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2021年9月1日水曜日

【解説 なぜ医療福祉のはざまなのか】2021年8月31日放送 アベマ アベプラ コロナ禍で新たな困難に直面...吃音症当事者に聞く苦悩と社会に求める理解とは

【番組紹介】

 2021年8月31日放送 

変わる報道番組#アベプラ【平日よる9時〜生放送】 | 企画

コロナ禍で新たな困難に直面...吃音症当事者に聞く苦悩と社会に求める理解とは

https://abema.tv/video/episode/89-66_s99_p3106


――法律があったのに自死が起こる吃音業界

2021年8月31日放送された、アベプラにて吃音が取り上げられました。

冒頭にて 1:57の部分で『社会的に多様性が叫ばれる今でも残念ながら吃音は置き去りのまままです』という吃音当事者からの手紙が紹介されます。

当ブログをご覧の方々はすでにご存知のことと思いますが。
吃音は2005年4月より発達障害者支援法に含まれていたのですが。吃音業界の団体がそれを隠蔽していた、障害者運動をしていなかった歴史があります。
・参考リンク
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2016/12/200542013.html

https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html

これにより現在は2021年なのですが、未だに吃音により困っている当事者、子ども、家族の選べぶことができる、選択肢がなかなか広まっていないのが現状です。

2005年発達障害者支援法に含まれ、自閉症スペクトラム、ADHD、LD、トゥレット症候群と全く同じ、社会保障制度、合理的配慮(吃音に適した)、障害者枠での就労などが利用できるのです。

もしも2005年から吃音業界が他の発達障害児者団体と連携協力し政府や地方自治体に、教育機関に訴えていけば。2021年現在、困っている吃音当事者やその家族は、その悩みを持つことがなかった世界線を生きているかもしれません。

また吃音当事者には吃音と同時にその他の発達障害を持っている場合もありますが。それもなかなかメディア、マスコミで啓発されることもありません。吃音でも困っているし、その他の発達障害で困っている人もいるかもしれません。


――2014年厚生労働省の発達障害支援室が、その時歴史が動いた

2013年、北海道の吃音看護師、製薬会社社員の自死が起こりました。後者数年後に報道がありました。看護師はリアルタイム報道でした。しかし、そのときもマスコミの誤報があり「吃音は厚生労働省が障害と認めていない」と報道されたことがありました。その他の新聞社やニュース報道も、吃音がどのような法律の対象かどうかを厚生労働省に取材すらしていないのです。

その時歴史が動いた 障害保健福祉部障害福祉課 障害児・発達障害者支援室 障害児支援係が動いたのです。自死報道があり、厚生労働省が障害と認めていないという誤報が流れ。本当は2005年から吃音のある人を支える法律が存在していることを伝えたかったのです。(吃音業界が全く要請要望を厚生労働省にしてこないため何もできなかったのです。※公務員は自分の判断で政策立案してはいけないというルールがあるからです。必ず、市民国民からの議員からの声があって、政策に反映できるのです。このとき自死が起こり、意見が厚生労働省に届き、発達障害者支援法に含まれていることを、障害説明の一覧に掲載するというウルトラCにより再周知を行うことになったのです。本来、行政が一つの症状や病気や難病や障害やマイノリティについて取り上げて再周知を行うことができない。それをしてしまうと私たちもしてくださいとなりかねないため、ギリギリのラインを落とし所にしたことになります)

そして、当時の発達障害支援室の専門官が、発達障害情報支援センターという、国立障害者リハビリテーションセンター内部に属する、そのセンタ-のホームページの発達障害の解説に吃音を入れたのです。これが2014年7月です。
しかもこの国立障害者リハビリテーションセンターには日本の吃音診療の旗艦病院である吃音診療科が存在していました。しかしそこが動くことはなかったのです。ゆえに発達障害者支援室マターで動かすことができる組織。発達障害情報支援センターの情報を更新するに至りました。

そのあとの流れは早く。厚生労働省の広報誌 東京都の発達障害支援ハンドブック 各地方自治体が、発達障害の一覧にて吃音を説明し、そして、ASD、ADHD、LD、トゥレット症候群の当事者と同じ、選択肢を自己決定権により行使することができる、そういう世界線も存在すると周知がはじまりました。吃音業界、当事者団体、教員団体などが全く動かないなか。厚生労働省により、その時歴史が動いたのです。

そしてやっと、吃音が発達障害者支援法の対象であると世の中に広まってきたのです。もしも2005年から吃音業界が障害者運動を起こしていれば。令和現在で困っている吃音児者がその家族が涙を流すこと。ひきこもりになってしまった人、自死してしまった人も全く別の人生があったのかもしれません…。この点、吃音業界は第三者による検証委員会などは設けず、この大きな問題、否。悲劇に向き合おうとしていないのです。


――令和現在の困っていることは、困っている吃音当事者を支援したい精神科医師が吃音の演技を見抜けないこと

日本では、吃音を診療するのは耳鼻咽喉科と歴史的になっており、吃音の確定診断についても耳鼻咽喉科医師が行うことが慣例となっています。これは、精神科医師では吃音を装う、過去に音楽業界で耳の聞こえないゴーストライター問題がありました。これと同じで、精神科医師も吃音を主訴とする患者が本当に吃音かどうかわからないため。まず確定診断を耳鼻咽喉科から行ってもらい、そこからの紹介状があれば、困っている吃音児者のために手帳や障害年金申請用の診断書を書くということができるようになっています。都内でも筆者と関係のある精神科医師数名は、耳鼻咽喉科からの紹介状があれば、すぐに診断書を書くという篤志家の医師がおられます。


――吃音で困っている人がいるがマスコミが正確に伝えない問題

朝日新聞のオピニオンにて吃音当事者が投稿した内容があります。

https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2021/02/blog-post.html


吃音はもちろん、吃音以外の発達障害児者と同じで困っていない人もいます。成功者であったり、とくに問題なく生活している人もいます。しかし、発達障害者支援法に含まれていること、困っているのであれば、選択できるカードがあること。これを伝えてくれないのです。マスコミは吃音が発達障害者支援法に含まれており、ありとあらゆる社会保障制度を行使できる可能性があることをもっと伝えてほしいのです。


とくに法律により、吃音以外の発達障害児者が使える制度を、吃音児者も使えることを正確位伝えてほしいところです。行使するかどうかは自己決定権によりますが。選択肢が存在することを知ることができていれば。本当にどうしてもだめだ。もう頑張れない。死にたい。自死するしかない。もうどうでもよくなった。という段階になってSOSを出すかもしれませんし。最悪の状況になるまえにそれらを避けるためのルートを選ぶこともできるかもしれないからです。



――吃音業界が動かないため、発達障害児者団体が毎年、予算要望を国や自治体に送る現状 そして吃音だけではなく、その他の発達障害も持っているかもしれない場合は、発達障害児者団体に参加してみませんか

吃音業界は、一枚岩となり障害者運動をすることはありません。全ての団体が一致団結して意見表明することもありません。困っている当事者や家族もいるはずなのですが。なかなかそれができません。国や地方自治体の限られた少ない予算のなかで、吃音にもほんの少しでいいので、触れてほしい。政策に反映してほしいと訴えることはしません。

令和現在においても困っている吃音児者やその家族が存在するのはそのためです。しかし吃音は吃音だけではなく、ASDやADHD、LD、トゥレット症候群を同時に持っている人もいます。むしろそれは、発達障害児者団体や保護者・親の会ではもともとわかっているものでした。しかし残念なことに吃音業界では吃音だけが注目され、もしかして、その他の発達障害も持っているかもしれない。。。ということに気づかない。または向き合わない場合もあります。これは吃音至上主義という差別の存在もあります。

これが根底にあり、一部の吃音業界団体が2005年から発達障害者支援法を支えるJDDネット(という発達障害児者団体、専門職団体の連合体に参画していたのに)、吃音が発達障害者支援法に含まれているよ!と障害者運動が起こらなかった原因の一つではないかと考えます。

そこで、吃音業界っておかしいな。変だな。と思った当事者や保護者にはぜひ、発達障害児者団体に参加することもよいのではないかと思うわけです。また吃音以外の発達障害も実はあるかもしれないという場合はなおさらです。

とくに親の会は強いです。百戦錬磨の先輩保護者さんがその情報を後輩のためにどんどん蓄積しています。学校での合理的配慮はどう相談申請したらよいか、どの病院がよいか、どのような人生の選択肢があるか。学校や行政、民間企業とどう接すればいいか。話し合えばいいか。いろいろな情報を持っています。

4月2日は世界自閉症啓発デー、日本国内では発達障害啓発週間です。しかし吃音の団体は積極的に参加せず。他の発達障害児者とその家族と連携しようとしないことも悲しいことです。お互いを知り、一緒に連携して国や地方自治体に意見を伝える。もっと広まっていくことを願っています。


2018年10月13日土曜日

外国人労働者が言葉遣いで差別される事例 寛容な心という合理的配慮が大切になる

現代ビジネスの記事
日本のエリート学生が「中国の論理」に染まっていたことへの危機感 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57941

この記事は直接吃音と関係はありませんが。とても興味深いので紹介です。
このような記述が記事中にあります。

はじめに、「文化とは、アイデンティティの一形態であり、共有された社会実践の知でもあります。多様性とは、維持するものでもあり、促進するものでもあります。マジョリティとマイノリティの間の対立をどう解決するか、互いにどのように譲歩すべきか。グローバル化は抗えない趨勢であり、異なる価値観やアイデンティティを受け入れる戦略が必要です」と、学生たちは素晴らしい問題意識を示した。
その後、「日本では言葉遣いがおかしいなどとして、飲食店などで働く外国人を差別する人が増えており、中国のファーストフードチェーンでは、イスラム教徒のためにハラルフードを入れる容器を別に準備したが、イスラム教徒でない人にメリットのないことでコストを増やすのかと反対の声が高まりやめてしまった」と、差別やマイノリティ軽視の事例が紹介された。
そして学生たちは、「誰をも傷つけず、全体に福利厚生を行き渡らせることは難しい。各民族にとって、何が決して譲歩できない、必ず抑えるべき基本的関心事項であるのかを考え、それぞれの文化を実践する権利を保障する必要がある」と説いた。


その後、「日本では言葉遣いがおかしいなどとして、飲食店などで働く外国人を差別する人が増えており、中国のファーストフードチェーンでは、イスラム教徒のためにハラルフードを入れる容器を別に準備したが、イスラム教徒でない人にメリットのないことでコストを増やすのかと反対の声が高まりやめてしまった」と、差別やマイノリティ軽視の事例が紹介された

―――しかしこの差別ってそもそも日本では普通ですよね 外国人に限らない
日本ではとくに、発話発語、礼儀、あいさつ、年齢によるフィルター、流暢な発話発語の要求水準が、敬語の要求水準が社会の暗黙のルールとして自然に義務付けられています。接客サービスも提供される商品や食品の質が重視される高級なお店や宿泊業、エンターテイメント業界、レジャー業界などであれば接客品質というものは重視されてもよいでしょう。

言葉遣いがおかしいこと。これの何が問題なのかということです。
日本国内は「過剰接客」と言われるほど、コンビニやファーストフード、ファミレス、そば店、うどん店、居酒屋、衣料品店、小売などといった生活によく利用する可能性の高い店舗でも、接客態度が重視されます。はっきり言ってこの日本独特の文化は日本の経済成長にも悪い影響を与えていると思います。言葉遣いのみにならず、目を見て話すことや明るく振る舞うこと、活気をだすことなども含めてです。


今、外国人労働者が増えている、求人を募集しても人が集まらないなどの課題があります。しかし、過剰接客や過剰接客マニュアルなどを軽減すればもっと働きたい人、働きやすいと思う人はいるでしょう。たとえば精神障害、発達障害、ひきこもりなど社会参加の1つとして考え。過剰接客を強要しない・義務化しない・売りにしないという業態や取り組みが増えていくことは日本経済にも良い影響を与えるでしょう。

また利用する消費者側も、高級なお店、接客品質が売りになっていることが前提のお店・業態以外の場合。ちょっとしたことで怒らない、クレームを入れないという寛容な心が必要になると思います。言葉遣い、発話発語がうまくできない、目を見て話さない、暗い、明るくない、活気がない、こういう店員さん、職員さんがいてもよいと考えます。これも合理的配慮です。寛容な寛大な心という合理的配慮です。また、発話発語のみに限らずコミュニケーション全般についての合理的配慮として、タッチパネル方式、券売機方式というものが広がることも必要になるでしょう。(タッチパネルや券売機方式は働く店員、消費者両方にメリットがあります)過剰接客廃止店舗という試験的なお店が増えてもいいと思います。サービス業の世界では「接客コンテスト」、「レジの早打ちコンテスト」などといった企業独自の内部試験などもあるでしょう。しかし、それが本当に最優先されるべきなのかも考えてほしいのです。

2018年9月30日日曜日

吃音業界はまた乗り遅れてしまっている 厚生労働省 平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係

厚生労働省 平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係

https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/19syokan/03.html

現在、厚生労働省が平成31年度厚生労働省所管予算概算要求関係を公開しています。
発達障害関連の部分は【発達障害児・発達障害者の支援施策の推進 5.0億円(4.1億円) 】とされています。

吃音業界の声は残念ながら届いていないのが現状です。(既存の吃音業界から離れて、独自に行動し接点をもつ吃音団体もあると報告されています)吃音業界が動かない中、昨年に引き続き発達障害関連の予算は大きく動いています。これから吃音、吃音を含め発達障害全般について吃音当事者やその家族の未来はどうなるのかとても心配です。吃音当事者や保護者家族の中には声を伝えたい。吃音と吃音以外の発達障害もあるけどどうしたらいい。既存の吃音業界では真剣に対応してくれない。相談をしても解決しないまたは相談できない。既存の吃音業界は行動してくれない。などと考えている人もいるでしょう。これからどうなっていくのか、何ができるのかを吃音当事者や保護者家族が真剣に考える時期なのかもしれません。吃音業界が乗り遅れ、周回遅れになればなるほど、困っている吃音当事者や保護者、合理的配慮をしてほしい、診断書がほしい、精神障害者保健福祉手帳のための診断書がほしい、どこの病院にいけばいい、吃音を理由に差別をうけた、吃音理由に職場を解雇されそうだどうしたらいい?、などなどたくさんの困りごとが継続していくでしょう。


関連記事 吃音業界乗り遅れ、周回遅れ伝説の1つです
吃音業界はなぜ場面緘黙業界やトゥレット症候群の団体のように日本精神神経学会パブリックコメントへ何らかのアクションをしないのか?

2018年6月13日水曜日

吃音が含まれる労働保険審査会資料を精神障害の件、自殺の件 2件紹介

厚生労働省の労働保険審査会が公開する資料に吃音について書かれたものが2点ありましたので紹介です。(公開された文書は最下段に掲載)
リンク先はこちら
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/roudou/saiketu-youshi/


関連記事
2013年、北海道で吃音看護師が自殺した。だが、本当は自殺を避けられたのである
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html
【重要なお願い】吃音業界は2005年4月から施行の発達障害者支援法を本当に知らなかったのか?なぜ2013年に北海道で吃音看護師が自死したのかhttp://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2016/12/200542013.html 

1.はどこかの大学で働いていた人の事例である。
労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めたが。棄却されたということである。


2.は吃音を持った看護師が自殺したことで。亡子が自殺に至るまでの経緯が記録されている。 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による遺族補償給付及び葬祭 料を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めたが。棄却されたということである。


筆者はこれを読んでいて本当に怒りや悔しさがある。克明な記録である。
しかし、法律上、ルール上、棄却ということになる。
この後、国を相手に行政訴訟するのかどうか?(棄却を知った日からX日以内が間に合っていればの話)
もしも行政訴訟まで行けば、毎日新聞社などから報道があるかもしれない。
行政訴訟となれば吃音業界の団体も、お金を援助すべきではないかと思う。
2018年は吃音者の世界大会!吃音者の世界大会!とお金がたくさんある団体なのだから。それくらいは大根を購入するような感覚だろう。


――― 克明な記録、じっくり読んでほしい 可能なら音読してほしい

「2経過」から音読してほしい。筆者が気になった部分を強調する。全文は最下段に。
看護師さんは病院で働いていた。

・請求人によれば、被災者は、入職後、同年○月頃から、指導の受け答えの時に 突っ掛かる、言葉が出ないなどからコミュニケーションを取ることができず、少 しずつ悩み始め、同年○月になると退職や自殺を意識し出し、精神的に病んでいったという

 ・看護師は、同年○月○日、事業場に出勤せず、自宅で死亡しているところを発 見された。死体検案書には、「死亡したとき:平成○年○月○日昼頃(推定)、直接死因:酸素欠乏による窒息(推定)、死因の種類:自殺」と記載されている。

請求人は、被災者の死亡は業務上の事由によるものであるとして、監督署長に 遺族補償給付及び葬祭料を請求したところ、監督署長は、被災者の死亡は業務上 の事由によるものとは認められないとして、これらを支給しない旨の処分(以下 「本件処分」という。)をした。 請求人は、本件処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」 という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄却し た(以下「本件決定」という。)ので、請求人は、更に本件決定を不服として、本 件再審査請求に及んだものである。


・(3)被災者の本件疾病発病前おおむね6か月間において、認定基準別表1「業務 による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」という。)の「特別な出 来事」に該当する出来事は認められない。 (4)そこで、「特別な出来事」以外の出来事についてみると、請求人及び再審査 請求代理人(以下「請求代理人」という。請求人及び請求代理人を併せて、以 下「請求人ら」という。)は、①認定基準別表1の具体的出来事「達成困難な ノルマが課された」に該当する出来事、②同じく「(ひどい)嫌がらせ、いじ め、又は暴行を受けた」に該当する出来事、③同じく「理解してくれていた人 - 3 - の異動があった」に該当する出来事、④同じく「上司が替わった」に該当する 出来事があり、①及び②の出来事による心理的負荷の総合評価はそれぞれ「強」 に該当する旨主張している。 (5)上記(4)の請求人らの主張を踏まえ検討すると、以下のとおりである。 ア 上記(4)①の出来事についてみるに、請求人らは、被災者は患者に対す る説明を行う前に、先輩看護師に向かっての説明練習を繰り返し実施させら れていたが、これは、事業場が被災者に対して突っ掛かることのない説明を 行うことを業務目標として課していたものであって、かかる業務目標はノル マに該当し、当該ノルマは流暢性障害を有する被災者にとって「客観的に、 相当な努力があっても達成困難なノルマ」であり、また、被災者に対する試 用期間延長の通告が「重いペナルティの予告」に該当することから、この出 来事の心理的負荷の総合評価は「強」に該当する旨主張する。


しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできな い。

↑これ。吃音者としては憤激しますね。
また一方で『プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』ということです。これが発達障害者支援法により、精神障害者保健福祉手帳を持っており、合理的配慮を事前に申し出て、雇用側と当事者が合理的配慮について話し合えば。落とし所があればどうなったのかとも思います。

『プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』

これについては、2018年現在でも、2017年の秋ころ放送されたNHKハートネットTV、吃音学生の就職活動を見た、発達障害業界の就労移行支援事業社、事業員、発達障害専門の病院医師などからは『吃音の人はなぜ、なぜ、なぜ、一般枠でカミングアウトしてしまうのか?』と不思議がる人もいます。なぜなら『プロのXXXXとして業務を遂行していく上での前提となる、社内やお客様との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ』というのが、ほとんどのどのような職業でも当たり前だからだという理由でした。

吃音当事者の立場としては『吃音があったままでも、障害者手帳を持っていなくとも、職場は合理的配慮すべき。障害者手帳を持たずに働く先輩もいるから、この職場もそうするべき』だという主張もありますよね。

しかし発達障害のある学生や大人むけの就労移行支援事業を経営運営している人やその職員・支援職、企業団体の障害者枠雇用担当者はそうは思っていないという現実もあります。


・したがって、当審査会としても、決定書理由に説示するとおり、この出来事を「達成困難なノルマが課された」に該当するものとして評価することは できず、下記イのとおり、認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出 来事として評価すべきものと判断する。 なお、請求代理人は、被災者に対する試用期間延長の通告について、達成 困難なノルマに係る「重いペナルティの予告」に該当する旨主張するが、前 述のとおり被災者にノルマが課されたものとみることはできず、別途出来事 として評価すべきものである。そして、その心理的負荷の程度を検討してみ ても、当該延長は被災者の試用期間中の状況をみて総合的に検討した結果と して行われたものであって、不当なものとまではいえず、被災者には技術面 (採血・注射)の修得が不足していた旨のC課長の申述にも信憑性を欠くも のとみるべき事情もないところ、管理者であるC課長から被災者に対して今 - 4 - 後の課題を含め相応の説明がされた上で通告されたものと推認されることか ら、心理的負荷の程度は「弱」であるものと判断する。


なるほど、正式採用されず、試用期間延長になったのですね。これは初見でした。
看護師の場合は、当事者にとってとても苦痛なものだったことでしょう。
しかし労働保険審査会の主張する認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出来事として評価すべきものと判断するということになってしまっています。
吃音のある人が繰り返し繰り返し発話発語の練習をさせられるというのは労働保険審査会では通用しないということになる…。



話を変えます 発達障害のある人を解雇する方法のこと

これは2014年くらいからある2018年現在でも水面下で存在する『発達障害のある人を間違えて採用してしまった場合に去ってもらう虎の巻』にあることです。

最近だと、それを行使されたのではないかと思うニュース記事があります。当事者は発達障害の診断がついているかは不明ですがエピソードを読んでいるともしかしたら未診断の人なのかもと思える記述もあります。
新卒1年目で解雇された地方公務員の主張 http://blogos.com/outline/300401/

関連した記事でリタリコから
発達障害カミングアウトで退職に追い込まれた26歳。実体験から伝える、退職までの軌跡とこれから https://h-navi.jp/column/article/35026527


何れにせよなのですが。
発達障害があること見抜けずに間違えて採用してしまった発達障害者を解雇する方法。
これはまず。試用期間中に本採用しないことや、「普通解雇」にすることが前提となっています。また転職させるように仕向ける。障害当事者が自ら辞めると決断するように外堀を埋めるなどなど。
虎の巻によると、発達障害を持っていると思わる当事者が失敗したことを更にやらせること。当事者が失敗しやすいであろう業務に配置転換することが解説されています。
そして、重要なことがあります。手書きの業務日報を毎日記入させるのです。
手書きが苦手、筆記が汚い当事者の人もいるでしょう。
手書きの業務日報に今日の業務内容一覧を記載させます。
また、仕事上のミスがあった場合さらに始末書や反省文などを書かせます。
(この時点は他の社員や職員はやっていないことを自分だけさせられます。または他の人も表面上やっていても、これはターゲットを普通解雇するためだと知っているため適当に書きます。会社に残ってほしい人材についてはいい加減な内容でも不問です)

すでにこの時点にうつ病になりそうですが。
当事者の中には負けずに戦う人もいるでしょう。
しかし、1年ほどすると、業務日報と始末書や反省文を根拠に
「職務遂行能力が欠けているため、普通解雇します」という流れになります。
普通解雇は罰則もなにもないので、発達障害に限らず使われる手法です。

※当事者は業務日報を詳細に自分だけ書けと言われたり、配置転換の話があった場合
不自然なタイミングで人事が話をしたいと言ってきた場合
ICレコーダーやスマートフォンのレコーダー機能で会話を全て録音することを
おすすめします。業務日報を毎日提出しろと言われた場合は。職場の中でICレコーダーの録音を勤務中は全て行うことも大切です。雇用側が辞めさせようと画策する場合、言葉の暴力や理不尽な要求や、度をこした叱責などがはじまるからです。これが録音できていれば後々有利な武器になるかもしれません。


吃音のある人を合法解雇したければ
吃音の場合は発話発語が苦手なわけですから、配置転換をして話すことが多い部署に異動させて。そこで手書きの業務日報、仕事のミスやお客様からの苦情があれば(もちろんお客様は本当にお客様かわかりません、会社側が準備したお客様の可能性も)その都度、反省文や始末書を書きます。これが継続していけば、当事者はうつ病、適応障害、などなどにより自ら退職するかもしれません。(雇用主としては1番良い展開です)
次にここまでやってもへこたれずに働き続けると。いよいよ普通解雇が宣告されることになるのです。

避けることはできるのか?
現在、改正された発達障害者支援法の第十条の3 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/viewContents?lawId=416AC1000000167_20160801_428AC0000000064
『3 事業主は、発達障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の発達障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければならない。』この条文に書いてある「発達障害者の雇用」とは精神障害者保健福祉手帳を持っていても持っていなくてもよいという解釈が重要視されているからです。
これで立ち向かうことができるともされていますが。そもそも手書きの業務日報の段階に来ると当事者もそのような余裕があるとは思えません。このレベルでは、雇用側と対峙しているのではないかと思いますし。良い状態の関係に戻せないということもあります。




話が脱線しました元に戻します


・イ 上記(4)②の出来事についてみるに、請求人らは、流暢性障害を負って いる被災者に対して、突っ掛かることなく説明を行うという不可能ないし困 難な行為を求め、繰り返しの指導ないし叱責が行われており、これは、認定 基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受け た」の心理的負荷「強」の具体例「部下に対する上司の言動が、業務指導の 範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定する言動が含まれ、かつ、 これが執拗に行われた」に該当する旨主張する。 被災者の指導看護師の申述を踏まえると、指導看護師は、被災者が患者へ の説明等改まった場面において緊張から言葉が出にくくなるものと理解して いたと推認されるところ、説明練習を繰り返すことで、患者への説明を日常 の会話と同様によりスムーズにできるようになるものと期待して行わせたも のとみるのが妥当である。


吃音のことが全く知られていないことがわかりますね。
スムーズに淀みなく話せるようになるために。
説明練習を繰り返すことでスムーズに発話発語ができるようになると期待したそうです…。吃音のこと全然知らないですね。

 ・この点、D主任は、1日5、6回も練習をさせると被災者も気落ちするの で1日2回程度であった旨述べるのに対し、請求人らは、Eが、被災者は説 明練習を何十回もさせられていた旨やスムーズに発言できないのを承知でわ ざと被災者に言わせたり、失笑したりするスタッフがいた旨申述していることを主張する。


これは新潮45で連載された近藤雄生氏が書いた記事にもあったように思います。


・しかしながら、EがSNSでも個人的につながるくらい親密とす るC課長、D主任、F以外の事業場関係者であるGの申述をみても、Eの申 述内容を裏付けるに足るものは見当たらず、他方、被災者が事業場外で信頼 を寄せていたと考えられるHも、事業場に勤めるようになってからも吃音の 悩みやいじめのことで決定的な話は聞いていないと述べていることを併せ勘 案すると、説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する。 もっとも、関係者の申述を踏まえれば、被災者が叱責されていた事実が認 められるものの、被災者の指導看護師から業務指導の範囲を逸脱した言動が なされた事実を目撃した者はおらず、被災者が記録していた日々のメモ帳に もそのような事実の記載は全くないことに照らせば、説明練習の指導をもっ - 5 - て認定基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行 を受けた」に該当するものとみることは相当ではなく、被災者が説明練習を 繰り返し行わされていたことと叱責されていたことを併せ、認定基準別表1 の具体的出来事「上司とのトラブルがあった」(平均的な心理的負荷の強度 「Ⅱ」)に該当するものとして評価することが妥当である。 そして、被災者の指導看護師による叱責に関しては、指導看護師が厳しく 叱ったことがあるとし、Gも、若干言い方がきつかったのかもしれないと述 べており、被災者が厳しく叱責される状況も複数回あったものと認められる が、ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。 ウ 上記(4)③の出来事についてみるに、請求人は、吃音のある被災者に対 して、スムーズに発言できないことを責めるのではなく、教育効果を考えな がら接してくれた唯一の理解者であった同僚が、平成○年○月○日付けで別 の部署に異動になり、被災者に対して同様に接してくれた人はほかにいなか ったことから、被災者がますます追い込まれていった旨主張する。 しかしながら、この出来事は、被災者の本件疾病発病後の出来事であり、 本件疾病が死亡に至る間に悪化したとする事情は認められないことから、評 価の対象とはならないものである。 エ 上記(4)④の出来事についてみるに、請求人は、被災者の吃音を理解し 事業場に来るよう誘ってくれたI元看護部長が、被災者が事業場に雇用され る前に退職しており、その後任の看護部長も被災者の雇用時には交代し、被 災者が事業場で働き始めるまでの間に看護部長が3人も代わっているが、被 災者の吃音について看護部長間で引継ぎがきちんとなされていたのか疑問で ある旨主張する。 請求人が主張する看護部長の交代は、被災者が事業場に雇用される以前の 出来事であることから、これを業務による出来事として評価することはでき ないが、仮にこれを決定書理由に説示するとおり、J看護部長となっていた ことを知ったのが事業場に雇用された後のこととして、認定基準別表1の具 - 6 - 体的出来事「上司が替わった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅰ」)に該当す るものとみても、心理的負荷の強度を修正すべき要素はないことから、この 出来事の心理的負荷の総合評価は「弱」であると判断する。 (6)上記(5)のとおり、被災者には心理的負荷の総合評価が「弱」の出来事が 3つ認められるが、その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。 3 以上のとおりであるので、監督署長が請求人に対してした本件処分は妥当であ って、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。




説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する

(略)

ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。


と書いてありますが。
根本的に吃音とはどんなものなのか? が知られていないことが根底にあるように思えます。もしも仮に、就職の段階で吃音の説明、合理的配慮を申し出ることができればとも考えますが。看護師は一般枠就労を望んでいたと仮定すれば、それはできなかったでしょう。仮に一般枠就労で「XXX障害について理解せよ!合理的配慮せよ!」と言えば雇用側と争う状態にもなります。そうするとそもそも勤務先の仲間や上司との軋轢にもなるのでそういうカードは使えません。さらに、一般枠就労なので、看護師としてできて当たり前の業務はできなければいけない。障害者枠であれば免除や合理的配慮があるかもしれないが。一般枠なので発話発語訓練のノルマを課せられるということは避けられなかったでしょう。そもそも医療従事者の障害者枠はあまり存在しないということもあります。


・その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。


最後の文章ですが。
業務上の事由ではなく。また死亡に至ることも業務上の事由ではないとなっています。









吃音のある人の働き方は今後どうなるのか?

吃音のある人の働き方というのは
吃音があっても大丈夫だ! 一般枠で働ける!!
障害者枠は給与やすいし。障害者と一緒だと思われるよ!
吃音でどもりまくって仕事している!
という人もいますし。(真実かどうかは別です。本当は職場でカミングアウトしていない場合もあるでしょう)

何らかの訓練や改善方法や
自分なりの技術で吃音が出ないように、うまく隠せるようになる当事者もいます。
吃音が出る状態をコントロールして。盛大に吃る→少し吃るにする場合も
あります。大破から小破にダメージコントロールすることです。

吃音があって困っている人。合理的配慮を受けて安心安全な環境で仕事したいと思えば。
精神障害者保健福祉手帳を取得する人もいるでしょう。


労働保険審査会の視点(吃音看護師の事例のみならず全てに当てはまる指針)

『しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできない。』



この部分「看護師」を他の職業に言い換えても。
この部分「患者や家族との」を「取引先やお客様との」に言い換えても。
この認識は成立します。
これは看護師に限らないということです。どのような職業でもこれは成立します。そして労働保険審査会が想定する一般枠雇用ではこのようなことが最重要視されていることになります。

吃音業界では吃音をカミングアウトして働いているという人もいますが、全ての企業団体がそのような環境ではありません…。不思議なことに吃音をカミングアウトして働いているという人が、その職場名を公開して、インターネット上にリスト化するということもありません。職場の人事を説得して「私のような吃音のある後輩が応募してくるからよろしくな!」とはなりません。吃音業界の不思議です。

では看護師が障害者枠雇用ならばどうだったのか?と考えてしまいます。合理的配慮を受けられたのではないか? しかし障害者差別解消法のいう合理的配慮は申し出があれば絶対に提供しなければいけないわけではありません。努力義務ということになっています。

さらに就労の場合の合理的配慮は障害者差別解消法よりも改正障害者雇用促進法になります。そこには「合理的配慮は、個々の事情を有する障害者と事業主との相互理解の中で提供されるべき性質のもの」であって。当事者の合理的配慮の申し出。その後双方での話し合いがあり、相互理解が必要。相互で共通の落とし所が求められるのです。一方的に「私は障害や症状があるから御社は合理的配慮しないとならない」と申し出をすることは、相手と対峙することになるということです。対決姿勢になってしまうのです…。

そこで多くの企業団体、組織は「落とし所はこのへんですね。わかりました。これでいきましょう。合理的配慮を提供するから、障害者手帳のコピーをだしてくれ。法定雇用率に計算したい」となるわけで。カミングアウトすれば一般枠でも働けるはずだという吃音業界の常識と大きく異なることになります。しかし、一般枠でカミングアウトをしてはいけないこと。大手の発達障害者向け就労移行支援事業所でも耳にタコができるほど、口酸っぱく、これでもかというほど何度も説明されます。リタリコ社の場合、就職を希望する当事者、リタリコ社職員、応募先の企業団体の三者間で合理的配慮を取り決めた内容の書面化をして保存するといいます。またリタリコ社のリタリコワークスでは「職場での合理的配慮ガイドブック 一人ひとりに合った働き方に向けて」をウェブに公開しています。 https://works.litalico.jp/interview/consideration/

しかし吃音当事者・吃音業界では一般枠雇用でも「吃音をカミングアウトできる」という事例が多数あります。吃音への合理的配慮希望を、ボールを投げるだけ投げて、雇用主側の事情や雇用先の立場とのギャップが発生してしまうのです。雇用側としては法定雇用率に計算したいから障害者手帳を持っていてほしいという本音と建前があります。


しかし何よりも、吃音とはどういったものなのか?
練習して治る人もいるかもしれないが、そうではない人もいる。
吃音についての情報提供がもっと必要になっていくと思います。

別記事でも書きました。
吃音ガイドライン 流暢性障害ガイドライン: 吃音者と働く 職場で吃音者の合理的配慮がうまくいかないのはなぜか? http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2017/10/blog-post.html

吃音当事者言う「私どもるんです。吃音があるんです」
これを雇用側が「どのくらいの吃音状態なのか」がわからないことの情報不足もあるでしょう。しかし吃音当事者によっては、吃音は障害ではないと思いこんでいるわけですから一般枠で就活して、カミングアウトをして採用される人もいますが、そうではない人もいることになります。この状況は今後変化していくでしょうか?


そして何よりも大切なこと 吃音のことをもっと強く社会に伝えていくこと 吃音の認知度をあげよう

これが何より重要でしょう。
2005年から吃音は発達障害者支援法に定義されていました。
マスコミ、報道のみなさんにはここを報道してほしいのです。
なぜ吃音業界において2005年から発達障害者支援法に吃音が含まれたこと。そして発達障害者支援法ができたときに、発達障害当事者や支援者、親の会の連合体が発足し、その中に吃音業界の団体が1つ加盟していたのに。2013年に吃音を苦にした自死、自殺が2件起きてしまったのか。なぜ発達障害業界は吃音業界を怪訝そうに見ているのか?
ここを報道してほしいのです。
関連記事
2013年、北海道で吃音看護師が自殺した。だが、本当は自殺を避けられたのである
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2015/11/2013.html
しかし吃音業界にはそれがなぜか秘匿、隠匿、隠蔽されてしまい。自死を決断する者が出てきた。2005年以降は別の選択肢もあったはず。もしも2005年から吃音のことが広く知られていれば。といろいろな事が巡り巡ってしまいます。

吃音業界、吃音者の中には、吃音以外の障害種別の当事者や家族を差別する人もいます。
これを吃音至上主義といいます。吃音至上主義が『吃音が発達障害者支援法に含まれていることを隠そう、隠匿、隠蔽、秘匿しよう。社会に広まらないようにしよう』につながるとしたら本当に怖いことです。

吃音業界では2005年4月から発達障害者支援法に吃音が含まれたことが共有されなかったことは本当に悲しいことです。吃音業界の団体がこの時点で団結し、運動をおこし、積極的に行政や医療との連携を行い、精神障害者保健福祉手帳取得への手引やホームページ上での使える社会保障制度紹介、吃音以外の障害児者、困ってる当事者との連携があれば。少なくともその後、高校や大学を卒業した吃音当事者は苦悩する時間、死にたくなる気持ち、自分の人生を考える時間、吃音があるからといって絶対にこれをしなければいけないという焦り、いろいろな重圧や悩みを別の視点、別の選択肢によって回避することもできたのかもしれません。2014年に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターが「吃音は発達障害に含まれる」とホームページ上で公開することによって事態は急変しました。黒船来航と同じで吃音業界はいよいよ外圧によって動かざるをえない状況になりました。

しかし、しかしです。吃音業界はなぜ発達障害者支援法の存在が隠されていたのか。なぜ吃音者(家族やそれに関係する人間)は精神障害や発達障害を持った人を差別するのか。こういった過去を調べて検証して反省するということはありません。検証した結果をしっかり報告書にしてウェブ上に公開することも大切だと考えます。本来なら吃音業界はまずここからやらなければいけないのです。労働保険審査会(ウェブ上に公開されるレベル)にまで行動しなければいけなかった。それくらい吃音業界はとても深い闇を抱えているといえます。もっと早く、少なくとも発達障害者支援法が開始された当時から吃音当事者とその家族の選択肢を増やすための行動をしていれば、権利擁護をしていれば、令和時代になって、吃音で苦悩し苦しみ生きることへ絶望する当事者や家族も少なくなっていたでしょう。とりわけ吃音者が大きな壁と感じる就職活動では一般枠も障害枠も両方就活しよう。精神障害者保健福祉手帳を取得しよう、社会保障制度を堂々と利用しようという流れもあったかもしれません。


吃音至上主義(きつおんしじょうしゅぎ)とはなんですか? どんな差別主義ですか?
https://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.com/2018/12/blog-post.html


吃音業界では吃音のことが100%全部社会に知られてしまうことを反対する人もいます。
吃音が発達障害になると精神障害や発達障害の人と同じに思われてしまうから、精神障害や発達障害の人は犯罪をしても無罪だから、そんな人たちと同じに扱われたくないから。吃音は身体障害だという吃音至上主義者もいます。

発達障害者支援法に入っていることを2005年の施行日から2014年7月3日に国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報支援センターが改めて告知するまで、隠匿していた業界でもあります。もしも2005年から吃音が発達障害者支援法の対象であるとわかっていれば。イジメや不登校を経験した人も。その後進学を諦めてしまった人も。就職活動で失敗してしまった人も。いまはニートやひきこもりになっている人も。自殺をした人も。何か別の道があったのではないかと思います。

発達障害による精神障害者保健福祉手帳は「本人の困りごと」により取得できます。
身体障害の場合は身体障害の認定基準という明確な線引、数値、検査などがあります。これにより厳格に等級が決まります。もしも吃音が身体障害になったとすれば。軽度の人が手帳を取得できない可能性もあります。

また、うつや適応障害、社交不安障害といった二次障害がなくても精神障害者保健福祉手帳は取得できます。自閉症スペクトラムだけで精神障害者保健福祉手帳を持っている人もいます。吃音業界ではこのような正しい情報が医療従事者の間でも共有されておらず。二次障害が発生しないと手帳を取得できないと判断する人もいます。自閉症スペクトラムなどを診療する医師は「二次障害が発生しないように当事者を守るため」にも発達障害の症状単独で精神障害者保健福祉手帳が取得できることをもっと世間に浸透してほしいといいます。


吃音の認知度を上げること。「吃音を知られたくない」という気持ちもあるでしょうし。うまく吃音を隠して社会に溶け込んでいるいる人はなおさらでしょう。

しかし、吃音があってもうまくいっているとか、どもりまくって仕事している、私ができたから、あなたもできる。それは間違っています。「パターナリズム」です。あなたの成功体験が他の人にあてはまるわけないのです。

吃音のある人に限らず、身体障害でも発達障害でも精神障害でも知的障害でもマイノリティでも難病でも、どんな人でも世界中に同じ人は存在しません。生まれた国家。生まれた家の貧富、親の価値観、学校の環境、いじめにあうか、あわないか。不登校になるかならないか。うまく何事もなくいってしまうか。挫折するか。まったくひとりひとり異なるのです。今目の前にいる困っている人は、過去に経験したこの人とパターンが同じだから、こんな感じで助ければいいや。ではありません。

もしも吃音があってもうまく行っている、会社は理解あるという人は自分の所属する企業団体・組織の名称をインターネット上に公開してください。そして人事部に「私は吃音があるけど。今度後輩がエントリーしてくるから。頼むよ!」と説明して「後輩吃音者のみなさん!私の働く職場に応募して!!吃音があっても絶対大丈夫!全く気にされないよ!」とアナウンスすべきです。全ての吃音者に平等なエントリーできる機会を提供すべきです。

しかしそれはできませんよね。
だからこそ。社会保障制度、障害者基本法、発達障害者支援法、差別解消法、精神障害者保健福祉手帳制度などなどがあるのです。これらは人間が文明を築いてきた中で生まれたものです。障害者に限らず、社会的弱者の人へのセーフティーネットは近代ではどの国家でもあるわけです。


そしてライフステージにあわせた。
いつでもどこでも、誰でも。困ったときにどのような制度があるのか?
これらを「可視化、見える化」していかないとなりません。
発達障害のある人の団体やてんかんのある人の団体では、使える制度一覧の説明。学校での合理的配慮の受け方。学校での個別の指導計画・支援計画の発動方法。障害のある生徒を多く受けれ入れている高校説明会、発達障害のある学生を手厚く支援してくれる大学、就職は一般枠?障害者枠?と考える時間。いろいろな機会を情報を教えてくれます。

吃音がある子どもであれば「うまく話せるように学校にいくのではありません」
安心安全な環境で勉強するため。無理に発話発語をしない合理的配慮を求めること。
こういうことでもいいのです。


少し古い資料で、一部内容が変わっているかもしれませんが。
東京大学先端研で発達障害のある人の研究を熊谷晋一郎氏と行っている綾屋紗月氏が発達障害の説明、当事者研究の際に利用するスライドです。
「吃音のある私」
「吃音のある私が困っていること」
「社会に返せる問題は社会に返す」

個人の問題と社会の問題を切り分ける。
そして使える制度や社会資源を使いリカバリーしていく。
安心安全な環境を手に入れる。
自分が生きやすい環境を構築していくことが大切になるでしょう。

そして吃音業界の医療従事者ではなく、精神科医療の医療従事者のみなさんにお願いです。吃音業界は本当に複雑です。発達障害者支援法が存在したのにも関わらずそれが見える化わかる化使える化されていないのです。そして、「成功してる吃音者」という価値観があり、ここでは社会保障制度、障害者手帳制度を利用する吃音者は弱い人、甘えた人、負け組、ずるい人などとレッテルはられます。あくまでも一般枠で成功してこそ、そして吃音当事者の保護者と同じ収入レベル生活レベルの維持をすることが評価されます。ここには相談支援、ソーシャルワーク、バイスティックの7つの原則、パターナリズムなどが理解できる人がいないのです。どうか助けてください。みなさんの活躍するフィールドで吃音を積極的に扱ってほしいのです。









以下、労働保険審査会の公開した文書


1.28労103 [190KB] 棄却 准教授の上司、同僚からのパワハラ等により発病したとする精神障害

- 1 - 平成28年労第103号 主 文 本件再審査請求を棄却する。 理 由 第1 再審査請求の趣旨及び経過 1 趣 旨 再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、労働基準監督 署長(以下「監督署長」という。)が平成○年○月○日付けで請求人に対してした 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めるというにある。 2 経 過 請求人は、平成○年○月○日、A所在の学校法人Bに採用され、同法人が運営 するC大学(以下「大学」という。)に専任講師として勤務したのち、平成○年か らは准教授として就労していた。 請求人によると、平成○年○月頃から学長や同僚から受けたパワーハラスメン トやいじめにより慢性的なストレスが蓄積されたという。 請求人は、同年○月○日、Dクリニックに受診し、「適応障害」と診断され、そ の後、平成○年○月○日、E病院に受診し、「適応障害」と診断された。 請求人は、精神障害を発病したのは、業務上の事由によるものであるとして、 監督署長に療養補償給付及び休業補償給付を請求したところ、監督署長は、請求 人に発病した精神障害は業務上の事由によるものとは認められないとして、これ らを支給しない旨の処分をした。 請求人は、これら処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査 官」という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄 却したので、請求人は、更にこの決定を不服として、本件再審査請求に及んだも のである。 第2 再審査請求の理由 - 2 - (略) 第3 原処分庁の意見 (略) 第4 争 点 本件の争点は、請求人に発病した精神障害が業務上の事由によるものであると認 められるか否かにある。 第5 審査資料 (略) 第6 事実の認定及び判断 1 当審査会の事実の認定 (略) 2 当審査会の判断 (1)請求人の傷病名及び発病時期について、労働局地方労災医員協議会精神障害 等専門部会(以下「専門部会」という。)は、平成○年○月○日付け意見書に おいて、請求人の発病の状況、F医師の意見書等から、ICD-10診断ガイ ドラインに照らし、「F43.2 適応障害」(以下「本件疾病」という。) を発病したと判断し、発病時期を平成○年○月下旬頃としており、請求人の症 状の経過等に照らすと、当審査会としても専門部会の意見は妥当であると判断 する。 (2)ところで、精神障害の業務起因性の判断については、厚生労働省労働基準局 長が「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月2 6日基発1226第1号。以下「認定基準」という。)を策定しており、当審 査会としてもその取扱いを妥当なものと考えることから、以下、認定基準に基 づき検討する。 (3)そこで、請求人の本件疾病発病前おおむね6か月間における業務による心理 的負荷についてみると、次のとおりである。 ア 「特別な出来事」について 認定基準別表1「業務による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」 という。)の「特別な出来事」の類型に示されている「心理的負荷が極度の もの」又は「極度の長時間労働」に該当する出来事は認められず、「特別な - 3 - 出来事」は見受けられない。 イ 「特別な出来事以外の出来事」について 請求人は、本件疾病を発病に至らしめる多くの業務による心理的負荷をも たらす出来事があった旨主張していることから、以下、同主張の出来事ごと を検討する。 (ア)まず、請求人は、平成○年○月○日に請求人の身体状況を確認するため に大学が指定した医療機関を受診するよう学部長より指示がなされ、請求 人は受診することとなったが、当該指示自体が不適切であると主張する。 当審査会では、請求人が当該医療機関を受診することとなった経緯につい て精査したが、受診は事実確認書からみて、明確に請求人の合意を得た上 でなされたものであり、また、当該指示の理由についても、請求人が今後 授業を支障なく継続できるかを判断するためという合理性が認められるも のであることから、仮に、請求人にとって不満があったとしても、一般的 に心理的負荷をもたらす業務上の出来事であるとは判断できない。 (イ)次に、請求人は、自身の授業のやり方等について平成○年○月○日に学 生から提出された嘆願書を取り上げ、同年同月○日にG委員会が開催され、 さらに同月○日には学生に対する説明会が開催されたことについて不当で ある旨を主張する。この点、一件記録を精査すると、請求人の主張と大学 側の主張には、学生の請求人による授業に対する受け止め方や説明会に至 る経緯において食い違いがあるものの、少なくとも学生から「嘆願書」が 出されたことは事実であると認められる。学生から、こうした文書が提出 された以上、大学側が請求人から事情を聞き、また、学生に対して説明を したことについては、合理性があると判断すべきである。この点、請求人 は、呼び出し回数が○回にも及んだことを不当である旨主張するが、こう した事態に至った背景には、請求人の釈明が学生の主張と乖離していたた め事実確認が必要であったと判断し得るものであり、調査が長期間に及ん だことも致し方ないと言わざるを得ない。したがって、この一連の経過に ついて、請求人が不満を抱いたことは理解できるも、大学側として学生の 苦情に係る請求人への対応が不当であったとは判断できず、同出来事を認 定基準別表1の具体的出来事に該当する出来事として「上司とのトラブル - 4 - があった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅱ」)に該当するとみて評価し ても、やや強い業務指導が行われたものであると判断することが相当であ り、その心理的負荷の強度は「中」であると判断する。 (ウ)また、請求人は、学部長ら上司から発病直前まで継続して「いじめ」を 受けていた旨を主張するが、当審査会において、一件記録を精査するも、 決定書に記載のとおり、上記G委員会や学生への説明会の場において、請 求人にとっては厳しいと感じられるであろうやり取りがあった事実は認め られ、また、H委員長から試験の監督をするよう求められた等の事実は認 められるものの、いずれも大学教員としての一般的な務めを求められたと 判断すべきものであり、それらの場面において、請求人の人格や人間性を 否定するような嫌がらせが執拗かつ繰り返し行われたという事実も認めら れないことから、業務による心理的負荷をもたらす出来事であったとは判 断し得ない。 (エ)さらに、請求人は、事実確認書について、記載内容やその手続き等につ いて不当である旨を主張するが、当該確認書は、平成○年○月○日から同 年○月○日までの間の○回にわたる請求人と学部長らとの話し合いの結果 として作成されたものと認められ、最終的には、請求人も自ら署名してい る。請求人は、法律学を専門とする研究者であり、当該署名の意味につい ては理解しているものと判断されるところ、後にこれを不当な要求であっ た等との反論は受容しがたく、同主張について、業務による心理的負荷を もたらす出来事であるとは判断できない。 (オ)以上のことからすると、請求人について認定基準別表1の具体的出来事 に該当する出来事としては、心理的負荷の総合評価「中」となる出来事が 1つ認められるに過ぎず、請求人の業務による心理的負荷の全体評価は 「強」には至らないものである。 なお、請求人は、本再審査請求において、公正かつ慎重な審理を希望す る旨主張しているところ、当審査会においては、事実認定に係る関係者の 申述及び証拠については、各位の立場や事情を十分に斟酌してその採否を 決定しており、本件についても、大学関係者の申述については、その信憑 性や矛盾の有無についても精査したものであることを付言する。 - 5 - (4)業務以外の心理的負荷の評価及び個体側要因の評価 本件における一件記録からは、業務以外の心理的負荷については認定基準に 基づき特に評価すべき要因は認められない。個体側要因については、請求人は 平成○年○月よりIクリニックに定期的に通院し「吃音」、「神経症」、「抑 うつ状態」、「不眠症」と診断され、抗うつ薬や睡眠薬が継続して処方されて いる。また、平成○年○月から「抑うつ状態」により約○週間休業しているこ とも確認できる。 (5)請求人のその余の主張についても子細に検討したが、上記結論を左右するに 足るものは見いだせなかった。 (6) 以上のことから、当審査会としても請求人に発病した本件疾病は業務上の事 由によるものとは認められないと判断する。 3 以上のとおりであるから、請求人に発病した本件疾病は業務上の事由によるも のであるとは認められず、監督署長が請求人に対してした療養補償給付及び休業 補償給付を支給しない旨の処分は妥当であって、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。

2.28労391 [209KB] 棄却 看護師の自殺

- 1 - 平成28年労第391号 主 文 本件再審査請求を棄却する。 理 由 第1 再審査請求の趣旨及び経過 1 趣 旨 再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、労働基準監督 署長(以下「監督署長」という。)が平成○年○月○日付けで請求人に対してした 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)による遺族補償給付及び葬祭 料を支給しない旨の処分を取り消すとの裁決を求めるというにある。 2 経 過 請求人の亡子(以下「被災者」という。)は、平成○年○月○日、A所在のB 病院(以下「事業場」という。)に雇用され、看護師として業務に従事していた。 請求人によれば、被災者は、入職後、同年○月頃から、指導の受け答えの時に 突っ掛かる、言葉が出ないなどからコミュニケーションを取ることができず、少 しずつ悩み始め、同年○月になると退職や自殺を意識し出し、精神的に病んでい ったという。 被災者は、同年○月○日、事業場に出勤せず、自宅で死亡しているところを発 見された。死体検案書には、「死亡したとき:平成○年○月○日昼頃(推定)、直 接死因:酸素欠乏による窒息(推定)、死因の種類:自殺」と記載されている。 請求人は、被災者の死亡は業務上の事由によるものであるとして、監督署長に 遺族補償給付及び葬祭料を請求したところ、監督署長は、被災者の死亡は業務上 の事由によるものとは認められないとして、これらを支給しない旨の処分(以下 「本件処分」という。)をした。 請求人は、本件処分を不服として、労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」 という。)に審査請求をしたが、審査官は、平成○年○月○日付けでこれを棄却し た(以下「本件決定」という。)ので、請求人は、更に本件決定を不服として、本 件再審査請求に及んだものである。 - 2 - 第2 再審査請求の理由 (略) 第3 原処分庁の意見 (略) 第4 争 点 本件の争点は、被災者の精神障害の発病及び死亡が業務上の事由によるものであ ると認められるか否かにある。 第5 審査資料 (略) 第6 事実の認定及び判断 1 当審査会の事実の認定 (略) 2 当審査会の判断 (1)被災者の精神障害発病の有無及び発病時期について、労働局地方労災医員協 議会精神障害専門部会(以下「専門部会」という。)は、平成○年○月○日付 け意見書において、症状経過及び主治医意見等を踏まえ、ICD-10診断ガ イドラインに照らし、「F43.2 適応障害」(以下「本件疾病」という。) を発病していたと判断し、その時期は平成○年○月下旬頃としている。 被災者の症状経過等を踏まえると、当審査会としても、専門部会の意見は妥 当であると判断する。 (2)ところで、心理的負荷による精神障害の業務起因性の判断については、厚生 労働省労働基準局長が認定基準を策定しており、当審査会としても、その取扱 いを妥当なものであると考えることから、以下、認定基準に基づき検討する。 (3)被災者の本件疾病発病前おおむね6か月間において、認定基準別表1「業務 による心理的負荷評価表」(以下「認定基準別表1」という。)の「特別な出 来事」に該当する出来事は認められない。 (4)そこで、「特別な出来事」以外の出来事についてみると、請求人及び再審査 請求代理人(以下「請求代理人」という。請求人及び請求代理人を併せて、以 下「請求人ら」という。)は、①認定基準別表1の具体的出来事「達成困難な ノルマが課された」に該当する出来事、②同じく「(ひどい)嫌がらせ、いじ め、又は暴行を受けた」に該当する出来事、③同じく「理解してくれていた人 - 3 - の異動があった」に該当する出来事、④同じく「上司が替わった」に該当する 出来事があり、①及び②の出来事による心理的負荷の総合評価はそれぞれ「強」 に該当する旨主張している。 (5)上記(4)の請求人らの主張を踏まえ検討すると、以下のとおりである。 ア 上記(4)①の出来事についてみるに、請求人らは、被災者は患者に対す る説明を行う前に、先輩看護師に向かっての説明練習を繰り返し実施させら れていたが、これは、事業場が被災者に対して突っ掛かることのない説明を 行うことを業務目標として課していたものであって、かかる業務目標はノル マに該当し、当該ノルマは流暢性障害を有する被災者にとって「客観的に、 相当な努力があっても達成困難なノルマ」であり、また、被災者に対する試 用期間延長の通告が「重いペナルティの予告」に該当することから、この出 来事の心理的負荷の総合評価は「強」に該当する旨主張する。 しかしながら、請求人らが主張する先輩看護師に向かっての説明練習は、 プロの看護師として業務を遂行していく上での前提となる、患者や家族との 円滑な意思疎通、コミュニケーションを図るための基礎訓練と考えられ、新 人看護師の教育プログラムの一環として実施されていたものであることか ら、これを、営業上の利益を確保することなどを目的として労働者に一定の 業務成果の達成を求めるために課せられるノルマと同視することはできな い。 したがって、当審査会としても、決定書理由に説示するとおり、この出来 事を「達成困難なノルマが課された」に該当するものとして評価することは できず、下記イのとおり、認定基準別表1の出来事の類型「対人関係」の出 来事として評価すべきものと判断する。 なお、請求代理人は、被災者に対する試用期間延長の通告について、達成 困難なノルマに係る「重いペナルティの予告」に該当する旨主張するが、前 述のとおり被災者にノルマが課されたものとみることはできず、別途出来事 として評価すべきものである。そして、その心理的負荷の程度を検討してみ ても、当該延長は被災者の試用期間中の状況をみて総合的に検討した結果と して行われたものであって、不当なものとまではいえず、被災者には技術面 (採血・注射)の修得が不足していた旨のC課長の申述にも信憑性を欠くも のとみるべき事情もないところ、管理者であるC課長から被災者に対して今 - 4 - 後の課題を含め相応の説明がされた上で通告されたものと推認されることか ら、心理的負荷の程度は「弱」であるものと判断する。 イ 上記(4)②の出来事についてみるに、請求人らは、流暢性障害を負って いる被災者に対して、突っ掛かることなく説明を行うという不可能ないし困 難な行為を求め、繰り返しの指導ないし叱責が行われており、これは、認定 基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受け た」の心理的負荷「強」の具体例「部下に対する上司の言動が、業務指導の 範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定する言動が含まれ、かつ、 これが執拗に行われた」に該当する旨主張する。 被災者の指導看護師の申述を踏まえると、指導看護師は、被災者が患者へ の説明等改まった場面において緊張から言葉が出にくくなるものと理解して いたと推認されるところ、説明練習を繰り返すことで、患者への説明を日常 の会話と同様によりスムーズにできるようになるものと期待して行わせたも のとみるのが妥当である。 この点、D主任は、1日5、6回も練習をさせると被災者も気落ちするの で1日2回程度であった旨述べるのに対し、請求人らは、Eが、被災者は説 明練習を何十回もさせられていた旨やスムーズに発言できないのを承知でわ ざと被災者に言わせたり、失笑したりするスタッフがいた旨申述しているこ とを主張する。しかしながら、EがSNSでも個人的につながるくらい親密とす るC課長、D主任、F以外の事業場関係者であるGの申述をみても、Eの申 述内容を裏付けるに足るものは見当たらず、他方、被災者が事業場外で信頼 を寄せていたと考えられるHも、事業場に勤めるようになってからも吃音の 悩みやいじめのことで決定的な話は聞いていないと述べていることを併せ勘 案すると、説明練習を繰り返し行わせていたこと自体が、業務指導の範囲を 逸脱し、嫌がらせやいじめに該当するものとみることはできず、被災者は看 護師として必要な基礎的能力を修得するため、教育プログラムの一環として の業務指導を受けていたものとみるのが妥当であると判断する。 もっとも、関係者の申述を踏まえれば、被災者が叱責されていた事実が認 められるものの、被災者の指導看護師から業務指導の範囲を逸脱した言動が なされた事実を目撃した者はおらず、被災者が記録していた日々のメモ帳に もそのような事実の記載は全くないことに照らせば、説明練習の指導をもっ - 5 - て認定基準別表1の具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行 を受けた」に該当するものとみることは相当ではなく、被災者が説明練習を 繰り返し行わされていたことと叱責されていたことを併せ、認定基準別表1 の具体的出来事「上司とのトラブルがあった」(平均的な心理的負荷の強度 「Ⅱ」)に該当するものとして評価することが妥当である。 そして、被災者の指導看護師による叱責に関しては、指導看護師が厳しく 叱ったことがあるとし、Gも、若干言い方がきつかったのかもしれないと述 べており、被災者が厳しく叱責される状況も複数回あったものと認められる が、ほかにも新人看護師がいる中で、被災者のみが厳しい叱責を受けていた ものとは認められず、看護の現場において想定される一般的な指導、叱責を 超えるものとみるべき客観的な事情も見受けられないことから、当審査会と しても、説明練習と叱責の出来事による心理的負荷の総合評価は、決定書理 由に説示するとおり「弱」であると判断する。 ウ 上記(4)③の出来事についてみるに、請求人は、吃音のある被災者に対 して、スムーズに発言できないことを責めるのではなく、教育効果を考えな がら接してくれた唯一の理解者であった同僚が、平成○年○月○日付けで別 の部署に異動になり、被災者に対して同様に接してくれた人はほかにいなか ったことから、被災者がますます追い込まれていった旨主張する。 しかしながら、この出来事は、被災者の本件疾病発病後の出来事であり、 本件疾病が死亡に至る間に悪化したとする事情は認められないことから、評 価の対象とはならないものである。 エ 上記(4)④の出来事についてみるに、請求人は、被災者の吃音を理解し 事業場に来るよう誘ってくれたI元看護部長が、被災者が事業場に雇用され る前に退職しており、その後任の看護部長も被災者の雇用時には交代し、被 災者が事業場で働き始めるまでの間に看護部長が3人も代わっているが、被 災者の吃音について看護部長間で引継ぎがきちんとなされていたのか疑問で ある旨主張する。 請求人が主張する看護部長の交代は、被災者が事業場に雇用される以前の 出来事であることから、これを業務による出来事として評価することはでき ないが、仮にこれを決定書理由に説示するとおり、J看護部長となっていた ことを知ったのが事業場に雇用された後のこととして、認定基準別表1の具 - 6 - 体的出来事「上司が替わった」(平均的な心理的負荷の強度「Ⅰ」)に該当す るものとみても、心理的負荷の強度を修正すべき要素はないことから、この 出来事の心理的負荷の総合評価は「弱」であると判断する。 (6)上記(5)のとおり、被災者には心理的負荷の総合評価が「弱」の出来事が 3つ認められるが、その業務による心理的負荷の全体評価は「弱」であって「強」 には至らないことから、被災者に発病した本件疾病は、業務上の事由によるも のとは認められず、またその死亡も業務上の事由によるものとは認められない。 3 以上のとおりであるので、監督署長が請求人に対してした本件処分は妥当であ って、これを取り消すべき理由はない。 よって主文のとおり裁決する。

吃音業界はなぜ場面緘黙業界やトゥレット症候群の団体のように日本精神神経学会パブリックコメントへ何らかのアクションをしないのか?

2018年7月1日現在。吃音当事者の団体から公式なアクションはありませんでした。
今後、後出しジャンケンなど、本来は発言する機会があったのに、後から何かを言うという場合は、この記事のことを思い出しましょう。



場面緘黙業界を構成する一つの団体である。
かんもくネットから、このような記事(記事は最下段)が出ており、フェイスブック、Twitterで場面緘黙当事者などのアカウントから拡散されています。トゥレット症候群の団体である日本トゥレット協会(http://blog.canpan.info/tsaj2001/archive/324)も記事を出しています。


これは日本精神神経学会サイトにて「ICD-11新病名案に関するパブリックコメント募集」が行われており。
https://www.jspn.or.jp/modules/info/index.php?content_id=622

それについて賛成意見や反対意見などを送ってほしいということです。
ここに場面緘黙の団体が呼びかけをしていることになります。

場面緘黙業界は2018年の春頃、日本精神神経学会が場面緘黙の名称を「選択性緘黙」にするということを事前に知り、場面緘黙の個人、家族、医療従事者、支援者などが協力して、要望をしたと言われています。パブリックコメントがインターネット上に公開される前に行動したことになります。

しかし、吃音業界の団体は。今回、公式に日本精神神経学会がこのようなパブリックコメントを実行していることを告知しませんし、情報の拡散もしていません。

ICD11によると吃音は「吃音」という言葉がなくなり、「発達性発話流暢症」ということになります。今後は「流暢症」ということが一般的になるかもしれません。それを見越してか、吃音学会も、正式名称は「日本吃音・流暢性障害学会」となっているので、世界的な位置づけを知っていたことになります。

さて。問題なのは。
1.吃音という言葉がなくなることに抗議をする?
2.吃音という言葉がなくなることに賛同する?
3.その他

何れかの意見を伝えましょう!個人的に意見をしても可。
と、吃音業界の団体が公式にアナウンスをする。情報を告知しないことです。
場面緘黙業界とは大きな違いですね。



――― 発達障害当事者や関係者からは吃音が消滅することに賛同もある
2017年、吃音至上主義を持った医療従事者が、「発達障害者は内的心理的問題を持った人だ。吃音者も内的心理的問題を持った人だと思われたら困る」、「一般社団法人 日本発達障害ネットワーク JDDnetは破綻寸前だ!(信用毀損、業務妨害)」等という差別する内容や組織団体の評価を下げるための内容をインターネット上に公開しました。発達障害児者の団体、それに参加する個人や家族、研究者や医療従事者の間でも大きな衝撃として受け止められました。これは一般社団法人日本自閉症協会の掲示板でも大きな話題になり、広く知られることになったのです。

結果として、「吃音」というのは、ある意味。吃音を持った人のステータスとなっているのではないか? 吃音であることに何らかの優越感を持っているのではないか? 吃音者というものに選民思想があるのではないか? 

故に精神障害や発達障害のある人。精神障害者保健福祉手帳を利用する人を見下し、差別し、吃音と精神障害や発達障害を一緒にするな! と叫ぶのではないか? と指摘されています。(余談ですが 2018年6月に新幹線で起きた悲しい事件。これが毎日新聞社やNHKの報道により被疑者が発達障害を持っていた!と広く周知され。これが吃音業界では吃音当事者が「それみたことか。発達障害の人はこうやって犯罪をする。人を殺す。こんな人と吃音が一緒になることはありえない。吃音が発達障害だと世間に思われたら事件を起こす人だと思われる」などという吃音至上主義、障害種別差別が早速ありました)


そこで、「吃音」という言葉ではなく「流暢性の症状」ということで。今回の日本精神神経学会ICD11パブリックコメントに、吃音という言葉がなくなったことへの賛同、感謝を申し述べるべきだという考えもあります。発達障害のある人にも流暢性の症状を持った人がいる。というほうが受け入れやすいのです。

発達障害のある人にも「吃音」の症状を持った人がいる。という説明をすると。2017年に起きた吃音至上主義を持った人の差別がフラッシュバックするという発達障害当事者さんや家族がいるため、吃音という言葉以外で表現する方法をさがしていたということになります。吃音という言葉そのものが「フラッシュバックのトリガー」になってしまったこと。これは本当に筆者も深く深くお詫びすることしかできません。


実際、場面緘黙の団体でも感謝のコメントを送信しましょうと呼びかけています。
発達障害のある人、その家族や関係する医療従事者や支援者、教員などは、そういう意味も含めて、日本精神神経学会のパブリックコメントに「流暢性の症状」と読めるようにしたことを感謝する意見を送信してもよいでしょう。


――― 賛成なのか反対なのかのアクションも起こさない吃音業界は何をしているのだろう?

問題なのは場面緘黙業界、トゥレット協会が今回のパブリックコメントに何か声を伝えましょうと公式にアナウンスを行っているのですが。吃音業界はそのような行動を一切していないことです。

賛成なのか、反対なのか、その他なのか。意見も何もしない。
そして、パブリックコメントが終わったあとに、アクションを実行するとなれば。非常識だと思われる可能性も考えられます。

吃音業界と場面緘黙業界の違い。
これななぜなんでしょうか?
やはり、場面緘黙業界、団体や個人には吃音至上主義者のように仮に場面緘黙至上主義が存在しないこと。これが大きな要因ではないかと思います。
『場面緘黙は精神障害や発達障害じゃない。あいつらと一緒にするな!!精神障害者保健福祉手帳の交付対象なんて許さないぞ!』という意味不明な差別発言を筆者は聞いたこともありませんし。場面緘黙の当事者さんと実際に会ってお話したり遊んだりしてもそういうことは一切ありませんでした。障害種別ごとの優劣や上下関係があるということは受け入れないということです。また場面緘黙業界さんは当事者、親、家族、医療従事者、研究者などの連携が上手くいっているように見受けられます。このあたりも迅速な意思決定に直結しているのではないかと思います。そのため、仮に差別発言などがあれば「しっかり怒ってくれる、指導してくれる大人」がいるのでしょう。

何れにせよ。吃音業界は何らかのアクションを起こすならそろそろしないと時間が無いといういうことです。




――― 神経発達症群に知的障害が含まれたため、吃音至上主義に吃音を知的障害と一緒にするな! が発動する可能性
余談です。
話は脱線しますが。
ICD11の分類の神経発達症の中に、知的障害が含まれることになりました。
吃音至上主義者は「精神障害、発達障害、精神障害者保健福祉手帳」に吃音を入れるな!! に加えて 「知的障害と吃音が一緒だと思われたら困る!吃音のある人が知的障害だと思われる!」などという新たな、高レベル吃音至上主義を展開する可能性があります。 みなさん気をつけましょう。また吃音のある人や団体から、精神障害、発達障害、精神障害者保健福祉手帳を利用する人が差別を受けた場合。報道各社、発達障害業界の団体などに報告しましょう。しっかり抗議しましょう。 



ICD11による 神経発達症群の分類
 Neurodevelopmental disorders 神経発達症群
1.1 Disorders of intellectual development 知的発達症
1.1.1 Disorder of intellectual development, mild 知的発達症、軽度
1.1.2 Disorder of intellectual development, moderate 知的発達症、中等度
1.1.3 Disorder of intellectual development, severe 知的発達症、重度
1.1.4 Disorder of intellectual development, profound 知的発達症、最重度
1.1.5 Disorder of intellectual development, provisional 知的発達症、暫定
1.1.6 Disorders of intellectual development, unspecified 知的発達症、特定不能
1.2 Developmental speech or language disorders 発達性発話または言語症群
1.2.1 Developmental speech sound disorder 発達性語音症
1.2.2 Developmental speech fluency disorder 発達性発話流暢症
1.2.3 Developmental language disorder 発達性言語症
1.2.4 Other specified developmental speech or language disorders 発達性発話または言語症、他の特定される
1.2.5 Developmental speech or language disorders, unspecified 発達性発話または言語症、特定不能
1.3 Autism spectrum disorder 自閉スペクトラム症
1.3.1 Autism spectrum disorder without disorder of intellectual development and with mild or no impairment of functional language
自閉スペクトラム症、知的発達症を伴わない、かつ機能的言語の不全がない、または軽度の不全を伴う
1.3.2 Autism spectrum disorder with disorder of intellectual development and with mild or no impairment of functional language
自閉スペクトラム症、知的発達症を伴う、かつ機能的言語の不全がない、または軽度の不全を伴う




公開された記事
2018年6月
「場面緘黙」に賛同のパブリックコメントを投稿しよう!
2018年6月1日~2018年6月30日、日本精神神経学会サイトにて「ICD-11新病名案に関するパブリックコメント募集」がされています。 詳細は、日本精神神経学会サイトへリンク(新規ウィンドゥで開く)
ICD-11における名称は、学校教育や福祉関連の法律にも反映されるため、大きな影響力があります。...
あなたも「場面緘黙」に賛同のパブリックコメントをぜひ投稿してください。パブリックコメントを経て、正式名称が決定されることになります。
パブリックコメントとは、正式決定がされる前に、国民から広く意見を求める制度。氏名やメールアドレス、立場等を書き込んだ後、「4.不安または恐怖関連症群」分類の「4.7場面緘黙」を選び、意見を書き込む形式です(結果公表は数値や記述の抜粋で、個人特定につながる情報の公表は一切ないとのこと)。
かんもくネットは「場面緘黙」という用語が適切と考え、これまでも“Selective mutism”を「場面緘黙」と翻訳し用いてきました。「選択性緘黙」という用語は、「自分の意志で話さないことを選択している」という語感があり、誤解を生むことが多かったためです。「場面緘黙」の方が、「特定の状況(園や学校など)で話せないことが続く」症状の特徴がわかりやすく表現されていると考えます。「場面」とは「人・場所・活動」の3要素で規定されますが、「場面緘黙」はこれら3要素を変数として症状出現が見られるからです。
この4月、緘黙関連団体連合会※(会長 金原洋治)は、「場面緘黙」を正式名称にしてほしい旨の要望書を関連学会に提出しました。その数年前より日本不安症学会にご検討いただき、日本精神神経学会にもご理解いただきました。「場面緘黙」が草案として採用されるに至った経緯については、日本不安症学会の「ICD-11新病名草案におけるSelective mutism の訳語に『場面緘黙』が採用されたことについて」に詳しく説明されています。
不安症学会サイトへリンク(新規ウィンドゥで開く)
※緘黙関連団体連合会には、現在11団体が加盟しています。加盟団体 (五十音順)は下記です。
かんもくグループ北海道,かんもく富山,かんもくネット,かんもくの会,かんもくの声,さくらんぼの会,信州かんもく相談室,つぼみの会 (場面緘黙親の会 関東),日本緘黙研究会,場面緘黙親の会ひろしま(あゆみの会),宮古島-緘黙っ子の親の会
また、今年4月、緘黙関連団体連合会は、「『発達障害者支援法』に場面緘黙を残すことに関する要望書」を厚労省と関連の会に提出しました。
ICD-11では、疾病分類が大きく変わりました。場面緘黙は「不安または恐怖関連症群」に分類されたのに対して、発達障害者支援法の対象の多く(ASD、ADHD、LD、DCD、吃音、チックなど)は、「神経発達症群」に分類されました。そのため、このままでは、場面緘黙がこの法律の支援対象からはずれてしまう可能性があります。
http://kanmoku.org/news_index.html

2018年5月8日火曜日

志乃ちゃんは自分の名前が言えない 7月14日より順次公開予定

映画 「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」
の公開情報です。
7月14日より公開予定ですが。
大きな映画館では上映しないようです。
「近日公開予定ではあるが、日時不明の映画館も多いです」




公式サイト
http://www.bitters.co.jp/shinochan/


東京 新宿武蔵野館 7月14日より
http://shinjuku.musashino-k.jp/

北海道 ディノスシネマズ札幌劇場 詳細不明
http://cinema.sugai-dinos.jp/pc/sapporo/

愛知 伏見ミリオン座 詳細不明 7月21日より
http://www.eigaya.com/theater/million/

大阪 シネ・リーブル梅田 詳細不明
https://ttcg.jp/cinelibre_umeda/comingsoon/

京都 京都シネマ 詳細不明
http://www.kyotocinema.jp/

兵庫 シネ・リーブル神戸 詳細不明
https://ttcg.jp/cinelibre_kobe/comingsoon/

福岡 KBCシネマ 詳細不明
https://kbc-cinema.com/

2018年4月28日土曜日

【ニュース】発達障害医学の進歩30で吃音が取り上げられる 吃音至上主義者はショック?吃音が発達障害になってしまうと抗議するの?

――― 吃音業界の専門職が発達障害業界の出版物に出てくる時代になった

顕在化しにくい発達障害の早期発見と支援に向けて 
という書籍が公益社団法人日本発達障害連盟から発売です。(リンクは記事の最下段)

関連記事
【ニュース】筑波大学の発達障害を重複する吃音の子どもの実態‐発達的変化の追跡調査‐をご存知ですか? http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2018/04/blog-post_29.html



現在、吃音業界は吃音至上主義という名の障害種別差別が蔓延しています。
そのようななか、菊池良和氏、原由紀氏の2名の記事が発達障害を扱う団体、その出版物で扱われることになります。筆者はこのように、吃音も発達障害業界で扱われるようになり時代の変化を感じています。障害種別に関係なく、こうやってお互いのことが知ることができるようになっていくこと。これは大切だと思います。

ちなみに菊池良和氏、原由紀氏は日本発達障害連盟の別のセミナーにも登壇していました。こちらのセミナーのことが今回発売の書籍につながっています。



――― 吃音至上主義者、障害種別差別推進派の吃音のある人やその家族や支援者はこの事態をどうみる?

吃音業界にある吃音至上主義、障害種別差別主義者の考え方
「吃音を知ってください。吃音を理解してください。でも発達障害や精神障害のことは知りません。理解したくありません。吃音が精神障害や発達障害だと思われたら困ります。一緒にしないでください!吃音の人は精神障害や発達障害のように頭オカシクありませんから! 発達障害の人が持っている内的心理的問題を吃音の人が持っていると思われたら困ります!!吃音はあんな発達障害の人とは違いますから!!吃音を発達障害業界の出版物やセミナーで扱わないでください!!」

発達障害業界にあるまぜこぜの考え方
「発達障害には色々な特性があります。それらの特性を複数持っている人もいます。発達障害特性ごとに困りごとや悩み事は異なるかもしれませんが。みなさんお互いのことを知りましょう。助け合いましょう。一緒に協力しましょう。分断をするのではなく。分けるのではなく、一緒に歩みましょう」


吃音至上主義、障害種別差別は自閉症協会の掲示板でも話題になり、悲しみや怒りがあふれている

http://www.autism.or.jp/cgi-bin/wforum/wforum.cgi?mode=allread&no=3039&page=0



――― 吃音至上主義や障害種別差別をする人々からすれば
『公益社団法人日本発達障害連盟の書籍で吃音を扱ったら、吃音が発達障害になってしまう。吃音が発達障害だと思われてしまう。吃音が精神障害者保健福祉手帳の扱いになってしまう。吃音児者が発達障害児者とおなじ枠になってしまう』などなどの(一般の人からすると理解に苦しむ意味不明な)感情が蠢いていることでしょう。

それでも菊池氏、原氏がこうやって発達障害業界から情報発信をする時代になった。2018年現在、吃音も発達障害として扱うことがこれから増えていくことでしょう。(さらにこれからの未来の話です。危惧されるのは、発達障害業界、発達障害業界の医療従事者の間などでも話題になっていることです。『吃音至上主義者、障害種別差別をした人が、何事もなかったかのように、シレっと、発達障害業界に入ってきて講演やセミナー、研究成果発表しちゃうんじゃないの?学会誌とかに出てくるのでは?反省して医療従事者として活動しないなんて道は選ばないだろう』という話題です。これは現実になると思います。吃音至上主義・障害種別差別をした人が普通に発達障害業界にするりと入り込み何事もなかったかのように活動すると思います。)

公益社団法人日本発達障害連盟や菊池良和氏、原由紀氏に「吃音を発達障害にするな!発達障害をあつかうところで記事を出すな!」という意味不明な抗議や公開要望書が行かないようにと。とても懸念しています。菊池良和氏や原由紀氏は吃音を発達障害にしようとしている輩だ!という流言飛語もこれから出てくるのではないかと危惧しています。


――― ちなみに、石崎 朝世氏(発達協会王子クリニック院長)などでおなじみの公益社団法人発達協会に、吃音業界の医療従事者や研究者が登壇しています

こちらは公益社団法人発達協会です。自閉症協会とも接点がある団体で50周年シンポジウムに石崎氏が登壇していました。


この発達協会ですが。
ここにも吃音業界の人が、登場しています。

発達協会には、坂田善政氏、原由紀氏、小林宏明氏がセミナーに登壇しています。こちらの方々にも、発達協会にも吃音至上主義者・障害種別差別推進派の抗議や公開要望書が行っているのではないかと心配です。
吃音を発達障害や精神障害と同じにするな!精神障害者保健福祉手帳を使わせるな!という吃音至上主義者、障害種別差別推進主義者からすれば大変ショックなことでしょう。まさか坂田氏、小林氏まで発達障害業界に接点があるなんて…と認識するからです。






登場している事実1 (ちなみに場面緘黙業界の高木氏もいることに注目です)
発達障害・知的障害のある子どもへの理解、指導・支援法、また保護者への理解・支援等について、実践豊富な講師から学ぶセミナーです。
吃音や場面緘黙のある子どもの育ちを支える-「話したいのに上手く話せない」子への対応
講師:三木江理奈(個別学習エイル)、小林宏明(金沢大学)、高木潤野(長野大学) あそびを通した発達支援-感覚と社会性の視点から
講師:伊藤祐子(首都大学東京)、大畑豊(子どもの心と発達の相談ルームここケット)
※2月4日(日)、17日(土)、18日(日)、25日(日)にも
セミナーを開催しております。
※セミナーの詳細、お申し込みは下記ホームページへ
http://www.hattatsu.or.jp
■主催
公益社団法人 発達協会  http://www.kawasaki-m.ac.jp/mw/commhw/okayamast/cms/?p=2646


登場している事実2
ことばの育ちを支援する 
評価法と多様な側面への理解と支援
経験や勘だけに頼らない、評価に基づいた指導方法を学びます。
 子どもの発達の中で、関心の高い領域のひとつが「ことば」です。「ことば」には理解、表出、音の産生等多様な側面があり、それぞれの発達や連関をふまえた上で、子どもと関わる必要があります。このセミナーでは、「ことば」の発達と障害、評価法とともに、諸側面への指導・支援法を学びます。保護者へのアドバイスにも役立つ、暮らしの中で「ことば」の力をはぐくむ働きかけ方を含め、経験豊富な講師陣がお伝えする例年、好評のセミナーです。
話しことばの障害とは
構音障害と吃音を中心に
原 由紀(北里大学)
http://www.hattatsu.or.jp/jissen_seminar_naiyou.html


登場している事実3

公益社団法人発達協会【春のセミナーご案内】
(ご案内より)
発達協会が主催する春のセミナーのご案内です。発達障害・知的障害のある子の指導に役立つ具体的な内容を現場経験豊富な講師陣よりお話いたします。
春のセミナーH 2月27日(土)
吃音や場面緘黙のある子どもの育ちを支える-「話したいのに上手く話せない」子への対応
吃音や場面緘黙がある子は、周囲の理解が足りないと話す意欲、コミュニケーションへの意欲を失ってしまう恐れがあります。彼等のコミュニケーションへの意欲、育ちを支えるためには、まず周囲の大人が吃音や場面緘黙について知ることが必要です。理解を踏まえた関わりや支援について、臨床経験豊富な講師が事例を交えてお伝えします。発音が未熟な子-機能性構音障害のある子への対応も含め、「話したくない」という思いを子どもにさせないために学びます。
①坂田善政先生(国立障害者リハビリテーションセンター)
②三木江理奈先生(個別学習エイル)
③高木潤野先生(長野大学)
http://www.fukushima-st.org/2016022728/



発達障害医学の進歩30
http://www.jldd.jp/info02/mentalretardation30/
企画・発行
公益社団法人 日本発達障害連盟
日本発達障害学会
読み書き障害、吃音、チック、発達性協調運動障害(DCD)といった「顕在化しにくい発達障害」のある子どもたちに対して、早期に気づき、適切な支援策を幼児期・学童期にわたって円滑な連携のもとに提供する体制づくりが、いま求められている。
本書では、上記の4 つの発達障害への理解を深めるために、それぞれの障害の特徴とともに、早期アセスメント手法や支援法の実際を具体的にわかりやすく解説。さらに運動と密接に関わる感覚の問題についての概説も加えた。医療・教育・療育の現場で子どもに関わるすべての方にとって、明日からの支援策を考えるヒントが満載である。
【目次】
■ 顕在化しにくい発達障害の早期発見と支援に向けて ─総論
稲垣真澄
■ チックの基本を理解する
松田なつみ
■ チックの早期アセスメントと支援
藤尾未由希
■ 吃音症の基本を理解する
菊池良和
■ 吃音症の早期アセスメントと支援
原 由紀
■ 学習障害の基本を理解する
─読みの障害(発達性ディスレクシア)に焦点をあてて
原 惠子
■ 学習障害の早期アセスメントと支援
北 洋輔
■ 不器用な子ども ─ DCD という視点からの理解と支援
中井昭夫
■ 自閉スペクトラム症の子どもへの感覚・運動アプローチ
岩永竜一郎

2018年3月7日水曜日

全文テキスト化 私たちの就活 吃音とともに生きる ハートネットTV

2017年10月4日に放送された番組が番組まるごとテキスト化になっていました。

ハートネットTV 私たちの就活 吃音とともに生きる
http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/summary/program/?id=44452


テキストにされていると、学校や企業団体でも印刷して利用しやすいですね。
文字起こしに感謝します。就労移行支援事業所や企業団体の人事採用担当部署でも障害者雇用と障害受容ができない場合の重要な事例として検討しやすいでしょう。


また、この放送を見たとされる、人事採用担当者の声がネット上に公開されていることがわかりました。一般枠で「障害や病気があります。吃音があります」ということの大きな不利益について語られています。たしかに今の就職活動とはこうなっています。「ガンがありました。治療していました」というとなかなか就職できないという問題と共通しています。また、吃音以外の発達障害のある学生は障害受容ができているといいます。


ハートネットTV 私たちの就活 吃音とともに生きる を視聴した人の感想
吃音のある就活生はなぜ障害者手帳を持っていない?人事採用戦略の話
http://anond.hatelabo.jp/20171012000353

筆者も、ハートネットTVを見た、発達障害のある人を支援する立場の専門職、発達障害当事者団体の人から感想やコメントをもらいました。

『なぜ。一般枠でカミングアウトするのか? 今は、オープン就労、クローズ就労という方法を医療機関、就労移行支援事業所、大学のキャリア支援センターなどで耳にタコができるほど、しつこく、強く教えるように変化してる。吃音のある人は危険をおかしてまでカミングアウトしてしまうのか。そういった情報すら共有されていないのか』といった心配の声がありました。

一方で『大手マスコミなら障害者枠で採用されたかもしれないのにもったいない。一般枠に「こだわる」あまり、使えたはずの選択肢を自ら使わないでいる。障害者枠、いや、障害者ということ、発達障害ということに偏見や差別があるのではないか? 発達障害のある学生でも一般枠と障害者枠を同時に就活する人もいるのに。吃音のある人はなぜ一般枠にこだわるのか。障害者枠として新卒で就職したあとに、仕事で実績を出して出世する人もいるのに。最初から選ばないというのはなぜだろうか?』という声もありました。


オープン就労やクローズ就労については、就労移行支援事業所として実績のある。kaien社、リタリコ社の就労移行支援事業所でも必ず教えることです。オープン就労の場合とクローズ就労の場合のエントリーシートや履歴書の書き方、書いてよいこと、書いてはいけないことの説明。オープン就労の場合は自分の取扱説明書など、障害特性の説明や苦手なこと、配慮してほしいことを別途文書にします。リタリコ社の場合、リタリコ社、当事者、勤務先と合理的配慮について話し合った結果を文書化して3者間で共有保存するという方法もあるといいます。文書化することにより言った言わない問題や、上司の異動などで合理的配慮事項が引き継ぎされないことを防ぐ目的もあるのかもしれません。

吃音者の就労。
これからどんどん課題が見えてきそうです。

2018年2月9日金曜日

世界自閉症啓発デー2018のポスターなどが公開される 吃音やトゥレット症候群も説明に明記!

2018年4月の世界自閉症啓発デー、ホームページが更新されています。
http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/index.php?action=pages_view_main&page_id=13

世界自閉症啓発デーは国連が定めた世界共通の啓発の日です。

日本では厚生労働省、(埼玉の国リハセンター内部にある)発達障害情報・支援センター、一般社団法人日本自閉症協会が主催。文部科学省、国立特別支援教育総合研究所、全日本自閉症支援者協会、日本自閉症スペクトラム学会、日本発達障害ネットワーク、発達障害者支援センター全国連絡協議会、全国情緒障害教育研究会、全国児童発達支援協議会、自閉症児者を家族にもつ医師・歯科医師の会が共催する啓発の日となっています。

TwitterやFacebook、インスタグラムなどで「#world autismawareness day」、「#autism」、「#autismawareness」などハッシュタグが利用され世界中が1つになる日です。東京だと例年、東京タワー、渋谷、表参道などで啓発が行われます。2018年は平日ということもあり東京タワーのみで開催されるとのことです。
渋谷や東京タワーは海外からの旅行者も多く、青いものを身に着けていると、 autismawareness dayとすぐに反応してくれることがとても驚きます。



今年の啓発はセサミ・ストリートのジュリアが中心になっています
自閉症があるキャラクターです。

ポスター用、チラシ用、リーフレットが公開されました。
みなさんの手元にも届きやすい
チラシ用では『発達障害とは、自閉症およびアスペルガー症候群その他広汎性発達障害、学習障害(読字障害や書字障害を含む)、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの(トゥレット症候群や吃音を含む)です。知的障害を伴っている場合もあります』と明記されています。


しっかりと吃音が発達障害の中に含まれていることが説明されています。
吃音は発達障害ではない。
吃音を発達障害にするな!
吃音は精神障害ではない!
吃音が精神障害者保健福祉手帳の交付対象だなんて許さない!
あんな人達と一緒にしないで!
という吃音至上主義が2017年に広く知れ渡りました。
とても悲しい出来事でした。

吃音業界の吃音至上主義はこのように日本自閉症協会のホームページにある掲示板でも取り上げられています。掲示板の内容からは悲しみや怒り、辛さが読み取れます。一方で、それでも吃音のある人には差別をしない人もいるかもしれないというメッセージもあるのがせめてもの救いかと思います。
http://www.autism.or.jp/cgi-bin/wforum/wforum.cgi?mode=allread&no=3039&page=15


「吃音を知ってください。吃音を知ってほしい」
こんなメッセージが吃音業界から、とても頻繁に聞こえてきます。10月22日には吃音啓発の日があります。しかし吃音のある人、その家族、支援者、医療従事者、言語聴覚士、教員などは「吃音のある人以外の人のことを知ろう」としているのでしょうか?

それとも「あんな人達と一緒にしないで! あんな人達と同じ枠にしないで! あんな人達が使う精神障害者保健福祉手帳を吃音者が使うなんて絶対に受け入れないぞ!」なんて考えている、心に秘めている、内なる植松が潜んでいる人が多いのではないかと思います。


「吃音を知ってください。吃音を知ってほしい」
こういった吃音の啓発活動をすることは素晴らしいことです。
しかし、一方で、吃音以外のことを知っているのか?
吃音以外のことを差別していないか?
吃音はあんな人や彼ら、彼女らよりも偉い、優れている、優位である。一緒にされたくない。そんな気持ちが心にある状態で

「吃音を知ってください。吃音を知ってほしい。吃音をわかってほしい」
と社会に叫んでも全く意味がないと思います。

その影響なのか?世界自閉症啓発デー2018・シンポジウム 2018年4月7日(土) 開催のプログラムには「NHK厚生文化事業団」の障害福祉賞受賞者を表彰する部分がありません。2017年のシンポジウムではNHK厚生文化事業団障害福祉賞受賞者の紹介や家族の紹介やメッセージ代読がありました。2018年のシンポジウムには吃音至上主義の波紋が広がり大きな影を落としていることがわかります。もしも吃音至上主義が正しければ、4月7日のシンポジウムにも招待されるはずなのです。
不思議ですよね。招待されないなんて本当に不思議です。

※今年のシンポジウム案内
http://www.worldautismawarenessday.jp/htdocs/index.php?action=pages_view_main&page_id=166

こういった、吃音者はマイノリティや他の社会的障壁がある人とは違う!一緒にするな!精神障害者保健福祉手帳を交付されることは許さない!吃音は精神や発達とは違うぞ!
この価値観のウラには。普段の日常から、学校や職場にて精神障害の人、発達障害の人に対して「負のイメージ、見下すイメージ、一緒にされたくない、一緒にいたくない、かわいそうな人達」などの気持ちや価値観があるのだろうと思います。


こういったことがこれから日本社会から無くなっていくこと。
それを心より祈っています。
いろいろな人が一緒に、まぜこぜになれる社会がいつの日か本当に来ることを願っています。




2017年12月13日水曜日

【紹介】押見修造「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」実写映画に

押見修造氏の志乃ちゃんは自分の名前が言えないの実写映画が公開されるという。
これについては昨年?あたりからクランクインしたのではないかという情報がネット上で流れていました。ナタリーの記事には「吃音」を指摘する文言はないですね。うまく言葉が話せないという説明です。他メディアでは吃音を記事に入れているところもあります。
こういったところは「吃音」の難しさなのかもしれません。

フジテレビの福山雅治氏、藤原さくら氏の出演「ラヴソング」はとても吃音の苦しさ、リアル感が伝わってくる内容でした。今回の「志乃ちゃん―」は吃音についてどのような描写がなされるのか。映画公開が待ち遠しいですね。




映画 志乃ちゃんは自分の名前が言えない 公式サイト

ナタリーから(全文はリンク先で)

押見修造「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」の実写映画化が決定。2018年7月より東京・新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開される。
2012年に太田出版より発売された本作は、押見の実体験をもとにした青春劇。うまく言葉が話せない高校1年生の大島志乃は、自らに引け目を感じて周囲と馴染めずにいる。しかし音楽好きでありながら音痴な同級生・加代とは、ひょんなことから交流を深めていき……。思春期を迎えた少年少女たちが葛藤や苦悩しながら、“ヒリヒリ”とした青春時代を過ごすさまが描かれる。
志乃役を担当するのは、ファッション雑誌・nicola(新潮社)の専属モデルとして活躍する南沙良。加代役はテレビドラマ「ゴーイング マイ ホーム」や、映画「三度目の殺人」などに出演する蒔田彩珠が演じる。2人は15歳同士で、互いに映画初主演作としてダブル主演で出演。劇中で披露されるという南の歌声、猛特訓して挑んだという蒔田のギター演奏にも注目だ。なお監督は本作が長編商業映画デビューとなる湯浅弘章、脚本は「百円の恋」の足立紳が手がける。
実写映画化にあたり、南、蒔田、湯浅からコメントが到着。さらに押見より「泥臭い青春映画でありながら、恥ずかしくなるほどキラキラしていて。そして、むせかえるような思春期のオーラに満ち溢れている。漫画を超えて、広く心に届く作品を作っていただいたことに感謝します」と感激の声も届いた。https://natalie.mu/comic/news/260762

2017年10月30日月曜日

2017年10月30日放送のNHKあさイチ 俳優の古原靖久氏のタメ口が注意される

シリーズ企画「出たトコ!村」は、視聴者からいただいたメールの中から訪問地を決め、リポーターのヤスくん(古原靖久/俳優)が事前取材を一切せずに現地に飛び込み、“出たトコ”勝負で地域の“ピカピカ”な魅力を探し出す企画です。
果たして今回の舞台は・・・?お楽しみに!

http://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/171030/2.html


2017年10月30日放送したNHKのあさイチ。
俳優の古原靖久氏が、出たとこ勝負でノープラン。
事前に何も調べないで、取材依頼があった村に突撃するという内容であった。
村は長野県木祖村。縁結び神社、味噌川と笹川が木曽川に変化する場所の取材をしていた。

しかし、この放送のなかで古原氏は、村人(一般の人)にタメ口で、友達言葉で話しかけているところ、感情を出すところがあった。スタジオには有働由美子氏、井ノ原快彦氏、柳澤秀夫氏、ゲストのふかわりょう氏、益若つばさ氏がいた。そしてその中で有働由美子氏と井ノ原快彦氏が「タメ口・友達言葉」を注意していた場面が放送された。

この場面は一瞬、放送されただけであったので。出たとこ村というコーナーのVTRが流れている場面の(視聴者は見ることができない)スタジオではもっと強い注意が古原氏にあったのではないか?放送終了後の反省会でもとても強い注意があったのではないかと推察する。


――タメ口や友達言葉は一般常識として注意される これが日本の常識 吃音のある人が吃音回避として使う場合はどうなるのか?
ここが大切です。吃音のある人でも無い人でも。日本文化の中においてこのような言葉遣いは怒られることがわかりました。もちろん古原氏は吃音かどうかはわかりません。ただ、あのような言葉遣い・敬語無視をすること、これは「悪いこと、無礼なこと」という常識があることはわかります。

では、本題として吃音がある人。この人が『吃らないように発話・発語する技術、人生で身につけてきた処世術、キャラ、身体の動き、言葉の言い回し』を学校や職場や日常生活、NHKの放送で使うようになるとどうなるのか?

NHKではバリバラの「ここがズレてる健常者」などが放送されている。またあさイチでも「発達障害特集」として発達障害の特性が報道されるようになった。もしも吃音のある人が「吃ることを避けるため友達言葉、タメ口を使うこともある」これが報道されれば吃音のある人も少し生きやすくなるのではないか。

一般常識として悪いこと、無礼なことだから、吃らないように常に注意しながら話すのか?吃ることがあって、そうならないように、吃音回避として「友達言葉、タメ口」になることもあるとカミングアウトしておいて、学校や仕事、日常生活で吃音回避に集中する時間をなくして、他のことに使えるようにならないか…と。吃らないようにすることに重きをおくより、この人吃音があって、たまに吃音回避で友達言葉タメ口になってしまうけど許してね程度がいいなと思うわけだ。



2017年10月29日日曜日

【記事紹介】性同一性障害の人の中に吃音者がいること報道される

朝日新聞からの報道です。
性別上の戸籍を女性に変更したという話です。
しかしよくよく読んでみると、内容が複雑です。
筆者はセクシャルマイノリティで発達障害のある人と交友はありますが。このようなケースがあることはわかりませんでした。

想像ですが。吃音の悩みがあった。2006年当時は発達障害者支援法はまだ生まれたばかり。吃音業界は派閥抗争を繰り広げており、日本発達障害ネットワーク(JDDネット)に旧言葉を育くむ親の会が所属していたが、積極的に吃音が発達障害者支援法に含まれていると周知をしていなかった時代です。もしも2006年当時に吃音が発達障害者支援法に含まれている。障害者手帳も性同一性障害ではなく、吃音を主たる障害、従たる障害をうつ?適応障害で申請すれば精神障害者保健福祉手帳を取得できたのかな?と考えてしまいます。

いずれにせよこのニュースの人も吃音業界の派閥抗争の被害者なのかもしれません…。2005年から発達障害者支援法に「吃音」が含まれている。
これが吃音業界がしっかり認識して、権利擁護をしていれば自死する人も、ひきこもりになる人も、未来が変化していたかもしれません。吃音のことを新入社員研修で指摘されて生贄になる必要がなかったかもしれません。

――性転換をしたあとに後悔したという、事例が紹介される動画です
トランスジェンダー映画『悔やむ人たち』監督×中村美亜さんトーク





 朝日新聞から一部引用。全文はリンク先から。
 自分は性同一性障害だと考えて戸籍上の性別を変えたが、やはり適合できず元に戻したくなった――。性別変更をする人が増えるにつれ、こんな悩みを抱える人が出てきた。再変更は現在の法律では想定されておらず、ハードルは高い。専門家からは「何らかの救済策が必要」との声も出ている。
 神奈川県茅ケ崎市の40代元男性は2006年、戸籍上の性別を女性に変えた。それをいま、強く後悔している。家裁に再変更の申し立てを繰り返すが、「訴えを認める理由がない」と退けられ続けている。
 幼い頃から吃音(きつおん)に悩んでいた。疎外感を抱いていた00年ごろ、性同一性障害の人たちと交流する機会があった。「自分たちの存在を認めないのはおかしい」と訴える姿がとてもポジティブに映った。「自分も同じ(性同一性障害)だ」と考えるようになり、03年にタイで男性器切除の手術を受けた。
 04年に一定の条件を満たせば性別変更が認められる特例法が施行されたため、心療内科を受診。十数回の診察を経て、複数の医師から性同一性障害の診断を受けた。横浜家裁に性別変更を申し立て、06年7月に変更が認められた。
 だが、すぐに後悔に襲われた。男性だった時には簡単に見つかった仕事が、女性になってからは断られ続け、性別を変えたためだと感じるようになった。弁護士に再度の性別変更を相談したが、「今の制度では難しい」と言われたという。
 ログイン前の続き現在は両親と離れて一人で暮らす。7月にようやくパン工場での仕事を見つけた。女性として就職したが、会社の理解を得て現在は男性として働く。「精神的に不安定な状態で申し立ててしまった。このまま生きるのは非常に苦痛で何とか元の性に戻りたい」と話す。
 11年に戸籍上の性別を変更した別の一人も、関西地方の家裁に今年6月、変更の取り消しを求める手続きを申し立てた。自身の判断でホルモン投与や性別適合手術を受け、戸籍の性別まで変えたが、現在は「生活の混乱の中で思い込み、突き進んでしまった」と悔やんでいるという。
 代理人を務める南和行弁護士(大阪弁護士会)は「戸籍の性別によって生活が決まる場面は多い。本人が限界だと感じているのであれば、自己責任と切って捨てるのは酷だ。取り消しを予定していなかった法の不備を、司法が救済すべきだ」と話す。
http://digital.asahi.com/articles/ASKBY5GNNKBYUTIL013.html?_requesturl=articles%2FASKBY5GNNKBYUTIL013.html&rm=589

【記事紹介】「運転手は難聴」伝え 車内に掲示 

毎日新聞からこのような記事がありました。
難聴のあるタクシー運転手さんのお話です。
当初は、難聴であることをカミングアウトせずに勤務していた。
しかし色々とトラブルがあった。
その後、車内に「運転手は難聴です。大きい声でお願いします」という説明書きを
設置した。というニュースです。

過去のことになりますが。長崎屋(今はドン・キホーテグループ)
には1Fに聴覚障害のある人の洋菓子店があったことを記憶しています。
このお店も「聴覚障害者が働いています。紙で注文してください」というお客様に向けた、メッセージ、注意書きがありました。今も長崎屋には同じ形態のお店は入っているのでしょうか?

吃音にも共通しますよね。
・この店舗では吃音のある人が働いています。配慮をお願いします。
・私は吃音があるため、話し方がオカシイと感じるかもしれませんが。ふざけていませんし、からかっているわけでもありません。ご理解のほどよろしくお願いします。仕事はしっかりやります。
・吃音があり、どもることがあります。また吃らないようにいいやすい言葉を発話・発語するため、日本文化の一般常識やビジネスマナーとして話さなければいけないことを実行できない場合があります。失礼なこともあるかもしれませんがご理解のほどよろしくお願いします。
・私は吃音があります説明一覧を名刺と一緒に配布して、相手、お客様に理解してもらう。
・吃音者がコールセンターで働く時は、「この通話内容は録音しています という説明の部分に吃音のある人が応対します。」というメッセージを流すなど。

吃音の人にもこういった、吃音当事者側から、吃音者が勤務している企業団体側から対応してくれるようになれば良いですよね。吃音の無い人も「あっ。吃音のある人が働いているんだね。なるほどね。よし。わかった」となるわけですから。


「運転手は難聴」伝え 車内に掲示
毎日新聞2017年10月29日 12時30分(最終更新 10月29日 12時30分)
 「運転手は難聴です。大きい声でお願いします」。車に乗り込むと、そう書かれたプレートが真っ先に目に飛び込んできた。広島近鉄タクシー(広島市南区)では難聴の運転手が6人在籍し、うち2人が身体障害者手帳を持つ。利用客と円滑にコミュニケーションがとれるように運転手が難聴であることを6人が乗務する車の中に掲示して、行き先の聞き間違いなどのトラブルを防止しているという。【小山美砂】
トラブルが絶えず
 掲示を始めたのは昨年。7年以上同社で働く宗森登美男さん(62)が6年前、勤務中に事故が起きた際に突発性難聴を発症したのがきっかけだった。利用客を乗せて目的地に着き、後部座席のドアを開けたところ、後方から来た自転車と衝突。自転車の30代の女性がぶつかって倒れ、軽い打撲をした。事故の精神的なショックで難聴になったという。「ぼーっとして、警察官の取り調べの声も聞こえなくなった」と当時を振り返る。音がくぐもって聞こえづらくなり、補聴器を使って乗務するようになった。
 当初、客とのトラブルは絶えなかったという。行き先を聞き間違え、全く違うところへ向かった。何度も聞き直して客に怒鳴られたこともあった。その度に「すみません、耳が聞こえづらいんです」と頭を下げた。
 トラブルに悩んでいたころ、長男から「最初から難聴と分かるように掲示したら」と助言された。何度も聞き直して怒られた客に難聴であることを説明したら分かってくれたことも思い出し、客の目につきやすい助手席の後ろに掲示した。
 最初は広告の上に名札サイズで小さく掲示したが、客が気づかないことも多く、昨年から広告を全て外し、大きなプレートに変えた。客が乗り込むと、プレートを指さして難聴であることを説明する。宗森さんは、「難聴のことを事前に知らせることでお客様にもご協力いただける。仕事がしやすい」と効果を実感している。
2種免の門戸拡大
 タクシーやバスなど客を乗せて運転できる第2種免許について、宗森さんの聴力は道路交通法施行規則の基準を満たしている。より耳が不自由な聴覚障害者も、2016年の同規則改正で試験の聴力検査での補聴器の使用が認められ、同免許取得の門戸が広がった。これを受け、同社では障害の有無を問わない採用に積極的に取り組んでいる。仁山功臣(いさみ)社長は「障害の有無を問わない雇用を行う上で、運転手をフォローするために大切な取り組み。お客様のご理解が必要で、全国にもっと広がってほしい」と話す。
より慎重に丁寧に
 宗森さんは「プレートのおかげで助かっている」と笑顔で話す。人より聞こえづらい分、誰よりも慎重に丁寧に運転するよう心がけている。客の目を見て行き先を確認し、今日も広島の街を走り回っている。https://mainichi.jp/articles/20171029/k00/00e/040/209000c

2017年10月18日水曜日

発達障害医療について大きな動きが 中央社会保険医療協議会 総会(第364回)議事次第が公開されました

2017年10月18日 厚生労働省講堂で中央社会保険医療協議会 総会が開かれました。
議事次第が直後に厚生労働省ホームページで公開されました。
発達障害児者向けの医療について大きな変化があるかもしれません。

PDF資料厚生労働省のホームページより
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000180088.html



P107によると、発達障害の診断を受ける人が増加しているそうです。
発達障害に関係する情報、医療従事者の書籍、当事者書籍が増えています。NHKも2017年に発達障害プロジェクトという1年を通して発達障害を扱う番組を放送しています。
一方、発達障害や精神障害のある就職希望者をあぶり出す採用時に使える試験もビジネスとして成立している日本です。
発達障害が排除に利用されていると東京大学の熊谷晋一郎氏も参議院の委員会で述べています。http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/021700092/

発達障害を診ることができる医師も増えてきたかもしれませんが。それ以外のことも関係していそうです。


P108は初診の待ち時間、待ち日数です。総務省行政評価局が調査した内容です。
三ヶ月待ちは当たり前という状況になっているようです。
発達障害を診てもらうと思っても病院に行くのにとても時間がかかるという状況です。


P109からP111まではそのような待ち時間、日数、病院の不足をどう解消していくかが
施策が書いてあります。

発達障害のある人の早期発見、早期療育につなげるため、かかりつけ医に発達障害について研修すると書いてあります。地域のかかりつけ医がなんらかの心配があれば、すぐに専門病院につなげるというイメージです。

P111は新規予算で行う事業です。
都道府県・指定都市が指定する「地域の拠点となる医療機関(高度な専門性)」
「その次に拠点となる医療機関の次に専門性を有する病院」
「チキの専門病院、診療所(かかりつけ医を含む)」
の3つがお互いに協力する体制で臨むようです。

全ての発達障害を診療できるような体制になると良いなと思います。
吃音の場合、高い交通費や宿泊費、学校や仕事を休んでまで遠くの病院に行かないといけない。こんなのはオカシイですからね。発達障害者支援法19条の病院の充実をしっかり実現していかないとなりません。

特筆すべきは都道府県・指定都市が指定する高度な専門性を持った拠点病院に「発達障害支援コーディネーター」が配置されることです。
1.医療機関の研修実施のコーディネート
2.医療機関同士の研修会実施
3.当事者・家族に対して適切な医療機関の紹介

発達障害児者とその家族が、正しい情報につながることも期待できるでしょう。
吃音業界の派閥抗争のように、それらに振り回される当事者家族も減るかもしれません。

また、吃音だけだと思っていたら、ASDもある、ADHDもある、LDもあるということも早期発見しやすくなるかもしれません。耳鼻咽喉科では見落としてしまうかもしれないことです。現在、吃音は耳鼻咽喉科が診療するというイメージですが、今後は耳鼻咽喉科も精神科医も協力する体制になるでしょう。耳鼻咽喉科では吃音があるかないか?発達障害による吃音かどうかの診療に特化し、障害特性については別の病院ということもありえるかもしれません。

しかし2017年現在で吃音業界は厚生労働省や専門家医師とのパイプがとても弱く、困り事が伝わっていないのが実情ですので、吃音以外の発達障害のほうが支援メニュー増加スピードが早いのではないかと心配です。現段階でも吃音は診れない診たくないという精神科医もいます。精神科医も吃音という簡単に演技することができるものは怖いというのがあるようです。


P117からは大切なことが書いてありますね。
ASDは原因不明。治療はできませんが。個々の発達ペースに沿った療育や教育の対応が必要とされています。ライフステージを通じたサポートが必要ということです。吃音の他にも発達障害がある場合は早期発見し個別ごとにあったサポートが必要ということにもなります。

成人になるまで発達障害があることに気づかず、就労や結婚により特性により不利益がある場合も存在するようです。




治療:現代の医学では自閉症の根本的な原因を治療する事はまだ不可能ですが、彼らは独特の仕方で物事を学んでいくので、個々の発達ペースに沿った療育・教育的な対応が必要となります。かんしゃくや多動・こだわりなど、個別の症状は薬によって軽減する場合があります。信頼できる専門家のアドバイスをもとに状態を正しく理解し、個々のニーズに合った適切な支援につなげていく必要があります。乳幼児期から始まる家庭療育・学校教育そして就労支援へと、ライフステージを通じたサポートが、生活を安定したものにすると考
えられています。

自閉症スペクトラム(ASD)がある人の成人後の社会参加の予後に関連する要因としては、早期介入、家族間の育児協力、支援の継続などが重要とされている。
(出典:H19~21年厚生労働科学研究「ライフステージに応じた広汎性発達障害者に体する支援の在り方に関する研究」)
近年は、コミュニケーションや社会性の障害を中核的な特徴とするASDの特性が元々あるが、成人になるまで周囲に気づかれることなく過ごし、進学や就学、結婚などの大きな変化を迎えて初めて自分自身の特徴が 「問題」となり、医療機関を受診することが増えている。(出典:H26障害者総合福祉推進事業「発達障害専門プログラムパッケージ実施報告書」)






















2017年10月16日月曜日

【紹介】12月7日 東京有楽町にて菊池良和医師の講演会(内閣府障害者週間連続セミナー)

2017年12月7日「新しい法律を活用した吃音支援 こどもから大人まで」2017内閣府障害者週間「連続セミナー」の紹介です。

吃音ドクターこと、九州大学病院の菊池良和医師が東京有楽町にくるようです。
詳細はコチラ

http://www.kokuchpro.com/event/seminarcao2017/

2017年10月1日日曜日

【番組紹介】10月15日 バリバラにて場面緘黙を放送

番組紹介です。
2017年10月15日(日曜)放送のバリバラにて場面緘黙が放送されます。
過去には2015年にハートネットで場面緘黙の放送がありました。
今回はバリバラですので、少しテイストが異なるかもしれませんね。

詳細はコチラ 
「知られざる場面緘黙(かんもく)の世界」
学校など特定の場面や状況で話せなくなる状態になる「場面緘黙(かんもく)」。不安障害の一つとされ、場面緘黙のある人は500人に1人ほどいると言われている。しかし、ただの“人見知り”と思われがちで、困っている事を伝えるのも困難なことから、周囲の理解を得られずに孤立している人も少なくない。番組にもたくさんの悩みの声が寄せられている。当事者はどんな生きづらさに直面しているのか、”あるある“エピソードやコミュニケーションの工夫などを紹介。周りはどんな風にサポートすればよいのか、考えていく。
http://www6.nhk.or.jp/baribara/next/

2017年9月27日水曜日

10月4日のハートネット 吃音当事者さんは顔出しなの?プライバシーは大丈夫なの?

10月4日放送のハートネットTVです。
吃音者の就活だそうです。
現在、ホームページを見てとても驚いているのと同時に心配なことがあります。
http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/program/index.html?id=201710042000

「顔出し」でやるのでしょうか?

「名前」は出すのでしょうか?

「仮名」なんでしょうか?

「音声加工」はするのでしょうか?

就活生を顔出しや名前出しで放送するのはリスクがとても高いです。
ハートネットTVは医療従事者や福祉従事者、支援者も見ますが。障害関連だと、官民企業団体の障害者雇用担当者、就労移行支援事業などに携わる人も視聴します。また、悪意を持って見ている人もいます。精神や発達障害者発見試験などを販売する人たちです。

もしも今回、吃音者の就活という番組に出る人が「クローズで就活」しているなら、絶対に顔出しや名前出しはダメです。リスクが高すぎます。

「オープンで精神障害者保健福祉手帳を取得している状態で就職活動するなら」それはまだマシかもしれません。

ただ、吃音以外の発達障害児者団体なら就職活動をする新卒学生がテレビ番組に出演するという場合に顔出し、名前出しについてはリスクの説明を当事者に何度も何度もします。まずはモザイクと仮名での出演をするようにと話し合います。テレビ局やテレビ局から委託され番組撮影をするスタッフもそういうことは理解していると思うのですが…。支援者も当事者を守るためできるかぎり個人がわからないようにしてほしいと働きかけるはずです。
今回「私たちの就活 —吃音とともに生きる—」という吃音当事者の就活番組が放送されますが。もし顔出しだとしたら、今からでも遅くないので、顔も服装もモザイク入れたほうがいいと思います。(可能なら音声も変更します)

吃音業界の支援者や支援団体は出演者に何も言わなかったのか?と心配になります。
発達障害関係の番組はできるかぎり当事者が誰であるかわからないように番組制作するのがセオリーです。

NHKハートネットであれば、ASD当事者など発達障害児者の番組を何度も報道しているのでそれはわかると思います。発達障害の当事者団体、保護者団体も当事者がわからないようにしてほしいとNHKハートネットの番組スタッフに伝えるでしょう。普段から発達障害関連の番組に携わっているNHKハートネットのコアスタッフもそこは理解しているはずです。それなのに現在ハートネットTVのホームページを見る限り、就活する吃音者は顔出しのように見受けられます。心配です。

NHKハートネットでも発達障害者向けの就労移行支援事業所を取材したときもできるかぎり当事者がわからないように撮影しています。普通はそういうものなのです。

吃音業界は発達障害業界と比較して、本当に情報が周回遅れです。
就職活動には「オープン」、「クローズ」の2種類しかない。ということが理解されていません。極稀にイレギュラーがありますが。原則としてオープンかクローズしかありません。発達障害者向けの就労移行支援事業所でも「オープンとクローズ」についてはとても丁寧に何度も説明します。オープンの場合、クローズの場合で履歴書、エントリーシートの書き方が異なること。オープンの場合は自分の取扱説明書などそれに準ずるものの書き方も指導します。

しかし吃音業界はまだまだそうなっていません。
今回のハートネットTVに顔出しででてしまい、あとで不利益があってもなんともいえません…。何事もないことを祈るばかりです。

2017年9月26日火曜日

【番組紹介】9月26日27日 NHK(Eテレ)で『自閉症アバターの世界 仮想と現実を生きる』が放送

メーリングリストで紹介されてきました。
今日、明日放送だそうです。




『ハイパーワールド:共感しあう自閉症アバターたち』(2017年3月刊、NTT出版、
2,808円)で書かれた自閉症アバターたちに会うために、著者・池上英子先生が全米
各地を旅してきました。その記録が、NHK(Eテレ)の「ハートネットTV」で、二夜連
続で放映されます。

2017年9月26日(火) 20:00~『自閉症アバターの世界 仮想空間の住人達』(再放送
は10月3日 13:05~)

2017年9月27日(水) 20:00~『自閉症アバターの世界 仮想と現実を生きる』(再放
送は10月4日 13:05~)

「インターネット上の3D仮想空間として誕生し、10年前にはバーチャルコミュニケー
ションの一時代を築いた「セカンドライフ」。SNS等の登場でブームは去ったもの
の、今もそこを楽園として居住している人々がいます。自閉症の人達です。
米国ニュースクール大学大学院の池上英子教授は、自閉症者には無いとされてきた他
人への共感性が、セカンドライフ内では豊かに存在する事を発見しました。
池上さんは、今回初めて現実世界で彼らの暮らしを知る旅に出ます。出会ったのは、
4人の個性的なアバター達。」(「ハートネットTV」での番組内容紹介より)

*) 『ハイパーワールド:共感しあう自閉症アバターたち』:「大人になった自閉症
の人は世界をどう見ているか。米国では約50人に1人いると言われる「自閉症スペク
トラム」の人たち。仮想空間で遭遇した自閉症の人々が語っていた内面世界は、情報
を過剰なままに取り込んでいる強烈な脳内景色、ハイパーワールドだった。「自閉
症」の社会史への深い洞察と、仮想エスノグラフィーから見える世界を斬新にリポー
トする。」( https://goo.gl/y4EQqP )

*) 9月26日放映の内容紹介は、https://goo.gl/ecHEgD
*) 9月27日放映の内容紹介は、https://goo.gl/AXtzyN

2017年9月18日月曜日

8月7日 日本経済新聞の吃音記事について思うこと どこの組織?団体?がやっているの?

(読了目安 15分)
少し古い記事を紹介。
2017年8月7日に日本経済新聞が15面医療健康にて吃音の記事を掲載した。
日経スタイルがそれをネット上に記事公開。引用記事は最下段に。

さて、この記事が出た時に思ったのはどこの誰が研究しているのか?ここです。
吃音当事者団体が吃音の治療や診療ガイドラインを厚生労働省に要請要望したという話が
過去にあるが、それに厚生労働省が応えた結果なのか?ということだ。

また、吃音の記事が日本経済新聞社から、また関連の日経と冠するメディアから発信されるのは影響力が大きいと考える。日本経済新聞と言えば読者層もビジネスに関心がある層、人事部門、採用部門、障害者採用担当部門、発達障害者と一緒に働く人、経営者層が読んでいるともいえる。

吃音(きつおん・どもる人)は障害でもある。
発達障害者支援法に含まれていること。
精神障害者保健福祉手帳を取得できること。
吃音者は法定雇用率に含むことができること。
これらを読者層が知ったというのは大きな一歩だ。
困っている吃音者、障害受容のできている吃音者、障害者枠で働きたいという吃音者と経営者側の情報がリンクしたことになるからだ。

また、発達障害者の就労移行支援事業を行う事業主、経営者も『吃音者も就労移行支援事業所で受け入れるようにしよう』という考えをひらめいた人もいるであろう。

■1 記事本文について

―――記事冒頭は吃音の説明

記事は吃音の説明。幼少期の20人に1人。そのうち7割は自然になくなるという説明だ。
吃音は専門家の間でも病気や障害としてのとらえ方や、治療や対策の考え方に違いが出る難しい分野だ。世界保健機関の定義をもとに、厚生労働省は吃音症という病気の分類を設けている。これに沿って診断を受けると発達障害者支援法に基づき精神障害者保健福祉手帳をもらう場合もある。
というように、厚生労働省は吃音の分類を世界保健機関の定義をもとにして発達障害者支援法を利用し精神障害者保健福祉手帳をもらう場合と明記している点も見逃せない。

吃音を診療する医療従事者や支援者の間では、『吃音は身体障害者手帳を取得することも可能』との見解を述べる人間もいる。この場合は『吃音と明記しないで言語障害を表現すればよい』とのことであるが。身体障害者手帳申請書類を書く15条指定医師は 音声・言語・そしゃく機能障害の診断基準に明記されていない状態を書くことを躊躇う人もいる。15条指定医師としての資格を取り消されるリスクもあるためだ。

日本経済新聞では身体障害者手帳については触れていない。発達障害者支援法に基づき精神障害者保健福祉手帳をもらう場合、としている。15条指定医師も吃音については曖昧な基準になっている身体障害者での申請よりも発達障害者支援法で明確になっている精神障害者保健福祉手帳での申請を促すだろう。

実は筆者もこの点が気になっており。東京都に確認したところ、『吃音は発達障害者支援法に基づき精神障害者保健福祉手帳を申請できる』と説明を受けている。身体障害者手帳も取得できるのでは?と聞くと『発達障害者支援法に吃音が含まれている』と説明を受けた。

この点、日本経済新聞の藤井寛子氏はしっかり取材しているなと受け止めた。
日本経済新聞が『世界保健機関の定義をもとに、厚生労働省は吃音症という病気の分類を設けている。これに沿って診断を受けると発達障害者支援法に基づき精神障害者保健福祉手帳をもらう場合もある。』と明記したことは大きな影響がでるだろう。



―――国立障害者リハビリテーションセンターが2016年夏からアンケートを実施
記事中盤では国リハが中心となり、3歳児健診などの際に吃音を調べる調査を昨夏から始めたこと。自治体と連携して親にアンケート調査をし、必要ならば面談もするという。言葉の繰り返しの状況などを確認し、4カ月ごとに質問用紙を送り、計2000人を調べるという。
 
 調査期間は2年で、2017年3月の集計では約5%が吃音と推定されたという。同センターの森浩一部長は「幼児全体では5%よりもっと多いと考えている」と話す。調査を続けると増える可能性があるとみているとのこと。

―――気になるのは「費用対効果」という発言
記事中盤では
 一般に、8歳になるころから、症状はなくなりにくくなるといわれる。早期に日常生活の対策となる訓練を受ける必要性が指摘されている。森部長は「半数以上は自然になくなるため、支援のかけすぎという声もある。費用対効果を考えて、最適な介入のタイミングを調べたい」と話す。
と書かれているが。費用対効果を治療、療育、訓練に持ち出すのはいかがなものか?というのが率直な感想だ。X歳までに、●●をすれば吃音が完治する。寛解するというならばよいが、そうでない場合もよくよく想像してほしいものだ。

そもそも2005年から吃音が発達障害者支援法に含まれていること、それが公に広く周知されるのは2014年7月3日の国立障害者リハビリテーションセンター内部の発達障害情報支援センターが「発達障害の一覧」に「吃音」を加えた日である。

本来であれば2005年から、自閉症スペクトラムやADHD、学習障害、トゥレット症候群の当事者や家族と同じ権利が吃音児者にあったはずである。医療機関の充実や、社会保障制度、合理的配慮、障害者雇用枠の利用、自立支援医療費(精神通院)などなどありとあらゆる面で全く同じ権利、同じ内容を利用できたはずである。

とくに国立障害者リハビリテーションセンター病院は2014年7月3日以前から吃音者に精神障害者保健福祉手帳を取得できることをホームページ上で公開していたのか?医療従事者に吃音は発達障害者支援法に含まれていて、法によりありとあらゆるサービスを利用できますとアナウンスしていたのか?という疑問がでてくる。まさかと思うが費用対効果という価値観で、吃音者に気軽に精神障害者保健福祉手帳を取得されたら日本の財政が傾くというような価値観があったから?吃音が発達障害者支援法に含まれていることを故意に伏せていたのかしら?と想像すると恐怖しかない。

このように発達障害者支援法に吃音が含まれていたことが事実上、見えなくされていた過去があったうえで「費用対効果」という言葉がでてくるのは驚きを隠せない。
困っている当事者が、ライフステージに合わせて、いつでもありとあらゆる制度が利用でいて良いはずである。

そもそも、発達障害者の中でも精神障害者保健福祉手帳3級を取得しているが、服薬、スマートフォンのアプリ、スケジュール管理、リマインダー、イヤーマフ、静かな環境、人が少ない時間に移動、ソーシャルスキルトレーニング、当事者会で悩みを話す、病院で医師や支援者に相談などなど、余暇活動でストレス発散、仕事や職場ではなんとかなるが帰宅した後は何もできないから家族や他人に助けてもらう、仕事や職場で働く時間の体力・ヒットポイントはあるが使い切ってしまう(仕事や職場以外で定型発達を装うのが精一杯でそれ以外の場所で発達障害特性がでてしまう、飲み会や遊びの誘いを断ることも)いろいろな選択肢を利用して健常者・定型発達者を装い、振る舞い、

(上に書いた数々の努力により)精神障害者保健福祉手帳を持っていることを勤務先に隠して、一般枠で働く当事者も存在するからである。吃音だって上手く吃らずに話す方法を編み出して頑張っている人が精神障害者保健福祉手帳を取得することはできるはずなのです。

ここに「費用対効果」という価値観が入ってきてしまうのは悲しいことだと考える。この考えが拡大していくと軽度吃音者は精神障害者保健福祉手帳を取得できません。手帳申請書類を医師が書きません!! などという日本社会に発展する可能性もある。また発達障害者も一般枠で働ける人には精神障害者保健福祉手帳を交付しません!という日本社会に発展する可能性も考えられる。

吃音も含む発達障害は学校や職場だけ「障害特性」が表出しなければいいというものではない。日常生活も、毎日の終わりの飲み会や遊びのお誘いも、買物、銀行、役所の窓口、友人との電話、家族や親戚とのつきあい、御近所付つきあい、パートナーとの時間、余暇活動などどこの場面でも困ったことがあれば精神障害者保健福祉手帳を取得できる。こういった価値観が吃音業界にも、吃音を診療する医師にもひろがってほしいものですが…。吃音業界はあくまでも学校や職場という想定ばかりなのが気になるところだ。

吃音を含む発達障害を一般の人が体験できるシステムができればと思う。発達障害については最近、その世界を体験できる方法が開発されたが、吃音の場合はまだまだ難しい。口が動かない、喉を締められている、頭のなかで何かが衝突している、話したいことを話せない。こういったことが365日、いつどんなタイミングで襲われるのかということである。医療従事者にはこういった「●●障害体験」などは積極的にしてほしいと思う。

2014年7月3日に発達障害情報支援センターの説明に吃音を加えるように指示した、英断した、「英雄の職員」には心から感謝している。あなたのおかげで吃音児者の失われた1X数年に終止符がうたれた。

こういうところを日本経済新聞に取材してほしかったとも思う。



―――診断方法の紹介
費用対効果の語りのあとは。診断方法や治療について書かれている。
診断は患者の年齢もふまえ、音の繰り返し、子音と母音の長さ、単語の途切れなどの症状をみるという。
 子どもの対策では、海外で開発された手法「リッカムプログラム」を使う医療機関が増えているという。環境調整法という子どもが話しやすい環境を整える例についても言及されている。


―――吃音治療ガイドライン作成へ
この記事の本題だと思われる、吃音治療ガイドラインの作成について言及。
 現場では様々な取り組みが進むが、国内の学会などによる治療ガイドラインはまだない。そこで国立障害者リハビリテーションセンターなどは、これらの対策の効果を探る多施設での試験を昨秋始めた。約2年で結果を出し、ガイドラインの作成につなげる狙いだ。
 この分野は専門家不足が指摘されている。実際に訓練などをする言語聴覚士は高齢者施設に就職することが多く、吃音に対応できる人は少ないという。森部長は「十分な対策をとりたくてもできない」と話す。
 悩みのある人は耳鼻科医や言語聴覚士に相談することになるが、診断や訓練などを十分に受けられないことも多い。受け皿の整備が求められている。
吃音の治療ガイドライン作成。これは一定の評価はできる。
吃音が治療できるなら、筆者も治したいものである。
ただ、問題なのは吃音はそもそも全員が全員治るものなのか?
ある一定の年齢でなになにをすれば治るものなのか?
それとも何をどうやっても治らない吃音もあるのか?
こういったことも判明していけば嬉しいが。

―――吃音治療ガイドラインだけでよいのか?

吃音を治療するべきだ治すべきだという医学モデル、医療モデルではなく、吃音をもったまま生きていける日本社会の構築も同時にやっていかないとならないだろう。社会モデルである。
吃音でうまく話せないこと、発話発語できないことの不利益は発達障害者支援法や障害者基本法、精神障害者保健福祉手帳、障害者権利条約、障害者差別解消法でも対応できる。

吃音を治療しなければいけないという価値観のガイドラインを作成するよりも。
吃音を診断するガイドラインを作成し、その後の生き方は当事者の自己決定権に委ねるという視点も忘れてはならない。精神障害者保健福祉手帳を取得してオープン就労、精神障害者保健福祉手帳を取得してクローズド就労する際のガイドラインも考えてほしいところである。

もしも吃音は治すものであるという価値観が広がれば、そのうち出生前診断の中に「発達障害があるかどうか」を調べる時代になったときに吃音のある子どもを出産しないということにもつながりかねない。

例えば東京大学、大阪大学、京都大学、同志社大学、早稲田大学などが協力しているこの研究がある。
構成論的発達科学-胎児からの発達原理の解明に基づく発達障害のシステム的理解-
http://devsci.isi.imi.i.u-tokyo.ac.jp/about

http://devsci.isi.imi.i.u-tokyo.ac.jp/archives/42#A01

この研究では各分野の研究者が横断研究をし、発達障害を多角的に解明していくという。
しかし、この研究の目的は発達障害を持った人がこの世に誕生しないように生まれないよにするためではなく、発達障害があってもこういう配慮やこういう方法があって、こうやって生きてけるんだ。と勇気づけるものだという。当事者にも親にもどのような支援が必要?周囲の人はどう接する?という視点だ。発達障害を治すよりも発達障害があってもこうやって生きていけるという視点である。

吃音業界では吃音を治せ。吃音を治せ。吃音を治せ!!!という価値観がまだまだ消えないということである。吃音治療ガイドラインだけではなく、別の視点を入れてほしいのである。吃音業界の医療従事者も上に書いたこういった研究者とつながってほしいと考える。

吃音を持つ子どもの親は保護者は「なぜ。子どもが吃音だと困るんだろう。悲しくなるんだろう。子どもの吃音を治さないといけない」と考えるのか?
親、保護者向けのアンケート調査も必要だろう。
たとえば「お父さん、お母さんの職場では発達障害者や吃音者が働いていますか?」、「働いている人はどのような条件で働いていますか?」、「吃音を持った子どもは不幸だと思いますか?」こういったアンケートを行い、そもそも日本社会が吃音を含め発達障害児者に厳しい価値観なのではないか?という仮定をして問題解決するアプローチがあってもよいのではないか?とも考える。


記事終盤でも
 悩みのある人は耳鼻科医や言語聴覚士に相談することになるが、診断や訓練などを十分に受けられないことも多い。受け皿の整備が求められている。
という書き方がされているが。そもそも吃音のある人は耳鼻咽喉科医師や言語聴覚士に相談するだけで良いのだろうか?発達障害分野につよい精神科医師、社会福祉士、精神保健福祉士などともつながるべきではないか。


―――北里大学東病院について
記事終盤は北里大東病院の事例が書かれている。
こちらは大人の場合という内容である。
吃音について治療のマニュアルはないというのが印象的だ。
それでも少しでも吃らないように、吃りを減らせるようにというのは吃音当事者の切実な願いだろう。
北里大東病院を訪れる人が存在するということは、吃音を持ったままでは生きられない、日本社会が吃音を許容していないということがうかがえる。



■2 日本経済新聞の吃音記事 この研究はどの組織がやっているの?
日本経済新聞を読んだだけではわかりませんでした。
調べた結果
発達性吃音(どもり)の研究プロジェクト
http://www.kitsuon-kenkyu.org/
というグループが行っていたということがわかりました。

―――構成メンバーは?
メンバーは以下の通りです 2017年9月18日閲覧時点
氏名所属担当
研究代表者森浩一国立障害者リハビリテーションセンター全体統括/青年~成人期の治療研究
研究分担者原由紀北里大学疫学調査/介入研究
宮本昌子筑波大学疫学調査/介入研究
小林宏明金沢大学疫学調査/介入研究
菊池良和九州大学病院疫学調査・介入研究
酒井奈緒美国立障害者リハビリテーションセンター疫学調査統括・青年~成人期の治療研究
見上昌睦福岡教育大学ガイドライン作成
前新直志国際医療福祉大学ガイドライン作成
川合紀宗広島大学ガイドライン作成
坂田善政国立障害者リハビリテーションセンターガイドライン作成/介入研究統括
北條具仁国立障害者リハビリテーションセンター青年~成人期の治療研究統括
金樹英国立障害者リハビリテーションセンター合併症への対応
研究協力者大野裕国立精神・神経医療研究センター認知行動療法に関する助言
堀口寿広国立精神・神経医療研究センター啓発活動に関する助言
須藤大輔薩摩川内市鹿島診療所疫学研究に関する助言
宇高二良宇高耳鼻咽喉科疫学調査

構成メンバーは主に、吃音業界で吃音研究をしているおなじみの人達だ。
ただ、発達障害を専門するに著名な医師や社会福祉士や精神保健福祉士養成学校の教員、
社会学者の参加はない。ソーシャルワークについて研究やガイドラインは作成しないのだろうかと心配になる。あくまで吃音を治療することが重視されているようだ。
また就労移行支援などの視点も不足しているように見受けられる。

―――研究予算はどこが出している?
この研究予算は国立研究開発法人日本医療研究開発機構  
http://www.amed.go.jp/

から出ている。

詳細は平成28年度「認知症研究開発事業」「長寿科学研究開発事業」「障害者対策総合研究開発事業」の採択課題について の中にある。
障害者対策総合研究開発事業→(イ)感覚器障害分野→発達性吃音の最新治療法の開発と実践に基づいたガイドライン作成 国立障害者リハビリテーションセンター 森 浩一

http://www.amed.go.jp/koubo/010420151125_kettei.html

と説明がある。


―――この研究の目的は何?
この研究の目的については
ホームページにこのように書かれている。
研究の詳細 http://www.kitsuon-kenkyu.org/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%AE%E8%A9%B3%E7%B4%B0/

1) 幼児吃音への支援ガイドラインの作成
1a) 幼児の疫学調査
幼児吃音への早期介入システムの開発
1b) 幼児の介入研究
1c) 合併症のある幼児の対応
2) 中高生・成人の認知行動療法による治療
2a) グループ訓練
以上が行われるという。

メインは幼児期の吃音について子どもや保護者向けに支援するようだ。
吃音児への早期介入システムも開発するという。
ここがX歳までになにかをすれば吃音が消失または寛解するというところだろう。

合併症がある子どもへの対応であるが。こう書かれている
吃音のある幼児さんの中には、自閉スペクトラム症や注意欠如多動性障害(ADHD)、構音障害といった他の難しさを併せ持っているお子さんが少なくありません。幼児の介入研究を行う中で出会う、このような合併する問題があるお子さんの経過や、研究班のメンバーのこれまでの臨床経験、文献レビューをもとに、合併症のある幼児の対応に関するガイドラインを作成することも、本研究では目指しています。
まずは子どもへの対応であるが。しかもこれだと、吃音を主訴にした子どもに他の発達障害や症状があった場合に読める。例えば(耳鼻咽喉科ではなくて精神科病院などで)発達障害を先に発見された子どもに吃音があった場合の展開を想定していないように見受けられるので、国リハの精神科医師1人だけではなく、このような部分はなおさら、発達障害に強い精神科医師が入るべきだと思う。吃音を普段研究する環境から作るガイドラインでは不足である。発達障害児者を診療する精神科医師も入るべきだと考える。

もちろん幼児だけではなく、成人している吃音者の中にも「発達障害」を持った人いるのではないか?という研究もしてほしいところ。ここは吃音業界の派閥抗争、戦争、当事者会分裂、当事者団体分裂、ソーシャルワークの失敗を含めて研究してほしいものなのだが。今回の研究グループのこのような危機感を持った研究者がいないことが残念である。

そもそも厚生労働省もこのように調査をしている
平成28年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業指定課題15「発達障害当事者同士の活動支援のあり方に関する調査」を委託し、結果がでている。
http://jdda.or.jp/info/chousa2016_15.html

なかでは当事者会運営における、トラブル。運営スタッフ内の喧嘩や主義主張の違い、結果的に団体を分裂させる、発展的解消と称して会を潰す、発達障害者どうしのトラブルを第三者機関が仲裁するというサービスを希望する当事者の声も聞かれた。しかし、この話を聞いていて思うのは吃音業界が1960年ころから繰り返している歴史だということがよく理解できるためである。発達障害者の間で起きているトラブルはそもそも吃音業界が昔むかしからやっていることなのだ。

●「発達障害当事者同士の活動支援のあり方に関する調査」に関連する報道
発達障害 85%が「就労支援必要」
 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14HC0_U7A710C1000000/

「本人が自覚していないと周りが振り回される」「事務作業が苦手」大人の発達障害当事者会で見えた課題 池上正樹
https://news.yahoo.co.jp/byline/masakiikegami/20170731-00073946/

「大人の発達障害」当事者会の国内初の調査報告 参加者は30~40代男性が突出
池上正樹
https://news.yahoo.co.jp/byline/masakiikegami/20170705-00072937/

大人の発達障害、悩み話し合う 当事者の交流必要 初の全国調査 /東京 
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170819/ddl/k13/040/011000c

全国の発達障害当事者会が一堂に会する日本初のフォーラム!〜発達障害当事者会フォーラム2017〜 りたりこ発達ナビ
https://h-navi.jp/column/article/35026532



―――2) 中高生・成人の認知行動療法による治療 2a) グループ訓練
について。
ここでも吃音を治すことについて重視されている。
これも仕方ないのかもしれないが…。

例えば、就労移行支援事業所やどのような合理的配慮があれば吃音者と一緒に働けるのか?という雇用する側、一緒に働く側のことについて触れられていないのだ。吃音のある人同士の訓練や吃音を治療する医療従事者との訓練だけだと実社会では使えない可能性もある。吃音者と医療従事者以外がいることにより、より実社会に近い状態になるわけである。

また、実社会でも、無理に発語発話するよりもテキストチャットやメール、筆談してほしいという要望もあるだろう。

この部分も今後、もっと別の視点がある研究者が加入して方法を編み出してくれると期待する。




以上
2017年8月7日 日本経済新聞の記事を読んで思うところである。




「吃音」幼少期20人に1人 治療ガイドライン作成へ
2017/8/7付 日本経済新聞 朝刊

 話すときに言葉がつまったり同じ音を繰り返したりする「吃(きつ)音」について、実態調査や有効な対策を探る動きが進んでいる。幼少期には約20人に1人にみられ、そのうち約7割は自然になくなるといわれるが実態はよく分かっていなかった。学校など日常生活を過ごしやすくするための明確な治療ガイドラインもない。担当できる専門家の医師や言語聴覚士が少なく対策が遅れていた。
 吃音は専門家の間でも病気や障害としてのとらえ方や、治療や対策の考え方に違いが出る難しい分野だ。世界保健機関の定義をもとに、厚生労働省は吃音症という病気の分類を設けている。これに沿って診断を受けると発達障害者支援法に基づき精神障害者保健福祉手帳をもらう場合もある。
 吃音の症状は「おおおおかあさん」などと音を繰り返す、言葉につまる、「ぼーく」などと言葉を伸ばすことが代表的だ。自身が吃音の九州大学の菊池良和助教は「頭の中では話しているつもりだが、タイミングがあわず、つまった感じになる」と説明する。
 いつも言いよどむわけではなく調子の波がある。周囲にも左右され、誰かと一緒に同じ文章を読んだり、メトロノームに合わせて文章を朗読したりすると症状が出ないことも多い。
 原因は遺伝的な要因や脳の機能障害なども指摘されているが、明確には分かっていない。緊張や不安、ストレスは原因ではないが、症状が悪化する要因になると考えられている。
 2~4歳から症状が出始め、幼少期は20人に1人にみられるが、約7割は3年ほどで自然になくなる。成人になると100人に1人になるともいわれている。だが国内の実際の対象者数はきちんと調査されていなかった。
 そこで国立障害者リハビリテーションセンターが中心となり、3歳児健診などの際に吃音を調べる調査を昨夏から始めた。自治体と連携して親にアンケート調査をし、必要ならば面談もする。言葉の繰り返しの状況などを確認する。4カ月ごとに質問用紙を送り、計2000人を調べる。
 調査期間は2年。今年3月の集計では約5%が吃音と推定された。同センターの森浩一部長は「幼児全体では5%よりもっと多いと考えている」と話す。調査を続けると増える可能性があるとみている。
 一般に、8歳になるころから、症状はなくなりにくくなるといわれる。早期に日常生活の対策となる訓練を受ける必要性が指摘されている。森部長は「半数以上は自然になくなるため、支援のかけすぎという声もある。費用対効果を考えて、最適な介入のタイミングを調べたい」と話す。
 診断は音の繰り返し、子音と母音の長さ、単語の途切れなどの症状をみる。幼児や小学生、中学生以上と年齢に合わせて検査する。
 子どもの対策では、海外で開発された手法「リッカムプログラム」を使う医療機関が増えている。家庭で吃音の子どもの発言に対して声をかけていく方法だ。
 流ちょうに話せたときはほめたり、「いまのどうだった」などと自身の評価を聞いたりする。明らかにつまったときなどには「ちょっと疲れてたね」などと指摘し「さっきのすらすらでどうぞ」と言い直しを促す。指摘よりも褒める頻度を増やすことが重要ともいわれる。言語聴覚士がかける言葉の内容やタイミングなどを家族に定期的に助言しながら進める。
 国内では以前から「環境調整法」と呼ばれる方法が使われている。子どもが楽に話しやすい環境を整えることで滑らかに話す力を伸ばす。症状に合わせて、吃音が出にくい話し方の練習も組み合わせる。
 九大の菊池助教は「話し方をアドバイスするのではなく、話を聞いて内容に注目して自信を育ててほしい」と指摘する。家庭で子どもが話せずいらいらしていたら、順番に話すなどの工夫で話す意欲を育てる。
 現場では様々な取り組みが進むが、国内の学会などによる治療ガイドラインはまだない。そこで国立障害者リハビリテーションセンターなどは、これらの対策の効果を探る多施設での試験を昨秋始めた。約2年で結果を出し、ガイドラインの作成につなげる狙いだ。
 この分野は専門家不足が指摘されている。実際に訓練などをする言語聴覚士は高齢者施設に就職することが多く、吃音に対応できる人は少ないという。森部長は「十分な対策をとりたくてもできない」と話す。
 悩みのある人は耳鼻科医や言語聴覚士に相談することになるが、診断や訓練などを十分に受けられないことも多い。受け皿の整備が求められている。

■大人の対処法 悩みにあわせ練習提案
北里大学東病院では、その人にあった練習法で支援
 「『いらっしゃいませ』や『ありがとうございます』がうまく言えない」。北里大学東病院を受診した吃音の人の悩みだ。アルバイトを始めたが、流ちょうにあいさつできないときがあり、このままでは仕事に支障があると考えて来院した。

 中高生や大人になると、吃音の対策は、実際に社会生活で言えなくて困っている言葉や苦手な場面でも話しやすくする訓練をするのが中心だ。電話や面接での名のり方などそれぞれ言いたいことがうまく言えなかったり苦手に思ったりして悩んでいる。それを聞き、症状や悩みにあわせた練習方法を提案する。

 練習の基本は力を抜く、話す速度を変える、息の吸い方を変えるなどがあり、試しながら、その人にあった方法を探ることになる。同病院の言語聴覚士、安田菜穂さんは「吃音の治療にマニュアルはない」と話す。

 国立障害者リハビリテーションセンターなどは、中学生以上を対象に認知行動療法を生かしたグループ訓練法を開発した。5~6人のグループで週に1回、約3時間かけて話す訓練などをする。例えば、言葉が滑らかに出てこなくても、やめずに続けて話すようにする。今年からこの訓練法の臨床研究を始めており、2020年度まで実施して効果を探る。

https://style.nikkei.com/article/DGXKZO19661070U7A800C1TCC001?channel=DF140920160921