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2021年9月1日水曜日

【解説 なぜ医療福祉のはざまなのか】2021年8月31日放送 アベマ アベプラ コロナ禍で新たな困難に直面...吃音症当事者に聞く苦悩と社会に求める理解とは

【番組紹介】

 2021年8月31日放送 

変わる報道番組#アベプラ【平日よる9時〜生放送】 | 企画

コロナ禍で新たな困難に直面...吃音症当事者に聞く苦悩と社会に求める理解とは

https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p3106


――法律があったのに自死が起こる吃音業界

2021年8月31日放送された、アベプラにて吃音が取り上げられました。

冒頭にて 1:57の部分で『社会的に多様性が叫ばれる今でも残念ながら吃音は置き去りのまままです』という吃音当事者からの手紙が紹介されます。

当ブログをご覧の方々はすでにご存知のことと思いますが。
吃音は2005年4月より発達障害者支援法に含まれていたのですが。吃音業界の団体がそれを隠蔽していた、障害者運動をしていなかった歴史があります。
・参考リンク
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2016/12/200542013.html

https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html

これにより現在は2021年なのですが、未だに吃音により困っている当事者、子ども、家族の選べぶことができる、選択肢がなかなか広まっていないのが現状です。

2005年発達障害者支援法に含まれ、自閉症スペクトラム、ADHD、LD、トゥレット症候群と全く同じ、社会保障制度、合理的配慮(吃音に適した)、障害者枠での就労などが利用できるのです。

もしも2005年から吃音業界が他の発達障害児者団体と連携協力し政府や地方自治体に、教育機関に訴えていけば。2021年現在、困っている吃音当事者やその家族は、その悩みを持つことがなかった世界線を生きているかもしれません。

また吃音当事者には吃音と同時にその他の発達障害を持っている場合もありますが。それもなかなかメディア、マスコミで啓発されることもありません。吃音でも困っているし、その他の発達障害で困っている人もいるかもしれません。


――2014年厚生労働省の発達障害支援室が、その時歴史が動いた

2013年、北海道の吃音看護師、製薬会社社員の自死が起こりました。後者数年後に報道がありました。看護師はリアルタイム報道でした。しかし、そのときもマスコミの誤報があり「吃音は厚生労働省が障害と認めていない」と報道されたことがありました。その他の新聞社やニュース報道も、吃音がどのような法律の対象かどうかを厚生労働省に取材すらしていないのです。

その時歴史が動いた 障害保健福祉部障害福祉課 障害児・発達障害者支援室 障害児支援係が動いたのです。自死報道があり、厚生労働省が障害と認めていないという誤報が流れ。本当は2005年から吃音のある人を支える法律が存在していることを伝えたかったのです。(吃音業界が全く要請要望を厚生労働省にしてこないため何もできなかったのです。※公務員は自分の判断で政策立案してはいけないというルールがあるからです。必ず、市民国民からの議員からの声があって、政策に反映できるのです。このとき自死が起こり、意見が厚生労働省に届き、発達障害者支援法に含まれていることを、障害説明の一覧に掲載するというウルトラCにより再周知を行うことになったのです。本来、行政が一つの症状や病気や難病や障害やマイノリティについて取り上げて再周知を行うことができない。それをしてしまうと私たちもしてくださいとなりかねないため、ギリギリのラインを落とし所にしたことになります)

そして、当時の発達障害支援室の専門官が、発達障害情報支援センターという、国立障害者リハビリテーションセンター内部に属する、そのセンタ-のホームページの発達障害の解説に吃音を入れたのです。これが2014年7月です。
しかもこの国立障害者リハビリテーションセンターには日本の吃音診療の旗艦病院である吃音診療科が存在していました。しかしそこが動くことはなかったのです。ゆえに発達障害者支援室マターで動かすことができる組織。発達障害情報支援センターの情報を更新するに至りました。

そのあとの流れは早く。厚生労働省の広報誌 東京都の発達障害支援ハンドブック 各地方自治体が、発達障害の一覧にて吃音を説明し、そして、ASD、ADHD、LD、トゥレット症候群の当事者と同じ、選択肢を自己決定権により行使することができる、そういう世界線も存在すると周知がはじまりました。吃音業界、当事者団体、教員団体などが全く動かないなか。厚生労働省により、その時歴史が動いたのです。

そしてやっと、吃音が発達障害者支援法の対象であると世の中に広まってきたのです。もしも2005年から吃音業界が障害者運動を起こしていれば。令和現在で困っている吃音児者がその家族が涙を流すこと。ひきこもりになってしまった人、自死してしまった人も全く別の人生があったのかもしれません…。この点、吃音業界は第三者による検証委員会などは設けず、この大きな問題、否。悲劇に向き合おうとしていないのです。


――令和現在の困っていることは、困っている吃音当事者を支援したい精神科医師が吃音の演技を見抜けないこと

日本では、吃音を診療するのは耳鼻咽喉科と歴史的になっており、吃音の確定診断についても耳鼻咽喉科医師が行うことが慣例となっています。これは、精神科医師では吃音を装う、過去に音楽業界で耳の聞こえないゴーストライター問題がありました。これと同じで、精神科医師も吃音を主訴とする患者が本当に吃音かどうかわからないため。まず確定診断を耳鼻咽喉科から行ってもらい、そこからの紹介状があれば、困っている吃音児者のために手帳や障害年金申請用の診断書を書くということができるようになっています。都内でも筆者と関係のある精神科医師数名は、耳鼻咽喉科からの紹介状があれば、すぐに診断書を書くという篤志家の医師がおられます。


――吃音で困っている人がいるがマスコミが正確に伝えない問題

朝日新聞のオピニオンにて吃音当事者が投稿した内容があります。

https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2021/02/blog-post.html


吃音はもちろん、吃音以外の発達障害児者と同じで困っていない人もいます。成功者であったり、とくに問題なく生活している人もいます。しかし、発達障害者支援法に含まれていること、困っているのであれば、選択できるカードがあること。これを伝えてくれないのです。マスコミは吃音が発達障害者支援法に含まれており、ありとあらゆる社会保障制度を行使できる可能性があることをもっと伝えてほしいのです。


とくに法律により、吃音以外の発達障害児者が使える制度を、吃音児者も使えることを正確位伝えてほしいところです。行使するかどうかは自己決定権によりますが。選択肢が存在することを知ることができていれば。本当にどうしてもだめだ。もう頑張れない。死にたい。自死するしかない。もうどうでもよくなった。という段階になってSOSを出すかもしれませんし。最悪の状況になるまえにそれらを避けるためのルートを選ぶこともできるかもしれないからです。



――吃音業界が動かないため、発達障害児者団体が毎年、予算要望を国や自治体に送る現状 そして吃音だけではなく、その他の発達障害も持っているかもしれない場合は、発達障害児者団体に参加してみませんか

吃音業界は、一枚岩となり障害者運動をすることはありません。全ての団体が一致団結して意見表明することもありません。困っている当事者や家族もいるはずなのですが。なかなかそれができません。国や地方自治体の限られた少ない予算のなかで、吃音にもほんの少しでいいので、触れてほしい。政策に反映してほしいと訴えることはしません。

令和現在においても困っている吃音児者やその家族が存在するのはそのためです。しかし吃音は吃音だけではなく、ASDやADHD、LD、トゥレット症候群を同時に持っている人もいます。むしろそれは、発達障害児者団体や保護者・親の会ではもともとわかっているものでした。しかし残念なことに吃音業界では吃音だけが注目され、もしかして、その他の発達障害も持っているかもしれない。。。ということに気づかない。または向き合わない場合もあります。これは吃音至上主義という差別の存在もあります。

これが根底にあり、一部の吃音業界団体が2005年から発達障害者支援法を支えるJDDネット(という発達障害児者団体、専門職団体の連合体に参画していたのに)、吃音が発達障害者支援法に含まれているよ!と障害者運動が起こらなかった原因の一つではないかと考えます。

そこで、吃音業界っておかしいな。変だな。と思った当事者や保護者にはぜひ、発達障害児者団体に参加することもよいのではないかと思うわけです。また吃音以外の発達障害も実はあるかもしれないという場合はなおさらです。

とくに親の会は強いです。百戦錬磨の先輩保護者さんがその情報を後輩のためにどんどん蓄積しています。学校での合理的配慮はどう相談申請したらよいか、どの病院がよいか、どのような人生の選択肢があるか。学校や行政、民間企業とどう接すればいいか。話し合えばいいか。いろいろな情報を持っています。

4月2日は世界自閉症啓発デー、日本国内では発達障害啓発週間です。しかし吃音の団体は積極的に参加せず。他の発達障害児者とその家族と連携しようとしないことも悲しいことです。お互いを知り、一緒に連携して国や地方自治体に意見を伝える。もっと広まっていくことを願っています。


2021年2月8日月曜日

【記事紹介】吃音を克服しなければいけないか? 朝日新聞のオピニオンから

―― 朝日新聞2021年1月29日 オピニオン&フォーラムに 吃音「克服」への違和感 という投稿がありました


・朝日新聞に大学院生 加賀沙亜羅氏からの投稿が掲載されました

【以下投稿された記事】

「克服」は何を意味するのだろうか。辞典には「努力して困難にうちかつこと」などとある。「病を克服する」という例文も。では「病の克服」の意味とは?

米大統領選でずっと気になり、見逃せないことがある。各種報道が新大統領バイデン氏に関し、「誌の朗読で吃音を克服」などと紹介していることだ。

私には吃音障害がある。発達障害の一つとされ、必ずしも「治る」ものではない。自身の学業や人間関係の苦難は割愛するが、鏡の前での発話練習や誌の朗読、CDに合わせた発声など一通りの努力はしている。しかし、治らない。

氏が吃音の症状が出ないように工夫してきたのは素晴らしい。だが「治った」わけではないはず。実際、氏は今も言葉に詰まる場面が見られる。そんな中、「吃音を克服」と報じることで、「吃音は努力で治せる」との誤解を世間に与えないだろうか。

「克服」の表現で何を伝えるのか。どういう印象を与えるのか。メディアは再考してほしい





―― 大学院生の投稿は正しい メディアの報道姿勢そのものが問われる

バイデン大統領については吃音をもった大統領という、またそれを克服し大統領になったという報道が日本国内でされている。しかし本当にそれは多種多様な選択肢のひとつであって、誰もがそうなれるとも言えない現実がある。バイデン大統領というのはバイデン大統領という一人の人間の話であり、それが全ての吃音児者にあてはまるかと言えばそうではない。

たまたま吃音があって、世間的に生活水準が高い生活をしている人もいるかもしれないが。その逆もありえるし、常に吃音という存在が人生にまとわりつき、あのとき、あの人、あそこで発言していれば、今は違っているかもしれないという後悔の念を持つ人もいるだろう。報道をする側の人間は。そこまで考えて取材報道をしてほしいところであるが…。

吃音業界は、吃音を障害にしないように。可哀相な障害者にしないように。保護者にお子さんは障害者じゃありませんと教える。などなど本当に吃音至上主義という差別が蔓延している。(吃音の子どもの保護者さんは、吃音業界団体のイベントに参加することもあるかもしれないが、その際に【吃音は障害じゃないよ、障害者は可哀相な人達だよ。あんなふうになってはダメだよ】と教えられた人もいるかもしれない…。もしも差別の心を植え付けられるような事があれば、今後参加しないほうがよいでしょう)

その中でも『吃音を持った有名人※1』を数多く取り上げて。世の中には、こんなに成功している吃音者がいる。あなたもそうなりなさい。というパターナリズムが横行する現実がある。

※1

有名人とは。王族、議員、弁護士、会計士、医師、言語聴覚士、教員、自衛隊員、警察官、消防官、公務員、一部上場企業職員、教授、理学療法士、営業、エンジニア、芸能人、経営者、コンサルタント、研究者、文筆家、漫画家、音楽家、演奏家、映画監督などなど


発達障害業界でも『発達障害を持った有名人』エピソードはあり。吃音業界ほど深刻ではないが。発達障害業界でも2005年前後、第一次発達障害ブームが起きた際、発達障害を持ったすごい人列伝があった。2021年現在は『たしかに発達障害の才能が現在社会の仕組みピタリとハマり。大活躍する人もいるけれど。そうではない人もいるよね。』という認識が広まっている。NHKが発達障害を報道するとき、才能をもった凄い発達障害児者が放送されると『視聴者から、全ての発達障害の人がそうではありません。そのような報道は気をつけてほしい』とリアルタイムで意見が入り、生放送でその声を伝えることもあった。シブ5時だったような記憶。

しかし2021年現在でも。発達障害(吃音含む)は資産、才能、武器、特別な能力という形で発達障害の啓発啓蒙、発達障害サバイバル(オープン、クローズ問わず)をする当事者や支援者もいる。発達障害とはどのような特性があるのか。知的障害との併存如何。困っている人はどのようなところにいるのかな。困っている人も本当はいるよね。という視点は大切にしてほしいところ。発達障害(神経発達症として知的障害も含み)とはそのまま全ての特性がスペクトラムで個々人がレーダーチャートとして特性ごとの強さを持っているよねという価値観が広まる日本社会に――。


発達障害のある人が生まれた家。保護者の収入。保護者の価値観。学校でいじめられた? 不登校になった? そんなことはなく通学できた? 自己肯定感は? 学校はつまらなかったかもしれないけど自宅で好きなことや勉強ができた? 家庭内で虐待されたか? ということも考えられる。

成功している吃音先輩を見て、『ウチの子どももきっとああなる。大丈夫だ。子どもは障害者じゃない。私達は障害児を産んでない。努力して克服しない吃音者は怠け者。堂々と365日いついかなるときでもどもりまくらない吃音者は逃げているだけ』などと認識する保護者もいますし。その保護者に洗脳される吃音児は成人する、社会人になるまでは居心地がよいかもしれない。そのまま成功している吃音先輩と同じ土俵や同じ生活レベルを維持できる世界にいけば、吃音で困っている奴らはただの怠け者と思い続けるかも場合もあるだろう。また、子どものときに可哀相な障害者という価値観を植え付けられてしまえば、差別する側に自然と立っている可能性もある。



―― 大学院生の投稿に発達障害と書かれているところは重要なこと

大学院生の投稿(以下 記事欄)は、新聞、テレビ、ラジオ、映画や漫画、ネットメディアの吃音に対する姿勢への違和感を示唆している。

記事文中でも、吃音は発達障害の一つして。と書いているように大学院生の強い声が伝わる。

昨今の吃音に関する報道、テレビ番組などは『吃音は2005年4月から発達障害者支援法の対象であり、ASD、ADHD、LD、トゥレット症候群の当事者と完全に同様な社会保障制度、支援制度、合理的配慮、精神障害者保健福祉手帳の取得、法定雇用率枠での就労が可能である』とは報道しないのである。(なお最新の診断基準、ICD11で発達障害は→神経発達障害群または神経発達症群とされる。神経発達症には知的障害が含まれることも重要)

殊更日本国内では、『吃音と発達障害、精神障害』を結び付けないようにする報道や放送が多くみられる。Googleニュース記事検索で「吃音」を検索した場合に。吃音は発達障害者支援法の対象である。と明記している記事はどのくらいあるだろうか。発達障害者支援法、障害者総合支援法、障害者基本法においても『障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)』というように発達障害を含むとされ。吃音は発達障害者支援法に含まれる。

2021年。令和現在。今でも日本国内、全都道府県において、吃音を診療する病院が設置されていない。子どもが吃音だ。吃音以外にもASDやADHDやLDがあるかもしれない。感覚過敏や感覚鈍麻があるかもしれない。不器用だ。と悩んでいる保護者もいるかもしれない。

2005年4月から吃音業界が障害者運動をしていれば。発達障害者支援法19条により病院が設置され、わざわざ飛行機や新幹線を使い遠く離れた、吃音専門病院に行くこともなかったであろう。吃音以外の発達障害も同時にあるかもしれない場合にも早期発見が可能になり、選択肢を知ることができた可能性もある。吃音のある当事者や子が吃音という保護者にも多種多様な選択肢を持てたことになる。自死自殺、ひきこもり、ニートという選択をしない可能性も考えられる。

吃音のある学生の新卒就活でも障害者枠就労をもっと早い段階で選択肢のひとつとして知ることができた人もいたかもしれない。


―― 吃音を取材報道する側の人はどうしたらいいか?

これはシンプルに、まず、吃音は発達障害者支援法の対象であることを説明。

また、どうして2005年4月から存在する発達障害者支援法があったのに。吃音だけが、ここまで支援が遅れているのかを取材すべきでもある。吃音者の自死自殺報道の際も、その背景を取材した記者がいたのだろうか? ただ、起きたことを報道するだけではなかったか。吃音は発達障害者支援法に含まれていたと報道したところはあっただろうか。なぜ一般的に言われる発達障害の人々のように多くの選択肢があるはずなのに。それが行使できない状況になっていたのか。これらを取材報道することも大切である。

子どもや保護者に吃音は障害者じゃないよ。可哀相な障害者とは違うから大丈夫ですと教える吃音業界団体が本当はあるのではないか? それ故に発達障害者支援法の周知が遅れたのではないか? という視点での取材報道も必要である。

吃音が努力で治せる。または克服できるという内容も本当にそうなのかよく取材することも大切である。治りやすい吃音なのではないか? 治りにくい吃音なのではないか?の部分である。

2020年5月5日火曜日

吃音当事者は天才 秀才 優秀 頭の回転が早い すごい先輩がいる という件について

―― 吃音のある人は本当に頭が良いのか 社会的に成功した人になれるのか?

吃音業界の不思議の1つに。
吃音のある人は、天才 秀才 優秀 頭の回転が早い すごい先輩がいる論があります。

とくに吃音のある子どもやその保護者向けに「吃音のある子どもはこんなに優秀なんです。安心してください。なぜなら吃音を持っている有名な人はこんなにいます」的な意味合いでこれらの表現をする吃音当事者、吃音先輩は本当に厄介です。とくに医療従事者や支援者や学校教員がこういう発言をしているときは。一歩引いてそれらの情報を受け止めましょう。

当事者さん・保護者さんは、吃音の暗黒面である、吃音至上主義に落ちないでほしいのです。
また、吃音至上主義に取り込まれてしまうと。吃音の他に子が当事者が、自閉症スペクトラム、ADHD、LD、トゥレット症候群を持っているかもしれない可能性。吃音の他にそのほかの発達障害でも困っているということを見落としてしまう可能性もあるのです。早期発見をして幼少期から使える選択肢を行使し本当は適切な療育をしていればよかった機会喪失をしてしまうこともありえます。吃音業界の団体、吃音業界の有名な人、吃音業界に関わり深い医療従事者や支援者、教員が話すことは本当かな?と考えてほしいのです。

吃音業界だけでは偏向した情報を入手しているかもしれない。
と思う人は。まず発達障害業界につながってほしいです。

吃音も吃音以外の発達障害があっても、吃音至上主義に染まってしまい学校で合理的配慮を申請できなかった事例もあり、もっとはやく制度を知りたかったという保護者さんもいます

関連記事 【保護者必見】吃音の子どもを育てる立場の人はどうしたらいいのか?どうやって合理的配慮を発動する? 保護者に向けたガイドライン

吃音をカミングアウトしているという吃音者の先輩の就職体験談を聞くときに気をつけることとは?



吃音を持った人にはとても優秀な人が、歴史に名前が残る人がいる

総理大臣、議員、王族、医師、看護師、弁護士、経営者、取締役、一部上場企業勤務、国家公務員、地方公務員、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、エンジニア、陸上自衛隊で陸佐、航空自衛隊のパイロット、海上自衛隊の潜水艦乗組員、消防員、救命士、学校教員、精神保健福祉士、社会福祉士、スポーツ選手、レーサー、アナウンサー、芸能人、音楽家、表現者。などなど。

こういう偉大な先輩達がいますよ。という説明は本当に困ったものです。
これは吃音以外の発達障害、その他の障害や難病でも全く同様です。
歴史上のあの人物は発達障害があった、2019年現在生きているあの人も発達障害だ。
だから僕も私も、うちの子どももきっと天才に違いない。
有名な人になれるはず。

たしかに一時(いっとき)だけはその言葉、その表現に安心する当事者、その家族保護者はいるかもしれません。しかし本当にそうでしょうか?先程も書いたように他に発達障害があった場合、早期発見早期療育をしていれば―。機会喪失にもなります。吃音も吃音以外の発達障害も早期療育が大切になります。

―― 都内にてホームレス支援をするNPO法人があります。
(今の新型コロナウイルス感染症の情勢の中、とても頑張っているところです)
ここの職員さんの話として、「路上生活者をしている人の中に吃音の人がいましたよ。吃ってました。昔は工場やトラック運転手として働いていたそうです。そして流れに流れて今の生活になった。吃音の人はそこそこいますよ。路上生活者の方もいれば、障害者施設やGHでも、精神科病院でずっと入院(帰るところがない・社会的入院)している人の中にも……」ということでした。

不思議ですよね。吃音業界のでよくある「吃音のある人の体験談集」、吃音のある人のエピソードでは全く出てこない事例です。いつもキラキラ系の内容が多いと思います。


別の事例として、ひきこもり歴●●年で父母の年金で暮らすひきこもり当事者の中に吃音のある人がいるという事例もあります。

実のところ吃音のある人はいろいろなところにいます。たまたま吃音業界の、吃音当事者会に団体に参加できている人がいる一方、そこには参加しない人接点がない人、または吃音とは別の当事者会に参加している人もいます。発達障害・精神障害を持った人、知的障害を持った人の中にも吃音を併存している人もいます。発達障害があることを先にわかった親子や当事者は先に発達障害業界につながるので。ここもあります。


―― 吃音業界で働く医療従事者はなんとなく気づいている

吃音業界の人で、吃音者の団体に出入りしつつ。本業は精神科で働く医師や看護師、社会福祉士や精神保健福祉士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士として働いている人もいるでしょうか?

働く場所が病院であったり、障害者施設等の場合、そこを利用するお客さん、メンバーさん、利用者さんの中に「吃音児者」がいるでしょう?
そうです。そうなんですよ。
吃音業界で活躍する医療従事者や支援者、研究者や学校教員や保護者であったりが。「吃音の人は頭の回転が早いんだ、吃音の人は優秀なんだ、頭で思いついたことが言葉として出てこないんだ」と説明する人がいてなんかモヤッとイラッとしませんか?

福祉の現場で働く人、福祉の現場に近い病院ほどそう実感しませんか?
吃音業界の医師や言語聴覚士は1年から2年ほど色々な障害者施設等で実習したほうがよいと思いませんか?

一番大切なのは発達障害業界のように、発達障害のある人は優秀な人もいる、ボーダーラインの人もいる、療育手帳を持つ人もいる。いろいろな人がいる。生まれ育った家庭が発達障害に理解がある場合もない場合もある。困っている人もいればそうでない人もいる。
と説明をされることですよね。そして困り毎に応じて社会保障制度も利用できるということもわかります。使うか使わないかその人のイズム、ポリシーによります。

結果として発達障害はとても多様であるから。という説明が令和時代になってからは若い発達障害当事者でもそれ知ってるよということもあるので。吃音業界と違って良い方向に行っているなと感じます。発達障害業界も2005年ころは「発達障害は天才。天才発達障害の育て方」みたいなブームがありそういったイベントや講演会、書籍の販売がありましたが。今はそうではなくなりましたよね。一部まだそういったお話もありますが、その発達障害業界が辿った道を、同じ轍を踏む吃音業界は本当に心配です。

発達障害のある子の保護者家族も最初は子の障害受容ができない。障害児を出産してしまったと悩み葛藤する時間もあり、それを乗り越えて。自分の子にあった方法を制度を使っていこう。使い倒していこう。他の保護者と相談してみよう。と行動をしていく方もいます。

吃音業界はこういうところも周回遅れになっていて本当に不安ですよね。
吃音のある子どもに「吃音の人は優秀で、回転がはやいからだよ」、「社会保障制度を使うこと、合理的配慮申請は恥だよ」なんて教え込まれたら、その子どもが大人になったときに他の障害者や難病者であったり、性的少数者を差別する人、吃音至上主義になってしまいますよね。障害者が障害者を差別する、マウントを取る等。悲しいですよね。


―― 吃音のある当事者、吃音のある学生、他の人の体験談を吃音当事者や家族が聞くときはどうしたらいいの?

関連記事
【吃音Q&A】吃音のある人の就職活動ガイドライン 吃音者はなぜ就職困難者が多く、一方で成功している吃音先輩は後輩を助けないの?


これはとても重要です。
消費者庁が行った 「打消し表示に関する実態調査報告書」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170907_0003.pdf があります。

この報告書の中に興味深い表現があります。
テレビやラジオ、インターネットでの通販でよく使われる文言です。
これを吃音のある先輩、吃音のある成功者モデルの体験談を聞くときに思い出してほしいのです。吃音の話、体験談集などはあくまでも、その人だけにおきたことです。すべての吃音者には適用されません。そもそも生まれ育った家庭がとても裕福だったら、そうでない吃音の子の家族は、お金がなくて、それと同じ環境にルートに入ることすらできませんよね。

あと、発達障害が治ると言われる。謎の水。謎の植物エキス。サプリメント、飴玉とかこういうのにも吃音業界の保護者さん気をつけてくださいね。これも弱者や障害者やその家族を狙うビジネスです。お気持ちビジネスです。



体験談型 体験談に関する 注意書き 楽しく ダイエッ ト!! 毎日すっきり起きて、 体重が5kg減り、着られ なかった服がぶかぶか になり、周りからほめら れるようになりました。 



・「個人の感想であり、効果には個人差があります」 ・「個人の感想であり、効果を保証するものではありません」 ・「個人の感想であり、 効果、効能を表すもの ではありません」


非保証型 (体験談を記述 せずに、)効果、性能 等には個人差がある旨や、効果、性能 等を保証するもの ではない旨を述べ る注意書き 10 時間効果が持続!! 




・「結果には個人差があります」 ・「気持ちを表すもので、効果効能を保証するものではありません」



――他にもこういうのありますよね?

吃音業界の人が、吃音のある先輩、吃音のある大人、吃音のある人を育て上げて成功者にしている保護者や学校教員、支援者の話の中で、吃音のある人の体験談集の中で。必ず、吃音があっても大丈夫。という人がいますが。

何がどう大丈夫なのかわかりません。前述したように都内のNPO法人で貧困問題や路上生活者支援をしている団体職員からの話だと路上生活をしている吃音者がいること、ひきこもりの会の話から、ひきこもっている吃音者もいるんだよ。情報が出てきているのです。

成功事例ばかりを伝えずにちゃんと360度すべての情報を伝えていってほしいところです。吃音業界はこういったことを見て見ぬ振りしていました。挙げ句に2005年からあった発達障害者支援法を「なぜか見落とした」ことになります。JDDネットには、吃音関係の団体が正会員になっていた時期もありますし。日本言語聴覚士協会も正会員です。不思議です。もしもしっかり吃音が発達障害者支援法に入っていたことが2005年から周知され障害者運動が起きていれば。自死する人も減り、令和時代に吃音のある子の保護者になった人が涙を流す、どうしたらいいかわからない、なんでこんなに病院がないの。ということは避けられたに…。

その上で。じゃあ吃音業界のキラキラ系・成功者系、当事者や保護者の話や体験談集を読む聞くだけでは、自分の困り毎、子の困り毎、家庭の困り毎は解決しないと思った場合。発達障害業界の団体、支援者や当事者に相談することも大切なんじゃないかと思います。

吃音のある子どもの保護者さんも、発達障害のある子どもの保護者さんと情報交換して、どうやって学校で「合理的配慮やXXXX支援計画を発動すればいいの?」を教えてもらったほうがよいと思うのです。発達障害のある子どもにその苦手な特性があるのに無理やり失敗しそうなこと、辛く悲しいフラッシュバックする思い出にならないように。これはやらせないでください。別の方法で評価してくださいというときはちゃんと学校側に伝えますよね。そういうのも吃音業界では情報が不足していて。吃音があっても人前で話させる、無理やり発話発語させる環境に誘導していく。こういう間違った対応をする教員もいますから。


―― さいごに

まず、吃音業界で、吃音者は優秀。
頭の回転が早い。
吃音者は他の障害児者より優れている。あの人たちと同じになってはいけない。
といった言動を耳にしたときは。一度冷静に考えてください。なぜ吃音業界が障害者運動をせず。令和時代になっても大きく悩む保護者がいるのか……。
それは分断ではないか?
それは差別ではないか?

2019年5月12日日曜日

【吃音Q&A】吃音のある人の就職活動ガイドライン 吃音者はなぜ就職困難者が多く、一方で成功している吃音先輩は後輩を助けないの?

この記事は随時更新していきます。

人事担当、就労移行支援などに所属する方、行政の方、支援職の方で吃音についてもっと知りたいという場合は
こちらから連絡をお願いします → https://kitsuonkenkyuguideline.jimdo.com/


吃音至上主義(きつおんしじょうしゅぎ)という一部の吃音当事者や家族、それに携わる医療従事者や支援職、教員がもつ差別主義思想についてはこちら
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2018/12/blog-post.html



記事本文

吃音のある学生、大人の就職活動…。
テレビ、新聞、ラジオ、書籍と幅広く吃音が扱われています。
書籍やドラマ、アニメ作品などでも「吃音をもったキャラ」がそこそこ登場してくるようになりました。

――― 1 吃音のある人の生き辛さ、就職活動を扱った番組の紹介


2017年にはNHKハートネットTVで(残念ながら貴重な映像やテキスト書き起こしが
消滅しています)
https://www2.nhk.or.jp/archives/chronicle/pg/page010-01-01.cgi?recId=0001000000000000%400000000000000000000000-51-162700000000000000000000

2018年にはAbema TVで。
https://www.huffingtonpost.jp/abematimes/stammer-20180613_a_23457526/

テレビ東京系列では 2019年3月30日(土) 27時45分~28時15分に。
https://www.tv-tokyo.co.jp/broad_tvtokyo/program/detail/201903/17690_201903302745.html

日本テレビ系列では 2019年3月3日(日) 24:55に。
http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-126.html


一方でそれらの放送を見た人が吃音のある人達の就職活動の仕方に疑問もつ人もいます
https://anond.hatelabo.jp/20171012000353


――― 2 吃音のある人はなぜ就職活動で失敗するの 一般枠でカミングアウトするの?

吃音のある人、新卒就職活動をする学生、既卒の大人。
どうやって就職活動をしますか?
2020年現在、新型コロナウイルスが世界に暗い影をおとしています。
2020年4月、2021年4月採用の新卒就活はすでに各種新聞やテレビで報道されているように、内定取り消しや新卒採用を行わない、人員整理を検討等の情報が出てきています。
吃音当事者さんで一般枠と障害者枠のダブル新卒就活を真剣に考えている人もいるかもしれません。ダブル新卒就活は選択肢としてアリです。一生に一度の「新卒カード」使える選択肢をすべて、手持ちのカードを使い切って望むか。障害者は嫌だ。精神障害者保健福祉手帳は嫌だ。発達障害と呼ばれるのは嫌だ。というかたは仕方ありませんが。障害受容のできている吃音当事者さんは頑張ってください応援します。



就職活動には5種類あります。
イ 障害や病気、難病をカミングアウトせず、告白せずに一般枠で就職活動をする場合
ロ 障害や病気、難病をカミングアウトして、障害者枠で就職活動をする場合
ハ 特別強力なコネを使い一般枠や障害者枠で就職する方法
ニ 自分で起業して働く方法
ホ 一般枠なのに吃音カミングアウトしてしまう 

1に書いた吃音を扱った番組でも、数人の男女が「一般枠の就職活動において、エントリーシートや履歴書、面接で吃音当事者であることを伝えています」
しかしこれは一般枠採用では許されません。許容されません。
合理的配慮を行うにあたり、採用、雇用する側に「法定雇用率に計算できる」というメリットがないからです。一般枠採用で想定されている100%の職務内容を遂行できない可能性がある人を一般枠で採用したくないのが本音と建前の世界なのです。

吃音があるとカミングアウト、告白してくるなら「法定雇用率に計算したいので障害者手帳を持ってきてほしい」というのが雇用側の思惑、これがセオリーとなっています。

一方で、発達障害のある人を支援する就労移行支援事業所でしっかりと、「採用、雇用する側は法定雇用率に計算したい」という本音と建前を当事者が教えてもらい『児童、学生時代は自分がお金を払っている側、お客様だったので合理的配慮を受けやすかったこと、一方的な過度過重な合理的配慮でも通用することがあったなど』の事例裏事情を知ります。

『しかし、働いてお金をいただく立場、雇用される立場での合理的配慮は過度過重な合理的配慮が実現されないこと。合理的配慮は【双方の話し合いで実現できることできないことが話し合われ落としどころを確定すること】合理的配慮を当事者、雇用する側、就労移行支援事業所との3者間で書面化すること』などが、吃音業界ではほとんど浸透していないのです。

そうとは知らず玉砕していく、就職活動に失敗する吃音当事者がいることになります。

――― 3 吃音当事者先輩の就職活動実体験、体験談文集、体験談を集めた書籍を信じてしまい一般枠で吃音カミングアウトを繰り返す吃音者がいるのはなぜか?

吃音当事者がなぜ、一般枠で吃音をカミングアウト、告白して就職活動をしてしまうのでしょうか?

これはシンプルな答えです。
発言力のある、社会的に成功している吃音者当事者先輩たちの体験談や講演内容を信じてしまうからです。このような成功体験を吃音当事者の子ども、学生、そして家族保護者が信じてしまうのです。自分も同じことができるはずだ。うちの子どもも同じことができるはずだ。発達障害業界でも一昔前は似たようなことがありました。それを未だに吃音業界は実行しているのです。そもそも人間は一人ひとり異なるというシンプルな視点が欠落してしまっているのです。

※社会的に成功している吃音者とは
これは国公立大学を卒業している、有名私立大学を卒業している、医師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、教員免許、言語聴覚士、公認心理師、一部上場企業で働く、地方公務員として働く、国家公務員として働く、準公務員として働く、研究者として働く、自分で社長をやって経営しているなどなどのメンツです。

社会的に成功している吃音者当事者先輩たちは、就職活動で困っている吃音当事者後輩を助けるでしょうか? いいえ。助けません。就職活動で困ってる後輩を堂々と切り捨て、見捨てます。そして、「私は堂々とどもって仕事をしてる、私は吃らないように方法を編み出した、私のようにやらないからだ、私のように勉強しないからだ、私のように努力しないからだ、私は結婚している、私は子どもが孫がいる、私はマイカーを数台持っている、私は自宅やマンションを購入している、私は 私は 私は自慢話、etc etc 成功体験ばかりを延々とエンドレスリピートされます」こんなひどい仕打ちをしてきます。

社会的に成功している吃音者のみが参加できる、スタッフとして活動できる「小学生、中学生、高校生、大学生を対象にした吃音団体もあります」

ここの運営手法が秀逸なのは、メーリングリスト上で「Aさんは国立大学に進学しました、Bさんは私立大学に進学しました、Cさんは医学部に入学しました、Dさんは言語聴覚士になりました、Eさんは学校教員になりました、Fさんは公務員になりました、Gさんは東証一部上場に正社員として働くことになりました、Hさんは研究者になりました、Iさんは結婚しました子どもができました」と実名でどこのだれが、どこの学校に進学したか、どの企業に採用されたか、どのような国家資格を取得したのか、どこに所属しているのか。これらをメーリングリストに毎回毎回流してくるのです。吃音当事者間で『ヒエラルキー形成、マウンティング、格付け』が行われていることになります。
(もちろん参加しているスタッフの中には特に医療従事者などの資格を持つスタッフは、これが異常、オカシイことであると気づいている人もいるでしょう。なぜマウンティングするのか、なぜヒエラルキーを生むようなことをするのか、と気づいているけれどそれを指摘できないという状態に陥っているかもしれません。その場合は、まず、時間が経過するのを待ちましょう。先輩方も人間という生命体ですからいずれは引退していくことになります。若い世代や新しい価値観を持った人が増えてくれば変化します。すぐに変化させたい場合は、別に新しいグループや団体を作ってもよいでしょう。)

そして最終学歴卒業後に、就職できなかった吃音当事者、ひきこもりニートになってしまった吃音者当事者、社会的に地位の低いとされる職業や非正規職員として働く吃音当事者が『小学生、中学生、高校生、大学生を対象にした吃音団体』に参加しにくい雰囲気つくり、空気を醸成していくのです。本当に困っている人はその場に行くことが苦痛になったり、気分が落ち込んだり、自然とフェードアウトしていく仕組みが作られているのです。恐ろしいことです。こういうものも 吃音至上主義 です。

本来、精神障害、発達障害、身体障害、知的障害に関係なく、どのような人も参加できる、安心安全な当事者会、親の会、保護者会、全国団体であることが望ましいです。
しかし吃音業界は安心安全な会の運営という意識が欠如しているのです。


そして就職活動がうまくいかない後輩のために、自分が所属する組織、企業団体の人事担当、人部を説得してくれるなんてことはしません。

『私の働く「・・・・官民企業団体名・・・・」は吃音があっても働けるよ、人事を説得したら応募しておいで』という篤志のある素晴らしい吃音当事者先輩は存在しません。みなさん。『自分はこうだった。私はこうだった。キミもできるはず。努力しろ。勉強しろ。乗り越えろ。吃音を治せ。吃音を治すな』などなど自慢話ばかりです。本当に優れた先輩なら困っている後輩吃音者を助けます。でも「私の就職体験」などの自慢話で終わることが多いです。

精神科医師、社会福祉士や精神保健福祉士なら誰もが直感で『これは価値観の押しつけだ、パターナリズムだ、バイスティックの7原則が守られていない。』とわかるわけです。成功している人も、成功していない人も、それぞれが別人格でひとりひとり異なり、支援方法は完全に異なること、過去の事例で似たようなことがあったから、今、相談支援している人も似たような内容でいいやではなく、しっかりと当事者と向き合い個別の支援計画を考えるわけです。


また、吃音業界に所属する医療従事者は「吃音のある人に対して、学校に行くこと、就職することがゴールである」という価値観を持ってしまっている人もいます。精神科医師、そこに隣接する社会福祉士、精神保健福祉士ならそういう強制、強要、価値観に誘導するということはありません。これも吃音業界の不思議な部分です。「今の安定した生活を継続する」という選択肢は出てきません。学校に行かせること、就労させることがゴールになっているのです。

成功している吃音者が困っている後輩の吃音当事者「就職できないよ。どうしようどうしよう」とテレビ取材などに出演しても『よっしゃー、俺が、私が働いている会社に来い! 人事部を説得したぞ。一般枠採用だぞ! みんなうちへこい!』とならないのは、そもそも吃音があって成功していると成功体験を発表している当事者は『実際のところ所属組織において吃音があることをカミングアウトしていない。堂々とどもっていない、どもらないように話しているのではないか? 後輩吃音者にカッコつけるために創作を発表しているのでは』と思います。吃音に限らず障害当事者のコミュニティではまぁまぁあることです。カッコつけたい。評価されたい。など理由があります。

本当に堂々とどもってカミングアウトしているならば、マスコミ取材で吃音が扱われれば、堂々とどもって働いている吃音者がいる企業団体が、それらを情報発信するはずです。先進的な企業としてバズるはずなのです。そして何よりも、就職活動で困っている吃音当事者が『ありがとう先輩! このXXXと企業は組織はすごいですね』となるはずですし。インターネット上に『どもりまくってOK、一般枠採用でOK、法定雇用率なんて知りません!』という企業団体がリスト化されても良い頃です。しかしそういうモノは一切出てこないのです。


――― 4 自他分離をしっかりしよう 吃音当事者も保護者家族も 自分は自分、私は私、あの人の事例はあの人個別の事例だと認知を改めましょう そして使える選択肢、カード、機会を堂々と使っていきましょう 吃音至上主義という差別主義にも気をつけて

自他分離という言葉を知っていますか?
自分とそれ以外の人は、異なるもの、自分と他の人は違う人です。
しかし自他分離ができていないと、「自分が考えていることは他人も同じように考えている。自分も同じことができるかも。相手と自分自身の境界線が曖昧になる」などのことです。これができていないと、成功している吃音者先輩に自分もなれる。成功している吃音者先輩のように私の吃る子どもも将来絶対に成功する、幸せになると勘違いしてしまう可能性もあります。自他分離ができていないと誰かにコントロールされたり、誰かをコントロールしてしまうこともありえます。

人間という生命体は生まれた国家や保護者、保護者の裕福さ、生活レベル、学校に行くことができたか、できないか、イジメを受けたか、受けないか、不登校になったかならないか、ひきこもりになっているか、なっていないか etc etc

生まれ育った環境や成長過程で関わってきた人間関係、保護者家族が裕福なのかそうではないのか? 更に保護者家族、親類縁者の精神障害や発達障害へのイメージがどのようなものか? 障害のある人はかわいそうな人なのか? などなどの価値観によって大きく変化します。

自他分離ができていないと、「特別に、その人だから、その人が生まれた家だから、その人が育ってきた環境だから、その人が出会ってきた人間関係……略」そういう条件があったという客観的な認識ができず、その人のその環境、親の収入、その人間関係、……だからこそ成功した吃音者になれたということが理解できず。なぜか自分も成功した吃音者になれると思い込む勘違いすることになるのです。さらにそこに吃音至上主義による障害者やマイノリティへの差別の心があれば、それも受けれ入れてしまうでしょう。

吃音のある当事者の保護者にも東証一部上場企業の役員に名前を連ねている人もいます。こういう場合はその保護者が「吃音を持った子どものために、不労所得を獲得できるように不動産や株式証券をのこすために準備している裕福な保護者さん」、「転入や学部変更などを駆使し何度も大学や大学院(果ては医学部にまで)に通わせる裕福な保護者さん」という事例まであります。これは保護者がお金持ちの場合ですね。保護者がお金持ちの場合は、飛行機や新幹線を頻繁に使って、吃音を診療する病院として有名な国立障害者リハビリテーションセンター病院に通わせるというゴリ押しもできます。

一方で収入が平均程度、または貧困と呼ばれる家庭では吃音の専門病院に通わせることも困難です。たとえば、吃音が発症してからXヶ月いないに、「●●●●プログラム」を使えば、将来的に子どもの吃音が回復、改善、完治するかもしれないという「その選択肢を、そのカード」が保護者の収入格差によって選択できない可能性もでてくるでしょう。2019年以降は、『親、保護者の収入格差により、吃音を治してあげることができなかったという十字架を一生背負って後悔していく親、保護者がでてくる』可能性もあります。お父さんお母さんが貧乏だったから、子どもに使えたはずの選択肢を提供することができなかった。という十字架です。これも自他分離がしっかりできていれば客観的に考えることができます。病院がなければ自治体や議員にマスコミに申し出る。たとえ吃音が大人になっても継続したとしても、社会保障制度、障害者手帳制度を使おう、使うことは恥でもステイグマでもない。人間という文明社会で使える制度や仕組みを使って生きていこうと考えることができる可能性が高まります。


これらの課題を解決するために、吃音当事者も、吃音のある子どもの親、保護者は既存の吃音当事者団体、吃音業界の団体に入会所属するよりも、既存の大きな発達障害当事者団体、親の会、保護者の会に参加して、発達障害種別による差別、人権の優劣といった吃音至上主義を無くしつつ、発達障害のことも理解して、吃音のことも理解して、お互い協力して「困っている人の権利擁護」を行っていくだと思います。例えば前述した、親保護者の収入格差により病院に通わせることができない場合は、発達障害者支援法(専門的な医療機関の確保等)
【第十九条 都道府県は、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければならない。
2 国及び地方公共団体は、前項の医療機関の相互協力を推進するとともに、同項の医療機関に対し、発達障害者の発達支援等に関する情報の提供その他必要な援助を行うものとする。】
に基づき、都道府県レベル、自治体レベルで要望要請書、地方議会で質問してもらうことなどにより問題提起していくことが重要になります。マスコミにも取り上げてもらいましょう。

繰り返してクドイですが自他分離は大切です。
吃音のある子ども、学生、家族保護者は
『無意識のうちに、成功している吃音当事者先輩に僕も私もなれる、うちの子どもも将来は医者や弁護士や公務員、一部上場企業(略)に就職できる!! 精神障害や発達障害、知的障害を持った人は不幸、かわいそう、吃音のある人はそんな人、あんな人たちと一緒になってはいけない、されてはいけない』という価値観を植え付けられていくことになりかねません。自他分離をしっかりしていきましょう。


しかし誤った吃音への価値観、障害者への差別の心、障害者はかわいそう、障害者枠は給与が安い出世ができない、障害者として生きるのは恥である、税金を食いつぶす側になってしまうなどの偏向した価値観をもってしまうと「堂々と一般枠で吃音を持っています!とカミングアウトすること」にもつながります。

本来なら、新卒障害者枠採用という一生に1回だけつかえる、貴重なステータスを使えたかもしれない、その機会を利用できずに、就職できなかった状態で学校を卒業してしまう人もいるのです。


――― 5 吃音のある人、子ども、学生、保護者、家族は消費者庁の解説をよく読んでみよう

吃音のある人は本当に頭が良いのか 社会的に成功した人になれるのか?

吃音業界の不思議の1つに。
吃音のある人は、天才 秀才 優秀 頭の回転が早い すごい先輩がいる論があります。

とくに吃音のある子どもやその保護者向けに「吃音のある子どもはこんなに優秀なんです。安心してください。吃音のある人は優秀です。私は吃音があるのに社長になった。私は吃音があるのに営業トップ成績だ。私は吃音のある人はみな頭の回転がよく優秀な人多いと思う」などなどを表現する吃音当事者、吃音先輩は本当に厄介です。医療従事者や言語聴覚士がこのようなことを言っている場合は本当に事態は深刻です。発達障害業界の精神科医師や言語聴覚士であれば、まずこのような無責任な発言はしません。

吃音を持った人にはとても優秀な人がいる。

総理大臣、議員、王族、医師、弁護士、経営者、取締役、一部上場企業勤務、国家公務員、地方公務員、言語聴覚士、エンジニア、航空自衛隊のパイロット、海上自衛隊の潜水艦乗組員、消防員、救命士、学校教員、精神保健福祉士、社会福祉士、スポーツ選手、レーサー、芸能人、音楽家、表現者――などなど。


こういう偉大な先輩達がいますよ。という説明は本当に困ったものです。

これは吃音以外の発達障害でも全く同様です。

歴史上のあの人物は発達障害があった、2019年現在生きているあの人も発達障害だ。

あの経営者も、あのエンジニアも、あのハリウッドセレブも、あのひともあのひとも(以下略)

だから僕も私も、うちの子どももきっと天才に違いない。有名な人になれるはず。

幸福な人生を送ることができるはず。高い収入を獲得できるはず。

これも結局は自他分離ができていないことになります。

たしかに一時(いっとき)だけはその言葉、その表現に安心する当事者、その家族はいるかもしれません。しかし本当にそうでしょうか?

豊島区にてホームレス支援をするNPO法人があります。

ここの職員さんの話として、「路上生活者をしている人の中に吃音の人がいましたよ。吃ってました。昔は工場やトラック運転手として働いていたそうです」ということでした。

不思議ですよね。吃音のある人のエピソードでは全く出てこない事例です。路上生活をする吃音者、トラック運転手や工場で働く吃音者。みなさんは聞いたことあるでしょうか?

別の事例として、ひきこもり歴ウン十年で父母の年金で暮らすひきこもり当事者の中に吃音のある人がいるという事例もあります。8050問題として今後、報道もされてくるかもしれません。もしも8050問題の当事者とその父母の中に「吃音で困っている人が出てきたら」既存の吃音業界はどのような反応をするのでしょうか? 「うちの団体にこなかったのが悪い、ひきこもっていたのが悪い、だからそんなことになったんだ!」と平然と切り捨てるでしょうか??

実のところ吃音のある人はいろいろなところにいます。たまたま吃音業界の、吃音当事者会に参加できている人がいる一方、そこには参加しない人、または吃音とは別の当事者会に参加している人もいます。精神障害、発達障害を持った人、知的障害を持った人の中にも吃音を併存している人もいます。

―― 吃音のある当事者、吃音のある学生、他の人の体験談を吃音当事者や家族が聞くときはどうしたらいいの?

これはとても重要です。

消費者庁が行った 「打消し表示に関する実態調査報告書」https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170907_0003.pdf があります。



この報告書の中に興味深い表現があります。

テレビやラジオ、インターネットでの通販でよく使われる文言です。

下記の説明を「吃音のある先輩学生、吃音のある先輩、吃音のある社会的に成功している人の話を聞く場合」に思い出してください。体験談集という文書、講演会、親保護者に体験談を聞かせる場合、以下のことを思い出してください。これも自他分離の1つです。



・消費者庁の解説から

体験談型 体験談に関する 注意書き 楽しく ダイエッ ト!! 毎日すっきり起きて、 体重が5kg減り、着られ なかった服がぶかぶか になり、周りからほめら れるようになりました。 



・「個人の感想であり、効果には個人差があります」 ・「個人の感想であり、効果を保証するものではありません」 ・「個人の感想であり、 効果、効能を表すもの ではありません」


非保証型 (体験談を記述 せずに、)効果、性能 等には個人差がある旨や、効果、性能 等を保証するもの ではない旨を述べ る注意書き 10 時間効果が持続!! 



・「結果には個人差があります」 ・「気持ちを表すもので、効果効能を保証するものではありません」



――― 6 吃音のある人はどうやって就職活動をすればよい?

「2」でこのように説明しました。


就職活動には5種類あります。
イ 障害や病気、難病をカミングアウトせず、告白せずに一般枠で就職活動をする場合です。
ロ 障害や病気、難病をカミングアウトして、障害者枠で就職活動をする場合です。
ハ 特別強力なコネを使い一般枠や障害者枠で就職する方法
ニ 自分で起業して働く方法
ホ 一般枠なのに吃音カミングアウトしてしまう

まず吃音当事者で就職活動をする人は「一般枠なのにカミングアウトしてしまう」というとてもリスクの高い行動をする人がいます。これは前述したようにさまざまな吃音業界独特の価値観、差別意識、自他分離の欠如、先輩の話を鵜呑みにしてしまう・自分も実現できると思い込む・そのこだわりを変化させることができなくなる、安心安全な会運営ができないなどが関連しています。

発達障害のある人を対象とした就労移行支援事業所では。
まず、イとロの説明をします。これが今現在の日本で実行できる就職活動だからです。そして稀ですがハを使える人もいます。ホは発達障害当事者でも難しくあまり事例はありません。そして可能であれば一般枠と障害者枠の両方で就職活動することを助言してきます。当事者しても一般枠と障害者枠両方で就職活動をすれば可能性が高くなるからです。一応就職活動が解禁される半年前には障害者手帳を取得しておいた無難です。医師、病院とよく相談したり、学校のキャリア支援室、学生支援室、障害学生支援室などと話しあいを重ねましょう。

さらに、エントリーシート、履歴書、「私の取り扱い説明書、私の障害特性説明書、私の障害説明」などの書類の書き方も就労移行支援事業所では教えてくれるので、吃音のある当事者はこういった書類の書き方も勉強することが大切になります。

なぜ日本では「イとロ」が一般的なのか?
これは「一般枠で働く場合、一般枠で成し遂げてほしい、こなしてほしい職務、業務が決められているからです、それに対しての対価として給与を支払うのです。」この場合、はっきり言うと、「吃音でうまく話せません、合理的配慮を希望します」と伝えると企業側としては、こなしてほしい職務、業務を実行遂行できない人には「ご縁がなかった、お祈り、貴意に添えないなど」不採用されてしまいます。応募してきた人を一般的で採用難しい場合、だけども人材としてほしいという場合は非公式な手段で「障害者枠で応募しなおしてくれないかな?」と天の声が聞こえる場合もあります。

「ロ」の重要な部分は、当事者のほうは「これらの合理的配慮を希望する」、そして雇用採用側は「私達が提供できる合理的配慮はココまでです」という話し合いが実現できるかどうかです。

吃音業界の医療従事者や支援者が勘違いしていること、よくある勘違いとして、給与をもらう立場になっても合理的配慮は100%実現される!! と認知している方々がいることです。これは障害者差別解消法が雇用される採用されるときにも完全に再現されるという間違った認識をしているからだと思います。後述のように学校であれば、お客さまの立場であればこれは可能です。しかし給与をもらう場合、働く場合は、【障害者雇用促進法】の重大なキーワードである「話し合い」が必要とされます。一方的な合理的配慮要求をする、吃音があるのに話す仕事、話す業務職務にこだわると採用、雇用側からお断りされることもあります。

障害者雇用促進法の合理的配慮指針
 厚生労働省の説明
 
 ウェブ・サーナの解説

『児童、学生時代とことなり学校側に授業料を支払う立場ではなく、官民企業団体で働く場合は当事者がお金を給与をもらうことになります。この場合の合理的配慮は働く側と採用側、そして就労移行支援事業所やジョブコーチ、その他の支援機関や支援者で話し合って落とし所を決定することができるか? 双方が話し合いどこまで合理的配慮が実現できるかを確定させることが必要になります』このあたりは、リタリコさんが合理的配慮ハンドブックを公開しています。

例えば身体障害の場合はハード面の支援、スロープ設置や設備を変更する、職場内も出入り口に近い席にする、と物理的な支援、合理的配慮で済むことが多いのですが、発達障害、吃音の場合は、当事者ごと、ひとりひとりの症状の特徴、障害の程度により、ことこまかく、個別に合理的配慮について考えることになります。そしてそれが採用雇用側が実行できるのか、実現できるのか。の話し合いになるわけです。

発達障害という障害はコミュニケーションの障害と言われるように、「発達障害当事者と誰か一人以上の人間と読む、書く、聞く、話すというコミュニケーションをする場合に何らかの困りごとが出てきます」

定型発達者(健常者であれば)、「あーあれね。あの話ね。今日の会議で話したこと、結論はこうだった」とあれやこれやそれ。空気、最終的にはどの方針に決定したか? などを理解することができます。発達障害者の場合はこれらが特徴特性によりうまく認識できない人や認識するのに時間がかかる人、間違った認識をもったまま仕事をしてしまう事例もあります。

吃音の場合は(どもることによる発話発語の特徴特性のみに限定すれば)、「相手とのコミュニケーションに、時間経過、相手の時間を使う、相手の時間を奪ってしまうことが想定されます」 こちらは別記事にまとめましたのでこちらをご覧ください
→ 【吃音Q&A】吃音は発話発語の障害 そして相手、聞き手の時間を奪う障害 吃音者への合理的配慮 障害者雇用か一般枠雇用か?

相手に時間を多くとってもらう、聞いてもらう(吃音があるから最後までどもりながらも話し続けさせて → 過度過重な合理的配慮になりかねませんが…)ことにより、相手、職場の同僚、取引先、一般消費者とのコミュニケーション時に発生する総合的な時間が定型発達者よりも多く時間が必要になるのです。 とくにNHKのプロフェッショナル 仕事の流儀「真夜中の東京スペシャル」 は吃音のある人が合理的配慮を希望した場合難しい場合が理解できます。

たとえば生命の危機、命のやりとりをする仕事、業界、専門職の場合は吃音による『吃る時間』は重要になります。ERや緊急手術、ドクターヘリ案件、銃火器をつかう可能性がある職務、緊急車両が通過しますアナウンスをする職務、他国の航空機や船舶と緊急事態になる可能性がある職務です。 1分1秒で「誰かが死ぬ、患者が死ぬ、自分が相手に発砲されて死亡する可能性、自分が相手に発砲しないと自分が死亡する可能性、所属不明機に呼びかける場合、航空管制官、緊急車両が通過する、交差点に入る、反対車線を走行するなどなど」こういう1秒単位で刻々と状況変化する場面で『吃音の合理的配慮として、どもりながら話したい、どもっても最後まで言わせてほしい』というのは過度過重な合理的配慮になります。吃音を合理的配慮するために、事故がおこる、誰かが死ぬ、自分が死ぬ、市民が死ぬ、相手が死ぬというのは大変なことだからです。

吃音当事者先輩の中にも吃音があっても命のやりとりが行われる職務、業務に携わっている人も実際のところ存在しますが、今までは大丈夫であったとしても今後悲しい出来事が起こることもあるかもしれません。


――― 7 精神障害者保健福祉手帳による法定雇用率達成は2019年以降、発達障害者が重宝される、マーケットになると予測されている

2019年2月1日に開催された「発達障害学生白書」出版記念講演

この講演会はNHKの取材、各地の就労移行支援事業所スタッフ、大学教授、医療従事者、発達障害当事者などなどが参加していました。マスコミ報道では重大な部分が報道されませんでしたが。とくに登壇者である、保護者、大学教授、専門家、経営者視点の本音による話や今後の発達障害雇用情勢はリアルなものでした。シビアともいえます。

今後、新卒学生の新卒カードを持っている状態で、なおかつ法定雇用率に計算できる精神障害者保健福祉手帳を持っている状態で、さらに! 求職活動中の成人発達障害当事者がサービス受給者証を利用して通所する就労移行支援事業所で実際に行われている厳しい訓練を大学生時代に受けていることが望ましいという人事業界HR業界からの声が紹介されました。

これは本当に驚くべきことで、人事業界HR業界では「障害者にまで床上手な処女を、ハイスペック障害者を、ステータスマックス、レベル99障害者などなど」の新卒学生を求めていることになります。 なぜ発達障害なのかというと、発達障害の場合は精神障害のように勤怠の安定の課題が無いから(自立した自己管理ができている発達障害者という認識が採用側にあるよう)ということです。とりあえず、平日5日間、または土日も入れて5日間、しっかり朝から夕方まで働いてほしい。それが実現できるのは発達障害者であるという講演会やセミナーを行っている事例もあるからです。

さらにそこに「kaien」で行われているような、本当の実在の職場に近い、厳しい訓練内容をしている就労移行支援事業所で行っている訓練を、大学や高校や高専でやってほしいというのです。新卒採用した障害者枠、発達障害者の新人を「官民企業団体の中で新人教育新人研修したくない、そこにお金や時間や人材をかけたくない」という本音と建前が透けてみえます。

そのため厚生労働省も平成29年に就労移行支援事業所向けのQ&Aにおいて。
大学生でも条件を満たせば最終学年であれば、就労移行支援事業所を利用できるという方針転換をしています。各都道府県と団体向けのみに出した文章のようで厚生労働省URLから探すことができませんでした。申し訳ありません

ここにはこのように書かれています。これにより大学生などが最終学年であれば就労移行支援事業所に通所できる可能性を示唆しているのです。しかし、官民企業団体がハイスペックレベル99障害者を所望するという流れ、人事、HR業界からの声が多くなれば、現在の、最終学年の部分が緩和されると筆者は予測しています。ここから逆に考えると「雇用、採用側は軽度でもいいから、ほんの少しの合理的配慮で良い、発達障害当事者をさがしてる」ことになるのです。要は、ここで吃音という発達障害の潜在マーケットが人事、HR業界、就労移行支援事業所業界などで評価されるようになってきています。
就労移行支援の大学在学中の利用)
問13 大学在学中の卒業年度に、就労移行支援を利用することができるか。
(答)
 大学(4年生大学のほか、短期大学、大学院、高等専門学校を含む。以下同
じ。)在学中の就労移行支援の利用については、以下の条件をいずれも満たす
場合に、支給決定を行って差し支えない。
① 大学や地域における就労支援機関等による就職支援の実施が見込めない
場合、又は困難である場合
② 大学卒業年度であって、卒業に必要な単位取得が見込まれており、就労移
行支援の利用に支障がない者
③ 本人が就労移行支援の利用を希望し、就労移行支援の利用により効果的か
つ確実に就職につなげることが可能であると市町村が判断した場合


――― 8 吃音当事者がテレビに出演すること、You Tubeなどで公開する動画は官民企業団体の人事部、採用担当、人事業界、HR業界、新卒学生向けサービス(リクルートやマイナビ)、障害者向けの採用情報サイト(サーナ、クローバーなど)いろいろな人がその動画をみるということも想定してほしい

これは今、障害支援者、就労移行支援事業所スタッフ、社会福祉士、精神保健福祉士、企業の人事担当、障害者向けの就活サイト、人事業界で話題になっています。

自閉症スペクトラムやADHDなどは発達障害としてとても認知されています。学習障害やトゥレット症候群も吃音よりは認知が高いです。

逆に吃音はあまり知られていないため吃音症状や症状の出方、話し方、発話発語のしかた、吃るときに顔の表情はどう動くのか? 吃るときに身体の動きはどうなるのか? 吃るときに白目をむいてしまうのか? しゃべるときに唾液を飛散させてしまうかしまわないか? 相手の目をみて話せるか? 話せないか? 
吃音当時者以外からするとそういうことも気になることになります。

定型発達者、支援者、学校教員、医療従事者、支援職、採用側サイド、労働行政、人事業界が、企業側に味方をする立場の医師や社会保険労務士などが
『あぁ、吃音ってこういう症状か。 こういう人が吃音なんだな。
こういうことで吃音の人はこまっているのか。
こういう話し方が吃音というものか。こういう話かただと電話応対や接客、営業は
まかせられないな。あれ、こういう話し方の人、弊社にいるけど。法定雇用率に計算したいな』

などなどのいろいろな人の思考に利害関係者に影響もあたえるわけです。

意外なことだと思うかもしれませんが。
NHKのバリバラ、ハートネットも当事者や支援者だけが視聴しているのではありません。どういう障害や病気が、どういった症状、特性を示すのか? この確認をするために録画視聴をしているという、視聴者層(人材業界、障害者雇用業界、企業団体側に立つ社会保険労務士や弁護士、人事部・採用・雇用担当など)もいるのです。吃音もつい最近、映画やドラマ、小説で頻繁に出てくるようになり、法定雇用率にも計算できることがわかりました。これにより吃音とはどういう症状なのか? 知りたい層が増えているのです。

また、吃音をカミングアウトしてくる学生や大人の中に「そもそもなぜ吃音をカミングアウトすること、ここに強く執着するこだわりを持っているのか?」と調べている事例もあり、こちらは吃音とASD、吃音とADHD、吃音と学習障害、吃音とASDとADHDなど、複数以上を持っている場合の吃音当事者とはどういうものなのかを調べていることもありました。

とくに「一般枠で吃音カミングアウトをする学生」、「精神障害者保健福祉手帳を所持し、法定雇用率に計算できるのに、過度過重な合理的配慮を実現するようにこだわり、執着をもつ吃音当事者がなぜ存在しているのか?」を調べることにも使われています。これは結局のところ、自閉症スペクトラムを同時に持っている吃音当事者が多いのではないかということにもつながります。

2017年にはNHKハートネットTVで(残念ながら貴重な映像やテキスト書き起こしが
消滅しています)女子学生の吃音当事者や男子学生の吃音当事者が「一般枠に異常な執着、こだわりを発揮した部分は発達障害学生を支援する専門職、医療従事者」から、なぜ吃音のある学生はここまで、カミングアウトや一般枠応募にこだわるのか? なぜ障害者手帳や障害者枠を敵視、蔑視するのか。何かの差別意識があるのではないか? 発達障害学生なら一般枠も障害者枠も同時に就職活動して、納得のいく場合が多いが、吃音の学生は「障害者枠なら、本来希望していた、マスメディア業界に入れたかもしれない、そういう機会があったのに一般枠にこだわるあまりにそれを捨ててしまう」のはなぜなのか?

どこの誰が、こんな若い学生にそういう一般枠でカミングアウトすることがステータスやカッコよさにつながると誤認する・それをしたほうが偉いと教え込んでいるのか? そう思わせてしまうのか? 障害者として働くと惨めだとか、給与が低いとか、出世ができないとか、生活ができないぞと教え込んでいるのか? と次々に疑問が出てきていました。

これは筆者からの解説で「吃音至上主義」の影響でもある。つい最近だと、医療従事者が発達障害児者を差別する文書をネット上に公開したこともあり、その他にも通級指導教室のことばときこえの教室やことばの教室の教員、成功している吃音先輩にこういう考えの方が意外にも多く、障害者枠は負け組である、社会的地位が低い、発達障害を持つ彼彼女らと吃音が同じにされても同じになってもいけないと教え込んでいる一例になると事例紹介をしました。

このような考えが「小学生、中学生、高校生、大学生をあつめたイベント」でも紹介され、子どもや学生、その保護者家族が知らず知らずのうちに吃音以外の人、当事者を下にみる、差別する意識が芽生えてしまっている、これが新卒就職活動をする段階になり、障害者枠を見ない、一般枠でカミングアウトすることにつながっていると説明をしました。

とくに酷い事例になると『発達障害当事者が殺人事件などを起こすと、それみたことか。吃音が発達障害になってはいけない、吃音当事者も人殺しをする人だと思われる、吃音当事者は犯罪をする可能性がある』と思われたどうする? などという発言が普通にでてくることも証拠データをそえて提出したところ、場内は大きなため息や怒りをもつ人もいました。

ただ、これは発達障害業界でもそれなりにあることでした。しかし、吃音のように、ここまで深刻な事例、突出した事例(子どもや家族保護者に積極的に吃音が障害になってはいけないと教え込むのは珍しいことだといいます)それがまかり通ってしまう、それを注意できる医師や言語聴覚士や精神保健福祉士や社会福祉士や看護師が吃音業界、その近くにいないことは深刻な事態だとされています。


――― 9 吃音当事者の中に、自閉症スペクトラムやADHD、学習障害(読み書き計算)、トゥレット症候群、音声チック、運動チック、発達性協調運動障害を持った人いる この時はどう就職活動をする?


※注意 平成から令和の現在ですが。吃音当事者に「自営業」をやれ! と成功体験を押し付ける人がいますが。それはリスクが高いです。まずは障害者枠でもいいので厚生年金を事業主が半分払ってくれる仕事をしてください。そして、経験を積んだら、障害者枠非公開求人で転職してステップアップしてもよいでしょう。本当に自営業はリスク高いです。健康保険も厚生年金もそうですが、一般的な会社員の月収の2倍を稼がないといけません。



吃音当事者の中に吃音以外の発達障害を持った人がいることがわかっています。
普段は自閉症スペクトラムやADHDなどの当事者向けに就労移行支援、医療従事者、支援者として携わっている人からも、最近、クリニックに、就労移行に吃音があると思われる方がいるという連絡もあります。たとえば↓

・ASDやADHDを先に診断されて、そのあと吃音もあるよね。とわかった人は障害受容がしやすく、支援も双方がやりやすい

・吃音があることを診断されて、そのあとにASDやADHDもあるよね。とわかった人は、過去の人生で「精神障害や発達障害のある人を差別していた手前、自分にも自閉症スペクトラムやADHDがあることがわかり、精神的ショックを受ける」場合もある。

・吃音があることをやっと認めて、サービス受給者証や精神障害者保健福祉手帳を取得したまではいいが、障害者枠に応募しても「吃音があるからといって、電話応対や接客をさせないのはオカシイ、差別だ!、人権侵害だ!訴えてやる!通報してやる!」と採用雇用側の相手と喧嘩になる、せっかくの障害者枠なのに就職できなくなる。話し合い、落とし所の存在を理解、認識しない人がいる。(話し合い、落とし所の理解ができない吃音当事者はASDなど吃音以外に発達障害があるのではないかと感じたといいます。とくにすぐ法や通報だとステップを大幅に飛び越える吃音者の事例は発達障害当事者の支援でも一定数存在するといいます)

このような声があります。
とくに吃音当事者は子ども時代に吃音至上主義を教え込まれていて、精神障害、発達障害のある人を差別しまくっていた価値観をもっている場合、「自分も同じなのか」ということを受け入れることができない。そのままうつ病や適応障害などにつながってしまうこともあるといいます。

また、精神障害者保健福祉手帳を取得するまではよかったのに、吃音があることにより、話す仕事よりもその他のことで頑張ってほしいという採用側の価値観を理解してくれない、接客や営業は館内放送をさせないのは差別で人権侵害だ!と「異常なこだわり、執着、大激怒してキレる、これは人権侵害だから差別として関係各所に通報しまくるという行動力」を見せる吃音当事者がいることも大変で、吃音当事者が支援困難事例が多いことの証拠になってしまっています。発達障害当事者にもとてもよくあることで「法ではこうなっている」ということがすぐ会話に出てくることにより日常生活や社会生活で人間関係の摩擦が起きていて、その後発達障害の診断を経て、ソーシャルスキルトレーニングや病院でのプログラムにより、本音と建前、認知の歪みに気づくことなどを練習し社会適応している発達障害当事者もいます。


もしも、私は、吃音以外に発達障害があるかもしれない。と思う人は、まずは発達障害を専門に診療しているという病院に行ってみましょう。精神科に数回通院し、発達障害診療に実績のある大学病院宛に紹介状を書いてもらうのもよいことです。

子どものころから、たしかになにか他人と違うことが多かった。人間関係の維持が発話発語以外が影響して難しかった。などなど思い当たる節がある場合は、ミネルバ書房の発達障害関連書籍を読んでみてください。ここに実体験や近い事例があれば発達障害特性をじつは持っているのかもしれません。 

もしも吃音以外に困りごと、幼少期より何か他人と違うのではないかと感じている吃音当事者がいれば、または自分の子どもが吃音以外にも何か特性を持っているかもしれない。それが生きづらさになっているのではないかと考える保護者がいれば発達障害を診療する病院に行ってみることも選択肢の1つになります。


――― 10 吃音のある学生、大人はどう就職活動する?
発達障害者向けの就労移行支援事業所に通所すべきか?

吃音のある人で、吃音至上主義に傾注していない染まっていないのならば。発達障害者向けの就労移行支援事業所に通所すべきです。
9番に書いたように吃音のある人には自閉症スペクトラム、ADHD、学習障害(読み書き計算)を同時に持っている人も潜在していると考えます。

吃音という「発話、発語によるコミュニケーション能力に困りごとがある」のと同時に何かがあるのです。

そもそも、吃音のある人が『吃音があっても堂々とどもって就職する。成功した吃音先輩のこと、歴史上の著名な成功した吃音者、現役の成功している吃音者』のことを信じてしまう、その話を真実だと思ってしまう、自分もそれが実行できるはずだと思いこんでしまう。一般枠で「吃音という法定雇用率に計算できるはずの発達障害を持っていることをカミングアウトしてしまう」こと。

これは自閉症スペクトラムの『こだわり』や『素直さ(最初に覚えたことを変化させるのが苦手)』だと考えます。考え方に固執して、それを変化させることができない。これはまさに自閉症スペクトラム当事者の困りごとと同じです。(もちろん、このこだわりが実生活や学業や仕事にプラスに働く場面もあります)

また吃音当事者の中には、ADHD特性や学習障害特性を持った人もいるでしょう。発達性協調運動障害という手足・指、身体的な動きの不器用さを持っている人もいるでしょう。

結局のところ、吃音当事者や家族、そこに関わる医療従事者が見落としている、その他の発達障害特性があり、この見落としている特性と吃音が併存して当事者を苦しめていることになります。しかし吃音の診断しか受けていない。吃音を診療する耳鼻咽喉科医師は発達障害について専門家ではないため、知能検査、心理検査、母子手帳かられんらくちょう、通知表、評定表、教員の評価を客観的に判断するということもできません。

吃音をカミングアウトすれば、相手は理解してくれるはずだ!
という強い思い込み。認知の歪み。実際、就労就職であれば、完全な100%の合理的配慮を相手側にさせることはできません。吃音業界ではお客様としての障害者差別解消法による理念と障害者雇用促進法による話し合いによる合理的配慮実行可否・落とし所の概念が正確に認識されていません。

「自他分離」のことを説明していました。要は自分。成功している吃音当事者先輩が持っている成功体験やそのたまたま、偶然うまくいっている稀有な企業や団体の事例、条件が【私の場合も実現されるはずだ!!】と強く思い込んでしまうことが本当に悲劇だと考えます。

また、「吃音があります」と相手に伝えれば、相手は「100%吃音を理解した」と思い込んでしまう吃音当事者もいます。これも自閉症スペクトラムの症状なのかもしれません。別記事にまとめてありますのでご覧ください。吃音当事者は発達障害者が就職活動で使う「私の取り扱い説明書」をしっかり準備すべきなのです。そして、障害者枠で応募することも選択肢に入れるとよいでしょう。

吃音者と働く 職場で吃音者の合理的配慮がうまくいかないのはなぜか?
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2017/10/blog-post.html

実際の職場を再現した発達障害当事者向けの就労移行支援事業所であれば、自分と他人、自分と社会、社会の中にいる自分と他人は違う人であることを教えてくれます。必ずしも誰かが実行できた、成功できたその条件を、「あなたが実現できるとはわからない」ことを教えてくれます。

その他にも発話発語によるコミュニケーション不足だけではなく、話しかけるタイミング、その際話しかけて「どのことを、どのように、何がわからないのか、何が終わったことを報告するのか」などを事前にメモにまとめること、自分自身が他人とコミュニケーションをして実際に今話したことで「私はこのように認識し受け止めて、このように仕事をする予定ですが、不備や間違いはあるでしょうか?」と再確認すること。このような視点もあるわけです。

以上のことからも、吃音者を対象にした就労移行支援事業所よりも、発達障害者を対象にした就労移行支援事業に通所するほうが良いと考えます。原則として就労移行支援事業所は2年しか使うことができません。その貴重な2年を、どの就労移行支援事業所に使うか?ここをしっかり考えてほしいのです。官民企業団体には「kaien」という就労移行支援事業所を利用して、問題なく訓練が実行できているならその当事者を採用したいという声は多くあります。それくらい、人事業界、採用側雇用側も【どこの就労移行支援事業所を利用しているのか? そこでの評価はどうなっているのか?】ということを気にしています。例えばkaienであれば企業の人事が見学にきて、優秀な当事者がいればスカウトしていくこともあります。kaien経由で法定雇用率を達成しようとする官民企業団体の採用、人事部、人事担当が一定数いることになります。

たとえば、就労継続支援A型やB型、病院のデイケア、病院の自費診療セミナー、病院の当事者会、ハローワーク、若者サポートステーション、労働局などで学ぶことができることを、提供している就労移行支援事業所は通所するのはよく考えるべきです。2年の利用期限を無駄に浪費してしまうことは避けるべきだと、リスクマネジメントだと考えます。貴重な2年は、現時点で最高の就労移行支援事業所を利用すべきでしょう。

吃音のある当事者も、じゃあ、僕は私はどうしたらいいの?
となるでしょう。そこで重要なのが、相談支援をしてくれる人とつながることです。
発達障害を対象にしている医療従事者、ソーシャルワーカーといわれる人、ハローワークや東京障害者職業センター、東京都のしごと財団などとつながり、ここでまずはご自身の成長を、一歩一歩1ミリ1ミリ進めばいいのです。ご自身の自他分離や障害受容のこと、認知のゆがみがあれば改めて行く。これらが大切になります。

その他に、吃音業界の当事者会、団体だけに参加するのではなく。
発達障害のある人、発達障害業界の当事者会、団体に参加することもオススメです。


――― 11 新型コロナウイルス感染症による2020年以降の就職活動について。吃音のある学生、大人はどう就職活動する?

2020年5月2日オンラインセミナーがkaienにより開催されました。
セミナーの中で。障害者枠は今までの歴史上、景気に左右されないデータがある。障害者枠については、一般枠職員が存在する限り法定雇用率を満たさなければいけないため。雇用情勢が大きく悪化することはないのではないかということでした。一般枠については深刻な影響が報道の通りであると。

現在の障害枠就活は、応募できる案件はあるが。応募しても、面談までの時間、面談が終わっても正式に働けるようになるまでの、待機期間があるため停滞していて、応募できる案件もありつつ、応募者が減っているという事案もあるとのこと。応募者側もコロナ禍のため就職活動意欲が低下している場合ですね。面談はウェブ面談になるそうです。


現在、発達障害のある人で、コロナ禍において、仕事が時給制の人はそこそこ影響を受けている。月給制の人は影響が軽微であるといいます。

ただ、アフターコロナの世界では、テレワークができるスキルを持っている人が企業では採用されやすい。エッセンシャルワーカーは仕事がなくなってしまう。自宅待機になってしまう場合もあると。エッセンシャルワーカーの中でも食品を扱うお店等、生活に直結した業態は別です。

発達障害を持った人は、まずパソコンが使いこなせることが前提になるでしょう。パソコンの基本ソフトを使える。ウェブ会議のソフトやアプリをつかいこなせることもです。また自宅で仕事をする場合。時間の区切り。気持ちの入れ替えも課題になります。部屋がワンルームの場合は、働く区画、寝る区画、食事する区画の分離も大変です。整理整頓や室内に白い布をはって、テントのように区切るということもありえるようです。

その他、出勤しないわけですから、自己管理、体調管理、健康管理も難しいかもしれません。出勤する往復で使っているエネルギー、運動量が消費されないことになるからです。



  筆者としては

吃音のある人は障害者枠での就職活動を真剣に考えたほうがよいでしょう。もちろん吃音業界の先輩では一般枠でないと駄目だという考え方を持っている人もいますが。とりあえず新卒の人は障害枠でもいいから、空白期間無しで社会人になったという履歴をもつためにも一般枠にこだわらないほうがよいでしょうね。と思います。

テレワークができるようにPCスキルをあげることも重要です。


このようなコロナ禍あるからこそ。吃音業界の、一般枠で俺は、私は働いている!!系先輩が一肌脱いで「俺の所属先、私の職場は吃音があっても一般枠で働けるよ!人事採用担当を説得したから大丈夫」と大きな行動を起こしてくれればよいのですが……。期待できませんよね。

吃音の人は発話発語が大変ですね。ビデオチャットの場合の練習もしなくてはいけません。
面談においても、リアルの対面した方法ではなくウェブ面談になりますので。
実際のように「コンコン。失礼します。」という挨拶から始まる面接ではありません。
最初に映像として相手にながれる第一印象。どんな顔をしていればいいのか。ここからもう大変です。

ウェブ会議ソフトなど、ビデオチャットになりますから。PCやスマホの設定。マイクテスト、背景画像、服装、カメラの位置。PC内臓は若干顔が下から撮影される。外付けカメラなら正面も可能。ビデオチャットのため。インターネット環境において、余計なスマートフォンやPC、家電のWi-Fi接続を切ることも大切ですね。

仮に将来テレワークをする業務量が増えてきても。チャットでやるか。Eメールでやるか。ビデオチャットでやるか。ビデオチャットを利用した多人数の会議において、「挙手ボタン」はいつ使うか。「ミュート」をして、余計な背景音が入らないようにするか、会議参加者の上半身しか映像として認識できないなかで(身体の動きがよめないので他人の本当の腹の中を推察することがより困難になりますよね)どういった立ち回りをするのかも訓練や勉強をしないとなりませんね。

2018年10月1日月曜日

【吃音Q&A】吃音至上主義(きつおんしじょうしゅぎ)とはなんですか? どんな差別主義ですか?

はじめに、聴覚障害、発達障害をもつ当事者さんのTwitterをご覧ください 僕の彼女は発達障害という本を学研から出している方です 


吃音のあるお子さんの保護者さん親戚等はグサリと胸に刺さりませんか?今まで障害のある人、難病の人、セクシャルマイノリティ、、、、人生でいままで接点があったかもしれない当事者やその家族にどのような眼差しを向けていましたか?

吃音者はなぜ、吃音以外の精神障害や発達障害、社会的障壁のある人を見下し、差別し、一緒にしないで、一緒だと思われたら困る!などという価値観を主義を持つのか?
――障害種別差別を知っていますか?

障害者差別、高齢者差別、人種差別はだれもがどこかで聞いたことがあるでしょう。

障害種別差別とは何か?(障害種別の中には、障害、症状、病気、難病、特性、セクシャリティなどなどありとあらゆる社会的障壁を持つ人が含まれるとします)

これは、「ある人」が「他の人」を「障害種別」により「差別」することです。

「障害の種類」による差別です。
これは誰もが加害者になりますし、被害者になります。


――吃音至上主義思想(きつおんしじょうしゅぎしそう)

これは「吃音のある人」が



「吃音以外の障害種別を持っている人」を差別することです。

白人至上主義と同じです。


吃音のある人は、そもそも、吃音があって困っている人もいます。

吃音以外の発達障害を同時に持っている人もいます。

吃音しか無い人もいます。

しかし吃音のある人の中で、またはその家族、そこに携わる教員、医療従事者、支援者の中にまで。

吃音のある人。

他の障害などがある人とを

「比較する、一緒にされたくないと考える。吃音と発達障害・精神障害が同じ障害や病気だと世間に思われたら困る。同じ枠にされたくない。あの●●障害・病気よりはマシだ。●●障害や病気と吃音が同じにされては困る。吃音はあの人たちとは全く違う、あんな人達より吃音のある人は優れている――。かわいそうな障害者・可哀想な精神障害者、可哀想な発達障害者と吃音者が一緒にされては困る。吃音がかわいそうな人々だと世間に思われたら困る」ということです。


 吃音至上主義思想に染まってしまうと就職活動も困難になってしまう人もいます
 https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2019/05/blog-post_12.html


これは白人至上主義と完全に同様です。

ナチス・ドイツのユダヤ人への差別主義、ひと目でわかるようにシンボル着用義務付け、隔離政策、大量虐殺。
ナチス・ドイツがユダヤ人大量虐殺を実行するまえに精神障害のある人を大量虐殺した「T4作戦(NHKが報道した内容)」にもつながります。

優生思想、優生学、ナチス・ドイツにもつながるのが吃音至上主義です。

たとえば吃音者は、精神障害者、発達障害者、社会的障壁を持った人、難病を持つ人、セクシャルマイノリティ――。よりも優れている。優位である。優生である。有能である。価値がある。位が高い。彼彼女らと同じになってはいけない。同じに思われてはいけない。同じ社会保障制度を利用してはいけない。同じ社会保障制度を利用する人と思われてはいけない――。

吃音者は純粋吃音者こそ正統である。小説のハリーポッターシリーズにも「マグル(一般人のこと)」と「半マグル(一般人と魔法使いの混血)」という差別が描写されています。吃音の世界にも吃音と発達障害(自閉症スペクトラム、ADHD、LD、トゥレット症候群)を持った人を排除しよう、会に参加させないようにしよう、会の運営に携われないようにしようとルールや定款を変更して参加が困難になるようにしている組織団体も存在します。吃音と吃音以外の発達障害を持った人の存在を認めない。怖さしかありません。




精神障害者、発達障害者、社会的障壁を持った人、難病を持つ人、セクシャルマイノリティなどなどは劣った人、出来損ない、社会から疎まれている、生かされている、お情け、生きる価値はない、税金のムダ、同じ空間に居たくない、一緒にされたくない、同じだと思われたくない、社会福祉制度・社会保障制度を使う人たちと吃音を同じにされたくない。吃音が精神障害者保健福祉手帳の交付対象者だと思われたくないし許さない。まるで吃音者が犯罪をしても心神喪失で無罪になる精神障害者だと世間に思われたらどうするんだ! 

発達障害者支援法に入れるんじゃない。勝手に吃音を発達障害にしやがって。

と考えている吃音者(当事者も家族も支援者も医療従事者も)は意外にも多いのです。

これは日本国内に根付く精神障害のある人への差別の歴史、重度障害のある人への差別の歴史が吃音業界に継承されているのではないかと思います。 たとえば。癲狂院、座敷牢、ライシャワー事件、(特に昭和時代)重度障害の子どもを殺害した保護者に同情するマスコミの論調などなどです。吃音業界の人は本当に呼吸をするかのようにごく自然に差別をします。

吃音児者と発達障害児者は「違うんだよ、同じじゃないよ」という説明があった場合はすぐ、その人、その団体から離れたほうがよいです。



――なんとなく吃音業界に差別主義思想があることは知っていたけど証拠がなかった

 それが2017年完全な証拠としてインターネット上に掲載された!



吃音業界以外の人、たとえば精神障害のある子どもや大人、発達障害のある子どもや大人、その家族や関係する医療従事者や支援者などは『なんとなく、吃音業界には差別主義思想がある。吃音はかわいそうな障害者ではないと教えている』ということは知っていたでしょう。小学校などのことばときこえの教室では教員も一緒になって、当事者の子どもや家族に『吃音はかわいそうな障害者じゃないよ。障害がある人はかわいそうな人たちなんだ。一緒にされたらイヤでしょ?』と教えているという事案もありました。しかし、その明確な証拠(録音など)はありませんでした。

それが2017年7月にインターネット上に公開要望書という形で、証拠が残ることになったのです。一般社団法人日本自閉症協会の掲示板で、その吃音業界の差別主義思想が取り上げられました。その後、発達障害業界団体及び知的障害やダウン症を扱う団体にも広まりました。詳細はコチラのリンクを御覧ください。


http://www.autism.or.jp/cgi-bin/wforum/wforum.cgi?mode=allread&pastlog=0100&no=3039&page=0&act=past#3039

http://www.autism.or.jp/cgi-bin/wforum/wforum.cgi?mode=allread&pastlog=0100&no=3039&page=15&act=past

このように言語聴覚士という自閉症をはじめとした発達障害のある子どもや大人に携わることもある、専門職、国家資格を持つ人間が、吃音と発達障害を一緒にされたら困る!という差別主義思想を開陳したのです…。これには発達障害のある当事者や家族、支援者や関係者も度肝を抜かれたと思います。2017年という時代に、言語聴覚士資格を持つという人物が、吃音が発達障害になったら困る、一緒にしないでくれというのですから。「普段から発達障害や精神障害、精神障害者保健福祉手帳を利用する人をそういう目で価値観で見て判断している」ということなのですから…。日本自閉症協会の掲示板によるとこの言語聴覚士はNHK厚生文化事業団に表彰されていると書かれています…。本当に悲しい気持ちになります。

ちなみに日本言語聴覚士協会はJDDネットに加盟している団体です。




――「そんな人たち」と吃音者が一緒にされては困る

吃音が発達障害者支援法に入っていること。精神障害者保健福祉手帳の交付対象であること障害者手帳制度や合理的配慮を受ける対象になってはいけない。福祉制度を利用できる人たちと思われてはいけない。誇り高き吃音者として生きていく。吃音があって学校や会社、社会生活が上手くいってない人は怠けている。努力が足りない。社会福祉制度・社会保障制度を使うこと、精神障害者保健福祉手帳を取得することは恥だ。税金の無駄使いだ。

などなどの複雑な考えがあります。



吃音者は「吃音は神様からもらったギフト」、「吃音がある素晴らしい人生」、「吃音は親友、友達、私自身」、「吃音があるけど、なんとかして治した」、「吃音があるけど吃音が出ないように話し方を自己流で編み出した」、「吃音があっても私のいるところは気にされない」などの背景や価値観を持っている場合もあります。


これは、多くの吃音者が、過去の吃音者たちが、吃音で悩むことよりも他の部分や他のことで豊かに生きるを実践し実行できてしまったこと。これらの成功体験が「他の人もできる」という、パターナリズムになっているからです。吃音にかぎらず、障害でも病気でもいろいろな社会的障壁があります。それらの当事者の中でも成功している人もいるし、うまく行かなった人もいる。生まれた環境、学校でのイジメ体験の有無、不登校、引きこもり、進学を諦める、という人もいるかもしれない。しかし成功者の成功体験からすると、そういった人は努力が足りない、頑張っていない、逃げているからそうなったんだ、という心無い言葉を言い放ち、当事者同士でマウンティングする、これだけ給与をもらっている、結婚している、子どももいるなどなどマウントを取るという光景があります。悲しいことに若い世代の吃音当事者でも成功している立場の人、学生の中にもこれを実行する人がいます。



――吃音業界はそれがとても顕著です

誰かが困っていると相談しても。困っていることの解決に「私を見習え」であったり、「努力しないキミが悪い」などと平然と言い放ち、これ以上、その場所に居ることができなくなる、できなくさせられる当事者もいたわけです。パターナリズム、バイスティックの7原則という言葉の意味は存在しません。吃音業界に接点をもつ社会福祉士や精神保健福祉士は驚愕する場面の連続になるでしょう。吃音業界にゆかりの無い吃音以外の障害や特性を持った子どもと接する学校教員もこの独特の価値観についていけない人もいます。ことばときこえの教室、きこえとことばの教室の担当になってしまうと、精神面を病んでしまう教員もいます。


こういった吃音業界で、成功者の吃音者がどんどん、集結・凝縮していき、その中で居心地の良い環境が形成されていけば、困っている吃音者が入る余地はなくなります。そして、その困っている、1番弱い吃音者が声をあげることができなくなります。ひきこもる、ニートになる。そして人知れず死を選ぶ人もいるかもしれません。



――これらの背景があるからこそ 2005年の発達障害者支援法を見落とした、故意に見落とした、知らん振りをした 人が死ぬ、自殺自死してしまう最悪な吃音業界



吃音業界は2005年の発達障害者支援法に吃音が含まれていたことを知ってか知らずか、ずっと隠匿していきます。そして運命の2013年、ゼリア新薬工業の社員自死、北海道の吃音看護師自死。吃音業界は一時だけ悲しみに包まれたましたが、その自死を知った発達障害業界は『オカシイ。吃音は発達障害者支援法で定義されているから、自死という最悪のパターンになるまえに別の道があったはずだ』と考えた人もいました。そして吃音業界の1つの団体が過去に発達障害団体の連合体に入っていたことが明らかになります。そこから法制度や利用できる選択肢があることは伝わっているはず。。。。。でした。


2005年の発達障害者支援法に合わせて、JDDネットという発達障害を持つ人の団体や親の会、職能団体の連合体が誕生した経緯があります。その初期メンバー、創設期メンバーに、「旧言葉を育む親の会」が存在していました。吃音業界の団体です。この団体がJDDネットに正会員として創設期から加盟していた(現在は脱会)過去があるのに。発達障害者支援法に吃音が含まれていることが、吃音業界では隠蔽、隠匿されていたのです。そして死者を出すにまで至ります。



外部リンク吃音ガイドライン 厚生労働省のページにも証拠がある

このリンクをみてどう思いますか?

吃音業界の団体の1つがJDDネットに加盟していたのに、吃音が発達障害者支援法に含まれていること、社会保障制度を社会福祉制度を精神障害者保健福祉手帳を利用できること、障害者雇用を利用できることが2018年現在でも広く日本社会に知れ渡っていないことにつながるのです。


これが 発達障害業界からの『オカシイ。吃音は発達障害者支援法で定義されているから、自死という最悪のパターンになるまえに別の道があったはずだ』と考えた人が出ることににつながるのです。2013年には北海道の吃音看護師自死の他に、その看護師より数ヶ月前に、ゼリア新薬工業の新人研修で吃音を指摘された職員が自死したという報道もありました。これは吃音かどうか定かではないという報道も一部ありました。しかし、もしも、北海道の吃音看護師もゼリア新薬工業の職員も「吃音は発達障害者支援法に入っている、いままでは自力で努力で頑張ってきたけど、もう耐えられない。助けて!SOS!もう死にたい!!だから助けてくれ!!!」と言える、最後の最後に最後の力を振り絞り、「だれか助けてくれ」と言える可能性もあったのかもしれません。これが発達障害業界が吃音業界を怪訝そうに、不思議そうに判断している原因です。助かるはずの生命を、吃音業界の派閥抗争で隠匿、隠蔽していたことにより、発達障害者支援法は「見える化 分かる化 使える化」されておらず、存在していたのに知らずに逝ってしまった当事者がいることになるという、本当に辛く悲しい、悲劇なのです。


しかし吃音業界は、吃音が2005年から発達障害者支援法にはいっていたこと、精神障害者保健福祉手帳を利用できることが、2018年現在、社会に広まっていくことを阻止しようと考えている人が多いのです。頭のオカシイ、犯罪をしても心神喪失か心神耗弱で無罪や減刑、空気の読めない、突発の行動をする精神障害や発達障害と吃音が同じ枠にされては困る!という声が大きくなってきました。2017年夏には言語聴覚士(資格取得のための単位カリキュラムでは発達障害を学ぶ時間もある)という医療従事者が「吃音を発達障害にするな。吃音児者は発達障害児者のような内的心理的問題は持っていない。吃音が発達障害だと思われたら困る。吃音団体がJDDネットに加盟すると吃音が発達障害になってしまう」などという意味不明な公開要望書を出してしまうという大事件。人権侵害問題が発生するにいたります。



――吃音業界はそもそも「吃音を知ってほしい」、「吃音のことを理解してほしい」とよくいいます しかし吃音業界も吃音のある人もその家族、支援者、関係者は「吃音のこと以外を知ろうとしていますか?」



10月22日には国際吃音啓発の日もあります。

【吃音のこと知ってください】というスローガンを見聞きしたことあるでしょう。

日本国内では毎年4月2日の世界自閉症啓発デーに合わせて日本国内の発達障害啓発週間も7日間だけあります。これは自閉症スペクトラム以外の発達障害も啓発しようという意味があります。

しかし吃音者は「吃音が発達障害だなんて許さん。発達障害者と同じだと思われたくない。発達障害者が使う精神障害者保健福祉手帳を利用すると吃音が精神障害や発達障害だと思われる。発達障害啓発週間で吃音を啓発されは困る!」という声まであります。



 吃音者は精神障害者、発達障害者、精神障害者保健福祉手帳を利用する人よりも偉いのでしょうか?

優れているのでしょうか?

身分や位が高いのでしょうか?

吃音者は選ばれた民なのでしょうか?


ここで冒頭に紹介したくらげ氏のつぶやきが重い意味を持ちます

あなたの子供が障害を持って「不幸だ」と思うとしたら、それはあなたが障害者をこれまでどう見てきたかということの反映なのですよね。

差別主義、吃音至上主義を心に持つ、心に隠し持ち普段は表にださない吃音者(当事者も家族も支援者も含む)は、普段、精神障害者保健福祉手帳を利用する人、精神障害のある人、発達障害のある人を、その家族たちをどのような目で、価値観で、感情で見て接しているのでしょうか?



吃音児者、その家族や支援者、吃音に携わる医療従事者や支援者、教員、研究者は吃音を知ってほしいといいます。吃音を理解してほしいといいます。



しかし!



『吃音を知ってほしい、理解してほしい』と言うのに。

『吃音以外の発達障害のこと、精神障害や精神疾患のこと、精神障害者保健福祉手帳を利用する人のこと(その家族や保護者)を理解しない』のでしょうか?



なぜ、精神障害、発達障害、精神障害者保健福祉手帳を利用する人のことを知ろうとしない、共通して困っていることがあれば、それをいっしょに変えていこうと大同団結して行動しないのでしょうか?不思議です。


この解説ページを読んでいる人は驚くかもしれませんが。

こんなことが吃音業界において吃音至上主義として平然と行われています。
しかも年齢に関係ありません。10代から80代まで吃音当事者の中には差別主義思想を
持っている人がいます。本当に深刻なのは小学生、中学生、高校生、大学生、そしてその家族に吃音至上主義思想を植え付ける一部の吃音業界の派閥です。吃音至上主義思想に染まった児童、生徒、学生は、新卒就職活動において一般枠で吃音をカミングアウトするという発達障害業界、発達障害業界の就労移行支援事業所や障害者雇用をしている企業団体が驚愕する行動をとる場合もあります。そして就活に失敗し、気づいたときには新卒というカードを失っているのです。その後、障害者枠もあるという選択肢を認めることができない、障害受容(発達障害や精神障害のことを差別していたゆえに)できないため精神的に病んでいく人もいます。


発達障害のある人の中には吃音もある人がいます。

吃音のある人の中にも吃音も発達障害も両方持っている人がいます。

日本国内の音声言語医学という学会誌にも「吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討」という海外の研究報告が日本でも後方視的に確認できるのかを報告した文書が出ています。

むしろ、吃音業界は発達障害を差別して、吃音業界と分断するのではなく、一緒に、困っていることを考えるべきですが。一緒にされたくないという。吃音至上主義が蔓延しているのです。



――吃音至上主義を撲滅するにはどうすればいいのか?

それは、吃音業界以外のみなさんのパワーが運動が行動が必要になります。

吃音があって困っている人、弱っている人、不登校になっている人、ひきこもっている人、ひきこもり高齢の親と生活する人、もう死にたい人、死にたくて何もできない人が人知れず存在しています。吃音業界はパターナリズム、バイスティックの7原則などが存在しないため困っている人が安心安全な環境で相談することができません。

また、発達障害や精神障害の領域で働く医療従事者、福祉事業従事者、支援者、行政職員、研究者など、当事者や家族の団体を運営している人、みなさんの協力が必要です。吃音業界では解決できないことを、みなさんの活動する分野・領域でやってください。もはや現在の吃音業界には自浄能力はないのです。吃音業界の外側から、変えていくしかありません。また、既存の吃音業界の団体や当事者団体に「吃音で困っている当事者や家族」を紹介するのもよく考えたほうが良いでしょう。

そして吃音至上主義を実際に体験してしまった人。
小学生、中学生、高校生、大学生のときに吃音至上主義を教え込まれてしまった人。
発達障害のある人や精神障害のある人はかわいそうな人たちと教え込まれてしまった人。
吃音至上主義はオカシイなと思う人。

どうしたらよいでしょうか?
これは既存の吃音業界ではなく、発達障害業界の団体にもつながってみるべきです。
そして、自分の目で確かめることが大切になります。
発達障害のある人の当事者会、規模の大きい法人格を持った団体、保護者の会、発達障害の家族をもつ医師の会などいろいろあります。



――吃音業界は絶対に過去を反省しない、あやまちをなかったことにするのか?
吃音業界はなぜ吃音が発達障害者支援法に入っていたことを隠匿隠蔽したこと。発達障害児者を差別する言動をする人。これらをなかったこと、見なかったこと、存在しなかったことにするのでしょうか?

報道されただけで2名の自死を選んだもの。報道されていない、不登校、ひきこもり、自死もあるかもしれません。2005年から存在した発達障害者支援法、これらが隠されたことで悲しい思いをした吃音当事者、その家族は、今現在進行系で困っているかもしれません。8050問題という高齢の親とその子どもがひきこもりで困っているということも今大きなニュースになっています。吃音で困っている、困っているまま時間が流れている人もいるかもしれないのです。

2019年現在、吃音当事者、その家族は、本当に自分たちが参加している吃音業界の団体は大丈夫なのか?差別をする人を理事や運営委員にしていないか・なっていないか?吃音以外の発達障害がある人を受けれ入れているか?吃音以外の発達障害がある人も団体の理事や運営委員になれるのか?などをしっかり確かめてください。

そして何よりも、発達障害者支援法のこと、法があったのに自死する人を出してしまったことについてホームページ上で過去を検証し反省しているのかどうかをよく確かめてみましょう。

2018年9月30日日曜日

吃音業界はまた乗り遅れてしまっている 厚生労働省 平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係

厚生労働省 平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係

https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/19syokan/03.html

現在、厚生労働省が平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係を公開しています。
発達障害関連の部分は【発達障害児・発達障害者の支援施策の推進 5.0億円(4.1億円) 】とされています。

吃音業界の声は残念ながら届いていないのが現状です。(既存の吃音業界から離れて、独自に行動し接点をもつ吃音団体もあると報告されています)吃音業界が動かない中、昨年に引き続き発達障害関連の予算は大きく動いています。これから吃音、吃音を含め発達障害全般について吃音当事者やその家族の未来はどうなるのかとても心配です。吃音当事者や保護者家族の中には声を伝えたい。吃音と吃音以外の発達障害もあるけどどうしたらいい。既存の吃音業界では真剣に対応してくれない。相談をしても解決しないまたは相談できない。既存の吃音業界は行動してくれない。などと考えている人もいるでしょう。これからどうなっていくのか、何ができるのかを吃音当事者や保護者家族が真剣に考える時期なのかもしれません。吃音業界が乗り遅れ、周回遅れになればなるほど、困っている吃音当事者や保護者、合理的配慮をしてほしい、診断書がほしい、精神障害者保健福祉手帳のための診断書がほしい、どこの病院にいけばいい、吃音を理由に差別をうけた、吃音理由に職場を解雇されそうだどうしたらいい?、などなどたくさんの困りごとが継続していくでしょう。


関連記事 吃音業界乗り遅れ、周回遅れ伝説の1つです
吃音業界はなぜ場面緘黙業界やトゥレット症候群の団体のように日本精神神経学会パブリックコメントへ何らかのアクションをしないのか?

2018年7月1日日曜日

【吃音Q&A】吃音による精神障害者保健福祉手帳申請書類の記入例・吃音で障害者手帳を取る方法

【注意 この記事は発達障害当事者が書いています】
その他の注意として、SNS等インターネット上のサイトにて「吃音が軽度だと精神障害者保健福祉手帳は取得できない」という誤った情報、デマが令和時代になっても拡散しています気をつけてください。さらに精神障害者保健福祉手帳を取得するまえに吃音の治療や改善訓練のステップが必要であるという「医学モデル」を振りかざす医師もいますので気をつけてください。医学モデルがまだ残っているのが吃音業界だと認識してください。当事者の困りごとに親身に寄り添い、それを助けてくれる医師と巡り合ってください。


――― 吃音を診療する精神科医師はどこにいるのか?

2005年から吃音が発達障害者支援法に含まれていることは2014年7月に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターがHPを更新し、発達障害の説明に吃音を入れたことで大きく日本中に広がりました。(本来なら国立障害者リハビリテーションセンター病院の吃音外来がもっとはやく周知すべきだったのですが『なぜか』それが実施されず発達障害情報支援センターからの情報として再度周知されました)

しかし、従来から吃音は耳鼻咽喉科医師の領域となっていたため、精神科医師が吃音を診療するというのはなかなか難しいことです。その理由は、音楽家のゴーストライター問題があり、その後、聴覚障害者の診断は特殊な検査方法を用いて行うということのガイドラインが役所より出ることになりました。吃音も『患者が吃音を演技し装う』ことが容易にできるという課題があります。映画英国王のスピーチ、フジテレビドラマ・ラヴソングを視聴すればわかりますが、吃音の言葉うまくでない、話せない、発話発語発声ができないという症状は簡単に演じることができます。

それゆえに、精神科医師は、この人が本当は演技しているのではないか、障害者手帳が欲しいから故意にやっているのではないか。ここがリスクなのです。精神科医師でも吃音を発達障害として診療し困っている当事者のために、障害者手帳申請書類や年金申請書類を書くとなると、客観的な証拠が必要になります。証拠の種類としては、幼稚園、保育園での指摘、小学校、中学校の通知表・評定表。これらの書類に吃音が出ている、ことばの教室、ことばときこえの教室に通級していた、耳鼻咽喉科医師のこの患者は吃音であるという紹介状。これらがあると精神科医師も吃音を認めてくれる場合があります。いきなり大人になって、いままで一度も病院に行っておらず、いきなり自分は吃音なんです。助けてくださいと精神科医師に頼んでもこれは大変困難です。

根本的な問題として、吃音を診療するという精神科医師は表向きにはその情報を公開していません。こっそり診療しているということが多いのです。ホームページに公開するなど大きな告知はしていません。

病院をさがす場合、お住まいの地域の発達障害支援センターに質問することが早いでしょう。または発達障害を診療しているという病院に自分で問い合わせるしかありません。その他にも各地の言語聴覚士会に質問するという方法もあります。言語聴覚士の中には『発達障害を持った子どもや大人』を診療するという精神科病院、子どもクリニックなどに所属している方が一定数いるからです。吃音業界に近い言語聴覚士とは異なり、発達障害のことをしっかり理解しているため、その点でも安心です。

いずれにせよ。国、厚生労働省による『吃音診療ガイドライン』の発表があればと思います。吃音かどうかの鑑別診断は耳鼻咽喉科、その後、手帳や年金を利用したいなら紹介状を貰い精神科医師につながるといった具合です。吃音を訓練して治したい手帳や障害枠採用を使いたくないという考えの人はそのまま耳鼻咽喉科でよいでしょう。

※そして、なぜ2005年から開始された発達障害者支援法が吃音業界で共有されなかったのか。これはとても悲しいのですが。吃音業界の団体は軒並み「吃音は障害ではない。障害者手帳の交付対象と啓発するな!吃音が精神障害だと思われたら困るだろ。吃音が発達障害だと思われた困るだろ。彼彼女らと同じだと思われるなんて嫌だ。吃音があっても堂々と吃れ。堂々とどもって生活している先輩を見習え。社会保障制度を使う吃音者は恥である。税金の世話になるのは恥である。合理的配慮を受けるのは恥である。障害者枠で働くのは恥である。障害者枠で働くと保護者や親戚と同じ生活レベルを維持できなくなる。」などという吃音至上主義があるからです。これは困っている吃音当事者には本当に悲劇です。

吃音至上主義に洗脳されてしまう保護者さんもいます。子どもに障害者枠で働くな!!とパターナリズムを振りかざす保護者も出てきます。吃音のある学生が障害者枠で働きたいと思ってもその道を閉ざすように動く毒親です。毒親問題は発達障害当事者の間でも深刻な問題となっています。保護者のもつ「普通」という価値観、「自分たちと親戚たちと同じ生活レベルを維持しろ」という価値観の押しつけです。この場合吃音のある学生や大人は別として。発達障害業界では、毒親と決別する。自宅から出る。自宅から出る際にお金の問題などがあれば医療機関やソーシャルワーカーに助けてもらい問題を解決する場合もあります。吃音のある学生、大人でもそうですが。吃音以外にASDやADHDがあればなおさら、家族といえども干渉される、価値観を押し付けられると大変な苦痛や混乱、戸惑い、感情が不安定になったりします。もう一つの視点として、そもそも吃音を含む発達障害は遺伝(吃音業界ではなぜか「なりやすい体質」として遺伝という単語を使うのを避けます)の可能性もあるため。毒親・親戚がそもそも未診断の発達障害当事者であることも想定されます。これは発達障害業界ではまあまあ報告される事例です。親子の生活圏を分離させてやっと「お互い」に少し平穏が戻ったということもあります。以上のことから吃音業界の毒親問題。これは深刻であると考えます。

別記事
【吃音Q&A】吃音のある人の就職活動ガイドライン 吃音者はなぜ就職困難者が多く、一方で成功している吃音先輩は後輩を助けないの?


――― 東京都内で吃音を診療すると東京都発達障害支援センターからのアンケートに回答している医療機関

東京都の発達障害施策のページに、吃音やトゥレット症候群を診療するという病院
のリストが掲載されています。「病院」、「診療所」で大きく分かれています。
さらに、「小児科」、「児童精神科」、「精神科」で分かれています。
そのため、事前にその病院に問い合わせることが必要になるかと思います。
実際に、この公開情報をもとに病院に行った方。その際の診療方針や状況についてメールで教えていただけると幸いです。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html

――― 吃音を主訴にして身体障害者手帳を申請できるのか?

吃音を主訴にして身体障害者手帳(音声、言語、咀嚼機能障害)を取得したという事例が少数ですがあります。しかし吃音は身体障害認定基準別表に含まれていない障害です。15条指定医も吃音で身体障害者手帳申請書類を書くことを躊躇する人もいます。これはゴーストライター問題のときと同じで医師自身にもデメリットがある。そもそも4級程度に本当は該当しないのに、吃音で「家族又は肉親との会話は可能であるが、家庭周辺において他人には殆ど用をなさない、コミュニケーションは難しい」と偽った申請書を書くことは社会通念上、倫理上ゆるされないことです。3級の認定基準は発語発声に必要な器官の喪失です。吃音当事者でも吃音を主訴にして身体障害者手帳4級を取得したという人がいますが、家族や肉親以外とも会話ができていることが多いです。(このような不正な申請を見かけたら自治体に通報しましょう)こういう背景もあり15条指定医師は吃音を身体障害者手帳の対象であると認めないことがあります。また、すでに発達障害者支援法に吃音が含まれていること、発達障害による精神障害者保健福祉手帳の申請は日常の困りごとが軽度でも存在すれば取得することが可能なため精神障害者保健福祉手帳をすすめてくる場合もあるでしょう。

今現在、身体障害者手帳4級をもっている吃音当事者はそれを大切にしましょう。

吃音が身体障害者手帳の交付対象になっていないことの原因は吃音業界、当事者団体が発達障害者支援法ができる以前に障害者運動をしてこなかった歴史が関係しています。発達障害者支援法ができるより以前に障害者運動をしっかりして身体障害者手帳に制度の中に明確に吃音を含むようになっていれば別の未来があったかもしれません。それに間に合わなくても発達障害者支援法ができた当初から発達障害業界、発達障害児者団体と連携して障害者運動をしていれば吃音を苦にした自殺自死も避けられたかもしれませんし、吃音を苦にして、自治体や病院に相談したが吃音は障害じゃないと言われ門前払いされひきこもりになってしまっている人にも別の未来があったでしょう。

なお、精神障害者保健福祉手帳は身体障害者手帳のように「障害レベル、重度かどうか、明確な数値レベルがありこれ以上だと何級、これ以下だと非該当」という物差しはありません。日常生活、学校生活、職場生活、社会生活でできることできないこと。(他人や例えばブギーボードなどアイテムに)助けてもらえばできることできないこと。電話や挨拶や朝礼や発表の免除、減免などの合理的配慮をしてもらえているならそれを希望するなら精神障害者保健福祉手帳3級は取得できます。1年間365日学校でも職場でも日常でもどんな些細なことでも困っていれば3級は取得できるのです。職場では困ってないけど日常で困ってますでも手帳は取れます。その逆もです。


――― 吃音で精神障害者保健福祉手帳を申請する方法とは

東京都であれば区役所または外部の●●センターなど、市町村で所定の書類をもらいます。
申請者が記入する書面と、医師が記入する書面があります。
これらを入手して、医師に診断書を書いてもらい。
なおかつ、申請者が記入する書面を記入し、診断書と一緒に
最初の窓口に持っていきます。
(なお、この際、医師が書いた診断書は中身を開いて、コピーして保管おきます。
提出の際に病院の封筒から出ていても特に注意されません。障害年金申請の際もそうです。ただ、障害年金の場合は社会保険労務士に委託するほうがセオリーです。
診断書を改ざんした場合は罰せられます。)


これで申請は完了です。
あとは審査を待つだけです。


東京都であれば、医師が記入するための書類はインターネット上に雛形があります。他の道府県も同様かと思います。
東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/download.html



吃音は耳鼻咽喉科医師が精神障害者保健福祉手帳の申請書類を記入できることになっていますが(医師免許があればOK)。本当は精神障害者保健福祉手帳2級になる人が、3級になってしまうという事案もあるため。精神障害や発達障害の精神障害者保健福祉手帳申請診断書、精神障害や発達障害で障害年金申請をしたことがある精神科医師のほうがよいです。

後述する「ひとりで食事ができるとはどういう事?」を理解している医師でないとなりません。吃音で2級が取得できたはずなのに3級ということはあってはならないことです。

また、自立支援医療(精神通院)の「重度かつ継続」に関する意見書は精神保健指定医の番号を記入する欄があります。この視点からも発達障害や精神障害を診療する医師が吃音のことをもっと知っていってほしいと思います。耳鼻咽喉科医師の経験、申請書類の記入方法では対応できない現実もあるのです。



――― 吃音で精神障害者保健福祉手帳を申請する場合診断書に何が書かれているのか?
こちらが診断書の書式です。
今の時代、医師はPCで記入して印刷して、記名捺印するのがセオリーです。






―― 重要な部分 病名をかく部分 ICDコードを記入
(さらに重要なことですが、吃音のある当事者さんは、自分自身にある発達障害が吃音だけなのか? 本当はそれ以外の発達障害があるのではないかと調べることを強くオススメします。このあと記事中に理由が書いてありますのでもしかしたら!と思う人は是非)

(1) 主たる精神障害 吃音症 F98.5
(2) 従たる精神障害 
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


ここが最重要です。
主たる精神障害は吃音単独になるか。それとも――。
さらに従たる障害として「気分(感情)障害)」、「発達障害」が記入されるでしょう。

精神障害者保健福祉手帳は発達障害単独でも問題ないです。
うつ病や社交不安障害が無いと精神障害者保健福祉手帳を取得できませんというデマ、ウソが流れています。そもそも発達障害があって困っている状況が悪化して、さらに二次障害が発生しないと手帳を取れないというのはおかしいですよね。発達障害で困っている人が深刻なダメージを受けないといけない? 違います。深刻なダメージを受けないように、守備するためのイージスが精神障害者保健福祉手帳です、合理的配慮です。学校や職場で合理的配慮を受けるために必要な場合はその事を精神科医師に伝えましょう。それも踏まえて診断書を書いてくれます。精神障害者保健福祉手帳は更新制度なので、その人が望む限り、医師は診断書を書いてくれます。

この際重要なのは後述していますが。「困っていること」、「大変なこと」、「吃音があってできなかったこと、人つきあいや手続きを避けていること」、「吃音が問題にならない環境はどこかとどんどんそちらをさがしてしまうこと、本当にやりたかったことを諦めたこと」、それらを事細かく、フラッシュバックする思い出であっても文章に書き起こすことです。どのような些細なことでも。1から100ではなく、1から10000までの詳細さで書き起こすことです。


たとえば発達障害当事者でも発達障害があることを隠して一般枠で就労しているのに、精神障害者保健福祉手帳2級という人もいます。ありとあらゆる手段、方法、スマートフォンアプリ、服薬、ソーシャルスキルトレーニング、認知行動療法、ストレスコーピング、当事者会での相談、病院医師や支援職と相談などなどで「健常者・定型発達者」に適応する、ついていく場合があるからです。さらに仕事は辛うじてできても、自宅がゴミ屋敷、片付けできない、金銭管理ができない。清潔さが維持できない。同居の家族やパートナーが全部家事をやってくれるという場合もあります。仕事はできるが、仕事にいくまでの準備や日常生活の必要な作業や買い物は誰かがやってくれるという場合もあります。サービス受給者証を使い、部屋の片付けや掃除、家事を支援者に手伝ってもらう一般枠就労発達障害当事者もいます。

ということで、吃音のある人も、一般枠就労で精神障害者保健福祉手帳を取得することも事実上、可能な訳です。ただ、発話発語の発達障害である吃音の場合は学校や職場において『どもれば・話せばバレる』のでそこは事例研究が必要になるでしょう。



たとえば吃音もその他の発達障害を持っている場合は
(1) 主たる精神障害 自閉症スペクトラム障害 F84
(2) 従たる精神障害 吃音症 F98.5
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


のようになります。
主たる精神障害と従たる精神障害の順番の違いは医師の判断になります。
主たる従たる精神障害がダブルで発達障害ということになるので、精神障害者保健福祉手帳の更新は、自発的に取りやめる場合を除き、死亡するまで更新できるでしょう。法律が変化した場合は別です。

このようなこともあるので、吃音のある当事者さんは、発達障害があるかどうかを調べる、心理検査、知能検査を受けることをオススメします。吃音だけが生き辛さかと思っていたところ本当は別の発達障害が併存しており生き辛さにつながっているという場合もあります。読み書き計算などは通知表や評定表でなんとなくわかりやすいです。字が汚い。罫線がないと書きにくい。または罫線があってもずれていく。書き順がわからないが文字を映像、画像として記憶していて、なんとか社会生活を乗り切っている。計算が本当はできないけど文明の利器で乗り切っているなどもあるかもしれない。発達障害の中でも五感視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の過敏や鈍麻は当事者だけでは気付くことは大変困難です。発達障害を診療する精神科医師でもなかなか難しいことです。発達障害当事者が発達障害先輩当事者が書いた書籍やニュースを見て『これ私だ!』となることがあるくらいです。そのときにはもう大人になっていて、安心安全な学校で合理的配慮を受けて、もっと勉強できたかもしれません。大人になってから学校が嫌いだった、真剣に集中できないことが多くて勉強があまりできなかったと後悔する人もいます。

発達障害当事者によくある、あるあるネタで、そもそも発達障害のある当事者はその見ている、感じている世界の感覚が通常であると勘違い・思い込みしているためです。たとえば音やニオイの感覚過敏がある発達障害の症状がある人は「自分以外の人もこのうるさい世界を我慢しているんだ。この騒音や人混みが大丈夫なんだ」と思い込んでいるため。病院に行こうという状況にすらならないのです。定型発達、健常と言われる人々は軽く受け流すとか不快感を感じていないのです。事例 → エアコンや冷蔵庫や扇風機の音は気になりませんし、ビルの玄関・入り口に設置されている、一定の周波数の音がでる装置(害虫、害獣対策の超音波?)は苦になりません。洗濯洗剤や柔軟剤や香水のニオイは気になりません。リコーダーや笛の音は気になりません。光の眩しさも気になりません。人がたくさんいる居酒屋やファミレス、パーティでも目の前の人と会話ができます。他の音や他の人の会話や店員の会話が耳に入ってくるなんてことはありません。身体が極度に疲れる前に空腹がわかります。何かを食べようとします。 定型発達、健常者と言われる人は「強い極度の不快感を感じません」、「発達障害のある人は強い極度の不快感があったとしても、それを当たり前に生まれた時から経験しているので世界はそういうもので、自分以外の全員がそれを経験して我慢しているんだから自分もそうならないといけない」と思い込んでしまうのです。吃音のある当事者も、自分自身の生き辛さは本当に吃音だけなのか? を調べることをオススメする理由です。吃音のある子どもの場合はまだ適切に困りごとを表現できないかもしれません。保護者がわかるのは、子どもがある場面を避ける。子どもがある場面になるとスペックが低下する、疲れやすい、やる気を失っているなどがある場合。「どうしたの? 何か辛い? うるさい? 臭い? 眩しい? 呼吸がしにくい? 音が聞こえにくい? 変な音がする? 他の人の声が気になる? 空腹なのにそれを忘れている? 水分がほしいのにそれを忘れている? 肌の感覚がへん? 服を脱ぎ捨てたい?」などを子どもと会話してみましょう。保護者も発達障害の人が生きる世界。感覚過敏の世界、感覚鈍麻の世界を事前に知ることが必要になります

こういう視点からも耳鼻咽喉科医師が吃音を診療するだけでは、当事者の困りごとが他にあるかもしれない。という診察での見立てや質問をすることが困難な場合があります。発達障害を診療する精神科医師なら、発達障害のある人の五感の過敏や鈍麻、発達障害のある人特有の言い回し、発言、説明の仕方、外見、表情、服装、持ち物、こういう事経験ありますか? これは? こんなことは? と診察で質問する、またはそれを引き出す質問の仕方をする。初回面談で精神保健福祉士や心理士が話をする場合も多いです。発達障害の特性を理解しているため、発達障害児者に対する質問の投げかけ方が異なるのです。これは吃音業界の耳鼻咽喉科医師や言語聴覚士ではできないことです。また、可能な限り、母子手帳や小中高校生時代の通知表や評定表を調べることもします。精神科医師・福祉従事者はこのように当事者の困りごとを調べて、そして幼少期から読み取れることはないかなどを調べます。
となると耳鼻咽喉科医師は吃音以外に当事者が困っているかもしれないことを見落とす、見立てをできない、気づくことないという結果になり最終的に耳鼻咽喉科医師だけでは、吃音当事者は「吃音だけで困っている」と判断してしまうでしょう。ここで本来は精神障害者保健福祉手帳2級程度の人が3級になってしまう問題が出てくるのです。

菊池良和医師が執筆した、監修した書籍にも吃音とそれ以外の発達障害の合併が指摘されています。「吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討 - J-Stage」という報告もあります。吃音のある人の中に、吃音しか持っていない人。自閉症スペクトラムやADHD、LD、チックを持っている人もいるかもしれません。また、不器用さという視点で発達性協調運動障害があることも。発達性協調運動障害の詳細はリタリコ発達ナビを→ https://h-navi.jp/column/article/35025585

また、自閉症スペクトラムのある当事者、ADHDのある当事者の中にも吃音をもっていて吃る人がいます。(診断がついていないことが多い。吃音者から見ればすぐわかる。2014年に発達障害情報支援センターや厚生労働省が吃音が発達障害であると再度周知を行ったおかげで逆に発達障害当事者が吃音があることもわかったという事例が出てきており、精神障害者保健福祉手帳申請時に主たる障害、自閉症スペクトラム、従たる障害、吃音症と診断できるようになったため、等級が重くなる、更新しやすくなったというメリットが報告されています)

実は吃音のある子どもの保護者や親戚縁者に発達障害当事者がいるかもしれない問題
さらに発達障害は遺伝の関連もあります。(筆者も親戚に発達障害当事者がいることがわかりました)お子さんが吃音だった、吃音以外の発達障害だったということは、父母、祖父母、父方、母方の親類親戚縁者で吃音の人。発達障害の人。ちょっと変な人。キャラが濃い人。こだわりが強い人。不思議な感じの人。衝動的な人。距離感がわからない人。引きこもっている人。結婚できない人。結婚はしていたけどパートナーがカサンドラ症候群になり離婚。正月やお盆などに本家や大本家に集合した場合、入ってはいけない部屋がある。またはいつも絶対に集合しない人がいる。いないことになっている。(いないことになっているどこか遠くにいっていることになっているが実はその集まった本家や大本家のどこかの部屋にいる)などなどが存在するかもしれません。もしくは父母がそもそも「発達障害特性」を持っているかもしれません。意外とお父さんお母さんはそういう経験があるのではないでしょうか。そういう経験が子どもの吃音が社会でどう見られるか、どういう仕打ちをされるか。などを想像できてしまうかもしれません。それ故に吃音を障害にしてはいけない、自分の子どもは障害者ではない。彼らと同じになってはいけない。という吃音至上主義につながるかもしれません。



吃音しかないけれど気分障害、社交不安障害など持っている場合は
(1) 主たる精神障害 吃音症 F98.5
(2) 従たる精神障害 障害名 FコードXXX
(3) 身体合併症
身体障害者手帳の有無 種別等級


純粋な吃音者がどれくらい存在するのかは別として。
吃音症と気分障害、社交不安障害などを記入することになります。


――― 発病から現在までの病歴及び治療内容等
次にこの部分です。
ここはあらすじを書くところです。いつから、なにがあった、何で困っている、トラブっている、特別支援学校・学級・通級の利用有無、仕事のトラブル
などが短い文書にまとめられます。


――― 現在の病状、状態像など 
ここには診断書の(11)と(12)の部分が記入されるでしょう。
11に自閉症スペクトラム、12に吃音という例になります。



――― 4の病状、状態像等の具体的程度、病状、検査所見等 
※おおむね過去2年間の状態について記載してください
ここは障害や病状が具体的に何がどうなっているかを記入します。

対人関係のトラブル、衝動性がある、感覚過敏がある(音、光、におい)、吃音があるため、発話・発語によるコミュニケーションも円滑に進まない。

検査所見として心理検査、知能検査の数値も記入します。
WAIS3、WISC4など。ISS、NRTなど。 
FIQやVIQやPIQなど。
FSIQ VSI PRI WMI PSIなど。



――― 生活能力の状態 (2 ア イ ウ エ オ カ キ ク)
※おおむね過去2年間の状態について記載してください

ここは診断名に続き、重要な部分です。医師にしっかり記入してもらわないといけません。困っていること、できないことをしっかり医師に評価してもらうこと、その評価のために「私の困っていることリスト」、「私の黒歴史ノート」、「私の人生はこんなに大変でしたノート」を医師に印刷して手渡すことが大切になります。ここには日常生活、学校、職場、窓口などありとあらゆる場面のことを書きましょう。
1から100までではなく。1から10000まで、事細かく、ここまで書くかと自問自答するほど、詳細に書き起こしましょう。フラッシュバックすることもあるかもしれませんが、それくらい詳しく書く必要があります。精神障害者保健福祉手帳を申請するときは、「一番最悪な状態、一番困っているときのことを」思い出しながら書くというイメージです。それを医師に伝えるのです。
(これは初めて精神科医師、精神科病院に行ったときの初回面接や医師とのファーストコンタクトのときに手渡しましょう。更新の際は、日々の通院で、最近こんな失敗や嫌なこと、不利益があったと報告しましょう。定期通院での報告、これらは医師が重要視します)


障害年金申請の考え方と同様です。
そもそも発達障害診療に強い、精神科医師ならそこは理解していると思うので当事者との問診や心理検査や知能検査、日常生活はどうなっているか? 詳しく聞いてくるはずです。

「ひとりで食事ができる」とは、コンビニ弁当を買う、カップ麺を食べることができるなど ではありません!!吃音によりできないことも事細かく、こういうことができない。こういう機会を失ったと医師に理解してもらうのです。


ひとりで1日3回の食事を、栄養計算して、冷蔵庫をみて、どんな料理にしようか考えて、予算(収入)と相談して、持っているお金のうちの何%は食費に使えるか考えて、何を買うか考えて、お店に一人で行き、その道のりまでに安全に移動できるか、商品を選んで、お金を支払い、お釣りを間違わず受け取り、お釣りが間違っていれば指摘し、帰宅後に調理をする、火を使い、包丁をつかい、お皿をあらう、ゴミ捨てをする。

などのように1から10000までのこと。これが含まれているのです。


ひとりで食事できますか?「あっ これできる」
は間違いです。

吃音のある人の場合は、話せることもあるのですが。
困っているとき、話せないときのことを、吃ってしまうことにより不利益があったこと。しっかり医師に表現してもらうことが大切になります。



吃音のある人の場合、下記の部分が重要になります。


吃音のある人の場合、言葉を話すことが難しいとき、家族や友人、パートナーに「援助をしてもらう」、「助けてもらう」本人に変わって意思疎通の過程を行ってもらう、発話発語以外の手段を「周囲に理解してもらい助けてもらう(発話発語が発生しないルートで予約であったり買い物をする等)」という援助を受けている。普段は
これらを考えましょう。【援助があればできる】これが大切になります。

「エ 通院と服薬」
通院が一人でできるか。誰かと一緒に行くか。
次回の予約や病院窓口とのやりとりが上手くできるか。誰かにやってもらうか。
不安を解消するための服薬はあるか。
現在の制度上も可能ですが、実行されている病院があればです。
自立支援医療(精神)で「言語聴覚士による指導」は可能です。
発達障害を専門とする病院が言語聴覚士まで雇用していないだけなのです。
ということで、吃音のある人は、3割負担よりも安く、通院、処方箋、言語訓練が可能になります。
東京だと、発達障害を専門にする病院に言語聴覚士もいる事例もあります。
今後、吃音も診療します。言語聴覚士がいます。という病院が増えることを願っています。



「オ 他人との意思伝達及び対人関係」
家族や友人、学校の友人や教員、職場の同僚などに助けてもらう、吃音がある人だと理解してもらっている状態、事前に説明してもらうなど。テキストチャットやメール筆談での対応がある・対応を認めてもらっている。普段は吃音のことは触れられないが当事者が吃音の調子が悪いようだと周囲が察して動いてくれる。

電話を使える場所なのに、メールやファクスをさがす。いちいち実際にお店の窓口まで訪ねていってしまう。吃音のない人が発話発語で済ませることをできないという事実を医師に書いてもらうことが大切になります。

1から10000までのとても広い視点・細部まで考えて、「あっ、そういえばこの場合は助けてもらってるじゃん」ということをまずは認識していくことが大切になります。当事者さんがこれくらいは吃音だからって甘えちゃだめだよなと自己判断しないで、これは困っていることだと認識することが大切です。
吃音があることにより、こんなにたくさん意思伝達がうまくいかない。
対人関係について課題がある。
友好関係の維持もそうですし。本当は話しかけたい・参加したかったけど、吃ることにより、返事のタイミングを逃してしまうとか。本当はヒマなのに用事があるとウソを言ってしまうとか。

吃音があることにより人生においてこんなにも機会喪失がある。ということをしっかり医師に伝えることが大切になります。


「カ 身辺の安全保持及び危機対応」
ここはどもってしまうために危機対応ができない場合を想定します。
危機を理解していても話せないため、どもってしまうその時間、秒のために危機対応できないこともあるでしょう。吃ってしまうことにより周囲にSOSを出せないという状況もあります。自分が怪我や事故に巻き込まれても、110や119に電話できない。目の前で犯罪行為があっても、通報できない。または目の前で誰かが「助けてくれー。そこの人!」と言われても吃ってしまうから見なかったことにするなど。

警察官に職務質問を受けても吃ってしまうために、違法薬物をやっているのではないかと、応援の警察官を呼ばれてしまったということもあるでしょう。こういうときに精神障害者保健福祉手帳は強い力を発揮します。

吃ってしまう時間=吃る時間
という数秒から数十病の時間があるために、スムーズに流暢に話せていれば巻き込まれなかったはずの無用なトラブルを招いてしまうこともあるのではないでしょうか?


「キ 社会的手続き及び公共施設の利用」
これは市役所など窓口、銀行、病院、何らかの契約、ありとあらゆる公共施設や公的機関、公的機関に準ずるもの。年金事務所でも税務署でも裁判所でも法務局でも健康保健センターでも、公共交通機関でも。どのようなものでもです。
学校でもそうです。

人間社会で必要な手続きや施設の利用が吃ることにより、うまくいかないこともあるでしょう。

 「ク 趣味・娯楽などへの関心、文化的社会的活動への参加」
これは吃音のある人には厳しいですよね。
外に遊びに行く。イベントに行く、他の人と交流する。
新しい人間関係をつくる。
趣味の仲間をつくる。
世間話をして人間関係を維持する。
吃ることによりできないですよね。
難しいですよね。
機会があっても避けることもありますよね。新しい人間関係や趣味の世界、新しい何かを実行したい。でも吃ってしまうから、吃ってつらい経験をしたくないから、笑われたくないから、やっぱり諦めようとなってしまう等。
学校や職場に行くだけで精一杯ということもありますよね。それだけで精神をすりへらしてしまう、吃らないように頑張って疲れてしまうこともあるでしょう。




――― 生活能力の状態 (2 ア イ ウ エ オ カ キ ク)の具体的程度、状態像
この部分に
吃音があることにより、対人関係の維持構築困難、社会参加できる範囲が限定されている。吃音のために自己防衛するため故意に狭い世界で生活している。上手く話せないことによりトラブルが起きたり、巻き込まれたりする、不当な評価や扱いを受ける。多くの援助を必要としている。

などを書いてもらえるようになると良いです。




―――最後に
吃音が軽度でも精神障害者保健福祉手帳3級は取得できます。
それは「このくらいの吃音じゃダメだろう」という当事者の思い込み。吃音を診療する医師が「このくらいの吃音で障害者手帳を取るなんてダメだ」という独特の価値観を持っている、価値観を押し付けるタイプ、以上の場合の悲劇です。

そして、精神科医師の視点から見る「困っている状態」の書き方を理解しているかどうか。耳鼻科医師が精神障害者保健福祉手帳は取れないね。というのは、精神障害者保健福祉手帳の申請診断書の「困りごとの表現」を熟知していないからです。また、言語訓練などにより吃音が改善したからこの状態なら大丈夫ですね手帳申請はできませんという意味不明な価値観も含まれます。(吃音以外の発達障害当事者だって就労移行支援事業、SST、服薬などなどで中度から軽度になっている人でも手帳を取得できます)

軽度の吃音とは、挨拶ができない言えない、学校名社名が言えない、電話ができない言えない、窓口手続きができない、お店で注文できないなどなどです。そして困っていれば3級は取得できます。就労現場でも電話の免除や挨拶や朝礼の免除、発話発語に関係する合理的配慮があれば3級は取得できます。

例えば発達障害を診療する著名な精神科医師でも精神障害者保健福祉手帳を持っている事例があります。世間から見れば「医師免許を持っているのに障害者手帳を持っているだと!なぜだ!メディアにも出演しているし、書籍も多数出版しているぞ!」となるかもしれませんが。「困りごと」があればいいのですから取得できるのです。


精神障害者保健福祉手帳は身体障害者手帳と違い、「明確な診断基準、数値による線引がありません」ここがとても重要なのです。例えば吃音が身体障害者手帳になってしまえば、明確な診断基準、数値により、ここからここまでが●級となってしまうため、軽度の吃音当事者がカバーできません。全員切り捨てられます。

発達障害者支援法と精神障害者保健福祉手帳の概念は当事者が困っているかどうか。できないことがどれだけあるか。吃音状態が発生しないように言語訓練や当事者独自で編み出した方法頑張っていても(その他の発達障害も同様で発達障害特性により何かトラブルや失敗が起きないようにSSTやアプリケーション、服薬、ありとあらゆる事前の準備や特性に合わせた対処方法を使って頑張っていても)精神障害者保健福祉手帳は取得することができるのです。

2018年6月13日水曜日

吃音が含まれる労働保険審査会資料を精神障害の件、自殺の件 2件紹介

厚生労働省の労働保険審査会が公開する資料に吃音について書かれたものが2点ありましたので紹介です。(公開された文書は最下段に掲載)
リンク先はこちら
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/roudou/saiketu-youshi/


関連記事
2013年、北海道で吃音看護師が自殺した。だが、本当は自殺を避けられたのである
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html
【重要なお願い】吃音業界は2005年4月から施行の発達障害者支援法を本当に知らなかったのか?なぜ2013年に北海道で吃音看護師が自死したのかhttp://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/12/200542013.html 

1.はどこかの大学で働いていた人の事例である。
労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めたが。棄却されたということである。


2.は吃音を持った看護師が自殺したことで。亡子が自殺に至るまでの経緯が記録されている。 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による遺族補償給付及び葬祭 料を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めたが。棄却されたということである。


筆者はこれを読んでいて本当に怒りや悔しさがある。克明な記録である。
しかし、法律上、ルール上、棄却ということになる。
この後、国を相手に行政訴訟するのかどうか?(棄却を知った日からX日以内が間に合っていればの話)
もしも行政訴訟まで行けば、毎日新聞社などから報道があるかもしれない。
行政訴訟となれば吃音業界の団体も、お金を援助すべきではないかと思う。
2018年は吃音者の世界大会!吃音者の世界大会!とお金がたくさんある団体なのだから。それくらいは大根を購入するような感覚だろう。


――― 克明な記録、じっくり読んでほしい 可能なら音読してほしい

「2経過」から音読してほしい。筆者が気になった部分を強調する。全文は最下段に。
看護師さんは病院で働いていた。

・請求人によれば、被災者は、入職後、同年○月頃から、指導の受け答えの時に 突っ掛かる、言葉が出ないなどからコミュニケーションを取ることができず、少 しずつ悩み始め、同年○月になると退職や自殺を意識し出し、精神的に病んでいったという

 ・看護師は、同年○月○日、事業場に出勤せず、自宅で死亡しているところを発 見された。死体検案書には、「死亡したとき:平成○年○月○日昼頃(推定)、直接死因:酸素欠乏による窒息(推定)、死因の種類:自殺」と記載されている。

請求人は、被災者の死亡は業務上の事由によるものであるとして、監督署長に 遺族補償給付及び葬祭料を請求したところ、監督署長は、被災者の死亡は業務上 の事由によるものとは認められないとして、これらを支給しない旨の処分(以下 「本件処分」という。)をした。 請求人は、本件処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」 という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄却し た(以下「本件決定」という。)ので、請求人は、更に本件決定を不服として、本 件再審査請求に及んだものである。


・(3)被災者の本件疾病発病前おおむね6か月間において、認定基準別表1「業務 による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」という。)の「特別な出 来事」に該当する出来事は認められない。 (4)そこで、「特別な出来事」以外の出来事についてみると、請求人及び再審査 請求代理人(以下「請求代理人」という。請求人及び請求代理人を併せて、以 下「請求人ら」という。)は、①認定基準別表1の具体的出来事「達成困難な ノルマが課された」に該当する出来事、②同じく「(ひどい)嫌がらせ、いじ め、又は暴行を受けた」に該当する出来事、③同じく「理解してくれていた人 - 3 - の異動があった」に該当する出来事、④同じく「上司が替わった」に該当する 出来事があり、①及び②の出来事による心理的負荷の総合評価はそれぞれ「強」 に該当する旨主張している。 (5)上記(4)の請求人らの主張を踏まえ検討すると、以下のとおりである。 ア 上記(4)①の出来事についてみるに、請求人らは、被災者は患者に対す る説明を行う前に、先輩看護師に向かっての説明練習を繰り返し実施させら れていたが、これは、事業場が被災者に対して突っ掛かることのない説明を 行うことを業務目標として課していたものであって、かかる業務目標はノル マに該当し、当該ノルマは流暢性障害を有する被災者にとって「客観的に、 相当な努力があっても達成困難なノルマ」であり、また、被災者に対する試 用期間延長の通告が「重いペナルティの予告」に該当することから、この出 来事の心理的負荷の総合評価は「強」に該当する旨主張する。


しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできな い。

↑これ。吃音者としては憤激しますね。
また一方で『プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』ということです。これが発達障害者支援法により、精神障害者保健福祉手帳を持っており、合理的配慮を事前に申し出て、雇用側と当事者が合理的配慮について話し合えば。落とし所があればどうなったのかとも思います。

『プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』

これについては、2018年現在でも、2017年の秋ころ放送されたNHKハートネットTV、吃音学生の就職活動を見た、発達障害業界の就労移行支援事業社、事業員、発達障害専門の病院医師などからは『吃音の人はなぜ、なぜ、なぜ、一般枠でカミングアウトしてしまうのか?』と不思議がる人もいます。なぜなら『プロのXXXXとして業務を遂行していく上での前提となる、社内やお客様との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』というのが、ほとんどのどのような職業でも当たり前だからだという理由でした。

吃音当事者の立場としては『吃音があったままでも、障害者手帳を持っていなくとも、職場は合理的配慮すべき。障害者手帳を持たずに働く先輩もいるから、この職場もそうするべき』だという主張もありますよね。

しかし発達障害のある学生や大人むけの就労移行支援事業を経営運営している人やその職員・支援職、企業団体の障害者枠雇用担当者はそうは思っていないという現実もあります。


・したがって、当審査会としても、決定書理由に説示するとおり、この出来事を「達成困難なノルマが課された」に該当するものとして評価することは できず、下記イのとおり、認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出 来事として評価すべきものと判断する。 なお、請求代理人は、被災者に対する試用期間延長の通告について、達成 困難なノルマに係る「重いペナルティの予告」に該当する旨主張するが、前 述のとおり被災者にノルマが課されたものとみることはできず、別途出来事 として評価すべきものである。そして、その心理的負荷の程度を検討してみ ても、当該延長は被災者の試用期間中の状況をみて総合的に検討した結果と して行われたものであって、不当なものとまではいえず、被災者には技術面 (採血・注射)の修得が不足していた旨のC課長の申述にも信憑性を欠くも のとみるべき事情もないところ、管理者であるC課長から被災者に対して今 - 4 - 後の課題を含め相応の説明がされた上で通告されたものと推認されることか ら、心理的負荷の程度は「弱」であるものと判断する。


なるほど、正式採用されず、試用期間延長になったのですね。これは初見でした。
看護師の場合は、当事者にとってとても苦痛なものだったことでしょう。
しかし労働保険審査会の主張する認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出来事として評価すべきものと判断するということになってしまっています。
吃音のある人が繰り返し繰り返し発話発語の練習をさせられるというのは労働保険審査会では通用しないということになる…。



話を変えます 発達障害のある人を解雇する方法のこと

これは2014年くらいからある2018年現在でも水面下で存在する『発達障害のある人を間違えて採用してしまった場合に去ってもらう虎の巻』にあることです。

最近だと、それを行使されたのではないかと思うニュース記事があります。当事者は発達障害の診断がついているかは不明ですがエピソードを読んでいるともしかしたら未診断の人なのかもと思える記述もあります。
新卒1年目で解雇された地方公務員の主張 http://blogos.com/outline/300401/

関連した記事でリタリコから
発達障害カミングアウトで退職に追い込まれた26歳。実体験から伝える、退職までの軌跡とこれから https://h-navi.jp/column/article/35026527


何れにせよなのですが。
発達障害があること見抜けずに間違えて採用してしまった発達障害者を解雇する方法。
これはまず。試用期間中に本採用しないことや、「普通解雇」にすることが前提となっています。また転職させるように仕向ける。障害当事者が自ら辞めると決断するように外堀を埋めるなどなど。
虎の巻によると、発達障害を持っていると思わる当事者が失敗したことを更にやらせること。当事者が失敗しやすいであろう業務に配置転換することが解説されています。
そして、重要なことがあります。手書きの業務日報を毎日記入させるのです。
手書きが苦手、筆記が汚い当事者の人もいるでしょう。
手書きの業務日報に今日の業務内容一覧を記載させます。
また、仕事上のミスがあった場合さらに始末書や反省文などを書かせます。
(この時点は他の社員や職員はやっていないことを自分だけさせられます。または他の人も表面上やっていても、これはターゲットを普通解雇するためだと知っているため適当に書きます。会社に残ってほしい人材についてはいい加減な内容でも不問です)

すでにこの時点にうつ病になりそうですが。
当事者の中には負けずに戦う人もいるでしょう。
しかし、1年ほどすると、業務日報と始末書や反省文を根拠に
「職務遂行能力が欠けているため、普通解雇します」という流れになります。
普通解雇は罰則もなにもないので、発達障害に限らず使われる手法です。

※当事者は業務日報を詳細に自分だけ書けと言われたり、配置転換の話があった場合
不自然なタイミングで人事が話をしたいと言ってきた場合
ICレコーダーやスマートフォンのレコーダー機能で会話を全て録音することを
おすすめします。業務日報を毎日提出しろと言われた場合は。職場の中でICレコーダーの録音を勤務中は全て行うことも大切です。雇用側が辞めさせようと画策する場合、言葉の暴力や理不尽な要求や、度をこした叱責などがはじまるからです。これが録音できていれば後々有利な武器になるかもしれません。


吃音のある人を合法解雇したければ
吃音の場合は発話発語が苦手なわけですから、配置転換をして話すことが多い部署に異動させて。そこで手書きの業務日報、仕事のミスやお客様からの苦情があれば(もちろんお客様は本当にお客様かわかりません、会社側が準備したお客様の可能性も)その都度、反省文や始末書を書きます。これが継続していけば、当事者はうつ病、適応障害、などなどにより自ら退職するかもしれません。(雇用主としては1番良い展開です)
次にここまでやってもへこたれずに働き続けると。いよいよ普通解雇が宣告されることになるのです。

避けることはできるのか?
現在、改正された発達障害者支援法の第十条の3 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/viewContents?lawId=416AC1000000167_20160801_428AC0000000064
『3 事業主は、発達障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の発達障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければならない。』この条文に書いてある「発達障害者の雇用」とは精神障害者保健福祉手帳を持っていても持っていなくてもよいという解釈が重要視されているからです。
これで立ち向かうことができるともされていますが。そもそも手書きの業務日報の段階に来ると当事者もそのような余裕があるとは思えません。このレベルでは、雇用側と対峙しているのではないかと思いますし。良い状態の関係に戻せないということもあります。




話が脱線しました元に戻します


・イ 上記(4)②の出来事についてみるに、請求人らは、流暢性障害を負って いる被災者に対して、突っ掛かることなく説明を行うという不可能ないし困 難な行為を求め、繰り返しの指導ないし叱責が行われており、これは、認定 基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受け た」の心理的負荷「強」の具体例「部下に対する上司の言動が、業務指導の 範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定する言動が含まれ、かつ、 これが執拗に行われた」に該当する旨主張する。 被災者の指導看護師の申述を踏まえると、指導看護師は、被災者が患者へ の説明等改まった場面において緊張から言葉が出にくくなるものと理解して いたと推認されるところ、説明練習を繰り返すことで、患者への説明を日常 の会話と同様によりスムーズにできるようになるものと期待して行わせたも のとみるのが妥当である。


吃音のことが全く知られていないことがわかりますね。
スムーズに淀みなく話せるようになるために。
説明練習を繰り返すことでスムーズに発話発語ができるようになると期待したそうです…。吃音のこと全然知らないですね。

 ・この点、D主任は、1日5、6回も練習をさせると被災者も気落ちするの で1日2回程度であった旨述べるのに対し、請求人らは、Eが、被災者は説 明練習を何十回もさせられていた旨やスムーズに発言できないのを承知でわ ざと被災者に言わせたり、失笑したりするスタッフがいた旨申述していることを主張する。


これは新潮45で連載された近藤雄生氏が書いた記事にもあったように思います。


・しかしながら、EがSNSでも個人的につながるくらい親密とす るC課長、D主任、F以外の事業場関係者であるGの申述をみても、Eの申 述内容を裏付けるに足るものは見当たらず、他方、被災者が事業場外で信頼 を寄せていたと考えられるHも、事業場に勤めるようになってからも吃音の 悩みやいじめのことで決定的な話は聞いていないと述べていることを併せ勘 案すると、説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する。 もっとも、関係者の申述を踏まえれば、被災者が叱責されていた事実が認 められるものの、被災者の指導看護師から業務指導の範囲を逸脱した言動が なされた事実を目撃した者はおらず、被災者が記録していた日々のメモ帳に もそのような事実の記載は全くないことに照らせば、説明練習の指導をもっ - 5 - て認定基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行 を受けた」に該当するものとみることは相当ではなく、被災者が説明練習を 繰り返し行わされていたことと叱責されていたことを併せ、認定基準別表1 の具体的出来事「上司とのトラブルがあった」(平均的な心理的負荷の強度 「Ⅱ」)に該当するものとして評価することが妥当である。 そして、被災者の指導看護師による叱責に関しては、指導看護師が厳しく 叱ったことがあるとし、Gも、若干言い方がきつかったのかもしれないと述 べており、被災者が厳しく叱責される状況も複数回あったものと認められる が、ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。 ウ 上記(4)③の出来事についてみるに、請求人は、吃音のある被災者に対 して、スムーズに発言できないことを責めるのではなく、教育効果を考えな がら接してくれた唯一の理解者であった同僚が、平成○年○月○日付けで別 の部署に異動になり、被災者に対して同様に接してくれた人はほかにいなか ったことから、被災者がますます追い込まれていった旨主張する。 しかしながら、この出来事は、被災者の本件疾病発病後の出来事であり、 本件疾病が死亡に至る間に悪化したとする事情は認められないことから、評 価の対象とはならないものである。 エ 上記(4)④の出来事についてみるに、請求人は、被災者の吃音を理解し 事業場に来るよう誘ってくれたI元看護部長が、被災者が事業場に雇用され る前に退職しており、その後任の看護部長も被災者の雇用時には交代し、被 災者が事業場で働き始めるまでの間に看護部長が3人も代わっているが、被 災者の吃音について看護部長間で引継ぎがきちんとなされていたのか疑問で ある旨主張する。 請求人が主張する看護部長の交代は、被災者が事業場に雇用される以前の 出来事であることから、これを業務による出来事として評価することはでき ないが、仮にこれを決定書理由に説示するとおり、J看護部長となっていた ことを知ったのが事業場に雇用された後のこととして、認定基準別表1の具 - 6 - 体的出来事「上司が替わった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅰ」)に該当す るものとみても、心理的負荷の強度を修正すべき要素はないことから、この 出来事の心理的負荷の総合評価は「弱」であると判断する。 (6)上記(5)のとおり、被災者には心理的負荷の総合評価が「弱」の出来事が 3つ認められるが、その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。 3 以上のとおりであるので、監督署長が請求人に対してした本件処分は妥当であ って、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。




説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する

(略)

ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。


と書いてありますが。
根本的に吃音とはどんなものなのか? が知られていないことが根底にあるように思えます。もしも仮に、就職の段階で吃音の説明、合理的配慮を申し出ることができればとも考えますが。看護師は一般枠就労を望んでいたと仮定すれば、それはできなかったでしょう。仮に一般枠就労で「XXX障害について理解せよ!合理的配慮せよ!」と言えば雇用側と争う状態にもなります。そうするとそもそも勤務先の仲間や上司との軋轢にもなるのでそういうカードは使えません。さらに、一般枠就労なので、看護師としてできて当たり前の業務はできなければいけない。障害者枠であれば免除や合理的配慮があるかもしれないが。一般枠なので発話発語訓練のノルマを課せられるということは避けられなかったでしょう。そもそも医療従事者の障害者枠はあまり存在しないということもあります。


・その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。


最後の文章ですが。
業務上の事由ではなく。また死亡に至ることも業務上の事由ではないとなっています。









吃音のある人の働き方は今後どうなるのか?

吃音のある人の働き方というのは
吃音があっても大丈夫だ! 一般枠で働ける!!
障害者枠は給与やすいし。障害者と一緒だと思われるよ!
吃音でどもりまくって仕事している!
という人もいますし。(真実かどうかは別です。本当は職場でカミングアウトしていない場合もあるでしょう)

何らかの訓練や改善方法や
自分なりの技術で吃音が出ないように、うまく隠せるようになる当事者もいます。
吃音が出る状態をコントロールして。盛大に吃る→少し吃るにする場合も
あります。大破から小破にダメージコントロールすることです。

吃音があって困っている人。合理的配慮を受けて安心安全な環境で仕事したいと思えば。
精神障害者保健福祉手帳を取得する人もいるでしょう。


労働保険審査会の視点(吃音看護師の事例のみならず全てに当てはまる指針)

『しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできない。』



この部分「看護師」を他の職業に言い換えても。
この部分「患者や家族との」を「取引先やお客様との」に言い換えても。
この認識は成立します。
これは看護師に限らないということです。どのような職業でもこれは成立します。そして労働保険審査会が想定する一般枠雇用ではこのようなことが最重要視されていることになります。

吃音業界では吃音をカミングアウトして働いているという人もいますが、全ての企業団体がそのような環境ではありません…。不思議なことに吃音をカミングアウトして働いているという人が、その職場名を公開して、インターネット上にリスト化するということもありません。職場の人事を説得して「私のような吃音のある後輩が応募してくるからよろしくな!」とはなりません。吃音業界の不思議です。

では看護師が障害者枠雇用ならばどうだったのか?と考えてしまいます。合理的配慮を受けられたのではないか? しかし障害者差別解消法のいう合理的配慮は申し出があれば絶対に提供しなければいけないわけではありません。努力義務ということになっています。

さらに就労の場合の合理的配慮は障害者差別解消法よりも改正障害者雇用促進法になります。そこには「合理的配慮は、個々の事情を有する障害者と事業主との相互理解の中で提供されるべき性質のもの」であって。当事者の合理的配慮の申し出。その後双方での話し合いがあり、相互理解が必要。相互で共通の落とし所が求められるのです。一方的に「私は障害や症状があるから御社は合理的配慮しないとならない」と申し出をすることは、相手と対峙することになるということです。対決姿勢になってしまうのです…。

そこで多くの企業団体、組織は「落とし所はこのへんですね。わかりました。これでいきましょう。合理的配慮を提供するから、障害者手帳のコピーをだしてくれ。法定雇用率に計算したい」となるわけで。カミングアウトすれば一般枠でも働けるはずだという吃音業界の常識と大きく異なることになります。しかし、一般枠でカミングアウトをしてはいけないこと。大手の発達障害者向け就労移行支援事業所でも耳にタコができるほど、口酸っぱく、これでもかというほど何度も説明されます。リタリコ社の場合、就職を希望する当事者、リタリコ社職員、応募先の企業団体の三者間で合理的配慮を取り決めた内容の書面化をして保存するといいます。またリタリコ社のリタリコワークスでは「職場での合理的配慮ガイドブック 一人ひとりに合った働き方に向けて」をウェブに公開しています。 https://works.litalico.jp/interview/consideration/

しかし吃音当事者・吃音業界では一般枠雇用でも「吃音をカミングアウトできる」という事例が多数あります。吃音への合理的配慮希望を、ボールを投げるだけ投げて、雇用主側の事情や雇用先の立場とのギャップが発生してしまうのです。雇用側としては法定雇用率に計算したいから障害者手帳を持っていてほしいという本音と建前があります。


しかし何よりも、吃音とはどういったものなのか?
練習して治る人もいるかもしれないが、そうではない人もいる。
吃音についての情報提供がもっと必要になっていくと思います。

別記事でも書きました。
吃音ガイドライン 流暢性障害ガイドライン: 吃音者と働く 職場で吃音者の合理的配慮がうまくいかないのはなぜか? http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2017/10/blog-post.html

吃音当事者言う「私どもるんです。吃音があるんです」
これを雇用側が「どのくらいの吃音状態なのか」がわからないことの情報不足もあるでしょう。しかし吃音当事者によっては、吃音は障害ではないと思いこんでいるわけですから一般枠で就活して、カミングアウトをして採用される人もいますが、そうではない人もいることになります。この状況は今後変化していくでしょうか?


そして何よりも大切なこと 吃音のことをもっと強く社会に伝えていくこと 吃音の認知度をあげよう

これが何より重要でしょう。
2005年から吃音は発達障害者支援法に定義されていました。
マスコミ、報道のみなさんにはここを報道してほしいのです。
なぜ吃音業界において2005年から発達障害者支援法に吃音が含まれたこと。そして発達障害者支援法ができたときに、発達障害当事者や支援者、親の会の連合体が発足し、その中に吃音業界の団体が1つ加盟していたのに。2013年に吃音を苦にした自死、自殺が2件起きてしまったのか。なぜ発達障害業界は吃音業界を怪訝そうに見ているのか?
ここを報道してほしいのです。
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2013年、北海道で吃音看護師が自殺した。だが、本当は自殺を避けられたのである
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html
しかし吃音業界にはそれがなぜか秘匿、隠匿、隠蔽されてしまい。自死を決断する者が出てきた。2005年以降は別の選択肢もあったはず。もしも2005年から吃音のことが広く知られていれば。といろいろな事が巡り巡ってしまいます。

吃音業界、吃音者の中には、吃音以外の障害種別の当事者や家族を差別する人もいます。
これを吃音至上主義といいます。吃音至上主義が『吃音が発達障害者支援法に含まれていることを隠そう、隠匿、隠蔽、秘匿しよう。社会に広まらないようにしよう』につながるとしたら本当に怖いことです。

吃音業界では2005年4月から発達障害者支援法に吃音が含まれたことが共有されなかったことは本当に悲しいことです。吃音業界の団体がこの時点で団結し、運動をおこし、積極的に行政や医療との連携を行い、精神障害者保健福祉手帳取得への手引やホームページ上での使える社会保障制度紹介、吃音以外の障害児者、困ってる当事者との連携があれば。少なくともその後、高校や大学を卒業した吃音当事者は苦悩する時間、死にたくなる気持ち、自分の人生を考える時間、吃音があるからといって絶対にこれをしなければいけないという焦り、いろいろな重圧や悩みを別の視点、別の選択肢によって回避することもできたのかもしれません。2014年に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターが「吃音は発達障害に含まれる」とホームページ上で公開することによって事態は急変しました。黒船来航と同じで吃音業界はいよいよ外圧によって動かざるをえない状況になりました。

しかし、しかしです。吃音業界はなぜ発達障害者支援法の存在が隠されていたのか。なぜ吃音者(家族やそれに関係する人間)は精神障害や発達障害を持った人を差別するのか。こういった過去を調べて検証して反省するということはありません。検証した結果をしっかり報告書にしてウェブ上に公開することも大切だと考えます。本来なら吃音業界はまずここからやらなければいけないのです。労働保険審査会(ウェブ上に公開されるレベル)にまで行動しなければいけなかった。それくらい吃音業界はとても深い闇を抱えているといえます。もっと早く、少なくとも発達障害者支援法が開始された当時から吃音当事者とその家族の選択肢を増やすための行動をしていれば、権利擁護をしていれば、令和時代になって、吃音で苦悩し苦しみ生きることへ絶望する当事者や家族も少なくなっていたでしょう。とりわけ吃音者が大きな壁と感じる就職活動では一般枠も障害枠も両方就活しよう。精神障害者保健福祉手帳を取得しよう、社会保障制度を堂々と利用しようという流れもあったかもしれません。


吃音至上主義(きつおんしじょうしゅぎ)とはなんですか? どんな差別主義ですか?
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2018/12/blog-post.html


吃音業界では吃音のことが100%全部社会に知られてしまうことを反対する人もいます。
吃音が発達障害になると精神障害や発達障害の人と同じに思われてしまうから、精神障害や発達障害の人は犯罪をしても無罪だから、そんな人たちと同じに扱われたくないから。吃音は身体障害だという吃音至上主義者もいます。

発達障害者支援法に入っていることを2005年の施行日から2014年7月3日に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターが改めて告知するまで、隠匿していた業界でもあります。もしも2005年から吃音が発達障害者支援法の対象であるとわかっていれば。イジメや不登校を経験した人も。その後進学を諦めてしまった人も。就職活動で失敗してしまった人も。いまはニートやひきこもりになっている人も。自殺をした人も。何か別の道があったのではないかと思います。

発達障害による精神障害者保健福祉手帳は「本人の困りごと」により取得できます。
身体障害の場合は身体障害の認定基準という明確な線引、数値、検査などがあります。これにより厳格に等級が決まります。もしも吃音が身体障害になったとすれば。軽度の人が手帳を取得できない可能性もあります。

また、うつや適応障害、社交不安障害といった二次障害がなくても精神障害者保健福祉手帳は取得できます。自閉症スペクトラムだけで精神障害者保健福祉手帳を持っている人もいます。吃音業界ではこのような正しい情報が医療従事者の間でも共有されておらず。二次障害が発生しないと手帳を取得できないと判断する人もいます。自閉症スペクトラムなどを診療する医師は「二次障害が発生しないように当事者を守るため」にも発達障害の症状単独で精神障害者保健福祉手帳が取得できることをもっと世間に浸透してほしいといいます。


吃音の認知度を上げること。「吃音を知られたくない」という気持ちもあるでしょうし。うまく吃音を隠して社会に溶け込んでいるいる人はなおさらでしょう。

しかし、吃音があってもうまくいっているとか、どもりまくって仕事している、私ができたから、あなたもできる。それは間違っています。「パターナリズム」です。あなたの成功体験が他の人にあてはまるわけないのです。

吃音のある人に限らず、身体障害でも発達障害でも精神障害でも知的障害でもマイノリティでも難病でも、どんな人でも世界中に同じ人は存在しません。生まれた国家。生まれた家の貧富、親の価値観、学校の環境、いじめにあうか、あわないか。不登校になるかならないか。うまく何事もなくいってしまうか。挫折するか。まったくひとりひとり異なるのです。今目の前にいる困っている人は、過去に経験したこの人とパターンが同じだから、こんな感じで助ければいいや。ではありません。

もしも吃音があってもうまく行っている、会社は理解あるという人は自分の所属する企業団体・組織の名称をインターネット上に公開してください。そして人事部に「私は吃音があるけど。今度後輩がエントリーしてくるから。頼むよ!」と説明して「後輩吃音者のみなさん!私の働く職場に応募して!!吃音があっても絶対大丈夫!全く気にされないよ!」とアナウンスすべきです。全ての吃音者に平等なエントリーできる機会を提供すべきです。

しかしそれはできませんよね。
だからこそ。社会保障制度、障害者基本法、発達障害者支援法、差別解消法、精神障害者保健福祉手帳制度などなどがあるのです。これらは人間が文明を築いてきた中で生まれたものです。障害者に限らず、社会的弱者の人へのセーフティーネットは近代ではどの国家でもあるわけです。


そしてライフステージにあわせた。
いつでもどこでも、誰でも。困ったときにどのような制度があるのか?
これらを「可視化、見える化」していかないとなりません。
発達障害のある人の団体やてんかんのある人の団体では、使える制度一覧の説明。学校での合理的配慮の受け方。学校での個別の指導計画・支援計画の発動方法。障害のある生徒を多く受けれ入れている高校説明会、発達障害のある学生を手厚く支援してくれる大学、就職は一般枠?障害者枠?と考える時間。いろいろな機会を情報を教えてくれます。

吃音がある子どもであれば「うまく話せるように学校にいくのではありません」
安心安全な環境で勉強するため。無理に発話発語をしない合理的配慮を求めること。
こういうことでもいいのです。


少し古い資料で、一部内容が変わっているかもしれませんが。
東京大学先端研で発達障害のある人の研究を熊谷晋一郎氏と行っている綾屋紗月氏が発達障害の説明、当事者研究の際に利用するスライドです。
「吃音のある私」
「吃音のある私が困っていること」
「社会に返せる問題は社会に返す」

個人の問題と社会の問題を切り分ける。
そして使える制度や社会資源を使いリカバリーしていく。
安心安全な環境を手に入れる。
自分が生きやすい環境を構築していくことが大切になるでしょう。

そして吃音業界の医療従事者ではなく、精神科医療の医療従事者のみなさんにお願いです。吃音業界は本当に複雑です。発達障害者支援法が存在したのにも関わらずそれが見える化わかる化使える化されていないのです。そして、「成功してる吃音者」という価値観があり、ここでは社会保障制度、障害者手帳制度を利用する吃音者は弱い人、甘えた人、負け組、ずるい人などとレッテルはられます。あくまでも一般枠で成功してこそ、そして吃音当事者の保護者と同じ収入レベル生活レベルの維持をすることが評価されます。ここには相談支援、ソーシャルワーク、バイスティックの7つの原則、パターナリズムなどが理解できる人がいないのです。どうか助けてください。みなさんの活躍するフィールドで吃音を積極的に扱ってほしいのです。









以下、労働保険審査会の公開した文書


1.28労103 [190KB] 棄却 准教授の上司、同僚からのパワハラ等により発病したとする精神障害

- 1 - 平成28年労第103号 主 文 本件再審査請求を棄却する。 理 由 第1 再審査請求の趣旨及び経過 1 趣 旨 再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、労働基準監督 署長(以下「監督署長」という。)が平成○年○月○日付けで請求人に対してした 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めるというにある。 2 経 過 請求人は、平成○年○月○日、A所在の学校法人Bに採用され、同法人が運営 するC大学(以下「大学」という。)に専任講師として勤務したのち、平成○年か らは准教授として就労していた。 請求人によると、平成○年○月頃から学長や同僚から受けたパワーハラスメン トやいじめにより慢性的なストレスが蓄積されたという。 請求人は、同年○月○日、Dクリニックに受診し、「適応障害」と診断され、そ の後、平成○年○月○日、E病院に受診し、「適応障害」と診断された。 請求人は、精神障害を発病したのは、業務上の事由によるものであるとして、 監督署長に療養補償給付及び休業補償給付を請求したところ、監督署長は、請求 人に発病した精神障害は業務上の事由によるものとは認められないとして、これ らを支給しない旨の処分をした。 請求人は、これら処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査 官」という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄 却したので、請求人は、更にこの決定を不服として、本件再審査請求に及んだも のである。 第2 再審査請求の理由 - 2 - (略) 第3 原処分庁の意見 (略) 第4 争 点 本件の争点は、請求人に発病した精神障害が業務上の事由によるものであると認 められるか否かにある。 第5 審査資料 (略) 第6 事実の認定及び判断 1 当審査会の事実の認定 (略) 2 当審査会の判断 (1)請求人の傷病名及び発病時期について、労働局地方労災医員協議会精神障害 等専門部会(以下「専門部会」という。)は、平成○年○月○日付け意見書に おいて、請求人の発病の状況、F医師の意見書等から、ICD-10診断ガイ ドラインに照らし、「F43.2 適応障害」(以下「本件疾病」という。) を発病したと判断し、発病時期を平成○年○月下旬頃としており、請求人の症 状の経過等に照らすと、当審査会としても専門部会の意見は妥当であると判断 する。 (2)ところで、精神障害の業務起因性の判断については、厚生労働省労働基準局 長が「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月2 6日基発1226第1号。以下「認定基準」という。)を策定しており、当審 査会としてもその取扱いを妥当なものと考えることから、以下、認定基準に基 づき検討する。 (3)そこで、請求人の本件疾病発病前おおむね6か月間における業務による心理 的負荷についてみると、次のとおりである。 ア 「特別な出来事」について 認定基準別表1「業務による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」 という。)の「特別な出来事」の類型に示されている「心理的負荷が極度の もの」又は「極度の長時間労働」に該当する出来事は認められず、「特別な - 3 - 出来事」は見受けられない。 イ 「特別な出来事以外の出来事」について 請求人は、本件疾病を発病に至らしめる多くの業務による心理的負荷をも たらす出来事があった旨主張していることから、以下、同主張の出来事ごと を検討する。 (ア)まず、請求人は、平成○年○月○日に請求人の身体状況を確認するため に大学が指定した医療機関を受診するよう学部長より指示がなされ、請求 人は受診することとなったが、当該指示自体が不適切であると主張する。 当審査会では、請求人が当該医療機関を受診することとなった経緯につい て精査したが、受診は事実確認書からみて、明確に請求人の合意を得た上 でなされたものであり、また、当該指示の理由についても、請求人が今後 授業を支障なく継続できるかを判断するためという合理性が認められるも のであることから、仮に、請求人にとって不満があったとしても、一般的 に心理的負荷をもたらす業務上の出来事であるとは判断できない。 (イ)次に、請求人は、自身の授業のやり方等について平成○年○月○日に学 生から提出された嘆願書を取り上げ、同年同月○日にG委員会が開催され、 さらに同月○日には学生に対する説明会が開催されたことについて不当で ある旨を主張する。この点、一件記録を精査すると、請求人の主張と大学 側の主張には、学生の請求人による授業に対する受け止め方や説明会に至 る経緯において食い違いがあるものの、少なくとも学生から「嘆願書」が 出されたことは事実であると認められる。学生から、こうした文書が提出 された以上、大学側が請求人から事情を聞き、また、学生に対して説明を したことについては、合理性があると判断すべきである。この点、請求人 は、呼び出し回数が○回にも及んだことを不当である旨主張するが、こう した事態に至った背景には、請求人の釈明が学生の主張と乖離していたた め事実確認が必要であったと判断し得るものであり、調査が長期間に及ん だことも致し方ないと言わざるを得ない。したがって、この一連の経過に ついて、請求人が不満を抱いたことは理解できるも、大学側として学生の 苦情に係る請求人への対応が不当であったとは判断できず、同出来事を認 定基準別表1の具体的出来事に該当する出来事として「上司とのトラブル - 4 - があった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅱ」)に該当するとみて評価し ても、やや強い業務指導が行われたものであると判断することが相当であ り、その心理的負荷の強度は「中」であると判断する。 (ウ)また、請求人は、学部長ら上司から発病直前まで継続して「いじめ」を 受けていた旨を主張するが、当審査会において、一件記録を精査するも、 決定書に記載のとおり、上記G委員会や学生への説明会の場において、請 求人にとっては厳しいと感じられるであろうやり取りがあった事実は認め られ、また、H委員長から試験の監督をするよう求められた等の事実は認 められるものの、いずれも大学教員としての一般的な務めを求められたと 判断すべきものであり、それらの場面において、請求人の人格や人間性を 否定するような嫌がらせが執拗かつ繰り返し行われたという事実も認めら れないことから、業務による心理的負荷をもたらす出来事であったとは判 断し得ない。 (エ)さらに、請求人は、事実確認書について、記載内容やその手続き等につ いて不当である旨を主張するが、当該確認書は、平成○年○月○日から同 年○月○日までの間の○回にわたる請求人と学部長らとの話し合いの結果 として作成されたものと認められ、最終的には、請求人も自ら署名してい る。請求人は、法律学を専門とする研究者であり、当該署名の意味につい ては理解しているものと判断されるところ、後にこれを不当な要求であっ た等との反論は受容しがたく、同主張について、業務による心理的負荷を もたらす出来事であるとは判断できない。 (オ)以上のことからすると、請求人について認定基準別表1の具体的出来事 に該当する出来事としては、心理的負荷の総合評価「中」となる出来事が 1つ認められるに過ぎず、請求人の業務による心理的負荷の全体評価は 「強」には至らないものである。 なお、請求人は、本再審査請求において、公正かつ慎重な審理を希望す る旨主張しているところ、当審査会においては、事実認定に係る関係者の 申述及び証拠については、各位の立場や事情を十分に斟酌してその採否を 決定しており、本件についても、大学関係者の申述については、その信憑 性や矛盾の有無についても精査したものであることを付言する。 - 5 - (4)業務以外の心理的負荷の評価及び個体側要因の評価 本件における一件記録からは、業務以外の心理的負荷については認定基準に 基づき特に評価すべき要因は認められない。個体側要因については、請求人は 平成○年○月よりIクリニックに定期的に通院し「吃音」、「神経症」、「抑 うつ状態」、「不眠症」と診断され、抗うつ薬や睡眠薬が継続して処方されて いる。また、平成○年○月から「抑うつ状態」により約○週間休業しているこ とも確認できる。 (5)請求人のその余の主張についても子細に検討したが、上記結論を左右するに 足るものは見いだせなかった。 (6) 以上のことから、当審査会としても請求人に発病した本件疾病は業務上の事 由によるものとは認められないと判断する。 3 以上のとおりであるから、請求人に発病した本件疾病は業務上の事由によるも のであるとは認められず、監督署長が請求人に対してした療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分は妥当であって、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。

2.28労391 [209KB] 棄却 看護師の自殺

- 1 - 平成28年労第391号 主 文 本件再審査請求を棄却する。 理 由 第1 再審査請求の趣旨及び経過 1 趣 旨 再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、労働基準監督 署長(以下「監督署長」という。)が平成○年○月○日付けで請求人に対してした 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による遺族補償給付及び葬祭 料を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めるというにある。 2 経 過 請求人の亡子(以下「被災者」という。)は、平成○年○月○日、A所在のB 病院(以下「事業場」という。)に雇用され、看護師として業務に従事していた。 請求人によれば、被災者は、入職後、同年○月頃から、指導の受け答えの時に 突っ掛かる、言葉が出ないなどからコミュニケーションを取ることができず、少 しずつ悩み始め、同年○月になると退職や自殺を意識し出し、精神的に病んでい ったという。 被災者は、同年○月○日、事業場に出勤せず、自宅で死亡しているところを発 見された。死体検案書には、「死亡したとき:平成○年○月○日昼頃(推定)、直 接死因:酸素欠乏による窒息(推定)、死因の種類:自殺」と記載されている。 請求人は、被災者の死亡は業務上の事由によるものであるとして、監督署長に 遺族補償給付及び葬祭料を請求したところ、監督署長は、被災者の死亡は業務上 の事由によるものとは認められないとして、これらを支給しない旨の処分(以下 「本件処分」という。)をした。 請求人は、本件処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」 という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄却し た(以下「本件決定」という。)ので、請求人は、更に本件決定を不服として、本 件再審査請求に及んだものである。 - 2 - 第2 再審査請求の理由 (略) 第3 原処分庁の意見 (略) 第4 争 点 本件の争点は、被災者の精神障害の発病及び死亡が業務上の事由によるものであ ると認められるか否かにある。 第5 審査資料 (略) 第6 事実の認定及び判断 1 当審査会の事実の認定 (略) 2 当審査会の判断 (1)被災者の精神障害発病の有無及び発病時期について、労働局地方労災医員協 議会精神障害専門部会(以下「専門部会」という。)は、平成○年○月○日付 け意見書において、症状経過及び主治医意見等を踏まえ、ICD-10診断ガ イドラインに照らし、「F43.2 適応障害」(以下「本件疾病」という。) を発病していたと判断し、その時期は平成○年○月下旬頃としている。 被災者の症状経過等を踏まえると、当審査会としても、専門部会の意見は妥 当であると判断する。 (2)ところで、心理的負荷による精神障害の業務起因性の判断については、厚生 労働省労働基準局長が認定基準を策定しており、当審査会としても、その取扱 いを妥当なものであると考えることから、以下、認定基準に基づき検討する。 (3)被災者の本件疾病発病前おおむね6か月間において、認定基準別表1「業務 による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」という。)の「特別な出 来事」に該当する出来事は認められない。 (4)そこで、「特別な出来事」以外の出来事についてみると、請求人及び再審査 請求代理人(以下「請求代理人」という。請求人及び請求代理人を併せて、以 下「請求人ら」という。)は、①認定基準別表1の具体的出来事「達成困難な ノルマが課された」に該当する出来事、②同じく「(ひどい)嫌がらせ、いじ め、又は暴行を受けた」に該当する出来事、③同じく「理解してくれていた人 - 3 - の異動があった」に該当する出来事、④同じく「上司が替わった」に該当する 出来事があり、①及び②の出来事による心理的負荷の総合評価はそれぞれ「強」 に該当する旨主張している。 (5)上記(4)の請求人らの主張を踏まえ検討すると、以下のとおりである。 ア 上記(4)①の出来事についてみるに、請求人らは、被災者は患者に対す る説明を行う前に、先輩看護師に向かっての説明練習を繰り返し実施させら れていたが、これは、事業場が被災者に対して突っ掛かることのない説明を 行うことを業務目標として課していたものであって、かかる業務目標はノル マに該当し、当該ノルマは流暢性障害を有する被災者にとって「客観的に、 相当な努力があっても達成困難なノルマ」であり、また、被災者に対する試 用期間延長の通告が「重いペナルティの予告」に該当することから、この出 来事の心理的負荷の総合評価は「強」に該当する旨主張する。 しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできな い。 したがって、当審査会としても、決定書理由に説示するとおり、この出来 事を「達成困難なノルマが課された」に該当するものとして評価することは できず、下記イのとおり、認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出 来事として評価すべきものと判断する。 なお、請求代理人は、被災者に対する試用期間延長の通告について、達成 困難なノルマに係る「重いペナルティの予告」に該当する旨主張するが、前 述のとおり被災者にノルマが課されたものとみることはできず、別途出来事 として評価すべきものである。そして、その心理的負荷の程度を検討してみ ても、当該延長は被災者の試用期間中の状況をみて総合的に検討した結果と して行われたものであって、不当なものとまではいえず、被災者には技術面 (採血・注射)の修得が不足していた旨のC課長の申述にも信憑性を欠くも のとみるべき事情もないところ、管理者であるC課長から被災者に対して今 - 4 - 後の課題を含め相応の説明がされた上で通告されたものと推認されることか ら、心理的負荷の程度は「弱」であるものと判断する。 イ 上記(4)②の出来事についてみるに、請求人らは、流暢性障害を負って いる被災者に対して、突っ掛かることなく説明を行うという不可能ないし困 難な行為を求め、繰り返しの指導ないし叱責が行われており、これは、認定 基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受け た」の心理的負荷「強」の具体例「部下に対する上司の言動が、業務指導の 範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定する言動が含まれ、かつ、 これが執拗に行われた」に該当する旨主張する。 被災者の指導看護師の申述を踏まえると、指導看護師は、被災者が患者へ の説明等改まった場面において緊張から言葉が出にくくなるものと理解して いたと推認されるところ、説明練習を繰り返すことで、患者への説明を日常 の会話と同様によりスムーズにできるようになるものと期待して行わせたも のとみるのが妥当である。 この点、D主任は、1日5、6回も練習をさせると被災者も気落ちするの で1日2回程度であった旨述べるのに対し、請求人らは、Eが、被災者は説 明練習を何十回もさせられていた旨やスムーズに発言できないのを承知でわ ざと被災者に言わせたり、失笑したりするスタッフがいた旨申述しているこ とを主張する。しかしながら、EがSNSでも個人的につながるくらい親密とす るC課長、D主任、F以外の事業場関係者であるGの申述をみても、Eの申 述内容を裏付けるに足るものは見当たらず、他方、被災者が事業場外で信頼 を寄せていたと考えられるHも、事業場に勤めるようになってからも吃音の 悩みやいじめのことで決定的な話は聞いていないと述べていることを併せ勘 案すると、説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する。 もっとも、関係者の申述を踏まえれば、被災者が叱責されていた事実が認 められるものの、被災者の指導看護師から業務指導の範囲を逸脱した言動が なされた事実を目撃した者はおらず、被災者が記録していた日々のメモ帳に もそのような事実の記載は全くないことに照らせば、説明練習の指導をもっ - 5 - て認定基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行 を受けた」に該当するものとみることは相当ではなく、被災者が説明練習を 繰り返し行わされていたことと叱責されていたことを併せ、認定基準別表1 の具体的出来事「上司とのトラブルがあった」(平均的な心理的負荷の強度 「Ⅱ」)に該当するものとして評価することが妥当である。 そして、被災者の指導看護師による叱責に関しては、指導看護師が厳しく 叱ったことがあるとし、Gも、若干言い方がきつかったのかもしれないと述 べており、被災者が厳しく叱責される状況も複数回あったものと認められる が、ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。 ウ 上記(4)③の出来事についてみるに、請求人は、吃音のある被災者に対 して、スムーズに発言できないことを責めるのではなく、教育効果を考えな がら接してくれた唯一の理解者であった同僚が、平成○年○月○日付けで別 の部署に異動になり、被災者に対して同様に接してくれた人はほかにいなか ったことから、被災者がますます追い込まれていった旨主張する。 しかしながら、この出来事は、被災者の本件疾病発病後の出来事であり、 本件疾病が死亡に至る間に悪化したとする事情は認められないことから、評 価の対象とはならないものである。 エ 上記(4)④の出来事についてみるに、請求人は、被災者の吃音を理解し 事業場に来るよう誘ってくれたI元看護部長が、被災者が事業場に雇用され る前に退職しており、その後任の看護部長も被災者の雇用時には交代し、被 災者が事業場で働き始めるまでの間に看護部長が3人も代わっているが、被 災者の吃音について看護部長間で引継ぎがきちんとなされていたのか疑問で ある旨主張する。 請求人が主張する看護部長の交代は、被災者が事業場に雇用される以前の 出来事であることから、これを業務による出来事として評価することはでき ないが、仮にこれを決定書理由に説示するとおり、J看護部長となっていた ことを知ったのが事業場に雇用された後のこととして、認定基準別表1の具 - 6 - 体的出来事「上司が替わった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅰ」)に該当す るものとみても、心理的負荷の強度を修正すべき要素はないことから、この 出来事の心理的負荷の総合評価は「弱」であると判断する。 (6)上記(5)のとおり、被災者には心理的負荷の総合評価が「弱」の出来事が 3つ認められるが、その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。 3 以上のとおりであるので、監督署長が請求人に対してした本件処分は妥当であ って、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。