・精神障害を持った人、知的障害を持った人の中にも吃音を併存している人もいます。発達障害があることを先にわかった親子や当事者は先に発達障害業界につながるので。ここもあります。


―― 吃音業界で働く医療従事者はなんとなく気づいている

吃音業界の人で、吃音者の団体に出入りしつつ。本業は精神科で働く医師や看護師、社会福祉士や精神保健福祉士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士として働いている人もいるでしょうか?

働く場所が病院であったり、障害者施設等の場合、そこを利用するお客さん、メンバーさん、利用者さんの中に「吃音児者」がいるでしょう?
そうです。そうなんですよ。
吃音業界で活躍する医療従事者や支援者、研究者や学校教員や保護者であったりが。「吃音の人は頭の回転が早いんだ、吃音の人は優秀なんだ、頭で思いついたことが言葉として出てこないんだ」と説明する人がいてなんかモヤッとイラッとしませんか?

福祉の現場で働く人、福祉の現場に近い病院ほどそう実感しませんか?
吃音業界の医師や言語聴覚士は1年から2年ほど色々な障害者施設等で実習したほうがよいと思いませんか?

一番大切なのは発達障害業界のように、発達障害のある人は優秀な人もいる、ボーダーラインの人もいる、療育手帳を持つ人もいる。いろいろな人がいる。生まれ育った家庭が発達障害に理解がある場合もない場合もある。困っている人もいればそうでない人もいる。
と説明をされることですよね。そして困り毎に応じて社会保障制度も利用できるということもわかります。使うか使わないかその人のイズム、ポリシーによります。

結果として発達障害はとても多様であるから。という説明が令和時代になってからは若い発達障害当事者でもそれ知ってるよということもあるので。吃音業界と違って良い方向に行っているなと感じます。発達障害業界も2005年ころは「発達障害は天才。天才発達障害の育て方」みたいなブームがありそういったイベントや講演会、書籍の販売がありましたが。今はそうではなくなりましたよね。一部まだそういったお話もありますが、その発達障害業界が辿った道を、同じ轍を踏む吃音業界は本当に心配です。

発達障害のある子の保護者家族も最初は子の障害受容ができない。障害児を出産してしまったと悩み葛藤する時間もあり、それを乗り越えて。自分の子にあった方法を制度を使っていこう。使い倒していこう。他の保護者と相談してみよう。と行動をしていく方もいます。

吃音業界はこういうところも周回遅れになっていて本当に不安ですよね。
吃音のある子どもに「吃音の人は優秀で、回転がはやいからだよ」、「社会保障制度を使うこと、合理的配慮申請は恥だよ」なんて教え込まれたら、その子どもが大人になったときに他の障害者や難病者であったり、性的少数者を差別する人、吃音至上主義になってしまいますよね。障害者が障害者を差別する、マウントを取る等。悲しいですよね。


―― 吃音のある当事者、吃音のある学生、他の人の体験談を吃音当事者や家族が聞くときはどうしたらいいの?

関連記事
【吃音Q&A】吃音のある人の就職活動ガイドライン 吃音者はなぜ就職困難者が多く、一方で成功している吃音先輩は後輩を助けないの?


これはとても重要です。
消費者庁が行った 「打消し表示に関する実態調査報告書」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170907_0003.pdf があります。

この報告書の中に興味深い表現があります。
テレビやラジオ、インターネットでの通販でよく使われる文言です。
これを吃音のある先輩、吃音のある成功者モデルの体験談を聞くときに思い出してほしいのです。吃音の話、体験談集などはあくまでも、その人だけにおきたことです。すべての吃音者には適用されません。そもそも生まれ育った家庭がとても裕福だったら、そうでない吃音の子の家族は、お金がなくて、それと同じ環境にルートに入ることすらできませんよね。

あと、発達障害が治ると言われる。謎の水。謎の植物エキス。サプリメント、飴玉とかこういうのにも吃音業界の保護者さん気をつけてくださいね。これも弱者や障害者やその家族を狙うビジネスです。お気持ちビジネスです。



体験談型 体験談に関する 注意書き 楽しく ダイエッ ト!! 毎日すっきり起きて、 体重が5kg減り、着られ なかった服がぶかぶか になり、周りからほめら れるようになりました。 



・「個人の感想であり、効果には個人差があります」 ・「個人の感想であり、効果を保証するものではありません」 ・「個人の感想であり、 効果、効能を表すもの ではありません」


非保証型 (体験談を記述 せずに、)効果、性能 等には個人差がある旨や、効果、性能 等を保証するもの ではない旨を述べ る注意書き 10 時間効果が持続!! 




・「結果には個人差があります」 ・「気持ちを表すもので、効果効能を保証するものではありません」



――他にもこういうのありますよね?

吃音業界の人が、吃音のある先輩、吃音のある大人、吃音のある人を育て上げて成功者にしている保護者や学校教員、支援者の話の中で、吃音のある人の体験談集の中で。必ず、吃音があっても大丈夫。という人がいますが。

何がどう大丈夫なのかわかりません。前述したように都内のNPO法人で貧困問題や路上生活者支援をしている団体職員からの話だと路上生活をしている吃音者がいること、ひきこもりの会の話から、ひきこもっている吃音者もいるんだよ。情報が出てきているのです。

成功事例ばかりを伝えずにちゃんと360度すべての情報を伝えていってほしいところです。吃音業界はこういったことを見て見ぬ振りしていました。挙げ句に2005年からあった発達障害者支援法を「なぜか見落とした」ことになります。JDDネットには、吃音関係の団体が正会員になっていた時期もありますし。日本言語聴覚士協会も正会員です。不思議です。もしもしっかり吃音が発達障害者支援法に入っていたことが2005年から周知され障害者運動が起きていれば。自死する人も減り、令和時代に吃音のある子の保護者になった人が涙を流す、どうしたらいいかわからない、なんでこんなに病院がないの。ということは避けられたに…。

その上で。じゃあ吃音業界のキラキラ系・成功者系、当事者や保護者の話や体験談集を読む聞くだけでは、自分の困り毎、子の困り毎、家庭の困り毎は解決しないと思った場合。発達障害業界の団体、支援者や当事者に相談することも大切なんじゃないかと思います。

吃音のある子どもの保護者さんも、発達障害のある子どもの保護者さんと情報交換して、どうやって学校で「合理的配慮やXXXX支援計画を発動すればいいの?」を教えてもらったほうがよいと思うのです。発達障害のある子どもにその苦手な特性があるのに無理やり失敗しそうなこと、辛く悲しいフラッシュバックする思い出にならないように。これはやらせないでください。別の方法で評価してくださいというときはちゃんと学校側に伝えますよね。そういうのも吃音業界では情報が不足していて。吃音があっても人前で話させる、無理やり発話発語させる環境に誘導していく。こういう間違った対応をする教員もいますから。


―― さいごに

まず、吃音業界で、吃音者は優秀。
頭の回転が早い。
吃音者は他の障害児者より優れている。あの人たちと同じになってはいけない。
といった言動を耳にしたときは。一度冷静に考えてください。なぜ吃音業界が障害者運動をせず。令和時代になっても大きく悩む保護者がいるのか……。
それは分断ではないか?
それは差別ではないか?

2020年4月29日水曜日

新型コロナウイルス感染症に係る身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の更新手続の 臨時的な取扱いについて

【記事更新】
身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、精神の自立支援通院等
各種、障害児者向け、社会福祉、社会保障制度、公費負担医療の分野にて
新型コロナウイルス感染症に係る、「利用しているサービスの有効期限や更新」
について特例措置が出ています。詳細は下記文書またはPDF直接リンクを御覧ください。

以上




精神障害者保健福祉手帳を利用しているすべてのみなさまへ。
あまり報道されていませんが。
現在、新型コロナウイルス感染症による感染拡大防止の観点から
精神障害者保健福祉手帳の更新について、診断書の提出を猶予する特例が出ています。
ご確認ください。その他に精神の自立支援についても特例が出ています。更新が必要な身体障害者手帳、療育手帳についてもです。


吃音のある新卒就活学生さんもこれからアフターコロナの時代がきます。
新卒就職活動において、一般枠と障害者枠の両方で所謂ダブル新卒就活をする方もいるかもしれません。現在吃音に関しては、耳鼻咽喉科医師からの、この患者さんは吃音であるという紹介状があれば、精神障害者保健福祉手帳申請書類を書くという篤志家の精神科医師も都内にいます。新卒就活のはじまる1年前に手帳の取得をおすすめします、取得の経過時間を考えると1年生のときから取得しておいたほうが無難です。障害者枠でも就活したいという学生さんがいればご相談ください。都内であれば対応できます。


事 務 連 絡 令和2年4月 24日 各都道府県・指定都市 精神保健福祉主管部(局) 御中 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 精神・障害保健課 新型コロナウイルス感染症に係る精神障害者保健福祉手帳の更新手続の 臨時的な取扱いについて 今般、新型コロナウイルス感染症への対応のため、全都道府県を対象に新型イ ンフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)第32条に基づく緊急事態 宣言が出されたこと等を踏まえると、精神障害者保健福祉手帳(以下「手帳」と いう。)の更新手続にもより影響が出ることが予想されます。 手帳の更新申請時には、「精神障害者保健福祉手帳制度実施要領について」(平 成7年9月12日付け健医発第1132号厚生省保健医療局長通知)の別紙「精神障 害者保健福祉手帳制度実施要領」(以下「実施要領」という。)により、障害者 手帳申請書に医師の診断書又は年金証書等の写し等を添えて提出することを求 めていますが、今般、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、申 請者が医師の診断書の取得のみを目的として医療機関に受診すること等を避け るため、更新手続の臨時的な取扱いを下記のとおりとしますので、内容を十分御 了知いただくとともに、管内で手帳の更新手続を行う精神保健福祉センター等に 周知いただくようお願いします。 記 1.手帳の更新手続について 令和2年3月1日から令和3年2月28日までの間に手帳の有効期限を迎える 者のうち、更新時に医師の診断書を添えて提出する必要がある者については、障 害者手帳申請書の提出をもって、現に所持している手帳の有効期限の日から1年 以内は当該診断書の提出を猶予した上で、有効期限を更新することができるもの とする。 医師の診断書の提出を猶予した場合、障害等級は、従前の等級によるものとす る。ただし、猶予期間において当該者から診断書が提出された際には、精神保健 福祉センターにおいてその判定を行い、等級を変更する必要があると判断された 場合には、先に交付した手帳と引換えに新たな等級の手帳を交付するものとする。 なお、マイナンバーを活用した情報連携により年金関係情報を把握する場合、 又は、年金証書等の写しによる申請が可能である場合については、従前どおり実 施要領に基づく手続を行うこと。 2.手帳の更新の方法等について 手帳の更新申請に当たっては、現行においても、郵送による更新申請手続や、 有効期限を超過した更新申請手続のいずれも可能であることから、改めてその周 知に努めること。 担当者 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 精神・障害保健課障害保健係 高橋、大橋 TEL 03-5253-1111(内線 3110・3064) 
https://www.mhlw.go.jp/content/000625097.pdf




事務連 絡 令 和 2 年 4 月 24 日 都道府県 各 指定都市 障害保健福祉主管課 御中 中 核 市 厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部企画課 身体障害者手帳及び療育手帳の再認定(再判定)の取扱いについて 日頃より、障害福祉行政に御尽力いただき、厚く御礼申し上げます。 さて、身体障害者手帳及び療育手帳(以下「身体障害者手帳等」という。)の再認定 (再判定)の取扱いについては、それぞれ「身体障害者障害程度の再認定の取り扱いにつ いて」(平成 12 年 3 月 31 日付け障第 276 号障害保健福祉部長通知)及び「療育手帳につい て」(昭和 48 年 9 月 27 日付け厚生省発児第 156 号厚生事務次官通知)により、技術的助 言としてお示ししているところです。 今般、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月 28 日(令和 2年4月 16 日変更)新型コロナウイルス感染症対策本部決定)において、「国民の生活を 守るためには、感染者数を抑えること及び医療提供体制や社会機能を維持することが重 要」であり、「外出自粛の要請等の接触機会の低減を組み合わせて実施することにより、 感染拡大の速度を可能な限り抑制することが・・・重要である」とされているところで す。 このため、再認定(再判定)の手続等に関しても、医療機関の受診等のための外出を回 避する必要がある一方で、これにより身体障害者手帳等の所持者に不利益の生じることの 無いよう配慮いただくことが必要です。 こうした中で、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成 17 年法律第 123 号)の規定に基づく自立支援医療については、全国の受給者(令和2年3月 1日から令和3年2月末日までの間に支給決定の有効期間が満了する者に限る。)を対象 に、当該有効期間の満了日を原則として1年間延長することができるよう、所要の措置を 講じる方向で検討がなされているところです。 これを踏まえ、各自治体におかれましては、身体障害者手帳等の再認定(再判定)に関 しても、自立支援医療の支給決定の有効期間の満了日が1年間延長される見込みであると いうことを斟酌の上、再認定(再判定)を実施する期日を延期する等の対応をとり、当該 内容について記載した文書を申請者宛てに送付する等、弾力的な対応を御検討いただきま すようお願いします。 また、管内関係機関への当該対応の内容に関する周知につきましても、遺漏無きようお 願いします。 【照会先】 厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部 企画課人材養成・障害認定係 TEL:03-5253-1111(内線 3029) FAX:03-3502-0892 e-mail nintei3029@mhlw.go.jp
https://www.mhlw.go.jp/content/000625123.pdf


事務連 絡 令和2年4月22日 都 道 府 県 指 定 都 市 中 核 市 特 別 区 保健所設置 市 児童相談所設置市 厚生労働省 健康局 総 務 課 健康局がん・疾病対策 課 健康局結核感染症 課 健康局 難病対策 課 社 会 ・ 援 護 局 援 護 ・ 業 務 課 障害保健福祉部精神・障害保健課 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた公費負担医療等の取扱 いについて 一部の公費負担医療等(医療手当を含む。以下同じ。)については、申請書類 として医師の診断書等の提出が求められるなど、申請に当たって医療機関の受 診が必要となる。 他方で、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月 28 日(令和2年4月 16 日変更)新型コロナウイルス感染症対策本部決定)におい て、「国民の生命を守るためには、感染者数を抑えること及び医療提供体制や社 会機能を維持することが重要」であり、「外出自粛の要請等の接触機会の低減を 組み合わせて実施することにより、感染拡大の速度を可能な限り抑制すること が・・・重要である。」とされているところであり、治療の観点からは急を要さ ない診断書の取得等のみを目的とした受診を回避する必要がある。 そのため、下記の公費負担医療等については、全国の受給者(令和2年3月1 日から令和3年2月 28 日までの間に有効期間が満了する者に限る。)を対象に、 有効期間の満了日を原則として1年間延長することができるよう、所要の措置 を講じる方向で検討しているところであるので、各都道府県等におかれてはご 了知いただくとともに、管内の医療機関等へ周知願いたい。なお、具体的な取扱 いについては追ってお示しするが、受給者証等については、現在受給者が使用し ている受給者証等を引き続き使用することとする予定である旨申し添える。 各 民生・衛生主管部(局) 御中 記 1.法律に基づく公費負担医療等 ○ 児童福祉法(昭和 22 年法律第 164 号)に基づく小児慢性特定疾病医療費 の支給認定 ○ 戦傷病者特別援護法(昭和 38 年法律第 168 号)に基づく療養の給付等 ○ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成 17 年法律第 123 号)に基づく自立支援医療費の支給認定 ○ 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第 117 号)に基 づく医療特別手当に係る健康状況届の提出 ○ 難病の患者に対する医療等に関する法律(平成 26 年法律第 50 号)に基づ く特定医療費の支給認定 2.その他の公費負担医療等 ○ 毒ガス障害者救済対策事業 ○ 被爆体験者精神影響等調査研究事業 ○ 肝炎治療特別促進事業 ○ 肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業 ○ 先天性血液凝固因子障害等治療研究事業 ○ 在宅人工呼吸器使用患者支援事業 ○ 特定疾患治療研究事業 (※例外的に有効期間が6月のものについては、延長期間についても6月とする。) 以上
https://www.mhlw.go.jp/content/000624335.pdf

2018年9月30日日曜日

吃音業界はまた乗り遅れてしまっている 厚生労働省 平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係

厚生労働省 平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係

https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/19syokan/03.html

現在、厚生労働省が平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係を公開しています。
発達障害関連の部分は【発達障害児・発達障害者の支援施策の推進 5.0億円(4.1億円) 】とされています。

吃音業界の声は残念ながら届いていないのが現状です。(既存の吃音業界から離れて、独自に行動し接点をもつ吃音団体もあると報告されています)吃音業界が動かない中、昨年に引き続き発達障害関連の予算は大きく動いています。これから吃音、吃音を含め発達障害全般について吃音当事者やその家族の未来はどうなるのかとても心配です。吃音当事者や保護者家族の中には声を伝えたい。吃音と吃音以外の発達障害もあるけどどうしたらいい。既存の吃音業界では真剣に対応してくれない。相談をしても解決しないまたは相談できない。既存の吃音業界は行動してくれない。などと考えている人もいるでしょう。これからどうなっていくのか、何ができるのかを吃音当事者や保護者家族が真剣に考える時期なのかもしれません。吃音業界が乗り遅れ、周回遅れになればなるほど、困っている吃音当事者や保護者、合理的配慮をしてほしい、診断書がほしい、精神障害者保健福祉手帳のための診断書がほしい、どこの病院にいけばいい、吃音を理由に差別をうけた、吃音理由に職場を解雇されそうだどうしたらいい?、などなどたくさんの困りごとが継続していくでしょう。


関連記事 吃音業界乗り遅れ、周回遅れ伝説の1つです
吃音業界はなぜ場面緘黙業界やトゥレット症候群の団体のように日本精神神経学会パブリックコメントへ何らかのアクションをしないのか?

2018年9月22日土曜日

ANAおよびJALは障害者割引運賃に精神障害者保健福祉手帳が含まれることがわかりました エアドゥ スターフライヤー ソラシドエアも!

記事内容訂正
JALも同様の割引を開始します。

2018年9月21日ANAからこのようなプレスリリースが出ました。
https://www.ana.co.jp/group/pr/201809/20180921-3.html

2018年度下期ご搭乗分の国内線運賃適用条件の一部変更について
 ANAは、2018年度下期ご搭乗分の国内線運賃について、適用条件の一部変更を行います。
概要は、以下のとおりです。
「プレミアム身体障がい者割引運賃」および「身体障がい者割引運賃」の適用条件変更
(1)適用開始日:2019年1月16日(水)以降の予約受付および購入分(予定)
(2)対象期間 :2019年1月16日(水)以降の搭乗分(予定)
(3)変更内容 :
①運賃名称の変更
身体障がい者割引 から 障がい者割引 と名称変更
②適用対象者について
身体障害者手帳、戦傷病者手帳または療育手帳の交付を受けている満12歳以上の方に加え、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている満12歳以上の方に適用します。
※顔写真付きの精神障害者保健福祉手帳が必要です。また、ご搭乗日当日に手帳の有効期間が満了している場合にはご搭乗いただけません。
③介護者について
手帳区分にかかわらずご本人および同一便に搭乗される介護者の方(お一人様まで)がご利用いただけます。

詳細はPDFを確認 ANAのプレスリリース詳細


これは大きな変化ですね。
おそらく今年、一般社団法人JDDネットがANAと成田空港とコラボイベントで発達障害のあるお子さんの空港利用と搭乗体験イベントを開いたことで、ANA社内でも「発達障害のある人の困りごとを深く理解したのかもしれません」 
 イベントはコチラ
 https://jddnet.jp/event180114/

JR各社も追随してほしい…。
航空機運賃が精神障害者保健福祉手帳でも割引になるのは当事者や家族にとっては嬉しいことです。これからはANAを使う発達障害当事者が増えるかもしれません。


その他の航空会社を調べました。ANAホールディングスが関係しているところですね。
スカイマークは残念ながら無しです。

ソラシドエアも精神障害者保健福祉手帳を対象にします PDF
https://www.solaseedair.jp/corporate/pdf/press180921.pdf

エアドゥも精神障害者保健福祉手帳を対象にします
https://www.airdo.jp/corporate/release/2018/release-6153.html

スターフライヤーも精神障害者保健福祉手帳を対象にします PDF
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=announcement&sid=45135&code=9206

2018年7月1日日曜日

【吃音Q&A】吃音による精神障害者保健福祉手帳申請書類の記入例・吃音で障害者手帳を取る方法

【注意 この記事は発達障害当事者が書いています】
その他の注意として、SNS等インターネット上のサイトにて「吃音が軽度だと精神障害者保健福祉手帳は取得できない」という誤った情報、デマが令和時代になっても拡散しています気をつけてください。さらに精神障害者保健福祉手帳を取得するまえに吃音の治療や改善訓練のステップが必要であるという「医学モデル」を振りかざす医師もいますので気をつけてください。医学モデルがまだ残っているのが吃音業界だと認識してください。当事者の困りごとに親身に寄り添い、それを助けてくれる医師と巡り合ってください。


――― 吃音を診療する精神科医師はどこにいるのか?

2005年から吃音が発達障害者支援法に含まれていることは2014年7月に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターがHPを更新し、発達障害の説明に吃音を入れたことで大きく日本中に広がりました。(本来なら国立障害者リハビリテーションセンター病院の吃音外来がもっとはやく周知すべきだったのですが『なぜか』それが実施されず発達障害情報支援センターからの情報として再度周知されました)

しかし、従来から吃音は耳鼻咽喉科医師の領域となっていたため、精神科医師が吃音を診療するというのはなかなか難しいことです。その理由は、音楽家のゴーストライター問題があり、その後、聴覚障害者の診断は特殊な検査方法を用いて行うということのガイドラインが役所より出ることになりました。吃音も『患者が吃音を演技し装う』ことが容易にできるという課題があります。映画英国王のスピーチ、フジテレビドラマ・ラヴソングを視聴すればわかりますが、吃音の言葉うまくでない、話せない、発話発語発声ができないという症状は簡単に演じることができます。

それゆえに、精神科医師は、この人が本当は演技しているのではないか、障害者手帳が欲しいから故意にやっているのではないか。ここがリスクなのです。精神科医師でも吃音を発達障害として診療し困っている当事者のために、障害者手帳申請書類や年金申請書類を書くとなると、客観的な証拠が必要になります。証拠の種類としては、幼稚園、保育園での指摘、小学校、中学校の通知表・評定表。これらの書類に吃音が出ている、ことばの教室、ことばときこえの教室に通級していた、耳鼻咽喉科医師のこの患者は吃音であるという紹介状。これらがあると精神科医師も吃音を認めてくれる場合があります。いきなり大人になって、いままで一度も病院に行っておらず、いきなり自分は吃音なんです。助けてくださいと精神科医師に頼んでもこれは大変困難です。

根本的な問題として、吃音を診療するという精神科医師は表向きにはその情報を公開していません。こっそり診療しているということが多いのです。ホームページに公開するなど大きな告知はしていません。

病院をさがす場合、お住まいの地域の発達障害支援センターに質問することが早いでしょう。または発達障害を診療しているという病院に自分で問い合わせるしかありません。その他にも各地の言語聴覚士会に質問するという方法もあります。言語聴覚士の中には『発達障害を持った子どもや大人』を診療するという精神科病院、子どもクリニックなどに所属している方が一定数いるからです。吃音業界に近い言語聴覚士とは異なり、発達障害のことをしっかり理解しているため、その点でも安心です。

いずれにせよ。国、厚生労働省による『吃音診療ガイドライン』の発表があればと思います。吃音かどうかの鑑別診断は耳鼻咽喉科、その後、手帳や年金を利用したいなら紹介状を貰い精神科医師につながるといった具合です。吃音を訓練して治したい手帳や障害枠採用を使いたくないという考えの人はそのまま耳鼻咽喉科でよいでしょう。

※そして、なぜ2005年から開始された発達障害者支援法が吃音業界で共有されなかったのか。これはとても悲しいのですが。吃音業界の団体は軒並み「吃音は障害ではない。障害者手帳の交付対象と啓発するな!吃音が精神障害だと思われたら困るだろ。吃音が発達障害だと思われた困るだろ。彼彼女らと同じだと思われるなんて嫌だ。吃音があっても堂々と吃れ。堂々とどもって生活している先輩を見習え。社会保障制度を使う吃音者は恥である。税金の世話になるのは恥である。合理的配慮を受けるのは恥である。障害者枠で働くのは恥である。障害者枠で働くと保護者や親戚と同じ生活レベルを維持できなくなる。」などという吃音至上主義があるからです。これは困っている吃音当事者には本当に悲劇です。

吃音至上主義に洗脳されてしまう保護者さんもいます。子どもに障害者枠で働くな!!とパターナリズムを振りかざす保護者も出てきます。吃音のある学生が障害者枠で働きたいと思ってもその道を閉ざすように動く毒親です。毒親問題は発達障害当事者の間でも深刻な問題となっています。保護者のもつ「普通」という価値観、「自分たちと親戚たちと同じ生活レベルを維持しろ」という価値観の押しつけです。この場合吃音のある学生や大人は別として。発達障害業界では、毒親と決別する。自宅から出る。自宅から出る際にお金の問題などがあれば医療機関やソーシャルワーカーに助けてもらい問題を解決する場合もあります。吃音のある学生、大人でもそうですが。吃音以外にASDやADHDがあればなおさら、家族といえども干渉される、価値観を押し付けられると大変な苦痛や混乱、戸惑い、感情が不安定になったりします。もう一つの視点として、そもそも吃音を含む発達障害は遺伝(吃音業界ではなぜか「なりやすい体質」として遺伝という単語を使うのを避けます)の可能性もあるため。毒親・親戚がそもそも未診断の発達障害当事者であることも想定されます。これは発達障害業界ではまあまあ報告される事例です。親子の生活圏を分離させてやっと「お互い」に少し平穏が戻ったということもあります。以上のことから吃音業界の毒親問題。これは深刻であると考えます。

別記事
【吃音Q&A】吃音のある人の就職活動ガイドライン 吃音者はなぜ就職困難者が多く、一方で成功している吃音先輩は後輩を助けないの?


――― 東京都内で吃音を診療すると東京都発達障害支援センターからのアンケートに回答している医療機関

東京都の発達障害施策のページに、吃音やトゥレット症候群を診療するという病院
のリストが掲載されています。「病院」、「診療所」で大きく分かれています。
さらに、「小児科」、「児童精神科」、「精神科」で分かれています。
そのため、事前にその病院に問い合わせることが必要になるかと思います。
実際に、この公開情報をもとに病院に行った方。その際の診療方針や状況についてメールで教えていただけると幸いです。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html

――― 吃音を主訴にして身体障害者手帳を申請できるのか?

吃音を主訴にして身体障害者手帳(音声、言語、咀嚼機能障害)を取得したという事例が少数ですがあります。しかし吃音は身体障害認定基準別表に含まれていない障害です。15条指定医も吃音で身体障害者手帳申請書類を書くことを躊躇する人もいます。これはゴーストライター問題のときと同じで医師自身にもデメリットがある。そもそも4級程度に本当は該当しないのに、吃音で「家族又は肉親との会話は可能であるが、家庭周辺において他人には殆ど用をなさない、コミュニケーションは難しい」と偽った申請書を書くことは社会通念上、倫理上ゆるされないことです。3級の認定基準は発語発声に必要な器官の喪失です。吃音当事者でも吃音を主訴にして身体障害者手帳4級を取得したという人がいますが、家族や肉親以外とも会話ができていることが多いです。(このような不正な申請を見かけたら自治体に通報しましょう)こういう背景もあり15条指定医師は吃音を身体障害者手帳の対象であると認めないことがあります。また、すでに発達障害者支援法に吃音が含まれていること、発達障害による精神障害者保健福祉手帳の申請は日常の困りごとが軽度でも存在すれば取得することが可能なため精神障害者保健福祉手帳をすすめてくる場合もあるでしょう。

今現在、身体障害者手帳4級をもっている吃音当事者はそれを大切にしましょう。

吃音が身体障害者手帳の交付対象になっていないことの原因は吃音業界、当事者団体が発達障害者支援法ができる以前に障害者運動をしてこなかった歴史が関係しています。発達障害者支援法ができるより以前に障害者運動をしっかりして身体障害者手帳に制度の中に明確に吃音を含むようになっていれば別の未来があったかもしれません。それに間に合わなくても発達障害者支援法ができた当初から発達障害業界、発達障害児者団体と連携して障害者運動をしていれば吃音を苦にした自殺自死も避けられたかもしれませんし、吃音を苦にして、自治体や病院に相談したが吃音は障害じゃないと言われ門前払いされひきこもりになってしまっている人にも別の未来があったでしょう。

なお、精神障害者保健福祉手帳は身体障害者手帳のように「障害レベル、重度かどうか、明確な数値レベルがありこれ以上だと何級、これ以下だと非該当」という物差しはありません。日常生活、学校生活、職場生活、社会生活でできることできないこと。(他人や例えばブギーボードなどアイテムに)助けてもらえばできることできないこと。電話や挨拶や朝礼や発表の免除、減免などの合理的配慮をしてもらえているならそれを希望するなら精神障害者保健福祉手帳3級は取得できます。1年間365日学校でも職場でも日常でもどんな些細なことでも困っていれば3級は取得できるのです。職場では困ってないけど日常で困ってますでも手帳は取れます。その逆もです。


――― 吃音で精神障害者保健福祉手帳を申請する方法とは

東京都であれば区役所または外部の●●センターなど、市町村で所定の書類をもらいます。
申請者が記入する書面と、医師が記入する書面があります。
これらを入手して、医師に診断書を書いてもらい。
なおかつ、申請者が記入する書面を記入し、診断書と一緒に
最初の窓口に持っていきます。
(なお、この際、医師が書いた診断書は中身を開いて、コピーして保管おきます。
提出の際に病院の封筒から出ていても特に注意されません。障害年金申請の際もそうです。ただ、障害年金の場合は社会保険労務士に委託するほうがセオリーです。
診断書を改ざんした場合は罰せられます。)


これで申請は完了です。
あとは審査を待つだけです。


東京都であれば、医師が記入するための書類はインターネット上に雛形があります。他の道府県も同様かと思います。
東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/download.html



吃音は耳鼻咽喉科医師が精神障害者保健福祉手帳の申請書類を記入できることになっていますが(医師免許があればOK)。本当は精神障害者保健福祉手帳2級になる人が、3級になってしまうという事案もあるため。精神障害や発達障害の精神障害者保健福祉手帳申請診断書、精神障害や発達障害で障害年金申請をしたことがある精神科医師のほうがよいです。

後述する「ひとりで食事ができるとはどういう事?」を理解している医師でないとなりません。吃音で2級が取得できたはずなのに3級ということはあってはならないことです。

また、自立支援医療(精神通院)の「重度かつ継続」に関する意見書は精神保健指定医の番号を記入する欄があります。この視点からも発達障害や精神障害を診療する医師が吃音のことをもっと知っていってほしいと思います。耳鼻咽喉科医師の経験、申請書類の記入方法では対応できない現実もあるのです。



――― 吃音で精神障害者保健福祉手帳を申請する場合診断書に何が書かれているのか?
こちらが診断書の書式です。
今の時代、医師はPCで記入して印刷して、記名捺印するのがセオリーです。






―― 重要な部分 病名をかく部分 ICDコードを記入
(さらに重要なことですが、吃音のある当事者さんは、自分自身にある発達障害が吃音だけなのか? 本当はそれ以外の発達障害があるのではないかと調べることを強くオススメします。このあと記事中に理由が書いてありますのでもしかしたら!と思う人は是非)

(1) 主たる精神障害 吃音症 F98.5
(2) 従たる精神障害 
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


ここが最重要です。
主たる精神障害は吃音単独になるか。それとも――。
さらに従たる障害として「気分(感情)障害)」、「発達障害」が記入されるでしょう。

精神障害者保健福祉手帳は発達障害単独でも問題ないです。
うつ病や社交不安障害が無いと精神障害者保健福祉手帳を取得できませんというデマ、ウソが流れています。そもそも発達障害があって困っている状況が悪化して、さらに二次障害が発生しないと手帳を取れないというのはおかしいですよね。発達障害で困っている人が深刻なダメージを受けないといけない? 違います。深刻なダメージを受けないように、守備するためのイージスが精神障害者保健福祉手帳です、合理的配慮です。学校や職場で合理的配慮を受けるために必要な場合はその事を精神科医師に伝えましょう。それも踏まえて診断書を書いてくれます。精神障害者保健福祉手帳は更新制度なので、その人が望む限り、医師は診断書を書いてくれます。

この際重要なのは後述していますが。「困っていること」、「大変なこと」、「吃音があってできなかったこと、人つきあいや手続きを避けていること」、「吃音が問題にならない環境はどこかとどんどんそちらをさがしてしまうこと、本当にやりたかったことを諦めたこと」、それらを事細かく、フラッシュバックする思い出であっても文章に書き起こすことです。どのような些細なことでも。1から100ではなく、1から10000までの詳細さで書き起こすことです。


たとえば発達障害当事者でも発達障害があることを隠して一般枠で就労しているのに、精神障害者保健福祉手帳2級という人もいます。ありとあらゆる手段、方法、スマートフォンアプリ、服薬、ソーシャルスキルトレーニング、認知行動療法、ストレスコーピング、当事者会での相談、病院医師や支援職と相談などなどで「健常者・定型発達者」に適応する、ついていく場合があるからです。さらに仕事は辛うじてできても、自宅がゴミ屋敷、片付けできない、金銭管理ができない。清潔さが維持できない。同居の家族やパートナーが全部家事をやってくれるという場合もあります。仕事はできるが、仕事にいくまでの準備や日常生活の必要な作業や買い物は誰かがやってくれるという場合もあります。サービス受給者証を使い、部屋の片付けや掃除、家事を支援者に手伝ってもらう一般枠就労発達障害当事者もいます。

ということで、吃音のある人も、一般枠就労で精神障害者保健福祉手帳を取得することも事実上、可能な訳です。ただ、発話発語の発達障害である吃音の場合は学校や職場において『どもれば・話せばバレる』のでそこは事例研究が必要になるでしょう。



たとえば吃音もその他の発達障害を持っている場合は
(1) 主たる精神障害 自閉症スペクトラム障害 F84
(2) 従たる精神障害 吃音症 F98.5
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


のようになります。
主たる精神障害と従たる精神障害の順番の違いは医師の判断になります。
主たる従たる精神障害がダブルで発達障害ということになるので、精神障害者保健福祉手帳の更新は、自発的に取りやめる場合を除き、死亡するまで更新できるでしょう。法律が変化した場合は別です。

このようなこともあるので、吃音のある当事者さんは、発達障害があるかどうかを調べる、心理検査、知能検査を受けることをオススメします。吃音だけが生き辛さかと思っていたところ本当は別の発達障害が併存しており生き辛さにつながっているという場合もあります。読み書き計算などは通知表や評定表でなんとなくわかりやすいです。字が汚い。罫線がないと書きにくい。または罫線があってもずれていく。書き順がわからないが文字を映像、画像として記憶していて、なんとか社会生活を乗り切っている。計算が本当はできないけど文明の利器で乗り切っているなどもあるかもしれない。発達障害の中でも五感視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の過敏や鈍麻は当事者だけでは気付くことは大変困難です。発達障害を診療する精神科医師でもなかなか難しいことです。発達障害当事者が発達障害先輩当事者が書いた書籍やニュースを見て『これ私だ!』となることがあるくらいです。そのときにはもう大人になっていて、安心安全な学校で合理的配慮を受けて、もっと勉強できたかもしれません。大人になってから学校が嫌いだった、真剣に集中できないことが多くて勉強があまりできなかったと後悔する人もいます。

発達障害当事者によくある、あるあるネタで、そもそも発達障害のある当事者はその見ている、感じている世界の感覚が通常であると勘違い・思い込みしているためです。たとえば音やニオイの感覚過敏がある発達障害の症状がある人は「自分以外の人もこのうるさい世界を我慢しているんだ。この騒音や人混みが大丈夫なんだ」と思い込んでいるため。病院に行こうという状況にすらならないのです。定型発達、健常と言われる人々は軽く受け流すとか不快感を感じていないのです。事例 → エアコンや冷蔵庫や扇風機の音は気になりませんし、ビルの玄関・入り口に設置されている、一定の周波数の音がでる装置(害虫、害獣対策の超音波?)は苦になりません。洗濯洗剤や柔軟剤や香水のニオイは気になりません。リコーダーや笛の音は気になりません。光の眩しさも気になりません。人がたくさんいる居酒屋やファミレス、パーティでも目の前の人と会話ができます。他の音や他の人の会話や店員の会話が耳に入ってくるなんてことはありません。身体が極度に疲れる前に空腹がわかります。何かを食べようとします。 定型発達、健常者と言われる人は「強い極度の不快感を感じません」、「発達障害のある人は強い極度の不快感があったとしても、それを当たり前に生まれた時から経験しているので世界はそういうもので、自分以外の全員がそれを経験して我慢しているんだから自分もそうならないといけない」と思い込んでしまうのです。吃音のある当事者も、自分自身の生き辛さは本当に吃音だけなのか? を調べることをオススメする理由です。吃音のある子どもの場合はまだ適切に困りごとを表現できないかもしれません。保護者がわかるのは、子どもがある場面を避ける。子どもがある場面になるとスペックが低下する、疲れやすい、やる気を失っているなどがある場合。「どうしたの? 何か辛い? うるさい? 臭い? 眩しい? 呼吸がしにくい? 音が聞こえにくい? 変な音がする? 他の人の声が気になる? 空腹なのにそれを忘れている? 水分がほしいのにそれを忘れている? 肌の感覚がへん? 服を脱ぎ捨てたい?」などを子どもと会話してみましょう。保護者も発達障害の人が生きる世界。感覚過敏の世界、感覚鈍麻の世界を事前に知ることが必要になります

こういう視点からも耳鼻咽喉科医師が吃音を診療するだけでは、当事者の困りごとが他にあるかもしれない。という診察での見立てや質問をすることが困難な場合があります。発達障害を診療する精神科医師なら、発達障害のある人の五感の過敏や鈍麻、発達障害のある人特有の言い回し、発言、説明の仕方、外見、表情、服装、持ち物、こういう事経験ありますか? これは? こんなことは? と診察で質問する、またはそれを引き出す質問の仕方をする。初回面談で精神保健福祉士や心理士が話をする場合も多いです。発達障害の特性を理解しているため、発達障害児者に対する質問の投げかけ方が異なるのです。これは吃音業界の耳鼻咽喉科医師や言語聴覚士ではできないことです。また、可能な限り、母子手帳や小中高校生時代の通知表や評定表を調べることもします。精神科医師・福祉従事者はこのように当事者の困りごとを調べて、そして幼少期から読み取れることはないかなどを調べます。
となると耳鼻咽喉科医師は吃音以外に当事者が困っているかもしれないことを見落とす、見立てをできない、気づくことないという結果になり最終的に耳鼻咽喉科医師だけでは、吃音当事者は「吃音だけで困っている」と判断してしまうでしょう。ここで本来は精神障害者保健福祉手帳2級程度の人が3級になってしまう問題が出てくるのです。

菊池良和医師が執筆した、監修した書籍にも吃音とそれ以外の発達障害の合併が指摘されています。「吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討 - J-Stage」という報告もあります。吃音のある人の中に、吃音しか持っていない人。自閉症スペクトラムやADHD、LD、チックを持っている人もいるかもしれません。また、不器用さという視点で発達性協調運動障害があることも。発達性協調運動障害の詳細はリタリコ発達ナビを→ https://h-navi.jp/column/article/35025585

また、自閉症スペクトラムのある当事者、ADHDのある当事者の中にも吃音をもっていて吃る人がいます。(診断がついていないことが多い。吃音者から見ればすぐわかる。2014年に発達障害情報支援センターや厚生労働省が吃音が発達障害であると再度周知を行ったおかげで逆に発達障害当事者が吃音があることもわかったという事例が出てきており、精神障害者保健福祉手帳申請時に主たる障害、自閉症スペクトラム、従たる障害、吃音症と診断できるようになったため、等級が重くなる、更新しやすくなったというメリットが報告されています)

実は吃音のある子どもの保護者や親戚縁者に発達障害当事者がいるかもしれない問題
さらに発達障害は遺伝の関連もあります。(筆者も親戚に発達障害当事者がいることがわかりました)お子さんが吃音だった、吃音以外の発達障害だったということは、父母、祖父母、父方、母方の親類親戚縁者で吃音の人。発達障害の人。ちょっと変な人。キャラが濃い人。こだわりが強い人。不思議な感じの人。衝動的な人。距離感がわからない人。引きこもっている人。結婚できない人。結婚はしていたけどパートナーがカサンドラ症候群になり離婚。正月やお盆などに本家や大本家に集合した場合、入ってはいけない部屋がある。またはいつも絶対に集合しない人がいる。いないことになっている。(いないことになっているどこか遠くにいっていることになっているが実はその集まった本家や大本家のどこかの部屋にいる)などなどが存在するかもしれません。もしくは父母がそもそも「発達障害特性」を持っているかもしれません。意外とお父さんお母さんはそういう経験があるのではないでしょうか。そういう経験が子どもの吃音が社会でどう見られるか、どういう仕打ちをされるか。などを想像できてしまうかもしれません。それ故に吃音を障害にしてはいけない、自分の子どもは障害者ではない。彼らと同じになってはいけない。という吃音至上主義につながるかもしれません。



吃音しかないけれど気分障害、社交不安障害など持っている場合は
(1) 主たる精神障害 吃音症 F98.5
(2) 従たる精神障害 障害名 FコードXXX
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


純粋な吃音者がどれくらい存在するのかは別として。
吃音症と気分障害、社交不安障害などを記入することになります。


――― 発病から現在までの病歴及び治療内容等
次にこの部分です。
ここはあらすじを書くところです。いつから、なにがあった、何で困っている、トラブっている、特別支援学校・学級・通級の利用有無、仕事のトラブル
などが短い文書にまとめられます。


――― 現在の病状、状態像など 
ここには診断書の(11)と(12)の部分が記入されるでしょう。
11に自閉症スペクトラム、12に吃音という例になります。



――― 4の病状、状態像等の具体的程度、病状、検査所見等 
※おおむね過去2年間の状態について記載してください
ここは障害や病状が具体的に何がどうなっているかを記入します。

対人関係のトラブル、衝動性がある、感覚過敏がある(音、光、におい)、吃音があるため、発話・発語によるコミュニケーションも円滑に進まない。

検査所見として心理検査、知能検査の数値も記入します。
WAIS3、WISC4など。ISS、NRTなど。 
FIQやVIQやPIQなど。
FSIQ VSI PRI WMI PSIなど。



――― 生活能力の状態 (2 ア イ ウ エ オ カ キ ク)
※おおむね過去2年間の状態について記載してください

ここは診断名に続き、重要な部分です。医師にしっかり記入してもらわないといけません。困っていること、できないことをしっかり医師に評価してもらうこと、その評価のために「私の困っていることリスト」、「私の黒歴史ノート」、「私の人生はこんなに大変でしたノート」を医師に印刷して手渡すことが大切になります。ここには日常生活、学校、職場、窓口などありとあらゆる場面のことを書きましょう。
1から100までではなく。1から10000まで、事細かく、ここまで書くかと自問自答するほど、詳細に書き起こしましょう。フラッシュバックすることもあるかもしれませんが、それくらい詳しく書く必要があります。精神障害者保健福祉手帳を申請するときは、「一番最悪な状態、一番困っているときのことを」思い出しながら書くというイメージです。それを医師に伝えるのです。
(これは初めて精神科医師、精神科病院に行ったときの初回面接や医師とのファーストコンタクトのときに手渡しましょう。更新の際は、日々の通院で、最近こんな失敗や嫌なこと、不利益があったと報告しましょう。定期通院での報告、これらは医師が重要視します)


障害年金申請の考え方と同様です。
そもそも発達障害診療に強い、精神科医師ならそこは理解していると思うので当事者との問診や心理検査や知能検査、日常生活はどうなっているか? 詳しく聞いてくるはずです。

「ひとりで食事ができる」とは、コンビニ弁当を買う、カップ麺を食べることができるなど ではありません!!吃音によりできないことも事細かく、こういうことができない。こういう機会を失ったと医師に理解してもらうのです。


ひとりで1日3回の食事を、栄養計算して、冷蔵庫をみて、どんな料理にしようか考えて、予算(収入)と相談して、持っているお金のうちの何%は食費に使えるか考えて、何を買うか考えて、お店に一人で行き、その道のりまでに安全に移動できるか、商品を選んで、お金を支払い、お釣りを間違わず受け取り、お釣りが間違っていれば指摘し、帰宅後に調理をする、火を使い、包丁をつかい、お皿をあらう、ゴミ捨てをする。

などのように1から10000までのこと。これが含まれているのです。


ひとりで食事できますか?「あっ これできる」
は間違いです。

吃音のある人の場合は、話せることもあるのですが。
困っているとき、話せないときのことを、吃ってしまうことにより不利益があったこと。しっかり医師に表現してもらうことが大切になります。



吃音のある人の場合、下記の部分が重要になります。


吃音のある人の場合、言葉を話すことが難しいとき、家族や友人、パートナーに「援助をしてもらう」、「助けてもらう」本人に変わって意思疎通の過程を行ってもらう、発話発語以外の手段を「周囲に理解してもらい助けてもらう(発話発語が発生しないルートで予約であったり買い物をする等)」という援助を受けている。普段は
これらを考えましょう。【援助があればできる】これが大切になります。

「エ 通院と服薬」
通院が一人でできるか。誰かと一緒に行くか。
次回の予約や病院窓口とのやりとりが上手くできるか。誰かにやってもらうか。
不安を解消するための服薬はあるか。
現在の制度上も可能ですが、実行されている病院があればです。
自立支援医療(精神)で「言語聴覚士による指導」は可能です。
発達障害を専門とする病院が言語聴覚士まで雇用していないだけなのです。
ということで、吃音のある人は、3割負担よりも安く、通院、処方箋、言語訓練が可能になります。
東京だと、発達障害を専門にする病院に言語聴覚士もいる事例もあります。
今後、吃音も診療します。言語聴覚士がいます。という病院が増えることを願っています。



「オ 他人との意思伝達及び対人関係」
家族や友人、学校の友人や教員、職場の同僚などに助けてもらう、吃音がある人だと理解してもらっている状態、事前に説明してもらうなど。テキストチャットやメール筆談での対応がある・対応を認めてもらっている。普段は吃音のことは触れられないが当事者が吃音の調子が悪いようだと周囲が察して動いてくれる。

電話を使える場所なのに、メールやファクスをさがす。いちいち実際にお店の窓口まで訪ねていってしまう。吃音のない人が発話発語で済ませることをできないという事実を医師に書いてもらうことが大切になります。

1から10000までのとても広い視点・細部まで考えて、「あっ、そういえばこの場合は助けてもらってるじゃん」ということをまずは認識していくことが大切になります。当事者さんがこれくらいは吃音だからって甘えちゃだめだよなと自己判断しないで、これは困っていることだと認識することが大切です。
吃音があることにより、こんなにたくさん意思伝達がうまくいかない。
対人関係について課題がある。
友好関係の維持もそうですし。本当は話しかけたい・参加したかったけど、吃ることにより、返事のタイミングを逃してしまうとか。本当はヒマなのに用事があるとウソを言ってしまうとか。

吃音があることにより人生においてこんなにも機会喪失がある。ということをしっかり医師に伝えることが大切になります。


「カ 身辺の安全保持及び危機対応」
ここはどもってしまうために危機対応ができない場合を想定します。
危機を理解していても話せないため、どもってしまうその時間、秒のために危機対応できないこともあるでしょう。吃ってしまうことにより周囲にSOSを出せないという状況もあります。自分が怪我や事故に巻き込まれても、110や119に電話できない。目の前で犯罪行為があっても、通報できない。または目の前で誰かが「助けてくれー。そこの人!」と言われても吃ってしまうから見なかったことにするなど。

警察官に職務質問を受けても吃ってしまうために、違法薬物をやっているのではないかと、応援の警察官を呼ばれてしまったということもあるでしょう。こういうときに精神障害者保健福祉手帳は強い力を発揮します。

吃ってしまう時間=吃る時間
という数秒から数十病の時間があるために、スムーズに流暢に話せていれば巻き込まれなかったはずの無用なトラブルを招いてしまうこともあるのではないでしょうか?


「キ 社会的手続き及び公共施設の利用」
これは市役所など窓口、銀行、病院、何らかの契約、ありとあらゆる公共施設や公的機関、公的機関に準ずるもの。年金事務所でも税務署でも裁判所でも法務局でも健康保健センターでも、公共交通機関でも。どのようなものでもです。
学校でもそうです。

人間社会で必要な手続きや施設の利用が吃ることにより、うまくいかないこともあるでしょう。

 「ク 趣味・娯楽などへの関心、文化的社会的活動への参加」
これは吃音のある人には厳しいですよね。
外に遊びに行く。イベントに行く、他の人と交流する。
新しい人間関係をつくる。
趣味の仲間をつくる。
世間話をして人間関係を維持する。
吃ることによりできないですよね。
難しいですよね。
機会があっても避けることもありますよね。新しい人間関係や趣味の世界、新しい何かを実行したい。でも吃ってしまうから、吃ってつらい経験をしたくないから、笑われたくないから、やっぱり諦めようとなってしまう等。
学校や職場に行くだけで精一杯ということもありますよね。それだけで精神をすりへらしてしまう、吃らないように頑張って疲れてしまうこともあるでしょう。




――― 生活能力の状態 (2 ア イ ウ エ オ カ キ ク)の具体的程度、状態像
この部分に
吃音があることにより、対人関係の維持構築困難、社会参加できる範囲が限定されている。吃音のために自己防衛するため故意に狭い世界で生活している。上手く話せないことによりトラブルが起きたり、巻き込まれたりする、不当な評価や扱いを受ける。多くの援助を必要としている。

などを書いてもらえるようになると良いです。




―――最後に
吃音が軽度でも精神障害者保健福祉手帳3級は取得できます。
それは「このくらいの吃音じゃダメだろう」という当事者の思い込み。吃音を診療する医師が「このくらいの吃音で障害者手帳を取るなんてダメだ」という独特の価値観を持っている、価値観を押し付けるタイプ、以上の場合の悲劇です。

そして、精神科医師の視点から見る「困っている状態」の書き方を理解しているかどうか。耳鼻科医師が精神障害者保健福祉手帳は取れないね。というのは、精神障害者保健福祉手帳の申請診断書の「困りごとの表現」を熟知していないからです。また、言語訓練などにより吃音が改善したからこの状態なら大丈夫ですね手帳申請はできませんという意味不明な価値観も含まれます。(吃音以外の発達障害当事者だって就労移行支援事業、SST、服薬などなどで中度から軽度になっている人でも手帳を取得できます)

軽度の吃音とは、挨拶ができない言えない、学校名社名が言えない、電話ができない言えない、窓口手続きができない、お店で注文できないなどなどです。そして困っていれば3級は取得できます。就労現場でも電話の免除や挨拶や朝礼の免除、発話発語に関係する合理的配慮があれば3級は取得できます。

例えば発達障害を診療する著名な精神科医師でも精神障害者保健福祉手帳を持っている事例があります。世間から見れば「医師免許を持っているのに障害者手帳を持っているだと!なぜだ!メディアにも出演しているし、書籍も多数出版しているぞ!」となるかもしれませんが。「困りごと」があればいいのですから取得できるのです。


精神障害者保健福祉手帳は身体障害者手帳と違い、「明確な診断基準、数値による線引がありません」ここがとても重要なのです。例えば吃音が身体障害者手帳になってしまえば、明確な診断基準、数値により、ここからここまでが●級となってしまうため、軽度の吃音当事者がカバーできません。全員切り捨てられます。

発達障害者支援法と精神障害者保健福祉手帳の概念は当事者が困っているかどうか。できないことがどれだけあるか。吃音状態が発生しないように言語訓練や当事者独自で編み出した方法頑張っていても(その他の発達障害も同様で発達障害特性により何かトラブルや失敗が起きないようにSSTやアプリケーション、服薬、ありとあらゆる事前の準備や特性に合わせた対処方法を使って頑張っていても)精神障害者保健福祉手帳は取得することができるのです。

2018年6月13日水曜日

吃音が含まれる労働保険審査会資料を精神障害の件、自殺の件 2件紹介

厚生労働省の労働保険審査会が公開する資料に吃音について書かれたものが2点ありましたので紹介です。(公開された文書は最下段に掲載)
リンク先はこちら
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/roudou/saiketu-youshi/


関連記事
2013年、北海道で吃音看護師が自殺した。だが、本当は自殺を避けられたのである
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html
【重要なお願い】吃音業界は2005年4月から施行の発達障害者支援法を本当に知らなかったのか?なぜ2013年に北海道で吃音看護師が自死したのかhttp://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/12/200542013.html 

1.はどこかの大学で働いていた人の事例である。
労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めたが。棄却されたということである。


2.は吃音を持った看護師が自殺したことで。亡子が自殺に至るまでの経緯が記録されている。 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による遺族補償給付及び葬祭 料を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めたが。棄却されたということである。


筆者はこれを読んでいて本当に怒りや悔しさがある。克明な記録である。
しかし、法律上、ルール上、棄却ということになる。
この後、国を相手に行政訴訟するのかどうか?(棄却を知った日からX日以内が間に合っていればの話)
もしも行政訴訟まで行けば、毎日新聞社などから報道があるかもしれない。
行政訴訟となれば吃音業界の団体も、お金を援助すべきではないかと思う。
2018年は吃音者の世界大会!吃音者の世界大会!とお金がたくさんある団体なのだから。それくらいは大根を購入するような感覚だろう。


――― 克明な記録、じっくり読んでほしい 可能なら音読してほしい

「2経過」から音読してほしい。筆者が気になった部分を強調する。全文は最下段に。
看護師さんは病院で働いていた。

・請求人によれば、被災者は、入職後、同年○月頃から、指導の受け答えの時に 突っ掛かる、言葉が出ないなどからコミュニケーションを取ることができず、少 しずつ悩み始め、同年○月になると退職や自殺を意識し出し、精神的に病んでいったという

 ・看護師は、同年○月○日、事業場に出勤せず、自宅で死亡しているところを発 見された。死体検案書には、「死亡したとき:平成○年○月○日昼頃(推定)、直接死因:酸素欠乏による窒息(推定)、死因の種類:自殺」と記載されている。

請求人は、被災者の死亡は業務上の事由によるものであるとして、監督署長に 遺族補償給付及び葬祭料を請求したところ、監督署長は、被災者の死亡は業務上 の事由によるものとは認められないとして、これらを支給しない旨の処分(以下 「本件処分」という。)をした。 請求人は、本件処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」 という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄却し た(以下「本件決定」という。)ので、請求人は、更に本件決定を不服として、本 件再審査請求に及んだものである。


・(3)被災者の本件疾病発病前おおむね6か月間において、認定基準別表1「業務 による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」という。)の「特別な出 来事」に該当する出来事は認められない。 (4)そこで、「特別な出来事」以外の出来事についてみると、請求人及び再審査 請求代理人(以下「請求代理人」という。請求人及び請求代理人を併せて、以 下「請求人ら」という。)は、①認定基準別表1の具体的出来事「達成困難な ノルマが課された」に該当する出来事、②同じく「(ひどい)嫌がらせ、いじ め、又は暴行を受けた」に該当する出来事、③同じく「理解してくれていた人 - 3 - の異動があった」に該当する出来事、④同じく「上司が替わった」に該当する 出来事があり、①及び②の出来事による心理的負荷の総合評価はそれぞれ「強」 に該当する旨主張している。 (5)上記(4)の請求人らの主張を踏まえ検討すると、以下のとおりである。 ア 上記(4)①の出来事についてみるに、請求人らは、被災者は患者に対す る説明を行う前に、先輩看護師に向かっての説明練習を繰り返し実施させら れていたが、これは、事業場が被災者に対して突っ掛かることのない説明を 行うことを業務目標として課していたものであって、かかる業務目標はノル マに該当し、当該ノルマは流暢性障害を有する被災者にとって「客観的に、 相当な努力があっても達成困難なノルマ」であり、また、被災者に対する試 用期間延長の通告が「重いペナルティの予告」に該当することから、この出 来事の心理的負荷の総合評価は「強」に該当する旨主張する。


しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできな い。

↑これ。吃音者としては憤激しますね。
また一方で『プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』ということです。これが発達障害者支援法により、精神障害者保健福祉手帳を持っており、合理的配慮を事前に申し出て、雇用側と当事者が合理的配慮について話し合えば。落とし所があればどうなったのかとも思います。

『プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』

これについては、2018年現在でも、2017年の秋ころ放送されたNHKハートネットTV、吃音学生の就職活動を見た、発達障害業界の就労移行支援事業社、事業員、発達障害専門の病院医師などからは『吃音の人はなぜ、なぜ、なぜ、一般枠でカミングアウトしてしまうのか?』と不思議がる人もいます。なぜなら『プロのXXXXとして業務を遂行していく上での前提となる、社内やお客様との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』というのが、ほとんどのどのような職業でも当たり前だからだという理由でした。

吃音当事者の立場としては『吃音があったままでも、障害者手帳を持っていなくとも、職場は合理的配慮すべき。障害者手帳を持たずに働く先輩もいるから、この職場もそうするべき』だという主張もありますよね。

しかし発達障害のある学生や大人むけの就労移行支援事業を経営運営している人やその職員・支援職、企業団体の障害者枠雇用担当者はそうは思っていないという現実もあります。


・したがって、当審査会としても、決定書理由に説示するとおり、この出来事を「達成困難なノルマが課された」に該当するものとして評価することは できず、下記イのとおり、認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出 来事として評価すべきものと判断する。 なお、請求代理人は、被災者に対する試用期間延長の通告について、達成 困難なノルマに係る「重いペナルティの予告」に該当する旨主張するが、前 述のとおり被災者にノルマが課されたものとみることはできず、別途出来事 として評価すべきものである。そして、その心理的負荷の程度を検討してみ ても、当該延長は被災者の試用期間中の状況をみて総合的に検討した結果と して行われたものであって、不当なものとまではいえず、被災者には技術面 (採血・注射)の修得が不足していた旨のC課長の申述にも信憑性を欠くも のとみるべき事情もないところ、管理者であるC課長から被災者に対して今 - 4 - 後の課題を含め相応の説明がされた上で通告されたものと推認されることか ら、心理的負荷の程度は「弱」であるものと判断する。


なるほど、正式採用されず、試用期間延長になったのですね。これは初見でした。
看護師の場合は、当事者にとってとても苦痛なものだったことでしょう。
しかし労働保険審査会の主張する認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出来事として評価すべきものと判断するということになってしまっています。
吃音のある人が繰り返し繰り返し発話発語の練習をさせられるというのは労働保険審査会では通用しないということになる…。



話を変えます 発達障害のある人を解雇する方法のこと

これは2014年くらいからある2018年現在でも水面下で存在する『発達障害のある人を間違えて採用してしまった場合に去ってもらう虎の巻』にあることです。

最近だと、それを行使されたのではないかと思うニュース記事があります。当事者は発達障害の診断がついているかは不明ですがエピソードを読んでいるともしかしたら未診断の人なのかもと思える記述もあります。
新卒1年目で解雇された地方公務員の主張 http://blogos.com/outline/300401/

関連した記事でリタリコから
発達障害カミングアウトで退職に追い込まれた26歳。実体験から伝える、退職までの軌跡とこれから https://h-navi.jp/column/article/35026527


何れにせよなのですが。
発達障害があること見抜けずに間違えて採用してしまった発達障害者を解雇する方法。
これはまず。試用期間中に本採用しないことや、「普通解雇」にすることが前提となっています。また転職させるように仕向ける。障害当事者が自ら辞めると決断するように外堀を埋めるなどなど。
虎の巻によると、発達障害を持っていると思わる当事者が失敗したことを更にやらせること。当事者が失敗しやすいであろう業務に配置転換することが解説されています。
そして、重要なことがあります。手書きの業務日報を毎日記入させるのです。
手書きが苦手、筆記が汚い当事者の人もいるでしょう。
手書きの業務日報に今日の業務内容一覧を記載させます。
また、仕事上のミスがあった場合さらに始末書や反省文などを書かせます。
(この時点は他の社員や職員はやっていないことを自分だけさせられます。または他の人も表面上やっていても、これはターゲットを普通解雇するためだと知っているため適当に書きます。会社に残ってほしい人材についてはいい加減な内容でも不問です)

すでにこの時点にうつ病になりそうですが。
当事者の中には負けずに戦う人もいるでしょう。
しかし、1年ほどすると、業務日報と始末書や反省文を根拠に
「職務遂行能力が欠けているため、普通解雇します」という流れになります。
普通解雇は罰則もなにもないので、発達障害に限らず使われる手法です。

※当事者は業務日報を詳細に自分だけ書けと言われたり、配置転換の話があった場合
不自然なタイミングで人事が話をしたいと言ってきた場合
ICレコーダーやスマートフォンのレコーダー機能で会話を全て録音することを
おすすめします。業務日報を毎日提出しろと言われた場合は。職場の中でICレコーダーの録音を勤務中は全て行うことも大切です。雇用側が辞めさせようと画策する場合、言葉の暴力や理不尽な要求や、度をこした叱責などがはじまるからです。これが録音できていれば後々有利な武器になるかもしれません。


吃音のある人を合法解雇したければ
吃音の場合は発話発語が苦手なわけですから、配置転換をして話すことが多い部署に異動させて。そこで手書きの業務日報、仕事のミスやお客様からの苦情があれば(もちろんお客様は本当にお客様かわかりません、会社側が準備したお客様の可能性も)その都度、反省文や始末書を書きます。これが継続していけば、当事者はうつ病、適応障害、などなどにより自ら退職するかもしれません。(雇用主としては1番良い展開です)
次にここまでやってもへこたれずに働き続けると。いよいよ普通解雇が宣告されることになるのです。

避けることはできるのか?
現在、改正された発達障害者支援法の第十条の3 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/viewContents?lawId=416AC1000000167_20160801_428AC0000000064
『3 事業主は、発達障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の発達障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければならない。』この条文に書いてある「発達障害者の雇用」とは精神障害者保健福祉手帳を持っていても持っていなくてもよいという解釈が重要視されているからです。
これで立ち向かうことができるともされていますが。そもそも手書きの業務日報の段階に来ると当事者もそのような余裕があるとは思えません。このレベルでは、雇用側と対峙しているのではないかと思いますし。良い状態の関係に戻せないということもあります。




話が脱線しました元に戻します


・イ 上記(4)②の出来事についてみるに、請求人らは、流暢性障害を負って いる被災者に対して、突っ掛かることなく説明を行うという不可能ないし困 難な行為を求め、繰り返しの指導ないし叱責が行われており、これは、認定 基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受け た」の心理的負荷「強」の具体例「部下に対する上司の言動が、業務指導の 範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定する言動が含まれ、かつ、 これが執拗に行われた」に該当する旨主張する。 被災者の指導看護師の申述を踏まえると、指導看護師は、被災者が患者へ の説明等改まった場面において緊張から言葉が出にくくなるものと理解して いたと推認されるところ、説明練習を繰り返すことで、患者への説明を日常 の会話と同様によりスムーズにできるようになるものと期待して行わせたも のとみるのが妥当である。


吃音のことが全く知られていないことがわかりますね。
スムーズに淀みなく話せるようになるために。
説明練習を繰り返すことでスムーズに発話発語ができるようになると期待したそうです…。吃音のこと全然知らないですね。

 ・この点、D主任は、1日5、6回も練習をさせると被災者も気落ちするの で1日2回程度であった旨述べるのに対し、請求人らは、Eが、被災者は説 明練習を何十回もさせられていた旨やスムーズに発言できないのを承知でわ ざと被災者に言わせたり、失笑したりするスタッフがいた旨申述していることを主張する。


これは新潮45で連載された近藤雄生氏が書いた記事にもあったように思います。


・しかしながら、EがSNSでも個人的につながるくらい親密とす るC課長、D主任、F以外の事業場関係者であるGの申述をみても、Eの申 述内容を裏付けるに足るものは見当たらず、他方、被災者が事業場外で信頼 を寄せていたと考えられるHも、事業場に勤めるようになってからも吃音の 悩みやいじめのことで決定的な話は聞いていないと述べていることを併せ勘 案すると、説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する。 もっとも、関係者の申述を踏まえれば、被災者が叱責されていた事実が認 められるものの、被災者の指導看護師から業務指導の範囲を逸脱した言動が なされた事実を目撃した者はおらず、被災者が記録していた日々のメモ帳に もそのような事実の記載は全くないことに照らせば、説明練習の指導をもっ - 5 - て認定基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行 を受けた」に該当するものとみることは相当ではなく、被災者が説明練習を 繰り返し行わされていたことと叱責されていたことを併せ、認定基準別表1 の具体的出来事「上司とのトラブルがあった」(平均的な心理的負荷の強度 「Ⅱ」)に該当するものとして評価することが妥当である。 そして、被災者の指導看護師による叱責に関しては、指導看護師が厳しく 叱ったことがあるとし、Gも、若干言い方がきつかったのかもしれないと述 べており、被災者が厳しく叱責される状況も複数回あったものと認められる が、ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。 ウ 上記(4)③の出来事についてみるに、請求人は、吃音のある被災者に対 して、スムーズに発言できないことを責めるのではなく、教育効果を考えな がら接してくれた唯一の理解者であった同僚が、平成○年○月○日付けで別 の部署に異動になり、被災者に対して同様に接してくれた人はほかにいなか ったことから、被災者がますます追い込まれていった旨主張する。 しかしながら、この出来事は、被災者の本件疾病発病後の出来事であり、 本件疾病が死亡に至る間に悪化したとする事情は認められないことから、評 価の対象とはならないものである。 エ 上記(4)④の出来事についてみるに、請求人は、被災者の吃音を理解し 事業場に来るよう誘ってくれたI元看護部長が、被災者が事業場に雇用され る前に退職しており、その後任の看護部長も被災者の雇用時には交代し、被 災者が事業場で働き始めるまでの間に看護部長が3人も代わっているが、被 災者の吃音について看護部長間で引継ぎがきちんとなされていたのか疑問で ある旨主張する。 請求人が主張する看護部長の交代は、被災者が事業場に雇用される以前の 出来事であることから、これを業務による出来事として評価することはでき ないが、仮にこれを決定書理由に説示するとおり、J看護部長となっていた ことを知ったのが事業場に雇用された後のこととして、認定基準別表1の具 - 6 - 体的出来事「上司が替わった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅰ」)に該当す るものとみても、心理的負荷の強度を修正すべき要素はないことから、この 出来事の心理的負荷の総合評価は「弱」であると判断する。 (6)上記(5)のとおり、被災者には心理的負荷の総合評価が「弱」の出来事が 3つ認められるが、その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。 3 以上のとおりであるので、監督署長が請求人に対してした本件処分は妥当であ って、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。




説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する

(略)

ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。


と書いてありますが。
根本的に吃音とはどんなものなのか? が知られていないことが根底にあるように思えます。もしも仮に、就職の段階で吃音の説明、合理的配慮を申し出ることができればとも考えますが。看護師は一般枠就労を望んでいたと仮定すれば、それはできなかったでしょう。仮に一般枠就労で「XXX障害について理解せよ!合理的配慮せよ!」と言えば雇用側と争う状態にもなります。そうするとそもそも勤務先の仲間や上司との軋轢にもなるのでそういうカードは使えません。さらに、一般枠就労なので、看護師としてできて当たり前の業務はできなければいけない。障害者枠であれば免除や合理的配慮があるかもしれないが。一般枠なので発話発語訓練のノルマを課せられるということは避けられなかったでしょう。そもそも医療従事者の障害者枠はあまり存在しないということもあります。


・その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。


最後の文章ですが。
業務上の事由ではなく。また死亡に至ることも業務上の事由ではないとなっています。









吃音のある人の働き方は今後どうなるのか?

吃音のある人の働き方というのは
吃音があっても大丈夫だ! 一般枠で働ける!!
障害者枠は給与やすいし。障害者と一緒だと思われるよ!
吃音でどもりまくって仕事している!
という人もいますし。(真実かどうかは別です。本当は職場でカミングアウトしていない場合もあるでしょう)

何らかの訓練や改善方法や
自分なりの技術で吃音が出ないように、うまく隠せるようになる当事者もいます。
吃音が出る状態をコントロールして。盛大に吃る→少し吃るにする場合も
あります。大破から小破にダメージコントロールすることです。

吃音があって困っている人。合理的配慮を受けて安心安全な環境で仕事したいと思えば。
精神障害者保健福祉手帳を取得する人もいるでしょう。


労働保険審査会の視点(吃音看護師の事例のみならず全てに当てはまる指針)

『しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできない。』



この部分「看護師」を他の職業に言い換えても。
この部分「患者や家族との」を「取引先やお客様との」に言い換えても。
この認識は成立します。
これは看護師に限らないということです。どのような職業でもこれは成立します。そして労働保険審査会が想定する一般枠雇用ではこのようなことが最重要視されていることになります。

吃音業界では吃音をカミングアウトして働いているという人もいますが、全ての企業団体がそのような環境ではありません…。不思議なことに吃音をカミングアウトして働いているという人が、その職場名を公開して、インターネット上にリスト化するということもありません。職場の人事を説得して「私のような吃音のある後輩が応募してくるからよろしくな!」とはなりません。吃音業界の不思議です。

では看護師が障害者枠雇用ならばどうだったのか?と考えてしまいます。合理的配慮を受けられたのではないか? しかし障害者差別解消法のいう合理的配慮は申し出があれば絶対に提供しなければいけないわけではありません。努力義務ということになっています。

さらに就労の場合の合理的配慮は障害者差別解消法よりも改正障害者雇用促進法になります。そこには「合理的配慮は、個々の事情を有する障害者と事業主との相互理解の中で提供されるべき性質のもの」であって。当事者の合理的配慮の申し出。その後双方での話し合いがあり、相互理解が必要。相互で共通の落とし所が求められるのです。一方的に「私は障害や症状があるから御社は合理的配慮しないとならない」と申し出をすることは、相手と対峙することになるということです。対決姿勢になってしまうのです…。

そこで多くの企業団体、組織は「落とし所はこのへんですね。わかりました。これでいきましょう。合理的配慮を提供するから、障害者手帳のコピーをだしてくれ。法定雇用率に計算したい」となるわけで。カミングアウトすれば一般枠でも働けるはずだという吃音業界の常識と大きく異なることになります。しかし、一般枠でカミングアウトをしてはいけないこと。大手の発達障害者向け就労移行支援事業所でも耳にタコができるほど、口酸っぱく、これでもかというほど何度も説明されます。リタリコ社の場合、就職を希望する当事者、リタリコ社職員、応募先の企業団体の三者間で合理的配慮を取り決めた内容の書面化をして保存するといいます。またリタリコ社のリタリコワークスでは「職場での合理的配慮ガイドブック 一人ひとりに合った働き方に向けて」をウェブに公開しています。 https://works.litalico.jp/interview/consideration/

しかし吃音当事者・吃音業界では一般枠雇用でも「吃音をカミングアウトできる」という事例が多数あります。吃音への合理的配慮希望を、ボールを投げるだけ投げて、雇用主側の事情や雇用先の立場とのギャップが発生してしまうのです。雇用側としては法定雇用率に計算したいから障害者手帳を持っていてほしいという本音と建前があります。


しかし何よりも、吃音とはどういったものなのか?
練習して治る人もいるかもしれないが、そうではない人もいる。
吃音についての情報提供がもっと必要になっていくと思います。

別記事でも書きました。
吃音ガイドライン 流暢性障害ガイドライン: 吃音者と働く 職場で吃音者の合理的配慮がうまくいかないのはなぜか? http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2017/10/blog-post.html

吃音当事者言う「私どもるんです。吃音があるんです」
これを雇用側が「どのくらいの吃音状態なのか」がわからないことの情報不足もあるでしょう。しかし吃音当事者によっては、吃音は障害ではないと思いこんでいるわけですから一般枠で就活して、カミングアウトをして採用される人もいますが、そうではない人もいることになります。この状況は今後変化していくでしょうか?


そして何よりも大切なこと 吃音のことをもっと強く社会に伝えていくこと 吃音の認知度をあげよう

これが何より重要でしょう。
2005年から吃音は発達障害者支援法に定義されていました。
マスコミ、報道のみなさんにはここを報道してほしいのです。
なぜ吃音業界において2005年から発達障害者支援法に吃音が含まれたこと。そして発達障害者支援法ができたときに、発達障害当事者や支援者、親の会の連合体が発足し、その中に吃音業界の団体が1つ加盟していたのに。2013年に吃音を苦にした自死、自殺が2件起きてしまったのか。なぜ発達障害業界は吃音業界を怪訝そうに見ているのか?
ここを報道してほしいのです。
関連記事
2013年、北海道で吃音看護師が自殺した。だが、本当は自殺を避けられたのである
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html
しかし吃音業界にはそれがなぜか秘匿、隠匿、隠蔽されてしまい。自死を決断する者が出てきた。2005年以降は別の選択肢もあったはず。もしも2005年から吃音のことが広く知られていれば。といろいろな事が巡り巡ってしまいます。

吃音業界、吃音者の中には、吃音以外の障害種別の当事者や家族を差別する人もいます。
これを吃音至上主義といいます。吃音至上主義が『吃音が発達障害者支援法に含まれていることを隠そう、隠匿、隠蔽、秘匿しよう。社会に広まらないようにしよう』につながるとしたら本当に怖いことです。

吃音業界では2005年4月から発達障害者支援法に吃音が含まれたことが共有されなかったことは本当に悲しいことです。吃音業界の団体がこの時点で団結し、運動をおこし、積極的に行政や医療との連携を行い、精神障害者保健福祉手帳取得への手引やホームページ上での使える社会保障制度紹介、吃音以外の障害児者、困ってる当事者との連携があれば。少なくともその後、高校や大学を卒業した吃音当事者は苦悩する時間、死にたくなる気持ち、自分の人生を考える時間、吃音があるからといって絶対にこれをしなければいけないという焦り、いろいろな重圧や悩みを別の視点、別の選択肢によって回避することもできたのかもしれません。2014年に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターが「吃音は発達障害に含まれる」とホームページ上で公開することによって事態は急変しました。黒船来航と同じで吃音業界はいよいよ外圧によって動かざるをえない状況になりました。

しかし、しかしです。吃音業界はなぜ発達障害者支援法の存在が隠されていたのか。なぜ吃音者(家族やそれに関係する人間)は精神障害や発達障害を持った人を差別するのか。こういった過去を調べて検証して反省するということはありません。検証した結果をしっかり報告書にしてウェブ上に公開することも大切だと考えます。本来なら吃音業界はまずここからやらなければいけないのです。労働保険審査会(ウェブ上に公開されるレベル)にまで行動しなければいけなかった。それくらい吃音業界はとても深い闇を抱えているといえます。もっと早く、少なくとも発達障害者支援法が開始された当時から吃音当事者とその家族の選択肢を増やすための行動をしていれば、権利擁護をしていれば、令和時代になって、吃音で苦悩し苦しみ生きることへ絶望する当事者や家族も少なくなっていたでしょう。とりわけ吃音者が大きな壁と感じる就職活動では一般枠も障害枠も両方就活しよう。精神障害者保健福祉手帳を取得しよう、社会保障制度を堂々と利用しようという流れもあったかもしれません。


吃音至上主義(きつおんしじょうしゅぎ)とはなんですか? どんな差別主義ですか?
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2018/12/blog-post.html


吃音業界では吃音のことが100%全部社会に知られてしまうことを反対する人もいます。
吃音が発達障害になると精神障害や発達障害の人と同じに思われてしまうから、精神障害や発達障害の人は犯罪をしても無罪だから、そんな人たちと同じに扱われたくないから。吃音は身体障害だという吃音至上主義者もいます。

発達障害者支援法に入っていることを2005年の施行日から2014年7月3日に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターが改めて告知するまで、隠匿していた業界でもあります。もしも2005年から吃音が発達障害者支援法の対象であるとわかっていれば。イジメや不登校を経験した人も。その後進学を諦めてしまった人も。就職活動で失敗してしまった人も。いまはニートやひきこもりになっている人も。自殺をした人も。何か別の道があったのではないかと思います。

発達障害による精神障害者保健福祉手帳は「本人の困りごと」により取得できます。
身体障害の場合は身体障害の認定基準という明確な線引、数値、検査などがあります。これにより厳格に等級が決まります。もしも吃音が身体障害になったとすれば。軽度の人が手帳を取得できない可能性もあります。

また、うつや適応障害、社交不安障害といった二次障害がなくても精神障害者保健福祉手帳は取得できます。自閉症スペクトラムだけで精神障害者保健福祉手帳を持っている人もいます。吃音業界ではこのような正しい情報が医療従事者の間でも共有されておらず。二次障害が発生しないと手帳を取得できないと判断する人もいます。自閉症スペクトラムなどを診療する医師は「二次障害が発生しないように当事者を守るため」にも発達障害の症状単独で精神障害者保健福祉手帳が取得できることをもっと世間に浸透してほしいといいます。


吃音の認知度を上げること。「吃音を知られたくない」という気持ちもあるでしょうし。うまく吃音を隠して社会に溶け込んでいるいる人はなおさらでしょう。

しかし、吃音があってもうまくいっているとか、どもりまくって仕事している、私ができたから、あなたもできる。それは間違っています。「パターナリズム」です。あなたの成功体験が他の人にあてはまるわけないのです。

吃音のある人に限らず、身体障害でも発達障害でも精神障害でも知的障害でもマイノリティでも難病でも、どんな人でも世界中に同じ人は存在しません。生まれた国家。生まれた家の貧富、親の価値観、学校の環境、いじめにあうか、あわないか。不登校になるかならないか。うまく何事もなくいってしまうか。挫折するか。まったくひとりひとり異なるのです。今目の前にいる困っている人は、過去に経験したこの人とパターンが同じだから、こんな感じで助ければいいや。ではありません。

もしも吃音があってもうまく行っている、会社は理解あるという人は自分の所属する企業団体・組織の名称をインターネット上に公開してください。そして人事部に「私は吃音があるけど。今度後輩がエントリーしてくるから。頼むよ!」と説明して「後輩吃音者のみなさん!私の働く職場に応募して!!吃音があっても絶対大丈夫!全く気にされないよ!」とアナウンスすべきです。全ての吃音者に平等なエントリーできる機会を提供すべきです。

しかしそれはできませんよね。
だからこそ。社会保障制度、障害者基本法、発達障害者支援法、差別解消法、精神障害者保健福祉手帳制度などなどがあるのです。これらは人間が文明を築いてきた中で生まれたものです。障害者に限らず、社会的弱者の人へのセーフティーネットは近代ではどの国家でもあるわけです。


そしてライフステージにあわせた。
いつでもどこでも、誰でも。困ったときにどのような制度があるのか?
これらを「可視化、見える化」していかないとなりません。
発達障害のある人の団体やてんかんのある人の団体では、使える制度一覧の説明。学校での合理的配慮の受け方。学校での個別の指導計画・支援計画の発動方法。障害のある生徒を多く受けれ入れている高校説明会、発達障害のある学生を手厚く支援してくれる大学、就職は一般枠?障害者枠?と考える時間。いろいろな機会を情報を教えてくれます。

吃音がある子どもであれば「うまく話せるように学校にいくのではありません」
安心安全な環境で勉強するため。無理に発話発語をしない合理的配慮を求めること。
こういうことでもいいのです。


少し古い資料で、一部内容が変わっているかもしれませんが。
東京大学先端研で発達障害のある人の研究を熊谷晋一郎氏と行っている綾屋紗月氏が発達障害の説明、当事者研究の際に利用するスライドです。
「吃音のある私」
「吃音のある私が困っていること」
「社会に返せる問題は社会に返す」

個人の問題と社会の問題を切り分ける。
そして使える制度や社会資源を使いリカバリーしていく。
安心安全な環境を手に入れる。
自分が生きやすい環境を構築していくことが大切になるでしょう。

そして吃音業界の医療従事者ではなく、精神科医療の医療従事者のみなさんにお願いです。吃音業界は本当に複雑です。発達障害者支援法が存在したのにも関わらずそれが見える化わかる化使える化されていないのです。そして、「成功してる吃音者」という価値観があり、ここでは社会保障制度、障害者手帳制度を利用する吃音者は弱い人、甘えた人、負け組、ずるい人などとレッテルはられます。あくまでも一般枠で成功してこそ、そして吃音当事者の保護者と同じ収入レベル生活レベルの維持をすることが評価されます。ここには相談支援、ソーシャルワーク、バイスティックの7つの原則、パターナリズムなどが理解できる人がいないのです。どうか助けてください。みなさんの活躍するフィールドで吃音を積極的に扱ってほしいのです。









以下、労働保険審査会の公開した文書


1.28労103 [190KB] 棄却 准教授の上司、同僚からのパワハラ等により発病したとする精神障害

- 1 - 平成28年労第103号 主 文 本件再審査請求を棄却する。 理 由 第1 再審査請求の趣旨及び経過 1 趣 旨 再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、労働基準監督 署長(以下「監督署長」という。)が平成○年○月○日付けで請求人に対してした 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めるというにある。 2 経 過 請求人は、平成○年○月○日、A所在の学校法人Bに採用され、同法人が運営 するC大学(以下「大学」という。)に専任講師として勤務したのち、平成○年か らは准教授として就労していた。 請求人によると、平成○年○月頃から学長や同僚から受けたパワーハラスメン トやいじめにより慢性的なストレスが蓄積されたという。 請求人は、同年○月○日、Dクリニックに受診し、「適応障害」と診断され、そ の後、平成○年○月○日、E病院に受診し、「適応障害」と診断された。 請求人は、精神障害を発病したのは、業務上の事由によるものであるとして、 監督署長に療養補償給付及び休業補償給付を請求したところ、監督署長は、請求 人に発病した精神障害は業務上の事由によるものとは認められないとして、これ らを支給しない旨の処分をした。 請求人は、これら処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査 官」という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄 却したので、請求人は、更にこの決定を不服として、本件再審査請求に及んだも のである。 第2 再審査請求の理由 - 2 - (略) 第3 原処分庁の意見 (略) 第4 争 点 本件の争点は、請求人に発病した精神障害が業務上の事由によるものであると認 められるか否かにある。 第5 審査資料 (略) 第6 事実の認定及び判断 1 当審査会の事実の認定 (略) 2 当審査会の判断 (1)請求人の傷病名及び発病時期について、労働局地方労災医員協議会精神障害 等専門部会(以下「専門部会」という。)は、平成○年○月○日付け意見書に おいて、請求人の発病の状況、F医師の意見書等から、ICD-10診断ガイ ドラインに照らし、「F43.2 適応障害」(以下「本件疾病」という。) を発病したと判断し、発病時期を平成○年○月下旬頃としており、請求人の症 状の経過等に照らすと、当審査会としても専門部会の意見は妥当であると判断 する。 (2)ところで、精神障害の業務起因性の判断については、厚生労働省労働基準局 長が「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月2 6日基発1226第1号。以下「認定基準」という。)を策定しており、当審 査会としてもその取扱いを妥当なものと考えることから、以下、認定基準に基 づき検討する。 (3)そこで、請求人の本件疾病発病前おおむね6か月間における業務による心理 的負荷についてみると、次のとおりである。 ア 「特別な出来事」について 認定基準別表1「業務による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」 という。)の「特別な出来事」の類型に示されている「心理的負荷が極度の もの」又は「極度の長時間労働」に該当する出来事は認められず、「特別な - 3 - 出来事」は見受けられない。 イ 「特別な出来事以外の出来事」について 請求人は、本件疾病を発病に至らしめる多くの業務による心理的負荷をも たらす出来事があった旨主張していることから、以下、同主張の出来事ごと を検討する。 (ア)まず、請求人は、平成○年○月○日に請求人の身体状況を確認するため に大学が指定した医療機関を受診するよう学部長より指示がなされ、請求 人は受診することとなったが、当該指示自体が不適切であると主張する。 当審査会では、請求人が当該医療機関を受診することとなった経緯につい て精査したが、受診は事実確認書からみて、明確に請求人の合意を得た上 でなされたものであり、また、当該指示の理由についても、請求人が今後 授業を支障なく継続できるかを判断するためという合理性が認められるも のであることから、仮に、請求人にとって不満があったとしても、一般的 に心理的負荷をもたらす業務上の出来事であるとは判断できない。 (イ)次に、請求人は、自身の授業のやり方等について平成○年○月○日に学 生から提出された嘆願書を取り上げ、同年同月○日にG委員会が開催され、 さらに同月○日には学生に対する説明会が開催されたことについて不当で ある旨を主張する。この点、一件記録を精査すると、請求人の主張と大学 側の主張には、学生の請求人による授業に対する受け止め方や説明会に至 る経緯において食い違いがあるものの、少なくとも学生から「嘆願書」が 出されたことは事実であると認められる。学生から、こうした文書が提出 された以上、大学側が請求人から事情を聞き、また、学生に対して説明を したことについては、合理性があると判断すべきである。この点、請求人 は、呼び出し回数が○回にも及んだことを不当である旨主張するが、こう した事態に至った背景には、請求人の釈明が学生の主張と乖離していたた め事実確認が必要であったと判断し得るものであり、調査が長期間に及ん だことも致し方ないと言わざるを得ない。したがって、この一連の経過に ついて、請求人が不満を抱いたことは理解できるも、大学側として学生の 苦情に係る請求人への対応が不当であったとは判断できず、同出来事を認 定基準別表1の具体的出来事に該当する出来事として「上司とのトラブル - 4 - があった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅱ」)に該当するとみて評価し ても、やや強い業務指導が行われたものであると判断することが相当であ り、その心理的負荷の強度は「中」であると判断する。 (ウ)また、請求人は、学部長ら上司から発病直前まで継続して「いじめ」を 受けていた旨を主張するが、当審査会において、一件記録を精査するも、 決定書に記載のとおり、上記G委員会や学生への説明会の場において、請 求人にとっては厳しいと感じられるであろうやり取りがあった事実は認め られ、また、H委員長から試験の監督をするよう求められた等の事実は認 められるものの、いずれも大学教員としての一般的な務めを求められたと 判断すべきものであり、それらの場面において、請求人の人格や人間性を 否定するような嫌がらせが執拗かつ繰り返し行われたという事実も認めら れないことから、業務による心理的負荷をもたらす出来事であったとは判 断し得ない。 (エ)さらに、請求人は、事実確認書について、記載内容やその手続き等につ いて不当である旨を主張するが、当該確認書は、平成○年○月○日から同 年○月○日までの間の○回にわたる請求人と学部長らとの話し合いの結果 として作成されたものと認められ、最終的には、請求人も自ら署名してい る。請求人は、法律学を専門とする研究者であり、当該署名の意味につい ては理解しているものと判断されるところ、後にこれを不当な要求であっ た等との反論は受容しがたく、同主張について、業務による心理的負荷を もたらす出来事であるとは判断できない。 (オ)以上のことからすると、請求人について認定基準別表1の具体的出来事 に該当する出来事としては、心理的負荷の総合評価「中」となる出来事が 1つ認められるに過ぎず、請求人の業務による心理的負荷の全体評価は 「強」には至らないものである。 なお、請求人は、本再審査請求において、公正かつ慎重な審理を希望す る旨主張しているところ、当審査会においては、事実認定に係る関係者の 申述及び証拠については、各位の立場や事情を十分に斟酌してその採否を 決定しており、本件についても、大学関係者の申述については、その信憑 性や矛盾の有無についても精査したものであることを付言する。 - 5 - (4)業務以外の心理的負荷の評価及び個体側要因の評価 本件における一件記録からは、業務以外の心理的負荷については認定基準に 基づき特に評価すべき要因は認められない。個体側要因については、請求人は 平成○年○月よりIクリニックに定期的に通院し「吃音」、「神経症」、「抑 うつ状態」、「不眠症」と診断され、抗うつ薬や睡眠薬が継続して処方されて いる。また、平成○年○月から「抑うつ状態」により約○週間休業しているこ とも確認できる。 (5)請求人のその余の主張についても子細に検討したが、上記結論を左右するに 足るものは見いだせなかった。 (6) 以上のことから、当審査会としても請求人に発病した本件疾病は業務上の事 由によるものとは認められないと判断する。 3 以上のとおりであるから、請求人に発病した本件疾病は業務上の事由によるも のであるとは認められず、監督署長が請求人に対してした療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分は妥当であって、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。

2.28労391 [209KB] 棄却 看護師の自殺

- 1 - 平成28年労第391号 主 文 本件再審査請求を棄却する。 理 由 第1 再審査請求の趣旨及び経過 1 趣 旨 再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、労働基準監督 署長(以下「監督署長」という。)が平成○年○月○日付けで請求人に対してした 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による遺族補償給付及び葬祭 料を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めるというにある。 2 経 過 請求人の亡子(以下「被災者」という。)は、平成○年○月○日、A所在のB 病院(以下「事業場」という。)に雇用され、看護師として業務に従事していた。 請求人によれば、被災者は、入職後、同年○月頃から、指導の受け答えの時に 突っ掛かる、言葉が出ないなどからコミュニケーションを取ることができず、少 しずつ悩み始め、同年○月になると退職や自殺を意識し出し、精神的に病んでい ったという。 被災者は、同年○月○日、事業場に出勤せず、自宅で死亡しているところを発 見された。死体検案書には、「死亡したとき:平成○年○月○日昼頃(推定)、直 接死因:酸素欠乏による窒息(推定)、死因の種類:自殺」と記載されている。 請求人は、被災者の死亡は業務上の事由によるものであるとして、監督署長に 遺族補償給付及び葬祭料を請求したところ、監督署長は、被災者の死亡は業務上 の事由によるものとは認められないとして、これらを支給しない旨の処分(以下 「本件処分」という。)をした。 請求人は、本件処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」 という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄却し た(以下「本件決定」という。)ので、請求人は、更に本件決定を不服として、本 件再審査請求に及んだものである。 - 2 - 第2 再審査請求の理由 (略) 第3 原処分庁の意見 (略) 第4 争 点 本件の争点は、被災者の精神障害の発病及び死亡が業務上の事由によるものであ ると認められるか否かにある。 第5 審査資料 (略) 第6 事実の認定及び判断 1 当審査会の事実の認定 (略) 2 当審査会の判断 (1)被災者の精神障害発病の有無及び発病時期について、労働局地方労災医員協 議会精神障害専門部会(以下「専門部会」という。)は、平成○年○月○日付 け意見書において、症状経過及び主治医意見等を踏まえ、ICD-10診断ガ イドラインに照らし、「F43.2 適応障害」(以下「本件疾病」という。) を発病していたと判断し、その時期は平成○年○月下旬頃としている。 被災者の症状経過等を踏まえると、当審査会としても、専門部会の意見は妥 当であると判断する。 (2)ところで、心理的負荷による精神障害の業務起因性の判断については、厚生 労働省労働基準局長が認定基準を策定しており、当審査会としても、その取扱 いを妥当なものであると考えることから、以下、認定基準に基づき検討する。 (3)被災者の本件疾病発病前おおむね6か月間において、認定基準別表1「業務 による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」という。)の「特別な出 来事」に該当する出来事は認められない。 (4)そこで、「特別な出来事」以外の出来事についてみると、請求人及び再審査 請求代理人(以下「請求代理人」という。請求人及び請求代理人を併せて、以 下「請求人ら」という。)は、①認定基準別表1の具体的出来事「達成困難な ノルマが課された」に該当する出来事、②同じく「(ひどい)嫌がらせ、いじ め、又は暴行を受けた」に該当する出来事、③同じく「理解してくれていた人 - 3 - の異動があった」に該当する出来事、④同じく「上司が替わった」に該当する 出来事があり、①及び②の出来事による心理的負荷の総合評価はそれぞれ「強」 に該当する旨主張している。 (5)上記(4)の請求人らの主張を踏まえ検討すると、以下のとおりである。 ア 上記(4)①の出来事についてみるに、請求人らは、被災者は患者に対す る説明を行う前に、先輩看護師に向かっての説明練習を繰り返し実施させら れていたが、これは、事業場が被災者に対して突っ掛かることのない説明を 行うことを業務目標として課していたものであって、かかる業務目標はノル マに該当し、当該ノルマは流暢性障害を有する被災者にとって「客観的に、 相当な努力があっても達成困難なノルマ」であり、また、被災者に対する試 用期間延長の通告が「重いペナルティの予告」に該当することから、この出 来事の心理的負荷の総合評価は「強」に該当する旨主張する。 しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできな い。 したがって、当審査会としても、決定書理由に説示するとおり、この出来 事を「達成困難なノルマが課された」に該当するものとして評価することは できず、下記イのとおり、認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出 来事として評価すべきものと判断する。 なお、請求代理人は、被災者に対する試用期間延長の通告について、達成 困難なノルマに係る「重いペナルティの予告」に該当する旨主張するが、前 述のとおり被災者にノルマが課されたものとみることはできず、別途出来事 として評価すべきものである。そして、その心理的負荷の程度を検討してみ ても、当該延長は被災者の試用期間中の状況をみて総合的に検討した結果と して行われたものであって、不当なものとまではいえず、被災者には技術面 (採血・注射)の修得が不足していた旨のC課長の申述にも信憑性を欠くも のとみるべき事情もないところ、管理者であるC課長から被災者に対して今 - 4 - 後の課題を含め相応の説明がされた上で通告されたものと推認されることか ら、心理的負荷の程度は「弱」であるものと判断する。 イ 上記(4)②の出来事についてみるに、請求人らは、流暢性障害を負って いる被災者に対して、突っ掛かることなく説明を行うという不可能ないし困 難な行為を求め、繰り返しの指導ないし叱責が行われており、これは、認定 基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受け た」の心理的負荷「強」の具体例「部下に対する上司の言動が、業務指導の 範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定する言動が含まれ、かつ、 これが執拗に行われた」に該当する旨主張する。 被災者の指導看護師の申述を踏まえると、指導看護師は、被災者が患者へ の説明等改まった場面において緊張から言葉が出にくくなるものと理解して いたと推認されるところ、説明練習を繰り返すことで、患者への説明を日常 の会話と同様によりスムーズにできるようになるものと期待して行わせたも のとみるのが妥当である。 この点、D主任は、1日5、6回も練習をさせると被災者も気落ちするの で1日2回程度であった旨述べるのに対し、請求人らは、Eが、被災者は説 明練習を何十回もさせられていた旨やスムーズに発言できないのを承知でわ ざと被災者に言わせたり、失笑したりするスタッフがいた旨申述しているこ とを主張する。しかしながら、EがSNSでも個人的につながるくらい親密とす るC課長、D主任、F以外の事業場関係者であるGの申述をみても、Eの申 述内容を裏付けるに足るものは見当たらず、他方、被災者が事業場外で信頼 を寄せていたと考えられるHも、事業場に勤めるようになってからも吃音の 悩みやいじめのことで決定的な話は聞いていないと述べていることを併せ勘 案すると、説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する。 もっとも、関係者の申述を踏まえれば、被災者が叱責されていた事実が認 められるものの、被災者の指導看護師から業務指導の範囲を逸脱した言動が なされた事実を目撃した者はおらず、被災者が記録していた日々のメモ帳に もそのような事実の記載は全くないことに照らせば、説明練習の指導をもっ - 5 - て認定基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行 を受けた」に該当するものとみることは相当ではなく、被災者が説明練習を 繰り返し行わされていたことと叱責されていたことを併せ、認定基準別表1 の具体的出来事「上司とのトラブルがあった」(平均的な心理的負荷の強度 「Ⅱ」)に該当するものとして評価することが妥当である。 そして、被災者の指導看護師による叱責に関しては、指導看護師が厳しく 叱ったことがあるとし、Gも、若干言い方がきつかったのかもしれないと述 べており、被災者が厳しく叱責される状況も複数回あったものと認められる が、ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。 ウ 上記(4)③の出来事についてみるに、請求人は、吃音のある被災者に対 して、スムーズに発言できないことを責めるのではなく、教育効果を考えな がら接してくれた唯一の理解者であった同僚が、平成○年○月○日付けで別 の部署に異動になり、被災者に対して同様に接してくれた人はほかにいなか ったことから、被災者がますます追い込まれていった旨主張する。 しかしながら、この出来事は、被災者の本件疾病発病後の出来事であり、 本件疾病が死亡に至る間に悪化したとする事情は認められないことから、評 価の対象とはならないものである。 エ 上記(4)④の出来事についてみるに、請求人は、被災者の吃音を理解し 事業場に来るよう誘ってくれたI元看護部長が、被災者が事業場に雇用され る前に退職しており、その後任の看護部長も被災者の雇用時には交代し、被 災者が事業場で働き始めるまでの間に看護部長が3人も代わっているが、被 災者の吃音について看護部長間で引継ぎがきちんとなされていたのか疑問で ある旨主張する。 請求人が主張する看護部長の交代は、被災者が事業場に雇用される以前の 出来事であることから、これを業務による出来事として評価することはでき ないが、仮にこれを決定書理由に説示するとおり、J看護部長となっていた ことを知ったのが事業場に雇用された後のこととして、認定基準別表1の具 - 6 - 体的出来事「上司が替わった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅰ」)に該当す るものとみても、心理的負荷の強度を修正すべき要素はないことから、この 出来事の心理的負荷の総合評価は「弱」であると判断する。 (6)上記(5)のとおり、被災者には心理的負荷の総合評価が「弱」の出来事が 3つ認められるが、その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。 3 以上のとおりであるので、監督署長が請求人に対してした本件処分は妥当であ って、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。

2018年4月28日土曜日

【ニュース】発達障害医学の進歩30で吃音が取り上げられる 吃音至上主義者はショック?吃音が発達障害になってしまうと抗議するの?

――― 吃音業界の専門職が発達障害業界の出版物に出てくる時代になった

顕在化しにくい発達障害の早期発見と支援に向けて 
という書籍が公益社団法人日本発達障害連盟から発売です。(リンクは記事の最下段)

関連記事
【ニュース】筑波大学の発達障害を重複する吃音の子どもの実態‐発達的変化の追跡調査‐をご存知ですか? http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2018/04/blog-post_29.html



現在、吃音業界は吃音至上主義という名の障害種別差別が蔓延しています。
そのようななか、菊池良和氏、原由紀氏の2名の記事が発達障害を扱う団体、その出版物で扱われることになります。筆者はこのように、吃音も発達障害業界で扱われるようになり時代の変化を感じています。障害種別に関係なく、こうやってお互いのことが知ることができるようになっていくこと。これは大切だと思います。

ちなみに菊池良和氏、原由紀氏は日本発達障害連盟の別のセミナーにも登壇していました。こちらのセミナーのことが今回発売の書籍につながっています。



――― 吃音至上主義者、障害種別差別推進派の吃音のある人やその家族や支援者はこの事態をどうみる?

吃音業界にある吃音至上主義、障害種別差別主義者の考え方
「吃音を知ってください。吃音を理解してください。でも発達障害や精神障害のことは知りません。理解したくありません。吃音が精神障害や発達障害だと思われたら困ります。一緒にしないでください!吃音の人は精神障害や発達障害のように頭オカシクありませんから! 発達障害の人が持っている内的心理的問題を吃音の人が持っていると思われたら困ります!!吃音はあんな発達障害の人とは違いますから!!吃音を発達障害業界の出版物やセミナーで扱わないでください!!」

発達障害業界にあるまぜこぜの考え方
「発達障害には色々な特性があります。それらの特性を複数持っている人もいます。発達障害特性ごとに困りごとや悩み事は異なるかもしれませんが。みなさんお互いのことを知りましょう。助け合いましょう。一緒に協力しましょう。分断をするのではなく。分けるのではなく、一緒に歩みましょう」


吃音至上主義、障害種別差別は自閉症協会の掲示板でも話題になり、悲しみや怒りがあふれている

http://www.autism.or.jp/cgi-bin/wforum/wforum.cgi?mode=allread&no=3039&page=0



――― 吃音至上主義や障害種別差別をする人々からすれば
『公益社団法人日本発達障害連盟の書籍で吃音を扱ったら、吃音が発達障害になってしまう。吃音が発達障害だと思われてしまう。吃音が精神障害者保健福祉手帳の扱いになってしまう。吃音児者が発達障害児者とおなじ枠になってしまう』などなどの(一般の人からすると理解に苦しむ意味不明な)感情が蠢いていることでしょう。

それでも菊池氏、原氏がこうやって発達障害業界から情報発信をする時代になった。2018年現在、吃音も発達障害として扱うことがこれから増えていくことでしょう。(さらにこれからの未来の話です。危惧されるのは、発達障害業界、発達障害業界の医療従事者の間などでも話題になっていることです。『吃音至上主義者、障害種別差別をした人が、何事もなかったかのように、シレっと、発達障害業界に入ってきて講演やセミナー、研究成果発表しちゃうんじゃないの?学会誌とかに出てくるのでは?反省して医療従事者として活動しないなんて道は選ばないだろう』という話題です。これは現実になると思います。吃音至上主義・障害種別差別をした人が普通に発達障害業界にするりと入り込み何事もなかったかのように活動すると思います。)

公益社団法人日本発達障害連盟や菊池良和氏、原由紀氏に「吃音を発達障害にするな!発達障害をあつかうところで記事を出すな!」という意味不明な抗議や公開要望書が行かないようにと。とても懸念しています。菊池良和氏や原由紀氏は吃音を発達障害にしようとしている輩だ!という流言飛語もこれから出てくるのではないかと危惧しています。


――― ちなみに、石崎 朝世氏(発達協会王子クリニック院長)などでおなじみの公益社団法人発達協会に、吃音業界の医療従事者や研究者が登壇しています

こちらは公益社団法人発達協会です。自閉症協会とも接点がある団体で50周年シンポジウムに石崎氏が登壇していました。


この発達協会ですが。
ここにも吃音業界の人が、登場しています。

発達協会には、坂田善政氏、原由紀氏、小林宏明氏がセミナーに登壇しています。こちらの方々にも、発達協会にも吃音至上主義者・障害種別差別推進派の抗議や公開要望書が行っているのではないかと心配です。
吃音を発達障害や精神障害と同じにするな!精神障害者保健福祉手帳を使わせるな!という吃音至上主義者、障害種別差別推進主義者からすれば大変ショックなことでしょう。まさか坂田氏、小林氏まで発達障害業界に接点があるなんて…と認識するからです。






登場している事実1 (ちなみに場面緘黙業界の高木氏もいることに注目です)
発達障害・知的障害のある子どもへの理解、指導・支援法、また保護者への理解・支援等について、実践豊富な講師から学ぶセミナーです。
吃音や場面緘黙のある子どもの育ちを支える-「話したいのに上手く話せない」子への対応
講師:三木江理奈(個別学習エイル)、小林宏明(金沢大学)、高木潤野(長野大学) あそびを通した発達支援-感覚と社会性の視点から
講師:伊藤祐子(首都大学東京)、大畑豊(子どもの心と発達の相談ルームここケット)
※2月4日(日)、17日(土)、18日(日)、25日(日)にも
セミナーを開催しております。
※セミナーの詳細、お申し込みは下記ホームページへ
http://www.hattatsu.or.jp
■主催
公益社団法人 発達協会  http://www.kawasaki-m.ac.jp/mw/commhw/okayamast/cms/?p=2646


登場している事実2
ことばの育ちを支援する 
評価法と多様な側面への理解と支援
経験や勘だけに頼らない、評価に基づいた指導方法を学びます。
 子どもの発達の中で、関心の高い領域のひとつが「ことば」です。「ことば」には理解、表出、音の産生等多様な側面があり、それぞれの発達や連関をふまえた上で、子どもと関わる必要があります。このセミナーでは、「ことば」の発達と障害、評価法とともに、諸側面への指導・支援法を学びます。保護者へのアドバイスにも役立つ、暮らしの中で「ことば」の力をはぐくむ働きかけ方を含め、経験豊富な講師陣がお伝えする例年、好評のセミナーです。
話しことばの障害とは
構音障害と吃音を中心に
原 由紀(北里大学)
http://www.hattatsu.or.jp/jissen_seminar_naiyou.html


登場している事実3

公益社団法人発達協会【春のセミナーご案内】
(ご案内より)
発達協会が主催する春のセミナーのご案内です。発達障害・知的障害のある子の指導に役立つ具体的な内容を現場経験豊富な講師陣よりお話いたします。
春のセミナーH 2月27日(土)
吃音や場面緘黙のある子どもの育ちを支える-「話したいのに上手く話せない」子への対応
吃音や場面緘黙がある子は、周囲の理解が足りないと話す意欲、コミュニケーションへの意欲を失ってしまう恐れがあります。彼等のコミュニケーションへの意欲、育ちを支えるためには、まず周囲の大人が吃音や場面緘黙について知ることが必要です。理解を踏まえた関わりや支援について、臨床経験豊富な講師が事例を交えてお伝えします。発音が未熟な子-機能性構音障害のある子への対応も含め、「話したくない」という思いを子どもにさせないために学びます。
①坂田善政先生(国立障害者リハビリテーションセンター)
②三木江理奈先生(個別学習エイル)
③高木潤野先生(長野大学)
http://www.fukushima-st.org/2016022728/



発達障害医学の進歩30
http://www.jldd.jp/info02/mentalretardation30/
企画・発行
公益社団法人 日本発達障害連盟
日本発達障害学会
読み書き障害、吃音、チック、発達性協調運動障害(DCD)といった「顕在化しにくい発達障害」のある子どもたちに対して、早期に気づき、適切な支援策を幼児期・学童期にわたって円滑な連携のもとに提供する体制づくりが、いま求められている。
本書では、上記の4 つの発達障害への理解を深めるために、それぞれの障害の特徴とともに、早期アセスメント手法や支援法の実際を具体的にわかりやすく解説。さらに運動と密接に関わる感覚の問題についての概説も加えた。医療・教育・療育の現場で子どもに関わるすべての方にとって、明日からの支援策を考えるヒントが満載である。
【目次】
■ 顕在化しにくい発達障害の早期発見と支援に向けて ─総論
稲垣真澄
■ チックの基本を理解する
松田なつみ
■ チックの早期アセスメントと支援
藤尾未由希
■ 吃音症の基本を理解する
菊池良和
■ 吃音症の早期アセスメントと支援
原 由紀
■ 学習障害の基本を理解する
─読みの障害(発達性ディスレクシア)に焦点をあてて
原 惠子
■ 学習障害の早期アセスメントと支援
北 洋輔
■ 不器用な子ども ─ DCD という視点からの理解と支援
中井昭夫
■ 自閉スペクトラム症の子どもへの感覚・運動アプローチ
岩永竜一郎

2018年4月18日水曜日

吃音症の高校生ラッパー 自閉症のラッパーGOMESSさんも過去に出場した高校生RAP選手権に

ヤフーニュース個人からです。全文はリンクから
この記事を提供しているのは 太田信吾さん 映画監督・俳優

記事中に自閉症スペクトラム当事者のGOMESSさんも出てきていてビックリです。
今月の世界自閉症啓発デーにも、感覚過敏な環境なところ、ステージに来てくれました。

吃音も発達障害、自閉症スペクトラムも発達障害。
将来、障害種別に関係なく、2人が共演するようなことがあればいいなぁと思いながら読み進めました。

GOMESSさんの動画

14:52から

ニュースリンク
https://news.yahoo.co.jp/byline/otashingo/20180417-00084097/
吃音症から「日本一のラッパー」目指す達磨くん(17)の挑戦
 2018年3月17日、「第13回高校生RAP選手権」が豊洲PIT(東京都江東区)で開催された。この大会は高校生ラッパー日本一を決めると言われ、「若手ラッパーの登竜門」でもある。大会で注目を集め、その後、プロのアーティストとして活躍する者も多い。例えばGOMESSさんやT-Pablowさんはここから大きく羽ばたいた。
 選手権に出るには、厳しい予選を勝ち抜かなければならない。今回は北海道、東北、関東、関西、福岡の5ブロックで予選が行われ、16名の猛者が残った。その1人が愛知県のMC名・達磨(だるま、17歳)くんだ。じつは彼は小学校低学年の頃から、吃音症(きつおんしょう)に悩まされていた。そんなハンデを抱えながら、彼はなぜラップにのめり込んだのか?何を表現しようとしているのか?今大会の奮闘ぶりと合わせて密着したので、まずは動画をご覧いただきたい。
ラップとの出会い
 達磨くんは愛知県東部の豊川市に両親と住んでいる。この街は日本三大稲荷の一つ「豊川稲荷」があり、「お稲荷さん発祥の地」とも言われている。「国府まつり」という伝統的な祭りで幼い頃から神輿を担ぐなど、生まれ育った町への思い入れは深い。中学時代は部活動でバスケットボールに打ち込んだ。音楽とは無縁の生活を送っていたが、あるラッパーとの出会いが彼の人生を変えた。それはMC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻(以下、ニガリ)というアーティストだ。テレビで放送された番組「高校生RAP選手権」でニガリのパフォーマンスを見て衝撃を受けた。飾らないラップのスタイル、地方都市に暮らす等身大の心境を綴ったリリックに感動し、「いつか自分もラップをしてみたい」と考えるようになった。だが、中学時代は実際に始める勇気が持てず、勉強と部活に明け暮れる日々。そして地元の進学高校に進んだ。
誕生日が大きな転機に
 自分でもラップをやってみたいーーその想いは募りつつも、内向的な性格は高校に入っても変わらなかった。だが、転機が訪れた。入学から半年後の2016年10月、16歳の誕生日。祝福のために集ってくれたラップ好きの仲間たちと盛り上がった勢いで、「ラップをやってみよう」と公園に繰り出した。スマホで好きなビートを流し、見よう見まねで言葉を発してみたら、意外とうまく言葉を紡ぐことができた。それ以降、達磨くんは毎日のように放課後になると地元の公園に仲間と集い、サイファーと呼ばれる野外でのフリースタイルラップをするようになった。練習は週6、7日。風呂場や食事中もラップのことを考える。国語辞典やことわざ辞典を読みながら、ボキャブラリーも増やしている。
吃音症というハンディキャップ
 達磨くんがラップにのめり込んだのには、もう1つ理由があった。じつは小学校低学年の頃から「吃音症」に苦しんでいた。吃音症とは、言葉が円滑に話せない障害のこと。100人に1人が発症すると言われている。原因はストレスや遺伝、脳神経の問題など諸説ある。治療法はまだ完全には確立されていない。
 達磨くんは自分の本名「カベヤヒロタカ」と言おうとしても、「か行」の言葉が詰まりやすく、「自分」や「俺」と言い換えている。好きな言葉を自由に発することができずに、今も苦しんでいる。しかし不思議なことに、リズムに乗りながら即興的に自分の好きな言葉を紡ぐ「ラップ」をしているときは、“詰まり”が少ないことに気づいた。以降、自信を持って練習に取り組むようになった。
普段は内向的な性格の彼にとって、ラップは自分の想いを包み隠さずに発信することのできる表現手段なのだ。