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2020年5月10日日曜日

R2 5月9日TBS系列報道特集「失語症」の放送をみて、障害者手帳格差を考える

2020年5月9日夕方、TBS「報道特集」にて失語症が取り上げられた。
あまり知られていない失語症。失語症とは言葉が話せなくなる症状だと勘違いしていたと語るスタジオのキャスター(膳場さん)

筆者が今回、過去記事で疑問に思ったことが、どうやらまだ継続しているようなので。改めてこの格差を考えます

過去記事
失語症と吃音の障害者手帳格差について考える

報道特集では特別に「失語症で障害者手帳を取得できるか」の部分については切り込んでいませんでした。とりあえず、困っていること、困っている人がいること、自治体や国の支援策が報道されました。

しかし筆者としては、過去記事に書いたように、発達障害者支援法、発達障害としての吃音は「軽度」でも手帳は取得できるところが今回の失語症特集においてモヤッとしたところです(発達障害支援室に確認済、後に就労移行支援事業所、放課後等デイサービスをしているkaienティーンズさんもそれを明記)

Twitterにて、「2020現在は流石に、吃音と同じように失語症の人も精神障害者保健福祉手帳は取れるのですよねという思いをこめて」とつぶやいたところ。失語症当事者さんから取得できませんというリプがありました。


なるほど。その会場で大勢がいる質疑応答にて、言語聴覚士等支援者もいる所で「吃音だと精神障害者保健福祉手帳が取れるのに、今、その場で困りごとを講演してくれた当事者さんが手帳取りたくても取れない、これを聞いておかしいと思いました。障害者運動したほうがよいのでは?」的な内容を述べたのですが――。筆者が2017年にこれって変だよねと過去記事で取り上げたのですが

筆者の投げかけた疑問が高次脳機能障害、失語症の団体、業界にはこれが広まっていなかったということになります。



――― 障害レベルのスケールで取得可否が決定する身体障害者手帳 日常学校職場でできないこと、困りごとがあってそれによって取得可否が決定する精神障害者保健福祉手帳のこと


行政職員や発達障害児者に携わる医療従事者・言語聴覚士はよく指摘するのですが。「あれだけ、吃音を障害者にするな、吃音で障害者手帳を取得しようとする団体や業界の動きを潰してきた経緯があるところ。吃音が発達障害者支援法に含まれていて、精神障害者保健福祉手帳を取得できるルートがあるのは本当に不幸中の幸い。しかし2013年に吃音看護師が自殺したのは使える社会保障制度を知らずにそうなってしまったことがとても心が痛い。吃音業界が発達障害者支援法を隠していたのはありえないこと」といった話をしてくださる方がいます。

現実問題として吃音業界、団体は障害者運動をしておらず(以下 関連記事)
【重要なお願い】吃音業界は2005年4月から施行の発達障害者支援法を本当に知らなかったのか?なぜ2013年に北海道で吃音看護師が自死したのか


吃音は発達障害支援者支援法の対象→精神障害者保健福祉手帳の対象→精神障害者保健福祉手帳は日常学校職場社会参加で「できないこと、困ることがある」これで障害者手帳を申請できる。

関連記事
吃音による精神障害者保健福祉手帳申請書類の記入例とは?

しかし身体障害者手帳としての吃音→身体障害者手帳は「認定基準・検査・この数値を満たしたから●級。これを満たさないと認めない」と仕組みがあり。まず、検査結果、そして数値を満たしたかどうか。ここで判断されます。



故に、2014年7月に吃音が発達障害であること、発達障害者支援法の対象であることが再度周知されるまでは。身体障害者手帳の等級4級と3級ではなくて、5級を設置してもらうように障害者運動を吃音業界で展開しようとした時期もありましたが。無論、吃音至上主義者達の妨害にあい潰されました。そして吃音至上主義達が自分たちの聖域を守っていたところ。いよいよ2013年の吃音看護師自死の報道があり、さらに報道において、NHKのバリバラで【吃音は厚生労働省が障害と認めていない】と誤報されたことにより、厚生労働省の有志職員、本当に志をもった職員さんが立ち上がります。(プロジェクトXが一本撮影できる内容です)

有志職員、発達障害業界の専門職と熟考に熟考を重ねて取った行動が、2014年7月の『国立障害者リハビリテーションセンター(吃音の診療旗艦病院である国リハ病院も何もしないので)の同じ敷地内にある発達障害情報支援センターから吃音は発達障害ということ再度周知しよう』プロジェクトが実行にうつったわけです。その後、それに呼応する形で、東京都の発達障害支援ハンドブック2005でも吃音は発達障害と明記しました。そして東京都が吃音を発達障害としたからウチもやるぜ!という地方自治体がどんどん出てきたわけです。そして2020年現在、東京都の発達障害支援政策がバージョアップされ吃音を診療する小児科、児童精神科、精神科リストまで公開されることになります。

このようなこともあり。吃音業界の医療従事者で吃音至上主義に染まっていた人が『僕も、私も2005年から発達障害者支援法は知っていました。発達障害のあるお子さんに吃音の人もいます。発達障害のあるお子さんを診療しますよ。』などと180度手のひら返しをしている恥ずかしい人もいます。腹の中では今でも、吃音児者が合理的配慮や障害者手帳を取るのは許さんと思いつつ。収入を得るために「発達障害に理解あるよ」というスタンスに変化しているわけです。これでは、吃音看護師自死、製薬会社新入社員自死が発生するわけだ。と思いますね。

そしてついに、吃音で、精神障害者保健福祉手帳を取得できる、合理的配慮を申請できる。障害者枠でも当事者、採用側、また就労移行支援事業所の合理的配慮についての話し合いがあり書面化されれば吃音者を雇用したいという企業も出てきているわけです。就職のみならず、日常、学校での選択肢も当事者や家族がそれを希望すれば行使できる可能性が増えたのです。

―― 失語症の当事者や家族はどうなの? 問題の本質は、日常学校職場でできないことがあるという精神障害児者、発達障害児者と同じ、困りごと。失語症の場合、手帳認定基準が異なっているのでは? 発達障害業界の言語聴覚士、吃音業界の言語聴覚士、高次脳機能障害業界の言語聴覚士は協力できないか?

2020年現在。吃音は身体障害者手帳を申請するよりも精神障害者保健福祉手帳を申請したほうが認められやすいのですが。これが失語症の場合どうなるのか。結局、身体障害者手帳とされている部分が大きい。精神障害者保健福祉手帳を申請しても、認められないという問題がおきているわけです。

発達障害全般で言えることですが。日常や学校や職場において、1年間365日。ありとあらゆる場所空間で。対人関係で。できないこと、失敗してしまうこと、感覚過敏があること、忘れてしまうこと、一人でできないこと、発達障害特性を軽減するアイテムを使うこと、つらい思いをしたこと、騙されてしまったこと、ありとあらゆるできないこと困ったことを、医師に申請書類に書いてもらい精神障害者保健福祉手帳を取得していることになります。

発達障害で言えば、職場は一派枠で働いているが、精神障害者保健福祉手帳3級や2級を持っている人もいます。掃除洗濯家事炊事ができない場合は公的負担のヘルパーを使いますし。家族や配偶者がそれをやってくれる場合があります。

最初のほうに紹介した、失語症当事者さんのTik Tokを視聴しましたが。ADHDと同じ困りごと、吃音と同じ困りごとを明らかに持っています。となると精神障害者保健福祉手帳の3級は取れるのではないか?と筆者は思うわけです。

身体障害者手帳=検査。明確な数値。基準がある。
精神障害者保健福祉手帳=何ができないのか。何で困っているのか。どのように日常、学校、職場で影響しているかで認めてもらえる可能性がある。

失語症と発達障害の場合、どこかが違うのでしょう。
どこが違うのか。
高次脳機能障害の失語症においては、身体障害者手帳で対応するという指針が国立障害者リハビリテーションセンターから出ているから、それが関係者に広まっているからとも推測できます。で、失語症としてICD10のコードを精神障害者保健福祉手帳申請書類を書くと、その段階で弾かれるのではないかとも思います。吃音の場合は発達障害者支援法で精神障害(発達障害ふくむ)なのでF98.5コードを書けば審査されるわけです。しかし失語症も吃音も「こまりごとは似ている」、高次脳機能障害の記憶障害で何かを忘れてしまうのは「ADHDのこまりごとと似ている」わけですから。精神障害者保健福祉手帳3級程度は取れるはずなのです…。

それらの、診断基準の塩梅、暗黙の了解を理解しているのは言語聴覚士だと筆者は考えます。

言語聴覚士というのはこれまた不幸中の幸いで、発達障害業界、吃音業界、高次脳機能障害業界に携わるのです。おそらく、この3つの業界全部に携わる人はいないと思います。発達障害業界に深く関わる言語聴覚士は「吃音業界に携わる言語聴覚士が2005年からの発達障害支援者支援法を隠していること、吃音はかわいそうな障害者じゃないよとおしえること、言語聴覚士協会はJDDネットに入っているのにね…」と考えていたわけで。吃音業界のことをとても心配していた人はいます。というように、縦割り社会になっているわけです。高次脳機能障害業界の場合はどうなのでしょうか?吃音業界の吃音至上主義と同じように、社会保障制度を利用するのは恥ずかしいことだと思っている人もいるのでしょうか?

発達障害業界の言語聴覚士は、精神障害者保健福祉手帳の取得方法や申請方法を深く理解している(上述した困りごとの表現方法、吃音による精神障害者保健福祉手帳申請書類)、精神科医師とも協力しているはずなので、発達障害当事者の困っていることを深く丁寧に質問し聞き出し。それを申請書類に書いてくれるのだと思います。

これを高次脳機能障害業界の医師、言語聴覚士が熟知すれば、もっと精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性が広がるのではないかと考えます。

しかし、発達障害と精神障害とはことなる、身体障害として考え方が【申請され、審査する側の医師にあるとすれば】たしかに失語症や高次脳機能障害の人が困っていても精神障害者保健福祉手帳を取得できないという実態もあるかもしれません。いずれにせよここを調べないといけないのかもしれません。
となると、発達障害業界の医師、言語聴覚士と高次脳機能障害業界の医師、言語聴覚士の連携が必要になる、情報共有が必要になる。【発達障害と失語症で同じ困りごとなのに、こっちは取れた、こっちは取れなかった】の診断書の突き合わせ調査が必要になるのではと筆者は考えます。



――毎日新聞の社説 発達障害の場合は認められるのでは?という切り口で書いてほしかった

失語症を扱った毎日新聞社説が2020年4月4日に出ています。なんと世界自閉症啓発デー、発達障害啓発週間のときに報道されていました。しかも4.25は失語症の日というものができたようです。ダウン症と世界自閉症啓発デー、HIV啓発のように予算がつけば大規模な啓発活動に今後つながりそうです。

脱線しました。

毎日新聞社説 失語症への支援 社会復帰の施策が足りぬ

毎日新聞の社説ですが。身体障害者手帳の等級の枠を広げて、高次脳機能障害の人もっと取得できやすくすべきというように書いてあります。

しかし筆者は先程からずっと書いているように。まず

同じ困りごとなのに

失語症の場合は精神障害者保健福祉手帳を取得できない

発達障害の場合は精神障害者保健福祉手帳を取得できる

問題を取材報道したほうがよいと思います。
そしてゆくゆくは、身体障害者手帳や療育手帳(自治体によって数値のひらきがある)は数値や明確な基準が必要で、精神障害者保健福祉手帳はそうではない。しかし失語症の場合はなぜか厳しいのではないか?

という切り口で取材してもよかったのではないかと思います。幸いにも毎日新聞社には「発達障害やひきこもりやセクマイ」を取材するのを得意としている記者さんがいます。「吃音」を取材するのを得意としている記者さんもいます。
「失語症・高次脳機能障害」を取材するのとを得意とする記者さんもいるでしょう。

毎日新聞の社内の記者さんだけで。多くの情報収集はできるわけです。
そしてその事例を厚生労働省の担当部署に質問すればよいわけです。
結果的には、障害の程度、重さの明確な基準は身体障害者手帳として必要になるかもしれないが。日常学校職場で困っていることを基準にしてもよいのではないか?発達障害の場合は更新制度はいらないのではないか?などに、報道機関として問いかける内容をもっと深堀りできるはずだと考えます。身体障害手帳が無理なら、スムーズに精神障害者保健福祉手帳を選択できるという流れがガイドラインが必要になるわけです。ここは吃音と同じです。しかし、軽度吃音で精神障害者保健福祉手帳を取得できるのに、軽度失語症(吃音の軽度の人同じくらいの喋り方でも)では精神障害者保健福祉手帳が取得できないのはおかしくない?という報道があればと考えます。


―― さいごに 失語症当事者・家族 医師、言語聴覚士、支援者は一度大規模な障害者運動をしたほうがよいのではないか?

筆者が考えるのは「過去記事」でも触れましたが。
今回のTBS報道特集をみて、困っている失語症当事者さんがいることがわかり本当に心が痛みます。「ええーあの困りごとなら発達障害としての申請なら通るのでは?」と思うわけです。

高次脳機能障害・失語症業界はまず、発達障害業界とつながること。そして例えば毎日新聞なら発達障害記事を得意にしている記者さんとつながること。身体障害記事を得意にしている記者さんとつながること。そして診断基準などが曖昧なのではないか?日常学校職場で困っているなら取得できるようにしてほしいなどの部分を厚生労働省に問い合わせ取材するように動いてもらえばよいのです。

その次のステージは国会議員さんも巻き込んで、国会または厚労省委員会で取り上げてもらうことです。(ここらへんはとても大変なステップがあるため、筆者に連絡をいただければ色々お伝えできることはあります。場面緘黙業界の方は私からの助言で事態が好転しています)

まずは高次脳機能障害、失語症のみなさん。
一度、「何かへんじゃない?」と思う人で集まってみればよいのではないかなと。


2018年9月22日土曜日

ANAおよびJALは障害者割引運賃に精神障害者保健福祉手帳が含まれることがわかりました エアドゥ スターフライヤー ソラシドエアも!

記事内容訂正
JALも同様の割引を開始します。

2018年9月21日ANAからこのようなプレスリリースが出ました。
https://www.ana.co.jp/group/pr/201809/20180921-3.html

2018年度下期ご搭乗分の国内線運賃適用条件の一部変更について
 ANAは、2018年度下期ご搭乗分の国内線運賃について、適用条件の一部変更を行います。
概要は、以下のとおりです。
「プレミアム身体障がい者割引運賃」および「身体障がい者割引運賃」の適用条件変更
(1)適用開始日:2019年1月16日(水)以降の予約受付および購入分(予定)
(2)対象期間 :2019年1月16日(水)以降の搭乗分(予定)
(3)変更内容 :
①運賃名称の変更
身体障がい者割引 から 障がい者割引 と名称変更
②適用対象者について
身体障害者手帳、戦傷病者手帳または療育手帳の交付を受けている満12歳以上の方に加え、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている満12歳以上の方に適用します。
※顔写真付きの精神障害者保健福祉手帳が必要です。また、ご搭乗日当日に手帳の有効期間が満了している場合にはご搭乗いただけません。
③介護者について
手帳区分にかかわらずご本人および同一便に搭乗される介護者の方(お一人様まで)がご利用いただけます。

詳細はPDFを確認 ANAのプレスリリース詳細


これは大きな変化ですね。
おそらく今年、一般社団法人JDDネットがANAと成田空港とコラボイベントで発達障害のあるお子さんの空港利用と搭乗体験イベントを開いたことで、ANA社内でも「発達障害のある人の困りごとを深く理解したのかもしれません」 
 イベントはコチラ
 https://jddnet.jp/event180114/

JR各社も追随してほしい…。
航空機運賃が精神障害者保健福祉手帳でも割引になるのは当事者や家族にとっては嬉しいことです。これからはANAを使う発達障害当事者が増えるかもしれません。


その他の航空会社を調べました。ANAホールディングスが関係しているところですね。
スカイマークは残念ながら無しです。

ソラシドエアも精神障害者保健福祉手帳を対象にします PDF
https://www.solaseedair.jp/corporate/pdf/press180921.pdf

エアドゥも精神障害者保健福祉手帳を対象にします
https://www.airdo.jp/corporate/release/2018/release-6153.html

スターフライヤーも精神障害者保健福祉手帳を対象にします PDF
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=announcement&sid=45135&code=9206

2018年7月1日日曜日

【吃音Q&A】吃音による精神障害者保健福祉手帳申請書類の記入例・吃音で障害者手帳を取る方法

【注意 この記事は発達障害当事者が書いています】
その他の注意として、SNS等インターネット上のサイトにて「吃音が軽度だと精神障害者保健福祉手帳は取得できない」という誤った情報、デマが令和時代になっても拡散しています気をつけてください。さらに精神障害者保健福祉手帳を取得するまえに吃音の治療や改善訓練のステップが必要であるという「医学モデル」を振りかざす医師もいますので気をつけてください。医学モデルがまだ残っているのが吃音業界だと認識してください。当事者の困りごとに親身に寄り添い、それを助けてくれる医師と巡り合ってください。


――― 吃音を診療する精神科医師はどこにいるのか?

2005年から吃音が発達障害者支援法に含まれていることは2014年7月に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターがHPを更新し、発達障害の説明に吃音を入れたことで大きく日本中に広がりました。(本来なら国立障害者リハビリテーションセンター病院の吃音外来がもっとはやく周知すべきだったのですが『なぜか』それが実施されず発達障害情報支援センターからの情報として再度周知されました)

しかし、従来から吃音は耳鼻咽喉科医師の領域となっていたため、精神科医師が吃音を診療するというのはなかなか難しいことです。その理由は、音楽家のゴーストライター問題があり、その後、聴覚障害者の診断は特殊な検査方法を用いて行うということのガイドラインが役所より出ることになりました。吃音も『患者が吃音を演技し装う』ことが容易にできるという課題があります。映画英国王のスピーチ、フジテレビドラマ・ラヴソングを視聴すればわかりますが、吃音の言葉うまくでない、話せない、発話発語発声ができないという症状は簡単に演じることができます。

それゆえに、精神科医師は、この人が本当は演技しているのではないか、障害者手帳が欲しいから故意にやっているのではないか。ここがリスクなのです。精神科医師でも吃音を発達障害として診療し困っている当事者のために、障害者手帳申請書類や年金申請書類を書くとなると、客観的な証拠が必要になります。証拠の種類としては、幼稚園、保育園での指摘、小学校、中学校の通知表・評定表。これらの書類に吃音が出ている、ことばの教室、ことばときこえの教室に通級していた、耳鼻咽喉科医師のこの患者は吃音であるという紹介状。これらがあると精神科医師も吃音を認めてくれる場合があります。いきなり大人になって、いままで一度も病院に行っておらず、いきなり自分は吃音なんです。助けてくださいと精神科医師に頼んでもこれは大変困難です。

根本的な問題として、吃音を診療するという精神科医師は表向きにはその情報を公開していません。こっそり診療しているということが多いのです。ホームページに公開するなど大きな告知はしていません。

病院をさがす場合、お住まいの地域の発達障害支援センターに質問することが早いでしょう。または発達障害を診療しているという病院に自分で問い合わせるしかありません。その他にも各地の言語聴覚士会に質問するという方法もあります。言語聴覚士の中には『発達障害を持った子どもや大人』を診療するという精神科病院、子どもクリニックなどに所属している方が一定数いるからです。吃音業界に近い言語聴覚士とは異なり、発達障害のことをしっかり理解しているため、その点でも安心です。

いずれにせよ。国、厚生労働省による『吃音診療ガイドライン』の発表があればと思います。吃音かどうかの鑑別診断は耳鼻咽喉科、その後、手帳や年金を利用したいなら紹介状を貰い精神科医師につながるといった具合です。吃音を訓練して治したい手帳や障害枠採用を使いたくないという考えの人はそのまま耳鼻咽喉科でよいでしょう。

※そして、なぜ2005年から開始された発達障害者支援法が吃音業界で共有されなかったのか。これはとても悲しいのですが。吃音業界の団体は軒並み「吃音は障害ではない。障害者手帳の交付対象と啓発するな!吃音が精神障害だと思われたら困るだろ。吃音が発達障害だと思われた困るだろ。彼彼女らと同じだと思われるなんて嫌だ。吃音があっても堂々と吃れ。堂々とどもって生活している先輩を見習え。社会保障制度を使う吃音者は恥である。税金の世話になるのは恥である。合理的配慮を受けるのは恥である。障害者枠で働くのは恥である。障害者枠で働くと保護者や親戚と同じ生活レベルを維持できなくなる。」などという吃音至上主義があるからです。これは困っている吃音当事者には本当に悲劇です。

吃音至上主義に洗脳されてしまう保護者さんもいます。子どもに障害者枠で働くな!!とパターナリズムを振りかざす保護者も出てきます。吃音のある学生が障害者枠で働きたいと思ってもその道を閉ざすように動く毒親です。毒親問題は発達障害当事者の間でも深刻な問題となっています。保護者のもつ「普通」という価値観、「自分たちと親戚たちと同じ生活レベルを維持しろ」という価値観の押しつけです。この場合吃音のある学生や大人は別として。発達障害業界では、毒親と決別する。自宅から出る。自宅から出る際にお金の問題などがあれば医療機関やソーシャルワーカーに助けてもらい問題を解決する場合もあります。吃音のある学生、大人でもそうですが。吃音以外にASDやADHDがあればなおさら、家族といえども干渉される、価値観を押し付けられると大変な苦痛や混乱、戸惑い、感情が不安定になったりします。もう一つの視点として、そもそも吃音を含む発達障害は遺伝(吃音業界ではなぜか「なりやすい体質」として遺伝という単語を使うのを避けます)の可能性もあるため。毒親・親戚がそもそも未診断の発達障害当事者であることも想定されます。これは発達障害業界ではまあまあ報告される事例です。親子の生活圏を分離させてやっと「お互い」に少し平穏が戻ったということもあります。以上のことから吃音業界の毒親問題。これは深刻であると考えます。

別記事
【吃音Q&A】吃音のある人の就職活動ガイドライン 吃音者はなぜ就職困難者が多く、一方で成功している吃音先輩は後輩を助けないの?


――― 東京都内で吃音を診療すると東京都発達障害支援センターからのアンケートに回答している医療機関

東京都の発達障害施策のページに、吃音やトゥレット症候群を診療するという病院
のリストが掲載されています。「病院」、「診療所」で大きく分かれています。
さらに、「小児科」、「児童精神科」、「精神科」で分かれています。
そのため、事前にその病院に問い合わせることが必要になるかと思います。
実際に、この公開情報をもとに病院に行った方。その際の診療方針や状況についてメールで教えていただけると幸いです。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html

――― 吃音を主訴にして身体障害者手帳を申請できるのか?

吃音を主訴にして身体障害者手帳(音声、言語、咀嚼機能障害)を取得したという事例が少数ですがあります。しかし吃音は身体障害認定基準別表に含まれていない障害です。15条指定医も吃音で身体障害者手帳申請書類を書くことを躊躇する人もいます。これはゴーストライター問題のときと同じで医師自身にもデメリットがある。そもそも4級程度に本当は該当しないのに、吃音で「家族又は肉親との会話は可能であるが、家庭周辺において他人には殆ど用をなさない、コミュニケーションは難しい」と偽った申請書を書くことは社会通念上、倫理上ゆるされないことです。3級の認定基準は発語発声に必要な器官の喪失です。吃音当事者でも吃音を主訴にして身体障害者手帳4級を取得したという人がいますが、家族や肉親以外とも会話ができていることが多いです。(このような不正な申請を見かけたら自治体に通報しましょう)こういう背景もあり15条指定医師は吃音を身体障害者手帳の対象であると認めないことがあります。また、すでに発達障害者支援法に吃音が含まれていること、発達障害による精神障害者保健福祉手帳の申請は日常の困りごとが軽度でも存在すれば取得することが可能なため精神障害者保健福祉手帳をすすめてくる場合もあるでしょう。

今現在、身体障害者手帳4級をもっている吃音当事者はそれを大切にしましょう。

吃音が身体障害者手帳の交付対象になっていないことの原因は吃音業界、当事者団体が発達障害者支援法ができる以前に障害者運動をしてこなかった歴史が関係しています。発達障害者支援法ができるより以前に障害者運動をしっかりして身体障害者手帳に制度の中に明確に吃音を含むようになっていれば別の未来があったかもしれません。それに間に合わなくても発達障害者支援法ができた当初から発達障害業界、発達障害児者団体と連携して障害者運動をしていれば吃音を苦にした自殺自死も避けられたかもしれませんし、吃音を苦にして、自治体や病院に相談したが吃音は障害じゃないと言われ門前払いされひきこもりになってしまっている人にも別の未来があったでしょう。

なお、精神障害者保健福祉手帳は身体障害者手帳のように「障害レベル、重度かどうか、明確な数値レベルがありこれ以上だと何級、これ以下だと非該当」という物差しはありません。日常生活、学校生活、職場生活、社会生活でできることできないこと。(他人や例えばブギーボードなどアイテムに)助けてもらえばできることできないこと。電話や挨拶や朝礼や発表の免除、減免などの合理的配慮をしてもらえているならそれを希望するなら精神障害者保健福祉手帳3級は取得できます。1年間365日学校でも職場でも日常でもどんな些細なことでも困っていれば3級は取得できるのです。職場では困ってないけど日常で困ってますでも手帳は取れます。その逆もです。


――― 吃音で精神障害者保健福祉手帳を申請する方法とは

東京都であれば区役所または外部の●●センターなど、市町村で所定の書類をもらいます。
申請者が記入する書面と、医師が記入する書面があります。
これらを入手して、医師に診断書を書いてもらい。
なおかつ、申請者が記入する書面を記入し、診断書と一緒に
最初の窓口に持っていきます。
(なお、この際、医師が書いた診断書は中身を開いて、コピーして保管おきます。
提出の際に病院の封筒から出ていても特に注意されません。障害年金申請の際もそうです。ただ、障害年金の場合は社会保険労務士に委託するほうがセオリーです。
診断書を改ざんした場合は罰せられます。)


これで申請は完了です。
あとは審査を待つだけです。


東京都であれば、医師が記入するための書類はインターネット上に雛形があります。他の道府県も同様かと思います。
東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/download.html



吃音は耳鼻咽喉科医師が精神障害者保健福祉手帳の申請書類を記入できることになっていますが(医師免許があればOK)。本当は精神障害者保健福祉手帳2級になる人が、3級になってしまうという事案もあるため。精神障害や発達障害の精神障害者保健福祉手帳申請診断書、精神障害や発達障害で障害年金申請をしたことがある精神科医師のほうがよいです。

後述する「ひとりで食事ができるとはどういう事?」を理解している医師でないとなりません。吃音で2級が取得できたはずなのに3級ということはあってはならないことです。

また、自立支援医療(精神通院)の「重度かつ継続」に関する意見書は精神保健指定医の番号を記入する欄があります。この視点からも発達障害や精神障害を診療する医師が吃音のことをもっと知っていってほしいと思います。耳鼻咽喉科医師の経験、申請書類の記入方法では対応できない現実もあるのです。



――― 吃音で精神障害者保健福祉手帳を申請する場合診断書に何が書かれているのか?
こちらが診断書の書式です。
今の時代、医師はPCで記入して印刷して、記名捺印するのがセオリーです。






―― 重要な部分 病名をかく部分 ICDコードを記入
(さらに重要なことですが、吃音のある当事者さんは、自分自身にある発達障害が吃音だけなのか? 本当はそれ以外の発達障害があるのではないかと調べることを強くオススメします。このあと記事中に理由が書いてありますのでもしかしたら!と思う人は是非)

(1) 主たる精神障害 吃音症 F98.5
(2) 従たる精神障害 
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


ここが最重要です。
主たる精神障害は吃音単独になるか。それとも――。
さらに従たる障害として「気分(感情)障害)」、「発達障害」が記入されるでしょう。

精神障害者保健福祉手帳は発達障害単独でも問題ないです。
うつ病や社交不安障害が無いと精神障害者保健福祉手帳を取得できませんというデマ、ウソが流れています。そもそも発達障害があって困っている状況が悪化して、さらに二次障害が発生しないと手帳を取れないというのはおかしいですよね。発達障害で困っている人が深刻なダメージを受けないといけない? 違います。深刻なダメージを受けないように、守備するためのイージスが精神障害者保健福祉手帳です、合理的配慮です。学校や職場で合理的配慮を受けるために必要な場合はその事を精神科医師に伝えましょう。それも踏まえて診断書を書いてくれます。精神障害者保健福祉手帳は更新制度なので、その人が望む限り、医師は診断書を書いてくれます。

この際重要なのは後述していますが。「困っていること」、「大変なこと」、「吃音があってできなかったこと、人つきあいや手続きを避けていること」、「吃音が問題にならない環境はどこかとどんどんそちらをさがしてしまうこと、本当にやりたかったことを諦めたこと」、それらを事細かく、フラッシュバックする思い出であっても文章に書き起こすことです。どのような些細なことでも。1から100ではなく、1から10000までの詳細さで書き起こすことです。


たとえば発達障害当事者でも発達障害があることを隠して一般枠で就労しているのに、精神障害者保健福祉手帳2級という人もいます。ありとあらゆる手段、方法、スマートフォンアプリ、服薬、ソーシャルスキルトレーニング、認知行動療法、ストレスコーピング、当事者会での相談、病院医師や支援職と相談などなどで「健常者・定型発達者」に適応する、ついていく場合があるからです。さらに仕事は辛うじてできても、自宅がゴミ屋敷、片付けできない、金銭管理ができない。清潔さが維持できない。同居の家族やパートナーが全部家事をやってくれるという場合もあります。仕事はできるが、仕事にいくまでの準備や日常生活の必要な作業や買い物は誰かがやってくれるという場合もあります。サービス受給者証を使い、部屋の片付けや掃除、家事を支援者に手伝ってもらう一般枠就労発達障害当事者もいます。

ということで、吃音のある人も、一般枠就労で精神障害者保健福祉手帳を取得することも事実上、可能な訳です。ただ、発話発語の発達障害である吃音の場合は学校や職場において『どもれば・話せばバレる』のでそこは事例研究が必要になるでしょう。



たとえば吃音もその他の発達障害を持っている場合は
(1) 主たる精神障害 自閉症スペクトラム障害 F84
(2) 従たる精神障害 吃音症 F98.5
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


のようになります。
主たる精神障害と従たる精神障害の順番の違いは医師の判断になります。
主たる従たる精神障害がダブルで発達障害ということになるので、精神障害者保健福祉手帳の更新は、自発的に取りやめる場合を除き、死亡するまで更新できるでしょう。法律が変化した場合は別です。

このようなこともあるので、吃音のある当事者さんは、発達障害があるかどうかを調べる、心理検査、知能検査を受けることをオススメします。吃音だけが生き辛さかと思っていたところ本当は別の発達障害が併存しており生き辛さにつながっているという場合もあります。読み書き計算などは通知表や評定表でなんとなくわかりやすいです。字が汚い。罫線がないと書きにくい。または罫線があってもずれていく。書き順がわからないが文字を映像、画像として記憶していて、なんとか社会生活を乗り切っている。計算が本当はできないけど文明の利器で乗り切っているなどもあるかもしれない。発達障害の中でも五感視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の過敏や鈍麻は当事者だけでは気付くことは大変困難です。発達障害を診療する精神科医師でもなかなか難しいことです。発達障害当事者が発達障害先輩当事者が書いた書籍やニュースを見て『これ私だ!』となることがあるくらいです。そのときにはもう大人になっていて、安心安全な学校で合理的配慮を受けて、もっと勉強できたかもしれません。大人になってから学校が嫌いだった、真剣に集中できないことが多くて勉強があまりできなかったと後悔する人もいます。

発達障害当事者によくある、あるあるネタで、そもそも発達障害のある当事者はその見ている、感じている世界の感覚が通常であると勘違い・思い込みしているためです。たとえば音やニオイの感覚過敏がある発達障害の症状がある人は「自分以外の人もこのうるさい世界を我慢しているんだ。この騒音や人混みが大丈夫なんだ」と思い込んでいるため。病院に行こうという状況にすらならないのです。定型発達、健常と言われる人々は軽く受け流すとか不快感を感じていないのです。事例 → エアコンや冷蔵庫や扇風機の音は気になりませんし、ビルの玄関・入り口に設置されている、一定の周波数の音がでる装置(害虫、害獣対策の超音波?)は苦になりません。洗濯洗剤や柔軟剤や香水のニオイは気になりません。リコーダーや笛の音は気になりません。光の眩しさも気になりません。人がたくさんいる居酒屋やファミレス、パーティでも目の前の人と会話ができます。他の音や他の人の会話や店員の会話が耳に入ってくるなんてことはありません。身体が極度に疲れる前に空腹がわかります。何かを食べようとします。 定型発達、健常者と言われる人は「強い極度の不快感を感じません」、「発達障害のある人は強い極度の不快感があったとしても、それを当たり前に生まれた時から経験しているので世界はそういうもので、自分以外の全員がそれを経験して我慢しているんだから自分もそうならないといけない」と思い込んでしまうのです。吃音のある当事者も、自分自身の生き辛さは本当に吃音だけなのか? を調べることをオススメする理由です。吃音のある子どもの場合はまだ適切に困りごとを表現できないかもしれません。保護者がわかるのは、子どもがある場面を避ける。子どもがある場面になるとスペックが低下する、疲れやすい、やる気を失っているなどがある場合。「どうしたの? 何か辛い? うるさい? 臭い? 眩しい? 呼吸がしにくい? 音が聞こえにくい? 変な音がする? 他の人の声が気になる? 空腹なのにそれを忘れている? 水分がほしいのにそれを忘れている? 肌の感覚がへん? 服を脱ぎ捨てたい?」などを子どもと会話してみましょう。保護者も発達障害の人が生きる世界。感覚過敏の世界、感覚鈍麻の世界を事前に知ることが必要になります

こういう視点からも耳鼻咽喉科医師が吃音を診療するだけでは、当事者の困りごとが他にあるかもしれない。という診察での見立てや質問をすることが困難な場合があります。発達障害を診療する精神科医師なら、発達障害のある人の五感の過敏や鈍麻、発達障害のある人特有の言い回し、発言、説明の仕方、外見、表情、服装、持ち物、こういう事経験ありますか? これは? こんなことは? と診察で質問する、またはそれを引き出す質問の仕方をする。初回面談で精神保健福祉士や心理士が話をする場合も多いです。発達障害の特性を理解しているため、発達障害児者に対する質問の投げかけ方が異なるのです。これは吃音業界の耳鼻咽喉科医師や言語聴覚士ではできないことです。また、可能な限り、母子手帳や小中高校生時代の通知表や評定表を調べることもします。精神科医師・福祉従事者はこのように当事者の困りごとを調べて、そして幼少期から読み取れることはないかなどを調べます。
となると耳鼻咽喉科医師は吃音以外に当事者が困っているかもしれないことを見落とす、見立てをできない、気づくことないという結果になり最終的に耳鼻咽喉科医師だけでは、吃音当事者は「吃音だけで困っている」と判断してしまうでしょう。ここで本来は精神障害者保健福祉手帳2級程度の人が3級になってしまう問題が出てくるのです。

菊池良和医師が執筆した、監修した書籍にも吃音とそれ以外の発達障害の合併が指摘されています。「吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討 - J-Stage」という報告もあります。吃音のある人の中に、吃音しか持っていない人。自閉症スペクトラムやADHD、LD、チックを持っている人もいるかもしれません。また、不器用さという視点で発達性協調運動障害があることも。発達性協調運動障害の詳細はリタリコ発達ナビを→ https://h-navi.jp/column/article/35025585

また、自閉症スペクトラムのある当事者、ADHDのある当事者の中にも吃音をもっていて吃る人がいます。(診断がついていないことが多い。吃音者から見ればすぐわかる。2014年に発達障害情報支援センターや厚生労働省が吃音が発達障害であると再度周知を行ったおかげで逆に発達障害当事者が吃音があることもわかったという事例が出てきており、精神障害者保健福祉手帳申請時に主たる障害、自閉症スペクトラム、従たる障害、吃音症と診断できるようになったため、等級が重くなる、更新しやすくなったというメリットが報告されています)

実は吃音のある子どもの保護者や親戚縁者に発達障害当事者がいるかもしれない問題
さらに発達障害は遺伝の関連もあります。(筆者も親戚に発達障害当事者がいることがわかりました)お子さんが吃音だった、吃音以外の発達障害だったということは、父母、祖父母、父方、母方の親類親戚縁者で吃音の人。発達障害の人。ちょっと変な人。キャラが濃い人。こだわりが強い人。不思議な感じの人。衝動的な人。距離感がわからない人。引きこもっている人。結婚できない人。結婚はしていたけどパートナーがカサンドラ症候群になり離婚。正月やお盆などに本家や大本家に集合した場合、入ってはいけない部屋がある。またはいつも絶対に集合しない人がいる。いないことになっている。(いないことになっているどこか遠くにいっていることになっているが実はその集まった本家や大本家のどこかの部屋にいる)などなどが存在するかもしれません。もしくは父母がそもそも「発達障害特性」を持っているかもしれません。意外とお父さんお母さんはそういう経験があるのではないでしょうか。そういう経験が子どもの吃音が社会でどう見られるか、どういう仕打ちをされるか。などを想像できてしまうかもしれません。それ故に吃音を障害にしてはいけない、自分の子どもは障害者ではない。彼らと同じになってはいけない。という吃音至上主義につながるかもしれません。



吃音しかないけれど気分障害、社交不安障害など持っている場合は
(1) 主たる精神障害 吃音症 F98.5
(2) 従たる精神障害 障害名 FコードXXX
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


純粋な吃音者がどれくらい存在するのかは別として。
吃音症と気分障害、社交不安障害などを記入することになります。


――― 発病から現在までの病歴及び治療内容等
次にこの部分です。
ここはあらすじを書くところです。いつから、なにがあった、何で困っている、トラブっている、特別支援学校・学級・通級の利用有無、仕事のトラブル
などが短い文書にまとめられます。


――― 現在の病状、状態像など 
ここには診断書の(11)と(12)の部分が記入されるでしょう。
11に自閉症スペクトラム、12に吃音という例になります。



――― 4の病状、状態像等の具体的程度、病状、検査所見等 
※おおむね過去2年間の状態について記載してください
ここは障害や病状が具体的に何がどうなっているかを記入します。

対人関係のトラブル、衝動性がある、感覚過敏がある(音、光、におい)、吃音があるため、発話・発語によるコミュニケーションも円滑に進まない。

検査所見として心理検査、知能検査の数値も記入します。
WAIS3、WISC4など。ISS、NRTなど。 
FIQやVIQやPIQなど。
FSIQ VSI PRI WMI PSIなど。



――― 生活能力の状態 (2 ア イ ウ エ オ カ キ ク)
※おおむね過去2年間の状態について記載してください

ここは診断名に続き、重要な部分です。医師にしっかり記入してもらわないといけません。困っていること、できないことをしっかり医師に評価してもらうこと、その評価のために「私の困っていることリスト」、「私の黒歴史ノート」、「私の人生はこんなに大変でしたノート」を医師に印刷して手渡すことが大切になります。ここには日常生活、学校、職場、窓口などありとあらゆる場面のことを書きましょう。
1から100までではなく。1から10000まで、事細かく、ここまで書くかと自問自答するほど、詳細に書き起こしましょう。フラッシュバックすることもあるかもしれませんが、それくらい詳しく書く必要があります。精神障害者保健福祉手帳を申請するときは、「一番最悪な状態、一番困っているときのことを」思い出しながら書くというイメージです。それを医師に伝えるのです。
(これは初めて精神科医師、精神科病院に行ったときの初回面接や医師とのファーストコンタクトのときに手渡しましょう。更新の際は、日々の通院で、最近こんな失敗や嫌なこと、不利益があったと報告しましょう。定期通院での報告、これらは医師が重要視します)


障害年金申請の考え方と同様です。
そもそも発達障害診療に強い、精神科医師ならそこは理解していると思うので当事者との問診や心理検査や知能検査、日常生活はどうなっているか? 詳しく聞いてくるはずです。

「ひとりで食事ができる」とは、コンビニ弁当を買う、カップ麺を食べることができるなど ではありません!!吃音によりできないことも事細かく、こういうことができない。こういう機会を失ったと医師に理解してもらうのです。


ひとりで1日3回の食事を、栄養計算して、冷蔵庫をみて、どんな料理にしようか考えて、予算(収入)と相談して、持っているお金のうちの何%は食費に使えるか考えて、何を買うか考えて、お店に一人で行き、その道のりまでに安全に移動できるか、商品を選んで、お金を支払い、お釣りを間違わず受け取り、お釣りが間違っていれば指摘し、帰宅後に調理をする、火を使い、包丁をつかい、お皿をあらう、ゴミ捨てをする。

などのように1から10000までのこと。これが含まれているのです。


ひとりで食事できますか?「あっ これできる」
は間違いです。

吃音のある人の場合は、話せることもあるのですが。
困っているとき、話せないときのことを、吃ってしまうことにより不利益があったこと。しっかり医師に表現してもらうことが大切になります。



吃音のある人の場合、下記の部分が重要になります。


吃音のある人の場合、言葉を話すことが難しいとき、家族や友人、パートナーに「援助をしてもらう」、「助けてもらう」本人に変わって意思疎通の過程を行ってもらう、発話発語以外の手段を「周囲に理解してもらい助けてもらう(発話発語が発生しないルートで予約であったり買い物をする等)」という援助を受けている。普段は
これらを考えましょう。【援助があればできる】これが大切になります。

「エ 通院と服薬」
通院が一人でできるか。誰かと一緒に行くか。
次回の予約や病院窓口とのやりとりが上手くできるか。誰かにやってもらうか。
不安を解消するための服薬はあるか。
現在の制度上も可能ですが、実行されている病院があればです。
自立支援医療(精神)で「言語聴覚士による指導」は可能です。
発達障害を専門とする病院が言語聴覚士まで雇用していないだけなのです。
ということで、吃音のある人は、3割負担よりも安く、通院、処方箋、言語訓練が可能になります。
東京だと、発達障害を専門にする病院に言語聴覚士もいる事例もあります。
今後、吃音も診療します。言語聴覚士がいます。という病院が増えることを願っています。



「オ 他人との意思伝達及び対人関係」
家族や友人、学校の友人や教員、職場の同僚などに助けてもらう、吃音がある人だと理解してもらっている状態、事前に説明してもらうなど。テキストチャットやメール筆談での対応がある・対応を認めてもらっている。普段は吃音のことは触れられないが当事者が吃音の調子が悪いようだと周囲が察して動いてくれる。

電話を使える場所なのに、メールやファクスをさがす。いちいち実際にお店の窓口まで訪ねていってしまう。吃音のない人が発話発語で済ませることをできないという事実を医師に書いてもらうことが大切になります。

1から10000までのとても広い視点・細部まで考えて、「あっ、そういえばこの場合は助けてもらってるじゃん」ということをまずは認識していくことが大切になります。当事者さんがこれくらいは吃音だからって甘えちゃだめだよなと自己判断しないで、これは困っていることだと認識することが大切です。
吃音があることにより、こんなにたくさん意思伝達がうまくいかない。
対人関係について課題がある。
友好関係の維持もそうですし。本当は話しかけたい・参加したかったけど、吃ることにより、返事のタイミングを逃してしまうとか。本当はヒマなのに用事があるとウソを言ってしまうとか。

吃音があることにより人生においてこんなにも機会喪失がある。ということをしっかり医師に伝えることが大切になります。


「カ 身辺の安全保持及び危機対応」
ここはどもってしまうために危機対応ができない場合を想定します。
危機を理解していても話せないため、どもってしまうその時間、秒のために危機対応できないこともあるでしょう。吃ってしまうことにより周囲にSOSを出せないという状況もあります。自分が怪我や事故に巻き込まれても、110や119に電話できない。目の前で犯罪行為があっても、通報できない。または目の前で誰かが「助けてくれー。そこの人!」と言われても吃ってしまうから見なかったことにするなど。

警察官に職務質問を受けても吃ってしまうために、違法薬物をやっているのではないかと、応援の警察官を呼ばれてしまったということもあるでしょう。こういうときに精神障害者保健福祉手帳は強い力を発揮します。

吃ってしまう時間=吃る時間
という数秒から数十病の時間があるために、スムーズに流暢に話せていれば巻き込まれなかったはずの無用なトラブルを招いてしまうこともあるのではないでしょうか?


「キ 社会的手続き及び公共施設の利用」
これは市役所など窓口、銀行、病院、何らかの契約、ありとあらゆる公共施設や公的機関、公的機関に準ずるもの。年金事務所でも税務署でも裁判所でも法務局でも健康保健センターでも、公共交通機関でも。どのようなものでもです。
学校でもそうです。

人間社会で必要な手続きや施設の利用が吃ることにより、うまくいかないこともあるでしょう。

 「ク 趣味・娯楽などへの関心、文化的社会的活動への参加」
これは吃音のある人には厳しいですよね。
外に遊びに行く。イベントに行く、他の人と交流する。
新しい人間関係をつくる。
趣味の仲間をつくる。
世間話をして人間関係を維持する。
吃ることによりできないですよね。
難しいですよね。
機会があっても避けることもありますよね。新しい人間関係や趣味の世界、新しい何かを実行したい。でも吃ってしまうから、吃ってつらい経験をしたくないから、笑われたくないから、やっぱり諦めようとなってしまう等。
学校や職場に行くだけで精一杯ということもありますよね。それだけで精神をすりへらしてしまう、吃らないように頑張って疲れてしまうこともあるでしょう。




――― 生活能力の状態 (2 ア イ ウ エ オ カ キ ク)の具体的程度、状態像
この部分に
吃音があることにより、対人関係の維持構築困難、社会参加できる範囲が限定されている。吃音のために自己防衛するため故意に狭い世界で生活している。上手く話せないことによりトラブルが起きたり、巻き込まれたりする、不当な評価や扱いを受ける。多くの援助を必要としている。

などを書いてもらえるようになると良いです。




―――最後に
吃音が軽度でも精神障害者保健福祉手帳3級は取得できます。
それは「このくらいの吃音じゃダメだろう」という当事者の思い込み。吃音を診療する医師が「このくらいの吃音で障害者手帳を取るなんてダメだ」という独特の価値観を持っている、価値観を押し付けるタイプ、以上の場合の悲劇です。

そして、精神科医師の視点から見る「困っている状態」の書き方を理解しているかどうか。耳鼻科医師が精神障害者保健福祉手帳は取れないね。というのは、精神障害者保健福祉手帳の申請診断書の「困りごとの表現」を熟知していないからです。また、言語訓練などにより吃音が改善したからこの状態なら大丈夫ですね手帳申請はできませんという意味不明な価値観も含まれます。(吃音以外の発達障害当事者だって就労移行支援事業、SST、服薬などなどで中度から軽度になっている人でも手帳を取得できます)

軽度の吃音とは、挨拶ができない言えない、学校名社名が言えない、電話ができない言えない、窓口手続きができない、お店で注文できないなどなどです。そして困っていれば3級は取得できます。就労現場でも電話の免除や挨拶や朝礼の免除、発話発語に関係する合理的配慮があれば3級は取得できます。

例えば発達障害を診療する著名な精神科医師でも精神障害者保健福祉手帳を持っている事例があります。世間から見れば「医師免許を持っているのに障害者手帳を持っているだと!なぜだ!メディアにも出演しているし、書籍も多数出版しているぞ!」となるかもしれませんが。「困りごと」があればいいのですから取得できるのです。


精神障害者保健福祉手帳は身体障害者手帳と違い、「明確な診断基準、数値による線引がありません」ここがとても重要なのです。例えば吃音が身体障害者手帳になってしまえば、明確な診断基準、数値により、ここからここまでが●級となってしまうため、軽度の吃音当事者がカバーできません。全員切り捨てられます。

発達障害者支援法と精神障害者保健福祉手帳の概念は当事者が困っているかどうか。できないことがどれだけあるか。吃音状態が発生しないように言語訓練や当事者独自で編み出した方法頑張っていても(その他の発達障害も同様で発達障害特性により何かトラブルや失敗が起きないようにSSTやアプリケーション、服薬、ありとあらゆる事前の準備や特性に合わせた対処方法を使って頑張っていても)精神障害者保健福祉手帳は取得することができるのです。

2018年6月13日水曜日

吃音が含まれる労働保険審査会資料を精神障害の件、自殺の件 2件紹介

厚生労働省の労働保険審査会が公開する資料に吃音について書かれたものが2点ありましたので紹介です。(公開された文書は最下段に掲載)
リンク先はこちら
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/roudou/saiketu-youshi/


関連記事
2013年、北海道で吃音看護師が自殺した。だが、本当は自殺を避けられたのである
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html
【重要なお願い】吃音業界は2005年4月から施行の発達障害者支援法を本当に知らなかったのか?なぜ2013年に北海道で吃音看護師が自死したのかhttp://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/12/200542013.html 

1.はどこかの大学で働いていた人の事例である。
労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めたが。棄却されたということである。


2.は吃音を持った看護師が自殺したことで。亡子が自殺に至るまでの経緯が記録されている。 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による遺族補償給付及び葬祭 料を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めたが。棄却されたということである。


筆者はこれを読んでいて本当に怒りや悔しさがある。克明な記録である。
しかし、法律上、ルール上、棄却ということになる。
この後、国を相手に行政訴訟するのかどうか?(棄却を知った日からX日以内が間に合っていればの話)
もしも行政訴訟まで行けば、毎日新聞社などから報道があるかもしれない。
行政訴訟となれば吃音業界の団体も、お金を援助すべきではないかと思う。
2018年は吃音者の世界大会!吃音者の世界大会!とお金がたくさんある団体なのだから。それくらいは大根を購入するような感覚だろう。


――― 克明な記録、じっくり読んでほしい 可能なら音読してほしい

「2経過」から音読してほしい。筆者が気になった部分を強調する。全文は最下段に。
看護師さんは病院で働いていた。

・請求人によれば、被災者は、入職後、同年○月頃から、指導の受け答えの時に 突っ掛かる、言葉が出ないなどからコミュニケーションを取ることができず、少 しずつ悩み始め、同年○月になると退職や自殺を意識し出し、精神的に病んでいったという

 ・看護師は、同年○月○日、事業場に出勤せず、自宅で死亡しているところを発 見された。死体検案書には、「死亡したとき:平成○年○月○日昼頃(推定)、直接死因:酸素欠乏による窒息(推定)、死因の種類:自殺」と記載されている。

請求人は、被災者の死亡は業務上の事由によるものであるとして、監督署長に 遺族補償給付及び葬祭料を請求したところ、監督署長は、被災者の死亡は業務上 の事由によるものとは認められないとして、これらを支給しない旨の処分(以下 「本件処分」という。)をした。 請求人は、本件処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」 という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄却し た(以下「本件決定」という。)ので、請求人は、更に本件決定を不服として、本 件再審査請求に及んだものである。


・(3)被災者の本件疾病発病前おおむね6か月間において、認定基準別表1「業務 による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」という。)の「特別な出 来事」に該当する出来事は認められない。 (4)そこで、「特別な出来事」以外の出来事についてみると、請求人及び再審査 請求代理人(以下「請求代理人」という。請求人及び請求代理人を併せて、以 下「請求人ら」という。)は、①認定基準別表1の具体的出来事「達成困難な ノルマが課された」に該当する出来事、②同じく「(ひどい)嫌がらせ、いじ め、又は暴行を受けた」に該当する出来事、③同じく「理解してくれていた人 - 3 - の異動があった」に該当する出来事、④同じく「上司が替わった」に該当する 出来事があり、①及び②の出来事による心理的負荷の総合評価はそれぞれ「強」 に該当する旨主張している。 (5)上記(4)の請求人らの主張を踏まえ検討すると、以下のとおりである。 ア 上記(4)①の出来事についてみるに、請求人らは、被災者は患者に対す る説明を行う前に、先輩看護師に向かっての説明練習を繰り返し実施させら れていたが、これは、事業場が被災者に対して突っ掛かることのない説明を 行うことを業務目標として課していたものであって、かかる業務目標はノル マに該当し、当該ノルマは流暢性障害を有する被災者にとって「客観的に、 相当な努力があっても達成困難なノルマ」であり、また、被災者に対する試 用期間延長の通告が「重いペナルティの予告」に該当することから、この出 来事の心理的負荷の総合評価は「強」に該当する旨主張する。


しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできな い。

↑これ。吃音者としては憤激しますね。
また一方で『プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』ということです。これが発達障害者支援法により、精神障害者保健福祉手帳を持っており、合理的配慮を事前に申し出て、雇用側と当事者が合理的配慮について話し合えば。落とし所があればどうなったのかとも思います。

『プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』

これについては、2018年現在でも、2017年の秋ころ放送されたNHKハートネットTV、吃音学生の就職活動を見た、発達障害業界の就労移行支援事業社、事業員、発達障害専門の病院医師などからは『吃音の人はなぜ、なぜ、なぜ、一般枠でカミングアウトしてしまうのか?』と不思議がる人もいます。なぜなら『プロのXXXXとして業務を遂行していく上での前提となる、社内やお客様との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』というのが、ほとんどのどのような職業でも当たり前だからだという理由でした。

吃音当事者の立場としては『吃音があったままでも、障害者手帳を持っていなくとも、職場は合理的配慮すべき。障害者手帳を持たずに働く先輩もいるから、この職場もそうするべき』だという主張もありますよね。

しかし発達障害のある学生や大人むけの就労移行支援事業を経営運営している人やその職員・支援職、企業団体の障害者枠雇用担当者はそうは思っていないという現実もあります。


・したがって、当審査会としても、決定書理由に説示するとおり、この出来事を「達成困難なノルマが課された」に該当するものとして評価することは できず、下記イのとおり、認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出 来事として評価すべきものと判断する。 なお、請求代理人は、被災者に対する試用期間延長の通告について、達成 困難なノルマに係る「重いペナルティの予告」に該当する旨主張するが、前 述のとおり被災者にノルマが課されたものとみることはできず、別途出来事 として評価すべきものである。そして、その心理的負荷の程度を検討してみ ても、当該延長は被災者の試用期間中の状況をみて総合的に検討した結果と して行われたものであって、不当なものとまではいえず、被災者には技術面 (採血・注射)の修得が不足していた旨のC課長の申述にも信憑性を欠くも のとみるべき事情もないところ、管理者であるC課長から被災者に対して今 - 4 - 後の課題を含め相応の説明がされた上で通告されたものと推認されることか ら、心理的負荷の程度は「弱」であるものと判断する。


なるほど、正式採用されず、試用期間延長になったのですね。これは初見でした。
看護師の場合は、当事者にとってとても苦痛なものだったことでしょう。
しかし労働保険審査会の主張する認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出来事として評価すべきものと判断するということになってしまっています。
吃音のある人が繰り返し繰り返し発話発語の練習をさせられるというのは労働保険審査会では通用しないということになる…。



話を変えます 発達障害のある人を解雇する方法のこと

これは2014年くらいからある2018年現在でも水面下で存在する『発達障害のある人を間違えて採用してしまった場合に去ってもらう虎の巻』にあることです。

最近だと、それを行使されたのではないかと思うニュース記事があります。当事者は発達障害の診断がついているかは不明ですがエピソードを読んでいるともしかしたら未診断の人なのかもと思える記述もあります。
新卒1年目で解雇された地方公務員の主張 http://blogos.com/outline/300401/

関連した記事でリタリコから
発達障害カミングアウトで退職に追い込まれた26歳。実体験から伝える、退職までの軌跡とこれから https://h-navi.jp/column/article/35026527


何れにせよなのですが。
発達障害があること見抜けずに間違えて採用してしまった発達障害者を解雇する方法。
これはまず。試用期間中に本採用しないことや、「普通解雇」にすることが前提となっています。また転職させるように仕向ける。障害当事者が自ら辞めると決断するように外堀を埋めるなどなど。
虎の巻によると、発達障害を持っていると思わる当事者が失敗したことを更にやらせること。当事者が失敗しやすいであろう業務に配置転換することが解説されています。
そして、重要なことがあります。手書きの業務日報を毎日記入させるのです。
手書きが苦手、筆記が汚い当事者の人もいるでしょう。
手書きの業務日報に今日の業務内容一覧を記載させます。
また、仕事上のミスがあった場合さらに始末書や反省文などを書かせます。
(この時点は他の社員や職員はやっていないことを自分だけさせられます。または他の人も表面上やっていても、これはターゲットを普通解雇するためだと知っているため適当に書きます。会社に残ってほしい人材についてはいい加減な内容でも不問です)

すでにこの時点にうつ病になりそうですが。
当事者の中には負けずに戦う人もいるでしょう。
しかし、1年ほどすると、業務日報と始末書や反省文を根拠に
「職務遂行能力が欠けているため、普通解雇します」という流れになります。
普通解雇は罰則もなにもないので、発達障害に限らず使われる手法です。

※当事者は業務日報を詳細に自分だけ書けと言われたり、配置転換の話があった場合
不自然なタイミングで人事が話をしたいと言ってきた場合
ICレコーダーやスマートフォンのレコーダー機能で会話を全て録音することを
おすすめします。業務日報を毎日提出しろと言われた場合は。職場の中でICレコーダーの録音を勤務中は全て行うことも大切です。雇用側が辞めさせようと画策する場合、言葉の暴力や理不尽な要求や、度をこした叱責などがはじまるからです。これが録音できていれば後々有利な武器になるかもしれません。


吃音のある人を合法解雇したければ
吃音の場合は発話発語が苦手なわけですから、配置転換をして話すことが多い部署に異動させて。そこで手書きの業務日報、仕事のミスやお客様からの苦情があれば(もちろんお客様は本当にお客様かわかりません、会社側が準備したお客様の可能性も)その都度、反省文や始末書を書きます。これが継続していけば、当事者はうつ病、適応障害、などなどにより自ら退職するかもしれません。(雇用主としては1番良い展開です)
次にここまでやってもへこたれずに働き続けると。いよいよ普通解雇が宣告されることになるのです。

避けることはできるのか?
現在、改正された発達障害者支援法の第十条の3 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/viewContents?lawId=416AC1000000167_20160801_428AC0000000064
『3 事業主は、発達障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の発達障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければならない。』この条文に書いてある「発達障害者の雇用」とは精神障害者保健福祉手帳を持っていても持っていなくてもよいという解釈が重要視されているからです。
これで立ち向かうことができるともされていますが。そもそも手書きの業務日報の段階に来ると当事者もそのような余裕があるとは思えません。このレベルでは、雇用側と対峙しているのではないかと思いますし。良い状態の関係に戻せないということもあります。




話が脱線しました元に戻します


・イ 上記(4)②の出来事についてみるに、請求人らは、流暢性障害を負って いる被災者に対して、突っ掛かることなく説明を行うという不可能ないし困 難な行為を求め、繰り返しの指導ないし叱責が行われており、これは、認定 基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受け た」の心理的負荷「強」の具体例「部下に対する上司の言動が、業務指導の 範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定する言動が含まれ、かつ、 これが執拗に行われた」に該当する旨主張する。 被災者の指導看護師の申述を踏まえると、指導看護師は、被災者が患者へ の説明等改まった場面において緊張から言葉が出にくくなるものと理解して いたと推認されるところ、説明練習を繰り返すことで、患者への説明を日常 の会話と同様によりスムーズにできるようになるものと期待して行わせたも のとみるのが妥当である。


吃音のことが全く知られていないことがわかりますね。
スムーズに淀みなく話せるようになるために。
説明練習を繰り返すことでスムーズに発話発語ができるようになると期待したそうです…。吃音のこと全然知らないですね。

 ・この点、D主任は、1日5、6回も練習をさせると被災者も気落ちするの で1日2回程度であった旨述べるのに対し、請求人らは、Eが、被災者は説 明練習を何十回もさせられていた旨やスムーズに発言できないのを承知でわ ざと被災者に言わせたり、失笑したりするスタッフがいた旨申述していることを主張する。


これは新潮45で連載された近藤雄生氏が書いた記事にもあったように思います。


・しかしながら、EがSNSでも個人的につながるくらい親密とす るC課長、D主任、F以外の事業場関係者であるGの申述をみても、Eの申 述内容を裏付けるに足るものは見当たらず、他方、被災者が事業場外で信頼 を寄せていたと考えられるHも、事業場に勤めるようになってからも吃音の 悩みやいじめのことで決定的な話は聞いていないと述べていることを併せ勘 案すると、説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する。 もっとも、関係者の申述を踏まえれば、被災者が叱責されていた事実が認 められるものの、被災者の指導看護師から業務指導の範囲を逸脱した言動が なされた事実を目撃した者はおらず、被災者が記録していた日々のメモ帳に もそのような事実の記載は全くないことに照らせば、説明練習の指導をもっ - 5 - て認定基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行 を受けた」に該当するものとみることは相当ではなく、被災者が説明練習を 繰り返し行わされていたことと叱責されていたことを併せ、認定基準別表1 の具体的出来事「上司とのトラブルがあった」(平均的な心理的負荷の強度 「Ⅱ」)に該当するものとして評価することが妥当である。 そして、被災者の指導看護師による叱責に関しては、指導看護師が厳しく 叱ったことがあるとし、Gも、若干言い方がきつかったのかもしれないと述 べており、被災者が厳しく叱責される状況も複数回あったものと認められる が、ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。 ウ 上記(4)③の出来事についてみるに、請求人は、吃音のある被災者に対 して、スムーズに発言できないことを責めるのではなく、教育効果を考えな がら接してくれた唯一の理解者であった同僚が、平成○年○月○日付けで別 の部署に異動になり、被災者に対して同様に接してくれた人はほかにいなか ったことから、被災者がますます追い込まれていった旨主張する。 しかしながら、この出来事は、被災者の本件疾病発病後の出来事であり、 本件疾病が死亡に至る間に悪化したとする事情は認められないことから、評 価の対象とはならないものである。 エ 上記(4)④の出来事についてみるに、請求人は、被災者の吃音を理解し 事業場に来るよう誘ってくれたI元看護部長が、被災者が事業場に雇用され る前に退職しており、その後任の看護部長も被災者の雇用時には交代し、被 災者が事業場で働き始めるまでの間に看護部長が3人も代わっているが、被 災者の吃音について看護部長間で引継ぎがきちんとなされていたのか疑問で ある旨主張する。 請求人が主張する看護部長の交代は、被災者が事業場に雇用される以前の 出来事であることから、これを業務による出来事として評価することはでき ないが、仮にこれを決定書理由に説示するとおり、J看護部長となっていた ことを知ったのが事業場に雇用された後のこととして、認定基準別表1の具 - 6 - 体的出来事「上司が替わった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅰ」)に該当す るものとみても、心理的負荷の強度を修正すべき要素はないことから、この 出来事の心理的負荷の総合評価は「弱」であると判断する。 (6)上記(5)のとおり、被災者には心理的負荷の総合評価が「弱」の出来事が 3つ認められるが、その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。 3 以上のとおりであるので、監督署長が請求人に対してした本件処分は妥当であ って、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。




説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する

(略)

ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。


と書いてありますが。
根本的に吃音とはどんなものなのか? が知られていないことが根底にあるように思えます。もしも仮に、就職の段階で吃音の説明、合理的配慮を申し出ることができればとも考えますが。看護師は一般枠就労を望んでいたと仮定すれば、それはできなかったでしょう。仮に一般枠就労で「XXX障害について理解せよ!合理的配慮せよ!」と言えば雇用側と争う状態にもなります。そうするとそもそも勤務先の仲間や上司との軋轢にもなるのでそういうカードは使えません。さらに、一般枠就労なので、看護師としてできて当たり前の業務はできなければいけない。障害者枠であれば免除や合理的配慮があるかもしれないが。一般枠なので発話発語訓練のノルマを課せられるということは避けられなかったでしょう。そもそも医療従事者の障害者枠はあまり存在しないということもあります。


・その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。


最後の文章ですが。
業務上の事由ではなく。また死亡に至ることも業務上の事由ではないとなっています。









吃音のある人の働き方は今後どうなるのか?

吃音のある人の働き方というのは
吃音があっても大丈夫だ! 一般枠で働ける!!
障害者枠は給与やすいし。障害者と一緒だと思われるよ!
吃音でどもりまくって仕事している!
という人もいますし。(真実かどうかは別です。本当は職場でカミングアウトしていない場合もあるでしょう)

何らかの訓練や改善方法や
自分なりの技術で吃音が出ないように、うまく隠せるようになる当事者もいます。
吃音が出る状態をコントロールして。盛大に吃る→少し吃るにする場合も
あります。大破から小破にダメージコントロールすることです。

吃音があって困っている人。合理的配慮を受けて安心安全な環境で仕事したいと思えば。
精神障害者保健福祉手帳を取得する人もいるでしょう。


労働保険審査会の視点(吃音看護師の事例のみならず全てに当てはまる指針)

『しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできない。』



この部分「看護師」を他の職業に言い換えても。
この部分「患者や家族との」を「取引先やお客様との」に言い換えても。
この認識は成立します。
これは看護師に限らないということです。どのような職業でもこれは成立します。そして労働保険審査会が想定する一般枠雇用ではこのようなことが最重要視されていることになります。

吃音業界では吃音をカミングアウトして働いているという人もいますが、全ての企業団体がそのような環境ではありません…。不思議なことに吃音をカミングアウトして働いているという人が、その職場名を公開して、インターネット上にリスト化するということもありません。職場の人事を説得して「私のような吃音のある後輩が応募してくるからよろしくな!」とはなりません。吃音業界の不思議です。

では看護師が障害者枠雇用ならばどうだったのか?と考えてしまいます。合理的配慮を受けられたのではないか? しかし障害者差別解消法のいう合理的配慮は申し出があれば絶対に提供しなければいけないわけではありません。努力義務ということになっています。

さらに就労の場合の合理的配慮は障害者差別解消法よりも改正障害者雇用促進法になります。そこには「合理的配慮は、個々の事情を有する障害者と事業主との相互理解の中で提供されるべき性質のもの」であって。当事者の合理的配慮の申し出。その後双方での話し合いがあり、相互理解が必要。相互で共通の落とし所が求められるのです。一方的に「私は障害や症状があるから御社は合理的配慮しないとならない」と申し出をすることは、相手と対峙することになるということです。対決姿勢になってしまうのです…。

そこで多くの企業団体、組織は「落とし所はこのへんですね。わかりました。これでいきましょう。合理的配慮を提供するから、障害者手帳のコピーをだしてくれ。法定雇用率に計算したい」となるわけで。カミングアウトすれば一般枠でも働けるはずだという吃音業界の常識と大きく異なることになります。しかし、一般枠でカミングアウトをしてはいけないこと。大手の発達障害者向け就労移行支援事業所でも耳にタコができるほど、口酸っぱく、これでもかというほど何度も説明されます。リタリコ社の場合、就職を希望する当事者、リタリコ社職員、応募先の企業団体の三者間で合理的配慮を取り決めた内容の書面化をして保存するといいます。またリタリコ社のリタリコワークスでは「職場での合理的配慮ガイドブック 一人ひとりに合った働き方に向けて」をウェブに公開しています。 https://works.litalico.jp/interview/consideration/

しかし吃音当事者・吃音業界では一般枠雇用でも「吃音をカミングアウトできる」という事例が多数あります。吃音への合理的配慮希望を、ボールを投げるだけ投げて、雇用主側の事情や雇用先の立場とのギャップが発生してしまうのです。雇用側としては法定雇用率に計算したいから障害者手帳を持っていてほしいという本音と建前があります。


しかし何よりも、吃音とはどういったものなのか?
練習して治る人もいるかもしれないが、そうではない人もいる。
吃音についての情報提供がもっと必要になっていくと思います。

別記事でも書きました。
吃音ガイドライン 流暢性障害ガイドライン: 吃音者と働く 職場で吃音者の合理的配慮がうまくいかないのはなぜか? http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2017/10/blog-post.html

吃音当事者言う「私どもるんです。吃音があるんです」
これを雇用側が「どのくらいの吃音状態なのか」がわからないことの情報不足もあるでしょう。しかし吃音当事者によっては、吃音は障害ではないと思いこんでいるわけですから一般枠で就活して、カミングアウトをして採用される人もいますが、そうではない人もいることになります。この状況は今後変化していくでしょうか?


そして何よりも大切なこと 吃音のことをもっと強く社会に伝えていくこと 吃音の認知度をあげよう

これが何より重要でしょう。
2005年から吃音は発達障害者支援法に定義されていました。
マスコミ、報道のみなさんにはここを報道してほしいのです。
なぜ吃音業界において2005年から発達障害者支援法に吃音が含まれたこと。そして発達障害者支援法ができたときに、発達障害当事者や支援者、親の会の連合体が発足し、その中に吃音業界の団体が1つ加盟していたのに。2013年に吃音を苦にした自死、自殺が2件起きてしまったのか。なぜ発達障害業界は吃音業界を怪訝そうに見ているのか?
ここを報道してほしいのです。
関連記事
2013年、北海道で吃音看護師が自殺した。だが、本当は自殺を避けられたのである
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html
しかし吃音業界にはそれがなぜか秘匿、隠匿、隠蔽されてしまい。自死を決断する者が出てきた。2005年以降は別の選択肢もあったはず。もしも2005年から吃音のことが広く知られていれば。といろいろな事が巡り巡ってしまいます。

吃音業界、吃音者の中には、吃音以外の障害種別の当事者や家族を差別する人もいます。
これを吃音至上主義といいます。吃音至上主義が『吃音が発達障害者支援法に含まれていることを隠そう、隠匿、隠蔽、秘匿しよう。社会に広まらないようにしよう』につながるとしたら本当に怖いことです。

吃音業界では2005年4月から発達障害者支援法に吃音が含まれたことが共有されなかったことは本当に悲しいことです。吃音業界の団体がこの時点で団結し、運動をおこし、積極的に行政や医療との連携を行い、精神障害者保健福祉手帳取得への手引やホームページ上での使える社会保障制度紹介、吃音以外の障害児者、困ってる当事者との連携があれば。少なくともその後、高校や大学を卒業した吃音当事者は苦悩する時間、死にたくなる気持ち、自分の人生を考える時間、吃音があるからといって絶対にこれをしなければいけないという焦り、いろいろな重圧や悩みを別の視点、別の選択肢によって回避することもできたのかもしれません。2014年に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターが「吃音は発達障害に含まれる」とホームページ上で公開することによって事態は急変しました。黒船来航と同じで吃音業界はいよいよ外圧によって動かざるをえない状況になりました。

しかし、しかしです。吃音業界はなぜ発達障害者支援法の存在が隠されていたのか。なぜ吃音者(家族やそれに関係する人間)は精神障害や発達障害を持った人を差別するのか。こういった過去を調べて検証して反省するということはありません。検証した結果をしっかり報告書にしてウェブ上に公開することも大切だと考えます。本来なら吃音業界はまずここからやらなければいけないのです。労働保険審査会(ウェブ上に公開されるレベル)にまで行動しなければいけなかった。それくらい吃音業界はとても深い闇を抱えているといえます。もっと早く、少なくとも発達障害者支援法が開始された当時から吃音当事者とその家族の選択肢を増やすための行動をしていれば、権利擁護をしていれば、令和時代になって、吃音で苦悩し苦しみ生きることへ絶望する当事者や家族も少なくなっていたでしょう。とりわけ吃音者が大きな壁と感じる就職活動では一般枠も障害枠も両方就活しよう。精神障害者保健福祉手帳を取得しよう、社会保障制度を堂々と利用しようという流れもあったかもしれません。


吃音至上主義(きつおんしじょうしゅぎ)とはなんですか? どんな差別主義ですか?
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2018/12/blog-post.html


吃音業界では吃音のことが100%全部社会に知られてしまうことを反対する人もいます。
吃音が発達障害になると精神障害や発達障害の人と同じに思われてしまうから、精神障害や発達障害の人は犯罪をしても無罪だから、そんな人たちと同じに扱われたくないから。吃音は身体障害だという吃音至上主義者もいます。

発達障害者支援法に入っていることを2005年の施行日から2014年7月3日に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターが改めて告知するまで、隠匿していた業界でもあります。もしも2005年から吃音が発達障害者支援法の対象であるとわかっていれば。イジメや不登校を経験した人も。その後進学を諦めてしまった人も。就職活動で失敗してしまった人も。いまはニートやひきこもりになっている人も。自殺をした人も。何か別の道があったのではないかと思います。

発達障害による精神障害者保健福祉手帳は「本人の困りごと」により取得できます。
身体障害の場合は身体障害の認定基準という明確な線引、数値、検査などがあります。これにより厳格に等級が決まります。もしも吃音が身体障害になったとすれば。軽度の人が手帳を取得できない可能性もあります。

また、うつや適応障害、社交不安障害といった二次障害がなくても精神障害者保健福祉手帳は取得できます。自閉症スペクトラムだけで精神障害者保健福祉手帳を持っている人もいます。吃音業界ではこのような正しい情報が医療従事者の間でも共有されておらず。二次障害が発生しないと手帳を取得できないと判断する人もいます。自閉症スペクトラムなどを診療する医師は「二次障害が発生しないように当事者を守るため」にも発達障害の症状単独で精神障害者保健福祉手帳が取得できることをもっと世間に浸透してほしいといいます。


吃音の認知度を上げること。「吃音を知られたくない」という気持ちもあるでしょうし。うまく吃音を隠して社会に溶け込んでいるいる人はなおさらでしょう。

しかし、吃音があってもうまくいっているとか、どもりまくって仕事している、私ができたから、あなたもできる。それは間違っています。「パターナリズム」です。あなたの成功体験が他の人にあてはまるわけないのです。

吃音のある人に限らず、身体障害でも発達障害でも精神障害でも知的障害でもマイノリティでも難病でも、どんな人でも世界中に同じ人は存在しません。生まれた国家。生まれた家の貧富、親の価値観、学校の環境、いじめにあうか、あわないか。不登校になるかならないか。うまく何事もなくいってしまうか。挫折するか。まったくひとりひとり異なるのです。今目の前にいる困っている人は、過去に経験したこの人とパターンが同じだから、こんな感じで助ければいいや。ではありません。

もしも吃音があってもうまく行っている、会社は理解あるという人は自分の所属する企業団体・組織の名称をインターネット上に公開してください。そして人事部に「私は吃音があるけど。今度後輩がエントリーしてくるから。頼むよ!」と説明して「後輩吃音者のみなさん!私の働く職場に応募して!!吃音があっても絶対大丈夫!全く気にされないよ!」とアナウンスすべきです。全ての吃音者に平等なエントリーできる機会を提供すべきです。

しかしそれはできませんよね。
だからこそ。社会保障制度、障害者基本法、発達障害者支援法、差別解消法、精神障害者保健福祉手帳制度などなどがあるのです。これらは人間が文明を築いてきた中で生まれたものです。障害者に限らず、社会的弱者の人へのセーフティーネットは近代ではどの国家でもあるわけです。


そしてライフステージにあわせた。
いつでもどこでも、誰でも。困ったときにどのような制度があるのか?
これらを「可視化、見える化」していかないとなりません。
発達障害のある人の団体やてんかんのある人の団体では、使える制度一覧の説明。学校での合理的配慮の受け方。学校での個別の指導計画・支援計画の発動方法。障害のある生徒を多く受けれ入れている高校説明会、発達障害のある学生を手厚く支援してくれる大学、就職は一般枠?障害者枠?と考える時間。いろいろな機会を情報を教えてくれます。

吃音がある子どもであれば「うまく話せるように学校にいくのではありません」
安心安全な環境で勉強するため。無理に発話発語をしない合理的配慮を求めること。
こういうことでもいいのです。


少し古い資料で、一部内容が変わっているかもしれませんが。
東京大学先端研で発達障害のある人の研究を熊谷晋一郎氏と行っている綾屋紗月氏が発達障害の説明、当事者研究の際に利用するスライドです。
「吃音のある私」
「吃音のある私が困っていること」
「社会に返せる問題は社会に返す」

個人の問題と社会の問題を切り分ける。
そして使える制度や社会資源を使いリカバリーしていく。
安心安全な環境を手に入れる。
自分が生きやすい環境を構築していくことが大切になるでしょう。

そして吃音業界の医療従事者ではなく、精神科医療の医療従事者のみなさんにお願いです。吃音業界は本当に複雑です。発達障害者支援法が存在したのにも関わらずそれが見える化わかる化使える化されていないのです。そして、「成功してる吃音者」という価値観があり、ここでは社会保障制度、障害者手帳制度を利用する吃音者は弱い人、甘えた人、負け組、ずるい人などとレッテルはられます。あくまでも一般枠で成功してこそ、そして吃音当事者の保護者と同じ収入レベル生活レベルの維持をすることが評価されます。ここには相談支援、ソーシャルワーク、バイスティックの7つの原則、パターナリズムなどが理解できる人がいないのです。どうか助けてください。みなさんの活躍するフィールドで吃音を積極的に扱ってほしいのです。









以下、労働保険審査会の公開した文書


1.28労103 [190KB] 棄却 准教授の上司、同僚からのパワハラ等により発病したとする精神障害

- 1 - 平成28年労第103号 主 文 本件再審査請求を棄却する。 理 由 第1 再審査請求の趣旨及び経過 1 趣 旨 再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、労働基準監督 署長(以下「監督署長」という。)が平成○年○月○日付けで請求人に対してした 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めるというにある。 2 経 過 請求人は、平成○年○月○日、A所在の学校法人Bに採用され、同法人が運営 するC大学(以下「大学」という。)に専任講師として勤務したのち、平成○年か らは准教授として就労していた。 請求人によると、平成○年○月頃から学長や同僚から受けたパワーハラスメン トやいじめにより慢性的なストレスが蓄積されたという。 請求人は、同年○月○日、Dクリニックに受診し、「適応障害」と診断され、そ の後、平成○年○月○日、E病院に受診し、「適応障害」と診断された。 請求人は、精神障害を発病したのは、業務上の事由によるものであるとして、 監督署長に療養補償給付及び休業補償給付を請求したところ、監督署長は、請求 人に発病した精神障害は業務上の事由によるものとは認められないとして、これ らを支給しない旨の処分をした。 請求人は、これら処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査 官」という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄 却したので、請求人は、更にこの決定を不服として、本件再審査請求に及んだも のである。 第2 再審査請求の理由 - 2 - (略) 第3 原処分庁の意見 (略) 第4 争 点 本件の争点は、請求人に発病した精神障害が業務上の事由によるものであると認 められるか否かにある。 第5 審査資料 (略) 第6 事実の認定及び判断 1 当審査会の事実の認定 (略) 2 当審査会の判断 (1)請求人の傷病名及び発病時期について、労働局地方労災医員協議会精神障害 等専門部会(以下「専門部会」という。)は、平成○年○月○日付け意見書に おいて、請求人の発病の状況、F医師の意見書等から、ICD-10診断ガイ ドラインに照らし、「F43.2 適応障害」(以下「本件疾病」という。) を発病したと判断し、発病時期を平成○年○月下旬頃としており、請求人の症 状の経過等に照らすと、当審査会としても専門部会の意見は妥当であると判断 する。 (2)ところで、精神障害の業務起因性の判断については、厚生労働省労働基準局 長が「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月2 6日基発1226第1号。以下「認定基準」という。)を策定しており、当審 査会としてもその取扱いを妥当なものと考えることから、以下、認定基準に基 づき検討する。 (3)そこで、請求人の本件疾病発病前おおむね6か月間における業務による心理 的負荷についてみると、次のとおりである。 ア 「特別な出来事」について 認定基準別表1「業務による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」 という。)の「特別な出来事」の類型に示されている「心理的負荷が極度の もの」又は「極度の長時間労働」に該当する出来事は認められず、「特別な - 3 - 出来事」は見受けられない。 イ 「特別な出来事以外の出来事」について 請求人は、本件疾病を発病に至らしめる多くの業務による心理的負荷をも たらす出来事があった旨主張していることから、以下、同主張の出来事ごと を検討する。 (ア)まず、請求人は、平成○年○月○日に請求人の身体状況を確認するため に大学が指定した医療機関を受診するよう学部長より指示がなされ、請求 人は受診することとなったが、当該指示自体が不適切であると主張する。 当審査会では、請求人が当該医療機関を受診することとなった経緯につい て精査したが、受診は事実確認書からみて、明確に請求人の合意を得た上 でなされたものであり、また、当該指示の理由についても、請求人が今後 授業を支障なく継続できるかを判断するためという合理性が認められるも のであることから、仮に、請求人にとって不満があったとしても、一般的 に心理的負荷をもたらす業務上の出来事であるとは判断できない。 (イ)次に、請求人は、自身の授業のやり方等について平成○年○月○日に学 生から提出された嘆願書を取り上げ、同年同月○日にG委員会が開催され、 さらに同月○日には学生に対する説明会が開催されたことについて不当で ある旨を主張する。この点、一件記録を精査すると、請求人の主張と大学 側の主張には、学生の請求人による授業に対する受け止め方や説明会に至 る経緯において食い違いがあるものの、少なくとも学生から「嘆願書」が 出されたことは事実であると認められる。学生から、こうした文書が提出 された以上、大学側が請求人から事情を聞き、また、学生に対して説明を したことについては、合理性があると判断すべきである。この点、請求人 は、呼び出し回数が○回にも及んだことを不当である旨主張するが、こう した事態に至った背景には、請求人の釈明が学生の主張と乖離していたた め事実確認が必要であったと判断し得るものであり、調査が長期間に及ん だことも致し方ないと言わざるを得ない。したがって、この一連の経過に ついて、請求人が不満を抱いたことは理解できるも、大学側として学生の 苦情に係る請求人への対応が不当であったとは判断できず、同出来事を認 定基準別表1の具体的出来事に該当する出来事として「上司とのトラブル - 4 - があった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅱ」)に該当するとみて評価し ても、やや強い業務指導が行われたものであると判断することが相当であ り、その心理的負荷の強度は「中」であると判断する。 (ウ)また、請求人は、学部長ら上司から発病直前まで継続して「いじめ」を 受けていた旨を主張するが、当審査会において、一件記録を精査するも、 決定書に記載のとおり、上記G委員会や学生への説明会の場において、請 求人にとっては厳しいと感じられるであろうやり取りがあった事実は認め られ、また、H委員長から試験の監督をするよう求められた等の事実は認 められるものの、いずれも大学教員としての一般的な務めを求められたと 判断すべきものであり、それらの場面において、請求人の人格や人間性を 否定するような嫌がらせが執拗かつ繰り返し行われたという事実も認めら れないことから、業務による心理的負荷をもたらす出来事であったとは判 断し得ない。 (エ)さらに、請求人は、事実確認書について、記載内容やその手続き等につ いて不当である旨を主張するが、当該確認書は、平成○年○月○日から同 年○月○日までの間の○回にわたる請求人と学部長らとの話し合いの結果 として作成されたものと認められ、最終的には、請求人も自ら署名してい る。請求人は、法律学を専門とする研究者であり、当該署名の意味につい ては理解しているものと判断されるところ、後にこれを不当な要求であっ た等との反論は受容しがたく、同主張について、業務による心理的負荷を もたらす出来事であるとは判断できない。 (オ)以上のことからすると、請求人について認定基準別表1の具体的出来事 に該当する出来事としては、心理的負荷の総合評価「中」となる出来事が 1つ認められるに過ぎず、請求人の業務による心理的負荷の全体評価は 「強」には至らないものである。 なお、請求人は、本再審査請求において、公正かつ慎重な審理を希望す る旨主張しているところ、当審査会においては、事実認定に係る関係者の 申述及び証拠については、各位の立場や事情を十分に斟酌してその採否を 決定しており、本件についても、大学関係者の申述については、その信憑 性や矛盾の有無についても精査したものであることを付言する。 - 5 - (4)業務以外の心理的負荷の評価及び個体側要因の評価 本件における一件記録からは、業務以外の心理的負荷については認定基準に 基づき特に評価すべき要因は認められない。個体側要因については、請求人は 平成○年○月よりIクリニックに定期的に通院し「吃音」、「神経症」、「抑 うつ状態」、「不眠症」と診断され、抗うつ薬や睡眠薬が継続して処方されて いる。また、平成○年○月から「抑うつ状態」により約○週間休業しているこ とも確認できる。 (5)請求人のその余の主張についても子細に検討したが、上記結論を左右するに 足るものは見いだせなかった。 (6) 以上のことから、当審査会としても請求人に発病した本件疾病は業務上の事 由によるものとは認められないと判断する。 3 以上のとおりであるから、請求人に発病した本件疾病は業務上の事由によるも のであるとは認められず、監督署長が請求人に対してした療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分は妥当であって、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。

2.28労391 [209KB] 棄却 看護師の自殺

- 1 - 平成28年労第391号 主 文 本件再審査請求を棄却する。 理 由 第1 再審査請求の趣旨及び経過 1 趣 旨 再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、労働基準監督 署長(以下「監督署長」という。)が平成○年○月○日付けで請求人に対してした 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による遺族補償給付及び葬祭 料を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めるというにある。 2 経 過 請求人の亡子(以下「被災者」という。)は、平成○年○月○日、A所在のB 病院(以下「事業場」という。)に雇用され、看護師として業務に従事していた。 請求人によれば、被災者は、入職後、同年○月頃から、指導の受け答えの時に 突っ掛かる、言葉が出ないなどからコミュニケーションを取ることができず、少 しずつ悩み始め、同年○月になると退職や自殺を意識し出し、精神的に病んでい ったという。 被災者は、同年○月○日、事業場に出勤せず、自宅で死亡しているところを発 見された。死体検案書には、「死亡したとき:平成○年○月○日昼頃(推定)、直 接死因:酸素欠乏による窒息(推定)、死因の種類:自殺」と記載されている。 請求人は、被災者の死亡は業務上の事由によるものであるとして、監督署長に 遺族補償給付及び葬祭料を請求したところ、監督署長は、被災者の死亡は業務上 の事由によるものとは認められないとして、これらを支給しない旨の処分(以下 「本件処分」という。)をした。 請求人は、本件処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」 という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄却し た(以下「本件決定」という。)ので、請求人は、更に本件決定を不服として、本 件再審査請求に及んだものである。 - 2 - 第2 再審査請求の理由 (略) 第3 原処分庁の意見 (略) 第4 争 点 本件の争点は、被災者の精神障害の発病及び死亡が業務上の事由によるものであ ると認められるか否かにある。 第5 審査資料 (略) 第6 事実の認定及び判断 1 当審査会の事実の認定 (略) 2 当審査会の判断 (1)被災者の精神障害発病の有無及び発病時期について、労働局地方労災医員協 議会精神障害専門部会(以下「専門部会」という。)は、平成○年○月○日付 け意見書において、症状経過及び主治医意見等を踏まえ、ICD-10診断ガ イドラインに照らし、「F43.2 適応障害」(以下「本件疾病」という。) を発病していたと判断し、その時期は平成○年○月下旬頃としている。 被災者の症状経過等を踏まえると、当審査会としても、専門部会の意見は妥 当であると判断する。 (2)ところで、心理的負荷による精神障害の業務起因性の判断については、厚生 労働省労働基準局長が認定基準を策定しており、当審査会としても、その取扱 いを妥当なものであると考えることから、以下、認定基準に基づき検討する。 (3)被災者の本件疾病発病前おおむね6か月間において、認定基準別表1「業務 による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」という。)の「特別な出 来事」に該当する出来事は認められない。 (4)そこで、「特別な出来事」以外の出来事についてみると、請求人及び再審査 請求代理人(以下「請求代理人」という。請求人及び請求代理人を併せて、以 下「請求人ら」という。)は、①認定基準別表1の具体的出来事「達成困難な ノルマが課された」に該当する出来事、②同じく「(ひどい)嫌がらせ、いじ め、又は暴行を受けた」に該当する出来事、③同じく「理解してくれていた人 - 3 - の異動があった」に該当する出来事、④同じく「上司が替わった」に該当する 出来事があり、①及び②の出来事による心理的負荷の総合評価はそれぞれ「強」 に該当する旨主張している。 (5)上記(4)の請求人らの主張を踏まえ検討すると、以下のとおりである。 ア 上記(4)①の出来事についてみるに、請求人らは、被災者は患者に対す る説明を行う前に、先輩看護師に向かっての説明練習を繰り返し実施させら れていたが、これは、事業場が被災者に対して突っ掛かることのない説明を 行うことを業務目標として課していたものであって、かかる業務目標はノル マに該当し、当該ノルマは流暢性障害を有する被災者にとって「客観的に、 相当な努力があっても達成困難なノルマ」であり、また、被災者に対する試 用期間延長の通告が「重いペナルティの予告」に該当することから、この出 来事の心理的負荷の総合評価は「強」に該当する旨主張する。 しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできな い。 したがって、当審査会としても、決定書理由に説示するとおり、この出来 事を「達成困難なノルマが課された」に該当するものとして評価することは できず、下記イのとおり、認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出 来事として評価すべきものと判断する。 なお、請求代理人は、被災者に対する試用期間延長の通告について、達成 困難なノルマに係る「重いペナルティの予告」に該当する旨主張するが、前 述のとおり被災者にノルマが課されたものとみることはできず、別途出来事 として評価すべきものである。そして、その心理的負荷の程度を検討してみ ても、当該延長は被災者の試用期間中の状況をみて総合的に検討した結果と して行われたものであって、不当なものとまではいえず、被災者には技術面 (採血・注射)の修得が不足していた旨のC課長の申述にも信憑性を欠くも のとみるべき事情もないところ、管理者であるC課長から被災者に対して今 - 4 - 後の課題を含め相応の説明がされた上で通告されたものと推認されることか ら、心理的負荷の程度は「弱」であるものと判断する。 イ 上記(4)②の出来事についてみるに、請求人らは、流暢性障害を負って いる被災者に対して、突っ掛かることなく説明を行うという不可能ないし困 難な行為を求め、繰り返しの指導ないし叱責が行われており、これは、認定 基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受け た」の心理的負荷「強」の具体例「部下に対する上司の言動が、業務指導の 範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定する言動が含まれ、かつ、 これが執拗に行われた」に該当する旨主張する。 被災者の指導看護師の申述を踏まえると、指導看護師は、被災者が患者へ の説明等改まった場面において緊張から言葉が出にくくなるものと理解して いたと推認されるところ、説明練習を繰り返すことで、患者への説明を日常 の会話と同様によりスムーズにできるようになるものと期待して行わせたも のとみるのが妥当である。 この点、D主任は、1日5、6回も練習をさせると被災者も気落ちするの で1日2回程度であった旨述べるのに対し、請求人らは、Eが、被災者は説 明練習を何十回もさせられていた旨やスムーズに発言できないのを承知でわ ざと被災者に言わせたり、失笑したりするスタッフがいた旨申述しているこ とを主張する。しかしながら、EがSNSでも個人的につながるくらい親密とす るC課長、D主任、F以外の事業場関係者であるGの申述をみても、Eの申 述内容を裏付けるに足るものは見当たらず、他方、被災者が事業場外で信頼 を寄せていたと考えられるHも、事業場に勤めるようになってからも吃音の 悩みやいじめのことで決定的な話は聞いていないと述べていることを併せ勘 案すると、説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する。 もっとも、関係者の申述を踏まえれば、被災者が叱責されていた事実が認 められるものの、被災者の指導看護師から業務指導の範囲を逸脱した言動が なされた事実を目撃した者はおらず、被災者が記録していた日々のメモ帳に もそのような事実の記載は全くないことに照らせば、説明練習の指導をもっ - 5 - て認定基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行 を受けた」に該当するものとみることは相当ではなく、被災者が説明練習を 繰り返し行わされていたことと叱責されていたことを併せ、認定基準別表1 の具体的出来事「上司とのトラブルがあった」(平均的な心理的負荷の強度 「Ⅱ」)に該当するものとして評価することが妥当である。 そして、被災者の指導看護師による叱責に関しては、指導看護師が厳しく 叱ったことがあるとし、Gも、若干言い方がきつかったのかもしれないと述 べており、被災者が厳しく叱責される状況も複数回あったものと認められる が、ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。 ウ 上記(4)③の出来事についてみるに、請求人は、吃音のある被災者に対 して、スムーズに発言できないことを責めるのではなく、教育効果を考えな がら接してくれた唯一の理解者であった同僚が、平成○年○月○日付けで別 の部署に異動になり、被災者に対して同様に接してくれた人はほかにいなか ったことから、被災者がますます追い込まれていった旨主張する。 しかしながら、この出来事は、被災者の本件疾病発病後の出来事であり、 本件疾病が死亡に至る間に悪化したとする事情は認められないことから、評 価の対象とはならないものである。 エ 上記(4)④の出来事についてみるに、請求人は、被災者の吃音を理解し 事業場に来るよう誘ってくれたI元看護部長が、被災者が事業場に雇用され る前に退職しており、その後任の看護部長も被災者の雇用時には交代し、被 災者が事業場で働き始めるまでの間に看護部長が3人も代わっているが、被 災者の吃音について看護部長間で引継ぎがきちんとなされていたのか疑問で ある旨主張する。 請求人が主張する看護部長の交代は、被災者が事業場に雇用される以前の 出来事であることから、これを業務による出来事として評価することはでき ないが、仮にこれを決定書理由に説示するとおり、J看護部長となっていた ことを知ったのが事業場に雇用された後のこととして、認定基準別表1の具 - 6 - 体的出来事「上司が替わった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅰ」)に該当す るものとみても、心理的負荷の強度を修正すべき要素はないことから、この 出来事の心理的負荷の総合評価は「弱」であると判断する。 (6)上記(5)のとおり、被災者には心理的負荷の総合評価が「弱」の出来事が 3つ認められるが、その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。 3 以上のとおりであるので、監督署長が請求人に対してした本件処分は妥当であ って、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。

吃音業界はなぜ場面緘黙業界やトゥレット症候群の団体のように日本精神神経学会パブリックコメントへ何らかのアクションをしないのか?

2018年7月1日現在。吃音当事者の団体から公式なアクションはありませんでした。
今後、後出しジャンケンなど、本来は発言する機会があったのに、後から何かを言うという場合は、この記事のことを思い出しましょう。



場面緘黙業界を構成する一つの団体である。
かんもくネットから、このような記事(記事は最下段)が出ており、フェイスブック、Twitterで場面緘黙当事者などのアカウントから拡散されています。トゥレット症候群の団体である日本トゥレット協会(http://blog.canpan.info/tsaj2001/archive/324)も記事を出しています。


これは日本精神神経学会サイトにて「ICD-11新病名案に関するパブリックコメント募集」が行われており。
https://www.jspn.or.jp/modules/info/index.php?content_id=622

それについて賛成意見や反対意見などを送ってほしいということです。
ここに場面緘黙の団体が呼びかけをしていることになります。

場面緘黙業界は2018年の春頃、日本精神神経学会が場面緘黙の名称を「選択性緘黙」にするということを事前に知り、場面緘黙の個人、家族、医療従事者、支援者などが協力して、要望をしたと言われています。パブリックコメントがインターネット上に公開される前に行動したことになります。

しかし、吃音業界の団体は。今回、公式に日本精神神経学会がこのようなパブリックコメントを実行していることを告知しませんし、情報の拡散もしていません。

ICD11によると吃音は「吃音」という言葉がなくなり、「発達性発話流暢症」ということになります。今後は「流暢症」ということが一般的になるかもしれません。それを見越してか、吃音学会も、正式名称は「日本吃音・流暢性障害学会」となっているので、世界的な位置づけを知っていたことになります。

さて。問題なのは。
1.吃音という言葉がなくなることに抗議をする?
2.吃音という言葉がなくなることに賛同する?
3.その他

何れかの意見を伝えましょう!個人的に意見をしても可。
と、吃音業界の団体が公式にアナウンスをする。情報を告知しないことです。
場面緘黙業界とは大きな違いですね。



――― 発達障害当事者や関係者からは吃音が消滅することに賛同もある
2017年、吃音至上主義を持った医療従事者が、「発達障害者は内的心理的問題を持った人だ。吃音者も内的心理的問題を持った人だと思われたら困る」、「一般社団法人 日本発達障害ネットワーク JDDnetは破綻寸前だ!(信用毀損、業務妨害)」等という差別する内容や組織団体の評価を下げるための内容をインターネット上に公開しました。発達障害児者の団体、それに参加する個人や家族、研究者や医療従事者の間でも大きな衝撃として受け止められました。これは一般社団法人日本自閉症協会の掲示板でも大きな話題になり、広く知られることになったのです。

結果として、「吃音」というのは、ある意味。吃音を持った人のステータスとなっているのではないか? 吃音であることに何らかの優越感を持っているのではないか? 吃音者というものに選民思想があるのではないか? 

故に精神障害や発達障害のある人。精神障害者保健福祉手帳を利用する人を見下し、差別し、吃音と精神障害や発達障害を一緒にするな! と叫ぶのではないか? と指摘されています。(余談ですが 2018年6月に新幹線で起きた悲しい事件。これが毎日新聞社やNHKの報道により被疑者が発達障害を持っていた!と広く周知され。これが吃音業界では吃音当事者が「それみたことか。発達障害の人はこうやって犯罪をする。人を殺す。こんな人と吃音が一緒になることはありえない。吃音が発達障害だと世間に思われたら事件を起こす人だと思われる」などという吃音至上主義、障害種別差別が早速ありました)


そこで、「吃音」という言葉ではなく「流暢性の症状」ということで。今回の日本精神神経学会ICD11パブリックコメントに、吃音という言葉がなくなったことへの賛同、感謝を申し述べるべきだという考えもあります。発達障害のある人にも流暢性の症状を持った人がいる。というほうが受け入れやすいのです。

発達障害のある人にも「吃音」の症状を持った人がいる。という説明をすると。2017年に起きた吃音至上主義を持った人の差別がフラッシュバックするという発達障害当事者さんや家族がいるため、吃音という言葉以外で表現する方法をさがしていたということになります。吃音という言葉そのものが「フラッシュバックのトリガー」になってしまったこと。これは本当に筆者も深く深くお詫びすることしかできません。


実際、場面緘黙の団体でも感謝のコメントを送信しましょうと呼びかけています。
発達障害のある人、その家族や関係する医療従事者や支援者、教員などは、そういう意味も含めて、日本精神神経学会のパブリックコメントに「流暢性の症状」と読めるようにしたことを感謝する意見を送信してもよいでしょう。


――― 賛成なのか反対なのかのアクションも起こさない吃音業界は何をしているのだろう?

問題なのは場面緘黙業界、トゥレット協会が今回のパブリックコメントに何か声を伝えましょうと公式にアナウンスを行っているのですが。吃音業界はそのような行動を一切していないことです。

賛成なのか、反対なのか、その他なのか。意見も何もしない。
そして、パブリックコメントが終わったあとに、アクションを実行するとなれば。非常識だと思われる可能性も考えられます。

吃音業界と場面緘黙業界の違い。
これななぜなんでしょうか?
やはり、場面緘黙業界、団体や個人には吃音至上主義者のように仮に場面緘黙至上主義が存在しないこと。これが大きな要因ではないかと思います。
『場面緘黙は精神障害や発達障害じゃない。あいつらと一緒にするな!!精神障害者保健福祉手帳の交付対象なんて許さないぞ!』という意味不明な差別発言を筆者は聞いたこともありませんし。場面緘黙の当事者さんと実際に会ってお話したり遊んだりしてもそういうことは一切ありませんでした。障害種別ごとの優劣や上下関係があるということは受け入れないということです。また場面緘黙業界さんは当事者、親、家族、医療従事者、研究者などの連携が上手くいっているように見受けられます。このあたりも迅速な意思決定に直結しているのではないかと思います。そのため、仮に差別発言などがあれば「しっかり怒ってくれる、指導してくれる大人」がいるのでしょう。

何れにせよ。吃音業界は何らかのアクションを起こすならそろそろしないと時間が無いといういうことです。




――― 神経発達症群に知的障害が含まれたため、吃音至上主義に吃音を知的障害と一緒にするな! が発動する可能性
余談です。
話は脱線しますが。
ICD11の分類の神経発達症の中に、知的障害が含まれることになりました。
吃音至上主義者は「精神障害、発達障害、精神障害者保健福祉手帳」に吃音を入れるな!! に加えて 「知的障害と吃音が一緒だと思われたら困る!吃音のある人が知的障害だと思われる!」などという新たな、高レベル吃音至上主義を展開する可能性があります。 みなさん気をつけましょう。また吃音のある人や団体から、精神障害、発達障害、精神障害者保健福祉手帳を利用する人が差別を受けた場合。報道各社、発達障害業界の団体などに報告しましょう。しっかり抗議しましょう。 



ICD11による 神経発達症群の分類
 Neurodevelopmental disorders 神経発達症群
1.1 Disorders of intellectual development 知的発達症
1.1.1 Disorder of intellectual development, mild 知的発達症、軽度
1.1.2 Disorder of intellectual development, moderate 知的発達症、中等度
1.1.3 Disorder of intellectual development, severe 知的発達症、重度
1.1.4 Disorder of intellectual development, profound 知的発達症、最重度
1.1.5 Disorder of intellectual development, provisional 知的発達症、暫定
1.1.6 Disorders of intellectual development, unspecified 知的発達症、特定不能
1.2 Developmental speech or language disorders 発達性発話または言語症群
1.2.1 Developmental speech sound disorder 発達性語音症
1.2.2 Developmental speech fluency disorder 発達性発話流暢症
1.2.3 Developmental language disorder 発達性言語症
1.2.4 Other specified developmental speech or language disorders 発達性発話または言語症、他の特定される
1.2.5 Developmental speech or language disorders, unspecified 発達性発話または言語症、特定不能
1.3 Autism spectrum disorder 自閉スペクトラム症
1.3.1 Autism spectrum disorder without disorder of intellectual development and with mild or no impairment of functional language
自閉スペクトラム症、知的発達症を伴わない、かつ機能的言語の不全がない、または軽度の不全を伴う
1.3.2 Autism spectrum disorder with disorder of intellectual development and with mild or no impairment of functional language
自閉スペクトラム症、知的発達症を伴う、かつ機能的言語の不全がない、または軽度の不全を伴う




公開された記事
2018年6月
「場面緘黙」に賛同のパブリックコメントを投稿しよう!
2018年6月1日~2018年6月30日、日本精神神経学会サイトにて「ICD-11新病名案に関するパブリックコメント募集」がされています。 詳細は、日本精神神経学会サイトへリンク(新規ウィンドゥで開く)
ICD-11における名称は、学校教育や福祉関連の法律にも反映されるため、大きな影響力があります。...
あなたも「場面緘黙」に賛同のパブリックコメントをぜひ投稿してください。パブリックコメントを経て、正式名称が決定されることになります。
パブリックコメントとは、正式決定がされる前に、国民から広く意見を求める制度。氏名やメールアドレス、立場等を書き込んだ後、「4.不安または恐怖関連症群」分類の「4.7場面緘黙」を選び、意見を書き込む形式です(結果公表は数値や記述の抜粋で、個人特定につながる情報の公表は一切ないとのこと)。
かんもくネットは「場面緘黙」という用語が適切と考え、これまでも“Selective mutism”を「場面緘黙」と翻訳し用いてきました。「選択性緘黙」という用語は、「自分の意志で話さないことを選択している」という語感があり、誤解を生むことが多かったためです。「場面緘黙」の方が、「特定の状況(園や学校など)で話せないことが続く」症状の特徴がわかりやすく表現されていると考えます。「場面」とは「人・場所・活動」の3要素で規定されますが、「場面緘黙」はこれら3要素を変数として症状出現が見られるからです。
この4月、緘黙関連団体連合会※(会長 金原洋治)は、「場面緘黙」を正式名称にしてほしい旨の要望書を関連学会に提出しました。その数年前より日本不安症学会にご検討いただき、日本精神神経学会にもご理解いただきました。「場面緘黙」が草案として採用されるに至った経緯については、日本不安症学会の「ICD-11新病名草案におけるSelective mutism の訳語に『場面緘黙』が採用されたことについて」に詳しく説明されています。
不安症学会サイトへリンク(新規ウィンドゥで開く)
※緘黙関連団体連合会には、現在11団体が加盟しています。加盟団体 (五十音順)は下記です。
かんもくグループ北海道,かんもく富山,かんもくネット,かんもくの会,かんもくの声,さくらんぼの会,信州かんもく相談室,つぼみの会 (場面緘黙親の会 関東),日本緘黙研究会,場面緘黙親の会ひろしま(あゆみの会),宮古島-緘黙っ子の親の会
また、今年4月、緘黙関連団体連合会は、「『発達障害者支援法』に場面緘黙を残すことに関する要望書」を厚労省と関連の会に提出しました。
ICD-11では、疾病分類が大きく変わりました。場面緘黙は「不安または恐怖関連症群」に分類されたのに対して、発達障害者支援法の対象の多く(ASD、ADHD、LD、DCD、吃音、チックなど)は、「神経発達症群」に分類されました。そのため、このままでは、場面緘黙がこの法律の支援対象からはずれてしまう可能性があります。
http://kanmoku.org/news_index.html

2018年5月8日火曜日

志乃ちゃんは自分の名前が言えない 7月14日より順次公開予定

映画 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」
の公開情報です。
7月14日より公開予定ですが。
大きな映画館では上映しないようです。
「近日公開予定ではあるが、日時不明の映画館も多いです」




公式サイト
http://www.bitters.co.jp/shinochan/


東京 新宿武蔵野館 7月14日より
http://shinjuku.musashino-k.jp/

北海道 ディノスシネマズ札幌劇場 詳細不明
http://cinema.sugai-dinos.jp/pc/sapporo/

愛知 伏見ミリオン座 詳細不明 7月21日より
http://www.eigaya.com/theater/million/

大阪 シネ・リーブル梅田 詳細不明
https://ttcg.jp/cinelibre_umeda/comingsoon/

京都 京都シネマ 詳細不明
http://www.kyotocinema.jp/

兵庫 シネ・リーブル神戸 詳細不明
https://ttcg.jp/cinelibre_kobe/comingsoon/

福岡 KBCシネマ 詳細不明
https://kbc-cinema.com/

2018年4月28日土曜日

【ニュース】発達障害医学の進歩30で吃音が取り上げられる 吃音至上主義者はショック?吃音が発達障害になってしまうと抗議するの?

――― 吃音業界の専門職が発達障害業界の出版物に出てくる時代になった

顕在化しにくい発達障害の早期発見と支援に向けて 
という書籍が公益社団法人日本発達障害連盟から発売です。(リンクは記事の最下段)

関連記事
【ニュース】筑波大学の発達障害を重複する吃音の子どもの実態‐発達的変化の追跡調査‐をご存知ですか? http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2018/04/blog-post_29.html



現在、吃音業界は吃音至上主義という名の障害種別差別が蔓延しています。
そのようななか、菊池良和氏、原由紀氏の2名の記事が発達障害を扱う団体、その出版物で扱われることになります。筆者はこのように、吃音も発達障害業界で扱われるようになり時代の変化を感じています。障害種別に関係なく、こうやってお互いのことが知ることができるようになっていくこと。これは大切だと思います。

ちなみに菊池良和氏、原由紀氏は日本発達障害連盟の別のセミナーにも登壇していました。こちらのセミナーのことが今回発売の書籍につながっています。



――― 吃音至上主義者、障害種別差別推進派の吃音のある人やその家族や支援者はこの事態をどうみる?

吃音業界にある吃音至上主義、障害種別差別主義者の考え方
「吃音を知ってください。吃音を理解してください。でも発達障害や精神障害のことは知りません。理解したくありません。吃音が精神障害や発達障害だと思われたら困ります。一緒にしないでください!吃音の人は精神障害や発達障害のように頭オカシクありませんから! 発達障害の人が持っている内的心理的問題を吃音の人が持っていると思われたら困ります!!吃音はあんな発達障害の人とは違いますから!!吃音を発達障害業界の出版物やセミナーで扱わないでください!!」

発達障害業界にあるまぜこぜの考え方
「発達障害には色々な特性があります。それらの特性を複数持っている人もいます。発達障害特性ごとに困りごとや悩み事は異なるかもしれませんが。みなさんお互いのことを知りましょう。助け合いましょう。一緒に協力しましょう。分断をするのではなく。分けるのではなく、一緒に歩みましょう」


吃音至上主義、障害種別差別は自閉症協会の掲示板でも話題になり、悲しみや怒りがあふれている

http://www.autism.or.jp/cgi-bin/wforum/wforum.cgi?mode=allread&no=3039&page=0



――― 吃音至上主義や障害種別差別をする人々からすれば
『公益社団法人日本発達障害連盟の書籍で吃音を扱ったら、吃音が発達障害になってしまう。吃音が発達障害だと思われてしまう。吃音が精神障害者保健福祉手帳の扱いになってしまう。吃音児者が発達障害児者とおなじ枠になってしまう』などなどの(一般の人からすると理解に苦しむ意味不明な)感情が蠢いていることでしょう。

それでも菊池氏、原氏がこうやって発達障害業界から情報発信をする時代になった。2018年現在、吃音も発達障害として扱うことがこれから増えていくことでしょう。(さらにこれからの未来の話です。危惧されるのは、発達障害業界、発達障害業界の医療従事者の間などでも話題になっていることです。『吃音至上主義者、障害種別差別をした人が、何事もなかったかのように、シレっと、発達障害業界に入ってきて講演やセミナー、研究成果発表しちゃうんじゃないの?学会誌とかに出てくるのでは?反省して医療従事者として活動しないなんて道は選ばないだろう』という話題です。これは現実になると思います。吃音至上主義・障害種別差別をした人が普通に発達障害業界にするりと入り込み何事もなかったかのように活動すると思います。)

公益社団法人日本発達障害連盟や菊池良和氏、原由紀氏に「吃音を発達障害にするな!発達障害をあつかうところで記事を出すな!」という意味不明な抗議や公開要望書が行かないようにと。とても懸念しています。菊池良和氏や原由紀氏は吃音を発達障害にしようとしている輩だ!という流言飛語もこれから出てくるのではないかと危惧しています。


――― ちなみに、石崎 朝世氏(発達協会王子クリニック院長)などでおなじみの公益社団法人発達協会に、吃音業界の医療従事者や研究者が登壇しています

こちらは公益社団法人発達協会です。自閉症協会とも接点がある団体で50周年シンポジウムに石崎氏が登壇していました。


この発達協会ですが。
ここにも吃音業界の人が、登場しています。

発達協会には、坂田善政氏、原由紀氏、小林宏明氏がセミナーに登壇しています。こちらの方々にも、発達協会にも吃音至上主義者・障害種別差別推進派の抗議や公開要望書が行っているのではないかと心配です。
吃音を発達障害や精神障害と同じにするな!精神障害者保健福祉手帳を使わせるな!という吃音至上主義者、障害種別差別推進主義者からすれば大変ショックなことでしょう。まさか坂田氏、小林氏まで発達障害業界に接点があるなんて…と認識するからです。






登場している事実1 (ちなみに場面緘黙業界の高木氏もいることに注目です)
発達障害・知的障害のある子どもへの理解、指導・支援法、また保護者への理解・支援等について、実践豊富な講師から学ぶセミナーです。
吃音や場面緘黙のある子どもの育ちを支える-「話したいのに上手く話せない」子への対応
講師:三木江理奈(個別学習エイル)、小林宏明(金沢大学)、高木潤野(長野大学) あそびを通した発達支援-感覚と社会性の視点から
講師:伊藤祐子(首都大学東京)、大畑豊(子どもの心と発達の相談ルームここケット)
※2月4日(日)、17日(土)、18日(日)、25日(日)にも
セミナーを開催しております。
※セミナーの詳細、お申し込みは下記ホームページへ
http://www.hattatsu.or.jp
■主催
公益社団法人 発達協会  http://www.kawasaki-m.ac.jp/mw/commhw/okayamast/cms/?p=2646


登場している事実2
ことばの育ちを支援する 
評価法と多様な側面への理解と支援
経験や勘だけに頼らない、評価に基づいた指導方法を学びます。
 子どもの発達の中で、関心の高い領域のひとつが「ことば」です。「ことば」には理解、表出、音の産生等多様な側面があり、それぞれの発達や連関をふまえた上で、子どもと関わる必要があります。このセミナーでは、「ことば」の発達と障害、評価法とともに、諸側面への指導・支援法を学びます。保護者へのアドバイスにも役立つ、暮らしの中で「ことば」の力をはぐくむ働きかけ方を含め、経験豊富な講師陣がお伝えする例年、好評のセミナーです。
話しことばの障害とは
構音障害と吃音を中心に
原 由紀(北里大学)
http://www.hattatsu.or.jp/jissen_seminar_naiyou.html


登場している事実3

公益社団法人発達協会【春のセミナーご案内】
(ご案内より)
発達協会が主催する春のセミナーのご案内です。発達障害・知的障害のある子の指導に役立つ具体的な内容を現場経験豊富な講師陣よりお話いたします。
春のセミナーH 2月27日(土)
吃音や場面緘黙のある子どもの育ちを支える-「話したいのに上手く話せない」子への対応
吃音や場面緘黙がある子は、周囲の理解が足りないと話す意欲、コミュニケーションへの意欲を失ってしまう恐れがあります。彼等のコミュニケーションへの意欲、育ちを支えるためには、まず周囲の大人が吃音や場面緘黙について知ることが必要です。理解を踏まえた関わりや支援について、臨床経験豊富な講師が事例を交えてお伝えします。発音が未熟な子-機能性構音障害のある子への対応も含め、「話したくない」という思いを子どもにさせないために学びます。
①坂田善政先生(国立障害者リハビリテーションセンター)
②三木江理奈先生(個別学習エイル)
③高木潤野先生(長野大学)
http://www.fukushima-st.org/2016022728/



発達障害医学の進歩30
http://www.jldd.jp/info02/mentalretardation30/
企画・発行
公益社団法人 日本発達障害連盟
日本発達障害学会
読み書き障害、吃音、チック、発達性協調運動障害(DCD)といった「顕在化しにくい発達障害」のある子どもたちに対して、早期に気づき、適切な支援策を幼児期・学童期にわたって円滑な連携のもとに提供する体制づくりが、いま求められている。
本書では、上記の4 つの発達障害への理解を深めるために、それぞれの障害の特徴とともに、早期アセスメント手法や支援法の実際を具体的にわかりやすく解説。さらに運動と密接に関わる感覚の問題についての概説も加えた。医療・教育・療育の現場で子どもに関わるすべての方にとって、明日からの支援策を考えるヒントが満載である。
【目次】
■ 顕在化しにくい発達障害の早期発見と支援に向けて ─総論
稲垣真澄
■ チックの基本を理解する
松田なつみ
■ チックの早期アセスメントと支援
藤尾未由希
■ 吃音症の基本を理解する
菊池良和
■ 吃音症の早期アセスメントと支援
原 由紀
■ 学習障害の基本を理解する
─読みの障害(発達性ディスレクシア)に焦点をあてて
原 惠子
■ 学習障害の早期アセスメントと支援
北 洋輔
■ 不器用な子ども ─ DCD という視点からの理解と支援
中井昭夫
■ 自閉スペクトラム症の子どもへの感覚・運動アプローチ
岩永竜一郎

2018年3月7日水曜日

全文テキスト化 私たちの就活 吃音とともに生きる ハートネットTV

2017年10月4日に放送された番組が番組まるごとテキスト化になっていました。

ハートネットTV 私たちの就活 吃音とともに生きる
http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/summary/program/?id=44452


テキストにされていると、学校や企業団体でも印刷して利用しやすいですね。
文字起こしに感謝します。就労移行支援事業所や企業団体の人事採用担当部署でも障害者雇用と障害受容ができない場合の重要な事例として検討しやすいでしょう。


また、この放送を見たとされる、人事採用担当者の声がネット上に公開されていることがわかりました。一般枠で「障害や病気があります。吃音があります」ということの大きな不利益について語られています。たしかに今の就職活動とはこうなっています。「ガンがありました。治療していました」というとなかなか就職できないという問題と共通しています。また、吃音以外の発達障害のある学生は障害受容ができているといいます。


ハートネットTV 私たちの就活 吃音とともに生きる を視聴した人の感想
吃音のある就活生はなぜ障害者手帳を持っていない?人事採用戦略の話
http://anond.hatelabo.jp/20171012000353

筆者も、ハートネットTVを見た、発達障害のある人を支援する立場の専門職、発達障害当事者団体の人から感想やコメントをもらいました。

『なぜ。一般枠でカミングアウトするのか? 今は、オープン就労、クローズ就労という方法を医療機関、就労移行支援事業所、大学のキャリア支援センターなどで耳にタコができるほど、しつこく、強く教えるように変化してる。吃音のある人は危険をおかしてまでカミングアウトしてしまうのか。そういった情報すら共有されていないのか』といった心配の声がありました。

一方で『大手マスコミなら障害者枠で採用されたかもしれないのにもったいない。一般枠に「こだわる」あまり、使えたはずの選択肢を自ら使わないでいる。障害者枠、いや、障害者ということ、発達障害ということに偏見や差別があるのではないか? 発達障害のある学生でも一般枠と障害者枠を同時に就活する人もいるのに。吃音のある人はなぜ一般枠にこだわるのか。障害者枠として新卒で就職したあとに、仕事で実績を出して出世する人もいるのに。最初から選ばないというのはなぜだろうか?』という声もありました。


オープン就労やクローズ就労については、就労移行支援事業所として実績のある。kaien社、リタリコ社の就労移行支援事業所でも必ず教えることです。オープン就労の場合とクローズ就労の場合のエントリーシートや履歴書の書き方、書いてよいこと、書いてはいけないことの説明。オープン就労の場合は自分の取扱説明書など、障害特性の説明や苦手なこと、配慮してほしいことを別途文書にします。リタリコ社の場合、リタリコ社、当事者、勤務先と合理的配慮について話し合った結果を文書化して3者間で共有保存するという方法もあるといいます。文書化することにより言った言わない問題や、上司の異動などで合理的配慮事項が引き継ぎされないことを防ぐ目的もあるのかもしれません。

吃音者の就労。
これからどんどん課題が見えてきそうです。

2018年2月9日金曜日

世界自閉症啓発デー2018のポスターなどが公開される 吃音やトゥレット症候群も説明に明記!

2018年4月の世界自閉症啓発デー、ホームページが更新されています。
http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/index.php?action=pages_view_main&page_id=13

世界自閉症啓発デーは国連が定めた世界共通の啓発の日です。

日本では厚生労働省、(埼玉の国リハセンター内部にある)発達障害情報・支援センター、一般社団法人日本自閉症協会が主催。文部科学省、国立特別支援教育総合研究所、全日本自閉症支援者協会、日本自閉症スペクトラム学会、日本発達障害ネットワーク、発達障害者支援センター全国連絡協議会、全国情緒障害教育研究会、全国児童発達支援協議会、自閉症児者を家族にもつ医師・歯科医師の会が共催する啓発の日となっています。

TwitterやFacebook、インスタグラムなどで「#world autismawareness day」、「#autism」、「#autismawareness」などハッシュタグが利用され世界中が1つになる日です。東京だと例年、東京タワー、渋谷、表参道などで啓発が行われます。2018年は平日ということもあり東京タワーのみで開催されるとのことです。
渋谷や東京タワーは海外からの旅行者も多く、青いものを身に着けていると、 autismawareness dayとすぐに反応してくれることがとても驚きます。



今年の啓発はセサミ・ストリートのジュリアが中心になっています
自閉症があるキャラクターです。

ポスター用、チラシ用、リーフレットが公開されました。
みなさんの手元にも届きやすい
チラシ用では『発達障害とは、自閉症およびアスペルガー症候群その他広汎性発達障害、学習障害(読字障害や書字障害を含む)、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの(トゥレット症候群や吃音を含む)です。知的障害を伴っている場合もあります』と明記されています。


しっかりと吃音が発達障害の中に含まれていることが説明されています。
吃音は発達障害ではない。
吃音を発達障害にするな!
吃音は精神障害ではない!
吃音が精神障害者保健福祉手帳の交付対象だなんて許さない!
あんな人達と一緒にしないで!
という吃音至上主義が2017年に広く知れ渡りました。
とても悲しい出来事でした。

吃音業界の吃音至上主義はこのように日本自閉症協会のホームページにある掲示板でも取り上げられています。掲示板の内容からは悲しみや怒り、辛さが読み取れます。一方で、それでも吃音のある人には差別をしない人もいるかもしれないというメッセージもあるのがせめてもの救いかと思います。
http://www.autism.or.jp/cgi-bin/wforum/wforum.cgi?mode=allread&no=3039&page=15


「吃音を知ってください。吃音を知ってほしい」
こんなメッセージが吃音業界から、とても頻繁に聞こえてきます。10月22日には吃音啓発の日があります。しかし吃音のある人、その家族、支援者、医療従事者、言語聴覚士、教員などは「吃音のある人以外の人のことを知ろう」としているのでしょうか?

それとも「あんな人達と一緒にしないで! あんな人達と同じ枠にしないで! あんな人達が使う精神障害者保健福祉手帳を吃音者が使うなんて絶対に受け入れないぞ!」なんて考えている、心に秘めている、内なる植松が潜んでいる人が多いのではないかと思います。


「吃音を知ってください。吃音を知ってほしい」
こういった吃音の啓発活動をすることは素晴らしいことです。
しかし、一方で、吃音以外のことを知っているのか?
吃音以外のことを差別していないか?
吃音はあんな人や彼ら、彼女らよりも偉い、優れている、優位である。一緒にされたくない。そんな気持ちが心にある状態で

「吃音を知ってください。吃音を知ってほしい。吃音をわかってほしい」
と社会に叫んでも全く意味がないと思います。

その影響なのか?世界自閉症啓発デー2018・シンポジウム 2018年4月7日(土) 開催のプログラムには「NHK厚生文化事業団」の障害福祉賞受賞者を表彰する部分がありません。2017年のシンポジウムではNHK厚生文化事業団障害福祉賞受賞者の紹介や家族の紹介やメッセージ代読がありました。2018年のシンポジウムには吃音至上主義の波紋が広がり大きな影を落としていることがわかります。もしも吃音至上主義が正しければ、4月7日のシンポジウムにも招待されるはずなのです。
不思議ですよね。招待されないなんて本当に不思議です。

※今年のシンポジウム案内
http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/index.php?action=pages_view_main&page_id=166

こういった、吃音者はマイノリティや他の社会的障壁がある人とは違う!一緒にするな!精神障害者保健福祉手帳を交付されることは許さない!吃音は精神や発達とは違うぞ!
この価値観のウラには。普段の日常から、学校や職場にて精神障害の人、発達障害の人に対して「負のイメージ、見下すイメージ、一緒にされたくない、一緒にいたくない、かわいそうな人達」などの気持ちや価値観があるのだろうと思います。


こういったことがこれから日本社会から無くなっていくこと。
それを心より祈っています。
いろいろな人が一緒に、まぜこぜになれる社会がいつの日か本当に来ることを願っています。