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2018年7月1日日曜日

【吃音Q&A】吃音による精神障害者保健福祉手帳申請書類の記入例・吃音で障害者手帳を取る方法

【注意 この記事は発達障害当事者が書いています】
その他の注意として、SNS等インターネット上のサイトにて「吃音が軽度だと精神障害者保健福祉手帳は取得できない」という誤った情報、デマが令和時代になっても拡散しています気をつけてください。さらに精神障害者保健福祉手帳を取得するまえに吃音の治療や改善訓練のステップが必要であるという「医学モデル」を振りかざす医師もいますので気をつけてください。医学モデルがまだ残っているのが吃音業界だと認識してください。当事者の困りごとに親身に寄り添い、それを助けてくれる医師と巡り合ってください。


――― 吃音を診療する精神科医師はどこにいるのか?

2005年から吃音が発達障害者支援法に含まれていることは2014年7月に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターがHPを更新し、発達障害の説明に吃音を入れたことで大きく日本中に広がりました。(本来なら国立障害者リハビリテーションセンター病院の吃音外来がもっとはやく周知すべきだったのですが『なぜか』それが実施されず発達障害情報支援センターからの情報として再度周知されました)

しかし、従来から吃音は耳鼻咽喉科医師の領域となっていたため、精神科医師が吃音を診療するというのはなかなか難しいことです。その理由は、音楽家のゴーストライター問題があり、その後、聴覚障害者の診断は特殊な検査方法を用いて行うということのガイドラインが役所より出ることになりました。吃音も『患者が吃音を演技し装う』ことが容易にできるという課題があります。映画英国王のスピーチ、フジテレビドラマ・ラヴソングを視聴すればわかりますが、吃音の言葉うまくでない、話せない、発話発語発声ができないという症状は簡単に演じることができます。

それゆえに、精神科医師は、この人が本当は演技しているのではないか、障害者手帳が欲しいから故意にやっているのではないか。ここがリスクなのです。精神科医師でも吃音を発達障害として診療し困っている当事者のために、障害者手帳申請書類や年金申請書類を書くとなると、客観的な証拠が必要になります。証拠の種類としては、幼稚園、保育園での指摘、小学校、中学校の通知表・評定表。これらの書類に吃音が出ている、ことばの教室、ことばときこえの教室に通級していた、耳鼻咽喉科医師のこの患者は吃音であるという紹介状。これらがあると精神科医師も吃音を認めてくれる場合があります。いきなり大人になって、いままで一度も病院に行っておらず、いきなり自分は吃音なんです。助けてくださいと精神科医師に頼んでもこれは大変困難です。

根本的な問題として、吃音を診療するという精神科医師は表向きにはその情報を公開していません。こっそり診療しているということが多いのです。ホームページに公開するなど大きな告知はしていません。

病院をさがす場合、お住まいの地域の発達障害支援センターに質問することが早いでしょう。または発達障害を診療しているという病院に自分で問い合わせるしかありません。その他にも各地の言語聴覚士会に質問するという方法もあります。言語聴覚士の中には『発達障害を持った子どもや大人』を診療するという精神科病院、子どもクリニックなどに所属している方が一定数いるからです。吃音業界に近い言語聴覚士とは異なり、発達障害のことをしっかり理解しているため、その点でも安心です。

いずれにせよ。国、厚生労働省による『吃音診療ガイドライン』の発表があればと思います。吃音かどうかの鑑別診断は耳鼻咽喉科、その後、手帳や年金を利用したいなら紹介状を貰い精神科医師につながるといった具合です。吃音を訓練して治したい手帳や障害枠採用を使いたくないという考えの人はそのまま耳鼻咽喉科でよいでしょう。

※そして、なぜ2005年から開始された発達障害者支援法が吃音業界で共有されなかったのか。これはとても悲しいのですが。吃音業界の団体は軒並み「吃音は障害ではない。障害者手帳の交付対象と啓発するな!吃音が精神障害だと思われたら困るだろ。吃音が発達障害だと思われた困るだろ。彼彼女らと同じだと思われるなんて嫌だ。吃音があっても堂々と吃れ。堂々とどもって生活している先輩を見習え。社会保障制度を使う吃音者は恥である。税金の世話になるのは恥である。合理的配慮を受けるのは恥である。障害者枠で働くのは恥である。障害者枠で働くと保護者や親戚と同じ生活レベルを維持できなくなる。」などという吃音至上主義があるからです。これは困っている吃音当事者には本当に悲劇です。

吃音至上主義に洗脳されてしまう保護者さんもいます。子どもに障害者枠で働くな!!とパターナリズムを振りかざす保護者も出てきます。吃音のある学生が障害者枠で働きたいと思ってもその道を閉ざすように動く毒親です。毒親問題は発達障害当事者の間でも深刻な問題となっています。保護者のもつ「普通」という価値観、「自分たちと親戚たちと同じ生活レベルを維持しろ」という価値観の押しつけです。この場合吃音のある学生や大人は別として。発達障害業界では、毒親と決別する。自宅から出る。自宅から出る際にお金の問題などがあれば医療機関やソーシャルワーカーに助けてもらい問題を解決する場合もあります。吃音のある学生、大人でもそうですが。吃音以外にASDやADHDがあればなおさら、家族といえども干渉される、価値観を押し付けられると大変な苦痛や混乱、戸惑い、感情が不安定になったりします。もう一つの視点として、そもそも吃音を含む発達障害は遺伝(吃音業界ではなぜか「なりやすい体質」として遺伝という単語を使うのを避けます)の可能性もあるため。毒親・親戚がそもそも未診断の発達障害当事者であることも想定されます。これは発達障害業界ではまあまあ報告される事例です。親子の生活圏を分離させてやっと「お互い」に少し平穏が戻ったということもあります。以上のことから吃音業界の毒親問題。これは深刻であると考えます。

別記事
【吃音Q&A】吃音のある人の就職活動ガイドライン 吃音者はなぜ就職困難者が多く、一方で成功している吃音先輩は後輩を助けないの?


――― 東京都内で吃音を診療すると東京都発達障害支援センターからのアンケートに回答している医療機関

東京都の発達障害施策のページに、吃音やトゥレット症候群を診療するという病院
のリストが掲載されています。「病院」、「診療所」で大きく分かれています。
さらに、「小児科」、「児童精神科」、「精神科」で分かれています。
そのため、事前にその病院に問い合わせることが必要になるかと思います。
実際に、この公開情報をもとに病院に行った方。その際の診療方針や状況についてメールで教えていただけると幸いです。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html

――― 吃音を主訴にして身体障害者手帳を申請できるのか?

吃音を主訴にして身体障害者手帳(音声、言語、咀嚼機能障害)を取得したという事例が少数ですがあります。しかし吃音は身体障害認定基準別表に含まれていない障害です。15条指定医も吃音で身体障害者手帳申請書類を書くことを躊躇する人もいます。これはゴーストライター問題のときと同じで医師自身にもデメリットがある。そもそも4級程度に本当は該当しないのに、吃音で「家族又は肉親との会話は可能であるが、家庭周辺において他人には殆ど用をなさない、コミュニケーションは難しい」と偽った申請書を書くことは社会通念上、倫理上ゆるされないことです。3級の認定基準は発語発声に必要な器官の喪失です。吃音当事者でも吃音を主訴にして身体障害者手帳4級を取得したという人がいますが、家族や肉親以外とも会話ができていることが多いです。(このような不正な申請を見かけたら自治体に通報しましょう)こういう背景もあり15条指定医師は吃音を身体障害者手帳の対象であると認めないことがあります。また、すでに発達障害者支援法に吃音が含まれていること、発達障害による精神障害者保健福祉手帳の申請は日常の困りごとが軽度でも存在すれば取得することが可能なため精神障害者保健福祉手帳をすすめてくる場合もあるでしょう。

今現在、身体障害者手帳4級をもっている吃音当事者はそれを大切にしましょう。

吃音が身体障害者手帳の交付対象になっていないことの原因は吃音業界、当事者団体が発達障害者支援法ができる以前に障害者運動をしてこなかった歴史が関係しています。発達障害者支援法ができるより以前に障害者運動をしっかりして身体障害者手帳に制度の中に明確に吃音を含むようになっていれば別の未来があったかもしれません。それに間に合わなくても発達障害者支援法ができた当初から発達障害業界、発達障害児者団体と連携して障害者運動をしていれば吃音を苦にした自殺自死も避けられたかもしれませんし、吃音を苦にして、自治体や病院に相談したが吃音は障害じゃないと言われ門前払いされひきこもりになってしまっている人にも別の未来があったでしょう。

なお、精神障害者保健福祉手帳は身体障害者手帳のように「障害レベル、重度かどうか、明確な数値レベルがありこれ以上だと何級、これ以下だと非該当」という物差しはありません。日常生活、学校生活、職場生活、社会生活でできることできないこと。(他人や例えばブギーボードなどアイテムに)助けてもらえばできることできないこと。電話や挨拶や朝礼や発表の免除、減免などの合理的配慮をしてもらえているならそれを希望するなら精神障害者保健福祉手帳3級は取得できます。1年間365日学校でも職場でも日常でもどんな些細なことでも困っていれば3級は取得できるのです。職場では困ってないけど日常で困ってますでも手帳は取れます。その逆もです。


――― 吃音で精神障害者保健福祉手帳を申請する方法とは

東京都であれば区役所または外部の●●センターなど、市町村で所定の書類をもらいます。
申請者が記入する書面と、医師が記入する書面があります。
これらを入手して、医師に診断書を書いてもらい。
なおかつ、申請者が記入する書面を記入し、診断書と一緒に
最初の窓口に持っていきます。
(なお、この際、医師が書いた診断書は中身を開いて、コピーして保管おきます。
提出の際に病院の封筒から出ていても特に注意されません。障害年金申請の際もそうです。ただ、障害年金の場合は社会保険労務士に委託するほうがセオリーです。
診断書を改ざんした場合は罰せられます。)


これで申請は完了です。
あとは審査を待つだけです。


東京都であれば、医師が記入するための書類はインターネット上に雛形があります。他の道府県も同様かと思います。
東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/download.html



吃音は耳鼻咽喉科医師が精神障害者保健福祉手帳の申請書類を記入できることになっていますが(医師免許があればOK)。本当は精神障害者保健福祉手帳2級になる人が、3級になってしまうという事案もあるため。精神障害や発達障害の精神障害者保健福祉手帳申請診断書、精神障害や発達障害で障害年金申請をしたことがある精神科医師のほうがよいです。

後述する「ひとりで食事ができるとはどういう事?」を理解している医師でないとなりません。吃音で2級が取得できたはずなのに3級ということはあってはならないことです。

また、自立支援医療(精神通院)の「重度かつ継続」に関する意見書は精神保健指定医の番号を記入する欄があります。この視点からも発達障害や精神障害を診療する医師が吃音のことをもっと知っていってほしいと思います。耳鼻咽喉科医師の経験、申請書類の記入方法では対応できない現実もあるのです。



――― 吃音で精神障害者保健福祉手帳を申請する場合診断書に何が書かれているのか?
こちらが診断書の書式です。
今の時代、医師はPCで記入して印刷して、記名捺印するのがセオリーです。






―― 重要な部分 病名をかく部分 ICDコードを記入
(さらに重要なことですが、吃音のある当事者さんは、自分自身にある発達障害が吃音だけなのか? 本当はそれ以外の発達障害があるのではないかと調べることを強くオススメします。このあと記事中に理由が書いてありますのでもしかしたら!と思う人は是非)

(1) 主たる精神障害 吃音症 F98.5
(2) 従たる精神障害 
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


ここが最重要です。
主たる精神障害は吃音単独になるか。それとも――。
さらに従たる障害として「気分(感情)障害)」、「発達障害」が記入されるでしょう。

精神障害者保健福祉手帳は発達障害単独でも問題ないです。
うつ病や社交不安障害が無いと精神障害者保健福祉手帳を取得できませんというデマ、ウソが流れています。そもそも発達障害があって困っている状況が悪化して、さらに二次障害が発生しないと手帳を取れないというのはおかしいですよね。発達障害で困っている人が深刻なダメージを受けないといけない? 違います。深刻なダメージを受けないように、守備するためのイージスが精神障害者保健福祉手帳です、合理的配慮です。学校や職場で合理的配慮を受けるために必要な場合はその事を精神科医師に伝えましょう。それも踏まえて診断書を書いてくれます。精神障害者保健福祉手帳は更新制度なので、その人が望む限り、医師は診断書を書いてくれます。

この際重要なのは後述していますが。「困っていること」、「大変なこと」、「吃音があってできなかったこと、人つきあいや手続きを避けていること」、「吃音が問題にならない環境はどこかとどんどんそちらをさがしてしまうこと、本当にやりたかったことを諦めたこと」、それらを事細かく、フラッシュバックする思い出であっても文章に書き起こすことです。どのような些細なことでも。1から100ではなく、1から10000までの詳細さで書き起こすことです。


たとえば発達障害当事者でも発達障害があることを隠して一般枠で就労しているのに、精神障害者保健福祉手帳2級という人もいます。ありとあらゆる手段、方法、スマートフォンアプリ、服薬、ソーシャルスキルトレーニング、認知行動療法、ストレスコーピング、当事者会での相談、病院医師や支援職と相談などなどで「健常者・定型発達者」に適応する、ついていく場合があるからです。さらに仕事は辛うじてできても、自宅がゴミ屋敷、片付けできない、金銭管理ができない。清潔さが維持できない。同居の家族やパートナーが全部家事をやってくれるという場合もあります。仕事はできるが、仕事にいくまでの準備や日常生活の必要な作業や買い物は誰かがやってくれるという場合もあります。サービス受給者証を使い、部屋の片付けや掃除、家事を支援者に手伝ってもらう一般枠就労発達障害当事者もいます。

ということで、吃音のある人も、一般枠就労で精神障害者保健福祉手帳を取得することも事実上、可能な訳です。ただ、発話発語の発達障害である吃音の場合は学校や職場において『どもれば・話せばバレる』のでそこは事例研究が必要になるでしょう。



たとえば吃音もその他の発達障害を持っている場合は
(1) 主たる精神障害 自閉症スペクトラム障害 F84
(2) 従たる精神障害 吃音症 F98.5
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


のようになります。
主たる精神障害と従たる精神障害の順番の違いは医師の判断になります。
主たる従たる精神障害がダブルで発達障害ということになるので、精神障害者保健福祉手帳の更新は、自発的に取りやめる場合を除き、死亡するまで更新できるでしょう。法律が変化した場合は別です。

このようなこともあるので、吃音のある当事者さんは、発達障害があるかどうかを調べる、心理検査、知能検査を受けることをオススメします。吃音だけが生き辛さかと思っていたところ本当は別の発達障害が併存しており生き辛さにつながっているという場合もあります。読み書き計算などは通知表や評定表でなんとなくわかりやすいです。字が汚い。罫線がないと書きにくい。または罫線があってもずれていく。書き順がわからないが文字を映像、画像として記憶していて、なんとか社会生活を乗り切っている。計算が本当はできないけど文明の利器で乗り切っているなどもあるかもしれない。発達障害の中でも五感視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の過敏や鈍麻は当事者だけでは気付くことは大変困難です。発達障害を診療する精神科医師でもなかなか難しいことです。発達障害当事者が発達障害先輩当事者が書いた書籍やニュースを見て『これ私だ!』となることがあるくらいです。そのときにはもう大人になっていて、安心安全な学校で合理的配慮を受けて、もっと勉強できたかもしれません。大人になってから学校が嫌いだった、真剣に集中できないことが多くて勉強があまりできなかったと後悔する人もいます。

発達障害当事者によくある、あるあるネタで、そもそも発達障害のある当事者はその見ている、感じている世界の感覚が通常であると勘違い・思い込みしているためです。たとえば音やニオイの感覚過敏がある発達障害の症状がある人は「自分以外の人もこのうるさい世界を我慢しているんだ。この騒音や人混みが大丈夫なんだ」と思い込んでいるため。病院に行こうという状況にすらならないのです。定型発達、健常と言われる人々は軽く受け流すとか不快感を感じていないのです。事例 → エアコンや冷蔵庫や扇風機の音は気になりませんし、ビルの玄関・入り口に設置されている、一定の周波数の音がでる装置(害虫、害獣対策の超音波?)は苦になりません。洗濯洗剤や柔軟剤や香水のニオイは気になりません。リコーダーや笛の音は気になりません。光の眩しさも気になりません。人がたくさんいる居酒屋やファミレス、パーティでも目の前の人と会話ができます。他の音や他の人の会話や店員の会話が耳に入ってくるなんてことはありません。身体が極度に疲れる前に空腹がわかります。何かを食べようとします。 定型発達、健常者と言われる人は「強い極度の不快感を感じません」、「発達障害のある人は強い極度の不快感があったとしても、それを当たり前に生まれた時から経験しているので世界はそういうもので、自分以外の全員がそれを経験して我慢しているんだから自分もそうならないといけない」と思い込んでしまうのです。吃音のある当事者も、自分自身の生き辛さは本当に吃音だけなのか? を調べることをオススメする理由です。吃音のある子どもの場合はまだ適切に困りごとを表現できないかもしれません。保護者がわかるのは、子どもがある場面を避ける。子どもがある場面になるとスペックが低下する、疲れやすい、やる気を失っているなどがある場合。「どうしたの? 何か辛い? うるさい? 臭い? 眩しい? 呼吸がしにくい? 音が聞こえにくい? 変な音がする? 他の人の声が気になる? 空腹なのにそれを忘れている? 水分がほしいのにそれを忘れている? 肌の感覚がへん? 服を脱ぎ捨てたい?」などを子どもと会話してみましょう。保護者も発達障害の人が生きる世界。感覚過敏の世界、感覚鈍麻の世界を事前に知ることが必要になります

こういう視点からも耳鼻咽喉科医師が吃音を診療するだけでは、当事者の困りごとが他にあるかもしれない。という診察での見立てや質問をすることが困難な場合があります。発達障害を診療する精神科医師なら、発達障害のある人の五感の過敏や鈍麻、発達障害のある人特有の言い回し、発言、説明の仕方、外見、表情、服装、持ち物、こういう事経験ありますか? これは? こんなことは? と診察で質問する、またはそれを引き出す質問の仕方をする。初回面談で精神保健福祉士や心理士が話をする場合も多いです。発達障害の特性を理解しているため、発達障害児者に対する質問の投げかけ方が異なるのです。これは吃音業界の耳鼻咽喉科医師や言語聴覚士ではできないことです。また、可能な限り、母子手帳や小中高校生時代の通知表や評定表を調べることもします。精神科医師・福祉従事者はこのように当事者の困りごとを調べて、そして幼少期から読み取れることはないかなどを調べます。
となると耳鼻咽喉科医師は吃音以外に当事者が困っているかもしれないことを見落とす、見立てをできない、気づくことないという結果になり最終的に耳鼻咽喉科医師だけでは、吃音当事者は「吃音だけで困っている」と判断してしまうでしょう。ここで本来は精神障害者保健福祉手帳2級程度の人が3級になってしまう問題が出てくるのです。

菊池良和医師が執筆した、監修した書籍にも吃音とそれ以外の発達障害の合併が指摘されています。「吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討 - J-Stage」という報告もあります。吃音のある人の中に、吃音しか持っていない人。自閉症スペクトラムやADHD、LD、チックを持っている人もいるかもしれません。また、不器用さという視点で発達性協調運動障害があることも。発達性協調運動障害の詳細はリタリコ発達ナビを→ https://h-navi.jp/column/article/35025585

また、自閉症スペクトラムのある当事者、ADHDのある当事者の中にも吃音をもっていて吃る人がいます。(診断がついていないことが多い。吃音者から見ればすぐわかる。2014年に発達障害情報支援センターや厚生労働省が吃音が発達障害であると再度周知を行ったおかげで逆に発達障害当事者が吃音があることもわかったという事例が出てきており、精神障害者保健福祉手帳申請時に主たる障害、自閉症スペクトラム、従たる障害、吃音症と診断できるようになったため、等級が重くなる、更新しやすくなったというメリットが報告されています)

実は吃音のある子どもの保護者や親戚縁者に発達障害当事者がいるかもしれない問題
さらに発達障害は遺伝の関連もあります。(筆者も親戚に発達障害当事者がいることがわかりました)お子さんが吃音だった、吃音以外の発達障害だったということは、父母、祖父母、父方、母方の親類親戚縁者で吃音の人。発達障害の人。ちょっと変な人。キャラが濃い人。こだわりが強い人。不思議な感じの人。衝動的な人。距離感がわからない人。引きこもっている人。結婚できない人。結婚はしていたけどパートナーがカサンドラ症候群になり離婚。正月やお盆などに本家や大本家に集合した場合、入ってはいけない部屋がある。またはいつも絶対に集合しない人がいる。いないことになっている。(いないことになっているどこか遠くにいっていることになっているが実はその集まった本家や大本家のどこかの部屋にいる)などなどが存在するかもしれません。もしくは父母がそもそも「発達障害特性」を持っているかもしれません。意外とお父さんお母さんはそういう経験があるのではないでしょうか。そういう経験が子どもの吃音が社会でどう見られるか、どういう仕打ちをされるか。などを想像できてしまうかもしれません。それ故に吃音を障害にしてはいけない、自分の子どもは障害者ではない。彼らと同じになってはいけない。という吃音至上主義につながるかもしれません。



吃音しかないけれど気分障害、社交不安障害など持っている場合は
(1) 主たる精神障害 吃音症 F98.5
(2) 従たる精神障害 障害名 FコードXXX
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


純粋な吃音者がどれくらい存在するのかは別として。
吃音症と気分障害、社交不安障害などを記入することになります。


――― 発病から現在までの病歴及び治療内容等
次にこの部分です。
ここはあらすじを書くところです。いつから、なにがあった、何で困っている、トラブっている、特別支援学校・学級・通級の利用有無、仕事のトラブル
などが短い文書にまとめられます。


――― 現在の病状、状態像など 
ここには診断書の(11)と(12)の部分が記入されるでしょう。
11に自閉症スペクトラム、12に吃音という例になります。



――― 4の病状、状態像等の具体的程度、病状、検査所見等 
※おおむね過去2年間の状態について記載してください
ここは障害や病状が具体的に何がどうなっているかを記入します。

対人関係のトラブル、衝動性がある、感覚過敏がある(音、光、におい)、吃音があるため、発話・発語によるコミュニケーションも円滑に進まない。

検査所見として心理検査、知能検査の数値も記入します。
WAIS3、WISC4など。ISS、NRTなど。 
FIQやVIQやPIQなど。
FSIQ VSI PRI WMI PSIなど。



――― 生活能力の状態 (2 ア イ ウ エ オ カ キ ク)
※おおむね過去2年間の状態について記載してください

ここは診断名に続き、重要な部分です。医師にしっかり記入してもらわないといけません。困っていること、できないことをしっかり医師に評価してもらうこと、その評価のために「私の困っていることリスト」、「私の黒歴史ノート」、「私の人生はこんなに大変でしたノート」を医師に印刷して手渡すことが大切になります。ここには日常生活、学校、職場、窓口などありとあらゆる場面のことを書きましょう。
1から100までではなく。1から10000まで、事細かく、ここまで書くかと自問自答するほど、詳細に書き起こしましょう。フラッシュバックすることもあるかもしれませんが、それくらい詳しく書く必要があります。精神障害者保健福祉手帳を申請するときは、「一番最悪な状態、一番困っているときのことを」思い出しながら書くというイメージです。それを医師に伝えるのです。
(これは初めて精神科医師、精神科病院に行ったときの初回面接や医師とのファーストコンタクトのときに手渡しましょう。更新の際は、日々の通院で、最近こんな失敗や嫌なこと、不利益があったと報告しましょう。定期通院での報告、これらは医師が重要視します)


障害年金申請の考え方と同様です。
そもそも発達障害診療に強い、精神科医師ならそこは理解していると思うので当事者との問診や心理検査や知能検査、日常生活はどうなっているか? 詳しく聞いてくるはずです。

「ひとりで食事ができる」とは、コンビニ弁当を買う、カップ麺を食べることができるなど ではありません!!吃音によりできないことも事細かく、こういうことができない。こういう機会を失ったと医師に理解してもらうのです。


ひとりで1日3回の食事を、栄養計算して、冷蔵庫をみて、どんな料理にしようか考えて、予算(収入)と相談して、持っているお金のうちの何%は食費に使えるか考えて、何を買うか考えて、お店に一人で行き、その道のりまでに安全に移動できるか、商品を選んで、お金を支払い、お釣りを間違わず受け取り、お釣りが間違っていれば指摘し、帰宅後に調理をする、火を使い、包丁をつかい、お皿をあらう、ゴミ捨てをする。

などのように1から10000までのこと。これが含まれているのです。


ひとりで食事できますか?「あっ これできる」
は間違いです。

吃音のある人の場合は、話せることもあるのですが。
困っているとき、話せないときのことを、吃ってしまうことにより不利益があったこと。しっかり医師に表現してもらうことが大切になります。



吃音のある人の場合、下記の部分が重要になります。


吃音のある人の場合、言葉を話すことが難しいとき、家族や友人、パートナーに「援助をしてもらう」、「助けてもらう」本人に変わって意思疎通の過程を行ってもらう、発話発語以外の手段を「周囲に理解してもらい助けてもらう(発話発語が発生しないルートで予約であったり買い物をする等)」という援助を受けている。普段は
これらを考えましょう。【援助があればできる】これが大切になります。

「エ 通院と服薬」
通院が一人でできるか。誰かと一緒に行くか。
次回の予約や病院窓口とのやりとりが上手くできるか。誰かにやってもらうか。
不安を解消するための服薬はあるか。
現在の制度上も可能ですが、実行されている病院があればです。
自立支援医療(精神)で「言語聴覚士による指導」は可能です。
発達障害を専門とする病院が言語聴覚士まで雇用していないだけなのです。
ということで、吃音のある人は、3割負担よりも安く、通院、処方箋、言語訓練が可能になります。
東京だと、発達障害を専門にする病院に言語聴覚士もいる事例もあります。
今後、吃音も診療します。言語聴覚士がいます。という病院が増えることを願っています。



「オ 他人との意思伝達及び対人関係」
家族や友人、学校の友人や教員、職場の同僚などに助けてもらう、吃音がある人だと理解してもらっている状態、事前に説明してもらうなど。テキストチャットやメール筆談での対応がある・対応を認めてもらっている。普段は吃音のことは触れられないが当事者が吃音の調子が悪いようだと周囲が察して動いてくれる。

電話を使える場所なのに、メールやファクスをさがす。いちいち実際にお店の窓口まで訪ねていってしまう。吃音のない人が発話発語で済ませることをできないという事実を医師に書いてもらうことが大切になります。

1から10000までのとても広い視点・細部まで考えて、「あっ、そういえばこの場合は助けてもらってるじゃん」ということをまずは認識していくことが大切になります。当事者さんがこれくらいは吃音だからって甘えちゃだめだよなと自己判断しないで、これは困っていることだと認識することが大切です。
吃音があることにより、こんなにたくさん意思伝達がうまくいかない。
対人関係について課題がある。
友好関係の維持もそうですし。本当は話しかけたい・参加したかったけど、吃ることにより、返事のタイミングを逃してしまうとか。本当はヒマなのに用事があるとウソを言ってしまうとか。

吃音があることにより人生においてこんなにも機会喪失がある。ということをしっかり医師に伝えることが大切になります。


「カ 身辺の安全保持及び危機対応」
ここはどもってしまうために危機対応ができない場合を想定します。
危機を理解していても話せないため、どもってしまうその時間、秒のために危機対応できないこともあるでしょう。吃ってしまうことにより周囲にSOSを出せないという状況もあります。自分が怪我や事故に巻き込まれても、110や119に電話できない。目の前で犯罪行為があっても、通報できない。または目の前で誰かが「助けてくれー。そこの人!」と言われても吃ってしまうから見なかったことにするなど。

警察官に職務質問を受けても吃ってしまうために、違法薬物をやっているのではないかと、応援の警察官を呼ばれてしまったということもあるでしょう。こういうときに精神障害者保健福祉手帳は強い力を発揮します。

吃ってしまう時間=吃る時間
という数秒から数十病の時間があるために、スムーズに流暢に話せていれば巻き込まれなかったはずの無用なトラブルを招いてしまうこともあるのではないでしょうか?


「キ 社会的手続き及び公共施設の利用」
これは市役所など窓口、銀行、病院、何らかの契約、ありとあらゆる公共施設や公的機関、公的機関に準ずるもの。年金事務所でも税務署でも裁判所でも法務局でも健康保健センターでも、公共交通機関でも。どのようなものでもです。
学校でもそうです。

人間社会で必要な手続きや施設の利用が吃ることにより、うまくいかないこともあるでしょう。

 「ク 趣味・娯楽などへの関心、文化的社会的活動への参加」
これは吃音のある人には厳しいですよね。
外に遊びに行く。イベントに行く、他の人と交流する。
新しい人間関係をつくる。
趣味の仲間をつくる。
世間話をして人間関係を維持する。
吃ることによりできないですよね。
難しいですよね。
機会があっても避けることもありますよね。新しい人間関係や趣味の世界、新しい何かを実行したい。でも吃ってしまうから、吃ってつらい経験をしたくないから、笑われたくないから、やっぱり諦めようとなってしまう等。
学校や職場に行くだけで精一杯ということもありますよね。それだけで精神をすりへらしてしまう、吃らないように頑張って疲れてしまうこともあるでしょう。




――― 生活能力の状態 (2 ア イ ウ エ オ カ キ ク)の具体的程度、状態像
この部分に
吃音があることにより、対人関係の維持構築困難、社会参加できる範囲が限定されている。吃音のために自己防衛するため故意に狭い世界で生活している。上手く話せないことによりトラブルが起きたり、巻き込まれたりする、不当な評価や扱いを受ける。多くの援助を必要としている。

などを書いてもらえるようになると良いです。




―――最後に
吃音が軽度でも精神障害者保健福祉手帳3級は取得できます。
それは「このくらいの吃音じゃダメだろう」という当事者の思い込み。吃音を診療する医師が「このくらいの吃音で障害者手帳を取るなんてダメだ」という独特の価値観を持っている、価値観を押し付けるタイプ、以上の場合の悲劇です。

そして、精神科医師の視点から見る「困っている状態」の書き方を理解しているかどうか。耳鼻科医師が精神障害者保健福祉手帳は取れないね。というのは、精神障害者保健福祉手帳の申請診断書の「困りごとの表現」を熟知していないからです。また、言語訓練などにより吃音が改善したからこの状態なら大丈夫ですね手帳申請はできませんという意味不明な価値観も含まれます。(吃音以外の発達障害当事者だって就労移行支援事業、SST、服薬などなどで中度から軽度になっている人でも手帳を取得できます)

軽度の吃音とは、挨拶ができない言えない、学校名社名が言えない、電話ができない言えない、窓口手続きができない、お店で注文できないなどなどです。そして困っていれば3級は取得できます。就労現場でも電話の免除や挨拶や朝礼の免除、発話発語に関係する合理的配慮があれば3級は取得できます。

例えば発達障害を診療する著名な精神科医師でも精神障害者保健福祉手帳を持っている事例があります。世間から見れば「医師免許を持っているのに障害者手帳を持っているだと!なぜだ!メディアにも出演しているし、書籍も多数出版しているぞ!」となるかもしれませんが。「困りごと」があればいいのですから取得できるのです。


精神障害者保健福祉手帳は身体障害者手帳と違い、「明確な診断基準、数値による線引がありません」ここがとても重要なのです。例えば吃音が身体障害者手帳になってしまえば、明確な診断基準、数値により、ここからここまでが●級となってしまうため、軽度の吃音当事者がカバーできません。全員切り捨てられます。

発達障害者支援法と精神障害者保健福祉手帳の概念は当事者が困っているかどうか。できないことがどれだけあるか。吃音状態が発生しないように言語訓練や当事者独自で編み出した方法頑張っていても(その他の発達障害も同様で発達障害特性により何かトラブルや失敗が起きないようにSSTやアプリケーション、服薬、ありとあらゆる事前の準備や特性に合わせた対処方法を使って頑張っていても)精神障害者保健福祉手帳は取得することができるのです。

2018年6月13日水曜日

吃音業界はなぜ場面緘黙業界やトゥレット症候群の団体のように日本精神神経学会パブリックコメントへ何らかのアクションをしないのか?

2018年7月1日現在。吃音当事者の団体から公式なアクションはありませんでした。
今後、後出しジャンケンなど、本来は発言する機会があったのに、後から何かを言うという場合は、この記事のことを思い出しましょう。



場面緘黙業界を構成する一つの団体である。
かんもくネットから、このような記事(記事は最下段)が出ており、フェイスブック、Twitterで場面緘黙当事者などのアカウントから拡散されています。トゥレット症候群の団体である日本トゥレット協会(http://blog.canpan.info/tsaj2001/archive/324)も記事を出しています。


これは日本精神神経学会サイトにて「ICD-11新病名案に関するパブリックコメント募集」が行われており。
https://www.jspn.or.jp/modules/info/index.php?content_id=622

それについて賛成意見や反対意見などを送ってほしいということです。
ここに場面緘黙の団体が呼びかけをしていることになります。

場面緘黙業界は2018年の春頃、日本精神神経学会が場面緘黙の名称を「選択性緘黙」にするということを事前に知り、場面緘黙の個人、家族、医療従事者、支援者などが協力して、要望をしたと言われています。パブリックコメントがインターネット上に公開される前に行動したことになります。

しかし、吃音業界の団体は。今回、公式に日本精神神経学会がこのようなパブリックコメントを実行していることを告知しませんし、情報の拡散もしていません。

ICD11によると吃音は「吃音」という言葉がなくなり、「発達性発話流暢症」ということになります。今後は「流暢症」ということが一般的になるかもしれません。それを見越してか、吃音学会も、正式名称は「日本吃音・流暢性障害学会」となっているので、世界的な位置づけを知っていたことになります。

さて。問題なのは。
1.吃音という言葉がなくなることに抗議をする?
2.吃音という言葉がなくなることに賛同する?
3.その他

何れかの意見を伝えましょう!個人的に意見をしても可。
と、吃音業界の団体が公式にアナウンスをする。情報を告知しないことです。
場面緘黙業界とは大きな違いですね。



――― 発達障害当事者や関係者からは吃音が消滅することに賛同もある
2017年、吃音至上主義を持った医療従事者が、「発達障害者は内的心理的問題を持った人だ。吃音者も内的心理的問題を持った人だと思われたら困る」、「一般社団法人 日本発達障害ネットワーク JDDnetは破綻寸前だ!(信用毀損、業務妨害)」等という差別する内容や組織団体の評価を下げるための内容をインターネット上に公開しました。発達障害児者の団体、それに参加する個人や家族、研究者や医療従事者の間でも大きな衝撃として受け止められました。これは一般社団法人日本自閉症協会の掲示板でも大きな話題になり、広く知られることになったのです。

結果として、「吃音」というのは、ある意味。吃音を持った人のステータスとなっているのではないか? 吃音であることに何らかの優越感を持っているのではないか? 吃音者というものに選民思想があるのではないか? 

故に精神障害や発達障害のある人。精神障害者保健福祉手帳を利用する人を見下し、差別し、吃音と精神障害や発達障害を一緒にするな! と叫ぶのではないか? と指摘されています。(余談ですが 2018年6月に新幹線で起きた悲しい事件。これが毎日新聞社やNHKの報道により被疑者が発達障害を持っていた!と広く周知され。これが吃音業界では吃音当事者が「それみたことか。発達障害の人はこうやって犯罪をする。人を殺す。こんな人と吃音が一緒になることはありえない。吃音が発達障害だと世間に思われたら事件を起こす人だと思われる」などという吃音至上主義、障害種別差別が早速ありました)


そこで、「吃音」という言葉ではなく「流暢性の症状」ということで。今回の日本精神神経学会ICD11パブリックコメントに、吃音という言葉がなくなったことへの賛同、感謝を申し述べるべきだという考えもあります。発達障害のある人にも流暢性の症状を持った人がいる。というほうが受け入れやすいのです。

発達障害のある人にも「吃音」の症状を持った人がいる。という説明をすると。2017年に起きた吃音至上主義を持った人の差別がフラッシュバックするという発達障害当事者さんや家族がいるため、吃音という言葉以外で表現する方法をさがしていたということになります。吃音という言葉そのものが「フラッシュバックのトリガー」になってしまったこと。これは本当に筆者も深く深くお詫びすることしかできません。


実際、場面緘黙の団体でも感謝のコメントを送信しましょうと呼びかけています。
発達障害のある人、その家族や関係する医療従事者や支援者、教員などは、そういう意味も含めて、日本精神神経学会のパブリックコメントに「流暢性の症状」と読めるようにしたことを感謝する意見を送信してもよいでしょう。


――― 賛成なのか反対なのかのアクションも起こさない吃音業界は何をしているのだろう?

問題なのは場面緘黙業界、トゥレット協会が今回のパブリックコメントに何か声を伝えましょうと公式にアナウンスを行っているのですが。吃音業界はそのような行動を一切していないことです。

賛成なのか、反対なのか、その他なのか。意見も何もしない。
そして、パブリックコメントが終わったあとに、アクションを実行するとなれば。非常識だと思われる可能性も考えられます。

吃音業界と場面緘黙業界の違い。
これななぜなんでしょうか?
やはり、場面緘黙業界、団体や個人には吃音至上主義者のように仮に場面緘黙至上主義が存在しないこと。これが大きな要因ではないかと思います。
『場面緘黙は精神障害や発達障害じゃない。あいつらと一緒にするな!!精神障害者保健福祉手帳の交付対象なんて許さないぞ!』という意味不明な差別発言を筆者は聞いたこともありませんし。場面緘黙の当事者さんと実際に会ってお話したり遊んだりしてもそういうことは一切ありませんでした。障害種別ごとの優劣や上下関係があるということは受け入れないということです。また場面緘黙業界さんは当事者、親、家族、医療従事者、研究者などの連携が上手くいっているように見受けられます。このあたりも迅速な意思決定に直結しているのではないかと思います。そのため、仮に差別発言などがあれば「しっかり怒ってくれる、指導してくれる大人」がいるのでしょう。

何れにせよ。吃音業界は何らかのアクションを起こすならそろそろしないと時間が無いといういうことです。




――― 神経発達症群に知的障害が含まれたため、吃音至上主義に吃音を知的障害と一緒にするな! が発動する可能性
余談です。
話は脱線しますが。
ICD11の分類の神経発達症の中に、知的障害が含まれることになりました。
吃音至上主義者は「精神障害、発達障害、精神障害者保健福祉手帳」に吃音を入れるな!! に加えて 「知的障害と吃音が一緒だと思われたら困る!吃音のある人が知的障害だと思われる!」などという新たな、高レベル吃音至上主義を展開する可能性があります。 みなさん気をつけましょう。また吃音のある人や団体から、精神障害、発達障害、精神障害者保健福祉手帳を利用する人が差別を受けた場合。報道各社、発達障害業界の団体などに報告しましょう。しっかり抗議しましょう。 



ICD11による 神経発達症群の分類
 Neurodevelopmental disorders 神経発達症群
1.1 Disorders of intellectual development 知的発達症
1.1.1 Disorder of intellectual development, mild 知的発達症、軽度
1.1.2 Disorder of intellectual development, moderate 知的発達症、中等度
1.1.3 Disorder of intellectual development, severe 知的発達症、重度
1.1.4 Disorder of intellectual development, profound 知的発達症、最重度
1.1.5 Disorder of intellectual development, provisional 知的発達症、暫定
1.1.6 Disorders of intellectual development, unspecified 知的発達症、特定不能
1.2 Developmental speech or language disorders 発達性発話または言語症群
1.2.1 Developmental speech sound disorder 発達性語音症
1.2.2 Developmental speech fluency disorder 発達性発話流暢症
1.2.3 Developmental language disorder 発達性言語症
1.2.4 Other specified developmental speech or language disorders 発達性発話または言語症、他の特定される
1.2.5 Developmental speech or language disorders, unspecified 発達性発話または言語症、特定不能
1.3 Autism spectrum disorder 自閉スペクトラム症
1.3.1 Autism spectrum disorder without disorder of intellectual development and with mild or no impairment of functional language
自閉スペクトラム症、知的発達症を伴わない、かつ機能的言語の不全がない、または軽度の不全を伴う
1.3.2 Autism spectrum disorder with disorder of intellectual development and with mild or no impairment of functional language
自閉スペクトラム症、知的発達症を伴う、かつ機能的言語の不全がない、または軽度の不全を伴う




公開された記事
2018年6月
「場面緘黙」に賛同のパブリックコメントを投稿しよう!
2018年6月1日~2018年6月30日、日本精神神経学会サイトにて「ICD-11新病名案に関するパブリックコメント募集」がされています。 詳細は、日本精神神経学会サイトへリンク(新規ウィンドゥで開く)
ICD-11における名称は、学校教育や福祉関連の法律にも反映されるため、大きな影響力があります。...
あなたも「場面緘黙」に賛同のパブリックコメントをぜひ投稿してください。パブリックコメントを経て、正式名称が決定されることになります。
パブリックコメントとは、正式決定がされる前に、国民から広く意見を求める制度。氏名やメールアドレス、立場等を書き込んだ後、「4.不安または恐怖関連症群」分類の「4.7場面緘黙」を選び、意見を書き込む形式です(結果公表は数値や記述の抜粋で、個人特定につながる情報の公表は一切ないとのこと)。
かんもくネットは「場面緘黙」という用語が適切と考え、これまでも“Selective mutism”を「場面緘黙」と翻訳し用いてきました。「選択性緘黙」という用語は、「自分の意志で話さないことを選択している」という語感があり、誤解を生むことが多かったためです。「場面緘黙」の方が、「特定の状況(園や学校など)で話せないことが続く」症状の特徴がわかりやすく表現されていると考えます。「場面」とは「人・場所・活動」の3要素で規定されますが、「場面緘黙」はこれら3要素を変数として症状出現が見られるからです。
この4月、緘黙関連団体連合会※(会長 金原洋治)は、「場面緘黙」を正式名称にしてほしい旨の要望書を関連学会に提出しました。その数年前より日本不安症学会にご検討いただき、日本精神神経学会にもご理解いただきました。「場面緘黙」が草案として採用されるに至った経緯については、日本不安症学会の「ICD-11新病名草案におけるSelective mutism の訳語に『場面緘黙』が採用されたことについて」に詳しく説明されています。
不安症学会サイトへリンク(新規ウィンドゥで開く)
※緘黙関連団体連合会には、現在11団体が加盟しています。加盟団体 (五十音順)は下記です。
かんもくグループ北海道,かんもく富山,かんもくネット,かんもくの会,かんもくの声,さくらんぼの会,信州かんもく相談室,つぼみの会 (場面緘黙親の会 関東),日本緘黙研究会,場面緘黙親の会ひろしま(あゆみの会),宮古島-緘黙っ子の親の会
また、今年4月、緘黙関連団体連合会は、「『発達障害者支援法』に場面緘黙を残すことに関する要望書」を厚労省と関連の会に提出しました。
ICD-11では、疾病分類が大きく変わりました。場面緘黙は「不安または恐怖関連症群」に分類されたのに対して、発達障害者支援法の対象の多く(ASD、ADHD、LD、DCD、吃音、チックなど)は、「神経発達症群」に分類されました。そのため、このままでは、場面緘黙がこの法律の支援対象からはずれてしまう可能性があります。
http://kanmoku.org/news_index.html